特許第6014145号(P6014145)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6014145エネルギ効率的なセルラ無線電気通信システムにおけるセッション・セットアップ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6014145
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】エネルギ効率的なセルラ無線電気通信システムにおけるセッション・セットアップ
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/20 20090101AFI20161011BHJP
   H04W 48/14 20090101ALI20161011BHJP
   H04W 52/02 20090101ALI20161011BHJP
   H04W 16/32 20090101ALI20161011BHJP
【FI】
   H04W48/20
   H04W48/14
   H04W52/02
   H04W16/32
【請求項の数】12
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2014-530198(P2014-530198)
(86)(22)【出願日】2012年9月12日
(65)【公表番号】特表2014-526835(P2014-526835A)
(43)【公表日】2014年10月6日
(86)【国際出願番号】EP2012067864
(87)【国際公開番号】WO2013037842
(87)【国際公開日】20130321
【審査請求日】2014年5月12日
(31)【優先権主張番号】11181162.6
(32)【優先日】2011年9月13日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512287702
【氏名又は名称】コニンクリーケ・ケイピーエヌ・ナムローゼ・フェンノートシャップ
(73)【特許権者】
【識別番号】508351406
【氏名又は名称】ネダーランゼ・オルガニサティ・フォーア・トゥーゲパスト−ナトゥールヴェテンシャッペリーク・オンデルゾエク・ティーエヌオー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100173565
【弁理士】
【氏名又は名称】末松 亮太
(72)【発明者】
【氏名】ヨルフセスキ,リュプコ
(72)【発明者】
【氏名】パイス,アードリアン・フィクター
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ハイビン
(72)【発明者】
【氏名】オーストフェーン,ヨブ・コルネリス
(72)【発明者】
【氏名】ファン・デル・ワル,ヤコブ・コルネリス
【審査官】 小林 正明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−101361(JP,A)
【文献】 特開2011−176588(JP,A)
【文献】 特開2007−074304(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/117235(WO,A2)
【文献】 特表2012−523739(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/078271(WO,A2)
【文献】 特表2012−514435(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/106692(WO,A1)
【文献】 特開2007−266876(JP,A)
【文献】 特表2012−507207(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−2
CT WG1
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのLA−cell基地局(LAセル)および複数のSA−cell基地局(SAセル)を備える電気通信システムにおける、端末と前記複数のSAセルの内少なくとも1つとの間のデータ接続の確立を前記端末が促進するための方法であって、
前記端末がアイドル・モードであり前記LAセルにキャンプ・オンしている間に、前記端末が情報要求メッセージ(IRM)信号を前記複数のSAセルに宛てて送信するステップであって、
情報要求メッセージは、前記IRM信号の測定を実行するように前記SAセルに要求し、
前記IRM信号が、前記LAセルからページング信号を受け取ったときに送信される、ステップと、
前記複数のSAセルの内1つ以上のSAセルのそれぞれから、該SAセルのそれぞれが受信した前記IRM信号の強度を少なくとも示す情報を含むメッセージを受信するステップと、
前記1つ以上のSAセルから受信した前記メッセージに少なくとも部分的に基づいて、前記端末と選択されるSAセルとの間の前記データ接続を確立するために、前記複数のSAセルの内から前記SAセルを選択するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記IRM信号を受信した前記複数のSAセルのそれぞれが、前記IRMおよび/または前記端末を識別するのを可能にする手法で前記IRM信号を送信するステップは、前記IRMおよび/または前記端末の識別を提供する情報を前記IRMに含めるステップを含む、方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、前記IRM信号を受信した前記複数のSAセルのそれぞれが、前記IRMおよび/または前記端末を識別するのを可能にする手法で前記IRM信号を送信するステップは、前記端末が前記IRM信号を所定の時間窓内で送信するステップを含む、方法。
【請求項4】
請求項1からのいずれか一項記載のステップを実行するための手段を備える、端末。
【請求項5】
プロセッサにより実行されるときに、請求項1からのいずれか一項に記載のステップを実行するように構成されるソフトウェア・コード部を備える、コンピュータ・プログラム。
【請求項6】
LA−cell基地局(LAセル)であって、少なくとも、
情報要求メッセージ(IRM)信号を送信させるよう端末に指示する送信トリガを、アイドル・モードであり且つ前記LAセルにキャンプ・オンしている前記端末に提供し、
IRMリスニング・モードに入れるために、受信トリガを複数のSA−cell基地局(SAセル)の内少なくとも1つに提供し、前記IRMリスニング・モードでは、前記複数のSAセルの内前記少なくとも1つが前記IRM信号を受信する性能を有するように構成され
情報要求メッセージが、前記IRM信号の測定を実行するように前記SAセルに要求し、
前記受信トリガが、サービス要求メッセージを前記端末から受信したことに応じて提供される、LAセル。
【請求項7】
SA−cell基地局(SAセル)であって、少なくとも、
LA−cell基地局(LAセル)にキャンプ・オンしているアイドル・モードの端末によって送信される情報要求メッセージ(IRM)信号を受信し、情報要求メッセージが、前記IRM信号の測定を実行するように当該SAセルに要求し、
SAセルが受信した前記IRM信号の強度を決定し、
前記決定した強度を示す情報を少なくとも含むメッセージを前記端末に提供するように構成され、
当該SAセルが、前記LAセルから受信トリガを受信したのに応じてIRMリスニング・モードに入れるように構成され、前記受信トリガが、前記IRMリスニング・モードに入れるように当該SAセルに指示し、前記IRMリスニング・モードにおいて当該SAセルが前記IRM信号を受信する性能を有する、SAセル。
【請求項8】
請求項記載のSAセルであって、更に、
前記IRMおよび/または端末の識別を、前記IRMに含まれる情報に少なくとも部分的に基づいて決定し、前記情報が前記IRMおよび/もしくは前記端末についての前記識別、並びに/または前記IRMを受信した時間に関する情報を提供する
ように構成される、SAセル。
【請求項9】
請求項または記載のSAセルであって、更に、
前記端末および当該SAセルの間の経路損失を決定し、任意で、該決定した経路損失を示す情報を、前記端末に提供された前記メッセージに供給する
ように構成される、SAセル。
【請求項10】
請求項からのいずれか一項記載のSAセルであって、更に、前記IRM信号の受信に続く所定の遅延期間の満了後に、前記メッセージを前記端末に提供するように構成される、SAセル。
【請求項11】
前記決定した強度に少なくとも部分的に基づいて、前記所定の遅延期間を設定することを更に含む、請求項10記載のSAセル。
【請求項12】
請求項から11のいずれか一項記載のSAセルにおいて、当該SAセルが、所定の時間においてIRMリスニング・モードに入れるように構成される、SAセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的に無線通信に関するものである。更に特定すれば、本発明は、端末とエネルギ効率的なセルラ無線ネットワークとの間のデータ接続を確立する技術分野に関するものである。
【従来技術】
【0002】
セルラ無線アクセス電気通信ネットワーク(システム)は、通例、複数の基地局を含み、例えばGSM(登録商標)、WCDMA(登録商標)におけるノードB(UMTS)、およびLTEにおける進化したノードBすなわちeNBとしても知られる。基地局は、少なくとも送受信装置を含み、(おそらくモバイル)端末との無線通信をサポートし、より公式にはUE(ユーザ装置(Equipment))として知られた規格である。基地局の送受信機でカバーすることができる範囲は制限される。基地局の送受信機によってサービス提供できるエリアは、「カバー・エリア」または「セル」と称される。本明細書で用いる「セル」という用語は、基地局自身およびそれに付随するカバー・エリアの両方のことである。
【0003】
セルラ・ネットワークのセル(基地局)は、通例、1つ以上のバックホール・リンクを介して、例えば光ファイバもしくは銅線を介して、または無線で、ネットワークの残り部分(remainder)に接続される。基地局は更に、他のセルを含む、例えば無線送信および受信や、基地局と端末の間および基地局とネットワークの間で指定されるプロトコルを扱うための処理性能を有する。
【0004】
セルラ・ネットワークでは、異なるセルは異なるサイズを有することがあり、例えば、セルのサイズが小さくなる順では、マクロセル、マイクロセル、ピコセルまたはフェムトセルとして示される。セルは、近くのセルと部分的な重複を示すことがあり、またはより小さいセル(例えばピコセル)がより大きなセル(例えばマクロセル)によって完全に覆われることもある。つまり、複数のセルは、非常に大きいエリア内で近接したカバレッジを提供するセルラ・ネットワークを形成することができる。
【0005】
セルラ・ネットワークでは、動作時において、ブロードキャスト信号を送信するのが通常である。このような信号は、例えば、GSM(登録商標)のBCH(ブロードキャスト・チャネル)として、WCDMA(登録商標)(UMTS)のCPICH(共通パイロット・チャネル)として、およびLTEのRS(参照信号(複数))として知られる。同一または別個のブロードキャスト信号は、セルの(基地局の)存在を示すために、また、例えばセル識別のようなセル(システム)に関するブロードキャスト情報、例えばどのチャネルを使用してセルとのコンタクトを開始するかのようなセルの構成および/またはセルのリソースに関する情報をブロードキャストするために用いられる。このようなブロードキャスト信号は、例えば端末から受信した信号の強度を決定するために、端末がブロードキャスト信号に対する測定を行うのを可能にし、また、セルのシステム情報を受け取る。ブロードキャスト信号は、通常、セルが動作している限りにおいて送信される。これら信号のブロードキャストに伴う送信電力は、セル内の端末とセルが実際にはデータ交換をしていないとき、または、セル内に端末が全く存在しないときであっても、セルの最大送信電力の最大20%を消費することがある。
【0006】
セルラ無線ネットワークでは、通常は、端末が「アイドル・モード」であるか、または「アクティブ・モード」であるかを区別する。アクティブ・モードの場合、端末が位置するセルを通じて、端末はデータを交換(例えばeメールを送信/受信または電話の発呼)することができる。これには、ネットワーク内のリソース(例えば周波数および/またはコード)を必要とし、更に端末およびネットワークがその目的で電力を提供することも必要とする。アイドル・モードの場合、端末はデータを交換することはできず、従って、上記リソースを必要とはせず、より少量の電力しか消費しない。アイドル・モードである端末は、セルがブロードキャストする信号を定期的にリスン(listen)し、例えば端末が最も強力なものとして受信した信号を有するセルのような「最良セル」を選択することのみを行う。アイドル・モードである端末はまた、端末をアドレスしているページング・メッセージのために、当該選択したセルによって送信されるページング・チャネルの監視も行う。このような(アイドル・モードの)端末のことを、選択したセルに「キャンプ・オン」すると言う。例えば端末の移動性により、異なるセルが最良セルとして識別されたときに、端末は、異なるセルを「最良セル」として再選択して、新たに選択したセルにキャンプ・オンすることができる。なお、アイドル・モードである端末は、どのセルにキャンプ・オンしているかについて、また、異なるセルを最良セルとして再選択したときについては、セルおよび/またはネットワークに通常は通知することはしない。異なる位置エリア(LAまたはRAールーティング・エリア)であると見つけられたセルに対して、端末が再選択を行うときに、その端末は、セルのシステム情報から決定することができ、次いで、端末は、新規に選択されたセルを通じてネットワークとのコンタクトを開始して、LAまたはRAの更新手順を実行し、引き続きアイドル・モードに戻る。つまり、ネットワークは、アイドル状態の端末が位置するLA/RAを認識する(aware)。LA/RAは通常、複数のセルを含み、ネットワーク運用者によって設定されるものである。その結果、ネットワークは、どのセルにアイドル・モードの端末がキャンプ・オンしているかを認識することはせず、どのLA/RA内に端末が位置する(と予測される)かについて認識するのみである。
