特許第6014075号(P6014075)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6014075
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】電気コネクタ組立体
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/75 20110101AFI20161011BHJP
   H01R 13/639 20060101ALI20161011BHJP
   H01R 13/11 20060101ALI20161011BHJP
   H01R 13/05 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   H01R12/75
   H01R13/639 Z
   H01R13/11 A
   H01R13/05 A
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-85477(P2014-85477)
(22)【出願日】2014年4月17日
(65)【公開番号】特開2015-207359(P2015-207359A)
(43)【公開日】2015年11月19日
【審査請求日】2016年1月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084180
【弁理士】
【氏名又は名称】藤岡 徹
(72)【発明者】
【氏名】大野 祥三
【審査官】 楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−114758(JP,A)
【文献】 特許第4885320(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00 〜12/91
H01R 13/02 〜13/35
H01R 13/639
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に配される第一コネクタと該第一コネクタの受入部へ前方に向け受け入られる第二コネクタとで構成され、
第一コネクタは、金属板を屈曲することで形成されており、上記受入部は、基板面に接面する底板部と該底板部の両方の側縁から起立する側板部と該側板部の前部域における上端同士をコネクタ幅方向で連結する上板部とで形成される筒状受入部と、後部域で底板部と側板部とで上方に開放して形成された開放受入部とを有し、
開放受入部は側板部の上端に連結されたロック片を有し、該ロック片の前縁がロック部を形成し、
筒状受入部は、上板部もしくは底板部から発して、筒状受入部内で、前方もしくは後方に延びる弾性接触片が形成され、
第二コネクタは、金属板を屈曲することで形成されていて、コネクタ幅方向にひろがり前後方向に延びる平板部を有し、上記第一コネクタの弾性接触片が上方もしくは下方から接触するように上記平板部に形成された被接触部と、上記平板部から屈曲部を経て後方に向け延びる弾性ロック腕とが設けられ、
該弾性ロック腕は上記開放受入部で上記第一コネクタのロック部と係止する被ロック部を有していて、第二コネクタが後方に引かれたときに、該被ロック部とロック部とが係止して、第二コネクタの抜出を規制するようになっており、
上記第一コネクタの弾性接触片と第二コネクタの弾性ロック腕とは、上記筒状受入部内にて、コネクタ幅方向では互いに異なる位置に、そして上下方向では重複した部分を有する位置に設けられていることを特徴とする電気コネクタ組立体。
【請求項2】
第一コネクタのロック部と第二コネクタの被ロック部は、ロック状態時に、前後方向で見たときに、互いの板面同士が交差する位置関係にあることとする請求項1に記載の電気コネクタ組立体。
【請求項3】
第一コネクタのロック片は、コネクタ幅方向で互いに対向し、底板部に向け屈曲されている一対のロック片をなし、該ロック片の前縁がロック部を形成していることとする請求項1又は請求項2に記載の電気コネクタ組立体。
【請求項4】
第一コネクタのロック片は、受入部へ第二コネクタを受け入れる過程で、該第二コネクタの弾性ロック腕を圧して弾性変形させることで第二コネクタの前進を可能とさせるように案内傾斜面を有していることとする請求項1ないし請求項3のうちの一つに記載の電気コネクタ組立体。
【請求項5】
第一コネクタのロック部は、該ロック部と第二コネクタの被ロック部との間のロック状態時の当接力が被ロック部を上方へ変位させる上向き成分の力を生ずるように、傾斜していることとする請求項3に記載の電気コネクタ組立体。
【請求項6】
第二コネクタは、第一コネクタの筒状受入部への受入れ深さを所定位置とするために、該筒状受入部の後縁と当接する位置決め部を有していることする請求項1ないし請求項5のうちの一つに記載の電気コネクタ組立体。
【請求項7】
第二コネクタは、該第二コネクタの弾性ロック腕の所定量以上の下方への弾性変位を規制する下方規制部を有していることとする請求項1ないし請求項6のうちの一つに記載の電気コネクタ組立体。
【請求項8】
第一コネクタは、第二コネクタの弾性ロック腕の上方への弾性変位を規制する上方規制部を後部域に有していることとする請求項1ないし請求項7のうちの一つに記載の電気コネクタ組立体。
【請求項9】
第二コネクタは、前後方向で見たときに、上下非対称に形成されていて、
第一コネクタは、第二コネクタが正規位置とは逆の上下方向位置で第一コネクタの筒状受入部に受け入れられることを阻止する誤嵌合防止のためのストッパ部が設けられていることとする請求項1ないし請求項8のうちの一つに記載の電気コネクタ組立体。
