特許第6014072号(P6014072)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6014072ダイアフラムの固定構造、それを備えたダイアフラムポンプ及び弁装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6014072
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】ダイアフラムの固定構造、それを備えたダイアフラムポンプ及び弁装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 45/04 20060101AFI20161011BHJP
   F04B 43/02 20060101ALI20161011BHJP
   F16K 7/12 20060101ALI20161011BHJP
   F16K 7/14 20060101ALI20161011BHJP
   F16J 3/04 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   F04B45/04 C
   F04B43/02 C
   F16K7/12 B
   F16K7/14 A
   F16J3/04 C
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-58751(P2014-58751)
(22)【出願日】2014年3月20日
(65)【公開番号】特開2015-183531(P2015-183531A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2015年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】森田 耕平
(72)【発明者】
【氏名】石丸 毅
【審査官】 佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭47−031201(JP,Y1)
【文献】 実開昭58−165282(JP,U)
【文献】 特開2013−087680(JP,A)
【文献】 実開平04−089585(JP,U)
【文献】 特開2005−016415(JP,A)
【文献】 特表2007−515584(JP,A)
【文献】 特開2002−139161(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 45/04
F04B 43/02
F16J 3/04
F16K 7/12
F16K 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に空間を形成するケースに、前記空間を第1室と第2室とに仕切るダイアフラムを固定するダイアフラムの固定構造であって、
前記ケースは、前記第1室側を形成する第1凹部を有する第1フレームと、前記第2室側を形成する第2凹部を有する第2フレームとを備え、
前記ダイアフラムの周縁部は、前記第1フレームと前記第2フレームとの嵌め合わせにより、前記第1フレームと前記第2フレームとの間で圧縮されて保持され、
前記第1フレームは、前記嵌め合わせにより、前記第2フレームを抜け止め状態に保持する第1係止部を有し
前記第2フレームは、前記嵌め合わせにより、前記第1フレームを抜け止め状態に保持する第2係止部を有し、
前記第1係止部と第2係止部とが前記ケースの外周に沿って連続して設けられていることを特徴とするダイアフラムの固定構造。
【請求項2】
前記第1フレームは、前記第2フレームに対向する第1フレーム本体を有し、
前記第1係止部は、前記第1フレーム本体の外縁から前記第2フレーム側にのびる弾性変形可能な第1突片と、前記第1突片の端部側に設けられかつ前記第2フレームに係合する第1爪状片とを含む請求項1記載のダイアフラムの固定構造。
【請求項3】
前記第2フレームは、前記第1フレームに対向する第2フレーム本体を有し、
前記第2係止部は、前記第2フレーム本体の外縁から前記第1フレーム側にのびる弾性変形可能な第2突片と、前記第2突片の端部側に設けられかつ前記第1フレームに係合する第2爪状片とを含む請求項2記載のダイアフラムの固定構造。
【請求項4】
前記第1係止部と第2係止部とが前記ケースの外周に沿って交互に設けられている請求項1乃至3のいずれかに記載のダイアフラムの固定構造。
【請求項5】
第1フレームの隣り合う前記第1係止部の間には、第2突片及び第2爪状片に対応する階段状の第3凹部が形成されている請求項3記載のダイアフラムの固定構造。
