(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6014299
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】熱伝導性シリコーン組成物及び半導体装置
(51)【国際特許分類】
C08L 83/04 20060101AFI20161011BHJP
C08K 3/08 20060101ALI20161011BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20161011BHJP
C08K 5/541 20060101ALI20161011BHJP
C08L 83/05 20060101ALI20161011BHJP
C08L 83/07 20060101ALI20161011BHJP
C08L 83/14 20060101ALI20161011BHJP
C09D 7/12 20060101ALI20161011BHJP
C09D 183/00 20060101ALI20161011BHJP
C09J 11/04 20060101ALI20161011BHJP
C09J 183/04 20060101ALI20161011BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20161011BHJP
H01L 23/373 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
C08L83/04
C08K3/08
C08K3/22
C08K5/541
C08L83/05
C08L83/07
C08L83/14
C09D7/12
C09D183/00
C09J11/04
C09J183/04
H01L23/36 D
H01L23/36 M
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2008-223588(P2008-223588)
(22)【出願日】2008年9月1日
(65)【公開番号】特開2010-59237(P2010-59237A)
(43)【公開日】2010年3月18日
【審査請求日】2011年8月25日
【審判番号】不服2014-23533(P2014-23533/J1)
【審判請求日】2014年11月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110077
【氏名又は名称】東レ・ダウコーニング株式会社
(72)【発明者】
【氏名】加藤 智子
(72)【発明者】
【氏名】中吉 和己
【合議体】
【審判長】
菊地 則義
【審判官】
小野寺 務
【審判官】
前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−274155(JP,A)
【文献】
特開2006−274154(JP,A)
【文献】
特開2008−38137(JP,A)
【文献】
特開2008−56761(JP,A)
【文献】
特開2008−19426(JP,A)
【文献】
特開2007−277387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 83/00- 83/16
C10M169/00-169/06
C10M107/50
C10M111/00-111/06
C10M125/00-125/30
H01L 23/34- 23/473
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)25℃における粘度が100mPa・s以上であるオルガノポリシロキサン(但し、下記(D)成分及び下記(E)成分に該当するものを除く) 100質量部、
(B)平均粒子径が0.1〜100μmであるアルミニウム粉末 25〜4,500質量部、
(C)平均粒子径が0.05〜50μmである酸化亜鉛粉末 10〜1,000質量部、
(D)(i)一般式:
[R1aR2(3-a)SiO(R1bR2(2-b)SiO)m(R22SiO)n]cSiR2[4-(c+d)](OR3)d
(式中、R1は脂肪族不飽和結合を有する一価炭化水素基であり、R2は脂肪族不飽和結合を有さない一価炭化水素基であり、R3はアルキル基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、又はアシル基であり、aは0〜3の整数であり、bは1又は2であり、cは1〜3の整数であり、dは1〜3の整数であり、かつ、c+dは2〜4の整数であり、mは0以上の整数であり、nは0以上の整数であり、但し、aが0である場合、mは1以上の整数である。)
で表されるオルガノポリシロキサン及び/又は(ii)一般式:
R23SiO(R22SiO)pR22Si−R4−SiR2(3-d)(OR3)d
(式中、R2、R3、及びdは前記と同じであり、R4は酸素原子又は二価炭化水素基であり、pは100〜500の整数である。)
で表されるオルガノポリシロキサン{(B)成分と(C)成分の合計100質量部に対して0.01〜100質量部}、及び
(E)一般式:
R5eSi(OR6)(4-e)
(式中、R5は一価炭化水素基であり、R6はアルキル基又はアルコキシアルキル基であり、eは1〜3の整数である。)
で表されるシラン化合物又はその部分加水分解縮合物{(B)成分と(C)成分の合計100質量部に対して0.001〜10質量部}
から少なくともなる熱伝導性シリコーン組成物。
【請求項2】
(A)成分が、1分子中に平均0.1個以上のケイ素原子結合アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンである、請求項1記載の熱伝導性シリコーン組成物。
【請求項3】
さらに、(F)1分子中に平均2個以上のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン{(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が0.1〜10モルとなる量}、及び
(G)白金族金属系触媒{(A)成分と(F)成分の合計量に対して、本成分中の白金族金属が質量単位で0.01〜1,000ppmとなる量}
を含有する、請求項2記載の熱伝導性シリコーン組成物。
【請求項4】
(B)成分が、平均粒子径の差が5μm以上である少なくとも2種のアルミニウム粉末からなる混合物である、請求項1記載の熱伝導性シリコーン組成物。
【請求項5】
(C)成分に対する(B)成分の含有量の比が質量単位で0.1〜9.9である、請求項1記載の熱伝導性シリコーン組成物。
【請求項6】
半導体素子が、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の熱伝導性シリコーン組成物により接着又は被覆されてなる半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱伝導性シリコーン組成物、及び該組成物を用いてなる半導体装置に関する。
【0002】