【請求項10】
ストッパ部は、筒状受入部の上板部後縁で屈曲されて垂下するストッパ片として形成されており、該ストッパ片の下端は弾性接触部の後端よりも下方に位置していることとする請求項1ないし請求項9のうちの一つに記載の電気コネクタ組立体。
【請求項11】
第二コネクタの弾性ロック腕は、コネクタ幅方向で離れた二位置に設けられて一対の弾性ロック腕として形成され、両弾性ロック腕はそれらの自由端となる後端側で互いに連結されており、両弾性ロック腕同士間へ第一コネクタの弾性接触片が後方に向け進入可能となっていることとする請求項4ないし請求項10のうちの一つに記載の電気コネクタ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に配される第一コネクタと、該第一コネクタに受入れ接続される第二コネクタとで構成されていて、特に両コネクタが金属板を屈曲して作られている電気コネクタ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気コネクタ組立体としては、第一コネクタとしての回路基板用のレセプタクルと第二コネクタとしてのプラグが特許文献1に開示されている。この特許文献1のレセプタクルとプラグのいずれもが金属板を屈曲加工して作られている。回路基板上に配されるレセプタクルは、横型の角筒状の収容部を有し、該収容部の底板部で回路基板へ半田接続されるようになっている。該収容部は、底板部の一部が切り起されていてプラグ挿入時にプラグと弾性接触する弾性接触片が設けられ、また上記収容部の上板部に窓状の係止部が形成されていてプラグのロック片を係止するようになっている。これに対し、プラグは、レセプタクルの角筒状の収容部へ前方に向け挿入される挿入部が、底板の両側を立ち上げた側板を有し、また底板の先端から後方に折り返されて底板に対して上方に位置するロックバネ片を有している。該ロックバネ片は後端部が若干上方へもち上がって形成されている。プラグは後端側でケーブルが結線されている。
【0003】
かかるプラグをレセプタクルの収容部へ挿入すると、プラグの底板がレセプタクルの弾性接触片を下方へ圧して該弾性接触片と弾性接触し、プラグのロックバネ片の後端部の端縁がレセプタクルの窓状の係止部内に突入し、該係止部の内周縁のうちの後縁に係止可能な位置にきており、プラグが後方に引かれたとき、上記ロックバネ片と係止部とが係止し合って抜出方向にロックされる。特許文献1では、レセプタクルそしてプラグの全体が金属板の屈曲加工により作られていて、レセプタクルの収容部そして弾性接触片が一体に、そしてプラグの底板及び側板そしてロックバネ片が一体になっていて、特許文献1では、レセプタクルそしてプラグは互いに直接接するので端子とも称されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4885320号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1にあっては、レセプタクルにプラグが嵌合接続された使用状態で、回路基板面の位置から上方へ、レセプタクルの弾性接触片、プラグの底板、プラグのロックバネ片、そしてレセプタクルの上板部、という順でこれらの四つの部材(部位)が順に積み重なるようにして位置することとなる。
【0006】
したがって、特許文献1のコネクタ組立体は、使用状態では、回路基板上で高さ寸法が少なくとも上記四つの部材の高さ寸法の総合計になってしまう。
【0007】
回路基板上に配されるこの種のコネクタ組立体は、このコネクタ組立体が接続された回路基板が取り付けられる電子機器の設計上、高さ寸法が小さいことを強く求められる。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑み、特許文献1のコネクタ組立体よりもさらに高さ寸法を小さくできる電気コネクタ組立体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電気コネクタ組立体は、基板上に配される第一コネクタと該第一コネクタの受入部へ前方に向け受け入られる第二コネクタとで構成されており、本発明は、第一コネクタそして第二コネクタが次のように構成されることで特徴づけられている。
【0010】
第一コネクタは、金属板を屈曲することで形成されており、上記受入部は、基板面に接面する底板部と該底板部の両方の側縁から起立する側板部と該側板部の前部域における上端同士をコネクタ幅方向で連結する上板部とで形成される筒状受入部と、後部域で底板部と側板部とで上方に開放して形成された開放受入部とを有し、開放受入部は側板部の上端に連結されたロック片を有し、該ロック片の前縁がロック部を形成し、筒状受入部は、上板部もしくは底板部から発して、筒状受入部内で、前方もしくは後方に延びる弾性接触片が形成されている。
【0011】
第二コネクタは、金属板を屈曲することで形成されていて、コネクタ幅方向にひろがり前後方向に延びる平板部を有し、上記第一コネクタの弾性接触片が上方もしくは下方から接触するように上記平板部に形成された被接触部と、上記平板部から屈曲部を経て後方に向け延びる弾性ロック腕とが設けられ、該弾性ロック腕は上記開放受入部で上記第一コネクタのロック部と係止する被ロック部を有していて、第二コネクタが後方に引かれたときに、該被ロック部とロック部とが係止して、第二コネクタの抜出を規制するようになっており、上記第一コネクタの弾性接触片と第二コネクタの弾性ロック腕とは、上記筒状受入部内にて、コネクタ幅方向では互いに異なる位置に、そして上下方向では重複した部分を有する位置に設けられている。