【請求項6】
第2フレームの隣り合う前記第2係止部の間には、第1突片及び第1爪状片に対応する階段状の第4凹部が形成されている前記第2フレーム本体は、第1突片及び第1爪状片に対応する階段状に形成された第4凹部をさらに有する請求項5記載のダイアフラムの固定構造。
【請求項7】
前記ダイアフラムは、前記空間を第1室と第2室とに仕切る膜部と、前記膜部の外周縁に形成された周縁部とを有し、前記周縁部は、前記膜部よりも厚さが大きい厚肉部が連続して設けられている請求項1乃至6のいずれかに記載のダイアフラムの固定構造。
【請求項8】
前記第1フレーム及び/又は前記第2フレームには、前記厚肉部が配される位置決め用の凹溝が形成されている請求項7記載のダイアフラムの固定構造。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載のダイアフラムの固定構造を備えたダイアフラムポンプであって、
前記第1フレームは、前記第1室に連通する第1ポートが形成され、
前記第2フレームは、前記第2室に連通する第2ポートが形成され、
前記第1室には、前記第1ポートを介して、前記ダイアフラムを駆動するための流体が供給され、
前記第2室には、前記第2ポートを介して、被処理流体が流出入することを特徴とするダイアフラムポンプ。
【請求項10】
請求項1乃至7のいずれかに記載のダイアフラムの固定構造を備えた弁装置であって、
前記第1フレームの前記第1室には、前記ダイアフラムを駆動するための駆動手段が設けられ、
前記第2フレームは、前記第2室に流体を流入させる流入ポートと、前記第2室から流体を流出させる流出ポートとを有し、
前記流出ポートは、周囲に弁座が形成された開口を有し、
前記ダイアフラムは、前記弁座に着座又は離間して、前記流出ポートを開閉することを特徴とする弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に空間を形成するケースに、空間を第1室と第2室とに仕切るダイアフラムを固定するダイアフラムの固定構造、それを備えたダイアフラムポンプ及び弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
化学検査、環境分析又は生命工学研究などの各種の分析では、被処理流体を正確な分量で送出するために、ダイアフラムを備えたダイアフラムポンプや弁装置が使用されている。例えば、特許文献1では、一対のフレームによってダイアフラムを挟持し固定する構造のダイアフラムポンプが開示されている。このダイアフラムポンプでは、ダイアフラムの周縁部での流体のリークを抑制するために、複数対のビス及びナットによって各フレーム同士が結合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−183359号公報
【0004】
上記流体のリークは、一対のフレームがダイアフラムを圧縮する力が、全体的又は部分的に不足することに起因する。そこで、上記ダイアフラムの固定構造では、ダイアフラムを十分な力で均等に圧縮するために、多数のビス及びナットが用いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記ダイアフラムの固定構造では、部品点数が増加し、ダイアフラムポンプや弁装置のコストダウンを阻む一因となっている。また、ビス及びナットの締結作業は、手間がかかり、作業者に負担を強いると共に、ダイアフラムポンプや弁装置の組み立てに要する工数が増加する。
【0006】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、部品点数を削減すると共に、組み立てを容易にすることにより、コストダウンを図ることができるダイアフラムの固定構造等を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、内部に空間を形成するケースに、前記空間を第1室と第2室とに仕切るダイアフラムを固定するダイアフラムの固定構造であって、
前記ケースは、前記第1室側を形成する第1凹部を有する第1フレームと、前記第2室側を形成する第2凹部を有する第2フレームとを備え、
前記ダイアフラムの周縁部は、前記第1フレームと前記第2フレームとの嵌め合わせにより、前記第1フレームと前記第2フレームとの間で圧縮されて保持され、
