(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態であるゴルフクラブ2を示す。
図1は、ゴルフクラブ2のヘッド近傍のみを示している。
図2は、ゴルフクラブ2の分解図である。
図3は、ゴルフクラブ2の断面図である。
図3は、スリーブ8の中心軸線に沿った断面図である。
【0019】
ゴルフクラブ2は、ヘッド4、シャフト6、スリーブ8、ネジ10及びフェラル12を有する。シャフト6の先端に、スリーブ8が固定されている。シャフト6の後端には、図示されないグリップが取り付けられている。
【0020】
ヘッド4は、ヘッド本体14と、係合部材16とを有する。ヘッド本体14は、スリーブ8を挿入するためのホーゼル孔18と、ネジ10を挿通するための通孔19を有する。通孔19は、ホーゼル孔18の底部を貫通している。またヘッド本体14は、ソールに開口するソール孔20を有する(
図3参照)。ソール孔20とホーゼル孔18とは、通孔19によって連続している。ヘッド本体14は、中空部を有している。
【0021】
ヘッド4のタイプは限定されない。本実施形態のヘッド4は、ウッド型ゴルフクラブである。ヘッド4は、ユーティリティ型ヘッド、ハイブリッド型ヘッド、アイアン型ヘッド、パターヘッド等であってもよい。
【0022】
シャフト6は限定されず、汎用のカーボンシャフトやスチールシャフトなどが用いられうる。本実施形態のシャフト6は、カーボンシャフトである。
【0023】
ネジ10は、頭部22と軸部24とを有する(
図2参照)。ネジ10は、ソール孔20から、通孔19を通過し、ネジ孔32(後述)に至っている。軸部24は、スリーブ8とネジ結合している(詳細は後述)。頭部22は、レンチ用の凹部26を有する(
図3参照)。凹部26に適合したレンチ(六角レンチや専用レンチ等)を用いることにより、ヘッド本体14の内部に位置するネジ10が軸回転されうる。この軸回転により、スリーブ8の着脱が可能である。
【0024】
係合部材16は、ヘッド本体14に固定されている(
図3参照)。この固定の方法は限定されず、接着、溶接、嵌め込み及びこれらの組み合わせが例示される。係合部材16は、ホーゼル孔18の上側開口から、ホーゼル孔18の内部に入れられる。係合部材16は、ホーゼル孔18の底部に固定されている。
【0025】
係合部材16は、回転防止部を有する。この回転防止部は、係合部材16の内面に形成されている。この回転防止部については、後述される。
【0026】
図4は、スリーブ8の斜視図である。
図5は、スリーブ8の底面図である。
図6は、
図5のVI−VI線に沿った断面図である。
図7は、
図5のVII−VII線に沿った断面図である。
【0027】
スリーブ8は、シャフト孔30とネジ孔32とを有する(
図6及び
図7)。シャフト孔30は、一方側(上側)に開口している。ネジ孔32は、他方側(下側)に開口している。シャフト孔30の下側に、ネジ孔32が配置されている。
【0028】
更にスリーブ8は、定径円周面34、傾斜面35、露出面36及び回転防止部38を有する。定径円周面34は、外径が一定の部分である。露出面36の下端には、段差面39が存在する。
【0029】
シャフト装着状態(
図1及び
図3参照)において、露出面36は、外部に露出している。露出面36の下端の外径は、ホーゼル端面37の外径に略等しい。露出面36の上端の外径は、フェラル12の下端の外径に略等しい。露出面36及びフェラル12が、全体として、従来のフェラルのように見える。露出面36は、外観性を向上させている。
【0030】
スリーブ8のうち、露出面36よりも下側の部分が、ホーゼル孔18に挿入されている(
図3参照)。傾斜面35の形状は、ホーゼル孔18の面取り部41の形状に対応している(
図3参照)。
【0031】
図6及び
図7が示すように、シャフト孔30の軸線h1は、スリーブ8の外面の軸線z1に対して傾斜していない。つまり、軸線h1と軸線z1とは同一である。軸線z1は、定径円周面34の中心軸線に一致する。軸線h1は、ホーゼル孔18の軸線に実質的に等しい。シャフト孔30の軸線h1は、シャフト6の軸線s1に実質的に等しい。
【0032】
ホーゼル孔18の軸線e1と、シャフト6の軸線s1との成す角度θ1は、0°である(
図3参照)。この角度θ1は、軸線e1と軸線z1との成す角度の最大値である。
【0033】
シャフト6は、シャフト孔30に固定されている。この固定は、接着剤による接着によって達成されている。シャフト6の外面が、シャフト孔30の内面に接着されている。接着以外の手段で固定がなされていてもよい。
【0034】
スリーブ8の抜け止めは、ネジ結合により達成される。
図3が示すように、スリーブ8のネジ孔32は、ネジ10とネジ結合している。このネジ結合により、スリーブ8の抜けが防止される。このネジ結合に起因する軸力が、ホーゼル端面37と段差面39との間の圧力と釣り合っている。この軸力を担保するため、上記ネジ結合が完了した状態において、ネジ10の先端とネジ孔32の底面との間には、隙間K1が存在している(
図3参照)。このように、抜け防止部は、ネジ10とネジ孔32とのネジ結合によって構成されている。
【0035】
図4及び
図5が示すように、スリーブ8の回転防止部38は、12個の凸部t2を有する。凸部t2は、周方向に均等に配置されている。即ち凸部t2は、30°おきに配置されている。