【0012】
このような構成の本発明の電気コネクタ組立体にあっては、第一コネクタと第二コネクタとが接続されると、第一コネクタの筒状受入部(前部域)の範囲で、第一コネクタの弾性接触部と第二コネクタの弾性ロック腕が、コネクタ幅方向で異なる位置で、上下方向に重複部分をもつように位置することとなるので、重複部分に相当する寸法だけ、電気コネクタ組立体としては、従来のものに比べ高さ方向に小型化可能となる。なお、本発明において、第一コネクタのロック片は、側板部の上端に対して直接的に連結されている形態には限定されず、間接的に連結されていてもよい。
【0013】
本発明において、第一コネクタのロック部と第二コネクタの被ロック部は、ロック状態時に、前後方向で見たときに、互いの板面同士が交差する位置関係にあることが好ましい。筒状受入部外の開放受入部(後部域)でロック部と被ロック部の互いの板面同士が交差する位置関係とすることで、ロック部と被ロック部とはそれらの端面すなわち板厚面で当接するので、ロック係止が確実になると共に当接力に対する両者の強度が高められる。
【0014】
本発明において、第一コネクタのロック片は、コネクタ幅方向で互いに対向し、底板部に向け屈曲されている一対のロック片をなし、該ロック片の前縁がロック部を形成しているようにすることができる。この場合は、第一コネクタのロック片が底板部に向けて延びるので、第二コネクタの被ロック部は、第一コネクタの底板部に平行な板面をもつ形態として、第二コネクタは高さ方向に大きくならず、一方、第一コネクタはロック片が開放受入部に位置しているので底板部に向け屈曲を許容する空間がもともと存在しており、したがって第一コネクタもロック片を底板部に向け屈曲することによって高さ方向に大きくなるということもない。
【0015】
本発明において、第一コネクタのロック片は、受入部へ第二コネクタを受け入れる過程で、該第二コネクタの弾性ロック腕を圧して弾性変形させることで第二コネクタの前進を可能とさせるように案内傾斜面を有していることが好ましい。このようにすることで、第二コネクタの弾性ロック腕は第一コネクタのロック片の案内傾斜面で圧せられて弾性変形して案内されることで容易に第一コネクタの受入部へ向け前進する。
【0016】
本発明において、第一コネクタのロック部は、該ロック部と第二コネクタの被ロック部との間のロック状態時の当接力が被ロック部を上方へ変位させる上向き成分の力を生ずるように、傾斜しているようにすることができる。こうすることで、第二コネクタを抜出方向に引いたとき、被ロック部がロック部の傾斜に沿って上方へ、すなわち、ロック部の屈曲基部の方向へ変位するので、ロックが外れやすい自由端から離れることとなり、ロックが深まって、ロックが外れなくなる。
【0017】
本発明において、第二コネクタは、第一コネクタの筒状受入部への受入れ深さを所定位置とするために、該筒状受入部の後縁と当接する位置決め部を有していることが好ましい。第二コネクタの前部は第一コネクタの筒状受入部へ挿入されて行くので、その前端が筒状受入部に隠れ目視しづらく、挿入度合の確認ができない状況下で、第二コネクタに上記位置決め部を設けておくと、該位置決め部が第一コネクタの筒状受入部の後縁に当接して、過度の挿入がなく、挿入位置が自動的に決定され、しかも、この当接により所定位置にまで挿入されたという感触を得られる。
【0018】
本発明において、第二コネクタは、該第二コネクタの弾性ロック腕の所定量以上の下方への弾性変位を規制する下方規制部を有していることが好ましい。こうすることで、弾性ロック腕は、第一コネクタへの挿入に必要な弾性変位量以上の過度な弾性変位が阻止されて、弾性ロック腕に過大な応力を生ずることがなくなる。
【0019】
本発明において、第一コネクタは、第二コネクタの弾性ロック腕の上方への弾性変位を規制する上方規制部を後部域に有していることが好ましい。こうすることで、第二コネクタが第一コネクタに接続された状態で、該第二コネクタが不用意な取扱いを受けたときに、弾性ロック腕が、下方への正規の弾性変位とは反対側に向けた上方への弾性変位を生ずることがなくなり、弾性ロック腕の保護につながる。
【0020】
本発明において、第二コネクタは、前後方向で見たときに、上下非対称に形成されていて、第一コネクタは、第二コネクタが正規位置とは逆の上下方向位置で第一コネクタの筒状受入部に受け入れられることを阻止する誤嵌合防止のためのストッパ部が設けられていることが好ましい。
【0021】
本発明において、ストッパ部は、筒状受入部の上板部後縁で屈曲されて垂下するストッパ片として形成されており、該ストッパ片の下端は弾性接触部の後端よりも下方に位置していることが好ましい。こうすることで、ストッパ部としてのストッパ片が、第二コネクタが上下逆の姿勢での誤嵌合を防止するのみならず、正規嵌合の過程であっても、本発明では、ストッパ片が弾性接触片の後方に位置しているとともに、該ストッパ片の下端が弾性接触片の自由端たる後端よりも下方に位置しているので、挿入される第二コネクタが第一コネクタの弾性接触片の後端に当接することがなく、該弾性接触片に座屈等の損傷を生ずることを防止する。
【0022】