前記第1フレームは、前記嵌め合わせにより、前記第2フレームを抜け止め状態に保持する第1係止部を有していることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る前記固定構造において、前記第1フレームは、前記第2フレームに対向する第1フレーム本体を有し、前記第1係止部は、前記第1フレーム本体の外縁から前記第2フレーム側にのびる弾性変形可能な第1突片と、前記第1突片の端部側に設けられかつ前記第2フレームに係合する第1爪状片とを含むことが望ましい。
【0009】
本発明に係る前記固定構造において、前記第2フレームは、前記嵌め合わせにより、前記第1フレームを抜け止め状態に保持する第2係止部を有していることが望ましい。
【0010】
本発明に係る前記固定構造において、前記第2フレームは、前記第1フレームに対向する第2フレーム本体を有し、前記第2係止部は、前記第2フレーム本体の外縁から前記第1フレーム側にのびる弾性変形可能な第2突片と、前記第2突片の端部側に設けられかつ前記第1フレームに係合する第2爪状片とを含むことが望ましい。
【0011】
本発明に係る前記固定構造において、前記第1係止部と第2係止部とが前記ケースの外周に沿って交互に設けられていることが望ましい。
【0012】
本発明に係る前記固定構造において、前記第1係止部と第2係止部とが前記ケースの外周に沿って連続して設けられていることが望ましい。
【0013】
本発明に係る前記固定構造において、前記ダイアフラムの前記周縁部は、厚さが大きい厚肉部が連続して設けられていることが望ましい。
【0014】
本発明に係る前記固定構造において、前記第1フレーム及び/又は前記第2フレームには、前記厚肉部が配される位置決め用の凹溝が形成されていることが望ましい。
【0015】
本発明は、前記固定構造を備えたダイアフラムポンプであって、前記第1フレームは、前記第1室に連通する第1ポートが形成され、前記第2フレームは、前記第2室に連通する第2ポートが形成され、前記第1室には、前記第1ポートを介して、前記ダイアフラムを駆動するための流体が供給され、前記第2室には、前記第2ポートを介して、被処理流体が流出入することを特徴とする。
【0016】
本発明は、前記固定構造を備えた弁装置であって、前記第1フレームの前記第1室には、前記ダイアフラムを駆動するための駆動手段が設けられ、前記第2フレームは、前記第2室に流体を流入させる流入ポートと、前記第2室から流体を流出させる流出ポートとを有し、前記流出ポートは、周囲に弁座が形成された開口を有し、前記ダイアフラムは、前記弁座に着座又は離間して、前記流出ポートを開閉することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、内部に空間を形成するケースに、空間を第1室と第2室とに仕切るダイアフラムを固定するダイアフラムの固定構造であって、ケースが、第1室側を形成する第1凹部を有する第1フレームと、第2室側を形成する第2凹部を有する第2フレームとを備える。ダイアフラムの周縁部は、第1フレームと第2フレームとの嵌め合わせにより、第1フレームと第2フレームとの間で圧縮されて保持される。これにより、ダイアフラムの周縁部での被処理流体のリークが抑制される。第1フレームは、前記嵌め合わせにより、第2フレームを抜け止め状態に保持する第1係止部を有しているので、ビス及びナットを締結することなく、第1フレームと第2フレームとが嵌め合わされる。従って、ダイアフラムの固定構造の部品点数を削減すると共に、組み立てを容易にして、コストダウンを図ることが可能となる。
【0018】
本発明のダイアフラムポンプは、前記ダイアフラムの固定構造を備え、第1フレームの第1室には、第1ポートを介して、ダイアフラムを駆動するための流体が供給され、第2フレームの第2室には、第2ポートを介して、被処理流体が流出入する。これにより、簡素かつ安価な構成のダイアフラムポンプで、被処理流体を正確な分量で送出することが可能となる。
【0019】
本発明の弁装置は、前記ダイアフラムの固定構造を備え、第1フレームの第1室には、ダイアフラムを駆動するための駆動手段が設けられ、第2フレームは、前記第2室に流体を流入させる流入ポートと、前記第2室から流体を流出させる流出ポートとを有する。流出ポートは、周囲に弁座が形成された開口を有し、ダイアフラムは、弁座に着座又は離間して、流出ポートを開閉する。これにより、簡素かつ安価な構成の弁装置で、被処理流体を正確な分量で送出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係るダイアフラムポンプを備えた分析装置の一部の構成を示す説明図である。
図2図1のダイアフラムポンプの斜視図である。
図3図2のダイアフラムポンプの平面図である。
図4図3のダイアフラムのA−A線断面図である。
