(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一方の端側が閉塞され、他方の端側が開口する円筒状に形成された胴部材、並びに、胴部材の端部に設けられ、外力により弾性変形可能な円筒状の口径部、前記口径部の外面に形成された雄螺子部、前記口径部の外周面に前記雄螺子部及び前記胴部材と離間して設けられ、前記口径部の周方向に等間隔に前記雄螺子部よりも高く突出して複数形成された係合部、及び、前記係合部と離間して形成され前記口径部及び胴部材を連続する連続部を具備する口部を有する容器体と、
前記口径部を挿入可能な有底円筒状に形成され、その内周面に前記雄螺子部と螺合可能に形成された雌螺子部、及び、その内周面であって、その端部及び前記雌螺子部の間に設けられ、その周方向に等間隔に前記雌螺子部よりも低く突出して複数形成された被係合部を具備する蓋体と、
を備えることを特徴とする樹脂容器。
前記第1突起部は、前記第2突起部の、前記雄螺子部及び前記雌螺子部の螺合方向の一次側に配置され、前記第2突起部よりも低く形成されることを特徴とする請求項2に記載の樹脂容器。
前記第1突起部は、前記第2突起部の、前記雄螺子部及び前記雌螺子部の螺合方向の一次側に配置され、前記第2突起部よりも低く形成されることを特徴とする請求項4に記載の樹脂容器。
前記連続部は、前記蓋体の開口端部の内周面と所定の隙間を有して対向して配置され、前記蓋体の変形時に前記蓋体の開口端部の内周面と当接可能に、前記係合部と同一の高さ又は前記係合部より高く形成され、前記蓋体の開口端部の変形時に、前記蓋体の開口端部と当接することで、前記蓋体の変形を規制する規制部を備えることを特徴とする請求項1に記載の樹脂容器。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る樹脂容器1の構成を、
図1乃至
図11を用いて説明する。
【0016】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る樹脂容器1の構成を示す斜視図、
図2は樹脂容器1に用いられる容器体2の構成を示す側面図、
図3は容器体2の構成を示す上面図、
図4は容器体2の要部構成、具体的には
図2中IV−IV断面の構成を示す断面図、
図5は容器体2の要部構成、具体的には
図4中V−V断面の構成を示す断面図、
図6は樹脂容器1に用いられる蓋体3の構成を示す下面図、
図7は蓋体3の構成を
図6中VII−VII断面で示す断面図、
図8は蓋体3の要部構成、具体的には蓋体3の周壁部42の構成を拡大して示す断面図、
図9は蓋体3の要部構成、具体的には
図8中IX−IX断面で示す断面図、
図10は樹脂容器1の容器体2及び蓋体3の使用の一例、具体的には、容器体2及び蓋体3の固定時の構成を示す断面図、
図11は容器体2及び蓋体3の使用の一例、具体的には、容器体2及び蓋体3の固定時の構成を示す断面図である。
【0017】
図1に示すように、樹脂容器1は、有底円筒状のカップ形状に形成された容器体2と、容器体2の開口を閉塞する蓋体3と、を備えている。樹脂容器1は、内容物として液状物を容器体2内に充填(収容)し、且つ、蓋体3により容器体2を密封可能に形成されている。樹脂容器1は、当該密閉により、液状物を容器体2及び蓋体3により形成される空間に保持可能、且つ、保持した内容物を混合可能な、所謂、広口容器と呼ばれる包装容器である。ここで、内容物は特に限定されるものではなく、液体、粉体、固体、ゼリー状物等を使用可能である。
【0018】
図1乃至
図5に示すように、容器体2は、胴部材10と、底部材11と、口部12と、を備えている。容器体2は、樹脂材料、例えば、ポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、又は、スチレン系樹脂等を使用し、射出ブロー成形により胴部材10、底部材11及び口部12が一体に形成されている。
【0019】
図1及び
図2に示すように、胴部材10は、その軸心方向の口部12側が底部材11側に比べて若干大径の円筒状に形成されている。胴部材10は、一方の端部に底部材11が形成され、他方の端部が開口する口部12が形成された、有底円筒状に形成されている。
【0020】
胴部材10は、例えば、その口径が50mm〜150mmに、その肉厚が1mm〜2mmに形成されている。胴部材10は、その外周面に印加される外力により、弾性変形可能に形成されている。