【0007】
セルラ無線アクセル情報通信ネットワークでは、端末がサービスを要求し、または端末がページングされているときに、端末およびネットワークがセッションをセットアップする必要がある。このことは、アイドル・モードの端末をアクティブ・モードに移行させるのを伴う。LTEネットワークでは、例えば、セッション・セットアップは2ステップからなるプロセスであり、その結果を図1に示す。ネットワークによってサービスが開始される場合に、当該ネットワークはページング手順を実行する。ここでは、ページング・メッセージが全てのセル内でブロードキャストされ、ネットワークは(RA/LAに)キャンプ・オンすることになる端末を予測する。端末は、当該端末をアドレスするページング・メッセージを受信するとき、またはサービスがページングされていない端末によって開始される場合に、最初のステップにおいて、端末は、現在キャンプ・オンしているセルに対してランダム・アクセス・チャネル(RACH)手順を実行して、無線リソース・コントロール(RRC)接続を確立する。成功したときに、2つ目のステップで当該セルとのRRC接続を使用して、端末と当該セルの間のデータ接続についてリソースをネゴシエートおよび確立する。次いで、ユーザ・データの端末とセルの間でユーザ・データの無線交換を可能にする。3GPP TS 36.213および3GPP TS 36.331には、これらの手順が更に詳細に記載される。
【0008】
図1に示すように、LTEネットワークについて、また例えばGSM(登録商標)およびUMTSのような他のレガシ・ネットワークについて、シグナリングまたはデータのような全ての送信は、端末および単一のセルの間で発生する。単一セルは、端末がアイドル・モードであるときに当該端末がキャンプ・オンするのと同一セルである。
【0009】
最近になって、新規かつよりエネルギ効果的なネットワーク・アーキテクチャが開発されつつある。新規なアーキテクチャの一態様は、比較的小規模のセルを使用するものである。高ビット・レートのデータ接続は、より多数の(少なくとも部分的にオーバーラップする)小規模セル(例えば、マイクロセル、ピコセル、フェムトセル)を用いることで、より少数の多数セル(例えばマクロセル)を用いるのと比べて非常に効率的に提供することができる。新規なアーキテクチャの更なる態様では、セルの電力消費が、実際に提供されるサービスを用いて(例えば、サービス提供されるアクティブ端末の数、端末に提供されるビット・レート、端末への接続によりカバーされる距離などを用いて)可能な限りのスケールが構想される。この構想を達成する1つの手法は、アクティブ端末に実際にはサービス提供していないセルを、電力セーブ・モードにすること、例えば、これらのセルをほとんど完全にスイッチ・オブすることを含む。別の補足的な手法では、従来型のネットワークに通常存在するブロードキャスト信号を送信するのを著しく減らし、即ち、送信を控えることを含む。これらブロードキャスト信号の送信は、特に最大限の負荷よりも小さい負荷で動作するセルに対して、大きなオーバーヘッドを生じさせる。
【0010】
新規なアーキテクチャは、異なるタイプのセルを区別することを構想する。第1のタイプのセルは、本テキストでは「SAセル」と称し、アクティブ状態の端末との間で、データの無線交換をサポートすることを主に最適化するものである。先に概説したエネルギ効率的な改良は、SAセルにフォーカスされる。第2のタイプのセルは、本テキストでは「LAセル」と称し、従来型のネットワークにおいても見つけられる機能を含んだ、セルラ・ネットワーク内の他の機能について主に最適化するものである。つまり、LAセルに帰属するオーバーヘッドに対して、本システム内のオーバーヘッドを低減させることを構想する。
【0011】
LAセルは通例、より大規模エリア、例えば従来型のマクロセルのエリアに相当するエリアをカバーする。複数のLAセルは共に、従来型のネットワークにおけるのと同様に、カバーすることが望まれるエリアに近接したカバレッジを提供する。LAセルは、従来型のセルと同様に、ブロードキャストおよびシステム情報を送信することができ、アイドル状態の端末は、LAセルにキャンプ・オンすることができ、更にLAセルとのシグナリング接続を開始して、例えばLA/RAの更新またはネットワークからの分離を実行することができる。
【0012】
SAセルは、例えば従来型のマイクロセル、ピコセル、またはフェムトセルのエリアに相当するより小規模なエリアをカバーする。複数のSAセルは共に、カバーするのが望まれる近接エリアにおいて特定のビット・レートをサポートすることができる。SAセルは、必要とされたときに信号を送信するに過ぎず、通常は「オフ」モードまたは電力セーブもしくはスタンバイ・モードであるとみなすことができる。アイドル状態の端末はまた、SAセルにはキャンプ・オンしない。このようなネットワークは、「ビヨンド・セルラ・グリーン世代(Beyond Cellular Green Generation)」(BCG2)ネットワークと称されるが、この用語は将来的に変更される可能性がある。従って、本出願の文脈では、このようなアーキテクチャを有するネットワークについて「エネルギ効率的セルラ無線ネットワーク」と称することにする。
【0013】
エネルギ効率的セルラ・ネットワークのセッション・セットアップの結果について図2に示す。セッションのセットアップがネットワークにより開始される場合、引き続き、端末がキャンプ・オンしているLAセルを通じてページング・メッセージを受信する。図示のように、エネルギ効率的セルラ・ネットワークにおけるセッション・セットアップは、2つの部分に更に分割することができる。第1の部分は、端末と現在キャンプ・オンしているLAセルとの間のシグナリング接続を確立することを含む。シグナリング接続は、レガシ・ネットワークと同様に、RACH手順およびRRC接続セットアップを含むことができる。端末とLAセル間のシグナリング接続が確立された後の第2の部分は、適切なSAセルとの間でデータ接続(データセッション)を確立することを含む。
【0014】
なお、エネルギ効率的ネットワークでは、本アーキテクチャによれば、適切なSAセルを迅速に識別することが不可能な場合が時々あることに留意すべきである。このことは、例えば、端末に近接する全てのSAセルが電力セーブ・モードであることがあり、適切な信号を送信しないことから生じることがある。このことはまた、幾らかのSAセルがアクティブである場合、また、端末が適切な信号をSAセルから検出する場合であるものの、要求されたデータ・セッションをエネルギ・セーブの見込みからは最適にはサポートできない場合(例えば、非アクティブ状態のSAセルがより良い位置、例えば端末の非常に近くにある場合)にも生じることがある。このことはまた、あるSAセルがアクティブ状態であるものの、そのアクティブ状態のSAセルが、要求されたデータ・セッションをサービス品質(QoS)の見込みからは最適にサポートできない場合(例えば、アクティブ状態のSAセルが要求されたビット・レートでデータ・セッションをサポートすることができない一方で、非アクティブ状態のSAセル(1または複数)がサポートできる場合)にも生じることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
図1および図2から理解できるように、当該新規アーキテクチャによるネットワーク内でのセッション・セットアップは、レガシ・ネットワークにおけるものとは異なる。1つの違いとしては、端末は、アイドル状態の端末がキャンプ・オンしている「最良セル」に要求メッセージを発出するものの、当該セルは通常、端末にサービス提供する予定はない(即ち、実際のユーザ・データを交換するデータ接続は別のセルとセットアップされている)ということである。別の違いとしては、データ接続をサポートするSAセルのRAT(無線アクセス技術)は、アイドル・モードの端末をサポートするLAセルのRATと同一である必要はないということである。このことは、一方または双方のRATをそれぞれの主な用途に別個に最適化可能である。更なる別の違いとしては、新規アーキテクチャにおいては、データ接続をサポートする「最良セル」を尚も見つけ出す必要があるということである。従って、エネルギ効率的ネットワークのセッション・セットアップ手順の一部として、適切なセル(SAセル)は端末とのデータ接続をサポートするように選択される必要がある。高品質および/またはユーザ経験を確実にするために、適切なセルの識別、およびそれとのデータ接続の確立の両方を含むセッション・セットアップは、素早く実行されることが好ましい。
【0016】
先に示したように、当該技術分野で必要とされるのは、例えばBCG2ネットワークのようなエネルギ効率的ネットワークにおける、端末およびSAセルの間のデータ接続の確立を促進する方法およびシステムである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一態様によれば、少なくとも1つのLAセルおよび複数のSAセルを備える電気通信システムにおいて、端末と複数のSAセルの内の少なくとも1つとの間のデータ接続の確立を当該端末に促進するための方法について提供する。本方法は、端末がアイドル・モードであり、且つLAセルにキャンプ・オンしている間に、当該端末が情報要求メッセージ(IRM)を複数のSAセルに対して送信するステップ、および複数のSAセルの内の1つ以上のSAセルのそれぞれから、各SAセルの受信したIRMの信号の強度を少なくとも示す情報を含むメッセージを受信するステップを含む。本方法は更に、1つ以上のSAセルから受信したメッセージに少なくとも部分的に基づいて、端末と選択されたSAセルとの間のデータ接続を確立するために、複数のSAセルの内から1つのSAセルを選択するステップを含む。この電気通信システムは、セルラ無線アクセス電気通信システムを含むのが好ましい。
【0018】
本発明の実施形態の文脈では、「LAセル」および「SAセル」という表現は、2つの異なる種別のセルの間を区別するために用いたものである。第1タイプのセルは、LAセル(大規模エリア・セル)であり、第2タイプのセルと比較して、より小さなビット・レートでより大規模のエリアをカバーできるセルのことに関する。LAセルは、主に、端末との間でシグナリング・メッセージを搬送することを意図しており、例えば、LAセルは端末を少なくともページングできることを意図する。アイドル・モードである端末は、更に、これらLAセルの内の少なくとも1つに「キャンプ」オンするように想定することができる。LAセルが端末との間で無線ユーザ・データを搬送するのに用いられることを主に意図していない一方で、ページングとは異なる他のシグナリングを排除するのではなく、幾らかのユーザ・データもまたLAセルを介して搬送される。無線アクセス・ネットワークにおいて意図するカバレッジ・エリアでは、少なくとも1つのLAセルが完全に動作可能であり、言い換えれば、LAセルは、「通常オン」しているものと想定することができる。
【0019】
第2タイプのセルは、主に、SAセル(小規模エリア・セル)であり、LAセルと比較して、より大きなビット・レートでより小規模なエリアをカバーすることができるセルのことに関する。SAセルは、主に、確立したデータ接続を通じて、端末との間でユーザ・データを搬送することを意図する(即ち、SAセルは、主にアクティブ状態の端末との間の接続をハンドリングするのを意図する)。それにも拘わらず、幾らかの他の情報および/または幾らかのシグナリングはまた、SAセルを通じて搬送されることの排除を意図するものではない。無線アクセス・ネットワークにおいて意図するカバレッジ・エリアでは、少なくとも1つのSAセルがカバレッジを提供可能であることを想定することができる。SAセルは、必要なときに完全に動作可能となるに過ぎず、言い換えれば、SAセルは「通常オフ」である。
【0020】
本発明の様々な実施形態によれば、SAセルは、周波数帯および/または無線アクセス技術(RAT)の如何なる混合においても見つけることができる。(例えば、マクロ、マイクロ、ピコ、およびフェムトのSAセルが、階層化された組織と共に、または当該組織なしで)異なるサイズのSAセルが存在することを排除するのでもなく、より大規模のSAセルは、例えばより効率的に移動体端末により高度にサービス提供することができるものである。
【0021】
本明細書において、「端末とSAセルの間のデータ接続」という表現は、端末とSAセルとの間でユーザ・データを無線交換するための通信経路のことに関する。例えば、ユーザ・データのための通信経路は、端末とSAセルの間の部分(section)断面を含み、通常は、パラメータのセットに従って、例えばどの種別のユーザ・データが(例えばeメールの送信/受信、音声または動画の通話等を行うのに)交換する必要があるかに従って、セットアップされる。パラメータのセットは、当該技術分野において一般に「QoSパラメータ」または「QoSプロファイル」と称され、例えば最大ビット・レート、保証された(最小)ビット・レート、ビット・エラー・レート、および遅延/レイテンシのようなパラメータを含むことができる。
【0022】
対照的に、端末とLAセルの間で交換されるシグナリング・メッセージは、ユーザ・データを含まず、例えば、端末と電気通信システム内の様々なエンティティとの間で交換される。シグナリング・メッセージは、接続を確立することなく、即ち、適度のビット・レートを有し、シグナリング情報のほとんどを損失することなく到達するのに十分な品質を有する「シグナリング接続」を通じて交換することができる。シグナリング接続は、用いられる際には、付随する「データ接続」のパラメータと大部分において独立することにもなる。