図5図3のダイアフラムのB−B線断面図である。
図6図2のダイアフラムポンプの組み立て斜視図である。
図7図6の第1ケース又は第2ケースの斜視図である。
図8図6のダイアフラムの断面図である。
図9】本発明の別の実施形態に係る弁装置の構成を示す断面図である。
図10図9のソレノイドコイルに通電された状態の弁装置を示す断面図である。
図11図9のケースの組み立て斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態が図面に基づき説明される。
(第1実施形態)
【0022】
図1は、本発明の第1実施形態に係るダイアフラムポンプ1の概略構成が示されている。ダイアフラムポンプ1は、試料等の被処理流体を定量で送出する。ダイアフラムポンプ1は、内部に空間20を形成するケース2と、空間20を第1室21と第2室22とに仕切るダイアフラム3とを有している。気体等の流体が第1室21に充填され排出されることにより、被処理流体が第2室22から送出される。
【0023】
すなわち、第1室21に充填され、排出される気体によってダイアフラム3が駆動されて変形することにより、定量の流体が第2室22から送出される。送出される流体の体積は、空間20の容積及び空間20内に占めるダイアフラム3の体積等によって定められる。
【0024】
図2及び3には、ダイアフラムポンプ1の外観が示されている。図4及び図5には、図3にて示されるダイアフラムポンプ1のA−A線断面及びB−B線断面図が示されている。図6には、ダイアフラムポンプ1の組み立て斜視図が示されている。ダイアフラム3は、固定構造4によってケース2に固定されている。
【0025】
ダイアフラムポンプ1のケース2は、第1凹部50を有する第1フレーム5と、第2凹部60を有する第2フレーム6とを備えている。第1凹部50は、第1室21側の空間20aを形成する。第2凹部60は、第2室22側の空間20bを形成する。第1凹部50と第2凹部60とは、互いに対向して配置されている。第1凹部50及び第2凹部60は、すり鉢状に形成されている。
【0026】
第1フレーム5及び第2フレーム6を構成する材料は、耐薬品性等を考慮して設定されている。例えば、PP(ポリプロピレン)、POM(ポリアセタール)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)。PPS(ポリフェニレンサルファイド)又はPTFE(ポリテトラフルオロチレン)等が使用される。本実施形態では、第1フレーム5と第2フレーム6とは、接着等を伴うことなく、機械的な嵌め合わせによって接合されているので、難接着材料を適用することができ、材料選択の自由度が高められる。
【0027】
図4及び5に示されるように、ダイアフラム3は、空間20を第1室21と第2室22とに仕切る膜部31と、膜部31の外周縁に形成されている周縁部32とを有している。周縁部32は、第1フレーム5と第2フレーム6とによって挟持されている。膜部31が弾性変形することにより、第1室21及び第2室22の容積が交互に増減する。
【0028】
ダイアフラム3の周縁部32は、第1フレーム5と第2フレーム6との嵌め合わせにより、第1フレーム5と第2フレーム6との間で圧縮されて保持されている。これにより、ダイアフラム3の周縁部32での被処理流体のリークが抑制される。
【0029】
ダイアフラム3は、例えば、ゴム成分として、エチレン−プロピレン−ジエン(EPDM)、フッ素系ゴム(FKM、FPM、FFKM)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、ブチレン系ゴム(IIR)又はシリコーンゴム(VMQ)の1種以上を含んでいる弾性材料によって構成されている。ポリマー主鎖に二重結合を含むゴム材料を用いた場合、長期間にわたる使用の際に、ポリマー主鎖が切断され、ダイアフラム3の耐久性能が維持できなくなるおそれがある。上記ゴム成分の中では、ガスバリア性、耐熱性、耐薬品性及び製造コストの観点から、特にエチレン−プロピレン−ジエンが好ましい。
【0030】
図7は、第1フレーム5を示している。図2,3,5及び7等に示されるように、第1フレーム5は、上記第1凹部50と、第2フレーム6に対向する第1フレーム本体51と、第2フレーム6を抜け止め状態に保持する第1係止部52とを有している。第1凹部50は、第1フレーム本体51の第2フレーム6に対向する内端面に形成されている。第1フレーム本体51は、概略円柱状に形成されている。第1係止部52は、第1フレーム本体51の外縁に沿って間欠的に複数設けられている。上述した第1フレーム5と第2フレーム6との嵌め合わせの際に、第1係止部52と第2フレーム6との間に生ずる摩擦力によって、第1フレーム5と第2フレーム6とが強固に嵌め合わされて、一体化される。従って、ダイアフラム3の周縁部32での被処理流体のリークが抑制される。
