(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の無線式の防犯システム100においては、ユーザの操作を受信装置106のみにおいて行うように設計されていたので、受信装置106の設置位置によっては、ユーザの利便性を低下させる可能性があった。例えば、受信装置106がリビングに設置されており、リビングが玄関から離れた場所にある場合には、ユーザが帰宅してからリビングの受信装置106における防犯モードを解除するまでに時間がかかり、所定時間内に防犯モードを解除できなくなる可能性があった。
【0006】
このような問題を解決するために、本願発明者は、ユーザの操作を受け付けることができる携帯式通信設定装置を設け、この携帯式通信設定装置をユーザが任意の場所で操作することができるシステムを発案した。このシステムによれば、例えば、受信装置40がリビングに設置されており、リビングが玄関から離れた場所にあっても、携帯式通信設定装置を玄関の近くに置いておくことで、ユーザが帰宅してから直ぐに携帯式通信設定装置を介して防犯モードを解除すること等ができる。
【0007】
しかしながら、このように携帯式通信設定装置を設けたシステムにおいては、携帯式通信設定装置が受信装置106との間で通信を行うために、新たな問題が生じ得る可能性があった。すなわち、携帯式通信設定装置は、電池式であるため、消費電力を低減して電池寿命を延ばすためには、受信装置106との間における不要な通信を抑制する必要がある。このような不要な通信の抑制を行うためには、携帯式通信設定装置に対してユーザから何らかの操作があった場合にのみ、受信装置106との通信を開始するようにすることが考えられるが、この場合には、受信装置106との間で行う必要がある現状確認通信に時間を要し、ユーザの利便性を低下させる可能性があった。あるいは、携帯式通信設定装置を介して受信装置106に対する防犯モード等の設定を行う場合に、通信に時間を要することで、設定操作が完全に完了する前にユーザが携帯式通信設定装置を放置して外出等してしまう事態が想定され、設定操作が正しく行われない可能性があった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、受信装置との間で無線通信を行う携帯式通信設定装置に関して、ユーザの利便性を向上させることができ、あるいは、設定操作をユーザに正しく行ってもらうことが可能になる、防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置は、防犯システム又は防災システムにおいて、防犯端末又は防災端末から出力された信号を受信する受信装置との間で無線通信を行う、携帯式通信設定装置であって、当該携帯式通信設定装置の周囲領域において人を感知する人感手段の感知結果
に基いて、当該携帯式通信設定装置の動作モードを使用モードに切り替え、当該携帯式通信設定装置の動作モードを前記使用モードに切り替えた場合に、前記受信装置との間における所定の無線通信を開始し、前記無線通信によって前記受信装置から受信した当該受信装置における警戒設定状態の内容を当該携帯式通信設定装置の表示手段に表示する。
【0010】
請求項2に記載の防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置は、請求項1に記載の防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置において、前記人感手段の感知結果が、当該携帯式通信設定装置の周囲領域において人が感知されていないことを示す感知結果である場合において、
当該感知結果の取得以前に当該携帯式通信設定装置を介して行われた操作処理が完了していない場合には、当該操作処理が完了していない旨の報知出力を
、ユーザに対して行う。
【0011】
請求項3に記載の防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置は、請求項
1又は2に記載の防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置におい
て、当該携帯式通信設定装置の前記動作モードを前記使用モードに切り替えている場合において、前記人感手段の感知結果が、当該携帯式通信設定装置の周囲領域において人が感知されていないことを示す感知結果である場合に
おいて、当該感知結果の取得以前に当該携帯式通信設定装置を介して行われた操作処理が完了している場合には、当該携帯式通信設定装置の前記動作モード
を待機モードに切り替える。
【0012】
請求項4に記載の防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置は、請求項
1から3のいずれか一項に記載の防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置において、当該携帯式通信設定装置の前記動作モード
を待機モードに切り替えている場合において、前記人感手段の感知結果が、当該携帯式通信設定装置の周囲領域において人が感知されていることを示す感知結果である場合、当該携帯式通信設定装置の前記動作モードを前記使用モードに切り替える。
【0015】
請求項
5に記載の防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置は、請求項
1から4のいずれか一項に記載の防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置において、前記防犯端末又は前記防災端末から出力された異常検出信号を前記受信装置が受信した場合に、当該受信装置からの信号に基づいて、異常検出が行われた旨を前記表示手段に表示する。
【0016】
請求項
6に記載の防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置は、請求項1から
5のいずれか一項に記載の防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置において、前記受信装置が警戒状態に設定されている場合において、前記人感手段によって当該携帯式通信設定装置の周囲領域において人が感知された場合には、人体検出信号を前記受信装置に送信する。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置によれば、当該携帯式通信設定装置の周囲領域において人を感知する人感手段の感知結果に基づいて所定処理を行うので、携帯式通信設定装置の周囲領域における人の有無等に基づいて携帯式通信設定装置の状態を自動的に制御することが可能になり、携帯式通信設定装置を使用するユーザの利便性を向上させることができる。
また、動作モードを使用モードに切り替えた場合に、受信装置との間における所定の無線通信を開始するので、例えば、携帯式通信設定装置の周囲領域に人がいる場合には、携帯式通信設定装置の操作に要する受信装置との初期通信を自動的に行う等、携帯式通信設定装置を使用するユーザの利便性を向上させることができる。
