(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ターゲット(28)は、第一の低エネルギの電子ビーム(18)では低エネルギX線の第一の濾波を提供し、第二の高エネルギの電子ビーム(20)では高エネルギX線の第二の濾波を提供するように構成されており、前記第一の濾波は前記第二の濾波よりも少ない、請求項1に記載のX線システム(10)。
前記第一の接触位置(24)及び前記第二の接触位置(26)は異なるターゲット材料又は異なるターゲット角度又は異なる厚みの少なくとも一つを有する、請求項1乃至3のいずれかに記載のX線システム(10)。
前記第一の低エネルギの電子ビーム(18)に対応する低エネルギX線データと前記第二の高エネルギの電子ビーム(20)に対応する高エネルギX線データが同種に収集される、請求項2に記載のX線システム(10)。
前記電子ビーム(20)は、前記第一の接触位置(24)と前記第二の接触位置(26)との間で、1秒未満の時間内に偏向される、請求項1乃至11のいずれかに記載のX線システム(10)。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本書に開示される主題の以上の概要及び以下の幾つかの実施形態の詳細な説明は、添付図面と併せて読むとさらに十分に理解されよう。図面が様々な実施形態の機能ブロックの線図を示す範囲までにおいて、機能ブロックは必ずしもハードウェア回路の間の区分を示す訳ではない。従って、例えば、機能ブロックの1又は複数(例えばプロセッサ若しくはメモリ)が単体のハードウェア(例えば汎用信号プロセッサ若しくはランダム・アクセス・メモリのブロック、又はハードディスク等)として具現化されてもよいし、多数のハードウェアとして具現化されてもよい。同様に、プログラムは独立型プログラムであってもよいし、オペレーティング・システムのサブルーチンとして組み込まれていてもよいし、インストールされているソフトウェア・パッケージの機能等であってもよい。尚、様々な実施形態は図面に示されている構成及び手段に限定されず、また図面は必ずしも縮尺通りでないことを理解されたい。
【0009】
本書で用いる場合には、単数形で記載されており単数不定冠詞を冠した要素またはステップとの用語は、排除を明記していない限りかかる要素又はステップを複数備えることを排除しないものと理解されたい。さらに、本書に開示される主題の「一実施形態」に対する参照は、所載の特徴を同様に組み入れている追加の実施形態の存在を排除しないものと解釈されたい。また、反対に明記されていない限り、特定の特性を有する一つの要素若しくは複数の要素を「含んでいる」又は「有している」実施形態は、この特性を有しないような追加の要素も包含し得る。また、本書に開示される主題では、「ターゲット」及び「陽極」との用語は互換的に用いられている場合がある。加えて、特定の要素数の引用は、数が「厳密には」又は「のみ」のような語によってさらに限定されていない限り、当該特定の数を超えて有する実施形態を排除するものではない。また、可能性が明示的に、論理的に又は物理的に排除されない限り、一つの実施形態から個々の特徴を省いてもよいし、他の1又は複数の実施形態からの1又は複数の特徴を組み合わせて本書に開示される主題のさらに他の実施形態を生成してもよい。
【0010】
以下では、「被検体」及び「物体」「対象」等の用語は、撮像されることが可能な任意の物体を包含するものとする。また、本書で用いられる「画像を再構成する」との表現は、画像を表わすデータが生成されるが可視画像は形成されないような本書に開示される主題の実施形態を排除するものではない。従って、本書で用いられる「画像」との用語は、可視画像及び可視画像を表わすデータの両方を広く指す。但し、多くの実施形態は少なくとも1枚の可視画像を形成する(又は形成するように構成されている)。加えて、計算機式断層写真法(CT)医療の設定で詳細に説明するが、これらの利益は、例えば超音波、磁気共鳴撮像(MRI)、電子ビームCT(EBCT)、陽電子放出断層写真法(PET)、単光子放出計算機式断層写真法(SPECT)を含めた全ての撮像モダリティにおいて享受され、また医療の設定においても、産業設定、又は例えば限定しないが空港若しくは他の輸送拠点のための手荷物走査用CTシステムのような輸送の設定のように医療以外の設定においても享受されるものと思量される。
【0011】
様々な実施形態が、異なる形式のイメージング・システムと共に具現化され得る。例えば、焦点スポット偏向(多数の焦点スポットを設けてもよい)を用いたX線源がファン形状のビームを投射し、このビームがデカルト座標系のXY平面であって、一般に「イメージング(撮像)平面」と呼ばれる平面内に位置するようにコリメートされるようなCTイメージング・システムと共に様々な実施形態が具現化され得る。X線ビームは、患者のような撮像対象を透過する。ビームは対象によって減弱された後に放射線検出器のアレイに入射する。検出器アレイにおいて受光される減弱した放射線ビームの強度は、対象によるX線ビームの減弱量に依存する。アレイの各々の検出器素子が、検出器の位置でのビーム強度の測定値である別個の電気信号を発生する。全ての検出器からの強度測定値を別個に取得して透過プロファイルを生成する。