【0031】
図5,7に示されるように、本実施形態では、第1係止部52が、第1フレーム本体51の外縁から第2フレーム6側にのびる第1突片53と、第1突片53の端部側に設けられた第1爪状片54とを有している。第1突片53は、弾性変形可能な腕状に形成されている。第1爪状片54は、第2フレーム6の内方に突出して形成され、第2フレーム6に係合する。第1爪状片54が第2フレーム6に係合すると共に、弾性変形した第1突片53が弾性力を発生することにより、第1フレーム5と第2フレーム6との嵌め合わせが強固なものとなり、ダイアフラム3の周縁部32での被処理流体のリークが一層抑制される。
【0032】
図4,7に示されるように、第1フレーム5には、第1室21に連通する第1ポート57が形成されている。第1ポート57の先端部には、配管を接続するためのニップル58が形成されている。第1室21には、配管及び第1ポート57を介して、ダイアフラム3を駆動するための気体が流入出される。なお、第1係止部52は、ニップル58との干渉を回避して設けられている。
【0033】
本実施形態では、第1ポート57は、円柱状の第1フレーム5の端面に沿ってのび、側面に形成されているニップル58に連通しているが、第1ポート57は、円柱状の第1フレーム5の端面に向かってのびる形態であってもよい。この場合、ニップル58は、第1フレーム5の端面に形成される。
【0034】
図6,7に示されるように、本実施形態では、第1フレーム5と第2フレーム6とは、同一の形状に形成されている。従って、第1フレーム5と第2フレーム6とを同一の金型によって製造することができ、ダイアフラムポンプ1の製造コストを低減することができる。
【0035】
第2フレーム6は、第1フレーム5に対向する第2フレーム本体61と、第1フレーム5を抜け止め状態に保持する第2係止部62とを有している。第2フレーム本体61の第1フレーム5に対向する内端面には、第2凹部60が形成されている。第2フレーム本体61は、概略円柱状に形成されている。第2係止部62は、第2フレーム本体61の外縁に間欠的に複数設けられている。上述した第1フレーム5と第2フレーム6との嵌め合わせの際に、第2係止部62と第1フレーム5との間に生ずる摩擦力によって、第1フレーム5と第2フレーム6とがより一層強固に嵌め合わされて、一体化される。従って、ダイアフラム3の周縁部32での被処理流体のリークがより一層抑制される。
【0036】
図5,7に示されるように、本実施形態では、第2係止部62が、第2フレーム本体61の外縁から第1フレーム5側にのびる第2突片63と、第2突片63の端部側に設けられた第2爪状片64とを有している。第2突片63は、弾性変形可能な腕状に形成されている。第2爪状片64は、第1フレーム5の内方に突出して形成され、第1フレーム5に係合する。第2爪状片64が第1フレーム5に係合すると共に、弾性変形した第2突片63が弾性力を発生することにより、第1フレーム5と第2フレーム6との嵌め合わせが強固なものとなり、ダイアフラム3の周縁部32での被処理流体のリークがより一層抑制される。
【0037】
図4,7に示されるように、第2フレーム6には、第2室22に連通する第2ポート67が形成されている。第2ポート67の先端部には、配管を接続するためのニップル68が形成されている。第2室22には、配管及び第2ポート67を介して、被処理流体が流入出される。なお、第2係止部62は、ニップル68との干渉を回避して設けられている。第1フレーム5と第2フレーム6とは、ニップル58とニップル68とを位置を揃えて、嵌め合わされる。
【0038】
本実施形態では、第2ポート67は、円柱状の第2フレーム6の端面に沿ってのび、側面に形成されているニップル68に連通しているが、第2ポート67は、円柱状の第2フレーム6の端面に向かってのびる形態であってもよい。この場合、ニップル68は、第2フレーム6の端面に形成される。
【0039】
図2,6に示されるように、第1係止部52と第2係止部62とは、ケース2の外周に沿って交互に設けられている。これにより、ダイアフラム3の周縁部32を均等に圧縮することが可能となり、ダイアフラム3の周縁部32での被処理流体のリークがより一層抑制される。
【0040】
