【実施例】
【0025】
まず、本実施例に係る船舶用レーダシステムの概念について説明する。
図1は、本実施例に係る船舶用レーダシステムの概念を説明するための説明図である。ここでは、レーダ送受信機10がパルス圧縮レーダであるものとする。
【0026】
同図に示す船舶用レーダシステムでは、船舶に搭載したレーダ送受信機10が、周波数f1のレーダ波を自船舶の周囲360度に対して送信する。そして、レーダ送受信機10は、このレーダ波が他船舶又は陸地等で反射した周波数f1のレーダエコーを受信し、該レーダエコーに含まれるパルスに対してMF処理を施し、他船舶又は陸地等を表示器19のPPI画面上に表示する。
【0027】
一方、レーコン20は、周波数f1のレーダ波を受信した場合に、該周波数f1と異なる周波数(例えば、f1−Δf)でレーコン応答波を送信する。そして、レーダ送受信機10は、この周波数(f1−Δf)で受信したレーコン応答波に含まれるレーコン識別符号に対してはMF処理を行わず、レーコン20が行った変調処理に対応する復調処理を行って位置情報を取得する。かかるレーコン応答波は、周波数変調されていない単一の周波数を持つ正弦波であるため、レーコン識別符号がMF処理を受けると、該レーコン識別符号がパルス圧縮されることはなく、かえって距離方向(近距離・遠距離の両方に)に延びるとともに、レーコン識別符号が潰れてしまうからである。このようにして得られたレーコン20のレーコン識別符号を表示器19のPPI画面上に表示する。
【0028】
このように、レーダ送受信機10では、レーダ波が陸地及び他船舶で反射するレーダエコーに対する処理と、レーコン20から送信されるレーコン応答波に対する処理を別処理とし、レーコン識別符号に対してMF処理を行わないよう構成したため、陸地、他船舶及びレーコンを適正かつ効率的に表示器19のPPI画面上に表示制御することができる。
【0029】
なお、その詳細な説明については後述するが、レーコン20は、受信したレーダ波に含まれるパルス(以下、「レーダパルス」と言う)のパルス幅及び周波数に基づいてレーダ送受信機10のレーダ種別がパルス圧縮レーダであるかマグネトロンレーダであるかを判定し、マグネトロンレーダである場合には、周波数f1のレーコン応答波を送信する。既存のマグネトロンレーダを採用したレーダ送受信機にも対応可能とするためである。
【0030】
次に、レーダ送受信機10及びレーコン20の概略構成についてそれぞれ説明する。
図1に示すように、レーダ送受信機10は、レーダ波送信処理部15と、レーダエコー受信処理部16と、レーコン応答波受信処理部17と、表示制御部18と、表示器19とを有する。
【0031】
レーダ波送信処理部15は、周波数変調等がなされた変調パルスからなるレーダパルスの送信波形を生成し、この送信波形をRF(Radio Frequency)周波数帯へアップコンバートして増幅し、アンテナ部11から送信処理する処理部である。
【0032】
レーダエコー受信処理部16は、アンテナ部11より受信したレーダエコーを受信処理する処理部である。このレーダエコー受信処理部16は、受信したレーダエコーに対してパルス圧縮処理を行って表示制御部18に出力する。
【0033】
レーコン応答波受信処理部17は、アンテナ部11より受信したレーコン応答波を受信処理する処理部である。このレーコン応答波受信処理部17は、受信したレーコン応答波に対して所定の復調方式で復調して表示制御部18に出力する。
【0034】
表示制御部18は、レーダエコー受信処理部16及びレーコン応答波受信処理部17の出力を用いて、表示器19の表示制御を行う処理部である。この表示制御部18は、レーダエコー受信処理部16の出力をレーダ映像として表示器19に描画するとともに、レーコン応答波受信処理部17の出力に基づいてレーコンの位置を示すレーコンマークをレーダ映像上に重畳して描画する。
【0035】
表示器19は、レーダ映像及びレーコンマークを表示する装置である。表示器19には、円形の表示領域上を回転する走査線によって、対象物の2次元上の所在位置を表示するPPIスコープ等を用いることができる。
【0036】