【0021】
図2に破線で示すように、底部材11は、胴部材10の一方の端部に一体に形成される。底部材11は、胴部材10に連続して口部12側に向かって突出して湾曲する曲面状に形成されている。
【0022】
口部12は、胴部材10の他方の端部に一体に形成され、胴部材10の端部を開口させる。
図1乃至
図5に示すように、口部12は、胴部材10と連続して形成された円筒状の口径部21と、口径部21の外周面に設けられた雄螺子部22と、口径部21の外周面であって雄螺子部22と胴部材10との間に設けられた係合部23と、口径部21及び胴部材10を連続させる連続部24と、を備えている。口部12は、その外面に印加される外力により、弾性変形可能に形成されている。
【0023】
口径部21は、胴部材10と同軸上に形成されている。口径部21は、その内径が、胴部材10と同一又は若干小径に形成されるとともに、その外径が、胴部材10の外径と略同一径又は若干小径に形成される。また、口径部21は、その肉厚が、胴部材10の肉厚と略同一又は若干厚肉に形成されている。
【0024】
具体的には、
図1及び
図2に示すように、口径部21は、その外径が胴部材10の端部の外径よりも若干小径に形成される。また、口径部21は、その端部に胴部材10と連続する連続部24が一体に形成される。口径部21は、例えば、その口径が50mm〜150mmに、その肉厚が1mm〜2mmに形成されている。口径部21は、その外周面に印加される外力により、弾性変形可能に形成されている。
【0025】
雄螺子部22は、口径部21の外面に一体に形成されている。雄螺子部22は、多条螺子、例えば四条螺子であって、口径部21の外周面の半円周に渡って形成された4つの螺子山22aにより構成される。
【0026】
係合部23は、口径部21に2つ設けられる。具体的には、2つの係合部23は、口径部21の、雄螺子部22及び連続部24と離間の間であって、且つ、雄螺子部22の隣り合う螺子山22aの下端部の間に等間隔、換言すると、口径部21の周方向の対称位置に設けられる。また、係合部23は、雄螺子部22及び連続部24と所定の距離だけ離間して配置される。係合部23を設けた、雄螺子部22及び連続部24の間の壁面は、その外周面に印加される外力により、弾性変形可能に形成されている。
【0027】
係合部23は、口径部21から、突出して形成された突起部である。具体的には、係合部23は、所定の間隔を有して配置された第1突起部31及び第2突起部32をそれぞれ備えている。
【0028】
第1突起部31は、雄螺子部22の螺子山22aよりもその高さが高く形成されている。第1突起部31は、第2突起部32の雄螺子部22及び蓋体3の後述する雌螺子部46の螺合方向の一次側に配置されている。換言すると、雄螺子部22の先端側を一次側とし雄螺子部22の下端側を二次側とすると、第2突起部32の一次側に配置されている。
【0029】
即ち、第1突起部31は、容器体2に螺合される蓋体3の後述する被係合部48と、第2突起部32よりも先に対向し、当接可能に配置される。第1突起部31は、胴部材10の軸心方向に沿って形成された三角柱状に形成されている。
【0030】
第1突起部31は、
図5に示すように、胴部材10の軸心方向に直交する方向の断面形状が、頂部が曲面で連続する三角形状に形成されている。第1突起部31は、その一次側の側面及び二次側の側面が口径部21の接平面に対して45度好ましくは45度よりも小さい角度で傾斜して形成されている。
【0031】
第2突起部32は、雄螺子部22の螺子山22aよりもその高さが高く形成されている。また、第2突起部32は、第1突起部31よりもその高さが高く形成されている。第2突起部32は、第1突起部31の二次側に、第1突起部31と所定の間隔、具体的には、
図11に示すように、後述する被係合部48が位置可能な隙間を有して配置される。
【0032】
第2突起部32は、
図5に示すように、その一次側の側面が、口径部21の接平面に対して45度よりも大きく、且つ、被係合部48の当接する側面と略同一角度に形成された四角柱状に形成されている。また、第2突起部32は、その二次側の側面が、口径部21の接平面に対して45度よりも小さく、且つ、その上面と曲面により連続して形成されている。
【0033】