トランジスター、IC、メモリー素子等の電子部品を登載したプリント回路基板やハイブリッドICの高密度・高集積化にともなって、これらを効率よく放熱するために、熱伝導性シリコーングリース、熱伝導性シリコーンゲル組成物、熱伝導性シリコーンゴム組成物等の熱伝導性シリコーン組成物が使用されている。このような熱伝導性シリコーン組成物では、該組成物中に熱伝導性充填剤を高充填して熱伝導率を向上させることが求められている。例えば、特許文献1には、オルガノポリシロキサン、加水分解性基含有メチルポリシロキサン、熱伝導性充填剤、及び硬化剤から少なくともなる熱伝導性シリコーンゴム組成物が提案されている。また、特許文献2には、硬化性オルガノポリシロキサン、硬化剤、熱伝導性充填剤からなり、該充填剤の表面がケイ素原子結合アルコキシ基を有するオリゴシロキサンで処理されていることを特徴とする熱伝導性シリコーンゴム組成物が提案されている。さらに、特許文献3には、熱伝導性を向上させたシリコーンゴム組成物としては、1分子中に平均0.1個以上のケイ素原子結合アルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、1分子中に平均2個以上のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン、熱伝導性充填剤、白金族金属系触媒、及び加水分解性基とビニル基を含有するメチルポリシロキサンからなる熱伝導性シリコーンゴム組成物が提案されている。
【0003】
近年、電子部品の更なる高密度・高集積化に伴い、より高い熱伝導率を有する熱伝導性シリコーン組成物が求められている。しかし、熱伝導性シリコーン組成物中に熱伝導性充填剤を多く含有しようとすると、得られる組成物の取扱作業性が著しく低下し、塗布しづらくなるという問題があった。
【特許文献1】特開2000−256558号公報
【特許文献2】特開2001−139815号公報
【特許文献3】特開2003−213133号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、高熱伝導性を有し、取扱作業性が優れる熱伝導性シリコーン組成物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、この組成物を用いた、信頼性に優れる半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の熱伝導性シリコーン組成物は、
(A)25℃における粘度が100mPa・s以上であるオルガノポリシロキサン 100質量部、
(B)平均粒子径が0.1〜100μmであるアルミニウム粉末 25〜4,500質量部、
(C)平均粒子径が0.05〜50μmである酸化亜鉛粉末 10〜1,000質量部、
(D)(i)一般式:
[R
1aR
2(3-a)SiO(R
1bR
2(2-b)SiO)
m(R
22SiO)
n]
cSiR
2[4-(c+d)](OR
3)
d
(式中、R
1は脂肪族不飽和結合を有する一価炭化水素基であり、R
2は脂肪族不飽和結合を有さない一価炭化水素基であり、R
3はアルキル基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、又はアシル基であり、aは0〜3の整数であり、bは1又は2であり、cは1〜3の整数であり、dは1〜3の整数であり、かつ、c+dは2〜4の整数であり、mは0以上の整数であり、nは0以上の整数であり、但し、aが0である場合、mは1以上の整数である。)
で表されるオルガノポリシロキサン及び/又は(ii)一般式:
R
23SiO(R
22SiO)
pR
22Si−R
4−SiR
2(3-d)(OR
3)
d
(式中、R
2、R
3、及びdは前記と同じであり、R
4は酸素原子又は二価炭化水素基であり、pは100〜500の整数である。)
で表されるオルガノポリシロキサン{(B)成分と(C)成分の合計100質量部に対して0.01〜100質量部}、及び
(E)一般式:
R
5eSi(OR
6)
(4-e)
(式中、R
5は一価炭化水素基、エポキシ基含有有機基、メタクリル基含有有機基、又はアクリル基含有有機基であり、R
6はアルキル基又はアルコキシアルキル基であり、eは1〜3の整数である。)
で表されるシラン化合物又はその部分加水分解縮合物{(B)成分と(C)成分の合計100質量部に対して0.001〜10質量部}
から少なくともなる。
【0006】
上記組成物において、(A)成分は、1分子中に平均0.1個以上のケイ素原子結合アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンであることが好ましい。この際、さらに、
(F)1分子中に平均2個以上のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン{(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が0.1〜10モルとなる量}、及び
(G)白金族金属系触媒{(A)成分と(F)成分の合計量に対して、本成分中の白金族金属が質量単位で0.01〜1,000ppmとなる量}
を含有することにより、本組成物を硬化性とすることが好ましい。
【0007】
上記組成物において、(B)成分は、平均粒子径の差が5μm以上である少なくと2種のアルミニウム粉末からなる混合物であることが好ましい。この(C)成分に対する(B)成分の含有量の比は質量単位で0.1〜9.9であることが好ましい。
【0008】
また、本発明の半導体装置は、半導体素子が、上記のような熱伝導性シリコーン組成物により接着又は被覆されてなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の熱伝導性シリコーン組成物は、高熱伝導性を有し、取扱作業性が良好であるという特徴がある。また、本発明の半導体装置は、信頼性が優れるという特徴がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の熱伝導性シリコーン組成物を詳細に説明する。
(A)成分のオルガノポリシロキサンは本組成物の主剤であり、25℃における粘度が100mPa・s以上であり、好ましくは100〜1,000,000mPa・sの範囲内であり、さらに好ましくは200〜500,000mPa・sの範囲内であり、特に好ましくは300〜100,000mPa・sの範囲内である。これは、25℃における粘度が上記範囲の下限未満であると、得られる組成物がオイルブリードしやすくなり、一方、上記範囲の上限を超えると、得られる組成物の取扱作業性が著しく低下するからである。
【0011】
