特許第6014084号(P6014084)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6014084ヒューズユニットの製造方法、型構造を用いた成形方法およびヒューズユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6014084
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】ヒューズユニットの製造方法、型構造を用いた成形方法およびヒューズユニット
(51)【国際特許分類】
   H01H 69/02 20060101AFI20161011BHJP
   H01H 85/175 20060101ALI20161011BHJP
   H01H 85/20 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   H01H69/02
   H01H85/175
   H01H85/20 D
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-146005(P2014-146005)
(22)【出願日】2014年7月16日
(62)【分割の表示】特願2010-135161(P2010-135161)の分割
【原出願日】2010年6月14日
(65)【公開番号】特開2014-197561(P2014-197561A)
(43)【公開日】2014年10月16日
【審査請求日】2014年8月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】小野田 伸也
【審査官】 出野 智之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−043827(JP,A)
【文献】 特開2002−042633(JP,A)
【文献】 特開平11−307218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 69/02
H01H 85/00−85/62
H01H 87/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリー端子若しくはバッテリー端子に取り付けられる可溶体を有するバスバと、該バスバに接続される圧接型のヒューズ端子とを含むヒューズユニットの製造方法において、
該可溶体を形成した該バスバをプレスにより成型し、ヒューズと接続する一組の音叉端子は片側を該バスバに接続され、他端は外部接続用の端子を持ち、該一組の音叉端子は該ヒューズ端子を挟むように配置して、該バスバと該一組の音叉端子とが一体的にモールドされ、該一組の音叉端子をお互いに連結する連結部を備えており、前記連結部は厚さ方向の一方の面に前記モールドがされることを特徴とするバッテリー端子に取り付けられるヒューズユニットの製造方法
【請求項2】
本体回路部に音叉状の音叉端子が設けられたバスバを固定型と可動型とによる樹脂成形品の成形と共に一体に埋設する型構造を用いた成形方法であって、
前記バスバを固定型の型本体部内にセットするときに、固定型及び可動型の型本体部の外方に音叉端子が突出して配置されるように固定型の端子基部受け部に前記音叉端子の端子基部を支持させる段階と、
前記可動型を固定型に合わせるときに、前記固定型の受け当接段部に可動型の当接段部を当接させると共に前記音叉端子の端子基部を前記端子基部受け部と可動型の端子基部当接部とによって挟持する段階と、
前記挟持状態で固定型及び可動型の型本体部内に樹脂を射出する段階とを備えていることを特徴とする型構造を用いたものであり、
可溶体を形成したバスバをプレスにより成型し、ヒューズと接続する一組の音叉端子は片側を該バスバに接続され、他端は外部接続用の端子を持ち、該一組の音叉端子は該ヒューズ端子を挟むように配置して、該バスバと該一組の音叉端子とを一体的にモールドし、
該一組の音叉端子をお互いに連結する連結部を備えており、前記連結部は厚さ方向の一方の面に前記モールドがされていることを特徴とする型構造を用いた成形方法。
【請求項3】
バッテリー端子若しくはバッテリー端子に取り付けられる可溶体を有するバスバと、該バスバに接続される圧接型のヒューズ端子とを含むヒューズユニットにおいて、
該可溶体が一体的に形成されている該バスバと、
片側を該バスバに接続されてヒューズと接続する一組の音叉端子と、
他端は外部接続用端子を持ち、該ヒューズ端子を挟むように配置した該一組の音叉端子と、
一体的にモールドされている該バスバと該一組の音叉端子とからなり、