【0023】
更に、「ユーザ・データ」および「ユーザ端末」という用語は、必ずしも人間のユーザの存在を意味するのではなく、本発明の実施形態はまた、例えば人間が介入しないスマートフォンによるeメール・チェックやマシン・ツー・マシン(M2M)通信にも適用可能であることが理解されるべきである。「ユーザ・データ」という用語は、単に、シグナリングを通じて交換されることになる実際のデータについてシグナリングとの間で区別するために用いるに過ぎない。
【0024】
本明細書で説明するように、端末は「アクティブ・モード」または「アイドル・モード」のいずれかとすることができる。本明細書において用いる「アイドル・モードである端末」という表現は、ユーザ・データを変更せず、また、ユーザ・データを交換することはできないものの、LAセルにキャンプ・オンして、おそらくはLAセルから端末宛てのページング・メッセージを監視している端末のことに関する。言い換えると、「アイドル・モードである端末」という表現は、端末とSAセルとの間におけるユーザ・データの無線交換についてのサポートを有していない端末のことを説明するために用いるものである。対照的に、「アクティブ・モードである端末」という表現は、ユーザ・データを交換するか、または少なくとも1つのSAセルを通じてユーザ・データを交換できる端末のことに関する。言い換えると、アクティブ・モードである端末は、端末とSAセル(1または複数)の間におけるユーザ・データの無線交換をサポートし、またはサポートできる。アイドル・モードおよびアクティブ・モードというこれらの概念は、標準化された従来型のネットワークにおける同様の表記に相当するものの、必ずしも、標準化された定義と厳密に一致する必要はない。
【0025】
一実施形態では、IRMは、端末と複数のSAセルの内の1つとの間のデータ接続を確立する要求を含み、更に、端末が要求したサービスの指標および/または端末の性能の指標をオプションとして含む。
【0026】
一実施形態では、IRMは、2回以上送信される。
【0027】
一実施形態では、IRMは、端末と複数のSAセルの内の1つとの間のデータ接続が確立されることになるとの指標を受信したときに、および/または所定のパターンにより、送信される。
【0028】
一実施形態では、本方法は更に、端末と選択されたSAセルとの間にデータ接続を確立するステップを含む。
本発明の別の態様によれば、本明細書において説明する方法で使用するように構成されるLAセルを開示する。LAセルは、IRMを端末に送信させるよう指示する送信トリガを提供し、および/またはIRMリスニング・モードに入れるために、受信トリガを複数のSAセルの内の少なくとも1つに提供するように少なくとも構成される。IRMリスニング・モードでは、複数のSAセルの内の少なくとも1つがIRMを受信可能であり、任意で、サービス要求メッセージを端末から受信したことに応じて受信トリガが提供される。
【0029】
本発明の別の態様によれば、本明細書において説明する方法で使用されるように構成されるSAセルについて開示する。SAセルは、SAセルがIRMを受信した強度を決定し、決定した強度を示す情報を少なくとも含むメッセージを端末に提供するように少なくとも構成される。
【0030】
一実施形態では、SAセルは、メッセージを2回以上端末に提供する。
【0031】
一実施形態では、SAセルは更に、SAセルに割り当てられたチャネル・コードを用いてメッセージをSAセルに提供し、および/またはSAセルの指標をメッセージ内に含めるように構成される。
【0032】
一実施形態では、SAセルは、所定の回数、例えば定期的にIRMリスニング・モードに入れるように構成され、IRMリスニング・モードにおいて当該SAセルはIRMを受信可能となる。
【0033】
一実施形態では、SAセルは、LAセルから受信トリガを受信したのに応じてIRMリスニング・モードに入れるように構成され、当該受信トリガが、IRMリスニング・モードに入れるようにSAセルに指示する。受信トリガは、LAセルがサービス要求メッセージを端末から受信したことに応じて、またはLAセルがページング信号を端末に送信するための要求を受信したことに応じて、SAセルに提供される、
一実施形態では、SAセルは更に、SAセルと端末の間でデータ接続が確立されることになるという指標を受信するように構成される。
【0034】
本発明の他の態様によれば、端末と、本明細書に説明する様々な機能を実行するための(おそらくは配信される)部分を有するコンピュータ・プログラム、このようなソフトウェア部のためのデータ・キャリア、および電気通信システムについて開示する。電気通信システムは、本明細書において説明する2以上の端末、LAセル、およびSAセルを含むことができる。
【0035】
本発明の更なる別の態様によれば、第1のSAセルおよび1つ以上の追加のSAセルを少なくとも備える電気通信システムにおいて、アクティブ・モードの端末が、第1のデータ接続を第2のデータ接続にハンドオーバするのを促進する方法について開示する。第1データ接続は、端末と第1SAセルと間のデータ接続である。第2データ接続は、端末と1つ以上の追加SAセルの内の第2SAセルとの間の第2データ接続である。本方法は、1つ以上の追加のSAセルにIRMを送信するステップ、1つ以上の追加のSAセルの内の1つ以上のSAセルのそれぞれから、各SAセルがIRMを受信した強度を示す情報を少なくとも備えるメッセージを受信するステップを含む。本方法はまた、1つ以上のSAセルから受信したメッセージに少なくとも部分的に基づいて、端末が1つ以上の追加のSAセルの内の第2SAセルを選択するステップを含む。
【0036】
以下に、本発明の実施形態についてより詳細に説明する。しかしながら、これらの実施形態が本発明の保護範囲を限定するものとして解釈されることができないことが認めて然るべきである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、レガシ・ネットワークのセッション・セットアップの結果についての概略図である。
図2図2は、本発明の一実施形態によるエネルギ効率的ネットワークのセッション・セットアップの結果についての概略図である。
図3図3は、本発明の一実施形態による電気通信システムについての概略図である。
図4図4は、本発明の一実施形による、電気通信ネットワーク内のLAセルおよび複数のSAセルのカバレッジについての概略図である。
図5図5は、本発明の一実施形態による、端末がSAセルからの信号を測定するときに1つ以上のSAセルを選択するための方法についてのフロー図を示す。
図6図6は、本発明の一実施形態により、端末が情報要求メッセージを送信するときに1つ以上のSAセルを選択するための方法についてのフロー図を示す。
図7図7は、本発明の一実施形態により、端末が情報要求メッセージを送信するときに1つ以上のSAセルを選択するための方法についてのフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図3は、本発明の一実施形態による電気通信システム10について示す。図示のように、電気通信システム10、好ましくは、セルラ無線アクセス電気通信システムは、少なくとも判断ユニット11、LAセル12、およびSAセル13,14を含む。図3はまた、ユーザ端末15を示す。明確化のために、電気通信システムにおける最も関連する構成要素だけを図3に示す。他の構成要素は、図3に示さないが、存在してもよく本発明の範囲内である。このような「他の構成要素」は、例えば追加のSAセル、追加のLAセル、追加の端末、電気通信システムの更なる構成要素、並びに各セルを電気通信システムおよび/または相互に接続するバックホール・リンクを含むことができる。
【0039】
以下に、判断ユニット11、LAセル12、SAセル13,14および端末のそれぞれについて概略的な説明を行う。この概略的な説明に続き、これらの構成要素が有する各々の機能についてより詳細な説明を、異なる解決手段を検討して行う。
【0040】
判断ユニット11は、少なくとも端末15およびおそらくはSAセル13,14とメッセージを交換できるユニットである。実施形態の中には、後に詳述するように、判断ユニット11が1つ以上のSAセルを選択するように構成することができ、当該SAセルを用いて端末15がデータ接続を確立できるものもある。そのためには、一実施態様では、判断ユニット11は、メッセージを交換するための通信インタフェース、(おそらくはメッセージ内で受け取った)データおよび/またはコンピュータ・プログラム命令を格納するためのメモリ、並びに、データを処理しコンピュータ・プログラムを起動するためのプロセッサ等を少なくとも含むことができる。他の実施形態では、判断ユニット11は、ソフトウェアまたはファームウェア内で実装することができる。更なる他の実施形態では、判断ユニット11は、ハードウェア、ソフトウェアおよびファームウェアの如何なる組合せとしても実装することができる。
【0041】
図3に示す実施形態では、判断ユニット11はLAセルの一部であることが示される。しかしながら、他の実施形態では、判断ユニット11は、LAセル12に含まなくてもよいが、スタンドアロン・ユニットが更なるネットワーク・ノードに含まれ、または、2以上のネットワーク・ノード間で分散することができる(例えば、判断ユニット11の機能の一部をLAセル12内で実装することができる一方で、他の部分を図3には示さない更なるネットワーク・ノード内に実装することができる。)特に明記しない限り、判断ユニット11に関し、本明細書で行った検討は、判断ユニット11をLAセル12の一部とする実施形態、および判断ユニット11がLAセル12の外部に実装される実施形態の両方に適用するものとする。
【0042】
LAセル12は、少なくとも、端末15がLAセル12にキャンプ・オンすることができ、または、当該技術分野において従来から知られた手法で端末15をページングできるように構成されたLAーcellのセルである。本発明の実施形態の中には、LAセル12はまた、端末15からサービス要求メッセージ(SRM)を受信するように構成されるものもある。サービス要求メッセージは、データ接続が、図3には図示しない無線トラフィック(即ち、ユーザ・データの無線交換)をサポートするために、端末15とSAセルの内の1つとの間で確立されるのを必要とすることを示す。
【0043】
LAセル12が端末との間で無線ユーザ・データを搬送することを主には意図しないものの、ページング以外の他のシグナリング、即ち、データ・セッション(呼)における完全な期間または一部の期間に渡る(音声通話のような)低ビット・レート・トラフィックといった、幾らかのユーザ・データ・トラフィックがまたLAセル12を通じて搬送されるのを排除するものではない。
【0044】
SAセル13,14と比較すると、LAセル12は、より大規模な地理的エリアを、より低いビット・レートでカバーするように構成される。アイドル端末がキャンプ・オンするためにLAセルを選択する地理的エリアは、LAセルのカバー・エリアと称される。適切に必要な大きさにされたセルでは、エリア内の端末は通常、システム情報およびLAセルからのシグナリング・メッセージ(例えばページング・メッセージ)を首尾良く受信することもできる。このことは逆方向の適用についても想定される。即ち、LAセルにキャンプ・オンしている端末が、シグナリング・メッセージ(例えば、サービス要求メッセージ)を、キャンプ・オンしているLAセルに送信するときに、LAセルは通常そのメッセージを首尾良く受信することができる。ワイヤレス・アクセス・ネットワークにおいて意図されたカバー・エリアでは、少なくとも1つのLAセル(図3ではLAセル12)は、完全に動作可能、即ち「通常オン」であり、端末とシグナリング・メッセージの交換をサポートできることを想定する。最も単純な実施形態では、LAセル12が常に完全に機能的である(「オン」)ことを意味することができる。他の実施態様では、LAセルに適した電力セーブ・オプションがLAセル12に適用することができる。
【0045】
これは、LAセル12が必ずしも常に「オン」である必要はないことを意味する。
【0046】
端末15は、例えば移動体電話のような実際の人間のユーザにより動作される端末とすることができる。この移動体電話を用いて、ユーザは音声通話を行い、またはインターネットをブラウズすることができるが、人間による介入のないスマートフォンまたはブラックベリーの動作とすることもできる。そしてまた、スマート電気メータまたはカメラ監視(surveillance)デバイスのようなM2Mデバイスとすることもできる。
【0047】
端末15は、アクティブ・モードまたはアイドル・モードとすることができる。本明細書において用いるように、端末15は、ユーザ・データまたは端末15とSAセル13,14との間のトラフィックにおける無線交換のサポートがない間は、アイドル・モードであると言われる。本明細書において用いるように、少なくとも1つのSAセル13,14とデータ交換することができるときには、端末15はアクティブ・モードであると言われる。なお、これらアイドル・モードおよびアクティブ・モードの表記が、標準化された従来型のネットワークでの同様の用語の意味に相当するものとすることができるものの、本明細書で用いるように、それらは必ずしもこのような標準化された定義と厳密に一致させる必要はないことに留意すべきである。
【0048】