(A)成分の分子構造は限定されず、例えば、直鎖状、分岐鎖状、一部分岐を有する直鎖状、樹枝状(デンドリマー状)が挙げられ、好ましくは直鎖状、一部分岐を有する直鎖状である。(A)成分は、これらの分子構造を有する単一の重合体、これらの分子構造からなる共重合体、又はこれらの重合体の混合物であってもよい。また、(A)成分中のケイ素原子に結合している基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、ターシャリーブチル基、イソブチル基、2−メチルウンデシル基、1−ヘキシルヘプチル基等の分岐鎖状アルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロドデシル基等の環状アルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、2−(2,4,6−トリメチルフェニル)プロピル基等のアラルキル基;3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−クロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基が挙げられ、好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アリール基であり、特に好ましくは、メチル基、ビニル基、フェニル基である。なお、(A)成分が1分子中に平均0.1個以上のケイ素原子結合アルケニル基を有すると、得られる組成物を硬化性のものとすることができるので好ましい。
【0012】
このような(A)成分としては、例えば、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端メチルフェニルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサンコポリマー、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサンコポリマー、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサンコポリマー、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサンコポリマー、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサンコポリマー、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)ポリシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサンコポリマー、式:CH
3SiO
3/2で表されるシロキサン単位と式:(CH
3)
2SiO
2/2で表されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサンコポリマー、式:C
6H
5SiO
3/2で表されるシロキサン単位と式:(CH
3)
2SiO
2/2で表されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサンコポリマー、式:(CH
3)
3SiO
1/2で表されるシロキサン単位と式:CH
3SiO
3/2で表されるシロキサン単位と式:(CH
3)
2SiO
2/2で表されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサンコポリマー、式:(CH
3)
3SiO
1/2で表されるシロキサン単位と式:(CH
3)
2(CH
2=CH)SiO
1/2で表されるシロキサン単位と式:CH
3SiO
3/2で表されるシロキサン単位と式:(CH
3)
2SiO
2/2で表されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサンコポリマー、およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0013】
(B)成分のアルミニウム粉末は本組成物に熱伝導性を付与するための成分である。(B)成分の形状は特に限定されず、例えば、球状、丸み状、フレーク状、不定形状が挙げられ、好ましくは、球状、丸み状である。(B)成分の平均粒子径は0.1〜100μmの範囲内であり、好ましくは0.1〜50μmの範囲内である。このような(B)成分は一種のアルミニウム粉末であってもよいが、特に、平均粒子径の差が5μm以上である少なくとも2種のアルミニウム粉末からなる混合物であることが好ましい。
【0014】
(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して25〜4,500質量部の範囲内であり、好ましくは50〜4,000質量部の範囲内であり、特に好ましくは100〜3,000質量部の範囲内である。これは、(B)成分の含有量が上記範囲の下限未満であると、得られる組成物の熱伝導性が低くなり、一方、上記範囲の上限を超えると、得られる組成物の取扱作業性が著しく低下するからである。
【0015】
(C)成分の酸化亜鉛粉末も本組成物に熱伝導性を付与するための成分である。(C)成分の形状は特に限定されず、例えば、球状、丸み状、フレーク状、不定形状が挙げられる。(C)成分の平均粒子径は0.05〜50μmの範囲内であり、好ましくは0.1〜50μmの範囲内である。
【0016】
(C)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して10〜1,000質量部の範囲内であり、好ましくは100〜1,000質量部の範囲内である。これは、(C)成分の含有量が上記範囲の下限未満であると、得られる組成物の熱伝導性が低くなり、一方、上記範囲の上限を超えると、得られる組成物の取扱作業性が著しく低下するからである。
【0017】
本組成物において、(B)成分と(C)成分の含有量の比は特に限定されないが、好ましくは、(C)成分に対する(B)成分の含有量の比が質量単位で0.1〜9.9の範囲内である。これは、(B)成分の含有量が上記範囲の下限未満であると、得られる組成物の熱伝導性が低くなり、一方、上記範囲の上限を超えると、得られる組成物の取扱作業性が著しく低下するからである。
【0018】
(D)成分は、高熱伝導性のシリコーン組成物を得るために、取扱作業性を損なうことなく、(B)成分と(C)成分を多量に含有させるための成分である。このような(D)成分は、
(i)一般式:
[R
1aR
2(3-a)SiO(R
1bR
2(2-b)SiO)
m(R
22SiO)
n]
cSiR
2[4-(c+d)](OR
3)
d
で表されるオルガノポリシロキサン及び/又は(ii)一般式:
R
23SiO(R
22SiO)
pR
22Si−R
4−SiR
2(3-d)(OR
3)
d
で表されるオルガノポリシロキサンからなる。
【0019】
(i)成分のオルガノポリシロキサンにおいて、式中、R
1は脂肪族不飽和結合を有する一価炭化水素基であり、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、エイコセニル基等の直鎖状アルケニル基;イソプロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−10−ウンデセニル基等の分岐鎖状アルケニル基;ビニルシクロヘキシル基、ビニルシクロドデシル基等の脂肪族不飽和結合を有する環状アルキル基;ビニルフェニル基等の脂肪族不飽和結合を有するアリール基;ビニルベンジル基、ビニルフェネチル基等の脂肪族不飽和結合を有するアラルキル基が挙げられ、好ましくは、直鎖状アルケニル基であり、特に好ましくは、ビニル基、アリル基、又はヘキセニル基である。R