該一組の音叉端子をお互いに連結している連結部を備えており、前記連結部は厚さ方向の一方の面に前記モールドがされていることを特徴とするバッテリー端子に取り付けられるヒューズユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスバをインサート成形することにより、例えばヒュージブルリンクユニット等の電気部品を製造するのに用いる型構造及びこの型構造を用いた成形方法、並びに、ヒューズユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特許文献1に記載されるように、ヒュージブルリンクユニットは車載のバッテリと車載の負荷に電源を供給する電線とを接続するものであり、車体振動の影響を受ける部位に搭載される。車体振動の影響を受ける部位では、共振によるユニット本体及びバスバの破損を考慮し、本体回路部が形成されているバスバを成形型内にインサートした状態で樹脂を射出することにより製造されている。このようにバスバをインサート成形することによりバスバと樹脂成形品とが一体になるため、振動による共振を抑制することが可能となる。
【0003】
一方、バスバには、音叉形状に成形された音叉端子が設けられることがある。音叉端子は外部ヒューズ等の外部端子が接触状態で挿入されることにより外部端子との電気的な接続を行うように作用するものであり、樹脂成形品の外方に露出した状態であることが不可欠となっている。
【0004】
図12及び図13は、バスバに設けられた音叉端子200部分を成形するための従来の型構造を示す。これらの図において、符号110は固定型、符号120は可動型であり、これらの型内110,120の間にバスバがセットされた状態で、型110,120が型合わせ(型締め)されてキャビティが形成され、このキャビティ内に樹脂が射出される。
【0005】
音叉端子200を樹脂成形品の外方に露出させるため、可動型120の型合わせ面(パーティング面)130側に音叉端子200を収容する収容空間140が形成されている。そして音叉端子200が収容空間140との対応位置となるようにバスバを固定型110にセットし、このセット後に型合わせを行う。型合わせによって音叉端子200が収容空間140に収容されるため、キャビティから独立し、キャビティ内に射出される樹脂によって埋設されることがない。このため、音叉端子200を樹脂成形品から露出させた状態とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−331591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の型構造では、型合わせの際に音叉端子200が型(可動型120)の内面と接触することがある。又、型合わせによって音叉端子200には、図13の矢印Rで示す押し力が作用することがある。これらにより音叉端子200が変形し、不良品の原因となる問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、バスバをインサート成形する際に音叉端子が変形することのない型構造及びこの型構造を用いた成形方法を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、スライド型を使わず成型ができると共にヒューズホルダを設ける必要がないヒューズユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、バッテリー端子若しくはバッテリー端子に取り付けられる可溶体を有するバスバと、該バスバに接続される圧接型のヒューズ端子とを含むヒューズユニットの製造方法において、該可溶体を形成した該バスバをプレスにより成型し、ヒューズと接続する一組の音叉端子は片側を該バスバに接続され、他端は外部接続用の端子を持ち、該一組の音叉端子は該ヒューズ端子を挟むように配置して、該バスバと該一組の音叉端子とが一体的にモールドされ、該一組の音叉端子をお互いに連結する連結部を備えており、前記連結部は厚さ方向の一方の面に前記モールドがされることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は、本体回路部に音叉状の音叉端子が設けられたバスバを固定型と可動型とによる樹脂成形品の成形と共に一体に埋設する型構造を用いた成形方法であって、前記バスバを固定型の型本体部内にセットするときに、固定型及び可動型の型本体部の外方に音叉端子が突出して配置されるように固定型の端子基部受け部に前記音叉端子の端子基部を支持させる段階と、前記可動型を固定型に合わせるときに、前記固定型の受け当接段部に可動型の当接段部を当接させると共に前記音叉端子の端子基部を前記端子基部受け部と可動型の端子基部当接部とによって挟持する段階と、前記挟持状態で固定型及び可動型の型本体部内に樹脂を射出する段階とを備えていることを特徴とする型構造を用いたものであり、可溶体を形成したバスバをプレスにより成型し、ヒューズと接続する一組の音叉端子は片側を該バスバに接続され、他端は外部接続用の端子を持ち、該一組の音叉端子は該ヒューズ端子を挟むように配置して、該バスバと該一組の音叉端子とを一体的にモールドし、該一組の音叉端子をお互いに連結する連結部を備えており、前記連結部は厚さ方向の一方の面に前記モールドがされていることを特徴とする。