本発明において、第二コネクタの弾性ロック腕は、コネクタ幅方向で離れた二位置に設けられて一対の弾性ロック腕として形成され、両弾性ロック腕はそれらの自由端となる後端側で互いに連結されており、両弾性ロック腕同士間へ第一コネクタの弾性接触片が後方に向け進入可能となっているようにすることができる。こうすることで、弾性ロック腕の腕幅を小さくして弾性変位しやすくしつつも、両弾性ロック腕が連結されることで強度が向上する。さらには、両弾性ロック腕同士間の間隔で、前方から後方に向け第一コネクタの弾性接触片の進入を許容する空間が確保される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、基板上に配される第一コネクタと該第一コネクタの受入部へ前方に向け受け入られる第二コネクタのいずれもが金属板を屈曲することで形成される電気コネクタ組立体において、上記第一コネクタの筒状受入部内にて、上記第一コネクタの弾性接触片と第二コネクタの弾性ロック腕とが、コネクタ幅方向では互いに異なる位置に、そして上下方向では重複した部分を有する位置に設けられていることとしたので、上記重複した部分に相当する寸法だけ高さ寸法が小さくなり、高さ方向に小型化した電気コネクタ組立体を得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態に係る電気コネクタ組立体の嵌合接続前の状態を示した斜視図である。
図2図1の電気コネクタ組立体の嵌合接続後の状態を示した斜視図である。
図3】電気コネクタ組立体を斜上前方から見た斜視図であり、嵌合接続前の状態を示している。
図4図3の電気コネクタ組立体を斜下前方から見た斜視図である。
図5】電気コネクタ組立体の嵌合接続過程にある状態を示した図であり、(A)は平面図、(B)は(A)のVB−VB断面図、(C)は(A)のVC−VC断面図である。
図6】電気コネクタ組立体の嵌合接続後にある状態を示した図であり、(A)は平面図、(B)は(A)のVIB−VIB断面図、(C)は(A)のVIC−VIC断面図である。
図7図2の電気コネクタ組立体の上下方向に対して直角な面での断面図であり、第一コネクタの上板部の直下位置での断面を上方から見て示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面にもとづき、本発明の実施の形態について説明する。
【0026】
本実施形態の電気コネクタ組立体1(以下、単に「コネクタ組立体1」という)は、図1ないし図4に見られるように、レセプタクルコネクタとして形成された第一コネクタ10と、プラグコネクタとして形成された第二コネクタ40とで構成されている。図1に見られるように、第一コネクタ10は回路基板P上に取り付けられ、第二コネクタ40はケーブルCが結線された状態で第一コネクタ10へ嵌合接続される。図1は、回路基板Pに取り付けられた第一コネクタ10と、これに嵌合接続される前の第二コネクタ40とを示し、図2に両コネクタ10,40を嵌合接続後の状態で示している。図3そして図4は、嵌合接続前の状態にある両コネクタ10,40を、図3では上方からそして図4では下方から見て図示している。なお、この図3及び図4では回路基板の図示は省略されている。
【0027】
第一コネクタ10と第二コネクタ40は、いずれも金属板を屈曲加工して作られていて、どの部位もすべてが金属製となっている。第一コネクタ10は、前方(図1にて右方)へ矢印Xの向きで第二コネクタ40を受け入れる受入部11が形成されていて、該受入部11は前部域Iに位置する筒状受入部12と後部域IIに位置する開放受入部13とで形成されている。該第一コネクタ10は、後述する底板部14にて回路基板Pの面上に形成されたパッドP1に対して半田接続される。
【0028】
図3そして図4に見られるように、第一コネクタ10は底板部14が前後方向に延びる突き合わせ線X1で、これに対して直角なコネクタ幅方向に突き合わされた平板状をなしている。底板部14からは、コネクタ幅方向で両端に位置する側縁で屈曲されて起立する側板部15が前後方向に延びており、上記前部域Iにて、両方の側板部15がそれらの上端でコネクタ幅方向に延びる上板部16により連結されており、前部域Iにおける、上記底板部14、側板部15そして上板部16によって四角筒状の筒状受入部12が前後方向に開口するようにして形成されている。
【0029】
筒状受入部12の底板部14は、図4によく見られるように、突き合わせ線X1の両側で部分的に長方形をなす各領域で下面からエンボス加工を受けて没入部14Aが形成されている。該底板部14は没入部14Aの周囲の下面で既述の回路基板PのパッドP1に対して半田接続される。該筒状受入部12の側板部15は、前端がコネクタ幅方向で内方に屈曲されていて、筒状受入部12の筒形状の維持のための前方補強部15Aを形成しており、後端はコネクタ幅方向で外方に向け傾斜して拡がり第二コネクタ40の受入時の導入を容易とするように該第二コネクタ40をコネクタ幅方向に案内する導入案内部15Bを形成している。
【0030】
筒状受入部12の上板部16は、該上板部16の前縁からコネクタ幅方向での中央部で下方に湾曲した後に引き続き後方に延びる弾性接触片17が設けられている。該弾性接触片17は、後方へ向けて後述のストッパ片18近くまで延びており、(図5(B),(C)参照)、上下方向に弾性を有していている。また、弾性接触片17は、後端寄り位置に下方へ向けたV字状の突出部分が形成されており、この突出部分には、第二コネクタ40の後述の被接触部41Bと接触するための弾性接触部17Aが、局部的なエンボス加工により下方へ突出する突部として形成されている(図5(B),(C)参照)。
【0031】
また、筒状受入部12の上板部16は、該上板部16の後端から下方に向けて直角に屈曲されて垂下するストッパ部としてのストッパ片18が設けられている(図5(B),(C)をも参照)。該ストッパ片18は、第二コネクタ40の誤嵌合を防止するための部位である。第二コネクタが正規の姿勢とは上下方向で逆の姿勢で第一コネクタ10に挿入されたとき、該第二コネクタ40の後述の進入片41Aがストッパ片18に当接することにより、第二コネクタ40が第一コネクタ10の筒状受入部12内に挿入されることが阻止される。また、ストッパ片18は、下方へ向け屈曲されているが比較的短くなっていて剛性を有しているので、上述した第二コネクタ40の誤嵌合を確実に防止できる。