1中の脂肪族不飽和結合の位置は限定されないが、結合するケイ素原子より遠い位置であることが好ましい。また、式中のR
2は脂肪族不飽和結合を有さない一価炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、ターシャリーブチル基、イソブチル基、2−メチルウンデシル基、1−ヘキシルヘプチル基等の分岐鎖状アルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロドデシル基等の環状アルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、2−(2,4,6−トリメチルフェニル)プロピル基等のアラルキル基;3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−クロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基が挙げられ、好ましくは、アルキル基、アリール基であり、さらに好ましくは、炭素原子数1〜4のアルキル基であり、特に好ましくは、メチル基、エチル基である。また、式中のR
3はアルキル基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、又はアシル基である。R
3のアルキル基としては、例えば、前記R
2と同様の直鎖状アルキル基、分岐鎖状アルキル基、環状アルキル基が挙げられ、好ましくは、直鎖状アルキル基であり、特に好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基である。また、R
3のアルコキシアルキル基としては、例えば、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシプロポキシ基が挙げられ、好ましくはメトキシエトキシ基である。また、R
3のアルケニル基としては、前記R
1と同様のアルケニル基が例示され、好ましくは、イソプロペニル基である。また、R
3のアシル基としては、例えば、アセトキシ基が挙げられる。また、式中のaは0〜3の整数であり、好ましくは1である。また、式中のbは1又は2であり、好ましくは1である。また、式中のcは1〜3の整数であり、好ましくは、1である。また、式中のdは1〜3の整数であり、好ましくは3である。ここで、式中のc+dは2〜4の整数である。また、式中のmは0以上の整数である。但し、上記aが0である場合、式中のmは1以上の整数である。このようなmは、好ましくは0〜500の整数であり、より好ましくは1〜500の整数であり、より好ましくは5〜500の整数であり、さらに好ましくは10〜500の整数であり、特に好ましくは10〜200の整数である。また、式中のnは0以上の整数であり、好ましくは0〜500の整数であり、より好ましくは1〜500の整数であり、より好ましくは5〜500の整数であり、さらに好ましくは10〜500の整数であり、特に好ましくは10〜200の整数である。
【0020】
このような(i)成分としては、次式で表されるオルガノシロキサンが例示される。
(CH
2=CH)(CH
3)
2SiO[(CH
3)
2SiO]
3Si(OCH
3)
3
(CH
2=CH)(CH
3)
2SiO[(CH
3)
2SiO]
5Si(OCH
3)
3
(CH
2=CHCH
2)(CH
3)
2SiO[(CH
3)
2SiO]
5Si(OCH
3)
3
(CH
2=CHCH
2CH
2CH
2CH
2)(CH
3)
2SiO[(CH
3)
2SiO]
5Si(OCH
3)
3
(CH
2=CH)(CH
3)
2SiO[(CH
3)
2SiO]
7Si(OCH
3)
3
(CH
2=CH)(CH
3)
2SiO[(CH
3)
2SiO]
7Si(OC
2H
5)
3
(CH
2=CHCH
2)(CH
3)
2SiO[(CH
3)
2SiO]
7Si(OCH
3)
3
(CH
2=CHCH
2CH
2CH
2CH
2)(CH
3)
2SiO[(CH
3)
2SiO]
7Si(OCH
3)
3
(CH
2=CH)(CH
3)
2SiO[(CH
3)
2SiO]
7SiCH
3(OCH
3)
2
(CH
2=CH)(CH
3)
2SiO[(CH
3)
2SiO]
25Si(OCH
3)
3
(CH
2=CH)(CH
3)
2SiO[(CH
3)
2SiO]
27Si(OCH
3)
3
(CH
2=CHCH
2)(CH
3)
2SiO[(CH
3)
2SiO]
25Si(OCH
3)
3
(CH
2=CHCH
2CH
2CH
2CH
2)(CH
3)
2SiO[(CH
3)
2SiO]
25Si(OCH
3)
3
(CH
2=CH)(CH
3)
2SiO[(CH
3)
2SiO]
25Si(OC
2H
5)
3
(CH
2=CH)(CH
3)
2SiO[(CH
3)
2SiO]
27Si(OC
2H
5)
3
(CH
2=CH)(CH
3)
2SiO[(CH
3)
2SiO]
25SiCH
3(OCH
3)
2
(CH
2=CH)(CH
3)
2SiO[(CH
3)
2SiO]
50Si(OCH
3)
3
(CH
2=CH)(CH
3)
2SiO[(CH
3)
2SiO]
100Si(OCH
3)
3
(CH
2=CH)(CH
3)
2SiO[(CH
3)
2SiO]
150Si(OCH
3)
3
(CH
2=CHCH
2)(CH
3)
2SiO[(CH
3)
2SiO]
50Si(OCH
3)
3
(CH
2=CHCH
2CH
2CH
2CH
2)(CH
3)
2SiO[(CH
3)
2SiO]
50Si(OCH
3)
3
(CH
2=CH)(CH
3)
2SiO[(CH
3)
2SiO]
50Si(OC
2H
5)
3
(CH
2=CH)(CH
3)
2SiO[(CH
3)
2SiO]
50SiCH
3(OCH
3)
2
(CH
2=CH)(CH
3)
2SiO[(CH
3)
2SiO]
5[(CH
3){(CH
3O)
3SiC
2H
4}SiO]
1Si(CH
3)
3
(CH
2=CH)(CH
3)
2SiO[(CH
3)
2SiO]
5[(CH
3){(CH
3O)
3SiO}SiO]
1Si(CH
3)
3
(CH
2=CH)(CH
3)
2SiO[(CH
3)
2SiO]
5[(CH
3){(CH
3O)
3SiC
2H
4}SiO]
1Si(OCH
3)
3
(CH
2=CH)(CH
3)
2SiO[(CH
3)
2SiO]
5[(CH
3){(CH
3O)
3SiO}SiO]
1Si(OCH
3)
3
【0021】
また、(ii)成分のオルガノポリシロキサンにおいて、式中のR
2は脂肪族不飽和結合を有さない一価炭化水素基であり、前記と同様の直鎖アルキル基、分岐鎖状アルキル基、環状アルキル基、アリール基、アラルキル
基、ハロゲン化アルキル基が例示され、好ましくは、直鎖状アルキル基であり、特に好ましくは、メチル基である。また、式中のR
4は酸素原子又は二価炭化水素基である。R