一方、レーコン20は、レーコン応答波送信処理部25を有する。このレーコン応答波送信処理部25は、周波数f1のレーダ波を受信した際に、該レーダ波の送信元がパルス圧縮レーダである場合には周波数(f1−Δf)のレーコン応答波を送信処理し、マグネトロンレーダである場合には、周波数f1のレーコン応答波を送信処理する処理部である。レーダ波の送信元がパルス圧縮レーダ又はマグネトロンレーダのいずれであるかの判定は、レーダパルスのパルス幅及び周波数に基づいて行うことができる。
【0037】
次に、
図1に示したレーダ送受信機10の具体的な構成について説明する。
図2は、
図1に示したレーダ送受信機10の具体的な構成を示すブロック図である。ここでは説明の便宜上、ASIC又はFPGA等を用いてレーダ送受信機10を実現する場合を示している。
【0038】
同図に示すように、このレーダ送受信機10は、アンテナ部11と、サーキュレータ12と、受信機13と、送信機14と、送信周波数設定部15aと、送信波形生成部15bと、バンドパスフィルタ(以下、「BPF」と言う)16aと、パルス圧縮処理部16bと、BPF17aと、復調処理部17bと、レーコン位置算出部17cと、レーダ映像描画部18aと、レーコンマーク描画部18bと、表示器19とを有する。なお、送信周波数設定部15a及び送信波形生成部15bは、
図1に示したレーダ波送信処理部15に対応し、BPF16a及びパルス圧縮処理部16bは、
図1に示したレーダエコー受信処理部16に対応し、BPF17a、復調処理部17b及びレーコン位置算出部17cは、
図1に示したレーコン応答波受信処理部17に対応し、レーダ映像描画部18a及びレーコンマーク描画部18bは、
図1に示した表示制御部18に対応する。
【0039】
アンテナ部11は、サーキュレータ12から出力されたレーダ波を送信するとともに、受信したレーダエコー及びレーコン応答波をアンテナ受信信号としてサーキュレータ12に出力する。このようにアンテナ部11は、送信及び受信に兼用される。また、アンテナ部11は、回転しつつ周囲360度に対してレーダ波を送信するとともに、回転しつつ周囲360度からレーダエコー及びレーコン応答波を受信する。
【0040】
サーキュレータ12は、送信機14、アンテナ部11及び受信機13に接続された3ポートサーキュレータである。このサーキュレータ12により、送信機14から出力されたレーダ波がアンテナ部11に送られ、アンテナ部11から出力されたアンテナ受信信号が受信機13に送られる。
【0041】
受信機13は、アンテナ部11より出力されたアンテナ受信信号を増幅して、レーダエコー及びレーコン応答波をレーダエコー受信処理部16及びレーコン応答波受信処理部17に出力する装置である。
【0042】
送信機14は、送信波形生成部15bが生成した送信波形を送信周波数設定部15aにより設定されたRF周波数帯にアップコンバートして増幅し、サーキュレータ12に出力する装置である。
【0043】
送信周波数設定部15aは、レーダ送受信機10が送信するレーダ波の周波数f1を設定する処理部である。この周波数f1は、予め設定された固定値とするのが通常であるが、レーダ操作者により変更可能としてもよい。送信周波数設定部15aは、設定した周波数f1を送信機14に出力する。
【0044】
送信波形生成部15bは、レーダ送受信機10が送信するレーダ波の送信波形を生成する処理部である。送信波形生成部15bは、レーダエコーに対してパルス圧縮を実施するための周波数変調等を施した送信波形を生成して送信機14に出力する。
【0045】
BPF16aは、受信機13から出力されたアンテナ受信信号のうち、レーダエコーの周波数成分f1を選択的に通過させるフィルタである。レーコン応答波の周波数成分(f1−Δf)は、このBPF16aにより除去され、レーダエコーの周波数成分f1のみが取り出される。BPF16aは、取り出したレーダエコーの周波数成分をパルス圧縮処理部16bに出力する。
【0046】
