特許第6014209号(P6014209)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6014209液体シリコーンゴムのインサート成形のためのポジティブシャットオフを形成するポリマーシール用のシステム、方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6014209
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】液体シリコーンゴムのインサート成形のためのポジティブシャットオフを形成するポリマーシール用のシステム、方法および装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/12 20060101AFI20161011BHJP
   B29C 45/14 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   B29C33/12
   B29C45/14
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-116334(P2015-116334)
(22)【出願日】2015年6月9日
(62)【分割の表示】特願2013-511418(P2013-511418)の分割
【原出願日】2011年5月25日
(65)【公開番号】特開2015-178277(P2015-178277A)
(43)【公開日】2015年10月8日
【審査請求日】2015年6月9日
(31)【優先権主張番号】61/347,871
(32)【優先日】2010年5月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500149223
【氏名又は名称】サン−ゴバン パフォーマンス プラスティックス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100188857
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 智文
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ・ディー・クラン
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・ディー・ルッド
(72)【発明者】
【氏名】ダン・リ・オウ
【審査官】 深草 祐一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2000/071324(WO,A1)
【文献】 特開2008−018692(JP,A)
【文献】 特開平06−278146(JP,A)
【文献】 特開2005−088477(JP,A)
【文献】 実開昭57−056128(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/00−33/76,39/26−39/36,45/00−45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビティと、液体を前記キャビティに分配するよう適合されたポートとを有し、更に、前記キャビティ内でその表面上に物体が鋳造されるコンポーネントを支持するように適合された、軸を持つコンポーネント支持構造も有するベースと、
前記キャビティの対向する軸側で前記ベースに形成され、前記軸に対して横方向に前記ベースの幅にわたって延在し、前記キャビティに対して軸方向に近接しているが、前記ベースから延在する各仕切りにより前記キャビティから軸方向に隔てられたポケットと、
前記各ポケットに配置され、それぞれ、前記コンポーネントに過剰のフラッシュが形成されるのを防ぐように構成された、前記ベースを形成するのに用いるベース材料よりも柔らかいポリマーから形成されたインサートとを含み、前記仕切りと前記インサートが両方共前記コンポーネント支持構造を含み、前記コンポーネント支持構造が、円筒形状を有し、前記ベースおよび前記仕切りが、前記円筒形状のためのベース直径を有し、前記インサートが、前記円筒形状のためのインサート直径を有し、前記インサート直径が、前記ベース直径より小さく、前記各仕切りが、0.0508mm1.27mmの範囲の軸方向厚さを有する射出成型用鋳型。
【請求項2】
前記ポリマーが、75〜100の範囲のショアAデュロメータ硬さを有する請求項1に記載の鋳型。
【請求項3】
前記ポリマーが、135℃〜205℃の範囲の操作温度を有する請求項1に記載の鋳型。
【請求項4】