4の二価炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基;エチレンオキシエチレン基、エチレンオキシプロピレン基等のアルキレンオキシアルキレン基が挙げられる。特に、R
4は酸素原子であることが好ましい。また、式中のR
3は前記と同様の基である。また、式中のpは100〜500の整数であり、好ましくは105〜500の整数であり、さらに好ましくは110〜500の整数であり、特に好ましくは110〜200の整数である。これは、式中のpが上記範囲の下限未満であると、(B)成分と(C)成分を多量に含有させることができなくなり、一方、上記範囲の上限を超えると、(B)成分と(C)成分の表面に拘束される分子体積が増えすぎて、(B)成分と(C)成分を多量に含有させることができなくなるからである。特に、本組成物中の(B)成分と(C)成分の含有量を80容積%以上のような極めて高い含有量にすると、(B)成分あるいは(C)成分の粒子間距離が平均的に短くなるために、この傾向は顕著である。また、式中のdは1〜3の整数であり、好ましくは3である。
【0022】
このような(ii)成分としては、次式で表されるオルガノシロキサンが例示される。
(CH
3)
3SiO[(CH
3)
2SiO]
118(CH
3)
2Si-O-Si(OCH
3)
3
(CH
3)
3SiO[(CH
3)
2SiO]
125(CH
3)
2Si-O-Si(OCH
3)
3
(CH
3)
3SiO[(CH
3)
2SiO]
140(CH
3)
2Si-O-Si(OCH
3)
3
(CH
3)
3SiO[(CH
3)
2SiO]
160(CH
3)
2Si-O-Si(OCH
3)
3
(CH
3)
3SiO[(CH
3)
2SiO]
200(CH
3)
2Si-O-Si(OCH
3)
3
(CH
3)
3SiO[(CH
3)
2SiO]
300(CH
3)
2Si-C
2H
4-Si(OCH
3)
3
(CH
3)
3SiO[(CH
3)
2SiO]
118(CH
3)
2Si-O-SiCH
3(OCH
3)
2
(CH
3)
3SiO[(CH
3)
2SiO]
79[(CH
3)(C
6H
5)SiO]
30(CH
3)
2Si-O-Si(OCH
3)
3
(CH
3)
3SiO[(CH
3)
2SiO]
79[(C
6H
5)
2SiO]
30(CH
3)
2Si-O-Si(OCH
3)
3
【0023】
(D)成分は、(i)成分又は(ii)成分のいずれかを用いることが好ましいが、(i)成分と(ii)成分の混合物を用いても良い。この場合、(i)成分と(ii)成分の含有量の比は特に限定されないが、好ましくは、(i)成分と(ii)成分の含有量の比が質量単位で1:5〜5:1の範囲内であることが好ましい。
【0024】
本組成物において、(D)成分の含有量は、(B)成分と(C)成分の合計100質量部に対して0.01〜100質量部の範囲内であり、好ましくは0.05〜50質量部の範囲内であり、特に好ましくは0.1〜5質量部の範囲内である。これは、(D)成分の含有量が上記範囲の下限未満であると、(B)成分と(C)成分を多量に含有した場合に、得られる組成物の取扱作業性が低下するからであり、一方、上記範囲の上限を超えると、得られる組成物の硬化物の物理的強度が低下するからである。
【0025】
(E)成分は、(D)成分と共に、高熱伝導性のシリコーン組成物を得るために、取扱作業性を損なうことなく、(B)成分と(C)成分を多量に含有させるためのシラン化合物又はその部分加水分解縮合物であり、一般式:
R
5eSi(OR
6)
(4-e)
で表される。式中、R
5は一価炭化水素基である。R
5の一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、デシル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、ターシャリーブチル基、イソブチル基等の分岐鎖状アルキル基;シクロヘキシル基等の環状アルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−クロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基が例示される。また、式中、eは1〜3の整数であり、好ましくは1又は2であり、特に好ましくは1である。
【0026】
このような(E)成分のシラン化合物としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルメチルジメトキシシラン、ブテニルトリメトキシシランが例示される。
【0027】
(E)成分の含有量は、(B)成分と(C)成分の合計100質量部に対して0.005〜10質量部の範囲内であり、好ましくは0.01〜10質量部の範囲内であり、特に好ましくは0.01〜5質量部の範囲内である。これは、(E)成分の含有量が上記範囲の下限未満であると、(B)成分と(C)成分を多量に含有した場合に、得られるシリコーン組成物の取扱作業性が低下したり、得られるシリコーン組成物の貯蔵中に(B)成分あるいは(C)成分が沈降分離しやすくなり、一方、上記範囲の上限を超えると、(B)成分と(C)成分の表面処理に寄与しない成分が増加するからである。
【0028】
(B)成分と(C)成分の表面を(D)成分と(E)成分で処理する方法としては、例えば、(B)成分と(C)成分の表面を予め(D)成分で処理し、次いで(E)成分で処理する方法;(B)成分と(C)成分の表面を予め(E)成分で処理し、次いで(D)成分で処理する方法;(B)成分と(C)成分の表面を(D)成分と(E)成分で同時に処理する方法;(A)成分中で(B)成分と(C)成分の表面を(D)成分で処理し、次いで、(E)成分で処理する方法;(A)成分中で(B)成分と(C)成分の表面を(E)成分で処理し、次いで、(D)成分で処理する方法;(A)成分中で(B)成分と(C)成分の表面を(D)成分と(E)成分で同時に処理する方法;予め(D)成分で表面処理された(B)成分と(C)成分を(A)成分中で(E)成分で処理する方法;予め(E)成分で表面処理された(B)成分と(C)成分を(A)成分中で(D)成分で処理する方法が挙げられる。このようにして得られた本組成物中、(D)成分と(E)成分は(B)成分と(C)成分の表面を処理した状態で含有されているか、または本組成物中に単に含有されていてもよい。また、(B)成分と(C)成分を(D)成分あるいは(E)成分で処理する際、それらの処理を促進するために、加熱したり、あるいは酢酸、リン酸などの酸性物質や、トリアルキルアミン、4級アンモニウム塩類、アンモニアガス、炭酸アンモニウムなどの塩基性物質を触媒量併用してもよい。
【0029】
本組成物において、(A)成分のオルガノポリシロキサンが、1分子中にケイ素原子結合アルケニル基を平均0.1個以上、好ましくは平均0.5個以上、より好ましくは平均0.8個以上、特に好ましくは平均2個以上有する場合には、硬化剤を配合することにより、本組成物を硬化性とすることができる。
【0030】