更に、端末15は、ある形態の電力セーブ・オプション(即ち、電力セーブ・モードまたは動作可能モード。ここでは、端末が動作可能モードよりも、電力セーブ・モードでの方がより小さい電力消費を行う)をサポートすることができる。電力セーブ・モードと動作可能モードの間の相違は、端末により消費される電力量に基づくものであるために、アイドル・モードとアクティブ・モードの間の相違が、SAセルとユーザ・データを無線交換するためのサポートの存在に基づく。その一方で、端末は、例えば、動作可能モードとできるが未だアイドル状態の端末とすることができる(または、動作可能モードの端末がアクティブ・モードであるとすることができる)。同様に、電力セーブ・モードの端末は、当該端末が少なくとも1つのSAセルとの間でユーザ・データの無線交換をサポートするかどうかに従って、アクティブまたはアイドルのいずれかとすることができる。しかしながら、電力セーブ・モードのアイドル端末が「ウェイク・アップ」して(即ち、電力セーブ・モードを抜けて、動作可能モードに入る)、少なくとも1つのSAセルとのデータ接続の確立を促進する特定のアクションを実行し、その後に端末が「アクティブ」(且つ動作可能)になるという状況はほとんど共通しているであろう。本発明の実施形態が、端末のためのセッション・セットアップ(即ち、1つ以上のSAセルとのデータ接続の確立)を処理するために、以降では、端末が有するアイドル・モードとアクティブ・モードとの間の主な相違について説明する。
【0049】
アイドル・モードの端末15は、少なくともLAセルに「キャンプ・オン」することが想定でき、これはまた、従来の手法で実現することもできる。例えば、LAセルは、パイロット信号またはビーコン信号をブロードキャストすることができ、端末15がこれを受信することができる。次いで、端末は受信した信号に収容された情報を用いて、キャンプ・オンするLAセルを選択または再選択することができる。図3では、LAセル12によって送信され、端末15によって受信される信号を実線矢印として示している。実施形態では、端末15は、位置/ルーティング・エリアの変更についてネットワークに通知することができてもよく、その結果、図3には示さないが、LAセル12のページング機能を促進することができる。
【0050】
SAセル13,14は、データ・セルであり、主にその用途で確立されたデータ接続を通じて端末15との間でユーザ・データ・トラフィックを搬送することを意図するものである。しかしながら、幾らかの他の情報または幾らかの信号がまた、SAセルの内の1つ以上を介して搬送することを排除するものではない。
【0051】
SAセル13,14のそれぞれは、LAセル12とは対照的に、より小規模なエリアをより高いビット・レートでカバー可能にすることを意図する。典型的な配備(deployment)シナリオでは、SAセルの近辺でカバーできるエリアは、相当量の重複を示すことになる。無線アクセス・ネットワークにおいて意図したカバー・エリアでは、SAセル13,14の内の少なくとも1つはカバレッジを提供することが可能であるものと想定できる。SAセルは、必要とされる程度のとき、言い換えれば「通常のオフ」のときには、完全に動作可能なのみである。SAセルは、少なくとも1つの形態の電力セーブ、例えば電力セーブ・モードまたはスタンバイ・モードをサポートすることが想定される。そのためには、図3の例示の実施形態は、SAセル13が電力セーブ・モードのSAセル(図3に白い三角形として示す)である一方で、SAセル14は、アクティブ・モードのSAセル(図3にグレーの三角形として示す)であることを示す。図3では、アクティブSAセル14によって送信され、端末15によって受信された信号を実線矢印として示している。その一方で、電力セーブ・モードであるSAセル13によって送信され、おそらくは端末15によって受信される信号を破線矢印として示している。
【0052】
端末15、LAセル12、およびSAセル13,14の各々は、プロセッサ、メモリ・ユニット、および通信インタフェースの内の少なくとも1つ以上を含むことができ、本明細書で説明するこれらユニットが有する機能を実行するように構成される。
【0053】
図4は、本発明の一実施形態による、電気通信ネットワークにおけるLAセルおよび複数のSAセルのカバレッジ・エリアについての概略図である。図4に示すように、LAセル22は、図3に示されたLAセル12とすることができ、破線の円23で示される比較的大規模のカバレッジ・エリアを有することができる。三角形24のような複数のSAセル(三角形として示される)の各々は、図3に示したSAセル13,14とすることができる。SAセル24は、異なる、比較的より小さいカバレッジ・エリアを有することができ、例えば円25のように実線の円で示されている。図4は更に、アイドル・モードの端末26およびアクティブ・モードの端末27を示す(アクティブ・モード端末は、輪郭をはっきりと示している)。端末26および27の各々は、図3に示された端末15とすることができ、また、カバレッジ・エリア25の内の1つ以上の内部にあるとすることができる。LAセル22のカバレッジ・エリア23内のアイドル・モード端末26は、LAセル22にキャンプ・オンしていると言われる。カバレッジ・エリア25を有する白色のSAセル24は、電力セーブ・モードのSAセルを示すことを意図する。他方、カバレッジ・エリア26を有するグレーで示すSAセル24は、アクティブ・モードのSAセルを示すことを意図し、アクティブ端末27との間で進行中のデータ・セッションを1つ以上有する。勿論、他の実施形態では、カバレッジ・エリア23および25は、円である必要はない。
【0054】
解決手段#1:SAセルによって送信された信号を測定した、アイドル・モードの端末を介したセッション・セットアップ
図3および図4に説明した文脈では、端末15は、最初に、アクティブになる意思があるアイドル端末であると想定される。何故ならば、端末はページングを受信する(例えばLAセルから。端末は例えばLAセル12にキャンプ・オンする)からであるか、または端末15は(おそらくは端末のユーザを介して、または端末上で起動するアプリケーションを介して)ユーザ・データの交換について要望を示すからのいずれかである。本発明の実施形態は、その端末のために、適切なSAセル(既にアクティブであるものか、または現在電力セーブ・モードであるもの)を選択する(割り当てる)という課題に対処する。
【0055】
参考のために、従来型のネットワークでは、端末は、現在キャンプ・オンしているセル(また、適用可能なときに、当該セルを介して端末はページングを受信した)を通じて、アクティブ・モードを開始し、また、結果としてもたらされた、ユーザ・データ・トラフィックを搬送するためのデータ接続は、(ハンドオーバまたは異なるセルに向けられた再トライを排除することなく)同一セルによりサポートされる。対照的に、次のことが、図3に示したエネルギ効率的ネットワークのための解決手段を提供する。ここでは、端末とネットワークの間のシグナリング・メッセージは、LAセルを用いて交換されるが、ユーザ・データを交換するためのデータ接続は、SAセルの内の1つと確立される。
【0056】
この解決手段についての実施形態は、電気通信ネットワーク内のSAセルの内の少なくとも幾らかは、端末15がアイドル・モードである間に受信することができる信号を発出するように構成されるというアイデアに基づく。端末がなおもアイドル・モードであり、LAセル12にキャンプ・オンしている間に、端末15は受信した信号を分析するように更に構成される。より具体的には、アイドル・モードである端末15は、例えば信号強度および/または信号の経路損失推定のような、受信した信号についての伝番状態を表す特性を判断するように構成される。端末15はまた、LAセル12を介して判断ユニット11にレポートを提供するように構成される。当該レポートは、端末15が信号を受信および分析したSAセルの内の少なくとも幾らかについて判断した特性の少なくとも幾らかについての情報を少なくとも収容したものである。端末15から受信したレポートに収容された情報に少なくとも部分的に基づいて、判断ユニット11は、次いで、端末15にサービス提供するために、電気通信ネットワーク内のSAセルの内の少なくとも1つについて選択を行うことができる。言い換えれば、判断ユニット11は、端末15がユーザ・データを交換するために、データ接続を確立することができる1つ以上のSAセルの選択をすることができる。
【0057】
このような手法で、端末15は、当該端末15と様々なSAセルとの間の伝搬状態に関する情報を判断ユニット11に提供することによって、端末15とSAセルの内の1つの間でデータ接続を確立するのを促進する。判断ユニット11がこのような利用可能な情報を有するとき、データ接続を確立するための最適なSAセルの選択は、より素早くおよび/またはより正確に実行することができる。
【0058】
図5は、本発明の一実施形態により、端末15がSAセルからの信号を測定するときに、1つ以上のSAセルを選択するための方法ステップのフロー図について示している。本方法ステップについて図3に関連して説明するものの、本方法ステップを如何なる順序で実行するように構成される如何なるシステムもが本発明の範囲内であるということが当業者には認められるであろう。
【0059】
本方法は、ステップ31で開始し、ネットワーク内の1つ以上のSAセルが端末15に向けられた信号を送信する。ステップ32では、端末15は、SAセルによって送信された信号の内の少なくとも幾らかを受信して処理するように構成される。
【0060】
本発明の実施形態によれば、端末15が受信および分析できる信号にういて、アクティブなSAセルのみならず、電力セーブ・モードのSAセルもが発出することができる。後者は、エネルギ効率的ネットワークにとって部分的に有利である。何故ならば、信号(例えばパイロットおよびシステム情報)を送信することは、セルの最大送信電力のかなりの部分に達することができるからであり、その結果、トラフィックが全くないセル、またはトラフィックをほとんど搬送していないセルについては非常にエネルギ非効率となるからである。しかしながら、本発明の幾らかの実施形態によれば、電力セーブ・モードであるSAセルはまた、端末15が受信および分析できる信号を発出するように構成することもできる。そのためには、電力セーブ・モードであるSAセルは、時間の一断片(fraction of time)にわたり、例えば断続的に発出される信号、いわゆる「プレゼンス信号」の発出のみを行うように構成することができる。例えば、このようなSAセルは、1/10番目の断片に対応させるために、信号を9秒間発出しなかった後に、1秒間にわたり信号を発出するように構成することができる。このような手法でデューティ・サイクルを(信号を発出するために「オン」と「オン」+「オフ」との間の時間の比率)変更させることで、送信が実質100%時間となる従来型の手法とは逆に、発出されたプレゼンス信号の電力を、同一断片に対して低減させることができる。一実施形態では、SAセルによって発出される断続的な信号の最大デューティ・サイクルは、例えば1/8番目とすることができ、この結果、連続して発出される同一信号と比較して8倍の電力セーブとすることができる。
【0061】
SAセルによって発出される信号は、アイドル・モードである端末15が検出および分析するのに適切なものとすべきである。このことは、信号が十分に長く持続させなければならず、且つ端末によってデコード可能でなければならないことを意味する。信号は、好ましくは、端末15が断続信号を過剰な待ち時間なく受信および分析するのを可能とするために、十分な頻度なものとすべきであり、例えば1秒に1回は発出すべきである。
【0062】
加えて、信号は、異なるSAセルから端末が受信した信号の間を区別できるようにすべきである。一実施形態では、この区別は、一意にコード化された信号を発出するそれぞれのSAセルによって実施してもよい。他の実施形態では、各SAセルは信号内にその識別を含んでもよい。更に別の実施形態では、SAセルのそれぞれは、異なるチャネルを介して信号を発出することができ、そして、端末15はこれらの異なるチャネルを「リスンする」ように構成してもよい。更に、SAセルがこれらの信号を断続的に発出する場合に、端末15はまた、信号を受信した時間に基づいて、SAセル間を区別することもできる(但し、端末とSAセルの間で同期された場合であって、各SAセルからの信号が受信されることになると予測すべきときに、端末が、その時間を示す情報へのアクセス権を有する場合である)。もちろん、これらの実施形態と、異なるSAセルから受信した信号間で区別するための他の手法との組み合わせがまた可能であり、本発明の範囲内である。
【0063】
一実施形態では、上記の手法の内の任意の1つで提供されるSAセルの識別は、グローバルに一意の識別とすることができ、これは、各SAセル間でのグローバルな区別を可能にする。しかしながら、このようなグローバルに一意の識別は、必ずしも必要ではない。他の実施態様では、識別は、例えば特定の関連する地理的エリア内の特定のSAセル(例えば、LAセルのカバレッジ・エリア内で少なくとも部分的なカバレッジを提供するSAセル)を一意に識別するようなものとするとよい。
【0064】
電力セーブ・モードであるSAセルに特に有用な一実施形態としては、SAセルによる信号の送信は、所定のパターンで(例えば定期的に)行われるように構成するのがよい。電力セーブ・モードであるアイドル端末は、次いで、これらSAセルの内少なくとも最も関連があるものの信号を受信および分析するために、その「ウェイク・アップ」時間を同期させるように構成するとよい。
【0065】
SAセルにおける所定の送信パターンについて、これら送信が可能な限り、一貫して同時発生するものとはならないように、SAセル(端末に特に関連する少なくともいくつかのもの、例えば相互に近接するもの)のプレゼンス信号の送信インスタンスを組織化することを、1つの選択肢とすることができる。このことは、いくつかの理由により有利となる。1つの理由は、端末が、異なるSAセルから受信した信号の間をより簡単に区別するのが可能となるからである。別の理由は、例えばその時点の1つのSAセルにおいて、(おそらくは、第1のSAセルと同一の範囲から受信した信号の強度を有する)近隣の他のSAセルのプレゼンス信号からの干渉なしに、端末が素早いセッション内の幾らかのSAセルの評価を行うことを可能とするからである。
【0066】
SAセルの所定の送信パターンについての代替の選択肢として、送信が実質的に同時に発生するように、SAセルのプレゼンス信号の送信インスタンスを組織化するものとすることができる。この選択肢では、端末が同時に幾らかのSAセルのプレゼンス信号に対して測定を実行することができれば実現性があり、端末内でより多くの処理電力を必要とする。このことは、端末に、一度にSAセルのプレゼンス信号の評価を行わせ、次いで電力セーブ・モードに再度戻させることになる。