【0032】
また、図5(B),(C)に見られるように、ストッパ片18の下端は弾性接触片17の後端(自由端)よりも下方に位置しているので、第二コネクタ40の前端が弾性接触片17の後端に後方から当接することがなく、ストッパ片18によって弾性接触片17の座屈等の損傷が防止されている。また、仮に第二コネクタ40の進入片41Aが若干上方へもち上がった傾斜姿勢で第一コネクタ10の筒状受入部12内へ挿入された場合には、進入片41Aは、その上面(傾斜面)がストッパ片18の下端に当接して、ストッパ片18の下方へ案内される。この結果、第二コネクタ40が上記傾斜姿勢から正規姿勢(回路基板Pの実装面に対して平行な姿勢)に戻されながら、筒状受入部12内へ向けて前方へ円滑に挿入される。このように、ストッパ片18は筒状受入部12への案内部としても機能する。
【0033】
また、上板部16は、コネクタ幅方向での両端寄りに位置する部分の後縁が、第二コネクタ40を前後方向で位置決めするための当接部16Aとして形成されている。後述するように、第二コネクタ40に設けられた後述の位置決め部44Bが当接部16Aに対して後方から当接することにより、筒状受入部12への第二コネクタ40の受入れ深さが所定位置とされて位置決めされる。
【0034】
筒状受入部12よりも後方側となる後部域IIでは、底板部14と側板部15とで、上方に開放された開放受入部13を形成している。この開放受入部13は、第二コネクタ40の受け入れ開始時に、受入導入する部分をなし、受入完了時の嵌合接続状態では、第二コネクタ40は、図2に見られるように、開放受入部13と筒状受入部12とで形成される受入部11全域に収まる。
【0035】
後部域IIの範囲では、側板部15の上端からコネクタ幅方向で内側に向けて屈曲された縁板部19が前後に延びて設けられている。また、縁板部19の前後方向中間部では、該縁板部19の内縁(前後方向に延びる縁部)から底板部14へ向けて直角に屈曲されて形成されたロック片20が設けられている。つまり、ロック片20は、それぞれ対応する側板部15の上縁に縁板部19を介して間接的に連結されており、これら二つのロック片20がコネクタ幅方向で互いに対向して対をなしている。該ロック片20は開放受入部13内に位置しているので、該ロック片20の存在によって第一コネクタ10が高さ方向で大型化することはない。
【0036】
縁板部19は、ロック片20より前方に位置する部分の下面が、コネクタ嵌合接続状態にて、後述する第二コネクタ40の第一上方被規制部46C−2の上方に位置して弾性被ロック片43の上方への弾性変位を規制する第一上方規制部19Aとして形成されている(図3参照)。また、縁板部19は、前後方向でロック片20と同位置にある部分の下面が、コネクタ嵌合接続状態にて、後述する第二コネクタ40の側壁部44の第二上方被規制部44Cの上方に位置して該第二コネクタ40の上方への変位を規制する第二上方規制部19Bとして形成されている(図3参照)。
【0037】
ロック片20は、コネクタ幅方向に見たときに、略四角形をなしており、上下方向に延びる前縁の板厚面が上方へ向け後方へ傾斜しているロック部21を形成し、上下方向に延びる後縁の板厚面がその下部で曲状、例えば円弧状をなしており、第二コネクタ40の後述の弾性被ロック片43を案内する案内傾斜面22を形成している(図5(B),(C)参照)。
【0038】
上述のように構成される第一コネクタ10へ嵌合接続される第二コネクタ40は、嵌合接続状態で、コネクタ幅方向にひろがり前後方向に延びる平板部41と、該平板部41の前端縁から屈曲部42を経て後方へ延びる弾性被ロック片43と、平板部41の両側縁から立ち上がる側壁部44と、さらには、平板部41の後方でケーブルCが結線される結線部45とを有している。
【0039】
平板部41は、図3そして図4によく見られるように、コネクタ幅方向の中央位置で前方へ突出する進入片41Aを前部に有しており、該進入片41Aは前端に向け板厚が小さくなるように上面が傾斜面をなしている。該進入片41Aより後方では、平板部41の上面は平坦な面をなしている。また、平板部41は、コネクタ幅方向で後述の二つの弾性ロック腕46同士間に位置する部分が、第一コネクタ10の弾性接触部17Aと接触するための被接触部41Bとして形成されている。後述するように、該被接触部41Bは、平坦な上面で弾性接触部17Aと接圧をもって接触するようになっている。
【0040】
弾性被ロック片43は、平板部41の前端からコネクタ幅方向での両端側位置(進入片41Aの両側の位置)でもち上がるように形成された横U字状の屈曲部42を経て後方に延び上下方向で弾性撓み変位可能な一対の弾性ロック腕46と、コネクタ幅方向に延び両弾性ロック腕46の自由端である後端同士を連結する連結部47とを有している。したがって、弾性被ロック片43は、上方から見た平面形状が両者でU字状をなしている。このように二つの弾性ロック腕46を設けることにより各弾性ロック腕46の腕幅を小さくして弾性変位しやすくしつつも、両弾性ロック腕46を連結部47で連結することで強度の向上が図られている。屈曲部42は、コネクタ幅方向での両側の該屈曲部42の外側端面同士間の距離が第一コネクタ10の筒状受入部12の両側の側板部15の内面同士間の距離よりもわずかに小さく設定されている。
【0041】