さらに、本実施形態では、第1係止部52と第2係止部62とがケース2の外周に沿って連続して設けられている。これにより、ダイアフラム3の周縁部32を十分な力で均等に圧縮することが可能となり、ダイアフラム3の周縁部32での被処理流体のリークがより一層抑制される。
【0041】
図6,7に示されるように、第1フレーム5の隣り合う第1係止部52の間には、第3凹部59が形成されている。第3凹部59は、第2フレーム6の第2突片63及び第2爪状片64に対応する形状で階段状に形成されている。第3凹部59は、第2フレーム6の第2係止部62と嵌め合わされる。上記嵌め合わせにより、第2フレーム6が抜け止め状態に保持される。これにより、ビス及びナットを締結することなく、第1フレーム5と第2フレーム6とが嵌め合わされて、一体化される。従って、ダイアフラム3の固定構造4の部品点数を削減すると共に、組み立てを容易にして、コストダウンを図ることが可能となる。さらには、ダイアフラムポンプ1の構成を簡素かつ安価なものとすることが可能となる。
【0042】
一方、第2フレーム6の隣り合う第2係止部62の間には、第4凹部69が形成されている。第4凹部69は、第1フレーム5の第1突片53及び第1爪状片54に対応する形状で階段状に形成されている。第4凹部69は、第1フレーム5の第1係止部52と嵌め合わされる。上記嵌め合わせにより、第1フレーム5が抜け止め状態に保持される。これにより、第1フレーム5と第2フレーム6とがより一層強固に嵌め合わされて、一体化される。従って、ダイアフラム3の周縁部32での被処理流体のリークがより一層抑制される。
【0043】
図8は、ダイアフラム3のA−A線断面を示している。ダイアフラム3の周縁部32は、膜部31よりも厚さが大きい厚肉部33が連続して設けられている。これにより、ダイアフラム3の耐久性を十分に確保したうえで、第1フレーム5及び第2フレーム6が、厚肉部33に十分な圧力をかけてダイアフラム3を保持でき、ダイアフラム3の周縁部32での被処理流体のリークがより一層抑制される。
【0044】
図7に示されるように、第1フレーム5には、厚肉部33が嵌合される凹溝55が形成されている。同様に、第2フレーム6には、厚肉部33が嵌合される凹溝65が形成されている。凹溝55と凹溝65の深さの合計は、厚肉部33の厚さよりも小さく設定されている。このような凹溝55及び65によって、厚肉部33が適度に圧縮され、ダイアフラム3の周縁部32での被処理流体のリークがより一層抑制される。また、凹溝55及び65は、ダイアフラム3を第1フレーム5及び第2フレーム6の内部に組み込む際に位置決め用の溝として機能し、ダイアフラムポンプ1の生産効率を高める。
【0045】
(第2実施形態)
図9は、本発明の第2実施形態に係る弁装置を示している。弁装置7は、内部に空間20Aを形成するケース2Aと、空間20Aを第1室21Aと第2室22Aとに仕切るダイアフラム3Aとを有している。ダイアフラム3Aは、固定構造4Aによってケース2Aに固定されている。
【0046】
ケース2Aは、第1凹部50Aを有する第1フレーム5Aと、第2凹部60Aを有する第2フレーム6Aとを備えている。 第1凹部50Aは、第1室21A側の空間20Aを形成する。第2凹部60Aは、第2室22A側の空間20Aを形成する。
【0047】
ダイアフラム3Aは、空間20Aを第1室21Aと第2室22Aとに仕切る膜部31Aと、膜部31Aの外周縁に形成されている周縁部32Aとを有している。周縁部32Aは、第1フレーム5Aと第2フレーム6Aとによって挟持されている。膜部31Aが弾性変形することにより、ダイアフラム3Aは揺動可能とされる。
【0048】
ダイアフラム3Aの周縁部32Aは、第1フレーム5Aと第2フレーム6Aとの嵌め合わせにより、第1フレーム5Aと第2フレーム6Aとの間で圧縮されて保持されている。これにより、ダイアフラム3Aの周縁部32Aでの被処理流体のリークが抑制される。
【0049】
第1フレーム5A及び第2フレーム6Aを構成する材料は、第1実施形態の第1フレーム5及び第2フレーム6と同様である。ダイアフラム3Aを構成する材料についても、第1実施形態のダイアフラム3と同様である。
【0050】
第1フレーム5Aの 第1凹部50Aすなわち第1室21Aには、ダイアフラム3Aを駆動する駆動手段8が設けられている。ダイアフラム3Aは、駆動手段8によって駆動されて揺動する。駆動手段8は、ダイアフラム3Aと一体に揺動する揺動部材81と、揺動部材81の一端部を押圧する第1プランジャー(可動鉄心)82と、揺動部材81の他端部を押圧する第2プランジャー83等を有している。揺動部材81は、空間20Aに収容されている。揺動部材81は、軸部材81aによって、回動自在に支持されている。軸部材81aの両端は、第1フレーム5Aに支持されている。