【0012】
CTシステムでは、X線源及び検出器アレイは、X線ビームが撮像対象と交差する角度が定常的に変化するように撮像平面内で撮像対象の周りをガントリと共に回転する。ガントリが完全な360°の一回転を終結したときに、ガントリの完全な一回転が生ずる。アキシャル・スキャン(例えば段階的撮影式アキシャル・スキャン)では、投影データを処理して、対象を通して採取される二次元スライスに対応する画像を構築する。一組の投影データから画像を再構成する一方法に、当業界でフィルタ補正逆投影法と呼ばれるものがある。この方法は、走査からの減弱測定値を「CT数」又は「ハンスフィールド単位」(HU)と呼ばれる整数へ変換し、これらの整数を用いて陰極線管表示器の対応するピクセルの輝度を制御する。
【0013】
全走査時間を短縮するために、「ヘリカル」・スキャン(螺旋走査)を行なうこともできる。「ヘリカル」・スキャンを行なうためには、患者又は物体(例えば手荷物)を移動させながら所定の数のスライスのデータを取得する。かかるシステムは、一回のファン・ビーム・ヘリカル・スキャンから単一の螺旋を生成する。ファン・ビームによって悉く写像された螺旋から投影データが得られ、投影データから各々の所定のスライスにおける画像を再構成することができる。
【0014】
ヘリカル・スキャンのための再構成アルゴリズムは典型的には、取得されたデータにビュー角度及び検出器チャネル番号の関数として加重する螺旋加重アルゴリズムを用いる。明確に述べると、フィルタ補正逆投影法の前に、ガントリ角度及び検出器角度の両方の関数である螺旋加重ファクタに従ってデータに加重する。次いで、加重したデータを処理してCT数を生成すると共に、対象を通して採取される二次元スライスに対応する画像を構築する。
【0015】
図1は、一実施形態に従って形成された多区画型又は多軌道型ターゲット・システム10を複数の異なる電子ビームと共に示す。図示の実施形態は、X線源及び高速キロボルト・ピーク(kVp)切り換えと共に用いられることができ、さらに電子ビームを異なる焦点スポットに集束させるために場の同期切り換えを行なう。X線発生器はX線管の高速kVp切り換えを生成することができ、電気格子又は磁気格子が電子ビームの偏向を提供する。
【0016】
様々な実施形態において、電子ビームが放出器12において発生され、例えば電気格子又は磁気格子によって参照番号104、106において発生される場を用いて偏向させられる。一実施形態では、低kVpの電子ビーム18が偏向させられて区域26においてターゲット(陽極)28と相互作用し、この区域26が焦点スポット又は第一の接触位置を画定し得る。例えば、80kVpの電子ビームが偏向させられて区域26において陽極28と衝突することができる。加えて、高kVpの電子ビーム20が偏向させられて区域24においてターゲット(陽極)28と相互作用し、この区域24が焦点スポット又は第二の接触位置を画定し得る。例えば、140kVpの電子ビームが偏向させられて区域24において陽極28と衝突することができる。尚、電子ビーム18及び20は任意のkVpレベルにおいて与えられることができ、また軸22から偏向させられることを特記しておく。
【0017】
システム10を用いて、例えば二重単エネルギX線システムにおいて物質分解を実行することができる。様々な実施形態において、物質分解は、低エネルギX線と高エネルギX線との間の重なりが小さくなるように二つのX線エネルギ・スペクトルを分離することにより提供される。従って、システム10は、適当なターゲット角度及び/若しくは適当なターゲット材料、又はターゲット角度及びターゲット材料の組み合わせを用いて、二重エネルギ動作を提供することができる。
【0018】
二重軌道又は区分軌道型の陽極は、高低エネルギの間に差を設けた濾波又は管射出スペクトルを可能にする様々な異なる構成の一つとして提供され得る。高速切り換え二重エネルギ取得における低エネルギX線は、自己濾波を減少させ又は最小にしつつ低エネルギX線を保存し得るターゲット又は焦点軌道の部分に集束させられる。このことは、角度を大きくした焦点軌道を用いることにより、又は焦点軌道での濾波物質の厚みを変化させることにより高z物質による濾波量を減少させることにより達成される。尚、「高z」物質は原子量の大きい物質であり得る。
【0019】
高速切り換え二重エネルギ取得における高エネルギX線は、低エネルギ(低エネルギ・スペクトルと重なるもの)の相対的に大きい又は最大の濾波を可能にし得るターゲット又は焦点軌道の部分に偏向させられ又は集束させられる。このことは、角度を小さくした焦点軌道を用いることにより、又は焦点軌道での濾波物質の厚みを変化させることにより高z物質による濾波量を増大させることにより達成され得る。
【0020】
電子ビームの衝突角度に依存して、発生されるX線の固有濾波が存在する。ターゲットの内部への電子ビームの進入は部分的に、電子ビームの衝突角度に依存する。従って、異なる衝突角度では、電子ビームはターゲットの異なる深さまで進入する。これらの衝突電子ビームがX線を発生すると、X線は異なる深さからターゲットを出る。例えば、ターゲット表面の第一の角度がターゲット表面の第二の角度と異なる場合に、第一の角度にあるターゲット表面は第二の角度によるターゲット表面と比較して電子ビームの異なる進入を許す。ターゲット材料は、X線がターゲット材料を出るときにこれらのX線を濾波する。X線のかかる固有濾波はコーン・ビームCTでは自明であって、この場合にはX線のコーンが異なる位置において異なるエネルギのX線を有する。