また、請求項3に記載の発明は、バッテリー端子若しくはバッテリー端子に取り付けられる可溶体を有するバスバと、該バスバに接続される圧接型のヒューズ端子とを含むヒューズユニットにおいて、該可溶体が一体的に形成されている該バスバと、片側を該バスバに接続されてヒューズと接続する一組の音叉端子と、他端は外部接続用端子を持ち、該ヒューズ端子を挟むように配置した該一組の音叉端子と、一体的にモールドされている該バスバと該一組の音叉端子とからなり、該一組の音叉端子をお互いに連結している連結部を備えており、前記連結部は厚さ方向の一方の面に前記モールドがされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明では、スライド型を使わず成型ができると共に、音叉端子でヒューズ端子を挟んで保持するので、ヒューズを保持するためのヒューズホルダを別途設ける必要がなくなる。
【0015】
また、固定型と可動型とを型合わせする際に固定型の受け当接段部と可動側の当接段部とが当接すると共に、固定型に形成した端子基部受け部と可動型に形成した端子基部当接部とによって音叉端子の端子基部が挟持される。これにより、固定型及び可動型に対する音叉端子の位置決め固定がなされる。かかる音叉端子の挟持状態では、音叉端子が固定型及び可動型の型本体部の外方に突出して配置された状態となるため、樹脂を型本体部に射出しても音叉端子が樹脂成形品から露出した状態となることができる。
【0016】
また、型合わせ状態で音叉端子が固定型と可動型の型本体部の外方に突出しているため、音叉端子は固定型及び可動型に対してフリー状態となっており、これらの型との接触がないばかりでなく型の押し力が作用することがない。このため、音叉端子が変形することがなく、変形に起因した不良品の発生を防止することができる。
【0017】
また、音叉端子における挟持片が固定型及び可動型の型本体部の外方に突出するため、音叉端子の全体が樹脂成形品から露出することがなく、一部(バスバ端)が樹脂成形品に埋設された状態となる。このため、樹脂成形品の音叉端子に対する支持力が大きくなり、音叉端子に強度を付与することができる。
【0018】
請求項2記載の発明によれば、固定型の端子基部受け部に音叉端子の端子基部を支持させる際に、固定型及び可動型の型本体部の外方に音叉端子が突出して配置されるようにセットし、その後の型合わせの際に音叉端子の端子基部を固定型の端子基部受け部と可動型の端子基部当接部によって挟持する。このことにより、音叉端子は固定型及び可動型の外方にあってフリー状態となる。このため、型との接触がないばかりでなく型の押し力が作用することがなく、音叉端子が変形することがなく、変形に起因した不良品の発生を防止したインサート成形を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態の型構造に適用されるバスバの斜視図である。
図2図1のバスバを示し、(a)は平面図、(b)は右側面図、(c)は正面図である。
図3】本発明の一実施形態の型構造における要部を示す斜視図である。
図4】型構造の要部を示す断面図である。
図5】バスバの音叉端子を示す斜視図である。
図6】成形時における音叉端子の支持状態を示す斜視図である。
図7】成形時における音叉端子の支持状態を図6の裏側から示す斜視図である。
図8】成形された電気部品を示す斜視図である。
図9】成形された電気部品を示し、(a)は平面図、(b)は右側面図、(c)は正面図である。
図10】成形された電気部品に対しヒューズを取り付けた状態の斜視図である。
図11】電気部品のヒューズ部分に蓋体を取り付けた状態の斜視図である。
図12】従来の型構造による成形を示す側面からの断面図である。
図13】従来の型構造による成形を示す平面からの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を図示する実施形態により具体的に説明する。図1図11は本発明の一実施形態であり、図1及び図2はバスバを示す。図3は、型構造の要部の斜視図、図4は、型構造の要部の断面図、図5は、バスバの斜視図、図6及び図7は、成形時における音叉端子の支持状態の斜視図、図8及び図9は、成形された電気部品を示す。図10及び図11は、成形された電気部品に対する後処理の斜視図を示す。
【0021】
図1及び図2に示すように、この実施形態の型構造1に適用されるバスバ3は、本体回路部31に音叉端子32が設けられることにより形成されている。本体回路部31は、電源側スタッドボルト用孔33aが形成された電源側端子板33と、接続用ボルト孔34aが形成された接続側端子板34とが可溶体部35によって連結されている。可溶体部35は、電源側から過大電流が流れたときに溶断し、この溶断によって接続側端子板34に接続されている負荷を保護するようになっている。