前記ポリマーが、少なくとも60%のフッ素を含み、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)と同様の離型性を有し、300℃までの温度で弾性を維持する請求項1に記載の鋳型。
【請求項5】
前記インサートの少なくとも1つの前記コンポーネント支持構造が、ネックを有し、前記ネックは、前記ネックの軸方向に沿って放射状にテーパが付いており、前記ネックは、前記コンポーネントのためにメカニカルストップおよび配置機構を与えるよう適合されている請求項1に記載の鋳型。
【請求項6】
前記各インサートが、上部、二辺および前記コンポーネント支持構造の対向する側に前記上部と前記二辺との間に延在する面を有する請求項1に記載の鋳型。
【請求項7】
第1および第2のベース、キャビティおよびポートを備えるステップと、
前記コンポーネントを前記第1のベースに配置して、前記コンポーネントが前記コンポーネント支持構造に支持されるようにするステップと、
前記第2のベースを前記第1のベースに押圧して、前記コンポーネントを前記第2のベースの前記コンポーネント支持構造に据え付け、前記キャビティに近接する両ベースに位置するポリマーインサートが圧縮されるようにするステップと、
液体を前記キャビティに、前記ポートを通して分配して、前記コンポーネントに過剰のフラッシュを形成することなく前記コンポーネントに物体を形成するステップと
を含む請求項1〜6のいずれか一項に記載のコンポーネントをオーバーモールドする方法。
【請求項8】
前記コンポーネントは、軸と、オーバーモールドする方法によりその上に形成された少なくとも1つのオーバーモールド要素を有、前記少なくとも1つのオーバーモールド要素が、シリコンゴムを含み、鋳型から除去すると、軸方向に1.27mmを超えない成形フラッシュ仕上げを有し、
前記コンポーネントの前記少なくとも1つのオーバーモールド要素が、追加のフラッシュ除去を必要としない請求項7に記載のコンポーネントをオーバーモールドする方法
【請求項9】
前記成形フラッシュ仕上げが、前記軸方向に0.254mm以下である請求項8に記載のコンポーネントをオーバーモールドする方法
【請求項10】
前記コンポーネントが、金属を含み、前記少なくとも1つのオーバーモールド要素が、それぞれ互いに軸方向に離れた複数のシリコンゴム要素を前記コンポーネントに含む請求項8に記載のコンポーネントをオーバーモールドする方法
【請求項11】
前記ベース、前記仕切りおよび前記インサートが、互いを位置合わせする位置合わせ機構を有することを特徴とする請求項1に記載の鋳型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本非仮出願は、2010年5月25日出願の米国仮特許出願第61/347,871号明細書の優先権および恩恵を主張し、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、概して、インサート成形、特に、液体シリコーンゴムのインサート成形のために、ポジティブフラッシュシャットオフを備えたシールを形成するためのシステム、方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
硬化性シリコーン組成物は、自動車業界から医療機器に及ぶ様々な用途に用いられている。多くの場合、シリコーン組成物は、ポリマー、金属またはガラス基板等の様々な基板に結合される。例えば、シリコーン組成物は、様々なコンポーネントのコーティングまたはラミネートとして用いることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
典型的に、シリコーンによりオーバーモールドされるコンポーネントは、成形コンポーネントにシリコーンのフラッシュまたは小さな望ましくない過剰のフラグメントを生成する。フラッシュは、最終製品から除去されなければならず、製造プロセスの工程数およびコストが増加する。したがって、シリコーンを含む物品を製造する改善されたシステム、方法および装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
物体のインサート成形のためのポジティブフラッシュシャットオフを備えた物体をコンポーネントに形成するためのシステム、方法および装置の実施形態が開示されている。例えば、コンポーネントに射出成形するための鋳型は、キャビティを備えたベースと、射出成形プロセス中、キャビティに液体を分配するポートとを有する。ベースは、コンポーネントを支持するコンポーネント支持構造と、キャビティの対向する側に形成されたポケットとを有する。ポケットは、薄い仕切りによりキャビティから僅かに隔てられている。
【0006】