パルス圧縮処理部16bは、BPF16aにより出力されたレーダエコーの周波数成分をパルス圧縮処理する処理部である。具体的には、レーダ波に含まれるレーダパルスに対応するMF処理をレーダエコーに含まれるパルスに適用することにより、パルス幅を圧縮するとともに信号対雑音比(S/N)を向上させる。パルス圧縮処理部16bは、パルス圧縮処理を行ったレーダエコーを表示制御部18に出力する。
【0047】
BPF17aは、受信機13から出力されたアンテナ受信信号のうち、レーコン応答波の周波数成分(f1−Δf)を選択的に通過させるフィルタである。レーダエコーの周波数成分f1は、このBPF17aにより除去され、レーコン応答波の周波数成分(f1−Δf)のみが取り出される。BPF17aは、取り出したレーコン応答波の周波数成分を復調処理部17bに出力する。
【0048】
復調処理部17bは、BPF17aにより出力されたレーコン応答波の周波数成分に対して、レーコン応答波の変調方式に対応する復調方式を用いて復調処理する処理部である。この復調処理により、該レーコン応答波に含まれるレーコン識別符号が抽出される。復調処理部17bは、復調結果をレーコン位置算出部17cに出力する。
【0049】
レーコン位置算出部17cは、復調処理部17bの復調結果に基づいてレーコン位置を算出する処理部である。具体的には、このレーコン位置算出部17cは、まず復調処理部17bの復調結果にレーコン識別符号が含まれているか否かを判定する。
【0050】
そして、レーコン識別符号が含まれているならば、アンテナ部11からレーダ波を送信した送信時点からアンテナ部11でレーコン応答波を受信した時点までの経過時間を求め、この経過時間を用いてレーダ送受信機10からレーコン20までの距離を算出する。
【0051】
また、レーコン位置算出部17cは、アンテナ部11でレーコン応答波を受信した時点のアンテナ部11の回転角度から、レーコン20のレーダ送受信機10に対する相対方位を決定する。ここで、レーダ波を複数回送信すると、レーコン20は、レーダ波を受信する度にレーコン応答波を送信するので、レーダ送受信機10はレーダ応答波を複数回受信することとなる。この場合には、アンテナ部11が1周する間に受信した複数のレーコン応答波のうち、受信電力が最大のレーコン応答波を受信した時点のアンテナ部11の回転角度をレーコン20のレーダ送受信機10に対する相対方位とする。レーコン位置算出部17cは、レーダ送受信機10からレーコン20までの距離とレーコン20のレーダ送受信機10に対する相対方位とをレーコン位置として表示制御部18に出力する。
【0052】
レーダ映像描画部18aは、パルス圧縮処理部16bから出力されたレーダエコーに基づいて、表示器19にレーダ映像を描画する処理部である。パルス圧縮処理部16bから出力されたレーダエコーは、レーダ波を反射した陸地又は他船舶までのレーダ送受信機10からの距離Rと、レーダ波を反射した陸地又は他船舶のレーダ送受信機10に対する相対方位θとを示すRθ座標系の信号である。レーダ映像描画部18aは、このRθ座標系の信号をXY座標系の信号に変換して表示器19に転送することで、表示器19にレーダ映像を描画する。
【0053】
レーコンマーク描画部18bは、レーコン位置算出部17cにより出力されたレーコン位置に基づいて、レーダ映像上の所定位置にレーコンマークを重畳描画する処理を行う処理部である。
【0054】
次に、
図2に示したBPF16a及び17aの処理概念について説明する。
図3は、
図2に示したBPF16a及び17aの処理概念を説明するための説明図である。ここでは、レーダエコーの周波数成分とレーコン応答波の周波数成分は、峻別可能な十分な差(例えば50MHz)を有するものとする。
【0055】
同図に示すように、アンテナ受信信号には、レーダエコーの周波数成分及びレーコン応答波の周波数成分の双方が含まれている。レーダエコーの周波数成分は、周波数f1をピークとして所定の帯域幅を有し、レーコン応答波の周波数成分は、周波数(f1−Δf)をピークとして所定の帯域幅を有している。
【0056】
BPF16aの通過帯域は、レーダエコーの周波数成分の帯域幅を全て含み、かつ、レーコン応答波の周波数成分の帯域幅を含まないように設定する。また、BPF17aの通過帯域は、レーコン応答波の周波数成分の帯域幅を全て含み、かつ、レーダエコーの周波数成分の帯域幅を含まないように設定する。