【0021】
従って、陽極28は区域24及び26において、発生されるX線の濾波のために異なるターゲット材料を含む複数の焦点スポットを有し得る。例えば、ターゲット焦点スポットは、低エネルギX線のために低原子量の物質で形成され得る。代替的には、ターゲット焦点スポットは、高エネルギX線のために高原子量の物質で構成され得る。代替的な実施形態では、低エネルギ・ビーム及び高エネルギ・ビームの焦点スポットは、同じ基礎物質から形成されていてよいが、異なる原子量を有する物質で被覆され得る。例えば、焦点スポットの濾波物質はタングステンであってよい。もう一つの代替的な実施形態では、焦点スポットは同じ物質で形成されていてよいが、低エネルギ区域及び高エネルギ区域について異なる厚みを有し得る。例えば、低エネルギ焦点スポットの厚みを高エネルギの厚みよりも小さくすることができる。もう一つの代替的な実施形態では、ターゲットは、以上の各実施形態の任意のものの組み合わせであってよい。
【0022】
様々な実施形態において、焦点軌道を変化させているときに焦点スポット寸法変化を保持すると望ましい。z軸での焦点スポット光学寸法は、y軸での電子ビーム幅及び焦点軌道の角度の両方によって画定される。電子ビームを集束させるために用いられる格子は、低エネルギ・ビューと高エネルギ・ビューとの間でのzにおける焦点スポットの寸法を一致させるように構成される。焦点スポットのy軸次元を制御する格子は、電子ビームのy軸次元の交互増減によって、光学的焦点スポット寸法が一定に保たれるように焦点軌道角度変化を補償することを可能にするように高速に切り換えられる。尚、焦点スポット寸法を制御する他の適当な方法を用いてよいことを特記しておく。
【0023】
様々な実施形態において、低kVpデータ及び高kVpデータは、二つの軌道の間での電子ビームの切り換えによる線源検出器間距離の変化を補償するように再構成される。様々な方法を用いてデータを高低kVpビューの間で整列させることができる。一つの方法は、高低kVp標本を整列させる補間手法を含んでいる。もう一つの方法は、高低kVpビューを二つの別個のサイノグラムに分離して、各々の独立した再構成を行なう。次いで、これらの再構成を合成して、低kVpからのデータと高kVpからのデータとが整列した投影に戻す。さらに、物質分解処理を画像空間においてこれらの合成投影又は逆投影画像に施す。尚、線源距離変化を補償する他の適当な方法を用いてよいことを特記しておく。
【0024】
図2は、一実施形態による焦点スポット偏向を用いてX線撮像を行なうX線管60の見取り図である。尚、様々な実施形態が、焦点スポットをz方向に偏向させ得る任意の形式のX線管60と共に具現化されることができ、
図2に示すX線管60に限定されないことを特記しておく。また、焦点スポット偏向は、任意の公知の方法、例えば電磁場発生源又は静電場発生源によってそれぞれ発生される電磁場又は静電場を用いて提供され得る。多数の焦点スポットを発生する他の方法を用いてもよい。例えば、z方向における多数の焦点スポットが、ナノ・チューブ技術や、X線管60における多重陽極及び陰極を用いて発生されてもよいし、z軸に沿って多数の小型X線管を配置することにより発生されてもよい。
【0025】
X線管60は、ターゲット半径方向に沿って隔設された多数の焦点スポット62及び64を用いている(2個の焦点スポットが図示されている)。X線管60の陰極68が電子ビーム66を発生し、電子ビーム66は幾つかの実施形態では磁場を用いて動的に偏向されて、焦点スポット62及び64が、陽極28(
図1に示す)として具現化され得る陽極72(例えば回転式陽極)のターゲット70において離隔されるようにしている。ターゲット70は陽極72に設けられた円環形の要素であってよい。X線管60の構成要素の冷却を任意の公知の態様(例えば液冷系)を用いて提供することができる。
【0026】
動作について述べると、磁場が高速に変化すると、電子ビーム66はターゲット70の2箇所の異なる位置へ向けられて、
図3に示すようにz方向に微小距離S、例えば6ミリメートル(mm)だけ離隔され得る2個の別個の焦点スポット62及び64を発生することができる。
図3のX線管60の構成要素は筐体74の内部に図示されている。
【0027】
様々な実施形態では、例えばz方向の折り返し(エイリアシング)アーティファクトを最小にするために、ターゲット70での2個の焦点スポット62及び64の間の間隔は、焦点スポット62又は64の一方を検出器セルと結ぶX線が、z方向において、他方の焦点スポット64又は62を検出器セルと結ぶX線と交差(インタレース)するように提供される。説明の目的のみで述べると、検出器−アイソセンタ間距離が408mmであり、アイソセンタにおける被投影セル間隔が0.625mmである場合に基づくと、z方向における偏向距離Dは0.73mmであってよい。もう一つの例では、角度(すなわちターゲット表面とxy平面との間の角度)が7°の傾斜部分76(例えば傾斜外面)を有するターゲット70について、ターゲット表面78に沿った2個の焦点スポット62及び64の間の距離が、0.73/sin(7°)=5.96mmのように決定される。従って、偏向角度(α)及び/又はターゲット角度(γ)の量を変化させることにより、ターゲット70での焦点スポット62及び64の間隔をさらに一層増大させることができる(例えば有意に又は実質的に増大させることができる)。例えば、