【0067】
一実施形態では、電力セーブ・モードのアイドル端末は、ある所定の時間において電力セーブ・モードを抜け出ることができ、その結果、SAセルからの信号を受信および測定できる。端末は、例えば定期的にまたはLAセルからページング信号を受信したときに、そのようにすることができ、例えばデータ接続を確立する必要があるべきこと、または例えばネットワーク管理の用途および/もしくは端末のローカル化の用途でレポートが要求されることを端末に対して示す。他の実施形態では、端末がデータ接続を確立する必要があるときに、SAセルからの信号の監視のみを開始するように構成してもよい。このような実施形態では、端末がアイドル・モードである時にわたり、電力をセーブするのを可能にするであろう。しかしながら、端末が判断ユニットに関連情報を送信できないうちはレイテンシを増加させ、つまりデータ接続を確立する際、レイテンシを増加させる結果となる場合がある。例えば新規の電子メールを検査および抽出するといった数多くのアプリケーションに対し、このようなレイテンシの増加は、当該アプリケーションに重大な影響を及ぼすことにはならないであろう。
【0068】
更なる別の実施形態では、電力セーブ・モードであるSAセルの内の1つ以上は、端末によって受信されることになる信号を発出するために、LAセルによってトリガすることができる。このことは、例えばLAセルが端末からサービス要求メッセージを受信したのに応じて、またはLAセルが端末をページングしたときに(もしくはその前に)、実施することができる。端末がまた電力セーブ・モードでもある場合は、LAセルは、SAセルのためにトリガを同期させて、トリガと共に信号を端末に送信して信号を受信および分析する。この実施形態ではまた、判断ユニット11によってトリガされている1つ以上のSAセルを電力セーブ・モードに保つ。判断ユニットは、LAセル12の一部であるか、またはLAセル12外部のエンティティのいずれかとすることができる。
【0069】
信号を送信するSAセルに対するトリガは、端末位置の推定、端末位置の推定精度の推定、および推定した端末位置に近接するSAセルの行動ステータスの内の1つ以上に少なくとも部分的に基づくことができる。一実施形態では、端末位置推定および位置推定の精度推定を、端末がLAセルに提供することがきる。何故ならば、端末は、組込のGPSを有しており、通例は、位置推定および位置推定の精度の指標の両方を提供できるからである。別の実施形態では、これらの値は、LAセルによって、端末から受信したサービス要求メッセージが有するコンテンツから導出することができる。このことは、例えば、端末が受信した全ての種類の信号(アクティブSAセル信号、WiFiホットスポット信号、LAセル信号等)の信号レベルを提供することによって実施できる。LAセル(またはLAセルに付随する別個の位置推定ユニット)は、次いで、この情報を処理して位置推定および精度推定をすることができる。
【0070】
端末15は、対応するSAセルについての指標と共に、測定した信号に対する少なくとも最も最近の最も関連のある結果のリストを保持するように構成することができる。
【0071】
ステップ33では、端末15は、レポートを判断ユニット11に提供するように構成される。レポートは、端末が分析したSAセルについて測定(determined)した特性の内の少なくとも幾らかに関する。端末15は、LAセル12を介してレポートを判断ユニット11に提供するように構成することができる。このような実施形態は有利なものとなる。何故ならば、LAセルは、判断ユニットを通過したレポートに情報、例えばLAセルの識別を付加するように構成することができるからである。また、判断ユニット11は、LAセルの識別を有し、更に、レポートが情報を収容するSAセルについての識別を促進することができる。
【0072】
一実施形態では、端末15は、データ接続を確立する急ぎの必要性が存在しないときであっても、定期的にレポートを提供することができる。このような実施形態では、判断ユニット11が最適なSAセルを選択するのに十分に利用可能な情報を有することができ、データ接続が確立される必要がないときに、端末にサービス提供できるという利点を有する。これはまた、端末の位置に関し、単なる位置/ルーティング・エリアよりもより正確な情報をネットワークに提供することができ、この情報は、例えば統計目的に関連するものとしてもよい。
【0073】
他の実施形態では、端末15は、LAセルからページング信号を受信したらすぐに、または端末がアクティブになることを望むときに(例えば、データ接続が確立される必要があるときに)、レポートの提供のみをすることができる。後者の場合、端末は、LAセルを介してサービス要求メッセージ(SRM)をネットワークに送るように構成することができ、また、SRM内にレポートを含むことができる。つまり、レポートは、接続セットアップ手順の一部として判断ユニットに提供される。
【0074】
先に説明したように、レポートは、端末15が受信および分析した信号について少なくとも幾らかのSAセルに対し測定した特性の内の少なくとも幾らかに関する情報を少なくとも含む。言い換えれば、電気通信ネットワーク内の全てのSAセル(または端末に近接する複数のSAセル)の外側から、端末は、これらセルの幾らかのみからの信号を受信することができる。端末は、次いで、受信した信号の全ては分析しないものの、これらの内の幾らかのみは分析することができる。(これは、例えば、幾らかの信号が分析することが不可能なことがあるからである、または、これらは、端末がデータ接続を確立する興味を示さないSAセルに関連付けができるからである。)更に、端末は、全ての分析したSAセルについての伝搬状態に関する情報の全てはレポート内に含めないものの、分析したSAセルの内の幾らかについての情報および/または判断した情報の一部のみを含めるよう判断することができる。例えば、端末は、最も関連するSAセルについての信号強度を含めないよう判断するものの、測定した経路損失を含めるよう判断することができる。何故ならば、例えば経路損失は、判断ユニットとより関連するものであり、並びに/またはレポートのサイズおよび/もしくはいつ数多くのSAセルについて結果が測定されたかについて制限するものであると考えられるからである。
【0075】
一実施形態では、レポートはまた、次の内の1つ以上を含むこともできる。即ち、情報が提供された各SAセルの識別、信号を受信したもののレポート中にはその情報が提供されなかったSAセルの識別、どのSAセルがアクティブであり且つどれが電力セーブ・モードかについての指標、および、サービスが要求された特定のSAセルが提供するカバレッジが存在しないことを示す1ビットのフラグである。
【0076】
データ接続を確立するのが必要なときに(即ち、端末がページングされ、端末がデータ接続の確立を望むことを示すときに)判断ユニット11によってレポートが受け取られる場合に、判断ユニット11は、次いで、ステップ34に進んで、レポートに提供された情報の内の少なくとも幾らかを使用して、1つ以上のSAセルを選択する。端末は、このSAセルと共にデータ接続を確立することができる。例えば、一実施形態において、判断ユニット11は、レポートで提供された経路損失の推定を考慮して、最も低い経路損失推定を有するSAセル(例えば、端末に最も近いSAセル)を、端末にサービス提供するセルとして選択することができる。判断ユニット11は、しかしながら、選択を行う際には、候補SAセルに対する電力および/または負荷、SAセルと端末(例えばサポートされたRATを含む)の性能、要求されたサービスの種別、および、データ接続を確立する緊急性(即ち、サービスの確立が時間クリティカルかどうか)のような他の情報も考慮することができる。例えば、端末にとって最適なSAセルは、必ずしも、最も低い経路損失を有するSAセルである必要はない場合がある。何故ならば、最も近いSAセルを電力セーブ・モードに維持し(その指標をレポート内に提供することができる)、また、端末にサービス提供するのに、例えばすでにアクティブである異なるSAセルを選択する方がより適切となる場合があり得るからである。他の例では、最も近いSAセルはすでに過負荷状態であり、異なるより遠くにあるSAセルがより適切であるとすることもあり得る。更に他の例では、最も近いSAセルは、異なるより遠くにあるSAセルよりもエネルギ効率的でないRATをサポートすることもあり得る。更なる他の例では、最大の強度および/または最小の経路損失推定を有するものとしてレポートで示されたSAセルが、特定のサービスを搬送する性能を有さないこともあり得る。それ故、必要とする性能を有する「次の最良な」SAセルが、レポートで提供されたSAセルから選択される。代替としては、レポートを評価した後に、判断ユニット11は、どのSAセルもサービスを搬送するのに適切ではないと判断し、(これは、特に、時間クリティカルなサービスの場合や、レポート内の1ビット・フラグ(1または複数)が、サービスが要求された場所において如何なるSAセルによっても現在のところカバレッジが存在していないと示す場合である)、また、代替のSAセルが、おそらくは低減されたビット・レート、および/またはおそらくは適切なSAセルが利用可能となるまでの単に一時的なものと共にセッションにサービス提供すべきと判断することもある。
【0077】
レポートを受け取った際、データ接続を確立する必要がない場合は、判断ユニット11は、後の使用および評価のためにそのレポートを格納するように構成することができる。代替としては、判断ユニットは、データ接続を確立し、おそらくはレポートと共にその情報を格納する必要がある場合に、端末にサービス提供することができる1つ以上のSAセルを選択するプロセスを尚も行うことができる。
【0078】
一旦、1つ以上のSAセルが、端末とのデータ接続を確立するのに最適なSAセルとして判断ユニット11によって選択されると、判断ユニット11は、選択したSAセルを端末に示すことができる。一実施形態では、このような指標は、(例えば、LAセルを通じて端末から受信したSRMの受信に応答して)LAセルを介して提供することができる。この実施形態では、判断ユニット11はまた、セッション・セットアップが予測されることになることをこれらのSAセルに通知するための指標を、選択したSAセルに提供することができる。他の実施形態では、このような指標は、選択したSAセルの内の1つ以上を通じて提供することができる。後者の実施形態は、端末と選択されたSAセルとの間のチャネル(相互に知っているリソースの詳細を有する)が利用可能であり、そのチャネルに沿って、SAセルは端末へのデータ接続のセットアップを開始できることを想定する。両実施形態では、選択されたSAセル(1または複数)は、(例えば、データ接続パラメータ、認証情報および/または暗号鍵のような)端末および/または加入に関連する更なる情報を提供し、より素早いセッション・セットアップを促進することができる。この情報は、判断ユニットによって選択したSAセルに提供することができ、および/または判断ユニットによって(HLR/VLR(ホーム・ロケーション・レジスタ/ビジタ・ロケーション・レジスタ)のような)データベースから選択したSAセルに提供することを要求できる。
【0079】
選択したSAセルのいずれかが電力セーブ・モードである場合は、判断ユニット11は更に、この選択されたSAセルを(おそらくLAセルを介して)アクティブ化するように構成することができる。
【0080】
端末15は更に、選択した1つ以上のSAセルとのデータ接続(即ちトラフィック・チャネルのセットアップ)を確立するように更に構成することができる。更に、トラフィック(および関連するシグナリング)のためのルートは、選択したSAセル(1または複数)とネットワークを接続してセットアップすることができる。
【0081】
一旦、判断ユニット11が選択されたSAセルの識別を知ると、判断セル11は、選択されたSAセルとネットワークを接続するトラフィック用のルートをセットアップする支援および準備をすることができる。これはまた、判断ユニット11がLAセルの中にあるとき、または判断ユニットが情報をLAセルに提供するときに、LAセル12が実行することもできる。
【0082】
セルラ無線通信システムでは、特定のセルとの接続を有するアクティブ・モードの端末が、そのセル(のカバレッジ・エリア)の外部に、そして別のセル(のカバレッジ・エリア)の中に移動することが生じる場合がある。次いで、いわゆるハンドオーバ(ハンドオフ)を実行することができる。これは、端末および現在のセル(ソース・セル)の間の接続を、端末および異なるセル(ターゲット・セル)の間の接続に移行することを意味する。
【0083】
先に説明した解決手段#1はまた、エネルギ効率的無線ネットワークに適用して、アクティブ端末と他の異なるSAセルに対するデータ接続を確立したSAセルとの間のデータ接続のハンドオーバを促進できる。
【0084】
アクティブ端末は、例えば、定期的、データ接続を確立したSAセルから受信した信号が所定の閾値未満の欠落を有するとき、および/またはネットワークによってトリガされたときに、先に説明した様々なSAセルから受信した信号に対し測定を実行できる。端末は、次いで、LAセルを通じて判断ユニットにレポートを提供できる。判断ユニットは、端末から受け取ったレポートに収容される情報を評価し、また、先に説明したのと同様の検討を考慮して、異なるSAセルをハンドオーバのためのターゲットSAセルとして選択することができる。先に説明したように、判断ユニットは更に、端末、LAセルおよび/または関連する(ソースおよびターゲット)SAセルに通知を行うことができる。
【0085】
解決手段#2:アイドル・モードである端末によって送信される信号を測定するSAセル、および当該測定に基づきSAセルを選択する端末を通じたセッション・セットアップ