実施形態は、さらに、ポケットに配置されたインサートを含む。インサートは、フルオロエラストマーやパーフルオロエラストマー等のポリマーから形成される。仕切りとインサートは両方共、コンポーネント支持構造を含む。いくつかの実施形態において、インサートは、成形プロセス中に、コンポーネント周囲に圧縮嵌めが形成されるよう、ベースおよび仕切りの寸法より小さい寸法を有する。この設計により、成形プロセス中、コンポーネントへの鋳型流体のフラッシュが減少または排除される。
【0007】
実施形態の前述およびその他の目的および利点は、添付の請求項および付随する図面と組み合わせることにより、以下の詳細な説明を考慮すれば、当業者に明白であろう。
【0008】
実施形態の特徴および利点が得られ、より詳細に理解できるようなやり方となるよう、添付の図面に示されるその実施形態を参照することにより、上に簡潔にまとめられたより具体的な載がなされる。しかしながら、図面はいくつかの実施形態のみについてしか示されないため、その範囲の限定するものとはみなされないが、それは本発明が、他の等しく有効な実施形態を認めてもよいからである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】シールが形成されたコンポーネントの側面図である。
図2図1のコンポーネントの一部の拡大側面図である。
図3図2の線3−3に沿った図2の部分の末端断面図である。
図4図1のコンポーネントの第2の部分の拡大側面図である。
図5図4の線5−5に沿った図4の第2の部分の末端断面図である。
図6】シールを成形するための鋳型の実施形態の等角図である。
図7図6の鋳型のためのサブアセンブリの実施形態の平面図である。
図8】それぞれ、図7のサブアセンブリのためのインサートの実施形態の平面図および端面図である。
図9】それぞれ、図7のサブアセンブリのためのインサートの実施形態の平面図および端面図である。
図10】それぞれ、インサートの別の実施形態の平面図および端面図である。
図11】それぞれ、インサートの別の実施形態の平面図および端面図である。
図12】それぞれ、サブアセンブリの別の実施形態の平面図および側面図である。
図13】それぞれ、サブアセンブリの別の実施形態の平面図および側面図である。
図14図12および13のサブアセンブリのLSR鋳型キャビティの拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
異なる図面での同じ参照番号の使用は同様または同一の品目を示している。
【0011】
物体のインサート成形のためのポジティブフラッシュシャットオフを備えた物体をコンポーネントに形成するためのシステム、方法および装置の実施形態が開示されている。例えば、いくつかの実施形態は、液体シリコーンゴム(LSR)のインサート成形のためのポジティブフラッシュシャットオフを備えたシールを物体に成形する。
【0012】
図1および2に示すとおり、射出成形のための鋳型20の実施形態は、キャビティ23(例えば、キャビティ23aまたは23b)と、射出成形プロセス中にキャビティ23に液体を分配する少なくとも1つのポート25(図2、7および8)を有する少なくとも1つのベース21を含む。あるタイプのキャビティ23aを図1および2に示し、別のタイプのキャビティ23bを図7〜9に示す。当業者に知られているとおり、ベース21は、成形プロセス中、別の同様のベース土台に対する圧縮のためにより大きなベース土台(図示せず)に取り付けられ、支持されるサブコンポーネントを含んでいてよい。2つ以上のベース21をかかるベース土台に用いてよい。ベースは、鋼等のベース材料から形成される。
【0013】
ベース21はまた、軸29を有するコンポーネント支持構造27も有する。いくつかの実施形態において、コンポーネント支持構造27は、シール等の1つ以上の物体103、105(図10〜14)がキャビティ23に成形されるコンポーネント101を同軸支持する。ベース21の実施形態はまた、キャビティ23の対向する軸側に、ベースに形成された一対のポケット31(図8)も有する。ポケット31は、軸29に対して横方向に延在している。
【0014】
ポケット31は、キャビティ23に対して軸方向に近接しているが、ベース21から延在する各仕切り33により、キャビティ23から軸方向に隔てられている。各仕切り33は、0.002〜0.050インチの範囲、または他の実施形態においては約0.010インチの軸方向厚さ35(図2)を有していてよい。仕切り33は、ベース材料から形成してよい。
【0015】
実施形態は、各ポケット31に位置する一対のインサート41をさらに含む。このように、薄い仕切り33のみで、インサート41をキャビティ23のいずれかの軸側から分離している。例えば、各インサート41は、ベース材料より柔らかいポリマーから形成してよい。ポリマーには、75〜100の範囲、またはいくつかの実施形態においては約90のショアAデュロメータ硬さを与えることができる。