【0036】
回転防止部38は、軸線z1を回転対称軸とした回転対称性を有する。回転対称性とは、その回転対称軸回りに(360/W)度回転させたときに、回転前の形状と一致することを意味する。ただしWは2以上の整数である。回転対称軸回りに(360/W)度回転させたときに、回転前の形状と一致することが、「W回回転対称」とも称される。回転防止部38は、軸線z1に関して12回回転対称である。
【0037】
図8は、
図3のF8−F8線に沿った断面図である。
【0038】
係合部材16の外面は、一定の外径を有する円周面である。一方、係合部材16の内側には、回転防止部48が設けられている。回転防止部48は、12個の凹部r2によって形成されている。これらの凹部r2は、周方向に均等間隔で配置されている。なお、係合部材16は、ヘッド本体14の一部として一体成形されていてもよい。
【0039】
回転防止部48は、軸線z1を回転対称軸とした回転対称性を有する。回転防止部48は、軸線z1に関して12回回転対称である。回転防止部48の形状は、回転防止部38の形状に対応している。
【0040】
ヘッド本体14とは別体とされた係合部材16は、精度良く成形されやすい。例えば、ヘッド本体14とは別体とされた係合部材16は、切削加工が行いやすい。係合部材16がヘッド本体14とは別体とされていることは、係合部材16の回転防止部48の寸法精度の向上に寄与しうる。
【0041】
外面が円筒面である係合部材16は、精度良く成形されやすい。外面の中心軸と内面の中心軸とが一致している係合部材16は、精度良く成形されやすい。
【0042】
スリーブ8とホーゼル孔18との相対回転の規制は、回転防止部38と回転防止部48との係合によって達成される。回転防止部38と回転防止部48とが、ヘッド4とシャフト6との相対回転を規制するように係合している。
【0043】
回転防止部38と回転防止部48との係合が可能な周方向相対位置は、12通りである。本実施形態では、上記角度θ1が0°であるから、この周方向相対位置が変更されても、ロフト角、ライ角及びフック角は変化しない。この周方向相対位置が、本願において、周方向装着位置とも称される。
【0044】
周方向装着位置の数は、本実施形態では12であるが、12に限定されない。周方向装着位置の数として、4、5、6、8等が例示される。調節精度を高める観点から、周方向装着位置の数は、4以上が好ましく、8以上がより好ましく、12以上が更に好ましい。回転防止部の形状が複雑となることを防止する観点から、周方向装着位置の数は、28以下が好ましく、24以下がより好ましい。
【0045】
一般的なゴルフクラブでは、シャフトをヘッドから取り外す際には、両者を接着している接着剤を加熱によって破壊する。しかし、このゴルフクラブ2では、接着剤の破壊を伴わずに、ヘッド本体14とシャフト6との着脱が可能である。
【0046】
本実施形態では、上記角度θ1が0°であるから、周方向装着位置が変更されても、クラブ2のフック角(フェース角)が変化しない。フック角(フェース角)が過度に変化すると、アドレスの際のフェースの向きが、過度に閉じて見えたり、過度に開いて見えたりすることがある。このようなフェースの向きは、ゴルファーに違和感を生じさせうる。このようなフェースの向きは、ゴルファーに構えにくさを感じさせうる。
【0047】
本発明において、シャフト6は、異方性を有している。本願において「異方性」とは、撓み(曲げ)と連動して捻れが生ずる性質を意味する。この異方性を有するシャフトの製法や構造については、例えば、前述した特開平11−299944号公報又は特開2003−265661号公報に記載されている。本願のシャフト6も、これらの公報に記載された製造方法によって製造されうる。
【0048】
図9は、シャフト6の積層構成の一例(第1積層構成)を示す展開図である。
【0049】
シャフト6は、いわゆるシートワインディング製法によって製造されている。このシャフト6の製造では、先ず、プリプレグをカットして、
図9に示されるプリプレグシートを用意する。
図9において記載されている角度は、シャフトの長手方向に対する繊維の配向角度を示す。
図9の実施形態では、21枚のシートが用いられる。
【0050】
次に、貼り合わせ工程がなされる。
図10は、貼り合わせ工程により得られた合体シートを示している。
【0051】
この貼り合わせ工程では、シートs5に、シートs3とシートs4とが貼り合わされて、合体シートbs3が得られる。同様に、シートs8に、シートs6とシートs7とが貼り合わされて、合体シートbs6が得られる。同様に、シートs11に、シートs9とシートs10とが貼り合わされて、合体シートbs9が得られる。同様に、シートs14に、シートs12とシートs13とが貼り合わされて、合体シートbs12が得られる。同様に、シートs17に、シートs15とシートs16とが貼り合わされて、合体シートbs15が得られる。
【0052】
バイアスシートs3は、単独では、巻回しにくい。同様に、バイアスシートs4は、単独では、巻回しにくい。これらは、フープ層用シートであるシートs5に貼り付けられ、合体シートbs3が得られる。