また、受信装置における警戒設定状態の内容を表示するので、受信装置から離れた位置においても携帯式通信設定装置を用いて警戒設定状態の内容を把握することが可能になる。
【0018】
また、請求項2に記載の防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置によれば、周囲領域において人が感知されていない場合において、
当該感知結果の取得以前に当該携帯式通信設定装置を介して行われた操作処理が完了していない場合には、当該操作処理が完了していない旨の報知出力を行うので、
操作処理が完了していないことをユーザに注意喚起することができ、携帯式通信設定装置を介した設定操作をユーザに正しく行ってもらうことが可能になる。
【0019】
また、請求項3に記載の防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置によれ
ば、周囲領域において人が感知されていない場合において、
当該感知結果の取得以前に当該携帯式通信設定装置を介して行われた操作処理が完了している場合には、当該携帯式通信設定装置の動作モードを待機モードにするので、携帯式通信設定装置の省電力化を図ることが可能になり、電池式の携帯式通信設定装置の動作可能時間を延長することができる。
【0020】
また、請求項4に記載の防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置によれば、周囲領域に人がいる場合には動作モードを使用モードに自動的に切り替えるので、操作の受け付け準備を行い、操作に対する応答性を高めることができるので、携帯式通信設定装置の利便性を高めることができる。
【0023】
また、請求項
5に記載の防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置によれば、異常検出が行われた旨を表示手段に表示するので、受信装置から離れた位置においても携帯式通信設定装置を用いて異常検出結果を把握することが可能になる。
【0024】
また、請求項
6に記載の防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置によれば、周囲領域において人が感知された場合には、人体検出信号を受信装置に送信するので、携帯式通信設定装置を実質的に防犯センサとして使用することが可能になり、防犯システムにおける防犯性を向上させることが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に添付図面を参照して、この発明の実施の形態を詳細に説明する。ただし、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0027】
(概要)
最初に、無線式の防犯システムの概要について説明する。
図1は本実施の形態に係る無線式の防犯システムの構成を説明するための説明図である。この
図1に示すように、無線式の防犯システム1は、開閉センサ10、火災センサ11、人感センサ12、異常報知灯(戸外表示灯)13、中継器30、及び受信装置(防犯受信器、センター装置)40を備えて構成されている。このうち、異常報知灯13を除く各機器は、住宅の屋内に配置されており、異常報知灯13は、住宅の屋外(例えば玄関近傍)に設置されている。なお、以下では、開閉センサ10、火災センサ11、及び人感センサ12を、必要に応じて「防犯センサ2」と総称し、さらに、防犯センサ2と異常報知灯13を、必要に応じて「防犯端末3(あるいは、端末機器)」と総称する。なお、ここでは、開閉センサ10、火災センサ11、人感センサ12、異常報知灯13、及び中継器30をそれぞれ1台ずつ設けているが、任意の複数台を設けてもよい。
【0028】
また、防犯システム1は、
図6に示した従来の防犯システムとは異なり、携帯式通信設定装置20を備えて構成されている。この携帯式通信設定装置20は、受信装置40の防犯状態を設定するための設定手段である。例えば、携帯式通信設定装置20は、屋内における中継器30又は受信装置40に電波が届く範囲内において、ユーザによって携帯され、あるいは、任意の場所に置かれた状態で使用される。特に、受信装置40がリビングに設置されており、リビングが玄関から離れた場所にある場合には、ユーザが帰宅してからリビングの受信装置40における防犯モードを解除するまでに時間がかかり、所定時間内に防犯モードを解除できなくなる可能性があるため、携帯式通信設定装置20を玄関の近傍に配置することでユーザの利便性を向上させることができる。
【0029】
また、この防犯システム1では、信号を送受信する周波数帯として、2つの周波数帯を併用する。すなわち、
図6に示した従来の無線式の防犯システム100において、無線送信は数mから数十m程度の近距離で行われることから、無線送信の周波数帯域としては、特定小電力セキュリティ無線の帯域である426MHz帯等の一つの周波数帯のみが使用されていた。ここで、この特定小電力セキュリティ無線に関する標準規格であるARIB STD−30では、426.250MHz以上で426.8375MHz以下の周波数の電波を使用する場合には、キャリアセンスが義務付けられていない。キャリアセンスとは、無線送信を行う際に、当該無線送信における搬送波周波数帯と同一の周波数帯の他の電波の受信電力レベルを感知し、この受信電力レベルが所定閾値以上である場合には、無線送信を行わないことを意味する。このようなキャリアセンスが必要ない旨が規定されていたので、従来の無線式の防犯システムにおいては、各センサ101〜103がキャリアセンスを行うことなく無線送信を行っていた。
【0030】
しかしながら、従来は無線送信の周波数帯域としては426MHz帯のみを使用していたので、通信速度が例えば1,200bpsと遅く、各センサ101〜103から送信された無線信号が受信装置106に到達するまでに時間がかかり、特に中継器105を介して受信装置106に到達するまでには時間を要していた。また、各センサ101〜103がキャリアセンスを行うことなく無線送信を行っていたので、センサ101〜103の設置数が多くなると、無線送信が同一のタイミングで行われることで信号が衝突する確率が高くなり、電波強度が弱い信号が中継器105や受信装置106に到達しなくなる可能性があった。
【0031】
このような問題を解決するためには、1)各センサ101〜103にキャリアセンスの機能を付けたり、2)各センサの無線送信の周波数帯域を、426MHz帯よりも通信速度が速く、かつ、キャリアセンスが義務付けられている周波数帯域(例えば、950MHz帯)に変更すればよいとも考えられる。しかしながら、このように各センサ101〜103の機能や周波数帯域を変更するためには、設置数が膨大な既設のセンサ101〜103を交換したり、種類の多い新設のセンサ101〜103についても設計変更する必要があり、現実的とは言えない。