【0057】
このように、BPF16a及び17aの通過帯域を設定することにより、BPF16aを通過したアンテナ受信信号にはレーダエコーの周波数成分のみが含まれ、BPF17aを通過したアンテナ受信信号にはレーコン応答波の周波数成分のみが含まれることとなる。
【0058】
次に、
図1に示したレーコン20の構成について説明する。
図4は、
図1に示したレーコン20の構成を示すブロック図である。同図に示すように、このレーコン20は、アンテナ部21と、サーキュレータ22と、受信機23と、送信機24と、レーダ判定部25aと、送信周波数設定部25bと、送信タイミング設定部25cと、送信波形生成部25dとを有する。なお、レーダ判定部25a、送信周波数設定部25b、送信タイミング設定部25c及び送信波形生成部25dは、
図1に示したレーコン応答波送信処理部25に対応する。
【0059】
アンテナ部21は、受信したレーダ波をサーキュレータ22に出力し、サーキュレータ22から出力されたレーコン応答波を送信する。このように、アンテナ部21は、送信及び受信に兼用される。
【0060】
サーキュレータ22は、アンテナ部21、受信機23及び送信機24を接続された3ポートサーキュレータである。このサーキュレータ22により、アンテナ部21より出力されたレーダ波は受信機23に送られ、送信機24より出力されたレーコン応答波はアンテナ部21に送られる。
【0061】
受信機23は、アンテナ部21から出力されたレーダ波を増幅し、レーコン応答波送信処理部25内のレーダ判定部25a及び送信タイミング設定部25cに出力する装置である。
【0062】
送信機24は、送信波形生成部25dにより生成された送信波形を、送信周波数設定部25bにより設定されたRF周波数帯にアップコンバートして増幅し、送信タイミング設定部25cにより生成された送信トリガのタイミングでサーキュレータ22に出力する装置である。
【0063】
レーダ判定部25aは、受信機23により出力されたレーダ波に含まれるレーダパルスのパルス幅及び周波数の双方又は一方を用いて、レーダ波を送信したレーダ送受信機10がパルス圧縮レーダであるか否かを判定する。例えば、「パルス幅が2us以上」である場合や、「周波数変調されている」場合に、パルス圧縮レーダのレーダ波であると判定することができる。
【0064】
送信周波数設定部25bは、レーコン応答波の周波数を設定する処理部である。具体的には、この送信周波数設定部25bは、受信したレーダ波がパルス圧縮レーダのものである場合には、受信したレーダ波の周波数とは異なる周波数をレーコン応答波の周波数として設定する。例えば、レーダ波の周波数f1から50MHz低い周波数をレーコン応答波の周波数として設定する。また、受信したレーダ波がマグネトロンレーダのものである場合には、受信したレーダ波の周波数と等しい周波数をレーコン応答波の周波数として設定する。送信周波数設定部25bは、設定したレーコン応答波の周波数を送信機24に出力する。
【0065】
送信タイミング設定部25cは、受信したレーダ波に含まれるレーダパルスの立下りまたは立上りのエッジを検知し、検知したエッジから所定期間経過後にレーコン応答波の送信トリガを生成して送信機24へ出力する処理部である。
【0066】
送信波形生成部25dは、レーコン応答波の送信波形を生成する処理部である。この送信波形生成部25dは、受信したレーダ波がパルス圧縮レーダによるものである場合には、レーコン応答波であることを示す所定の信号系列(レーコン識別符号)を所定の方式で変調したレーコン応答波形を送信波形として生成する。この変調には、ASK(Amplitude Shift Keying)変調やFSK(Frequency Shift Keying)変調等を用いることができる。また、送信波形生成部25dは、受信したレーダ波がマグネトロンレーダによるものである場合には、識別パルスをASK変調した単一周波数波形を送信波形として生成する。
【0067】
図5は、