図3に示すようなターゲット表面78に沿った間隔を50mmにすると、電子ビーム66a及び66bの間の偏向角度の差のためターゲット角度(γ)は増大する。
【0028】
従って、焦点スポット偏向及び傾斜部分76を用いることにより2個の焦点スポット62及び64の間の間隔を増大させることができる。例えば、2個の焦点スポット62及び64がz方向に離隔している場合(双ピーク概念と呼ぶ)には、広い撮影範囲(カバレッジ)面積でのコーン・ビーム・アーティファクトが低減する。説明のみの目的で述べると、アイソセンタでの検出器z撮影範囲が100mmである場合に、2個の焦点スポット62及び64の間の間隔を80mmにすると、段階式撮影モード取得においてコーン・ビーム・アーティファクトが略存在しない画像を形成することができる。尚、ターゲット表面78に沿った焦点スポット62及び64の間隔は、z方向における焦点スポット62及び64の間隔に比較して1/sin(γ)倍だけ拡大されることを特記しておく。また、γが45°未満であるときには、ターゲット表面78に沿った間隔はz方向に沿った間隔よりも常に大きくなることを特記しておく。
【0029】
様々な実施形態において、焦点スポット同士の間の間隔を拡大するために、ターゲット表面78、例えば傾斜部分76を
図5に示すようにz軸と整列させる。例えば、X線管60をz軸からオフセットする。例えば、X線管60の長手方向軸に沿って延在する陰極68(
図2に示す)をz軸からオフセットする。幾つかの実施形態では、X線管60は、ガントリ1212(
図12に示す)においてオフセット配向として装着され得る。例えば、放射線源1214(
図12に示す)は、放射線源1214のターゲットがガントリ回転軸又はz軸と整列するようにガントリ1212においてオフセット配向として設けられ得る。尚、X線管60は、固定配向として装着されてもよいし、移動自在(例えば旋回装着)であってもよく、移動は人手によって手動で行なわれてもよいし、モータを用いて機械的に行なわれもよく、機械的移動は動的に提供されてもよい。例えば、X線管60は、
図5に示すようにz軸に平行な軸において旋回点80の周りに回転され得る。
【0030】
様々な実施形態に対する改変及び変形を提供することができる。例えば、X線管60の軸を、傾斜量を調節するようにz軸に関して傾斜させて、複数の焦点スポットの間の間隔を変化させ得るようにしてもよい。もう一つの例として、z軸に沿った複数の焦点スポットがX線ラジオグラフィ撮影モードのために拡大した撮影範囲を生成するようにして、ガントリ1212はデータ取得時に静止させたままにしてもよい。これらのモードは、例えばCT手順の事前スクリーニングに役立つ。
【0031】
さらにもう一つの例として、X線管60を、CTイメージング・システム1210(
図12に示す)のX線ラジオグラフィ・モードにおいて用いることができる。このモードでは、ガントリ1212は患者1222に関して回転しない。2個の焦点スポット62及び64は相次いでオンに切り換えられて、例えば器官全体のX線ラジオグラフィ画像が得られるようにz方向での患者1222の広い撮影範囲を可能にする。空間分解能を高めるために、X線焦点スポットをx方向及びz方向に僅かに偏向させて、二重サンプリングを行なうことができる。さらにもう一つの例として、X線管60を、ガントリ1212を静止させたま電動テーブル1246を並進させるトモシンセシス・データ取得に用いることができる。
【0032】
このように、様々な実施形態において、X線ラジオグラフィ装置又はX線トモシンセシス装置として動作する傾斜管型CTシステムを提供して部分的(semi)断層写真法能力を提供することができる。放射線量が通常のCT走査運転に比較して著しく減少する結果として、ラジオグラフィ・モード又はトモシンセシス・モードを例えば事前スクリーニングに用いて、通常の又は完全なCT走査の必要性を決定することができる。
【0033】
具体的には、
図6に示すようなラジオグラフィ・モードでは、ガントリ1212(
図12に示す)及び電動テーブル1246の両方を静止したままにする。逐次偏向型焦点スポット90及び92がz方向撮影範囲を拡大する。尚、x方向及びz方向での付加的な焦点スポット偏向を用いてx及びzにおける交差(インタレース)標本を生成すると、やはり空間分解能を高め得ることを特記しておく。
図7に示すようなトモシンセシス・モードでは、ガントリ1212(