【0016】
ポリマーはまた、135℃〜205℃の操作温度範囲も有することができる。ポリマーは、低表面エネルギーを有するフルオロポリマーを含み、約300℃までの温度で弾性を維持することができる。高温で、フルオロポリマーの低表面エネルギーは、他の材料基板に比べて、優れた離型特性を与える。いくつかの実施形態において、ポリマーは、フルオロエラストマーまたはパーフルオロエラストマーを含み、少なくとも60%のフッ素を含んでよく、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)と同様の離型特性を有する。さらに本明細書に記載したポリマーの他の実施形態を用いてもよい。
【0017】
仕切り33とインサート31は両方共、図示するコンポーネント支持構造27を含む。いくつかの実施形態において、コンポーネント支持構造27は図示するとおり円筒形状を有する。ベース21および仕切り33は、円筒形状のためのベース直径51(図2)を有し、インサート41は、円筒形状のためのインサート直径53を有する。しかしながら、インサート直径53はベース直径51より小さい。
【0018】
さらに、ベース21、仕切り33およびインサート41のいくつかの実施形態は、様々な部品間の位置合わせを確実にするためのピン等のメカニカル配置装具のために提供されるアパーチャ26、28(例えば、図示する2つの水平アパーチャ26および1つの垂直アパーチャ28)等の位置合わせ機構を有する。あるバージョンにおいては、垂直アパーチャ28を用いて、位置合わせピンがコンポーネント101の孔128(図11)と位置合わせされる。
【0019】
位置合わせピンとアパーチャの間には空隙があり、圧縮下でのインサートの移動が可能である。アパーチャはスルーホールとして提供されてもよい。例えば、約0.020インチ以下の空隙を提供することができる。材料が圧縮下で離脱するのを防ぐため、スロットも形成してよい。十分な空隙がないと、鋳型からの熱によりインサートの中には膨潤するものがあり、インサート材料が圧縮中に挟まれて、周囲鋼と接触する端部が剥ぎ取られる恐れがある。
【0020】
図1および2において、インサート41とベース21の幅は等しく描かれている。しかしながら、他の実施形態において、インサート41は、ベース21の幅より少ない幅W(図5)を有する。狭くしたインサートの幅は、場合によっては各端部と等しく、圧縮中のインサートの移動および/または膨張が可能となる。
【0021】
図2〜4の実施形態において、インサート41の少なくとも1つのコンポーネント支持構造27は、ネック55およびコンポーネント101の軸方向に沿って放射状にテーパが付いたネック55を有する。ネック55は、コンポーネント101にメカニカルストップおよび配置機能を与える。例えば、図11に示すとおり、コンポーネントは、インサート41のネック55の形状と相補的なネック155を有する。さらに他の実施形態において、各インサート41は、上部43、二辺45およびコンポーネント支持構造27の対向する側に上部43と二辺45との間に延在する面47を有する。
【0022】
コンポーネント101をオーバーモールドする方法の実施形態は、キャビティ23とポート25をそれぞれ有する一対のベース21を提供するステップを含む。ポケット31は、各キャビティ23の対向する側のベース21に形成される。ポケット31は、キャビティ23に近接しているが、ベース21から延在する各仕切り33によりキャビティ23とは隔てられている。
【0023】
方法はまた、ベース21を形成するのに用いたベース材料より柔らかいポリマーから形成された各インサート41を、各ポケット33に設置するステップと、コンポーネント支持構造27を各ベース21、仕切り33およびインサート41において画定して、コンポーネント101を支持するステップと、コンポーネント101をベース21の1つに配置して、コンポーネント101が前記1つのベース21のコンポーネント支持構造27により支持されるようにするステップと、他のベース21を、この1つのベース21に押圧して、コンポーネント101を前記他のベース21のコンポーネント支持構造27に据え付け、コンポーネント101の軸に対して軸方向等に、両ベース21のインサート41が圧縮されるようにするステップとを含む。液体は、ポート25を通してキャビティ23に分配されて、コンポーネント101に少なくとも1つの物体103、105を形成する。
【0024】