図10に示すように、シートs5の上に、シートs3とシートs4とが隙間無く並べられて、貼り合わされる。シートs5の輪郭形状は、シートs3とシートs4とを隙間無く並べて得られる輪郭形状と実質的に一致する。シートs3の繊維の配向と、シートs4の繊維の配向とは、互いに逆である。この合体シートbs3が、巻回工程に供される。
【0053】
バイアスシートs6は、単独では、巻回しにくい。同様に、バイアスシートs7は、単独では、巻回しにくい。これらは、フープ層用シートであるシートs8に貼り付けられ、合体シートbs6が得られる。
図10に示すように、シートs8の上に、シートs6とシートs7とが隙間無く並べられて、貼り合わされる。シートs8の輪郭形状は、シートs6とシートs7とを隙間無く並べて得られる輪郭形状と実質的に一致する。シートs6の繊維の配向と、シートs7の繊維の配向とは、互いに逆である。この合体シートbs6が、巻回工程に供される。
【0054】
バイアスシートs9は、単独では、巻回しにくい。同様に、バイアスシートs10は、単独では、巻回しにくい。これらは、フープ層用シートであるシートs11に貼り付けられ、合体シートbs9が得られる。
図10に示すように、シートs11の上に、シートs9とシートs10とが隙間無く並べられて、貼り合わされる。シートs11の輪郭形状は、シートs9とシートs10とを隙間無く並べて得られる輪郭形状と実質的に一致する。シートs9の繊維の配向と、シートs10の繊維の配向とは、互いに逆である。この合体シートbs9が、巻回工程に供される。
【0055】
バイアスシートs12は、単独では、巻回しにくい。同様に、バイアスシートs13は、単独では、巻回しにくい。これらは、フープ層用シートであるシートs14に貼り付けられ、合体シートbs12が得られる。
図10に示すように、シートs14の上に、シートs12とシートs13とが隙間無く並べられて、貼り合わされる。シートs14の輪郭形状は、シートs12とシートs13とを隙間無く並べて得られる輪郭形状と実質的に一致する。シートs12の繊維の配向と、シートs13の繊維の配向とは、互いに逆である。この合体シートbs12が、巻回工程に供される。
【0056】
バイアスシートs15は、単独では、巻回しにくい。同様に、バイアスシートs16は、単独では、巻回しにくい。これらは、フープ層用シートであるシートs17に貼り付けられ、合体シートbs15が得られる。
図10に示すように、シートs17の上に、シートs15とシートs16とが隙間無く並べられて、貼り合わされる。シートs17の輪郭形状は、シートs15とシートs16とを隙間無く並べて得られる輪郭形状と実質的に一致する。シートs15の繊維の配向と、シートs16の繊維の配向とは、互いに逆である。この合体シートbs15が、巻回工程に供される。
【0057】
合体シートbs3、合体シートbs6、合体シートbs9、合体シートbs12及び合体シートbs15は、僅かな寸法の違いを除き、同じである。
【0058】
次に、巻回工程がなされる。この巻回工程では、
図9で示されている順で、シートがマンドレルに巻き付けられる。
図9で上側に記載されているシートから、順次巻き付けられる。
【0059】
次に、ラッピングテープが巻き付けられる。次に、加熱工程がなされる。加熱工程には、加熱炉が用いられる。この加熱工程により、プリプレグのマトリクス樹脂が硬化する。次に、ラッピングテープが除去され、マンドレルが引き抜かれる。次に、先端部と後端部がカットされる。次に、表面研磨がなされる。最後に、塗装がなされる。
【0060】
上記巻回工程では、合体シートbs3、合体シートbs6、合体シートbs9、合体シートbs12及び合体シートbs15は、同じ周方向位置から巻き付けられる。
【0061】
シートs3の巻回数は、0.5プライである。即ちシートs3の周方向における設置範囲は、約180°である。シートs4の巻回数は、0.5プライである。シートs6の巻回数は、0.5プライである。シートs7の巻回数は、0.5プライである。シートs9の巻回数は、0.5プライである。シートs10の巻回数は、0.5プライである。シートs12の巻回数は、0.5プライである。シートs13の巻回数は、0.5プライである。シートs15の巻回数は、0.5プライである。シートs16の巻回数は、0.5プライである。これらが0.5プライとされているのは、異方性を効率よく発現させるためである。
【0062】
図9のシート構成のうち、シートs3、シートs6、シートs9、シートs12及びシートs15からなる第1グループのシートは、同一の周方向位置に配置されている。一方、シートs4、シートs7、シートs10、シートs13及びシートs16からなる第2グループのシートは、同一の周方向位置に配置されている。第1グループに属するシートにおいて、繊維の配向は同一である。第2グループに属するシートにおいて、繊維の配向は同一である。第1グループに属するシートの繊維の配向と、第2グループに属するシートの繊維の配向とは、互いに逆である。そして、上記第1グループのシートと、上記第2グループのシートとは、互いに異なる周方向位置に配置されている。上記第1グループのシートが0°から180°の周方向位置に配置されているとすると、上記第2グループのシートは、180°から360°の周方向位置に配置されている。この構成では、半周おきに、バイアス層の傾斜方向が逆向きである。この構成は、異方性を効率良く発現するのに寄与している。この構成は、曲げ捻れ量の増大に寄与する。
【0063】