図4に示した送信機24から送信される送信波形の一例を示す図である。同図に示すように、送信する信号系列は、レーコン識別符号を示す「0」と「1」の2値符号列である。この2値符号列をASK変調すると、2値符号列の「0」に対応する範囲で振幅が「0」となり、2値符号列の「1」に対応する範囲では所定の大きさの振幅を有する送信波形が得られる。また、2値符号列の信号列をFSK変調すると、2値符号列の「0」に対応する範囲と2値符号列の「1」に対応する範囲とでパルス周波数が異なる送信波形が得られることとなる。
【0068】
したがって、ASK変調により得られた送信波形からレーコン識別符号を取り出す際には、振幅の差を検知すればよく、FSK変調により得られた送信波形からレーコン識別符号を取り出す際には、周波数の差を検知すればよい。
【0069】
次に、
図1に示したレーダ送受信機10の処理をソフトウェアにより実現する場合の処理手順を説明する。ここでは、
図2に示したレーダ波送信処理部15、レーダエコー受信処理部16、レーコン応答波受信処理部17及び表示制御部18の処理を全てCPU上でプログラム実行するものとする。このため、かかるレーダ送受信機10には、レーダ波送信処理部15、レーダエコー受信処理部16、レーコン応答波受信処理部17及び表示制御部18に対応するプログラムがフラッシュメモリ又はROM上に格納されており、これらのプログラムがCPUによって読み出されて実行されることになる。
【0070】
レーダ送受信機10は、レーダパルスを含んだレーダ波を生成してアンテナ部11より送信処理した後、アンテナ部11が受信したアンテナ受信信号に基づいて、レーダエコー受信処理とレーコン応答波受信処理とを行う。
【0071】
図6は、レーダエコー受信処理の処理手順を示すフローチャートである。まず、レーダエコー受信処理部16は、アンテナ部11からアンテナ受信信号が出力されたか否かを判定する(ステップS101)。アンテナ部11からアンテナ受信信号が出力されていなければ(ステップS101;No)、レーダエコー受信処理部16は、ステップS105に移行する。
【0072】
アンテナ部11からアンテナ受信信号が出力されたならば(ステップS101;Yes)、レーダエコー受信処理部16は、アンテナ受信信号からレーダエコーを抽出し(ステップS102)、レーダ波に含まれるレーダパルスに対応するMF処理をレーダエコーに行うことにより、パルス幅を圧縮するとともに信号対雑音比(S/N)を向上する(ステップS103)。その後、パルス幅が圧縮されたレーダエコーをXY座標系に変換して表示器19に転送することで、表示器19にレーダ映像を描画処理する(ステップS104)。
【0073】
そして、レーダエコー受信処理部16は、上記一連の処理を終了するか否かを判定し(ステップS105)、処理を続行する場合には(ステップS105;No)ステップS101に移行する。なお、かかる終了判定に際しては、例えばレーダ波の送信時点から所定時間が経過した否かにより判定することができる。
【0074】
図7は、レーコン応答波受信処理の処理手順を示すフローチャートである。まず、レーコン応答波受信処理部17は、アンテナ部11からアンテナ受信信号が出力されたか否かを判定する(ステップS201)。アンテナ部11からアンテナ受信信号が出力されていなければ(ステップS201;No)、レーコン応答波受信処理部17は、ステップS206に移行する。
【0075】
アンテナ部11からアンテナ受信信号が出力されたならば(ステップS201;Yes)、レーコン応答波受信処理部17は、アンテナ受信信号からレーコン応答波を抽出し(ステップS202)、レーコン応答波の周波数成分に対し、レーコン応答波の変調方式に対応する復調方式を用いて復調処理する(ステップS203)。この復調処理により、レーコン識別符号が抽出される。
【0076】
その後、レーコン位置を算出する処理を行う(ステップS204)。具体的には、レーダ波を送信した時点からレーコン応答波を受信する時点までの経過時間により、レーコン20までの距離を算出する。また、レーコン応答波の検出時のアンテナ部11の回転角度からレーコン20の相対方位を決定する。そして、算出された距離及び相対方位に基づいて、レーダ映像上の所定位置にレーコンマークを重畳描画する処理を行う(ステップS205)。