この硬化剤としては、(F)1分子中に平均2個以上のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン、及び(G)白金族金属系触媒が挙げられる。(F)成分のオルガノポリシロキサンは、1分子中にケイ素原子結合水素原子を平均2個以上有すれば、特にその結合位置は限定されず、分子鎖末端、分子鎖側鎖、または分子鎖末端と分子鎖側鎖が挙げられる。また、(F)成分中の水素原子以外のケイ素原子結合基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−クロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等の脂肪族不飽和結合を含まない一価炭化水素基が例示され、好ましくは、アルキル基、アリール基であり、特に好ましくは、メチル基、フェニル基である。また、(F)成分の分子構造は限定されず、例えば、直鎖状、分岐鎖状、一部分岐を有する直鎖状、環状、樹枝状(デンドリマー状)が挙げられる。(F)成分はこれらの分子構造を有する単一重合体、これらの分子構造からなる共重合体、またはこれらの混合物である。また、この(F)成分の25℃における粘度は特に限定されないが、好ましくは1〜100,000mPa・sの範囲内であり、さらに好ましくは1〜10,000mPa・sの範囲内であり、特に好ましくは1〜5,000mPa・sの範囲内である。
【0031】
このような(F)成分としては、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、環状メチルハイドロジェンポリシロキサン、式:(CH
3)
3SiO
1/2で表されるシロキサン単位と式:(CH
3)
2HSiO
1/2で表されるシロキサン単位と式:SiO
4/2で表されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン、テトラ(ジメチルハイドロジェンシロキシ)シラン、メチルトリ(ジメチルハイドロジェンシロキシ)シランが例示される。
【0032】
本組成物において、(F)成分の含有量は、(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が0.1〜10モルの範囲内となる量であり、好ましくは0.1〜5モルの範囲内となる量であり、特に好ましくは0.1〜3モルの範囲内となる量である。これは、本成分の含有量が上記範囲の下限未満であると、得られる組成物が十分に硬化しなくなり、一方、上記範囲の上限を超えると、得られる組成物の硬化物から水素ガスが発生しやすくなるからである。
【0033】
また、(G)成分の白金族金属系触媒は本組成物の硬化を促進するための触媒であり、例えば、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、白金のオレフィン錯体、白金のアルケニルシロキサン錯体、白金のカルボニル錯体等の白金系触媒;その他、ロジウム系触媒、パラジウム系触媒が挙げられ、好ましくは、白金系触媒である。
【0034】
本組成物において、(G)成分の含有量は、本組成物の硬化に必要な量であり、具体的には、(A)成分に対して本成分中の白金族金属が質量単位で0.01〜1,000ppmの範囲内となる量であることが好ましく、特に、0.1〜500ppmの範囲内となる量であることが好ましい。これは、本成分の含有量が上記範囲の下限未満であると、得られるシリコーン組成物が十分に硬化しなくなり、一方、上記範囲の上限を超える量を配合しても得られるシリコーン組成物の硬化速度は顕著に向上しなくなるからである。
【0035】
また、本組成物の硬化速度を調節し、取扱作業性を向上させるため、2−メチル−3−ブチン−2−オール、2−フェニル−3−ブチン−2−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のアセチレン系化合物;3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン等のエン−イン化合物;その他、ヒドラジン系化合物、フォスフィン系化合物、メルカプタン系化合物等の硬化反応抑制剤を含有することが好ましい。この硬化反応抑制剤の含有量は限定されないが、(A)成分100質量部に対して0.0001〜1.0質量部の範囲内であることが好ましい。
【0036】
さらに、本組成物には、本発明の目的を損なわない限り、その他任意の成分として、例えば、ヒュームドシリカ、溶融シリカ、沈降性シリカ等のシリカ微粉末;これらの表面を、アルコキシシラン、クロロシラン、シラザン等の有機ケイ素化合物により疎水化処理したシリカ微粉末が例示される。このシリカ微粉末の粒子径は特に限定されないが、そのBET比表面積が50m
2/g以上であることが好ましく、特には、100m
2/g以上であることが好ましい。
【0037】
このシリカ微粉末の含有量は、(A)成分100質量部に対して0.1〜10質量部の範囲内であり、好ましくは0.5〜10質量部の範囲内である。これは、シリカ微粉末の含有量が上記範囲の下限未満であると、得られる組成物の流動性が大きくなるからであり、一方、上記範囲の上限を超えると、得られる組成物の取扱作業性が著しく低下する傾向があるからである。
【0038】
また、本組成物には、本組成物を硬化して得られる硬化物の接着性を向上させるための接着促進剤を含有してもよい。このような接着促進剤としては、例えば、式:
【化1】
で表されるシラトラン誘導体等の一分子中にアルケニル基およびケイ素原子結合アルコキシ基を有するシラトラン誘導体;一分子中にケイ素原子結合アルケニル基もしくはケイ素原子結合水素原子、ケイ素原子結合アルコキシ基、及びエポキシ基含有有機基、メタクリル基含有有機基、又はアクリル基含有有機基をそれぞれ少なくとも1個ずつ有するシロキサン化合物、具体的には、平均単位式:
【化2】
(式中、f、g、およびhは正数である。)
で表されるシロキサン化合物、平均単位式:
【化3】
(式中、f、g、h、およびiは正数である。)
で表されるシロキサン化合物、およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。この接着促進剤中の、エポキシ基含有有機基、メタクリル基含有有機基、及びアクリル基含有有機基としては、前記と同様の基が例示される。このような接着促進剤の含有量は特に限定されないが、(A)成分100質量部に対して0.01〜10質量部の範囲内であることが好ましい。
【0039】
本組成物には、(B)成分及び(C)成分以外に、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化ベリリウム等の酸化亜鉛以外の金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物;窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素等の窒化物;炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ケイ素等の炭化物;グラファイト、黒鉛等の石墨;銅、ニッケル、銀等のアルミニウム以外の金属、およびこれらの混合物からなる熱伝導性充填剤を含有してもよい。