一対の弾性ロック腕46は、屈曲部42から後方へ向かうにつれて中間部で両弾性ロック腕46同士間の間隔を狭めるように延びる斜行部46Aと、該斜行部46Aに連続して互いに平行を保ちながら後方へ延びる平行部46Bと、該平行部46Bの後端部からコネクタ幅方向で外側に突出した突部46Cとを有している。また、該平行部46Bはその中間部で後方に向け上方へもち上がる斜面部46B−1を有している。
【0042】
一対の弾性ロック腕46は、コネクタ幅方向において、第一コネクタ10の弾性接触片17およびストッパ片18と異なる位置に設けられており、該弾性ロック腕46が第一コネクタ10の筒状受入部12内に挿入されたときに弾性接触片17およびストッパ片18の両側にもたらされるようになっている(図6(A)及び図7参照)。また、一対の弾性ロック腕46は、上下方向において、弾性接触片17およびストッパ片18に対して重複した部分を有する位置に設けられている(図6(B),(C)参照)。このように、本実施形態では、弾性ロック腕46を弾性接触片17及びストッパ片18とコネクタ幅方向で異なる位置に設けることにより、両者を干渉させることなく、互いに上下方向で重複した部分を有する位置に設けることが可能となる。その結果、上記重複した部分に相当する寸法だけコネクタ組立体1の高さ寸法を小さくして、該コネクタ組立体1の高さ方向での小型化を図ることができる。
【0043】
平行部46Bの後縁、すなわち該弾性ロック腕46の後縁のうちコネクタ幅方向で突部46Cより内側に位置する部分は、第一コネクタ10のロック部21と係止し合う被ロック部46B−2を形成している。また、突部46Cは、後述する側壁部44に形成された凹部44A内に位置している。該突部46Cは、その下面が下方被規制部46C−1を形成していて(図3参照)、側壁部44に凹部44Aに形成された後述の下方規制部44A−1の上方に下方被規制部46CA−1が位置することにより、弾性ロック腕46の下方への所定量以上の弾性変位が規制されるようになっている。また、突部46Cは、その上面が第一上方被規制部46C−2を形成していて、コネクタ嵌合接続状態にて、第一コネクタ10の第一上方規制部19Aの下方に第一上方被規制部46C−2が位置することにより、弾性ロック腕46の上方への弾性変位が規制されるようになっている。
【0044】
連結部47は、平行部46Bの後端部の内縁同士を連結するようにコネクタ幅方向に延びており、コネクタ幅方向中央部で後縁から後方に突出するロック解除操作部47Aを有している。該ロック解除操作部47Aは、コネクタ抜出時において、コネクタ同士のロック解除操作のための押圧力を上方から受ける部位であり、後方へ突出して上面の面積が大きく確保されており、ロック解除操作が容易となっている。また、ロック解除操作部47Aは、コネクタ嵌合接続状態にて、第一コネクタ10の両方のロック片20同士間に位置するようになっているので、該ロック片20との干渉が回避される(図6(A),図7参照)。
【0045】
弾性ロック腕46の平行部46Bの板面は、平板部41の上面と平行であり、一方、第一コネクタ10のロック部21を形成するロック片20の板面は、第一コネクタ10の底板部14に対して直角をなしているので、平行部46Bの被ロック部46B−2と第一コネクタ10のロック部21とは、前後方向に見たときに、直交する位置関係となる。かかる直交位置関係のもとに、コネクタ嵌合接続状態で第二コネクタ40が後方に引かれると、被ロック部46B−2は第一コネクタ10のロック部21に当接してロックされコネクタの抜出が確実に阻止される。
【0046】
また、本実施形態では、ロック部21と被ロック部46B−2は板厚面同士で当接してロックするようになっているので、当接力に対する強度が大きい。また、第二コネクタ40の被ロック部46B−2は、平板部41の上面と平行をなす平行部46Bの後縁に形成されているので、被ロック部46B−2の存在によって第二コネクタ40が高さ方向で大型化することはない。
【0047】
側壁部44は、前後方向で屈曲部42の直後位置から圧着片45Aまでの間で、平板部41の両側縁から立ち上がって形成されている。両方の側壁部44の外側面同士間の距離は、本実施形態では、該側壁部44より前方に位置する両側の屈曲部42の外側端面同士間の距離とほぼ同じである。したがって、コネクタ嵌合接続時に、屈曲部42が第一コネクタ10の前部域Iにおける筒状受入部12に受け入れられると、側壁部44は第一コネクタ10の後部域IIにおける側板部15同士間の開放受入部13に受け入れられることとなる。
【0048】
側壁部44には、その前後方向中間部に高さ方向で没した凹部44Aが形成されている。該凹部44Aの下縁部は、該凹部44A内に位置する突部46Cの下面、すなわち下方被規制部46C−1に対して当接可能な下方規制部44A−1を形成している。該下方規制部44A−1は、下方へ弾性変位した下方被規制部46C−1と当接可能となっており、該下方被規制部46C−1の過度な弾性変位を阻止することにより、弾性ロック腕46に過大な応力が生じることを防止する。また、側壁部44は、前端側部分の上部が切り欠かれて段部が形成されており、該段部を形成する面のうち前後方向に対して直角な面が、第一コネクタ10の当接部16Aに対して後方から当接可能な位置決め部44Bとして形成されている。
【0049】
また、側壁部44は、凹部44Aの後方に位置する部分の上端面が第二上方被規制部44Cを形成している。コネクタ嵌合接続状態にて、第一コネクタ10の第二上方規制部19Bの下方に第二上方被規制部44Cが位置することにより、第二コネクタ40の上方への変位が規制されるようになっている。
【0050】