他の実施形態において、方法は、0.002〜0.050インチの範囲、約0.010インチの厚さで各仕切りを形成するステップ、かつ/またはベース材料から仕切りを形成するステップを含む。他の実施形態は、75〜100、または約90のショアAデュロメータ硬さおよび/または135℃〜205℃の範囲の操作温度でポリマーを形成ステップを含む。ポリマーは、フルオロポリマー、フルオロエラストマーまたはパーフルオロエラストマーまたは少なくとも60%のフッ素から形成することができる。
【0025】
さらに他の実施形態において、方法は、ベースおよび仕切りが円筒形状のためのベース直径を有し、インサートが円筒形状のためのインサート直径を有し、インサート直径がベース直径より小さいコンポーネント支持構造を円筒形状として画定するステップと、コンポーネントのためにメカニカルストップおよび配置機構を与えるネックの軸方向に沿って放射状にテーパが付いたネックを備えたインサートの少なくとも1つのコンポーネント支持構造を画定するステップと、上部、二辺およびコンポーネント支持構造の対向する側に上部と二辺との間に延在する面を有する各インサートを形成するステップ、かつ/またはそれぞれ互いに位置合わせされた位置合わせ機構を有するベース、区切りおよびインサートを形成するステップとを含んでよい。
【0026】
その他のインサート材料
インサートのいくつかの実施形態は、高温操作用に設計されたFKM系列のゴムからのフルオロエラストマーを含むことができる。Dai−El、Fluorel、TechnoflonおよびViton(登録商標)が例示される。それらは、等級に応じて、200℃を超えて連続的に、かつ約300℃の温度で断続的に操作することができる。それらは、酸化、酸および燃料による化学攻撃に対して優れた抵抗性および良好な耐油性を有する。しかしながら、高温操作温度では、それらは比較的弱く、加わった力に対する適切な支持を与えることができる。それらは、蒸気、温水、メタノールおよびその他高極性流体に対する抵抗性が限られている。それらは、アミン、強アルカリおよび多くのフレオンにより攻撃される。それらは、標準および特別等級であり、後者は、改善された耐低温性等の特別な特性を有するよう設計することができる。
【0027】
インサートのその他の実施形態は、ゴムのFFKM系列におけるパーフルオロエラストマーを含むことができる。Chemraz、Kalrez(登録商標)、Perfluor、SimrizおよびZalakが例示される。これらの材料は、フルオロエラストマーよりさらに大きな耐熱および耐化学性を有する。これらは、特別な化合により、約300℃以上の温度までの極限の状態で用いることができる。それらの欠点は、処理が難しいこと、コスト、高温での物理特性に乏しいこと、そして、それらの高ガラス転移温度により低温での使用が限られることである。ある材料は0℃未満では用いることができず、通常の周囲温度であっても、それらのクリープ特性は限定されることがある。
【0028】
インサートを形成するのに用いてよいその他の例示的なフルオロポリマーとしては、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、パーフルオロプロピルビニルエーテル、パーフルオロメチルビニルエーテル等のモノマーから形成されたホモポリマー、コポリマー、ターポリマーまたはポリマーブレンド、あるいはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。例示的なフルオロポリマー層は、キャスト、剥離または押出してよい。一実施形態において、キャストおよび押出したフルオロポリマー層は、多層構造を有していてよく、フィルムの表面の組成は適合してもしなくてもよい。
【0029】
さらなる例示的なフルオロポリマーとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレンおよびパーフルオロプロピルビニルエーテル(PFA)のコポリマー、テトラフルオロエチレンおよびパーフルオロメチルビニルエーテル(MFA)のコポリマー、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)のコポリマー、エチレンおよびクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)のコポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよびフッ化ビニリデン(THV)を含むターポリマーあるいはこれらの任意のブレンド、混合物または合金が挙げられる。一実施形態において、フルオロポリマー層は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)あるいはこれらのブレンド、混合物または合金を含むことができる。例示的な一実施形態において、フルオロポリマーは、e−ビーム等の放射線により架橋可能なポリマーであってよい。例示的な架橋可能なフルオロポリマーは、ETFE、THV、PVDFまたはこれらの任意の組み合わせを含むことができる。THV樹脂は、Dyneon 3M Corporation Minneapolis,Minnより入手可能である。ECTFEポリマーは、Ausimont Corporation(Italy)よりHalarという商品名で入手可能である。