【0077】
そして、レーコン応答波受信処理部17は、上記一連の処理を終了するか否かを判定し(ステップS206)、処理を続行する場合には(ステップS206;No)ステップS201に移行する。なお、かかる終了判定に際しては、例えばレーダ波の送信時点から所定時間が経過した否かにより判定することができる。
【0078】
次に、
図1に示したレーコン20の処理をソフトウェアにより実現する場合の処理手順を説明する。
図8は、
図1に示したレーコン20の処理手順を示すフローチャートである。ここでは、
図4に示したレーコン応答波送信処理部25の処理をCPU上でプログラム実行するものとする。このため、かかるレーコン20には、レーコン応答波送信処理部25に対応するプログラムがフラッシュメモリ又はROM上に格納されており、これらのプログラムがCPUによって読み出されて実行されることになる。
【0079】
同図に示すように、レーコン20は、アンテナ部21からレーダ波を受信したか否かを判定し(ステップS301)、レーダ波を受信していなければ(ステップS301;No)、ステップS301に移行する。
【0080】
これに対して、レーダ波を受信したならば(ステップS301;Yes)、レーダ波に含まれるレーダパルスのパルス幅及び周波数の双方又は一方を用いて、レーダ送受信機10のレーダ種別を判定する(ステップS302)。
【0081】
その結果、レーダ送受信機10のレーダ種別に応じてレーコン応答波の送信周波数を設定する(ステップS303)。具体的には、レーダ送受信機10のレーダ種別がパルス圧縮レーダであると判定した場合には、周波数(f1−Δf)をレーコン応答波の周波数として設定し、マグネトロンレーダであると判定した場合には、周波数f1をレーコン応答波の周波数として設定する。
【0082】
そして、レーダ送受信機10のレーダ種別に応じてレーコン応答波の送信波形を生成する(ステップS304)。具体的には、レーダ送受信機10のレーダ種別がパルス圧縮レーダであると判定した場合には、レーコン応答波であることを示すレーコン識別符号を所定の方式で変調したレーコン応答波形を送信波形として生成し、マグネトロンレーダであると判定した場合には、識別パルスをASK変調した単一周波数波形を送信波形として生成する。
【0083】
そして、レーダ波に含まれるレーダパルスの立下りまたは立上りのエッジを検知し、検知したエッジから所定期間経過後に、レーコン応答波の送信トリガを生成して送信機24へ出力する(ステップS305)。送信機24は、ステップS304により生成された送信波形を、ステップS303により設定された周波数にアップコンバートして増幅し、ステップS305により設定された送信タイミングで送信する(ステップS306)。
【0084】
上述してきたように、本実施例では、レーダ送受信機10が、周波数f1のレーダ波を送信処理し、レーコン20が、レーダ波を受信した際に、レーダ送受信機のレーダ種別を判定し、このレーダ種別が固体化レーダである場合には、周波数(f1−Δf)のレーコン応答波を送信処理する。そして、レーダ送受信機10は、周波数f1のレーダエコーに含まれるパルスについてはパルス圧縮処理を行い、周波数(f1−Δf)のレーコン応答波に含まれるレーコン識別符号についてはパルス圧縮処理を行わずに、自船舶の周囲に所在する他船舶、陸地及び航路ブイの所在位置を表示器19にそれぞれ表示制御するよう構成したので、地形、周囲に存在する他船舶並びにレーコン20の所在位置を適正かつ効率的に表示器のPPI画面上に表示制御することができる。特に、レーコン識別符号をパルス圧縮の処理対象から除外することとしたので、レーコン識別符号が距離方向に伸張され、またレーコン識別符号が潰れる状況を回避し、もってレーコン識別符号により他船舶が隠れる事態を防止することが可能となる。
【0085】
また、レーダエコーの受信処理とレーコン応答波の受信処理とを独立した処理としたため、パルス圧縮の方式に関わらず様々なパルス圧縮レーダに適用することができる。さらに、レーコン20は、レーダ送受信機10のレーダ種別がマグネトロンレーダである場合に、従来と同様にレーダ波と同一周波数でレーコン応答波を送信するよう構成したので、既存のレーダシステムとのインターオペラビリティを確保することができる。