図11は、シャフト6の積層構成の他の一例(第2積層構成)を示す展開図である。この
図11の実施形態では、17枚のシートが用いられる。
【0064】
この
図11の実施形態では、
図9の実施形態と比較して、異方性を発現するシート(以下、異方性発現シートともいう)の数が減らされている。
【0065】
この実施形態でも、0.5プライの異方性発現シートが用いられる。この実施形態でも、異方性発現層は、フープ層用のプリプレグに貼り付けられた状態で、巻回される。
図12は、貼り合わせ工程により得られた合体シートを示している。
【0066】
この実施形態でも、プリプレグをカットする工程の後、貼り合わせ工程がなされる。この貼り合わせ工程では、シートt7に、シートt5とシートt6とが貼り合わされて、合体シートbt5が得られる。同様に、シートt10に、シートt8とシートt9とが貼り合わされて、合体シートbt8が得られる。同様に、シートt13に、シートt11とシートt12とが貼り合わされて、合体シートbt11が得られる。これらの合体シートが、巻回工程に供される。
【0067】
この実施形態では、バイアスシートt3及びt4が併用されている。これらのバイアスシートは、通常のシャフトでも用いられており、実質的に異方性を発現しない。これらバイアスシートt3及びt4は、捻れ強度及び捻れ剛性を向上させる。
【0068】
巻回工程では、
図11で示されている順で、シートがマンドレルに巻き付けられる。
図11で上側に記載されているシートから、順次巻き付けられる。この巻回工程では、合体シートbt5、合体シートbt8及び合体シートbt11は、同じ周方向位置から巻き付けられる。
【0069】
異方性発現シートの配置は、上記第1積層構成と同様である。シートt5、シートt8及びシートt11からなる第1グループは同一の周方向位置に配置される。シートt6、シートt9及びシートt12からなる第2グループは、同一の周方向位置に配置されている。そして、上記第1グループのシートと、上記第2グループのシートとは、互いに異なる周方向位置に配置されている。上記第1グループのシートが0°から180°の周方向位置に配置されているとすると、上記第2グループのシートは、180°から360°の周方向位置に配置されている。この構成では、半周おきに、バイアス層の傾斜方向が逆向きである。この構成は、異方性を効率良く発現するのに寄与している。この構成は、曲げ捻れ量の増大に寄与する。
【0070】
以上で説明されたシート構成の他、例えば、前述した特開平11−299944号公報又は特開2003−265661号公報に記載されているシート構成も採用されうる。
【0071】
図13は、
図11のシート構成を有するシャフトにおける、異方性発現シートの配置を示す概念図である。
図13では、シートの端が丸く表示されている。この構成では、第一の異方性発現シート(シートt5)が0°から180°までの周方向位置に配置され、第二の異方性発現シート(シートt6)が、180°から360°までの周方向位置に配置される。第一の異方性発現シート(シートt5)と第二の異方性発現シート(シートt6)との間で、繊維の配向は逆である。この構成は、シャフトの長手方向全体に亘って設定されている。
【0072】
図13が示すように、第一の異方性発現シートは複数層(三層:シートt5、シートt8、シートt11)であり、第二の異方性発現シートも複数層(三層:シートt6、シートt9、シートt12)である。異方性発現シートが複数層とされることで、曲げ捻れ量が増大する。
【0073】
図14は、ヘッド4とシャフト6との関係について説明するための図である。ここで、以下の説明を容易とする観点から、ヘッド4に関して、周方向基準位置Ch1が定義される。ヘッド4をそのリアルロフト角及びライ角通りに水平面sh1に接地させたとき、ホーゼル孔の軸線を含み且つ水平面sh1に対して垂直な平面PL1を考える。この平面PL1とホーゼル孔18の内面との交線は2本であるが、このうち、よりトウ側の交線の位置が、周方向基準位置Ch1とされる(
図14参照)。ホーゼル孔18を上方(グリップ側)から見たとき、この周方向基準位置Ch1から右回りに90°の位置が、周方向位置Ch2である(
図14参照)。ホーゼル孔18を上方(グリップ側)から見たとき、このヘッド周方向基準位置Ch1から右回りに180°の位置が、周方向位置Ch3である。ホーゼル孔18を上方(グリップ側)から見たとき、この周方向基準位置Ch1から右回りに270°の位置が、周方向位置Ch4である。以下、これらの周方向位置Ch1、2、3及び4を用いて、説明がなされる。
【0074】
異方性シャフトでは、周方向におけるヘッドとの相対的な位置関係が重要である。この相対的な位置関係、即ち、周方向装着位置は、フック及びスライスの矯正機能に影響する。
【0075】
[曲げ捻れ量]
異方性シャフトでは、撓み(曲げ)に連動して捻れが生ずる。この性質が、「曲げ捻れ量」によって定量的に評価される。
図15及び
図16は、この曲げ捻れ量の測定方法を説明するための図である。
図15は測定の様子を示す側面図であり、
図16は、シャフト6の先端Tp側からみた正面図である。
図16の上側は錘52を吊り下げる前の状態であり、
図16の下側は錘52を吊り下げた後の状態である。
【0076】
この曲げ捻れ量の測定では、シャフトの後端部を固定する治具100と、真っ直ぐな棒50と、錘52とが用意される。