【0022】
音叉端子32は、電源側端子板33側に接続された状態で設けられている。図2及び図5に示すように、音叉端子32は電源側端子板33に連結されたバスバ端37と、バスバ端37から延設された圧入接触部38とを有している。バスバ端37は、電源側端子板33に連結された横長の連結部39と、連結部39の長さ方向の両端部から直角状に一体に折り曲げられた左右一対の端子基部40とによって形成されている。
【0023】
圧入接触部38は、それぞれの端子基部40から直線状に延設された一対の挟持片41を備えている。一対の挟持片41は、それぞれの端子基部40とともにお互いが対向した状態で平行となるように延びている。それぞれの挟持片41は、長さ方向に延びるスリット42を有しており、スリット42の延設端部が開口されて挿入開口43となっている。挿入開口43には、相手端子であるヒューズ45(図10参照)が挿入され、挿入されたヒューズ45に対し挟持片41が上下から圧接し、この圧接により音叉端子32(バスバ3)とヒューズ45との電気的な接続が行われる。
【0024】
この実施形態の型構造1は、以上のバスバ3を固定型4(下型)と、可動型5(上型)とによる樹脂成形品の成形と共に一体に埋設するものである。固定型4には、バスバ3の本体回路部31をセットする型本体部(図示省略)が形成されている。可動型5には、固定型4の型本体部に対向して固定型4の型本体部と共に樹脂成形品の成形用のキャビティを形成する型本体部(図示省略)が形成されている。これらの型4、5の型本体部内にバスバ3の本体回路部31をセットし、固定型4及び可動型5を型合わせ(型締め)してキャビティ内に樹脂を射出することにより回路本体部31が樹脂に一体に埋設される。
【0025】
図3図4図6及び図7は、音叉端子32に対する固定型4及び可動型5のセット構造を示す。
【0026】
図3及び図7に示すように、固定型4における音叉端子32のセット部分には、音叉端子32の端子基部40をセットするための一対のバスバセット部11が形成されている。それぞれのバスバセット部11は、端子基部40が挿入される上部開放のセット溝11aを有しており、セット溝11a内に端子基部40を挿入することにより音叉端子32を固定型4に対して位置決め設置するようになっている。このバスバセット部11は、固定型4の外周壁12(バリ切り部)に近接した位置に形成されている。この実施形態において、バスバセット部11への端子基部40のセットは、図3図6図7に示すように、音叉端子32の一対の挟持片41が固定型4及び可動型5の外方に突出するようになされるものである。
【0027】
なお、図3においては、音叉端子32の挟持片41が可動型5側に位置しているが、図3は後述する端子基部当接部17と挟持片41との関係を示すために図示するものであり、音叉端子32の挟持片41は固定型4のバスバセット部11にセットされるものである。
【0028】
バスバセット部11は固定型4の内部に起立状に形成されている。固定型4におけるバスバセット部11の端子基部受け部13は、音叉端子32の端子基部40が接触することにより端子基部40(端子基部40の下面)を支持するようになっている。
【0029】
可動型5には、型合わせによって固定型4の外周壁12と同一面となる外周面15(バリ切り部)が形成されている(図6参照)。この実施形態において、型合わせによって固定型4の外周壁12が嵌り込む窓部19が可動型5に形成されている。窓部19は、固定型4の外周壁12と相応した形状に形成されている。そして、この窓部19に固定型4の外周壁12が嵌り込むことにより、可動型5の外周壁15と固定型4の外周壁12とが同一面となる。
【0030】
可動型5の外周壁15には、固定型4の端子基部受け部13に対応(対向)した端子基部当接部17が形成されている。端子基部当接部17は型合わせすることにより、端子基部受け部13が支持している音叉端子32の端子基部40(端子基部40の上面)に当接し、この当接によって端子基部受け部13と共に端子基部40を挟持するようになっている。
【0031】
図4に示すように、受け当接段部21が固定型4に形成されると共に、受け当接段部21に対応した当接段部23が可動型5に形成される。受け当接段部21は固定型4における底部付近を平面状に切り欠くことにより形成されるものであり、その形成部位は固定型4の適宜位置に設定することができる。当接段部23は受け当接段部21に対応するように可動型5に形成される。可動型5を固定型4側に移動させて型合わせすると、可動型5の当接段部23が固定型4の受け当接段部21に当接する。この当接によって、可動型5の型本体部と固定型4の型本体部との間にキャビティが形成される。又、この当接と同時に上述した端子基部受け部13と端子基部当接部17による音叉端子32の端子基部40の挟持が行われる。
【0032】
次に、この実施形態の型構造による成形を説明する。