【0051】
第1プランジャー82は、第1コイルばね84、ソレノイドコイル85及び固定鉄心86によって駆動されて、その駆動力を揺動部材81に伝達する。第2プランジャー83は、第2コイルばね87によって駆動されて、その駆動力を揺動部材81に伝達する。第1コイルばね84のばね荷重は、第2コイルばね87のばね荷重よりも大きく設定されている。第1プランジャー82及び第2プランジャー83によって伝達された駆動力を受け、揺動部材81及びダイアフラム3Aは、軸部材81aを回転軸としてシーソー状に回動する。
【0052】
第2フレーム6Aは、第2室22Aに流体を流入させる流入ポート(Commonポート)71と、第2室22Aから流体を流出させるNC(Normally Close)流出ポート72及びNO(Normally Open)流出ポート73とを有している。NC流出ポート72は、周囲に弁座72aが形成された開口72bを有している。ダイアフラム3Aは、弁座72aに着座又は離間して、NC流出ポート72を開閉する。NO流出ポート73は、周囲に弁座73aが形成された開口73bを有している。ダイアフラム3Aは、弁座73aに着座又は離間して、NO流出ポート73を開閉する。揺動部材81が回動することにより、NC流出ポート72又はNO流出ポート73のうちいずれか一方のポートが閉鎖され、他方のポートが開放される。これにより、各ポートが交互に開閉される。本実施形態に係る弁装置7は、駆動手段8のソレノイドコイル85が発生する電磁力によってダイアフラム3Aを駆動し、NC流出ポート72及びNO流出ポート73を開閉して流路を切り替える、いわゆる電磁弁である。
【0053】
以下、弁装置7の開閉動作が説明される。流入ポート71は、常時開放されており、流入ポート71から第2室22A内に流体が供給される。既に述べたように、第1コイルばね84のばね荷重は、第2コイルばね87のばね荷重よりも大きいので、第1コイルばね84が発生する弾性力は、第2コイルばね87が発生する弾性力よりも大きい。そのため、通常時においては、揺動部材81及びダイアフラム3Aの姿勢は、図9に示されるように、図中反時計回りに回動された姿勢で維持され、NC流出ポート72が閉鎖され、NO流出ポート73が開放される。これに伴い、矢印Aにて示されるように、流入ポート71から第2室22Aに流れ込んだ流体は、NO流出ポート73から送出される。
【0054】
図10は、ソレノイドコイル85に通電された状態の弁装置7を示している。ソレノイドコイル85に所定の電流が流れると、その電磁力によって第1プランジャー82が第1コイルばね84を圧縮する方向に移動する。このとき、第2プランジャー83が揺動部材81を押圧しているので、揺動部材81及びダイアフラム3Aが時計回りに回動され、NO流出ポート73が閉鎖され、NC流出ポート72が開放される。これに伴い、矢印Bにて示されるように、流入ポート71から第2室22Aに流れ込んだ流体は、NC流出ポート72から送出される。
【0055】
図11は、弁装置7に備えられるケース2Aとダイアフラム3Aとの組み立て斜視図を示している。第1フレーム5Aは、上記第1凹部50Aと、第2フレーム6Aに対向する第1フレーム本体51Aと、第2フレーム6Aを抜け止め状態に保持する第1係止部52Aとを有している。図9に示されるように、第1凹部50Aは、第1フレーム本体51Aの第2フレーム6Aに対向する内端面に形成されている。第1係止部52Aは、第1フレーム本体51Aの外縁に沿って複数設けられている。上述した第1フレーム5Aと第2フレーム6Aとの嵌め合わせの際に、第1係止部52Aと第2フレーム6Aとの間に生ずる摩擦力によって、第1フレーム5Aと第2フレーム6Aとが強固に嵌め合わされて、一体化される。従って、ダイアフラム3Aの周縁部32Aでの被処理流体のリークが抑制される。
【0056】
本実施形態では、第1係止部52Aが、第1フレーム本体51Aの外縁から第2フレーム6A側にのびる第1突片53Aと、第1突片53Aの端部側に設けられた第1爪状片54Aとを有している。第1突片53Aは、弾性変形可能に構成されている。第1爪状片54Aは、第2フレーム6Aの内方に突出して形成され、第2フレーム6Aに係合する。第1爪状片54Aが第2フレーム6Aに係合すると共に、弾性変形した第1突片53Aが弾性力を発生することにより、第1フレーム5Aと第2フレーム6Aとの嵌め合わせが強固なものとなり、ダイアフラム3Aの周縁部32Aでの被処理流体のリークが一層抑制される。
【0057】