先に説明した解決手段#1と同様に、図3および図4に示した文脈においては、端末15はアイドル端末であることを想定する。アイドル端末は、将来的に、アクティブ・モードに移行する必要がある。何故ならば、アイドル端末は、ページングを(端末がキャンプ・オンするLAセル、例えばLAセル12から)受信するからであり、または端末15は(おそらくはユーザの端末を介して)ユーザ・データの交換を開始するからである。解決手段#1と同様に、解決手段#2の実施形態はまた、その端末のために適切なSAセル(すでにアクティブなもの、または現在電力セーブ・モードであるもの)を選択(割り当て)する課題に対処する。
【0086】
解決手段#2の実施形態は、本明細書を参照して、アイドル・モードである端末が、電気通信ネットワーク内のSAセルの内1つ以上によって受信されることを意図した信号を、情報要求メッセージ(IRM)として発出するように構成されるアイデアに基づく。いくつかのやり方で、IRMは、先に説明したような、端末15がLAセルとシグナリング接続のセットアップを開始することを望むときに、当該端末15がLAセルに送信するSRMに相当する。IRMは、SAセルに、受信した信号の測定を実行するために当該IRMを受信させるように使用され、その結果、例えば、信号を受信した強度を決定する。SRMと同様に、IRMはまた、端末が接続を確立するのを望んでいることを示し、任意で、要求した接続および/または端末の性能を示すパラメータを含めるようにして、端末が使用することができる。SRMとは異なり、IRMは、SAセルによって受信されることが意図され、また、端末がSAセルの少なくとも1つとデータ接続をセットアップする必要があるということをSAセルに示すことを意図する。
【0087】
IRMは、SAセルによって容易に受信およびデコードできるように送信されるのが好ましく、更にはSAセルが電力セーブ・モードであるときに送信されるのがより好ましい。IRMは、特定の別個の無線インタフェースに送信することができる。別個の無線インタフェースは、シグナリングおよび/またはデータ接続をサポートするために端末が採用可能な如何なるRATとも異なる。しかしながら、例えば端末がキャンプ・オンしているLAセルのRAT(この場合、当該技術分野において知られるように、異なる周波数および/または異なるコードを用いることができる)のように、シグナリング接続および/またはデータ接続をサポートするために端末が採用可能なRATを用いて、IRMが送信するのを排除するものではない。SRMが特定のセル(即ち、端末が識別し、また現在キャンプ・オンしているLAセル)に向けら、またアドレスされ、更に、例えば、当該特定のセルとのシグナリング接続を確立するという目的を有しているという点において、IRMの送信は更にSRMとは相違する。対照的に、IRMは、(IRMはブロードキャストされる)任意の特定のセルに向けられるものでもアドレスされるものでもなく、1つ以上のセル(SAセル)を例えば識別するという目的を有するものである。
【0088】
電気通信システムにおけるSAセルの内の少なくとも幾らかは、端末によって送信されたIRMを受信することができ、またIRMを受信した信号の強度を決定することができる。受信したIRMの信号強度を決定したそれらSAセルのうち少なくとも幾らかは、次いで、決定した強度を示すメッセージを端末に提供することができる。SAセルから受信したこのようなメッセージに少なくとも部分的に基づいて、端末は、次いで、データ接続を確立するのに最適なSAセルの内の1またはそれ以上の選択を行うことができる。
【0089】
このように、端末15は、最初に、SAセルが端末15と様々なSAセル間の特性状態を示す情報(例えば信号強度)を取得するのを可能にし、次いで、SAセルから取得した情報を収集してデータ接続を確立するための適切なSAセルを選択することによって、端末15とSAセルの内の1つとの間のデータ接続の確立を促進する。その結果、データ接続の確立は、より素早くおよび/またはより正確に実行できる。
【0090】
図6は、本発明の一実施形態により、端末15が情報要求メッセージを送信したときにSAセル13,14の内の1つ以上を選択する方法ステップの概略フロー図である。方法ステップについて図3に関連して説明するが、方法ステップを実行するように構成される如何なるシステムは、如何なる順序においても、本発明の範囲内にあることは当業者に認められるであろう。
【0091】
本方法は、ステップ41で開始し、アイドル・モードの端末15がIRMを送信する。一実施形態では、いずれかのSAセルとデータ接続を確立する迅速な必要がない場合であっても、端末15は、ある所定の時間および/またはある所定のパターンでIRMを送信するように構成することができる。他の実施態様では、端末が、当該端末とSAセルの内1つとの間のデータ接続を確立しなければならないという指標を受信したときに、端末15はIRMを送信するように構成される。このような指標は、例えば、アイドル状態の端末15がキャンプ・オンしているLAセル12から受信したページング・メッセージとしてもよく、または、確立したデータ接続を通じてユーザ・データを交換することを望んでいる端末、若しくは端末上で起動しているアプリケーションにおけるユーザからの指標としてもよい。
【0092】
一実施形態では、IRMは、ブロードキャスト・チャネルを通じて送信することができる。IRMは、(例えばサービス要求メッセージが通例、従来型のネットワークで使用されるのとは反対に、)LAセルを宛て先とするのを意図したり、LAセルに向けられたりするものではなく、サービスを端末15に潜在的に提供できるSAセルを宛て先とすることができる。そのためには、IRMは、端末とSAセルの1つとの間のデータ接続を確立するために、端末の要求を示す情報もまた含むことができる。
【0093】
IRMは、メッセージを受信したSAセルが、メッセージを送信した端末を識別するのを可能にする少なくとも幾らかの手段を含むことができ、その結果、SAセルが異なる端末から受信したIRM間を区別ができる。一実施形態では、この区別は、(おそらくは部分的な)識別をIRM内に含む端末によって行うことができる。(完全なまたは部分的な端末IDのような)端末の直接的な識別に代えて、またはこれに加えて、端末はIRM内に、ある種の参照(タグまたはラベル)を含むことができる。このような参照は、SAセルが、異なる端末から受信したIRM間の判別を可能にする。更に、SAセルは、受信した参照(タグまたはラベル)を応答メッセージに含める(コピーする)ことができる。それ故、端末がまた、端末自身のIRMに関連付けられた応答メッセージと、受信されるが異なる端末によって送信されたIRMに関連付けられた応答メッセージとを判別することを可能にする。ランダム化された数をIRM用の参照(タグまたはラベル)として選択することにより、この目的を満たすことができる。
【0094】
(部分的な)識別は、例えば、IRMのコンテンツにおいてコード化することができ、並びに/または、複数の周波数の内の1つ以上でIRMを送信することによって、および/もしくは複数のチャネル・コードを有するIRMを送信することによって、コード化することができる。他の実施形態では、区別は特定の時間、例えば、複数のタイム・スロットの内の1つ以上において端末がIRMを送信することによって行うことができる。そのタイム・スロットは特定のパターンで、例えば定期的に反復することができる。SAセルは、次いで、時間に基づいて、または(端末とSAセルの間で同期が存在する場合には)IRMを受信した時間枠に基づいて端末間を区別することができる。もちろん、これらの実施形態と、異なる端末から受信した信号間を区別する他の手法との組み合わせがまた可能であり、本発明の範囲内にある。
【0095】
一実施形態では、先に説明した手法のいずれか1つにより提供される端末の識別は、グローバルに一意に識別することができ、各端末間でグローバルな識別を可能にする。しかしながら、このようなグローバルな一意の識別は必ずしも必要とされない。他の実施態様では、識別は、例えば関連する地理的エリアにおいて、特定の端末(例えばSAセルのカバレッジ・エリア内の端末)を一意に識別できるようにすることができる。
【0096】
更に別の実施形態では、端末は、当該端末が所属するネットワークの識別をIRMに含めるように構成することができる。このようなIRMの識別を提供することによって、IRMを受信したSAセルは、異なるネットワークに所属している端末から受信したIRMの間を区別することができ、次いで、応答するべきか否かを選択することができる。例えば、SAセルは、IRMが競合のネットワーク内の端末によって送信されたときには応答しないよう選択することができる。この場合、提供された識別は、端末に特有である必要はない。端末が所属するネットワークの識別のみを行うには十分である。
【0097】
IRMはまた、アクセスの優先度の識別を含むとよい。例えば、緊急応答端末または緊急の通話を行う消費者端末は、高いアクセス優先度の指標を含むとよく、またはM2M端末(例えば電気メータ)は、低い優先度の指標を含むとよい。このようなIRMの指標を提供することによって、IRMを受信したSAセルは、端末から受信したIRMの間、および/または異なるアクセス優先度を有する用途の間を区別することができ、応答すべきか否かについて選択することができる。
【0098】
更に、IRMは、当該IRMが受信した信号を用いてSAセルが信号強度を決定し、および/または端末と受信したSAセルの間の経路損失をSAセルが推定するのを可能にするようすべきである。
【0099】
オプションとして、IRMは、要求されたサービス(1または複数)の指標、および/または端末性能を含むことができる。端末性能は、SAセルがどの程度の性能を有し、また要求されたサービスを提供することができるかについて決定する際に、IRMを受信したSAセルに関連付けることができる。IRMで示すことができる端末性能は、例えばサポートされる帯域幅(1または複数)、サポートされるRAT(1または複数)、サポートされるモード(1または複数)、IRMが端末によって送られる電力、サポートされた(最大)端末電力、および要求された(最小)ビット・レートの内の1つ以上を含む。
【0100】
一実施形態では、端末15は比較的高い電力でIRMを送信することができ、その結果、少なくとも1つの適切なSAセルがIRMを検出することができる可能性を最大化できる。更なる一実施形態では、端末は、最大の端末送信電力でIRMを送信することができる。代替の実施形態では、端末15は、IRMを尚も比較的高い電力であるものの最大送信電力未満で送信するよう決定することができる。このことは、例えば、端末が少なくとも1つの適切なアクティブ状態のSAセルからの信号を既に測定している場合には、つまり、現在アクティブである最良SAセルへの経路損失を継承するのにより低い電力でIRMを送信する必要はない。このようなIRMは、おそらくは現在アクティブの最良SAセルよりもおそらくはより良い候補(1または複数)となり得る、電力セーブ・モードであるSAセル(1または複数)に到達する必要があるのみであろう。端末の最大送信電力未満でIRMを送信する他の例では、現在アクティブであるSAセルによって、またはサービス提供中のLAセルによって提供されるシステム情報がまた、そのエリアのSAセルの密度についての情報も含むこととすることができる。このような例では、従って、端末はIRMについて送信電力を制限することができる。
【0101】
一実施形態では、端末15は、IRMをシーケンス内で一度以上送信するように構成され、例えばノイズによる破損の可能性を解消し、異なる端末からの同様のメッセージからの干渉の可能性を解消し、および/またはSAセルが電力セーブ・モードであり、時間の一断片のみでリスンしているスリープ期間を解消することができる。このような実施形態では、端末は、増大した電力で、または増大している電力で、シーケンス内の後続のIRMを送信するように構成することができる。端末はまた、同一のシーケンスにおいて先行するIRMに関連したランダムな遅延により、後続のIRMを送信するように更に構成することができ、その結果、IRMの後続の衝突を回避することができる。
【0102】
ステップ42では、SAセルの少なくとも幾らかは、端末が送信したIRMを受信し、そしてIRMが受信した信号の信号強度を少なくとも決定することによって、IRMを処理できる。SAセルは更に、端末から受信したSAセルまでの経路損失を推定するように構成することができる。SAセルは、要求した(最小)ビット・レートが、例えば端末とSAセルの間の無線経路に全く適しているかについて推定するために、推定した経路損失を用いることができる(適していない場合には、SAセルは、応答するのを控えるよう決定することができる)。
【0103】
SAセルは、受信した全てのIRMを処理するよう構成することができ、または、(例えばサポートされていないRATおよび/もしくは周波数帯が要求されたために、並びに/または、SAセルが既に高負荷にあるために)SAセルがその瞬間に届けることができないサービスを要求するような幾らかのIRM、および/または低信号レベル若しくは高推定経路損失を有して受信されたIRMを無視するよう選択することができる。SAセルはまた、当該SAセルのネットワークに関連付けられない端末(例えば、競合のネットワークに関連付けられた端末)から受信したIRMを無視し、および/または所定の閾値未満のアクセス優先度指標を有して受信したIRMを無視するよう構成することができる。SAセルは、IRMで提供された端末識別に基づいて、異なるネットワークに所属する端末を識別することが可能である(このような実施形態では、この識別は、端末特定である必要はなく、ネットワーク特定の識別が十分である必要はない)。
【0104】