【0032】
そこで、この防犯システム1では、防犯端末3からの無線送信においては、従来と同じく426MHz帯でキャリアセンスを行わないこととし、その一方、携帯式通信設定装置20、中継器30、及び受信装置40の相互間における無線送信については周波数帯域を950MHz帯とすることで、上記の問題を解決する。すなわち、このように950MHz帯を用いた場合には、通信速度を例えば9,600bpsに向上させることができ、また、無線送信時にはキャリアセンスを行うことで、無線信号を確実に到達させることができ、通信の信頼性を向上させることが可能となる。特に、この場合には、携帯式通信設定装置20、中継器30、及び受信装置40の機能のみを変更すればよく、これらの設置数や種類は防犯端末3に比べて少数であるため、現実に適用することが容易である。
【0033】
(構成−防犯端末)
次に、無線式の防犯システム1の構成について説明する。最初に、防犯端末3の構成について説明する。ただし、開閉センサ10、火災センサ11、人感センサ12、及び異常報知灯13については、従来と同様に構成することができるので、ここでは、その概要のみを説明する。開閉センサ10は、扉や窓の開閉状態を磁気等にて検知する無線式の開閉検知手段であり、扉や窓が開状態となったことを検知した場合には、その旨の信号を無線にて送信する。火災センサ11は、煙や熱を検知することにより火災発生を検知する火災検知手段であり、火災発生を検知した場合には、その旨の信号を無線にて送信する。人感センサ12は、赤外線を検知することにより人体を検知する人体検知手段であり、人体を検知した場合には、その旨の信号を無線にて送信する。異常報知灯13は、受信装置40から移報信号を受信した場合に点灯又は点滅することで、火災等の異常発生を屋外に報知する異常発生報知手段である。ただし、これら防犯端末3における検知原理は任意であり、公知の他の原理を用いることができる。
【0034】
(構成−携帯式通信設定装置)
携帯式通信設定装置20は、受信装置40に無線信号を送信することにより、受信装置40における防犯警戒状態を無線で遠隔的に設定するための無線装置及び端末機器である。
図2は、携帯式通信設定装置20の電気的構成を示すブロック図である。この
図2に示すように、携帯式通信設定装置20は、筐体の正面に、各種のボタン群22及び表示灯群23を備え、筐体の内部に、無線送受信部24、スピーカ25、記憶部26、電源部27、及び制御部28を収容して構成されている。さらに、携帯式通信設定装置20は、人感センサ29を備える。
【0035】
操作部22は、非常ボタン22a、開始ボタン22b、警備ボタン22c、及び解除ボタン22dを含んで構成されている。表示灯群23は、非常灯23a、警報灯23b、OK灯23c、NG灯23d、警備灯23e、及び解除灯23fを含んで構成されている。
【0036】
無線送受信部24は、950MHz帯で無線信号を送受信するもので、950MHz帯に専用のアンテナ24aを備える。スピーカ25は、警報音を出力する。記憶部26は、例えばフラッシュメモリにより構成されており(後述する記憶部32、42も同様)、携帯式通信設定装置20の制御に必要なプログラム及びパラメータを記憶する。電源部27は、図示しない電池を備えて構成されており、この電池から供給される電力を携帯式通信設定装置20の各部に供給する。制御部28は、例えば図示しないCPU(Central Processing Unit)と当該CPU上で実行されるプログラムにより構成されている。特に、制御部28は、信号処理部28a及び人感処理部28bを備える。信号処理部28aは、無線信号を送信する際には、キャリアセンスを公知の方法で行い、同一周波数帯の無線が検知されない場合にのみ、無線信号を送信する。人感処理部28bは、人感センサ29の感知結果に基づいて所定処理を行う人感処理手段である。
【0037】
人感センサ29は、携帯式通信設定装置の周囲領域において人を感知する人感手段である。この人感センサ29は、公知の原理で構成されるものであり、例えば、赤外線センサ(焦電型赤外線センサ)、超音波センサ、あるいは可視光センサとして構成される。携帯式通信設定装置の周囲領域とは、携帯式通信設定装置を操作するユーザ又は操作したユーザを、当該ユーザが当該携帯式通信設定装置に実際に接触していない状態において検知するために想定される領域であり、例えば、携帯式通信設定装置から1〜3m程度離れた領域である。ここでは、携帯式通信設定装置の筐体の正面に人感センサが配置されているものとし、当該正面側を上記周囲領域として想定しているが、他の面側を上記周囲領域として設定したり、人感センサを複数設ける等して複数の側面側を上記周囲領域として設定してもよい。また、複数種類の異なる人感センサを配置して、複合的な人体感知を行うこともできる。
【0038】
このように構成された携帯式通信設定装置20の動作モードは、通常は待機モードになっており、人感センサ29により人が感知された場合、あるいは、携帯式通信設定装置20に対する何らかの操作が行われた場合には、使用モードに切り替わる。待機モードとは、携帯式通信設定装置20による消費電力量を極力低減するための省電力モードであり、人感センサ29から出力やユーザによる操作の監視に必要な機能のみを動作させ、他の機能は電源遮断を行うモードである。この待機モードでは、無線送受信部24を介した無線受信動作を休止させ、表示灯群23による表示は行わずに消灯させる。一方、使用モードとは、携帯式通信設定装置20による消費電力量の低減を考慮しないモードであり、全ての機能を動作させるモードである。この使用モードでは、無線送受信部24を介した無線受信動作を行なわせる。この使用モードへの切り替え後には、無線送受信部24を介した無線受信動作を開始して受信装置40との現状確認通信を行う。現状確認通信とは、防犯システム1の現在の警戒設定状態を確認するために行われる通信であり、具体的には、受信装置40でユーザが行ったパスワード変更の有無やその内容、受信装置40を介してユーザにより設定されている防犯モードの内容、及び受信装置40を介して行われている警報の内容を確認するための通信である。以下、この現状確認通信のために受信装置40から携帯式通信設定装置20に対して送信される情報を現状確認情報と称する。
【0039】
この現状確認通信を終えた後、携帯式通信設定装置20において、受信装置40から受信した警戒設定状態の内容は、当該警戒設定状態に対応する表示灯群23の各部(例えば警報灯23b)を点灯又は点滅させることで、表示される。また、使用モードへの切り替え後に、防犯端末3によって異常が検出された場合には、この異常検出があった旨を示す異常検出情報を受信装置40から携帯式通信設定装置20が受信し、携帯式通信設定装置20において、当該受信した異常検出情報に対応する表示灯群23の各部(例えば非常灯23a)を点灯又は点滅させることで、表示される。
【0040】