側壁部44の後方に位置して設けられた結線部45は、本実施形態では、圧着片45Aと結縛片45Bとを有している。圧着片45AはケーブルCの心線を圧着結線するように圧潰され、結縛片45Bは圧着片45Aより後方でケーブルCの被覆を結縛するように圧潰される。本実施形態では、第二コネクタ40が結線部45を有している例を示したが、本発明における第二コネクタ40は、結線部45に限定されず、他の手段によりケーブル以外の接続部材、例えば回路基板等が接続されるようになっているコネクタであってもよい。
【0051】
次に、図1及び図5ないし図7を参照しながら、本実施形態に係るコネクタ組立体1の嵌合接続動作について説明する。ここで、図6(A)は、コネクタ組立体1の嵌合接続後にある状態を示した平面図であり、図6(B)は図6(A)のVIB−VIB断面図、図6(C)は図6(A)のVIC−VIC断面図である。また、図7は、図2のコネクタ組立体1の上下方向に対して直角な面での断面図であり、第一コネクタ10の上板部16の直下位置での断面を上方から見て示している。なお、図5ないし図7では、回路基板P及びケーブルCの図示は省略されている。
【0052】
まず、図1に見られるように、第一コネクタ10を回路基板Pの実装面に実装するとともに、第二コネクタ40をケーブルCに結線する。そして、図1に見られるように、第一コネクタ10の後方にて、ケーブルCが前後方向に延びた姿勢で第二コネクタ40を位置させてから、該第二コネクタ40を前方へ向けて移動させて、第一コネクタ10の受入部11への挿入を開始する。
【0053】
第二コネクタ40の挿入の際、該第二コネクタ40が第一コネクタ10の受入部11に対してコネクタ幅方向で若干ずれていても、該第二コネクタ40が第一コネクタ10の導入案内部15Bによってコネクタ幅方向で受入部11の開放受入部13内へ向けて案内される。図5(A)ないし図5(C)は、第二コネクタ40の挿入が進行して、第二コネクタ40の前端が第一コネクタ10の筒状受入部12の後端位置に達した状態を示している。ここで、図5(A)はコネクタ組立体1の平面図、図5(B)は図5(A)のVB−VB断面図、図5(C)は図5(A)のVC−VC断面図である。
【0054】
図5(A)に見られるように、第二コネクタ40の挿入過程において、該第二コネクタ40の側壁部44は、第一コネクタ10の側板部15の内面によってコネクタ幅方向での移動を規制される。また、図5(A)ないし図5(C)に見られるように、該第二コネクタ40の側壁部44は第一コネクタ10の縁板部19の直下を移動するようになっており、該縁板部19によって第二コネクタ40の上方への移動が規制されている。このようにして、第二コネクタ40のコネクタ幅方向そして上下方向での移動が規制されることにより、第二コネクタ40を確実に筒状受入部12内へ案内することが可能となっている。
【0055】
第二コネクタ40の挿入が進行すると、該第二コネクタ40の弾性ロック腕46の斜面部46B−1が第一コネクタ10のロック片20の案内傾斜面22に当接し、該案内傾斜面22からの反力を受けることにより、弾性ロック腕46が下方へ向けて徐々に弾性変位し、第二コネクタ40のさらなる前方への移動が許容されて挿入が進行する。そして、弾性ロック腕46における斜面部46B−1よりも後方の部分がロック片20の下面(板厚面)に押圧され弾性ロック腕46が最大限に弾性変位した状態を維持しながら、第二コネクタ40の挿入を続行する。
【0056】
第二コネクタ40を第一コネクタ10の筒状受入部12内へ向けてさらに前方へ挿入すると、第二コネクタ40の一対の弾性ロック腕46は、筒状受入部12に設けられたストッパ片18の両側を通過した後、さらに弾性接触片17の両側を通過して前方へ移動する。換言すると、該筒状受入部12に設けられたストッパ片18そして弾性接触片17は、両弾性ロック腕46同士間へ前方から進入する。
【0057】
一方、第二コネクタ40の平板部41は、該平板部41の進入片41Aがストッパ片18の下方を通過した後、弾性接触片17の弾性接触部17Aに当接して該弾性接触片17を上方へ押圧し、弾性接触片17を上方へ弾性変位させる。そして、コネクタ挿入が完了した後も、この弾性接触片17の弾性変位状態が維持され、弾性接触部17Aが平板部41の被接触部41Bに対して上方から接圧をもって接触し、コネクタ同士が電気的に接続される。コネクタ嵌合接続状態を示す図6(B)では、弾性接触片17は弾性変位した状態で示されておらず、弾性接触部17Aが被接触部41Bと重複して示されているが、実際には、その重複した上下方向寸法分だけ弾性接触片17が上方へ弾性変位している。
【0058】
また、第二コネクタ40が筒状受入部12内へ向けて前方へ移動して、第二コネクタ40の弾性ロック腕46の後端が第一コネクタ10のロック片20よりも前方位置に達すると、図6(B),(C)によく見られるように、弾性ロック腕46が弾性変位状態から開放されて自由状態に戻る。また、これとほぼ同時に、図6(A)によく見られるように、第二コネクタ40の側壁部44の位置決め部44Bが、第一コネクタ10の筒状受入部12の後縁に形成された当接部16Aに当接して、前方へ向けた第二コネクタ40のそれ以上の移動が規制される。この結果、後述するコネクタ同士の電気的接続状態及びロック状態が維持され、コネクタ嵌合接続動作が完了する。
【0059】
仮に、第二コネクタ40が正規の姿勢とは上下方向で逆の姿勢で第一コネクタ10に挿入されたときには、該第二コネクタ40の進入片41Aが第一コネクタ10のストッパ片18に後方から当接して、前方へ向けた第二コネクタ40のそれ以上の移動が阻止されるので、該第二コネクタ40の誤嵌合が確実に防止される。
【0060】