【0040】
さらに、本組成物には、本発明の目的を損なわない限り、その他任意の成分として、例えば、顔料、染料、蛍光染料、耐熱添加剤、トリアゾール系化合物以外の難燃性付与剤、可塑剤を含有してもよい。
【0041】
本組成物は常温でグリース状、ペースト状、あるいは粘土状である。また、本組成物が硬化性の組成物である場合、それを硬化させる方法は限定されず、例えば、本組成物を成形後、室温で放置する方法、本組成物を成形後、50〜200℃に加熱する方法が挙げられる。また、このようにして得られるシリコーン硬化物の性状は限定されないが、例えば、ゲル状、低硬度のゴム状、あるいは高硬度のゴム状が挙げられ、得られるシリコーン硬化物を放熱材料として部材に十分に密着させることができる。
【0042】
次に、本発明の半導体装置の一例であるLSIを
図1に示した。本発明の半導体装置は、半導体素子1が回路基板2上に搭載され、該回路基板2上には回路配線3がボンディングワイヤ4により半導体素子1と電気的に接続されている。この半導体素子1には、本発明の熱伝導性シリコーン組成物又はその硬化物5を介して放熱板6が取り付けられている。本発明の半導体装置では半導体素子1から発生する熱を熱伝導性シリコーン組成物又はその硬化物5を介して放熱板6で放熱する構造を有する。
図1で示されるように、熱伝導性シリコーン組成物又はその硬化物5は半導体素子1と放熱板6とに狭持された状態で過酷な温度条件下で使用される場合でも、前記熱伝導性シリコーン組成物又はその硬化物からオイルブリードを生じないので、信頼性が優れるという特徴がある。
【実施例】
【0043】
本発明の熱伝導性シリコーン組成物及び半導体装置を実施例により詳細に説明する。なお、実施例中の粘度は25℃における値である。また、熱伝導性シリコーン組成物及びその硬化物の特性を次のようにして測定した。
【0044】
[熱伝導性シリコーン組成物の粘度]
熱伝導性シリコーン組成物の25℃における粘度をTAインスツルメンツ社製レオメーター(AR550)を用いて測定した。ジオメトリーとして直径20mmのパラレルプレートを用い、ギャップ200μm、シェアレイト10.0(1/s)の条件で測定した。
【0045】
[熱伝導性シリコーン組成物の熱伝導率]
熱伝導性シリコーン組成物を60mm×150mm×25mmの容器に充填し、脱泡した後、その表面を厚さ10μmのポリ塩化ビニリデンフィルムで被覆した後、該フィルムを介して熱伝導性シリコーン組成物の熱伝導率を細線加熱法(ホットワイヤ法)により京都電子工業株式会社製の迅速熱伝導率測定装置(熱線法)により測定した。
【0046】
[熱伝導性シリコーン硬化物の熱伝導率]
熱伝導性シリコーン組成物を150℃で15分間プレス硬化し、さらに150℃のオーブン中で1時間オーブン加熱した。得られた50mm×100mm×20mmの熱伝導性シリコーン硬化物の熱伝導率を、細線加熱法(ホットワイヤ法)により京都電子工業株式会社製の迅速熱伝導率計QTM−500により測定した。
【0047】
[熱伝導性シリコーン硬化物の引張せん断接着力]
熱伝導性シリコーン組成物をアルミニウム(A1050P)板の間に厚さが1mm、接着面積が25mm×10mmとなるように挟み込んだ状態で、150℃で1時間加熱して、該組成物を硬化させて接着試験片を作製した。得られた試験片の引張せん断接着力を、JIS K 6850に従って株式会社オリエンテック製のテンシロン万能試験機RTC−1325Aにより測定した。
【0048】
[熱伝導性シリコーン組成物の取扱作業性]
熱伝導性シリコーン組成物を30mlのポリプロピレン製シリンジ(ニードル径0.90mm)に充填し、0.2MPaで塗布試験を行い、10秒間で吐出される熱伝導性シリコーン組成物の質量を測定した。吐出量が30mg以上ある場合を、取扱作業性が良好であるとして、"○"で示し、それ未満である場合を、取扱作業性が不良であるとして、"X"で示した。
【0049】
[実施例1]
特殊機化工業株式会社製のT.K.ハイビスミックス(登録商標)により、粘度が10,000mPa・sである分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=0.135質量%)12.0質量部、平均粒子径が8μmである球状アルミニウム粉末50.0質量部、平均粒子径が2μmである球状アルミニウム粉末20.0質量部、平均粒子径が0.1μmである酸化亜鉛粉末15.0質量部、式:
CH
2=CH(CH
3)
2SiO[(CH
3)
2SiO]
27Si(OCH
3)
3
で表されるジメチルポリシロキサン1質量部、及びメチルトリメトキシシラン0.4質量部を室温で15分混合し、さらに−0.09MPa以下の減圧下、150℃で1時間混合した後、室温まで冷却して熱伝導性シリコーン組成物を調製した。
【0050】
次に、上記の熱伝導性シリコーン組成物に、粘度が5.5mPa・sであり、1分子中に平均3個のケイ素原子結合水素原子を有する分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.13質量%)2.7質量部(上記の熱伝導性シリコーン組成物に含まれるジメチルポリシロキサン中のビニル基1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が1.5モルとなる量)、硬化反応抑制剤として、2−フェニル−3−ブチン−2−オール0.005質量部、及び粘度が25mPa・sである、平均単位式:
【化4】
で表されるシロキサン化合物1.0質量部を混合し、最後に、白金含有量が0.5質量%である白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体溶液0.1質量部を室温で15分混合して硬化性の熱伝導性シリコーン組成物を調製した。
【0051】
[実施例2]
特殊機化工業株式会社製のT.K.ハイビスミックス(登録商標)により、粘度が2,000mPa・sである分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=0.22質量%)6.0質量部、平均粒子径が9μmである丸み状アルミニウム粉末50.0質量部、平均粒子径が2μmである丸み状アルミニウム粉末25.0質量部、平均粒子径が0.1μmである酸化亜鉛粉末16.0質量部、式:
CH
2=CH(CH
3)
2SiO[(CH
3)
2SiO]
3Si(OCH
3)
3
で表されるジメチルポリシロキサン4.0質量部、及びメチルトリメトキシシラン0.5質量部を室温で15分混合し、さらに−0.09MPa以下の減圧下、150℃で1時間混合した後、室温まで冷却して熱伝導性シリコーン組成物を調製した。
【0052】
[実施例3]
特殊機化工業株式会社製のT.K.ハイビスミックス(登録商標)により、粘度が2,000mPa・sである分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=0.22質量%)12.6質量部、平均粒子径が8μmである球状アルミニウム粉末45.0質量部、平均粒子径が2μmである球状アルミニウム粉末23.0質量部、平均粒子径が0.1μmである酸化亜鉛粉末14.0質量部、BET比表面積が200m