図12に示す)は静止したままであるが、電動テーブル1246はz軸に沿って並進する。2個の焦点スポット90及び92が、テーブル並進時に逐次的に(偏向しつつ)オンにされる。電動テーブル1246が移動する(矢印で示す)につれて走査対象の各々の点が幾つかの異なる角度から観測されるので、トモシンセシス効果を奏することができる。さらに、当技術分野で公知の様々なアルゴリズムを用いて、重なり構造を部分的に除去して対象の視認性を高めた画像を形成することができる。
【0034】
トモシンセシス効果をさらに高めるために、X線管60を
図8に示すように旋回させて、データ取得時に付加的な角度範囲を提供することができる。走査時には、X線管60の軸を動的に調節しながら電動テーブル1246が並進する(矢印で示す)。
【0035】
図9は、様々な実施形態において実行され得る低及び高kVpプロトコルのタイミング図を示すグラフである。本書で用いられる撮像データは、本実施形態及び関連する各実施形態ではビュー又は投影とも呼ばれる。撮像データは、本書に開示される主題の一実施形態によれば第一の電圧902において取得される。加えて、撮像データは第二の電圧904において取得される。本実施形態では、制御器によって制御されるX線発生器は、第一の持続時間906にわたりX線管60に第一の電圧902を与える。例えば、第一の持続時間906は時刻908に開始して時刻910に終了する。第一の持続時間906にわたり、1以上のビュー912が第一の電圧902において取得され得る。第一の持続時間906の後に、X線発生器は時刻916に開始する第二の持続時間914にわたりX線管60に第二の電圧904を与え、時刻918までこの第二の電圧904を与える。第二の持続時間914にわたり、2以上のビュー920が第二の電圧904において取得され得る。第二の持続時間914の後に、時刻924に開始する第三の持続時間922にわたりX線管60に第一の電圧902を供給し、時刻926まで第一の電圧902を与えることをX線発生器に再び行なわせることができる。第三の持続時間922にわたり、データの1以上のビュー928が第一の電圧902において取得され得る。例えば、第一の電圧902は80kVpであり、第二の電圧904は140kVpである。X線管60の電流は印加電圧902、904の関数として制御される。一実施形態では、時間906及び914に取得されるビューの総数は同じであってよい。代替的には、持続時間906の時間内に取得されるビューの数は、持続時間914の時間内に取得されるビューの数と異なっていてよい。
【0036】
容量効果及び他の効果のため、X線発生器は第一の電圧902から第二の電圧904へまたこの反対へ瞬時に切り換えることが可能でない。このようなものとして、電圧変化が達成されることを可能にするために典型的には一定の有限の時間が要求される。例えば、X線発生器は時刻910まで第一の電圧902にあってよい。時刻910において、X線発生器に第二の電圧904を出力させると、発生器の出力は後の時刻916まで第二の電圧904を達成しない。このように、時刻910から時刻916までの移行時間930が生じ、この時間にX線発生器電圧は二つの電圧902、904の間を移行する。
【0037】
第一の電圧902においてビュー・データを取得した後に、第二の電圧904が実際に達成されて初めてビュー・データが取得されるように第二の電圧904でのビュー・データの取得を遅延させることを回避するために、ビュー・データを移行930時に取得することができる。この態様では、第一の電圧902のビュー・データが移行930の一つの部分において取得され、第二の電圧904のビュー・データが移行930のもう一つの部分において取得され得る。図示のように、第一の電圧902におけるビュー912は、時刻934に開始して、移行930の点938に実質的に対応する時刻936に終了する最後のビュー932を含んでいる。従って、ビュー932は、第一の電圧902において取得されるビュー・データを含むのに加えて、第一の電圧902よりも高く点938の電圧よりも低い電圧902、904の間の電圧において取得されるビュー・データを含む。一旦、X線管60の電圧が点938を通過したら、ビュー932は完了し、ビュー920の最初のビュー940におけるビュー・データの取得が開始する。このようなものとして、最初のビュー940は時刻936に開始して時刻942に終了し、第二の電圧904にある電圧を含む。
【0038】
コンピュータ1236(
図12に示す)は、X線発生器への信号のタイミングを制御することにより、患者1322が受けるX線量を減少させる又は最小にするように構成され得る。第一の電圧902において取得されるビュー932は、発生器の出力電圧が時刻910と936との間の移行にある間に収集されるデータを含み得る。さらに、第二の電圧904において取得されるデータを含むデータの最初のビュー940は時刻936にトリガを与えられて、出力電圧が第二の電圧904を達成する前に生じ得る。一実施形態では、トリガ点938は、第一の電圧902と第二の電圧904との間の実質的に半ばに生ずる。代替的には、トリガは、二つの電圧902、904の半ばの点でなく、これら二つの電圧の間の何らかの異なる点に位置していてもよい。例えば、低電圧及び高電圧のパターンを、1以上のビューが第一の電圧902において取得され、2以上のビューが第二の電圧904において取得され、1以上のビューが第一の電圧902において再び取得されるようにして、インタリーブ型のデータのパターンが取得されるように異なる時間にわたって繰り返し、従って異なるガントリ角度において繰り返すことができる。捕獲されるビューの数は、図示のようなパターン(すなわち第一の電圧902において三つのビュー、第二の電圧904において二つのビュー、及び第一の電圧902において再び三つのビュー)に必ずしも限らない。例えば、捕獲されるビューは、他方のkVpに切り換えて戻す前の各々のkVpにおける数十ミリ秒間(msec)での2ビュー〜50ビューにわたり得る。代替的には、kVpの切り換えは、電圧レベル当たり一つのビューを得るように行なわれてもよい。