連続部24は、胴部材10よりも小径であって、且つ、口径部21よりも大径に形成された周面部35と、胴部材10及び周面部35を曲面で連続させる第1稜部36と、周面部35及び口径部21を曲面で連続する第2稜部37と、を備えている。周面部35及び第1稜部36は、蓋体3の端部と所定の隙間を有して対向可能に形成されている。
【0034】
具体的には、周面部35は、口径部21からその外周面までの高さが、口径部21から係合部23、さらに言えば第2突起部32の先端までの高さと同一の高さ、又は、第2突起部32よりも高く形成されている。周面部35は、蓋体3が容器体2に固定される際に、蓋体3の端部、具体的には後述する薄肉部47と対向可能に形成されている。周面部35は、蓋体3の端部の弾性変形時に、蓋体3、さらに言えば薄肉部47と当接することで、蓋体3の変形を規制する規制部である。
【0035】
なお、このような容器体2は、射出ブロー成形又はダイレクトブロー成形により形成される。射出ブロー成形では、先ず、容器体2は、連続部24よりも上方の口部12が形成された有底パリソンが射出成形により形成される。容器体2は、有底パリソン形成後、胴部材10、底部材11及び口部12の連続部24が、胴部材10の軸心方向に沿って分割面が形成され、当該軸心方向に直交する方向に分割可能な金型を用いてブロー成形により形成される。ダイレクトブロー成形では、容器体2は、胴部材10の軸心方向に直行する方向に分割可能な金型を用いて形成される。なお、射出ブロー成形又はダイレクトブロー成形で、金型は、金型の分割方向、さらに言えば、胴部材10の軸心を通る金型の分割方向上に係合部23が位置するように、その内面形状が形成される。
【0036】
図1、及び、
図6乃至
図9に示すように、蓋体3は、口径部21の高さと略同一高さに形成された有底円筒状に形成されている。具体的には、蓋体3は、円盤状の天部41と、天部41から延設された円筒状の周壁部42と、を備えている。
【0037】
天部41は、その内面、換言すると、口径部21と対向する面に、口径部21の端部と当接するシール部44を備えている。シール部44は、例えば、天部41の内面から円環状(円筒状)に突出する突出部であって、弾性変形可能に形成されている。
【0038】
シール部44は、その先端面及び外周面の稜部に、その軸心方向に対して45度よりも小さい傾斜角度で傾斜する面取部44aが形成されている。なお、面取部44aは、口径部21の内周面が、シール部44の外周側に位置するように、口径部21の移動を案内する案内部である。
【0039】
周壁部42は、天部41と連続する稜部に口径部21の端面と当接可能に形成された当接部45と、その内周面に形成された雌螺子部46と、その内周面であって、雌螺子部46とその先端との間に設けられた薄肉部47と、薄肉部47に設けられた被係合部48と、を備えている。周壁部42は、例えば、その肉厚が1mm〜2mmに形成されている。なお、周壁部42の肉厚は、口径部21の肉厚よりも若干厚く形成されている。
【0040】
当接部45は、天部41及び周壁部42の稜部に設けられ、天部41から円環状に突出して形成されている。当接部45は、雄螺子部22及び雌螺子部46が螺合したときに、口径部21の端面と当接可能に形成されている。当接部45は、当該当接により、口径部21と当接することで、容器体2及び蓋体3の移動を規制可能に形成されている。
【0041】
雌螺子部46は、雄螺子部22と螺合可能に形成されている。雌螺子部46は、多条螺子、例えば、四条螺子であって、周壁部42の内周面の半円周に渡って形成された4つの螺子山46aにより構成される。
【0042】
薄肉部47は、周壁部42の下端部、具体的には、周壁部42の螺子山46aの二次側の端部(下端部)よりも先端側の内径が大径に形成されることで形成されている。薄肉部47は、蓋体3が容器体2に螺合した際に、係合部23、係合部23から胴部材10側の口径部21、第2稜部37、及び、周面部35と対向可能に形成されている。薄肉部47は、その内径が、周面部35の外径よりも0.1mm〜1mm程度に大径に形成されている。即ち、薄肉部47は、容器体2に蓋体3を螺合時及び固定時に、周面部35と、0.05mm〜0.5mm程度の隙間を介して対向する。
【0043】