また、現状確認通信を終えた後、ユーザによって非常ボタン22aが押下された場合には、無線送受信部24を介して非常信号が受信装置40に送信され、非常灯23aが点灯又は点滅(以下、点灯又は点滅を、単に点灯として説明する)される。この非常信号が受信装置40で受信された場合、受信装置40から警備会社に非常信号が移報され、警備員が住宅に急行する。
【0041】
あるいは、ユーザによって警備ボタン22cが押下された場合には、警備灯23eが点灯され、この状態で開始ボタン22bが押下された場合に、無線送受信部24を介して警備要求信号が送信される。この警備要求信号が受信装置40で受信された場合、受信装置40の防犯モードが外出警備モードに設定される。ここで、外出警備モードとは、ユーザの外出時に警備会社が監視を行うモードであり、異常発生時には受信装置40から警備会社に異常信号が移報され、警備員が住宅に急行するモードである。また、このように受信装置40の防犯モードが外出警備モードに設定された場合、受信装置40から警備確認信号が送信され、この警備確認信号が携帯式通信設定装置20の無線送受信部24を介して受信された場合、OK灯23cが点灯される。一方、開始ボタン22bが押下されてから所定時間以内に警備確認信号が携帯式通信設定装置20で受信されない場合には、NG灯23dが点灯される。
【0042】
また、このように外出警備モードに設定されている状態において、人感センサ29により人が感知された場合には、人体検出信号が携帯式通信設定装置20から受信装置40に送信され、受信装置40から警備会社に非常信号が移報され、警備員が住宅に急行する。
【0043】
また、外出警備モードに設定されている状態において、ユーザによって解除ボタン22dが押下された場合には、解除灯23fが点灯され、この状態で開始ボタン22bが押下された場合に、解除要求信号が無線送受信部24を介して送信される。この解除要求信号が受信装置40で受信された場合、受信装置40の防犯モードが解除される。また、このように防犯モードが解除された場合、受信装置40から解除確認信号が送信され、この解除確認信号が携帯式通信設定装置20の無線送受信部24を介して受信された場合、OK灯23cが点灯される。一方、開始ボタン22bが押下されてから所定時間以内に解除確認信号が携帯式通信設定装置20で受信されない場合には、NG灯23dが点灯される。以下では、警備要求信号や解除要求信号を要求信号、警備確認信号や解除確認信号を確認信号と、それぞれ総称する。
【0044】
(構成−中継器)
図1の中継器30は、防犯センサ2から無線送信された信号を受信し、当該受信した信号を携帯式通信設定装置20又は受信装置40に送信する中継手段であり、防犯センサ2からの信号を受信する防犯システム用の無線装置である。また、中継器30は受信装置40から無線送信された信号を受信し、携帯型設定装置20あるいは異常報知灯13に送信する中継手段でもある。この中継器30は、防犯センサ2と受信装置40との間に配置され、あるいは、受信装置40と異常報知灯13との間に配置される。
【0045】
図3は、中継器30の電気的構成を示すブロック図である。この
図3に示すように、中継器30は、無線送受信部31、記憶部32、電源部33、及び制御部34を備えて構成されている。無線送受信部31は、426MHz帯及び950MHz帯の信号の送受信を行う。この無線送受信部31の詳細については後述する。記憶部32は、中継器30の制御に必要なプログラム及びパラメータを記憶するものである。特に、記憶部32は、周波数切り替えフラグを記憶する。周波数切り替えフラグとは、426MHz帯と950MHz帯のいずれで無線信号の送受信を行うのかを識別するためのフラグであり、ここでは、周波数切り替えフラグ=0の場合には950MHz帯、周波数切り替えフラグ=1の場合には426MHz帯で、送受信を行うものとする(受信装置40の周波数切り替えフラグにおいて同じ)。また、記憶部32は、機器テーブルを記憶する。機器テーブルとは、中継の対象になる機器を識別するためのテーブルであり、例えば、防犯センサ2、携帯式通信設定装置20、あるいは受信装置40をそれぞれ一意に識別するために予めこれら各機器に付与された識別番号と、各機器に対する中継動作を示す情報とを関連付けて構成されている。電源部33は、通常時には、商用電源から供給された電力を中継器30の各部に供給し、停電時には、当該電源部33が内蔵する図示しない電池から供給された電力を中継器30の各部に供給する。制御部34は、中継器30の各部を制御する制御手段である。
【0046】
ここで、無線送受信部31の構成の詳細について説明する。この無線送受信部31は、アンテナ35、アンテナ側接続部36、第1信号処理部37、第2信号処理部38、及び制御部側接続部39を備えて構成されている。アンテナ35は、1本のみ設けられており、このアンテナ35を426MHz帯と950MHz帯の2つの周波数帯の信号の送受信に併用する。すなわち、アンテナ35の全長Lは、426MHz帯と950MHz帯を併用可能なように、426MHzの1/4波長で、かつ、950MHzの5/8波長となるように決定されている。アンテナ側接続部36は、アンテナ35に接続される接続端子である。
【0047】
第1信号処理部37は、426MHz帯の信号を処理するもので、LPF(ローパスフィルタ)37aと第1基本処理部37bを備える。LPF37aは、426MHz帯近傍以下の信号のみを通過させる第1周波数帯域通過手段である。LPF37aは、426MHz帯近傍のみを通過させるBPF(バンドパスフィルタ)でも良い。第1基本処理部37bは、アンテナ35にて受信されアンテナ側接続部36を介して入力された第1周波数帯の信号を所定の第1方式の信号に変換して制御部側接続部39を介して制御部34に出力すると共に、制御部34から制御部側接続部39を介して入力された第1方式の信号を第1周波数帯でアンテナ側接続部36を介してアンテナ35に出力する。
【0048】
また、第2信号処理部38は、950MHz帯の信号を処理するもので、HPF(ハイパスフィルタ)38a、第2基本処理部38b、及び互換処理部38cを備える。HPF38aは、950MHz帯近傍以上の信号のみを通過させる第1周波数帯域通過手段である。HPF38aは、950MHz帯近傍のみを通過させるBPF(バンドパスフィルタ)でも良い。第2基本処理部38bは、アンテナ35にて受信されアンテナ側接続部36を介して入力された第2周波数帯の信号を所定の第2方式の信号に変換して出力すると共に、第2方式の信号を第2周波数帯でアンテナ側接続部36を介してアンテナ35に出力する。互換処理部38cは、第2基本処理部38bにて第2方式の信号に変換して出力された信号を第1方式の信号に変換して制御部側接続部39を介して制御部34に出力すると共に、制御部34から制御部側接続部39を介して入力された第1方式の信号を第2方式の信号に変換して第2基本処理部38bに出力する。
【0049】