本実施形態では、第二コネクタ40の前部は第一コネクタ10の筒状受入部12内へ挿入されるので、第二コネクタ40の前端が筒状受入部12に隠れるので、挿入度合の目視で確認することはできない。しかし、第二コネクタ40の位置決め部44Bが第一コネクタの当接部16Aに当接することにより、第二コネクタ40の過度の挿入がされることなく挿入位置が自動的に決定され、しかも、この当接により第二コネクタ40が所定位置にまで挿入されたという感触を得られる。
【0061】
また、第二コネクタ40が上記所定位置に達したとき、弾性ロック腕46が上方へ向けて自由状態に戻る反動で、弾性ロック腕46の突部46Cの第一上方被規制部46C−2(上面)が、第一コネクタ10の第一上方規制部19Aに対して下方から当たることにより、クリック感が得られる。したがって、このクリック感によっても、第二コネクタ40が上記所定位置にまで挿入されたことを認識できる。
【0062】
コネクタ嵌合接続状態では、図6(C)や図7に見られるように、弾性ロック腕46の後縁に形成された被ロック部46B−2が、ロック片20の前方で該ロック片20のロック部21(前端面)に対向する。したがって、コネクタ嵌合接続状態にて第二コネクタ40が後方へ引かれても、被ロック部46B−2がロック部21に係止して、第二コネクタ40の後方への移動が阻止されるので、第二コネクタ40の不用意な抜けが確実に防止される。
【0063】
また、本実施形態では、ロック部21は上方へ向け後方に傾斜しているので、被ロック部46B−2がロック部21に当接して係止した状態(ロック状態)にあるとき、被ロック部46B−2がロック部21の傾斜に沿って上方へ、すなわち、ロック部21の屈曲基部の方向へ変位するので、ロックが外れやすい自由端(ロック片20の下端)から離れることとなり、ロックが深まって外れにくくなる。本実施形態では、ロック部が上方へ向け後方に傾斜していることとしたが、十分にロック深さを確保できる場合には、ロック部を傾斜させることなく、例えば、前後方向に対して直角な板厚面で形成してもよい。
【0064】
コネクタ嵌合接続状態では、図6(A)ないし図6(C)に見られるように、第二コネクタ40の第一上方被規制部46C−2が第一コネクタ10の第一上方規制部19Aの直下に位置する。したがって、コネクタ嵌合接続状態にて、第二コネクタ40の弾性ロック腕46に対して上方へ向けた外力が不用意に作用した場合であっても、第一上方被規制部46C−2が第一上方規制部19Aに下方から当接することにより、弾性ロック腕46の上方への変位が規制されるので、弾性ロック腕46の破損を防止できる。
【0065】
また、コネクタ嵌合接続状態では、図6(A)ないし図6(C)に見られるように、第二コネクタ40の第二上方被規制部44Cが第一コネクタ10の第二上方規制部19B(図3参照)の直下に位置する。したがって、コネクタ嵌合接続状態にて、ケーブルCや第二コネクタ40が不容易に上方へもち上げられたとき、第二上方被規制部44Cが第二上方規制部19Bに下方から当接して係止することにより、第二コネクタ40の上方への移動が阻止されるので、コネクタ嵌合接続状態が確実に維持される。
【0066】
コネクタ嵌合接続状態にある第二コネクタ40を第一コネクタ10から抜出する際には、第二コネクタ40のロック解除操作部47Aの上面を治具(図示せず)や指で下方へ押圧して、弾性ロック腕46を下方へ弾性変位させることにより、弾性ロック腕46の後端を第一コネクタ10のロック片20より下方位置へもたらす。この結果、弾性ロック腕46の後縁に形成された被ロック部46B−2とロック片20の前縁に形成されたロック部21との係止可能な状態(ロック状態)が解除される。そして、弾性ロック腕46の弾性変位状態を維持したまま、第二コネクタ40を後方へ引いて、ロック片20の下方で弾性ロック腕46を通過させることにより、第二コネクタ40を容易に抜出できる。
【0067】
本実施形態では、第一コネクタ10の弾性接触片17がコネクタ幅方向で第二コネクタ40の一対の弾性ロック腕46同士間に位置することとしたが、弾性接触片及び弾性ロック腕のコネクタ幅方向での位置関係はこれに限られず、弾性接触片及び弾性ロック腕は、コネクタ嵌合接続時に互いに干渉しないようにコネクタ幅方向で異なる位置に設けられていればよい。例えば、第一コネクタの弾性接触片と第二コネクタの弾性ロック腕を、コネクタ幅方向で重複範囲をもたないように互いに反対側の位置にそれぞれ一つずつ設けることとしてもよい。
【0068】
本実施形態では、第一コネクタ10の弾性接触片17は筒状受入部12の上板部16の前縁から後方へ向けて筒状受入部12内を延びていることとしたが、弾性接触片の形態はこれに限られず、例えば、上板部の後縁から前方へ向けて延びるように設けてもよく、また、底板部の前縁から後方へ向けてあるいは底板部の後縁から前方へ向けて延びるように設けてもよい。また、弾性接触片を底板部から延ばして設ける場合には、例えば、該弾性接触片の弾性接触部を上方へ向けて突出するように形成し、第二コネクタの被接触部の下面に弾性接触させることができる。
【符号の説明】
【0069】
1 コネクタ組立体 20 ロック片
10 第一コネクタ 21 ロック部
11 受入部 40 第二コネクタ
12 筒状受入部 41 平板部
13 開放受入部 41B 被接触部
14 底板部 42 屈曲部
15 側板部 44A 位置決め部
16 上板部 44A−1 下方規制部
17 弾性接触片 46 弾性ロック腕
18 ストッパ片(ストッパ部) 47C 被ロック部
19A 第一上方規制部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7