その他のフルオロポリマーは、Daikin(Japan)およびDuPont(USA)より入手可能である。特に、FEPフルオロポリマーは、NP−12X等Daikinより市販されている。
【0030】
液体シリコーンゴム(LSR)材料
例示的な一実施形態において、シリコーンベースポリマーは、非極性シリコーンポリマーを含むことができる。シリコーンベースポリマーは、例えば、ポリアルキルシロキサン、例えば、前駆体から形成されたシリコーンポリマー、例えば、ジメチルシロキサン、ジエチルシロキサン、ジプロピルシロキサン、メチルエチルシロキサン、メチルプロピルシロキサンまたはこれらの組み合わせを含むことができる。特定の実施形態において、ポリアルキルシロキサンは、ポリジアルキルシロキサン、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)を含む。特定の実施形態において、ポリアルキルシロキサンは、シリコーン水素化物−含有ポリジメチルシロキサンである。さらなる実施形態において、ポリアルキルシロキサンは、ビニル−含有ポリジメチルシロキサンである。さらに別の実施形態において、シリコーンベースポリマーは、水素化物−含有ポリジメチルシロキサンおよびビニル−含有ポリジメチルシロキサンの組み合わせである。一例において、シリコーンベースポリマーは、非極性であり、塩素およびフッ素等のハロゲン化物官能基およびフェニル官能基を含まない。あるいは、シリコーンベースポリマーは、ハロゲン化物官能基またはフェニル官能基を含んでいてもよい。例えば、シリコーンベースポリマーは、フルオロシリコーンまたはフェニルシリコーンを含んでいてよい。典型的に、シリコーンベースポリマーは、エラストマーである。例えば、シリコーンベースポリマーのデュロメータ(ショアA)は、約75未満、例えば、約1〜70、約20〜約50、約30〜約50、約40〜約50または約1〜約5であってよい。
【0031】
シリコーンベースポリマーは、触媒およびその他任意の添加剤をさらに含んでいてよい。例示的な添加剤は、個々に、または組み合わせて、フィラー、阻害剤、着色剤および顔料を含んでよい。一実施形態において、シリコーンベースポリマーは、白金で触媒されている。あるいは、シリコーンベースポリマーは、過酸化物で触媒されていてよい。他の例において、シリコーンベースポリマーは、白金で触媒されたものと、過酸化物で触媒されたものの組み合わせであってよい。シリコーンベースポリマーは、室温で加硫可能な(RTV)処方またはゲルであってよい。一例において、シリコーンベースポリマーは、高粘度ゴム状物質(HCR)または液体シリコーンゴム(LSR)であってよい。一例において、シリコーンベースポリマーは、HCR、例えば、Momentiveより入手可能なSE6035、SE6075、Bluestarシリコーンより入手可能なMF135およびDow Corningより入手可能なSilastic(登録商標)Q7−4535、Silastic(登録商標)Q7−4550である。
【0032】
特定の実施形態において、シリコーンベースポリマーは、白金で触媒されたLSRである。さらなる実施形態において、シリコーンベースポリマーは、二液性反応系から形成されたLSRである。シリコーンベースポリマーは、通常の商業的に調製されたシリコーンベースポリマーであってよい。商業的に調製されたシリコーンベースポリマーは、典型的に、非極性シリコーンポリマー、触媒、フィラーおよび任意の添加剤を含む。通常の商業的に調製されたLSRの特定の実施形態には、Wacker Silicone,Adrian、MIによるWacker Elastosil(登録商標)LR3003/50およびBluestar Silicones,Ventura,CAによるSilbione(登録商標)LSR4340が含まれる。
【0033】