この中継器30は、防犯センサ2との相互間では、無線信号を426MHz帯でキャリアセンスを行うことなく送受信する。一方、中継器30は、受信装置40との相互間では、防犯センサ2からの信号を中継する際には無線信号を426MHz帯でキャリアセンスを行うことなく送信し、携帯式通信設定装置20からの信号を中継する際には無線信号を950MHz帯でキャリアセンスを行った上で送信する。ただし、携帯式通信設定装置20からの信号を中継する場合であっても、受信装置40から後述する周波数切り替え要求信号を受信した場合には、無線信号を426MHz帯でキャリアセンスを行うことなく送信する。
【0050】
このように構成された無線送受信部31の各部のうち、アンテナ35を除く各部は、同一の基盤の両面に実装されてモジュール化されている。より具体的には、例えば、第1基本処理部37bや第2基本処理部38bは、それぞれ無線用ICにより構成され、互換処理部38cはマイコンにより構成され、これら無線用ICやマイコンが同一の基盤の両面に実装されている。この実装レイアウトの設計に際しては、426MHz帯の信号と950MHz帯の信号との相互干渉を防止するための構成(例えば、電源ノイズ低減用のインピーダーの設置、426MHz系統と950MHz系統との離隔配置、ノイズシールドの設置等)を採用することが好ましい。
【0051】
ここで、信号の方式について説明する。ここでは、信号の方式とは、426MHz帯の信号と950MHz帯の信号の相互間において、周波数帯以外の相違を生じさせるものを意味し、例えば、送受信プロトコル、信号フォーマット、及びコマンド体系を含む。以下では、信号の方式がコマンド体系である場合について説明する。すなわち、第1基本処理部37bは、アンテナを介してアナログ入力された426MHz帯の信号を、当該信号の内容に応じたコマンドに変換してシリアル信号として出力し、第2基本処理部38bは、アンテナを介してアナログ入力された950MHz帯の信号を、当該信号の内容に応じたコマンドに変換してシリアル信号として出力する。ここで、426MHz帯の信号のコマンド体系(第1コマンド体系)と950MHz帯の信号のコマンド体系(第2コマンド体系)とは相互に異なるので、互換処理部38cは、第1コマンド体系のコマンドと第2コマンド体系のコマンドとを必要に応じて相互に変換する。
【0052】
例えば、受信周波数と送信周波数がいずれも426MHz帯である場合、第1信号処理部37の第1基本処理部37bは、この信号を第1コマンド体系のコマンドに変換して制御部34に送信し、制御部34は、このコマンドに基づいて、信号の種別判定や信号送信要否判定等を行う。そして、所定の信号を送信する必要があると判定された場合、制御部34は、第1コマンド体系のコマンドによる送信指示を第1基本処理部37bに送信し、この指示を受けた第1基本処理部37bが信号をキャリアセンスを行うことなく426MHz帯で送信する。
【0053】
あるいは、受信周波数と送信周波数がいずれも950MHz帯である場合、第2信号処理部38の第2基本処理部38bは、この信号を第2コマンド体系のコマンドに変換して互換処理部38cに出力し、互換処理部38cはこの第2コマンド体系のコマンドを第1コマンド体系のコマンドに変換して制御部34に送信し、制御部34はこのコマンドに基づいて、信号の種別判定や信号送信要否判定等を行う。そして、所定の信号を送信する必要があると判定された場合、制御部34は、第1コマンド体系のコマンドによる送信指示を互換処理部38cに送信し、互換処理部38cがこの第1コマンド体系のコマンドを第2コマンド体系のコマンドに変換して第2基本処理部38bに出力し、第2基本処理部38bが信号をキャリアセンスを行った上で950MHz帯で送信する。
【0054】
あるいは、受信周波数が426MHz帯であり、送信周波数が950MHz帯である場合、第1信号処理部37の第1基本処理部37bは、この信号を第1コマンド体系のコマンドに変換して制御部34に送信し、制御部34は、このコマンドに基づいて、信号の種別判定や信号送信要否判定等を行う。そして、所定の信号を送信する必要があると判定された場合、制御部34は、第1コマンド体系のコマンドによる送信指示を互換処理部38cに送信し、互換処理部38cがこの第1コマンド体系のコマンドを第2コマンド体系のコマンドに変換して第2基本処理部38bに出力し、第2基本処理部38bが信号をキャリアセンスを行った上で950MHz帯で送信する。
【0055】
逆に、受信周波数が950MHz帯であり、送信周波数が426MHz帯である場合、第2信号処理部38の第2基本処理部38bは、この信号を第2コマンド体系のコマンドに変換して互換処理部38cに出力し、互換処理部38cはこの第2コマンド体系のコマンドを第1コマンド体系のコマンドに変換して制御部34に送信し、制御部34はこのコマンドに基づいて、信号の種別判定や信号送信要否判定等を行う。そして、所定の信号を送信する必要があると判定された場合、制御部34は、第1コマンド体系のコマンドによる送信指示を第1基本処理部37bに送信し、この指示を受けた第1基本処理部37bが信号をキャリアセンスを行うことなく426MHz帯で送信する。
【0056】
このように互換処理部38cで変換するコマンドの具体的な内容は任意であるが、例えば、周波数のchの設定、信号の送信指示、信号の受信指示、キャリアセンスの自動実行指示、キャリアセンスで取得された電波強度の値の送信指示等を挙げることができる。このような変換を行うため、互換処理部38cには、第2コマンド体系のコマンドを、第1コマンド体系のコマンドに変換するためのコマンド変換データが予め格納されている。このような構成を採用することで、制御部34は、無線送受信部31に対しては第1コマンド体系のコマンドのみを使用して通信を行えばよく(従来と同様に426MHz帯の信号の制御のみを行えばよく)、第1コマンド体系と第2コマンド体系の2つのコマンドを使用する必要がないので、制御部34の構成を簡素化することが可能となる。
【0057】
(構成−受信装置)
次に、
図1の受信装置40について説明する。この受信装置40は、防犯センサ2から送信された信号を、中継器30を介して受信し、あるいは直接受信することにより、異常の有無を監視する制御装置であって、防犯センサ2からの信号を受信する防犯システム用の無線装置である。この受信装置40は、異常を検知した際には、異常報知灯13に移報信号を無線で送信して異常報知を行わせると共に、必要に応じて、警備会社へ異常発生を有線又は無線で移報する無線中継器でもある。この受信装置40は、例えば、屋内においてユーザが視認し易い場所(代表的には、玄関やリビング)に設置される。
【0058】
図4は、受信装置40の電気的構成を示すブロック図である。この