第2フレーム6Aは、第1フレーム5Aに対向する第2フレーム本体61Aと、第1フレーム5Aを抜け止め状態に保持する第2係止部62Aとを有している。第2フレーム本体61Aの第1フレーム5Aに対向する内端面には、第2凹部60Aが形成されている。第2係止部62Aは、第2フレーム本体61Aの外縁に沿って複数設けられている。上述した第1フレーム5Aと第2フレーム6Aとの嵌め合わせの際に、第2係止部62Aと第1フレーム5Aとの間に生ずる摩擦力によって、第1フレーム5Aと第2フレーム6Aとがより一層強固に嵌め合わされて、一体化される。従って、ダイアフラム3Aの周縁部32Aでの被処理流体のリークがより一層抑制される。
【0058】
本実施形態では、第2係止部62Aが、第1フレーム本体61Aの外縁から第1フレーム5A側にのびる第2突片63Aと、第2突片63Aの端部側に設けられた第2爪状片64Aとを有している。第2突片63Aは、弾性変形可能に構成されている。第2爪状片64Aは、第1フレーム5Aの内方に突出して形成され、第1フレーム5Aに係合する。第2爪状片64Aが第1フレーム5Aに係合すると共に、弾性変形した第2突片63Aが弾性力を発生することにより、第1フレーム5Aと第2フレーム6Aとの嵌め合わせが強固なものとなり、ダイアフラム3Aの周縁部32Aでの被処理流体のリークがより一層抑制される。
【0059】
第1係止部52Aと第2係止部62Aとは、ケース2Aの外周に沿って交互に設けられている。これにより、ダイアフラム3Aの周縁部32Aを均等に圧縮することが可能となり、ダイアフラム3Aの周縁部32Aでの被処理流体のリークがより一層抑制される。
【0060】
さらに、本実施形態では、第1係止部52Aと第2係止部62Aとがケース2Aの外周に沿って連続して設けられている。これにより、ダイアフラム3Aの周縁部32Aを十分な力で均等に圧縮することが可能となり、ダイアフラム3Aの周縁部32Aでの被処理流体のリークがより一層抑制される。
【0061】
第1フレーム5Aの隣り合う第1係止部52Aの間には、第3凹部59Aが形成されている。第3凹部59Aは、第2フレーム6Aの第2突片63A及び第2爪状片64Aに対応する形状で階段状に形成されている。第3凹部59Aは、第2フレーム6Aの第2係止部62Aと嵌め合わされる。上記嵌め合わせにより、第1フレーム5Aと第2フレーム6Aとが抜け止め状態に保持される。これにより、ビス及びナットを締結することなく、第1フレーム5Aと第2フレーム6Aとが嵌め合わされて、一体化される。従って、ダイアフラム3Aの固定構造4Aの部品点数を削減すると共に、組み立てを容易にして、コストダウンを図ることが可能となる。さらには、弁装置7の構成を簡素かつ安価なものとすることが可能となる。
【0062】
一方、第2フレーム6Aの隣り合う第2係止部62Aの間には、第4凹部69Aが形成されている。第4凹部69Aは、第1フレーム5Aの第1突片53A及び第1爪状片54Aに対応する形状で階段状に形成されている。第4凹部69Aは、第1フレーム5Aの第1係止部52Aと嵌め合わされる。上記嵌め合わせにより、第1フレーム5Aが抜け止め状態に保持される。これにより、第1フレーム5Aと第2フレーム6Aとがより一層強固に嵌め合わされて、一体化される。従って、ダイアフラム3Aの周縁部32Aでの被処理流体のリークがより一層抑制される。
【0063】
ダイアフラム3Aの周縁部32Aは、膜部31Aよりも厚さが大きい厚肉部33Aが連続して設けられている。これにより、ダイアフラム3Aの耐久性を十分に確保したうえで、第1フレーム5A及び第2フレーム6Aが、厚肉部33Aに十分な圧力をかけてダイアフラム3Aを保持でき、ダイアフラム3Aの周縁部32Aでの被処理流体のリークがより一層抑制される。
【0064】
第2フレーム6Aには、厚肉部33Aが嵌合される凹溝65Aが形成されている。
【0065】
以上、本発明の弁装置が詳細に説明されたが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく種々の態様に変更して実施される。
【符号の説明】
【0066】
1 ダイアフラムポンプ
2 ケース
3 ダイアフラム
4 固定構造
5 第1フレーム
6 第2フレーム
7 弁装置
8 駆動手段
20 空間
21 第1室
22 第2室
32 周縁部
33 厚肉部
50 第1凹部
51 第1フレーム本体
52 第1係止部
53 第1突片
54 第1爪状片
60 第2凹部
61 第2フレーム本体
62 第2係止部
63 第2突片
64 第2爪状片
71 流入ポート
72 NC流出ポート
73 NO流出ポート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11