【0077】
この曲げ捻れ量の測定では、先ず、シャフト6の後端部が固定される。固定される範囲は、シャフト後端Btから150mmまでの範囲である(
図15参照)。次に、シャフト6の周方向の特定位置に、棒50が固定される。この棒50は、シャフト6の周方向における最も上側に固定される(
図16参照)。この固定は、例えば接着剤によりなされる。錘52を吊り下げる前の状態において、この棒50は水平とされる(
図16参照)。棒50は、シャフト先端Tpから25mm隔てた地点に固定される(
図15参照)。
【0078】
次に、錘52が吊り下げられる。撓み量が60mmとなるように、錘52の重量が調整される。この撓み量とは、棒50の鉛直方向における移動距離である(
図15及び
図16参照)。錘52の位置(荷重点)は、シャフト先端Tpから50mm隔てた地点である(
図15参照)。錘52の荷重により、シャフト6が撓る。このシャフト6が撓った状態で静止させ、棒50の傾斜角度θtを読み取る(
図16参照)。この傾斜角度θtの最大値が、曲げ捻れ量である。読み取りの精度の観点から、棒50は比較的長いほうがよく、例えば140mmとされる(
図16参照)。
【0079】
曲げ捻れ量の決定では、捻れの方向が考慮される。
図15の測定において、シャフト6をグリップ側(シャフト後端Bt側)から見たとき、錘52による撓みに起因して、シャフト6は、右周り又は左周りに捻れる。グリップ側(シャフト後端Bt側)から見たとき、錘52による撓みに起因してシャフト6が左周りに捻れる場合に、捻れ角度θtがプラスとされる。逆に、グリップ側(シャフト後端Bt側)から見たとき、錘52による撓みに起因して、シャフト6が右周りに捻れる場合に、捻れ角度θtがマイナスとされる。
図16は、シャフト6をヘッド側から見ているので、捻れ角度θtがマイナスである場合を示している。捻れ角度θtの最大値が、曲げ捻れ量である。
【0080】
説明を容易とする観点から、
図13が示すようなシャフト6の周方向位置が定義される。シャフト周方向基準位置Cs1は、その周方向位置を真上として錘をぶら下げたとき、捻れ角度θtが最大となるような、周方向位置である。このシャフト周方向基準位置Cs1から周方向に180°隔てた周方向位置Cs3を真上として測定された場合、捻れ角度θtが最小(マイナスの値)となる。このシャフト周方向基準位置Cs1から周方向に90°隔てた周方向位置Cs2を真上として測定された場合、捻れ角度θtはゼロである。このシャフト周方向基準位置Cs1から周方向に270°隔てた周方向位置Cs4を真上として測定された場合も、捻れ角度θtはゼロである。
【0081】
捻れ角度θtは、曲げられる方向によって変化する。
図17は、曲げられる方向と捻れ角度θtとの関係を示すグラフである。このグラフでは、シャフト周方向基準位置Cs1が「90°」とされている。このグラフが示すように、シャフト周方向基準位置Cs1を真上として下側に曲げられた場合、捻れ角度θtが最大である。この最大値が、曲げ捻れ量である。
【0082】
フェース面の向きを矯正する効果を高める観点から、曲げ捻れ量は、0.5°以上が好ましく、1.0°以上がより好ましく、1.5°以上がより好ましく、2.0°以上が更に好ましい。矯正の調整間隔が過大となることを防止する観点から、曲げ捻れ量は、5.0°以下が好ましく、4.0°以下がより好ましい。
【0083】
シャフト6とヘッド4との周方向の相対位置、即ち、周方向装着位置は、インパクトにおけるシャフトの曲がりを考慮して決定されうる。インパクトにおけるシャフトの曲がりが意図するシャフトの捻れを生じさせるように、シャフト6とヘッド4との周方向の相対位置が決定される。
【0084】
図14では、ヘッド周方向基準位置Ch1に、シャフト周方向基準位置Cs1を一致させる場合が示されている。この場合、いわゆるトウダウン現象に伴うシャフト6の曲がりに連動して、フェース面を閉じるような捻れが生ずる。
【0085】
このシャフト6を用いたゴルフクラブでは、シャフト6の捻れに起因して、インパクトにおけるフェース面の向きが調整されうる。このシャフト6を用いたゴルフクラブでは、シャフト孔42の傾斜角度θ1を抑制しつつ、打球方向の調整効果が得られうる。インパクトにおけるシャフトの曲がりに起因して、シャフト6が捻られ、フェース面の向きが矯正される。
【0086】
同じゴルファーでも、プレーする日によって球筋(弾道)が異なることがある。例えば、あるゴルファーXにおいて、スライスの度合いが大きい時と、スライスの度合いが小さい時とがありうる。このような場合、シャフト周方向装着位置(ポジション)を変更することによって、異方性に起因するスライス矯正効果の度合いを調整することができる。
【0087】
また、例えば、あるゴルファーYにおいて、その日の調子によって、フックが出たりスライスが出たりする場合がある。このような場合、スライスしやすい日には、インパクトにおいてヘッドが閉じるようなポジションを採用し、フックしやすい日には、インパクトにおいてヘッドが開くようなポジションを採用することができる。このように、異方性に起因する捻れ効果を利用することにより、一本のゴルフクラブで、スライス及びフックの両方が矯正されうる。
【0088】