図4に示すように、受信装置40は、無線送受信部41、記憶部42、電源部43、及び制御部44を収容して構成されている。記憶部42は、受信装置40の制御に必要なプログラム及びパラメータを記憶するものである。特に、記憶部42は、周波数切り替えフラグと機器テーブルを記憶する。機器テーブルとは、受信の対象になる機器を識別するためのテーブルであり、例えば、防犯センサ2、携帯式通信設定装置20、あるいは中継器30をそれぞれ一意に識別するために予めこれら各機器に付与された識別番号と、各機器に対する受信動作を示す情報とを関連付けて構成されている。電源部43は、商用電源から供給される電力を受信装置40の各部に供給する。制御部44は、受信装置40の各部を制御する。この制御部44は、受信状況判定部44aを備える。この受信状況判定部44aは、後述する第1信号処理部47と第2信号処理部48のうち、中継器30が受信装置40に無線信号を送信する際に通常使用する所定の周波数帯(ここでは、950MHz帯)に応じたいずれか一方(ここでは、第2信号処理部48)における、無線信号の受信状況を判定するものである。
【0059】
無線送受信部41は、426MHz帯及び950MHz帯の信号の送受信を行う無線送受信部であり、アンテナ45、アンテナ側接続部46、第1信号処理部47、第2信号処理部48、及び制御部側接続部49を備えて構成されている。また、第1信号処理部47は、LPF47aと第1基本処理部47bを備え、第2信号処理部48は、HPF48a、第2基本処理部48b、及び互換処理部48cを備える。これら無線送受信部41の各部は、特記する構成を除き、中継器30の無線送受信部31における同一名称の各部と同様に構成することができるため、その詳細な説明は省略する。
【0060】
この受信装置40は、異常報知灯13に対しては、無線信号を426MHz帯でキャリアセンスを行うことなく送信する。一方、受信装置40は、中継器30との相互間では、中継器30から426MHz帯で送信された無線信号の送受信に関しては、426MHz帯で行い、中継器30から950MHz帯で送信された無線信号の送受信に関しては、950MHz帯で行う。ただし、中継器30から950MHz帯で送信された無線信号の送受信に関して、受信状況判定部44aによって第2信号処理部48の受信状況が所定状況であると判定された場合には、426MHz帯で行う。所定状況とは、ここでは、950MHz帯で送信された信号を第2信号処理部48で受信することが困難であり、適切に受信できない可能性が高い状況(以下、受信困難状況)である。
【0061】
(処理)
次に、このように構成された防犯システム1における処理の詳細について説明する。特に、以下では、携帯式通信設定装置20によって行われる送受信処理を中心に説明する。
図5は、携帯式通信設定装置20の送受信処理のフローチャートである。なお、以下では、「ステップ」を「S」と略記する。また、特に説明なき場合には、携帯式通信設定装置20の処理は制御部28によって行われ、受信装置40の処理は制御部44によって行われるものとする。
【0062】
通常、携帯式通信設定装置20の動作モードは待機モードになっており、この待機モードにおいて、制御部28は、人感センサ29により人が感知されたか否か、又は携帯式通信設定装置20に対する何らかの操作が行われたか否かを監視する(SA1)。具体的には、人感処理部28bは人感センサ29の出力を監視しており、人感センサ29の出力が人の感知を示す所定レベルの出力である場合には、人感センサ29により人が感知されたものと判定する。また、制御部28は、ボタン群22の出力を監視しており、ボタン群22が操作された場合には、携帯式通信設定装置20に対する操作が行われたものと判定する。
【0063】
そして、人が感知された場合、又は操作が行われた場合(SA1、Yes)、制御部28は、携帯式通信設定装置20の動作モードを待機モードから使用モードに切り替える(SA2)。具体的には、無線送受信部24等に対する電力供給を行う。次いで、制御部28は、無線送受信部24を介して、現況確認要求信号を950MHz帯でキャリアセンスを行った上で送信させる(SA3)。この現況確認要求信号を直接又は中継器30による中継を介して受信した受信装置40において、制御部44は、第2信号処理部48を介して、現状確認情報を含んだ現況確認報告信号を950MHz帯でキャリアセンスを行った上で送信させる。
【0064】
一方、携帯式通信設定装置20の制御部28は、現況確認要求信号の送信後、現況確認報告信号の受信を監視しており(SA4)、現況確認報告信号を直接又は中継器30による中継を介して受信した場合(SA4、Yes)、当該現況確認報告信号に含まれた現状確認情報に基づいて、必要に応じて各種の処理を行う(SA5)。例えば、現状確認情報に含まれるパスワードが、記憶部26に記憶されているパスワードと異なる場合には、パスワード変更があったものとして、当該現状確認情報に含まれるパスワードを記憶部26に記憶させる。あるいは、現状確認情報に警報中である旨が含まれている場合には、スピーカ25を介して警報を出力する。
【0065】
その後、制御部28は、携帯式通信設定装置20に対する何らかの操作が行われたか否かを監視し(SA6)、所定時間を経過しても操作が行われなかった場合には(SA7、Yes)、携帯式通信設定装置20の動作モードを使用モードから待機モードに切り替える(SA8)。具体的には、無線送受信部24等に対する電力供給を停止等する。これにて送受信処理を終了する。
【0066】
一方、操作が行われたと判定した場合(SA6、Yes)(ここでは、SA1において操作が行われたと判定された場合を含む)、当該操作内容に基づいて、要求信号を送信する(SA9)。例えば、警備ボタン22cや解除ボタン22dが押下された場合、制御部28は、無線送受信部24を介して、要求信号を950MHz帯でキャリアセンスを行った上で送信させる。この要求信号を直接又は中継器30による中継を介して受信した受信装置40において、制御部44は、第2信号処理部48を介して、確認信号を950MHz帯でキャリアセンスを行った上で送信させる。
【0067】
一方、携帯式通信設定装置20の制御部28は、要求信号の送信後、所定時間以内に、受信装置40からの確認信号が受信できたか否かを監視する(SA10〜SA12)。そして、確認信号を受信することなく所定時間が経過した場合(SA12、Yes)、制御部28は、SA9で送信した要求信号が何らかの原因で受信装置40で受信されていない可能性があるとして、要求信号を再び送信する(SA9)。
【0068】
また、携帯式通信設定装置20の制御部28は、要求信号の送信後、人感センサ29による人の感知結果を監視しており(SA11)、確認信号を受信する前に、人が感知されなくなった場合(人感センサ29の出力が人の感知を示す所定レベル以下の出力になった場合)には(SA11、No)、携帯式通信設定装置20に対する操作処理が完全に終了する前(ここでは、確認信号を受信する前)に、携帯式通信設定装置20から人が離れた可能性が高いとし、当該操作処理が完了していない旨の報知出力を行う(SA13)。具体的には、制御部28は、スピーカ25から警報音を出力させると共に、非常灯23aを所定パターンで点滅させる。なお、人感センサ29として焦電型赤外線センサを用いた場合には、人の存在ではなく、人の動作変化を検出することになり、携帯式通信設定装置20の周囲に人が静止状態で留まっている場合には当該人の感知を行うことができない可能性があるため、動作変化を検出した回数等に基づいて人の存在の有無を判定したり、他の原理により人の感知を行うようにしてもよい(SA1においても同様)。この際、スピーカ25から出力する警報音は、単なるブザー音でもよく、あるいは「まだ操作が完了していません」の如き所定の音声メッセージでもよい。この警報は、人感センサ29によって再び人が感知される迄、継続して行うことで、ユーザの注意喚起を確実に行ってもよく、あるいは、警報による電池消耗を低減する観点から、所定時間経過後に警報を停止させてもよい。