被係合部48は、薄肉部47の内周面から突出して4つ形成されている。具体的には、被係合部48は、薄肉部47内周面の螺子山46aの下端側に隣接する部位に突出して設けられる。被係合部48は、雌螺子部46の隣り合う螺子山46aの下端部間にそれぞれ等間隔、換言すると、周壁部42の周方向の対称位置に4つ設けられる。
【0044】
被係合部48は、薄肉部47の内周面から周壁部42の内周面と面位置まで突出して形成されている。被係合部48は、例えば、その側面が、第2突起部32の一次側の側面と略同一角度に形成されるとともに、周壁部42の軸心方向に沿って形成された台形柱状に形成されている。
【0045】
なお、このような蓋体3は、射出成形により、周壁部42の軸心方向に沿って分割してなる金型により形成される。
【0046】
このように構成された樹脂容器1は、容器体2の口部12に蓋体3の周壁部42の内周面を対向させるとともに、蓋体3を回転させ、雄螺子部22及び雌螺子部46を螺合させて、係合部23及び被係合部48を係合させることで、容器体2に蓋体3を固定する。これにより、樹脂容器1は、その内部空間が密閉される。
【0047】
具体的に説明すると、先ず、容器体2の口部12を蓋体3の周壁部42の開口に挿入する。これにより、容器体2の口部12の一部が蓋体3内に挿入され、雄螺子部22の螺子山22aの上端側と雌螺子部46の螺子山46aの下端側が当接する。
【0048】
この状態で、蓋体3を螺合方向に回転させると、雄螺子部22及び雌螺子部46が螺合する。継続して蓋体3を螺合方向に回転させると、蓋体3の被係合部48の一次側の側面が、容器体2の係合部23の第1突起部31の一次側の側面と当接し、蓋体3の移動が規制される。
【0049】
この状態で、さらに蓋体3を螺合方向に回転させると、当該回転方向の力により被係合部48の一次側の側面及び第1突起部31の一次側の側面が互いに押圧する。このとき、容器体2及び蓋体3は、2箇所の係合部23及び被係合部48にて互いに押圧することから、容器体2は、胴部材10の軸心を中心に、口部12口径部21が対称形状の略楕円形状となるように押圧方向に弾性変形する。
【0050】
具体的には、
図11に二点鎖線で示すように、口径部21の接平面に対して傾斜する第1突起部31の側面が被係合部48により押圧されることで、回転方向の力は、その一部が口径部21の軸心に向かう力に分散される。この分散された口径部21の軸心に向かう方向の力により、口部12は、口径部21の開口形状が、係合部23から軸心までの距離が短い略楕円形状に弾性変形する。
【0051】
なお、蓋体3は、第1突起部31の側面及び被係合部48の側面の押圧により、口径部21と同様に、薄肉部47を含む周壁部42が楕円形状に若干弾性変形する。しかし、蓋体3は、当該変形時に、薄肉部47の内周面が周面部35に当接し、周壁部42の変形量が規制される。これにより、蓋体3は、その周壁部42の開口形状が、円形状を維持した状態で回転することとなる。
【0052】
これにより、被係合部48は、第1突起部31を過度に押圧することなく、第1突起部31の一次側の側面に沿って移動し、第1突起部31及び第2突起部32間に位置することで、被係合部48が係合部23に係合することとなる。即ち、被係合部48は、蓋体3の螺合及び螺脱方向への回転時に、第1突起部31の二次側の側面又は第2突起部32の一次側の側面と当接することで、係合部23と係合する。
【0053】
また、
図10に示すように、口径部21の先端部が、シール部44と周壁部42との間に、シール部44及び当接部45に当接して位置することで、蓋体3は、容器体2に固定されるとともに、容器体2を密閉する。
【0054】
なお、蓋体3が容器体2を密閉した状態で、蓋体3を螺合する方向にさらに回転させると、口径部21の先端面が当接部45と当接するとともに、被係合部48が第2突起部32の一次側の側面と当接することから、蓋体3の移動が規制される。
【0055】
次に、蓋体3を容器体2から取り外す場合には、蓋体3を螺脱方向に回転させる。この回転による回転方向の力により、蓋体3の被係合部48の二次側の側面が係合部23の第1突起部31の二次側の側面を押圧する。具体的には、回転方向の力は、口径部21の接平面に対して傾斜する第1突起部31の側面及び被係合部48の側面の押圧により、口径部21の軸心に向かう力に分散される。
【0056】