【0039】
図10は、濾波を行なわない場合の二重エネルギCTでのエネルギの重なりを示す。グラフに示すように、曲線1002が高エネルギX線スペクトルを表わす。また、グラフに示すように、曲線1004が低エネルギX線スペクトルを表わす。例えば、低エネルギ・スペクトルは80kVpであってよく、高エネルギ・スペクトルは140kVpのものであってよい。代替的には、低エネルギ・スペクトルは60kVpから100kVpにわたり得る。代替的には、高エネルギ・スペクトルは120kVp以上のエネルギ・レベルにわたり得る。
図10に示すように、低エネルギ範囲では低エネルギ・スペクトルと高エネルギ・スペクトルとの間に著しい重なりが存在する。
【0040】
図11は、一実施形態による二重エネルギCTでのエネルギの重なりの減少を示す。
図11は、低エネルギ・スペクトル及び高エネルギ・スペクトルについて焦点スポット角度を異なるものにして構成されたX線管60を用いたスペクトル重なりの減少の一例である。高エネルギ・スペクトル(この場合には140kVpスペクトル)は、低エネルギ・スペクトルとの重なりが減少しており、
図10のスペクトルに比較して平均keV分離が増大している。例えば、曲線1102が濾波後の曲線1002を表わす。曲線1102は、曲線1102と曲線1004との間のエネルギの重なりが小さくなっていることを示している。
図11から明らかなように、曲線1102は30kVp未満のエネルギのX線を有しない。また、
図11から明らかなように、高エネルギX線ビームからの低エネルギ・スペクトルの濾波は、30kVpから80kVpまでの間に重なりを有しない高エネルギ・スペクトル及び低エネルギ・スペクトルを生成する。故に、これら二つのエネルギ・スペクトルは低エネルギと高エネルギとの間で十分に区別される。さらに、濾波工程によって雑音が減少し、低エネルギ及び高エネルギのX線スペクトルの分離がさらに強化される。
【0041】
二重エネルギ走査では、二つのX線スペクトルが異なるkVpレベルにおいて同時に発生される。結果は、画像化された物質を差別化し、特性決定し、単離し、また区別することを可能にする二つのCTデータ集合である。二重エネルギCTのかかる一応用として、肝臓の癌性患部からの嚢胞の差別化、特性決定、単離及び区別がある。肝患部の強調パターンが、二重エネルギCTによって、特に本書に開示される様々な実施形態を用いると明瞭に視覚化され得る。本書に開示される様々な実施形態の用途のもう一つの例は、骨密度(BMD)測定である。BMDは、骨による各々のエネルギ・スペクトルの吸収から決定され得る。本書に開示される様々な実施形態の用途のさらにもう一つの例は、肺結節の差別化、特性決定、単離及び区別である。
【0042】
加えて、低エネルギ・スペクトルと高エネルギ・スペクトルとの間の差別化を改善した二重エネルギCTは、ビーム・ハードニング・アーティファクトの減少に役立つ場合がある。かかるアーティファクトは一般的には、頭蓋走査に見受けられる。二つのエネルギ・スペクトルを用いると、ビーム・ハードニングが解消する。さらに、X線スペクトルの固有濾波は、背景雑音に対する信号の忠実度を高めるのに役立つ場合がある。また、二つの物体のCT数の間の差によって測定されるコントラスト対雑音比が、低エネルギX線スペクトルと高エネルギX線スペクトルとの間に明確な差を設けることにより強化される。
【0043】
図12は、放射線源1214(本書に記載しているような様々な実施形態に従って形成されたX線管を有する)を有するCTイメージング・システム1210を示しており、また単一の横列を成す検出器素子1220(すなわち検出器横列1列)のみを有するマルチ・スライス検出器アレイ1218を有している。但し、マルチ・スライス検出器アレイ1218は、複数の準平行スライス又は平行スライスに対応する投影データが1回の走査で同時に取得され得るように複数の平行検出器横列を成す検出器素子1220を含んでいる。
【0044】
ガントリ1212の回転及び放射線源1214の動作(並びに選択随意で放射線源1214の移動)はCTイメージング・システム1210の制御機構1226によって制御される。制御機構1226は、放射線源1214に電力信号及びタイミング信号を与える放射線制御器1228と、ガントリ1212の回転速度及び位置を制御するガントリ・モータ制御器1230とを含んでいる。制御機構1226に設けられているデータ取得システム(DAS)1232が検出器素子1220からのアナログ・データを標本化して、これらのデータをディジタル信号へ変換して後続の処理に供する。画像再構成器1234が、標本化されてディジタル化された放射線データをDAS1232から受け取って、高速画像再構成を実行する。再構成画像はコンピュータ1236への入力として印加され、コンピュータ1236は画像を大容量記憶装置1238に記憶させる。