【0069】
その後、確認信号を受信した場合(SA10、Yes)、制御部28は、SA9で送信した要求信号が受信装置40で受信されたものとしてSA7に移行し、その後の所定時間以内に次の操作が行われた場合には(SA6、Yes)、SA9に移行して要求信号を再び送信し、その後の所定時間以内に次の操作が行われなかった場合には(SA7、Yes)、操作が短時間以内に再び行われる可能性は低いとし、携帯式通信設定装置20の動作モードを使用モードから待機モードに切り替えて(SA8)、送受信処理を終了する。
【0070】
(効果)
このように本実施の形態によれば、携帯式通信設定装置20の周囲領域において人を感知する人感センサ29の感知結果に基づいて所定処理を行うので、携帯式通信設定装置20の周囲領域における人の有無等に基づいて携帯式通信設定装置20の状態を自動的に制御することが可能になり、携帯式通信設定装置20を使用するユーザの利便性を向上させることができる。
【0071】
また、人感センサ29の感知結果に基づいて、動作モードを使用モードと待機モードのいずれかに選択的に切り替えるので、例えば、周囲領域に人がいる場合には動作モードを使用モードに自動的に切り替えることで、操作の受け付け準備を行い、周囲領域に人がいない場合には動作モードを待機モードに自動的に切り替えることで、消費電力を低減して電池寿命を延ばす等、携帯式通信設定装置20の利便性を高めることができる。
【0072】
また、周囲領域に人がいる場合には動作モードを使用モードに自動的に切り替えるので、操作の受け付け準備を行い、操作に対する応答性を高めることができるので、携帯式通信設定装置20の利便性を高めることができる。
【0073】
また、動作モードを使用モードに切り替えた場合に、受信装置40との間における所定の無線通信を開始するので、例えば、携帯式通信設定装置20の周囲領域に人がいる場合には、携帯式通信設定装置20の操作に要する受信装置40との初期通信を自動的に行う等、携帯式通信設定装置20を使用するユーザの利便性を向上させることができる。
【0074】
また、受信装置40における警戒設定状態の内容を表示するので、受信装置40から離れた位置においても携帯式通信設定装置20を用いて警戒設定状態の内容を把握することが可能になる。
【0075】
また、異常検出が行われた旨を表示灯群23に表示するので、受信装置40から離れた位置においても携帯式通信設定装置20を用いて異常検出結果を把握することが可能になる。
【0076】
また、周囲領域において人が感知された場合には、人体検出信号を受信装置40に送信するので、携帯式通信設定装置20を実質的に防犯センサとして使用することが可能になり、防犯システムにおける防犯性を向上させることが可能になる。
【0077】
また、周囲領域において人が感知されていない場合において、当該携帯式通信設定装置20を介して行われている所定操作処理が完了していない場合には、当該所定操作処理が完了していない旨の報知出力を行うので、所定操作処理が完了していないことをユーザに注意喚起することができ、携帯式通信設定装置20を介した設定操作をユーザに正しく行ってもらうことが可能になる。
【0078】
また、携帯式通信設定装置20の周囲領域において人が感知されていない場合において、当該携帯式通信設定装置20を介して行われている所定操作処理が完了している場合に、当該携帯式通信設定装置20の動作モードを待機モードにするので、携帯式通信設定装置20の省電力化を図ることが可能になり、電池式の携帯式通信設定装置20の動作可能時間を延長することができる。
【0079】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0080】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0081】
(通信システムの目的や種類について)
上記実施の形態では、防犯システムについて説明したが、この他にも、例えば、防災端末としての無線式住宅用火災警報器やその他の電池式小型無線機器から、受信装置としての受信機に通信を行う防災システムにも、本発明を適用することができる。
【0082】
(人感手段について)
上記実施の形態では、携帯式通信設定装置20に人感センサ29を内蔵しているが、防犯システム1が設置される建屋の天井や壁面等に人感センサを設け、この人感センサからの出力を携帯式通信設定装置に対して有線又は無線にて送信するようにしてもよい。この場合、携帯式通信設定装置20の動作モードが待機モードとなっている場合には、人感センサからの出力の受信機能は動作させ、受信装置40との通信機能のみ休止させておけばよい。
(付記)
付記1の防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置は、防犯システム又は防災システムにおいて、防犯端末又は防災端末から出力された信号を受信する受信装置との間で無線通信を行う、携帯式通信設定装置であって、当該携帯式通信設定装置の周囲領域において人を感知する人感手段の感知結果に基づいて所定処理を行う。
付記2の防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置は、付記1に記載の防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置において、前記人感手段の感知結果に基づいて、当該携帯式通信設定装置の動作モードを使用モードと待機モードのいずれかに選択的に切り替える。
付記3の防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置は、付記2に記載の防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置において、当該携帯式通信設定装置の動作モードを待機モードに切り替えている場合において、前記人感手段の感知結果が、当該携帯式通信設定装置の周囲領域において人が感知されていることを示す感知結果である場合、当該携帯式通信設定装置の動作モードを使用モードに切り替える。