なお、様々な実施形態では、無線アクセス・ネットワークは複数の種別のSAセル、例えば、異なる(複数の)周波数帯のSAセル、異なる(複数の)RATをサポートするSAセル、異なる(複数の)モードの動作をサポートするSAセル、および/または異なるサイズを有するSAセル(マクロセル、マイクロセル、ピコセル、そしてフェムトセル)を収容することができる点に留意されたい。これらSAの各々は、IRMについてのSAセルの監視を有するように尚も構成することができる。当該監視は、データ転送(データ接続またはトラフィック・チャネル)について、SAセルの特定の性能を考慮せずに実行することができる。実際のところ、IRMを送信する端末における無線インタフェース、およびIRMを受信するSAセルにおける無線インタフェースは、特にIRM用に設計することができ、データ転送(データ接続またはトラフィック・チャネル)についてのSAセルの性能とは独立のものとすることができる。しかしながら、IRMを伝達するのに使用する周波数と、確立したデータ接続を通じて実際のユーザ・データを伝達するのに使用する周波数とは、著しく相違することになる。IRMを送信した周波数を用いて行われる信号強度測定および/または経路損失推定は、(例えば、IRMは900MHz帯で送信される一方、データ接続が5GHz帯で確立される場合に)実際のユーザ・データ転送のために用いられることになる周波数の経路損失を十分に示さないことがある。このような場合は、類似のIRMが、異なる周波数(例えば3GHz帯において)を用いて定められる。当該異なる周波数は、信号強度/経路損失推定をより示すことが可能である。端末15は、次いで、これらIRMの一方または双方を、必要であれば同時に、送信するように構成される。
【0105】
電力デーブ・モードであるSAセルは少なくとも、端末が発出したIRMに対し監視(リスン)するように構成することができる。アクティブ・モードのSAセルはまた、IRMをリスンするように構成することもできる。しかしながら、アクティブ状態のSAセルによるこのようなリスニングは、1つ以上の他の端末にサービス提供しているアクティブ状態のSAセルの信号を監視するように端末が構成される場合や、端末が受信する信号により当該端末がこれら候補SAセルの適性を十分に評価するのを可能にする場合には、要求されないこともある。次いで、端末は、データ接続を確立する適切なアクティブ候補SAセルのリストを維持することができる。
【0106】
一実施形態では、電力セーブ・モードのSAセルは、一部の時間のみリスニング・モード(即ち、IRM受信可能状態)に入れて、電力消費を制限できるように構成することができる。例えば、電力セーブ・モードであるSAセルは、定期的に、例えば時間の1/10番目のときにリスニング・モードに入れることができ、つまり、(その時間の100%にわたりリスニングを続ける状況と比較して)およそ同一断片に対する、この用途で消費される電力を低減させる。このような実施形態では、リスニングの周期、端末が送信するIRMの期間、および/またはシーケンス内のIRMの反復の回数は、少なくとも1つのIRMをSAセルのリスニング・サイクル内で受信できるように選択することが可能である。
【0107】
ステップ43では、IRMを受信および測定したSAセルの内の少なくとも幾らかは、例えば要求されたRATおよび/もしくは周波数のチャネルを介して、または共通の情報要求応答チャネル(この用途に特化して設計することができる)を介して、端末への応答を収容するメッセージを無線で送信するように構成することができる。このようなメッセージは、端末15に対して測定した結果(例えば、測定した信号強度、および/またはSAセルによって決定された推定経路損失)の少なくとも一部を含むことができる。SAセルはまた、当該SAセルがどの程度の性能であり、要求されたサービスを提供することができるかについての指標をこれらメッセージ内に含めるよう構成することができる。更に、SAセルは、それらの現在の負荷および/または現在利用可能なリソース(例えば、RAT、周波数、周波数帯、コード)についての付加的な情報を含めることができ、更に特定のリソースを提案することができる。そのリソースは、端末がSAセルを選択することになる場面でSAセルが暫定的に予約するものである。
【0108】
SAセルは、幾らかのIRMに関し、メッセージの送信のみを行うように構成することもできる。例えば、SAセルがIRMによって要求されたサービスを提供できない場合は、SAセルは、メッセージを端末に送信しないように構成することもできる。代替として、このようなIRMに関し、SAセルがサービスを提供することができないという指標、およびオプションとして、先に説明したように、どのSAセルがサービスを提供する性能を有し提供可能であるかについての指標と共に、SAセルは、応答メッセージを処理および送信することができる。
【0109】
一実施形態では、SAセルが受信したIRMで要求されたサービスをサポートすることができる場合に、SAセルは、要求されたサービスに従ってリソースを暫定的に予約することでき、そして端末にこれを通知することができる。このように暫定的に予約されたリソースは、適切な期間(例えば、タイマの期限が来たとき)の後、またはそのサービスが特定のサービス要求に対して必要ではないことをSAセルが通知されたときに、解放することができる。
【0110】
一実施形態では、応答するSAセルは、IRMが受信された時点と、対応する応答メッセージが送信された時点との間において制御された短い遅延を適用するように(そして、適用可能なときは、一連のIRMに対して応答メッセージを繰り返す時間を制御するように)構成することができる。例えばSAセルが端末からIRMを受信した信号の強度に依存して遅延を制御することにより、潜在的により良い候補SAセルに対し、潜在的により悪い候補SAセルよりも早期に応答させるにすることができる。つまり、応答メッセージの受信および最良候補SAセルの選択についての端末の機能をサポートする。
【0111】
単一SAセルよりも多くのSAセルが、端末からの同一のIRMにほぼ同時に応答することができるので、(同時に)重複する、または部分的に重複して到達する複数のSAセルからの応答メッセージに対処する機構があることが望まれる。このことは、例えば、異なる(近隣の)SAセルが異なるチャネル符号を使用するように構成し、また、端末15が同時に複数の異なるチャネル・コード、おそらくは全ての異なるチャネル・コードを監視するように構成することによって実現することができる。このことはまた、(例えばランダム化された、またはSAセルに依存した)異なる遅延により分離された、別個の時点における、SAセルからの同一の応答メッセージの複数の(繰り返された)送信により実現することもできる。
【0112】
ステップ43の実施形態では、SAセルは、これらの応答を収容したメッセージを、直接的ではないものの、端末がキャンプ・オンしているLAセルを通じて端末に無線送信するように構成することができる。このような実施形態では、SAセルは、最初にそれら応答をLAセルに送信することになり、次いでLAセルが、SAセルからの応答において受信した情報の内の少なくとも幾らかを収容した1つ以上のレポートを端末に提供することになる。例えば、LAセルは、受信したIRMに関するレスポンスを提供した全てのSAセルについてのレポートを端末に提供および凝集することができる。
【0113】
一実施形態では、SAセルから受信した応答に基づいて、端末15は少なくとも最も最近の、最も関連のある測定した信号についての結果のリストを、対応するSAセルの指標と共に維持するように構成することができる。
【0114】
更に、解決手段#2の実施形態では、端末15が方法ステップ41から43を実行できるという点で解決手段#1との組み合わせが可能である。しかしながら、次に、SAセルそれ自体の選択を行う替わりに、解決手段#1で説明したステップ33と同様に、測定に関するレポートを判断ユニット11に提供する。このようなレポートは、端末によって送信されるIRMを受信および処理したSAセルによって端末に提供される情報の少なくとも幾らかを含むことができる。判断ユニット11は、次いで、解決手段#1で説明したステップ34と同様に、1つ以上のSAセルを選択することができ、このレポートに基づいて端末とのデータ接続を確立する。当業者であれば、ステップ34での検討をどのようにして本実施形態に適用するかについて、容易に認識することになるであろう。したがって、簡単のために、ここではこれらの検討を繰り返さない。
【0115】
図6に示す方法を続けると、ステップ44では、端末15は、1つ以上のSAセルから受信した応答メッセージ内の情報に少なくとも部分的に基づいて、データ接続を確立するために候補から1つ以上のSAセルを選択(割り当て)する。候補としては、それらの応答を端末に提供したSAセルのみならず、応答を提供せず、IRMを受信さえしなかったSAセルも含むことができる。このことは、例えば、端末がアクティブ状態のSAセルを監視し、監視されたアクティブSAセルがデータ接続を確立する適切な候補を構成するかどうかを評価するように構成されるときに、適用することができる。言い換えれば、応答メッセージにおいて受け取った情報に加えて、SAセルを選択するときにも、端末15は応答を提供しなかった他のSAセルに関する情報を考慮にすることができる。
【0116】
端末15は更に、選択された1つ以上のSAセルとのデータ接続を確立する(即ち、トラフィック・チャネルをセット/アップする)ように構成することができる。更に、トラフィック(および関連するシグナリング)のルートは、選択された1つ以上のSAセルとネットワークの接続をセットアップすることができる。
【0117】
更にまた、端末15および/またはネットワークは、選択されていないSAセル(1または複数)に通知するように更に構成することができ、当該SAセルは、次いで、要求を満たすために暫定的に予約したリソースを解放することができる。例えば、端末と選択されたSAセルとの間で一旦データ接続が確立されると、端末は、選択されていないSAセルのSAセル識別を、選択したSAセルに提供し、したがって、選択されたSAセルは次いで、選択されていないSAセルに通知することができる。
【0118】
セルラ無線通信システムでは、特定のセルとの接続を有するアクティブ・モードの端末が、そのセルの(カバレッジ・エリアの)外に移動し、他のセル(のカバレッジ・エリア)内に移動することが生じることがある。次いで、いわゆるハンドオーバ(ハンドオフ)を実行することができる。これは、端末および現在のセル(ソース・セル)の間の接続を、端末および異なるセル(ターゲット・セル)の間の接続に移行することを意味する。
【0119】
先に説明した解決手段#2はまた、エネルギ効率的無線ネットワークで用いて、アクティブ端末と、他の異なるSAセルに対しデータ接続を確立したSAセルとの間のデータ接続のハンドオーバを促進することができる。
【0120】
アクティブ端末は、例えば、定期的、データ接続を確立したSAセルから受信した信号が所定の閾値未満の欠落を有するとき、および/またはネットワークによってトリガされたときに、先に説明したIRMを発出することができる。端末は、SAセルから受信した応答メッセージに収容された情報を評価することができ、先に説明したものと同様の考慮により、異なるSAセルをハンドオーバ用のターゲットSAセルとして選択することができる。
【0121】
先に説明したとおり、端末は更に、ネットワーク、LAセル、および/または関連の(ソースおよびターゲット)SAセルに通知することができる。
【0122】
解決手段#3:アイドル・モードである端末によって送信された信号を測定するSAセル、および測定に基づきSAセルを選択したネットワークを通じたセッション・セットアップ
先に説明した解決手段#1および#2と同様に、図3および図4に示す文脈では、端末15は、アイドル端末であることを想定する。アイドル端末は、将来的に、アクティブ・モードに移行する必要がある。何故ならば、アイドル端末は、ページングを(端末がキャンプ・オンするLAセル、例えばLAセル12から)受信するからであり、または端末15は(おそらくはユーザの端末を介して)ユーザ・データの交換を開始するからである。解決手段#1および#2と同様に、解決手段#3の実施形態はまた、その端末に対し適切なSAセル(すでにアクティブなものか、現在電力セーブ・モードであるもの)を選択(割り当て)する課題に対処するものである。
【0123】
解決手段#2と同様に、解決手段#3の実施形態は、アイドル・モードの端末が、電気通信ネットワーク内のSAセルの内の1つ以上によって受信されることを意図したIRMを発出するように構成され、また、SAセルの内の少なくとも幾らかが端末によって送信されたIRMを受信することができ、IRMを受信した信号の強度を決定することができるというアイデアに基づく。これらSAセルの内少なくとも幾らかは、受信したIRMについて決定した信号強度が、次いで、判断ユニットに対し、当該決定した信号強度をレポートするメッセージを提供することができる。判断ユニットは、SAセルから受信したこのようなメッセージに少なくとも部分的に基づいて、次いで、端末がデータ接続を確立するのに最適なSAセルの内の1つ以上の選択を行うことができる。
【0124】
このように、SAセルが端末15と様々なSAセルとの間の特性状態を示す情報(例えば信号強度)を取得するのを可能することによって、端末15は、当該端末15とSAセルの内の1つとの間のデータ接続の確立を促進する。SAセルは、次いで、測定の結果を判断ユニットにレポートする(判断ユニットは、おそらくはLAセル内に含むことができる)ために、端末に対する少なくとも1つのSAセルの選択は、中央で管理することができる。
【0125】
図7は、本発明の一実施形態により、端末15がIRMを送信し、判断ユニット11が最適なSAセルの選択を行うときに、1つ以上のSAセル13,14を選択する方法ステップについてのフロー図を示す。方法ステップについて図3に関連して説明したが、本方法ステップを実行するように構成される如何なるシステムは、如何なる順序においても、本発明の範囲内にあることは当業者に認められるであろう。
【0126】