インパクトの際におけるシャフトの曲がりとしては、いわゆるトウダウン現象による曲がりが考えられるが、それ以外の曲がりも考えられる。このインパクト時の曲がりは、ゴルファーによって相違しうる。ゴルファーは、いくつかのポジションで試打を行うことができる。この試打の結果に基づき、自分に合ったポジションを見つけることができる。
【0089】
ヘッド本体14の材質は限定されない。好ましい材質として、金属、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)及びそれらの組み合わせが例示され、より好ましくは、金属である。この金属として、チタン合金、ステンレス鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金及びそれらの組み合わせが例示される。ヘッド本体14を構成する各部材の製造方法は限定されず、鍛造、鋳造、プレス及びこれらの組み合わせが例示される。ヘッド本体14は、複数の部材が接合されて形成されてもよい。
【0090】
シャフト6の材質は、限定されない。シャフトの材質として、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)や金属が例示される。いわゆるカーボンシャフトやスチールシャフトが好適に用いられうる。また、シャフトの構造は、限定されない。
【0091】
スリーブ8の材質は限定されない。好ましい材質として、チタン合金、ステンレス鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金及び樹脂が例示される。強度及び軽量性の観点から、例えばアルミニウム合金及びチタン合金がより好適である。樹脂としては、機械的強度に優れたものが好ましく、例えば、エンジニアリングプラスチック又はスーパーエンジニアリングプラスチックと称されている樹脂が好ましい。
【0092】
係合部材16の材質は限定されない。好ましい材質として、チタン合金、ステンレス鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金及び樹脂が例示される。樹脂としては、機械的強度に優れたものが好ましく、例えば、エンジニアリングプラスチック又はスーパーエンジニアリングプラスチックと称されている樹脂が好ましい。また前述したように、係合部材16は、ヘッド本体と一体成形されてもよい。より好ましくは、係合部材16の固定を確実とする観点から、ヘッド本体14との溶接が可能な材質によって係合部材16が形成されているのがよい。
【0093】
ネジ10の材質は限定されない。好ましい材質として、チタン合金、ステンレス鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金等が例示される。
【0094】
シャフトの材料として使用可能なプリプレグは、限定されない。下記の表1は、使用可能なプリプレグの例を示す。曲げ捻れ量及びシャフトの強度の観点から、異方性発現シートには、繊維の引張弾性率が40(t/mm
2)のプリプレグが特に好ましい。
【実施例】
【0096】
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0097】
[シャフトの作製]
以下のようにして、実施例1、2、3及び比較例に係るシャフトが作製された。
【0098】
[実施例1]
図11に示された17枚のシートのうち、シートt2を除く16枚のシートが用いられた。この積層構成を有するシャフトを作製し、曲げ捻れ量が1.0°のシャフトを得た。曲げ捻れ量は、異方性発現シートの厚さ、異方性発現シートの繊維目付量、バイアス層用シートの厚さ及びバイアス層用シートの繊維目付量に基づいて調整された。バイアス層用シートは、シートt3及びシートt4である。
【0099】
炭素繊維品番が「TR50S」である三菱レイヨン社製のプリプレグが、ストレート層用シートに、用いられた。ストレート層用シートは、シートt1、シートt14、シートt15、シートt16及びシートt17である。
【0100】
炭素繊維品番が「MR40」である三菱レイヨン社製のプリプレグが、異方性発現シートに用いられた。フープ層用シートとしては、東レ社の商品名「805S−3」が用いられた。シャフトの全長は、1143mmであった。
【0101】
この実施例1における各シートのプライ数(ply数)が、
図11に示されている。シートの左側には、バットBtにおけるプライ数が示されている。シートの右側には、チップTpにおけるプライ数が示されている。
[実施例2]
バイアス層用シートのプライ数、異方性発現シート(0.5プライ)の枚数、異方性発現シートの繊維弾性率、異方性発現シートの厚さ及び/又は異方性発現シートの繊維目付量を調整して、曲げ捻れ量が2.5°とされた他は実施例1と同様にして、実施例2に係るシャフトを得た。
【0102】
[実施例3]
図9に示された21枚のシートのうち、シートs2を除く20枚のシートが用いられた。この積層構成を有するシャフトを作製し、曲げ捻れ量が4.5°のシャフトを得た。曲げ捻れ量は、異方性発現シートの厚さ及び異方性発現シートの繊維目付量に基づいて調整された。
【0103】
炭素繊維品番が「TR50S」である三菱レイヨン社製のプリプレグが、ストレート層用シートに、用いられた。ストレート層用シートは、シートs1、シートs18、シートs19、シートs20及びシートs21である。
【0104】