【0045】
コンピュータ1236はまた、例えばキーボード及び/又は他の利用者入力装置(1若しくは複数)を有するコンソール1240を介して操作者から命令及び走査パラメータを受け取る。付設されている表示システム1242が、再構成画像及びコンピュータ1236からの他のデータを操作者が観察することを可能にする。操作者が供給した命令及びパラメータはコンピュータ1236によって用いられて、DAS1232、放射線制御器1228及びガントリ・モータ制御器1230へ制御信号及び情報を与える。加えて、コンピュータ1236はテーブル・モータ制御器1244を動作させて、ガントリ1212に患者1222を配置し、又は患者1222をz軸に沿って移動させるように電動テーブル1246を制御する。具体的には、テーブル1246は患者1222の各部分をガントリ開口1348を通して移動させる。
【0046】
一実施形態では、コンピュータ1236は、フロッピィ・ディスク、CD−ROM、又はDVDのようなコンピュータ可読の媒体1252から命令及び/又はデータを読み取る装置1250、例えばフロッピィ・ディスク・ドライブ、CD−ROMドライブ、又はDVD−ROMドライブを含んでいる。他の形式の適当なコンピュータ可読のメモリ(例えば二例のみ挙げるとCD−RW及びフラッシュ・メモリ)が存在すると認められること、及び本記載はこれらの如何なるものも除外しないことを理解されたい。もう一つの実施形態では、コンピュータ1236は、ファームウェア(図示されていない)に記憶されている命令を実行する。一般的には、
図12に示すDAS1232、再構成器1234、及びコンピュータ1236の少なくとも一つのプロセッサが、後述の工程を実行するようにプログラムされている。但し、この方法はCTイメージング・システム1210での実施に限定されている訳ではなく、イメージング・システムの他の多くの形式及び変形と共に用いられ得る。一実施形態では、コンピュータ36は、本書に記載される作用を果たすようにプログラムされており、従って本書で用いられるコンピュータとの用語は、当技術分野でコンピュータと呼ばれる集積回路のみに限らず、コンピュータ、プロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラム可能型論理コントローラ、特定応用向け集積回路、及び他のプログラム可能型回路を広範に指す。
【0047】
図13は、一実施形態に従って形成されるCTイメージング・システム1210の見取り図である。
図12は、
図13に示すCTイメージング・システム1210のブロック概略図である。この実施形態の例では、CTイメージング・システム1210は、「第三世代」CTイメージング・システムに典型的なガントリ1212を含むものとして示されている。ガントリ1212は放射線源1214を有し、放射線源1214はガントリ1212の反対側に設けられている検出器アレイ1218へ向けてX線コーン・ビーム1216を投射する。
【0048】
検出器アレイ1218は、患者1222のような対象を通過した投射X線ビームを一括で感知する複数の検出器素子1220を含む複数の検出器横列(図示されていない)によって形成されている。各々の検出器素子1220が、入射した放射線ビームの強度、故に対象又は患者1222を通過したビームの減弱を表わす電気信号を発生する。マルチ・スライス検出器1218を有するCTイメージング・システム1210は、患者1222の容積を表わす複数の画像を形成することが可能である。これら複数の画像の各々の画像が、容積の別個の「スライス」に対応する。
【0049】
放射線投影データを取得する1回の走査の間に、ガントリ1212及びガントリ1212に装着されている構成要素が、
図13の破線Zによって示すガントリ回転軸(z軸又はz方向)を画定する回転中心1224の周りを回転する。z軸はガントリ開口1248の内部まで延在している。様々な実施形態において、放射線源1214は、後にあらためて詳述するように焦点スポット偏向を用いておりz軸に整列したターゲットを有するX線管60(
図2〜
図4に示す)を含み得る。X線管60は、隣り合ったビュー標本の間での略同時の取得によって高低エネルギ・データの位置揃え不正を減少させるように二重エネルギX線を発生する高速kVp切り換えを行なう。加えて、X線管60は最小の重なりを有する又は全く重なりのない高低X線エネルギを発生する。
【0050】