これにより、被係合部48は、第1突起部31を過度に押圧することなく、第1突起部31の二次側の側面に沿って移動し、第1突起部31を乗り越えて第1突起部31の一次側に移動し、係合部23及び被係合部48の係合が解除される。さらに蓋体3を螺脱方向に回転させることで、雄螺子部22及び雌螺子部46が螺脱し、蓋体3が容器体2から取外し可能となる。
【0057】
このように構成された樹脂容器1によれば、容器体2及び蓋体3は、螺合時及び螺脱時において、係合部23の第1突起部31及び被係合部48が当接した状態で、さらに蓋体3を回転させることで、容器体2が弾性変形し、係合部23及び被係合部48が係合又は係合部23及び被係合部48の係合が解除する。これにより、樹脂容器1は、係合部23及び被係合部48が塑性変形や損傷することがなく、係合部23及び被係合部48の係合を繰り返し行うことが可能となり、蓋体3を容器体2に繰り返し固定することが可能となる。
【0058】
係合部23は、雄螺子部22及び連続部24間の口径部21に、雄螺子部22及び連続部24と離間して配置される。即ち、係合部23は、口径部21の雄螺子部22及び連続部24により強度が向上されていない部位に配置されることから、被係合部48により係合部23が押圧された際に、当該押圧力により、口径部21が容易に弾性変形することとなる。
【0059】
また、係合部23は、第1突起部31の側面を、45度以下とすることで、蓋体3の回転力を口径部21の軸心へ向かう力に好適に分散させることが可能、且つ、被係合部48の乗り越えが容易となる。
【0060】
さらに、係合部23は、第1突起部31の高さを、第2突起部32よりも低くすることで、蓋体3の回転により被係合部48が第1突起部31を乗り上げるのに必要な、口径部21の変形量を小さくすることが可能となる。このため、被係合部48が第1突起部31を乗り上げ可能な変形量となる、第1突起部31に被係合部48で印加される押圧力を低減することが可能となる。
【0061】
これらのことから、口径部21が容易に弾性変形可能となるとともに、係合部23及び被係合部48の係合に高いトルクを必要とせず、このため、係合部23及び被係合部48の塑性変形を極力防止することが可能となる。
【0062】
蓋体3は、係合部23を被係合部48により押圧する際に、口径部21よりも周壁部42の厚さを厚くすることで、口径部21よりも弾性変形の変形量を低減することが可能となる。また、蓋体3は、薄肉部47を周面部35と所定の隙間、例えば0.05mm〜0.5mmの隙間を持たせて対向させて薄肉部47を周面部35に当接可能とすることで、周壁部42の端部が弾性変形しても、変形量が極小な状態で、薄肉部47が周面部35と当接する。
【0063】
これらのことから、蓋体3は、被係合部48が係合部23を押圧することによる周壁部42の端部の変形を極力防止することが可能となる。これにより、蓋体3は、被係合部48の位置が略変位することがない。このため、樹脂容器1は、係合部23及び被係合部48の係合時に、実質的には容器体2のみが弾性変形し、係合部23の位置が変位するため、複数の係合部23及び被係合部48を同時に確実に係合させることが可能となる。
【0064】
また、樹脂容器1は、係合部23及び被係合部48を、ブロー成形でなく射出成形により形成することで、係合部23及び被係合部48の寸法精度が向上する。
【0065】
上述したように本発明の実施形態に係る樹脂容器1によれば、係合部23及び被係合部48の係合時に、口径部21を弾性変形させることで、係合部23及び被係合部48の変形を防止し、蓋体3を容器体2に繰り返し固定することが可能となる。
【0066】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る樹脂容器1Aの構成を、
図12乃至
図17を用いて説明する。
図12は、本発明の第2の実施形態に係る樹脂容器1Aに用いられる容器体2Aの構成を示す側面図、
図13は容器体2Aの要部構成、具体的には
図12中XIII−XIII断面の構成を示す断面図、
図14は容器体2Aの要部構成、具体的には
図13中XIV−XIV断面の構成を示す断面図、
図15は樹脂容器1Aに用いられる蓋体3Aの構成を示す断面図、
図16は蓋体3Aの要部構成、具体的には蓋体3Aの周壁部42Aの構成を拡大して示す断面図、
図17は蓋体3Aの要部構成、具体的には