炭素繊維品番が「MR40」である三菱レイヨン社製のプリプレグが、異方性発現シートに用いられた。フープ層用シートとしては、東レ社の商品名「805S−3」が用いられた。シャフトの全長は、1143mmであった
【0105】
この実施例3における各シートのプライ数(ply数)が、
図9に示されている。シートの左側には、バットBtにおけるプライ数が示されている。シートの右側には、チップTpにおけるプライ数が示されている。
【0106】
[比較例]
実施例1のシャフトで用いられている異方性発現シートにおいて、周方向における配置が変更された。この配置変更により、異方性が生じないシャフトを得た。このシャフトでは、同一の方向に傾斜した0.5プライのバイアス層が、0°から180°の周方向位置と、180°から360°の周方向位置とに配置された。この配置により、0.5プライのバイアス層同士で異方性が打ち消され、異方性を有しないシャフトが得られた。
【0107】
[実施例に係るシャフト−スリーブ組み立て体]
前述したスリーブ8と同じスリーブが用意された。このスリーブでは、上記角度θ1が0°とされた。実施例1から3のシャフトの先端部にこのスリーブを接着し、このシャフトの後端部にグリップを装着して、シャフト−スリーブ組み立て体を得た。クラブ長さが45.5インチとなるように、シャフト−スリーブ組み立て体の長さが設定された。
【0108】
[比較例に係るシャフト−スリーブ組み立て体]
上記角度θ1が1.5°であるスリーブが用いられた。比較例のシャフトの先端部に、このスリーブを接着し、このシャフトの後端部にグリップを装着して、シャフト−スリーブ組み立て体を得た。クラブ長さが45.5インチとなるように、シャフト−スリーブ組み立て体の長さが設定された。
【0109】
[ヘッドの作製]
係合部材とヘッド本体とを溶接して、
図1及び
図3に示されるヘッドを得た。このヘッドは、いわゆるドライバー(W#1)のヘッドであった。このヘッドの体積は460ccであった。係合部材を所定位置に配置し、この係合部材をヘッド本体に溶接した。溶接方法として、レーザー溶接が用いられた。溶接のためのレーザーは、ホーゼル孔を通って溶接部に至るように、照射された。全ての実施例及び比較例において、同一のヘッドが用いられた。
【0110】
[実施例のポジション]
実施例1から3のシャフトは、異方性を有する。これらのシャフトにおいて、ヘッドとシャフトとの周方向相対位置(ポジション)として、7種類が設定された。これら7種類のポジションは、以下の通りである。これらのポジションが、下記の表2から6に示されている。
(N1):グリップ側から見て、シャフト周方向基準位置Cs1を、ヘッド周方向基準位置Ch1に対して、右回りに90°回転させたポジション。換言すれば、シャフト周方向基準位置Cs1を、ヘッド周方向位置Ch2に一致させたポジション。
(F1):グリップ側から見て、シャフト周方向基準位置Cs1を、ヘッド周方向基準位置Ch1に対して、右回りに60°回転させたポジション。
(F2):グリップ側から見て、シャフト周方向基準位置Cs1を、ヘッド周方向基準位置Ch1に対して、右回りに30°回転させたポジション。
(F3):シャフト周方向基準位置Cs1を、ヘッド周方向位置Ch1に一致させたポジション(
図14参照)。
(S1):グリップ側から見て、シャフト周方向基準位置Cs1を、ヘッド周方向基準位置Ch1に対して、右回りに120°回転させたポジション。
(S2):グリップ側から見て、シャフト周方向基準位置Cs1を、ヘッド周方向基準位置Ch1に対して、右回りに150°回転させたポジション。
(S3):グリップ側から見て、シャフト周方向基準位置Cs1を、ヘッド周方向基準位置Ch1に対して、右回りに180°回転させたポジション。換言すれば、シャフト周方向基準位置Cs1を、ヘッド周方向位置Ch3に一致させたポジション。
【0111】
[比較例のポジション]
比較例のシャフトは、異方性を有さない。ただし、比較例のゴルフクラブでは、スリーブの上記角度θ1が1.5°であるため、ポジションによってフック角が変化する。次の7種類のポジションが設定された。これらのポジションが、下記の表2から6に示されている。
(NU):ライ角が最大となるポジション。
(Fa):グリップ側から見て、上記ポジション(NU)のシャフトを左回りに30°回転させて得られるポジション。
(Fb):グリップ側から見て、上記ポジション(NU)のシャフトを左回りに60°回転させて得られるポジション。
(Fc):フック角が最大となるポジション。換言すれば、グリップ側から見て、上記ポジション(NU)のシャフトを左回りに90°回転させて得られるポジション。
(Sa):グリップ側から見て、上記ポジション(NU)のシャフトを右回りに30°回転させて得られるポジション。
(Sb):グリップ側から見て、上記ポジション(NU)のシャフトを右回りに60°回転させて得られるポジション。
(Sc):フック角が最小となるポジション。換言すれば、グリップ側から見て、上記ポジション(NU)のシャフトを右回りに90°回転させて得られるポジション。
【0112】
5人のテスター(テスターAからE)が、実際にゴルフボールを打って、評価した。これら5人のテスターは、全員、右利きのゴルファーである。各テスターの特性は、次の通りである。