様々な実施形態又は構成要素、例えばCTイメージング・システムの構成要素、又は内部の制御器若しくはプロセッサは、他のシステムと別個であっても一体であってもよい1又は複数のコンピュータ・システムの一部として具現化され得る。コンピュータ・システムは、コンピュータ、入力装置、表示ユニット、及び例えばインターネットにアクセスするためのインタフェイスを含み得る。コンピュータはマイクロプロセッサを含み得る。マイクロプロセッサは通信バスに接続され得る。コンピュータはまた、メモリを含み得る。メモリは、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)及び読み出し専用メモリ(ROM)を含み得る。コンピュータ・システムはさらに、記憶装置を含んでいてよく、記憶装置はハード・ディスク・ドライブ、又はフロッピィ・ディスク・ドライブ及び光ディスク・ドライブ等のような着脱自在の記憶ドライブであってよい。記憶装置はまた、コンピュータ・システムにコンピュータ・プログラム又は他の命令を読み込む他の同様の手段であってよい。
【0051】
本書で用いられる「コンピュータ」との用語は、マイクロコントローラ、縮小命令セット回路(RISC)、特定応用向け集積回路(ASIC)、論理回路、及び本書に記載された作用を実行することが可能な他の任意の回路又はプロセッサを用いたシステムを含む任意のプロセッサ方式又はマイクロプロセッサ方式のシステムを含み得る。上の例は例示のみのためのものであり、従って「コンピュータ」との語の定義及び/又は意味を一切限定しないものとする。
【0052】
コンピュータ・システムは、入力データを処理するために1又は複数の記憶要素に記憶されている一組の命令を実行する。記憶要素はまた、所望又は必要に応じてデータまたは他の情報を記憶することができる。記憶要素は、処理機械の内部の情報源又は物理メモリ素子の形態にあってよい。
【0053】
上述の一組の命令は、本書に開示される主題の各実施形態の方法及び工程のような特定の動作を実行するように処理機械としてのコンピュータに命令する様々な命令を含み得る。一組の命令は、ソフトウェア・プログラムの形態にあってよい。ソフトウェアは、システム・ソフトウェア又はアプリケーション・ソフトウェアのような様々な形態にあってよい。さらに、ソフトウェアは、別個のプログラムの集合、より大きなプログラムの内部のプログラム・モジュール又はプログラム・モジュールの一部の形態にあってよい。ソフトウェアはまた、オブジェクト指向プログラミングの形態のモジュール型プログラミングを含み得る。処理機械による入力データ処理は、利用者の命令に応答して行なわれてもよいし、以前の処理の結果に応答して行なわれてもよいし、他の処理機械によって発行された要求に応答して行なわれてもよい。
【0054】
本書で用いられる「ソフトウェア」及び「ファームウェア」との用語は互換的であり、RAMメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、及び不揮発性RAM(NVRAM)メモリを含めたメモリに記憶されて、コンピュータによって実行される任意のコンピュータ・プログラムを含んでいる。以上のメモリ形式は例示のみのためのものであり、従ってコンピュータ・プログラムの記憶に利用可能なメモリの形式に関して制限するものではない。
【0055】
以上の記載は例示説明のためのものであって制限するものではないことを理解されたい。例えば、上述の各実施形態(及び/又は各実施形態の諸観点)を互いに組み合わせて用いてよい。加えて、本書に開示される主題の様々な実施形態の範囲を逸脱することなく、特定の状況又は物質を本書に開示される主題の様々な実施形態の教示に合わせて適応構成する多くの改変を施すことができる。本書に記載されている物質の寸法及び形式は、本書に開示される主題の様々な実施形態の各パラメータを定義するためのものであるが、各実施形態は限定するものではなく例示する実施形態である。以上の記載を吟味すれば、当業者には他の多くの実施形態が明らかとなろう。従って、本書に開示される主題の様々な実施形態の範囲は、特許請求の範囲に関連して、かかる特許請求の範囲が網羅する等価物の全範囲と共に決定されるものとする。特許請求の範囲では、「including包含する」との用語は「comprising含む」の標準英語の同義語として、また「in whichこのとき」との用語は「whereinここで」の標準英語の同義語として用いられている。また、特許請求の範囲では、「第一」、「第二」及び「第三」等の用語は単にラベルとして用いられており、これらの用語の目的語に対して数値的要件を課すものではない。さらに、特許請求の範囲の制限は、「手段プラス機能(means-plus-function)」形式で記載されている訳ではなく、かかる特許請求の範囲の制限が、「〜のための手段」に続けて他の構造を含まない機能の言明を従えた文言を明示的に用いていない限り、合衆国法典第35巻第112条第6パラグラフに基づいて解釈されるべきではない。
【0056】
この書面の記載は、最適な態様を含めて本書に開示される主題の様々な実施形態を開示し、また任意の装置又はシステムを製造して利用すること及び任意の組み込まれた方法を実行することを含めてあらゆる当業者が本書に開示される主題の様々な実施形態を実施することを可能にするように実例を用いている。特許付与可能な本書に開示される主題の様々な実施形態の範囲は特許請求の範囲によって画定されており、当業者に想到される他の実例を含み得る。かかる他の実例は、特許請求の範囲の書字言語に相違しない構造要素を有する場合、又は特許請求の範囲の書字言語と非実質的な相違を有する等価な構造要素を含む場合には、特許請求の範囲内にあるものとする。