2/gであり、ヘキサメチルジシラザンにより疎水化処理されたヒュームドシリカ2.0質量部、式:
CH
2=CH(CH
3)
2SiO[(CH
3)
2SiO]
27Si(OCH
3)
3
で表されるジメチルポリシロキサン1.8質量部、及びメチルトリエトキシシラン0.4質量を室温で15分混合し、さらに−0.09MPa以下の減圧下、150℃で1時間混合した後、室温まで冷却して熱伝導性シリコーン組成物を調製した。
【0053】
次に、上記の熱伝導性シリコーン組成物に、粘度20mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.7質量%)0.5質量部(上記の熱伝導性シリコーン組成物に含まれるジメチルポリシロキサン中のビニル基1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が1.5モルとなる量)、硬化反応抑制剤として、2−フェニル−3−ブチン−2−オール0.005質量部、及び粘度が25mPa・sであり、平均単位式:
【化5】
で表されるシロキサン化合物1.0質量部を混合し、最後に、白金含有量が0.5質量%である白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体溶液0.1質量部を室温で15分混合して硬化性の熱伝導性シリコーン組成物を調製した。
【0054】
[実施例4]
特殊機化工業株式会社製のT.K.ハイビスミックス(登録商標)により、粘度が200mPa・sである分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン2.0質量部、平均粒子径が8μmである球状アルミニウム粉末51.0質量部、平均粒子径が2μmである球状アルミニウム粉末26.0質量部、平均粒子径が0.1μmである酸化亜鉛粉末18.0質量部、式:
(CH
3)
3SiO[(CH
3)
2SiO]
110Si(OCH
3)
3
で表されるジメチルポリシロキサン3.5質量部、及びメチルトリメトキシシラン0.4質量部を室温で15分混合し、さらに−0.09MPa以下の減圧下、150℃で1時間混合した後、室温まで冷却して熱伝導性シリコーン組成物を調製した。
【0055】
[比較例1]
特殊機化工業株式会社製のT.K.ハイビスミックス(登録商標)により、粘度が10,000mPa・sである分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=0.135質量%)12.0質量部、平均粒子径が8μmである球状アルミニウム粉末50.0質量部、平均粒子径が2μmである球状アルミニウム粉末20.0質量部、平均粒子径が0.1μmである酸化亜鉛粉末15.0質量部、及びメチルトリメトキシシラン1.0質量部を室温で15分混合し、さらに−0.09MPa以下の減圧下、150℃で1時間混合した後、室温まで冷却して熱伝導性シリコーン組成物を調製した。
【0056】
次に、上記の熱伝導性シリコーン組成物に、粘度が5.5mPa・sであり、1分子中に平均3個のケイ素原子結合水素原子を有する分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.13質量%)2.7質量部(上記の熱伝導性シリコーン組成物中のジメチルポリシロキサン中のビニル基1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が1.5モルとなる量)、硬化反応抑制剤として、2−フェニル−3−ブチン−2−オール0.005質量部、及び粘度が25mPa・sであり、平均単位式:
【化6】
で表されるシロキサン化合物1.0質量部を混合し、最後に、白金含有量が0.5質量%である白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体溶液0.1質量部を室温で15分混合して硬化性の熱伝導性シリコーン組成物を調製した。
【0057】
[比較例2]
特殊機化工業株式会社製のT.K.ハイビスミックス(登録商標)により、粘度が10,000mPa・sである分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=0.135質量%)14.4質量部、平均粒子径が8μmである球状アルミニウム粉末55.0質量部、平均粒子径が2μmである球状アルミニウム粉末28.0質量部、式:
CH
2=CH(CH
3)
2SiO[(CH
3)
2SiO]
27Si(OCH
3)
3
で表されるジメチルシロキサン1.0質量部、及びメチルトリメトキシシラン0.5質量部を室温で15分混合し、さらに−0.09MPa以下の減圧下、150℃で1時間混合した後、室温まで冷却して熱伝導性シリコーン組成物を調製した。
【0058】
次に、上記の熱伝導性シリコーン組成物に、粘度20mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.7質量%)0.5質量部(上記の熱伝導性シリコーン組成物に含まれるジメチルポリシロキサン中のビニル基1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が1.5モルとなる量)、及び硬化反応抑制剤として、2−フェニル−3−ブチン−2−オール0.005質量部、及び粘度が25mPa・sであり、平均単位式:
【化7】
で表されるシロキサン化合物1.0質量部を混合し、最後に、白金含有量が0.5質量%である白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体溶液0.1質量部を室温で15分混合して硬化性の熱伝導性シリコーン組成物を調製した。
【0059】
[比較例3]
特殊機化工業株式会社製のT.K.ハイビスミックス(登録商標)により、粘度が200mPa・sである分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン5.0質量部、平均粒子径が8μmである球状アルミニウム粉末51.0質量部、平均粒子径が2μmである球状アルミニウム粉末26.0質量部、平均粒子径が0.1μmである酸化亜鉛粉末18.0質量部、及びメチルトリメトキシシラン0.4質量部を室温で15分混合し、さらに−0.09MPa以下の減圧下、150℃で1時間混合した後、室温まで冷却して熱伝導性シリコーン組成物を調製した。
【0060】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の熱伝導性シリコーン組成物は、高熱伝導率を有し、取扱作業性が優れるので、例えば、発熱性素子を搭載した電子部品、高温下に曝される車載用電子部品等の放熱材として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1】本発明の半導体装置の一例であるLSIの断面図である。
【0063】
1 半導体素子
2 回路基板
3 回路配線
4 ボンディングワイヤ
5 熱伝導性シリコーン組成物(又はその硬化物)
6 放熱板