[テスターA]:持ち球がスライスであり、且つ、ソールを接地させてアドレスするタイプのゴルファー。
[テスターB]:持ち球がスライスであり、且つ、ソールを接地させてアドレスするタイプのゴルファー。
[テスターC]:持ち球がフックであり、且つ、ソールを接地させてアドレスするタイプのゴルファー。
[テスターD]:持ち球がフックであり、且つ、ソールを接地させてアドレスするタイプのゴルファー。
[テスターE]:持ち球がスライスであり、且つ、ソールを接地させずにフェース面の向きを目標に合わせてアドレスするタイプのゴルファー。
【0113】
テスターA、テスターB、テスターC及びテスターDは、ソールを接地させてアドレスするタイプである。よってこれらのテスターAからDは、フック角(フェース角)通りにアドレスする傾向にある。一方、テスターEは、ソールを接地させずに、フェース面の向きを目標に合わせてアドレスするタイプのゴルファーである。このテスターEは、フック角(フェース角)にほとんど影響されずに、アドレスする。
【0114】
テスターA、テスターB及びテスターEは、いわゆるスライサーであり、打球がスライスしやすい。テスターC及びテスターDは、いわゆるフッカーであり、打球がフックしやすい。
【0115】
[評価]
各テスターの特性に応じたポジションを採用し、スライス又はフックの矯正効果が評価された。この矯正効果は、ボールの到達地点により確認した。ボール到達地点の「左右ズレ」が左側であるほど、スライスが矯正されていることを意味する。ボール到達地点の「左右ズレ」が右側であるほど、フックが矯正されていることを意味する。同時に、官能評価として、「構えやすさ」と「左右方向性」とが評価された。この評価は1から5までの5段階評価であり、点数が多いほど評価が高い。
【0116】
[テスターA]
スライスしやすいテスターAが、スライスの矯正効果を評価した。実施例1から3では、ポジションN1、F1、F2及びF3にて、評価がなされた。比較例では、ポジションNU、Fa、Fb及びFcにて、評価がなされた。評価結果が下記の表2に示される。
【0117】
[テスターB]
スライスしやすいテスターBが、スライスの矯正効果を評価した。実施例1から3では、ポジションN1、F1、F2及びF3にて、評価がなされた。比較例では、ポジションNU、Fa、Fb及びFcにて、評価がなされた。評価結果が下記の表3に示される。
【0118】
[テスターC]
フックしやすいテスターCが、フックの矯正効果を評価した。実施例1から3では、ポジションN1、S1、S2及びS3にて、評価がなされた。比較例では、ポジションNU、Sa、Sb及びScにて、評価がなされた。評価結果が下記の表4に示される。
【0119】
[テスターD]
フックしやすいテスターDが、フックの矯正効果を評価した。実施例1から3では、ポジションN1、S1、S2及びS3にて、評価がなされた。比較例では、ポジションNU、Sa、Sb及びScにて、評価がなされた。評価結果が下記の表5に示される。
【0120】
[テスターE]
スライスしやすいテスターEが、スライスの矯正効果を評価した。実施例1から3では、ポジションN1、F1、F2及びF3にて、評価がなされた。比較例では、ポジションNU、Fa、Fb及びFcにて、評価がなされた。評価結果が下記の表6に示される。
【0121】
【表2】
【0122】
【表3】
【0123】
【表4】
【0124】
【表5】
【0125】
【表6】
【0126】
テスターAの評価結果では、実施例1から3において、異方性に起因するスライス矯正効果が確認される。曲げ捻れ量が大きいシャフトほど、スライス矯正効果が生じやすい。また、ポジションによってスライス矯正効果が変化している。よって、トウダウン現象に伴うシャフトの撓みに起因してシャフトの捻れが生じていることが分かる。比較例でも、フック角に起因するスライス矯正効果が確認されるが、構えやすさの評価が比較的低く、左右方向性の評価も比較的低い。
【0127】
テスターBの評価結果では、テスターAと同様の傾向が見られる。
【0128】
テスターCの評価結果では、実施例1から3において、異方性に起因するフック矯正効果が確認される。曲げ捻れ量が大きいシャフトほど、フック矯正効果が生じやすい。また、ポジションによってフック矯正効果が変化している。よって、トウダウン現象に伴うシャフトの撓みに起因してシャフトの捻れが生じていることが分かる。比較例でも、フック角に起因するフック矯正効果が確認されるが、構えやすさの評価が比較的低く、左右方向性の評価も比較的低い。
【0129】
テスターDの評価結果では、テスターCと同様の傾向が見られる。
【0130】
テスターEの評価結果では、実施例1から3において、異方性に起因するスライス矯正効果が確認される。曲げ捻れ量が大きいシャフトほど、スライス矯正効果が生じやすい。また、ポジションによってスライス矯正効果が変化している。よって、トウダウン現象に伴うシャフトの撓みに起因してシャフトの捻れが生じていることが分かる。比較例において、フック角に起因するスライス矯正効果は少ない。これは、テスターEがソールを接地せずにアドレスするタイプであり、フック角に起因する効果が得られにくかったためであると考えられる。また、比較例では、構えやすさの評価が比較的低く、左右方向性の評価も比較的低い。
【0131】
これらの表に示されるように、実施例は比較例よりも優れている。本発明の優位性は明らかである。