【0033】
型開き状態で固定型4の型本体部にバスバ3の本体回路部31をセットする。このとき、バスバ3の音叉端子32においては、その端子基部40を固定型4のバスバセット部11(セット溝11a)に挿入してセットする。このバスバセット部11へのセットにより、音叉端子32の端子基部40は固定型4の端子基部受け部13に支持された状態となる。このようなバスバ3の固定型4のセットにおいては、音叉端子32の一対の挟持片41が固定型4の外周面12の外方に突出するように配置される。
【0034】
以上のバスバ3のセットの後、可動型5を固定型4に接近させて型合わせをする。この型合わせのときには、固定型4の受け当接段部21に可動型5の当接段部23が当接すると共に、固定型4の端子基部受け部13と、可動型5の端子基部当接部17とによって音叉端子32の端子基部40を挟持する。これにより、音叉端子32の挟持片41は固定型4及び可動型5の型本体部の外方に突出した状態で保持される。すなわち、音叉端子32の挟持片41は、固定型4及び可動型5の型本体部の外方でフリー状態となっている。
【0035】
端子基部40の挟持状態で固定型4及び可動型5の型本体部が形成しているキャビティ内に溶融樹脂を射出し、冷却硬化する。これにより、図8及び図9に示すように、樹脂成形品26内にバスバ3の本体回路部31が埋設され、音叉端子32が樹脂成形品26から外側に露出しているヒュージブルリンクユニット等の電気部品25が形成される。なお、図8及び図9においては、樹脂成形品26からスタットボルト47が上方に突出しているが、このスタットボルト47は、接続用ボルト孔34aを貫通するようにバスバ3に予め取り付けられるものである。
【0036】
図10は、電気部品25に対して相手端子としてのヒューズ45を取り付けた状態を示す。ヒューズ45は、樹脂成形品26から露出している音叉端子32の一対の挟持片41に挿入されることによりバスバ3との電気的導通状態で電気部品25に取り付けられる。図11は、ヒューズ45の装着部分に対して蓋体48を固定してヒューズ45を保護した状態を示す。
【0037】
このような実施形態では、音叉端子32の一対の挟持片41が固定型4及び可動型5の型本体部の外方に突出して配置された状態で樹脂の射出が行われるため、音叉端子32の挟持片41は固定型4及び可動型5に対してフリー状態となっている。このため、挟持片41が固定型4や可動型5との接触がないばかりでなく型の押し力が作用することがない。従って、音叉端子32(挟持片41)が変形することがなく、変形に起因した不良品の発生を防止することができる。
【0038】
又、音叉端子32は、その端子基部40がバスバセット部11にセットされて位置決めされるため、音叉端子32の固定型4に対する位置決めも円滑且つ正確に行うことができる。この場合、端子基部40が固定型4に固定されており、端子基部40の先端側の挟持片41はフリー状態となっている。このため、ヒューズ45が電気的に接続される挟持片41が変形することがない。
【0039】
又、音叉端子32の挟持片41が固定型4及び可動型5の型本体部の外方に突出して樹脂成形品26が成形されるため、音叉端子32の全体が樹脂成形品26から露出することがなく、一部が樹脂成形品26に埋設された状態となる。これにより、樹脂成形品26の音叉端子32に対する支持力が大きくなり、音叉端子32に強度を付与することができる。
【0040】
以上の実施形態では、電源側端子板33及び接続型端子板34を有したバスバ3を用いたが、バスバ3としては、他の構造であってもよい。
【0041】
なお、上記電気部品25は、バッテリー端子若しくはバッテリー端子に取り付けられる可溶体を有するバスバと、該バスバに接続される圧接型のヒューズ端子とを含むヒューズユニットにおいて、該可溶体を形成した該バスバをプレスにより成型し、ヒューズと接続する一組の音叉端子は片側を該バスバに接続され、他端は外部接続用の端子を持ち、該一組の音叉端子は該ヒューズ端子を上下方向に挟むように配置して、該バスバと該一組の音叉端子とを一体的にモールドした、バッテリー端子に取り付けられるヒューズユニット(ヒュージブルリンクユニット;ヒューズブロック)の例である。
【0042】
このヒューズブロックによれば、スライド型を使わず成型ができると共に、音叉端子でヒューズ端子を挟んで保持するので、ヒューズ45を保持するためのヒューズホルダを別途設ける必要がなくなる。
【符号の説明】
【0043】
1 型構造
3 バスバ
4 固定型
5 可動型
11 バスバセット部
13 端子基部受け部
17 端子基部当接部
21 受け当接段部
23 当接段部
25 電気部品
26 樹脂成形品
31 本体回路部
32 音叉端子
37 バスバ端
38 圧入接触部
40 端子基部
41 挟持片
42 スリット
43 挿入開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13