本方法は、ステップ51で開始し、アイドル・モードの端末15がIRMを送信する。一実施形態では、いずれかのSAセルとデータ接続を確立する迅速な必要性がない場合であっても、端末15は、ある所定の時間および/またはある所定のパターンでIRMを送信するように構成することができる。他の実施形態では、端末15が、端末と1つのSAセルとの間のデータ接続を確立しなければならないという指標を受け取ったときに、端末15はIRMを送信するように構成することができる。このような指標は、例えば、アイドル端末15がキャンプ・オンしているLAセル12から受信したページング・メッセージとすることができ、または、確立したデータ接続を通じてユーザ・データを交換することを望んでいる端末(即ち、端末上で起動しているアプリケーション)のユーザからの指標とすることができる。
【0127】
一実施形態では、IRMは、ブロードキャスト・チャネルを通じて送信することができる。IRMは、(例えばサービス要求メッセージが通例、従来型のネットワークで使用されるのとは反対に、)LAセルを宛て先とすることを意図したり、LAセルに向けられたりするものではないものの、サービスを端末15に潜在的に提供できるSAセルを宛て先とすることができる。そのためには、IRMは、端末とSAセルの1つ間のデータ接続を確立するために、端末の要求を示す情報もまた含むことができる。
【0128】
一実施形態では、端末は、当該端末が所属するネットワークの識別をIRMに含めるように構成することができる。このようなIRMの識別を提供することによって、IRMを受信するSAセルは、異なるネットワークに所属している端末から受信したIRMの間を区別することができ、次いで、応答するべきか否かを選択することができる。例えば、SAセルは、IRMが競合のネットワーク内の端末が送ったときには応答しないよう選択することができる。この場合、提供された識別は、端末に特有である必要はない。端末が所属するネットワークの識別のみを行うには十分である。
【0129】
IRMはまた、アクセスの優先度の識別を含むとよい。例えば、緊急応答端末または緊急の通話を行う消費者端末は、高いアクセス優先度の指標を含むとよく、またはM2M端末(例えば電気メータ)は、低い優先度の指標を含むとよい。このようなIRMの指標を提供することによって、IRMを受信したSAセルは、端末から受信したIRMの間、および/または異なるアクセス優先度を有する用途の間を区別することができ、応答すべきか否かについて選択することができる。
【0130】
更に、IRMは、当該IRMが受信した信号を用いてSAセルが信号強度を決定し、および/または端末と受信したSAセルの間の経路損失をSAセルが推定するのを可能にすべきである。
【0131】
オプションとして、IRMは、要求されたサービス(1または複数)の指標、および/または端末性能を含むことができる。端末性能は、SAセルがどの程度の性能を有し、また要求されたサービスを提供することができるかについて決定する際に、IRMを受信したSAセルに関連付けることができる。IRM内に示すことができる端末性能は、例えばサポートされる帯域幅(1または複数)、サポートされるRAT(1または複数)、サポートされるモード(1または複数)、IRMが端末によって送られる電力、サポートされた(最大)端末電力、および要求された(最小)ビット・レートの内の1つ以上を含む。
【0132】
様々な実施形態では、解決手段#2と同様に、端末15は、比較的高い電力(例えば、最大端末送信電力で、または最大電力未満であるがおも相対的に高い電力で)でIRMを送信することができ、その結果、少なくとも1つの適切なSAセルがIRMを検出することができる可能性を最大化できる。
【0133】
また、解決手段#2と同様に、端末15は、IRMを1つのシーケンスにおいて一度以上送信するように構成され、増大した電力で、または増大している電力で、および/または同一シーケンス内で先行したIRMに関連したランダム化された遅延で、シーケンス内の後続のIRMを送信するように構成することができる。
【0134】
ステップ52では、SAセルの内の少なくとも幾らかは、端末によって送信されたIRMを受信し、IRMが受信した信号の強度を少なくとも判定することによってIRMを処理することができる。解決手段#2の上記ステップ42に関する全ての検討(即ち、ステップ42の導入後およびステップ43の導入前までの説明)は、図7に示したステップ52に適用可能であるが、簡単のためここでは繰り返さない。
【0135】
ステップ53では、IRMを受信および測定したSAセルの内の少なくとも幾らかは、応答を収容したメッセージを、例えば、各SAセルとネットワークの間で、またLAセルとネットワークの間で、通例見つけられるバッホール・リンクを介して、および/または、判断ユニットがLAセル12の一部である場合に、SAセルとLAセルの間で同一の内部接続を提供する他のリンクを介して、判断ユニットに送信するように構成することができる。このようなメッセージは、測定した結果(例えば測定した信号強度および/またはSAセルが決定した推定経路損失)の少なくとも一部に関する情報を含むことができる。加えて、SAセルは、SAセルの識別のような付加情報、および/またはSAセルがIRM受信したときの指標を、メッセージに付加することができる。SAセルはまた、SAセルがどの程度の性能であり、要求されたサービスを提供することができるかについての指標を、これらメッセージ中に含めるように構成することができる。更に、SAセルは、それらの現在の負荷および/または現在利用可能なリソース(例えば、RAT、周波数、周波数帯、コード)についての付加的な情報を含めることができ、更に特定のリソースを提案することができる。このリソースは、端末がSAセルを選択することになる場面で、SAセルが暫定的に予約するものである。
【0136】
解決手段#2に関連して説明した如何なる手法において、IRMが端末の識別を可能にする情報を含む場合、SAセルは、その情報を検出し、判断ユニット11に転送するように構成することができる。判断ユニット11が、異なる端末からの要求に関連する、SAセルからの(潜在的には数多くの)メッセージを受信する場合に、判断ユニットに、IRMおよび/または当該IRMを送信した端末を識別させるような情報を受信することは、特に有用なものとすることができる。例えば、判断ユニット11は、IRMおよび/または送信した端末を、受信したチャネルまたはチャネル・コード、および/またはIRMのコンテンツに対し、IRMの受信時間に関連する情報をSAセルから受信することによって識別することができる。IRMのコンテンツは、例えば、端末によってIRMに挿入された(部分的な)端末の識別および/またはある種の参照(タグまたはラベル)を含むことができる。このことは、判断ユニットが、受信した全ての(特定の時間フレームで受信した)メッセージを、部分IDおよび/または相互参照の特定の組み合わせに関連付けるのを可能にする。
【0137】
解決手段#2と同様に、SAセルは、幾らかのIRMに関してのみのメッセージを判断ユニットに送信するように構成することができる。例えば、SAセルが端末によって要求されたサービスを提供できない場合、SAセルは、メッセージを判断ユニットに送信しないように構成することができる。代替として、SAセルは、このようなIRMに更に関するメッセージを、SAセルがサービスを提供できないという指標、オプションとして、先に説明したような、どのSAセルが性能を有し、および提供することができるかについての指標を、処理および転送するように構成することができる。
【0138】
一実施形態では、受信したIRMにおいて要求したサービスをSAセルがサポートすることができる場合に、SAセルは、要求されたサービスに従ってリソースを暫定的に予約することでき、また判断ユニットにこれを通知し、更にオプションとして、端末にこれを通知することができる。このように暫定的に予約されたリソースは、適切な期間(例えば、タイマの期限が来たときに)の後、またはそのサービスが特定のサービス要求に対して必要ではないことをSAセルが通知されたときに、解放することができる。
【0139】
ステップ54では、1つ以上のSAセルからのメッセージにおいて受け取った情報に少なくとも部分的に基づいて、判断ユニット11は、端末がデータ接続を確立するために、候補から1つ以上のSAセルを選択(割り当て)るように構成される。候補は、それらの応答を判断ユニットに提供したSAセルのみならず、応答を提供せずIRMを受信さえしなかったSAセルについても含むことができる。このことは、例えば、判断ユニットがアクティブ状態のSAセルに関する情報を、例えば図5に示したステップ31からステップ33、および先の説明を通じて取得するように構成するときに適用できる。判断ユニット11がこのような情報を有するとき、監視されるアクティブ状態のSAセルは、端末がデータ接続を確立する適切な候補を構成するかどうかを評価することができる。言い換えれば、SAセルからのメッセージにおいて受け取った情報に加え、判断ユニット11はまた、SAを選択するときに、応答を提供していない他のSAセルに関する情報も考慮することができる。
【0140】
一旦、判断ユニット11によって、1つ以上のSAセルが端末とのデータ接続を確立するのに最適なSAセルとして選択されると、判断ユニット11は、選択したSAセルを端末に示すことができる。一実施形態では、このような指標は、(例えば、LAセルを通じて端末から受信したSRMの受信に応答して)LAセルを介して提供することができる。このことは、端末が送信し、SAセルが判断ユニット11に転送したIRMが、LAセル内の端末を一意にアドレスするのに適した端末識別を収容するときに、または、IRMが、端末がIRMで用いる部分的な端末IDおよび/もしくは参照(タグまたはラベル)を収容するときに、有用なものとすることができ、その結果、LAセル/判断ユニットがIRM(およびおそらくは完全な端末ID)を選択の結果と調和(reconcile)させることができる。他の実施形態では、このような指標は、選択したSAセルの内の1つ以上を通じて提供することができる。後者の実施形態では、端末と選択したSAセルとの間のチャネル(相互に知っているリソースの詳細を有する)が利用可能であり、そのチャネルに沿って、SAセルは端末へのデータ接続のセットアップを開始できることを想定する。また、本実施形態では、端末IDもしくは部分端末ID、および/または参照(タグまたはラベル)は、端末が、当該端末についての指標を受け取り認識するのを促進できる。
【0141】
端末15は、選択したSAセルに関する指標の受け取りに応答して、更に、選択した1つ以上のSAセルとのデータ接続(即ち、トラフィック・チャネルのセットアップ)を確立するように構成することができる。更に、トラフィック(および関連するシグナリング)のルートは、選択された1つ以上のSAセルとネットワークとの接続をセットアップすることができる。
【0142】
一旦、判断ユニット11が選択したSAセルの識別を知ると、判断セル11は、選択したSAセルとネットワークを接続するトラフィックのためのルートをセットアップする支援および準備をすることができる。これはまた、判断ユニット11がLAセル内にあるとき、または判断ユニットが情報をLAセルに提供するときに、LAセル12が実行することもできる。
【0143】
更に、判断ユニット11は、選択していないSAセル(1または複数)に通知するように構成することができ、次いで、要求を満たすために暫定的に予約したリソースを解放することができる。
【0144】
選択したSAセルのいずれかが電力セーブ・モードである場合、判断ユニット11は更に、選択したSAセルを(おそらくLAセルを介して)アクティブ化するように構成することができる。
【0145】
セルラ無線通信システムでは、特定のセルとの接続を有するアクティブ・モードの端末が、そのセルの(カバレッジ・エリアの)外に移動し、他のセル(のカバレッジ・エリア)内に移動することが生じることがある。次いで、いわゆるハンドオーバ(ハンドオフ)を実行することができる。これは、端末および現在のセル(ソース・セル)の間の接続を、端末および異なるセル(ターゲット・セル)の間の接続に移行することを意味する。
【0146】
先に説明した解決手段#3はまた、エネルギ効率的無線ネットワークで用いて、アクティブ端末と、他の異なるSAセルに対しデータ接続を確立したSAセルとの間のデータ接続のハンドオーバを促進できる。
【0147】
アクティブ端末は、例えば、定期的、データ接続を確立したSAセルから受信した信号が所定の閾値未満の欠落を有するとき、および/またはネットワークによってトリガされたときに、先に説明したIRMを発出することができる。IRMを受信したSAセルは、判断ユニットにそれらのメッセージを転送することができる。
【0148】
判断ユニットは、SAセルから受け取ったレポートに収容される情報を評価し、また、先に説明したのと同様の検討を考慮して、異なるSAセルをハンドオーバするためのターゲットSAセルとして選択することができる。
先に説明したように、判断ユニットは更に、端末、LAセル、および/または関連する(ソースおよびターゲット)SAセルに通知を行うことができる。
【0149】
本発明の一実施形態では、コンピュータ・システムのためのプログラム製品として実装することができる。プログラム製品が有するプログラム(1または複数)は、(本願明細書に記載した方法を含む)実施形態の機能を定義し、また、様々なものに、好ましくは非一過性でコンピュータ可読ストレージ媒体上に収容することができる。例示のコンピュータ可読ストレージ媒体は、以下を含むが、これに限定されるものではない。即ち、(i)情報が永続的に格納される非書込可能ストレージ媒体(例えば、CDーROMドライブ、ROMチップ、その他如何なる種別のソリッド・ステートの不揮発性半導体メモリのようなコンピュータ内のリード・オンリのメモリ・デバイス)、そして(ii)代替可能情報が可能される書込可能ストレージ媒体(例えば、ディスケット・ドライブ内のフロッピー(登録商標)・ディスク、ハード・ディスク、その他如何なる種別のソリッド・ステートのランダム・アクセス半導体メモリ、フラッシュ・メモリ)である。コンピュータ・プログラムは、本願明細書において説明したプロセッサ上で起動することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7