例示的な実施形態において、商業的に調製されたシリコーンベースポリマーは、一液性または二液性反応系として入手可能である。二液性反応系では、1液は、典型的に、ビニル−含有ポリジアルキルシロキサン、フィラーおよび触媒を含む。2液は、典型的に、水素化物−含有ポリジアルキルシロキサンおよび任意選択的に、ビニル−含有ポリジアルキルシロキサンおよびその他添加剤を含む。反応阻害剤が、1液または2液に含まれていてよい。任意の好適な混合方法による1液と2液の混合により、シリコーンベースポリマーが生成する。1液系または2液系では、典型的に、加硫の前に、過剰の水素化物−含有シロキサンが、商業的に調製されたシリコーンベースポリマーに添加される。一実施形態において、過剰の水素化物−含有シロキサンは、加硫の前に、混合した2液系に、または2液系を混合するプロセス中に添加される。例示的な実施形態において、シリコーンベースポリマーおよび過剰の水素化物−含有シロキサンは、混合装置において混合される。一例において、混合装置は、射出成形機のミキサーである。別の例において、混合装置は、ドウミキサー、ロスミキサー、二本ロールミルまたはブラベンダーミキサーである。
【0034】
利点
本明細書に記載した実施形態は、従来の解決策に比べて数多くの利点を有する。インサートの圧縮により、コンポーネント周囲に予圧および気密シールを形成し、ポジティブシャットオフを形成し、成形プロセス中、コンポーネントに過剰のフラッシュが軸方向に形成されるのを防ぐ。インサートは、鋳型の分割線に設置して、ポジティブシャットオフを形成し、「成形」または「形成」したままのコンポーネントのフラッシュを排除してよい。インサート成形されたコンポーネントに、後のフラッシュ除去操作は必要ない。このシステムは、ホットランナーとコールドランナー成形操作の両方と適合する。
【0035】
この詳細な説明では、ベストモードを含む実施形態を開示するために、また、当業者が発明を作り使うことができるよう実施例を用いている。特許性の範囲は、請求項により定義され、当業者が想到する他の実施例も含まれてよい。かかるその他の実施例は、それらが、請求項の文言と異ならない構造要素を有している場合、またはそれらが、請求項の問合と実質的に異ならない均等な構造要素を含んでいる場合、請求項の範囲内にあるよう意図されている。
【0036】
詳細な説明または実施例で上述した動作の全てが必要ではなく、特定の動作の一部が必要でない場合があり、記載した動作に加えて1つ以上のさらなる動作を行ってもよいことに留意する。さらに、動作を挙げた順序は、必ずしも、それらを実施する順序ではない。
【0037】
前述の明細書において、特定の実施形態を参照して概念を記載してきたが、当業者であれば、以下の請求項に規定される発明の範囲を逸脱することなく、様々な修正および変更が行えることが理解される。従って、明細書および図面は、限定的な意味でなく例示的とみなされ、かかる全ての修正形態は、本発明の範囲内に含まれるよう意図されている。
【0038】
本明細書で用いる「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」、「持つ」、「持っている」またはいずれのその他変化形も、非排他的な包括を規定するものである。例えば、要素のリストを含むプロセス、方法、物品または装置は、それらの特徴に必ずしも限定されず、明示的にリストされていない、またはかかるプロセス、方法、物品または装置に固有の他の特徴も含まれてよい。さらに、明示的にそれに反するとした場合を除き、「または」は、包括的またはであり、排他的またはでない。例えば、条件AまたはBを満足するのは次のうちのいずれかである。Aが真(または存在する)でBが偽(または存在しない)、Aが偽(または存在しない)でBが真(または存在する)、およびAとBの両方が真(または存在する)。
【0039】
単数形(「a」または「an」)の使用は、本発明の要素およびコンポーネントを記載するために使用される。これは、単に便宜上のために、かつ本発明の範囲の一般的な意味を与えるために使用される。この説明は、1つまたは少なくとも1つを含めるように読まれるべきであり、他の意味であることが明白でない限り、単数には複数も含まれる。
【0040】
恩恵、その他利点および問題解決策を、特定の実施形態に関して上述してきたが、恩恵、利点、問題解決策、および恩恵、利点または解決策を生じさせ得る、またはより顕著なものとするいずれの特徴も、請求項のいずれか、または全ての重要、必要または必須の特徴と解釈されない。
【0041】
明細書を読めば、当業者であれば、明瞭にするために別個の実施形態の文脈で本明細書に記載された特定の特徴はまた、単一の実施形態の組合せで提供されてもよいことが理解されるであろう。反対に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で記載された様々な特徴はまた、別個に、または任意のサブコンビネーションで提供されてもよい。さらに、範囲で述べた値を参照する場合は、その範囲内の全ての値が含まれる。
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