付記4の防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置は、付記3に記載の防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置において、当該携帯式通信設定装置の動作モードを使用モードに切り替えた場合に、前記受信装置との間における所定の無線通信を開始する。
付記5の防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置は、付記4に記載の防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置において、前記無線通信によって前記受信装置から受信した当該受信装置における警戒設定状態の内容を表示する表示手段を備える。
付記6の防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置は、付記1から5のいずれか一項に記載の防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置において、前記防犯端末又は前記防災端末から出力された異常検出信号を前記受信装置が受信した場合に、当該受信装置からの信号に基づいて、異常検出が行われた旨を前記表示手段に表示する。
付記7の防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置は、付記1から6のいずれか一項に記載の防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置において、前記受信装置が警戒状態に設定されている場合において、前記人感手段によって当該携帯式通信設定装置の周囲領域において人が感知された場合には、人体検出信号を前記受信装置に送信する。
付記8の防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置は、付記1から7のいずれか一項に記載の防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置において、前記人感手段の感知結果が、当該携帯式通信設定装置の周囲領域において人が感知されていないことを示す感知結果である場合において、当該携帯式通信設定装置を介して行われている所定操作処理が完了していない場合に、当該所定操作処理が完了していない旨の報知出力を行う。
付記9の防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置は、付記2から8のいずれか一項に記載の防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置において、当該携帯式通信設定装置の動作モードを使用モードに切り替えている場合において、前記人感手段の感知結果が、当該携帯式通信設定装置の周囲領域において人が感知されていないことを示す感知結果である場合において、当該携帯式通信設定装置を介して行われている所定操作処理が完了している場合に、当該携帯式通信設定装置の動作モードを待機モードに切り替える。
(付記の効果)
付記1に記載の防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置によれば、当該携帯式通信設定装置の周囲領域において人を感知する人感手段の感知結果に基づいて所定処理を行うので、携帯式通信設定装置の周囲領域における人の有無等に基づいて携帯式通信設定装置の状態を自動的に制御することが可能になり、携帯式通信設定装置を使用するユーザの利便性を向上させることができる。
また、付記2に記載の防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置によれば、人感手段の感知結果に基づいて、動作モードを使用モードと待機モードのいずれかに選択的に切り替えるので、例えば、周囲領域に人がいる場合には動作モードを使用モードに自動的に切り替えることで、操作の受け付け準備を行い、周囲領域に人がいない場合には動作モードを待機モードに自動的に切り替えることで、消費電力を低減して電池寿命を延ばす等、携帯式通信設定装置の利便性を高めることができる。
また、付記3に記載の防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置によれば、周囲領域に人がいる場合には動作モードを使用モードに自動的に切り替えるので、操作の受け付け準備を行い、操作に対する応答性を高めることができるので、携帯式通信設定装置の利便性を高めることができる。
また、付記4に記載の防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置によれば、動作モードを使用モードに切り替えた場合に、受信装置との間における所定の無線通信を開始するので、例えば、携帯式通信設定装置の周囲領域に人がいる場合には、携帯式通信設定装置の操作に要する受信装置との初期通信を自動的に行う等、携帯式通信設定装置を使用するユーザの利便性を向上させることができる。
また、付記5に記載の防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置によれば、受信装置における警戒設定状態の内容を表示するので、受信装置から離れた位置においても携帯式通信設定装置を用いて警戒設定状態の内容を把握することが可能になる。
また、付記6に記載の防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置によれば、異常検出が行われた旨を表示手段に表示するので、受信装置から離れた位置においても携帯式通信設定装置を用いて異常検出結果を把握することが可能になる。
また、付記7に記載の防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置によれば、周囲領域において人が感知された場合には、人体検出信号を受信装置に送信するので、携帯式通信設定装置を実質的に防犯センサとして使用することが可能になり、防犯システムにおける防犯性を向上させることが可能になる。
また、付記8に記載の防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置によれば、周囲領域において人が感知されていない場合において、当該携帯式通信設定装置を介して行われている所定操作処理が完了していない場合には、当該所定操作処理が完了していない旨の報知出力を行うので、所定操作処理が完了していないことをユーザに注意喚起することができ、携帯式通信設定装置を介した設定操作をユーザに正しく行ってもらうことが可能になる。
また、付記9に記載の防災又は防犯システム用の携帯式通信設定装置によれば、周囲領域において人が感知されていない場合において、当該携帯式通信設定装置を介して行われている所定操作処理が完了している場合に、当該携帯式通信設定装置の動作モードを待機モードにするので、携帯式通信設定装置の省電力化を図ることが可能になり、電池式の携帯式通信設定装置の動作可能時間を延長することができる。