【0086】
ところで、上記実施例では、レーコン20が、レーコン識別符号を変調した送信波形を生成する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、かかるレーコン識別符号の後ろに任意の情報を付加して変調した送信波形を生成することもできる。
【0087】
図9は、
図4に示した送信機24から送信される送信波形の他の例を示す図である。同図に示す信号系列は、
図4に示した信号系列に付加情報部としてアルファベットの「K」に対応する情報を付加している。このように付加情報部を付加した場合であっても、
図4の場合と同様に、ASK変調若しくはFSK変調を施すことにより送信波形を生成することができる。
【0088】
かかる場合に、レーダ送受信機10では、復調処理部17bにおいてアルファベット情報を抽出し、レーコンマーク描画部18bでは、復調処理部17bにより抽出されたアルファベットに基づいてモールス符号マークを疑似生成し、レーコン位置算出部17cで算出したレーコン位置にモールス符号マークをレーダ映像に重畳して表示することになる。上記の処理を行うことにより、レーコン応答波に任意の情報を付与してレーダ映像上に表示することができる。
【0089】
また、本実施例では、レーダ送受信機10が、レーダエコーと異なる周波数でレーコン応答波を受信して、受信したレーコン応答波からレーコンの存在位置(自レーダからの相対距離・方位)を算定するため、レーダエコーとは異なる色や形状のレーコンマークを表示することが可能となる。
【0090】
図10は、
図2に示した表示器19の表示の一例を示す図である。
図10(a)に示したPPI画面19aには、レーダエコーに基づいて陸地19b、他船舶19cを含むレーダ映像を描画し、レーコン応答波に基づいてレーコンの形状を示すレーコンマーク30を描画している。かかるレーコンマーク30を表示すれば、レーダ操作者は、レーコン識別符号がなくともレーコンの所在位置を認識することが可能となる。
【0091】
また、
図10(b)に示したPPI画面19aには、レーダエコーに基づいて陸地19b、他船舶19cを含むレーダ映像を描画し、レーコン応答波に基づいてレーコン19d及びモールス符号19eを描画している。かかるモールス符号19eは、図中に示したように中抜きの枠線で表示制御されている。このため、モールス符号の表示が他船舶の位置と重複したとしても、モールス符号の枠線内に他船舶の位置を表示することができるので、モールス符号によって他船舶の位置がマスクされてしまうという問題を解消することができる。
【0092】
なお、上記実施例では、レーダ送受信機10のレーダ種別がパルス圧縮レーダである場合に、周波数(f1−Δf)のレーコン応答波を送信する場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、レーダエコーとレーコン応答波を分離することができれば、任意の周波数のレーコン応答波を送信することができる。
【0093】
また、本実施例では、パルス圧縮レーダを対象とする場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、パルス圧縮レーダ以外の固体化レーダを用いる場合に適用することもできる。さらに、本実施例では、レーコン20が、レーダ波に含まれるレーダパルスのパルス幅及び周波数の双方又は一方を用いてレーダ送受信機10のレーダ種別を判定する場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、レーダ送受信機10が他の手段でレーダ種別をレーコン20に通知する場合に適用することもできる。
【0094】
また、本実施例では、本発明を船舶用レーダシステムに適用した場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、航空機用レーダシステム等の他のレーダシステムに適用することもできる。