図16中XVII−XVII断面の構成を示す断面図、である。なお、第2の実施形態に係る樹脂容器1Aの構成のうち、上述した第1の実施形態に係る樹脂容器1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0067】
図12乃至
図17に示すように、樹脂容器1Aは、有底円筒状のカップ形状に形成された容器体2Aと、容器体2Aの開口を閉塞する蓋体3Aと、を備えている。樹脂容器1Aは、内容物として液状物を容器体2A内に充填(収容)し、且つ、蓋体3Aにより容器体2Aを密封可能に形成されている。樹脂容器1Aは、当該密閉により、液状物を容器体2A及び蓋体3Aにより形成される空間に保持可能、且つ、保持した液状物を混合可能な、所謂シェイカーと呼ばれる包装容器である。
【0068】
図12乃至
図14に示すように、容器体2Aは、胴部材10と、底部材11と、口部12Aと、を備えている。容器体2Aは、樹脂材料、例えば、ポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、又は、スチレン系樹脂等により、インモールド成形等の射出成形により胴部材10、底部材11及び口部12Aが一体に形成されている。
【0069】
図12に示すように、口部12Aは、胴部材10の他方の端部側に一体に形成され、胴部材10の端部を開口させる。口部12Aは、胴部材10とその内径及び外径が略同一径であって、且つ、その肉厚が胴部材10の肉厚と略同一に形成されている。口径部21は、その外面に印加される外力により、弾性変形可能に形成されている。
【0070】
図12乃至
図14に示すように、口部12Aは、口径部21と、雄螺子部22と、口径部21の外周面であって雄螺子部22と胴部材10との間に設けられた係合部23Aと、を備えている。
【0071】
係合部23Aは、口径部21に4つ設けられる。具体的には、係合部23Aは、口径部21の、雄螺子部22及び連続部24の間であって、且つ、雄螺子部22の隣り合う螺子山22aの下端部の間に突出して設けられる単体の突起部である。係合部23Aは、等間隔、換言すると、口径部21の周方向の対称位置に4つ設けられ、雄螺子部22の螺子山22aよりもその高さが高く形成されている。
【0072】
係合部23Aは、胴部材10の軸心方向に直交する方向の断面形状が、台形状に形成されている。
図14に示すように、係合部23Aは、その一次側の側面が、口径部21の接平面に対して45度よりも大きい角度、好ましくは略90度の傾斜角度で形成されている。また、係合部23Aは、その二次側の側面が、口径部21の接平面に対して45度、好ましくは45度よりも小さい角度で傾斜して形成されている。
【0073】
なお、このような容器体2Aは、射出ブロー成形又はダイレクトブロー成形により形成される。射出ブロー成形では、容器体2Aは、先ず、射出成形により、連続部24よりも上方の口部12Aが形成された有底パリソンが形成される。容器体2Aは、有底パリソン形成後、口部12Aの連続部24、胴部材10及び底部材11が、胴部材10の軸心方向に沿った分割面を有する分割可能な金型を用いてブロー成形により形成される。ダイレクトブロー成形では、容器体2Aは、胴部材10の軸心方向に沿った分割面を有する分割可能な金型を用いて形成される。なお、射出ブロー成形又はダイレクトブロー成形で分割された金型は、それぞれ、一つの係合部23A、及び、対称位置にある係合部23Aの一部を一対形成可能に形成されている。
【0074】
図15乃至
図17に示すように、蓋体3Aは、口径部21の高さと略同一高さに形成された有底円筒状に形成されている。具体的には、蓋体3Aは、天部41と、天部41から延設された円筒状の周壁部42Aと、を備えている。
【0075】
周壁部42Aは、当接部45と、雌螺子部46と、薄肉部47と、薄肉部47に設けられた被係合部48Aと、を備えている。周壁部42Aは、例えば、その肉厚が1mm〜2mmに形成されている。なお、周壁部42Aの肉厚は、口径部21Aの肉厚よりも若干厚く形成されている。
【0076】
被係合部48Aは、薄肉部47の内周面から突出して4つ形成されている。具体的には、被係合部48Aは、薄肉部47の内周面の螺子山46aの下端側に隣接する部位に突出して設けられ、雌螺子部46の隣り合う螺子山46aの下端部間にそれぞれ等間隔、換言すると、周壁部42の周方向の対称位置に4つ設けられる。被係合部48Aは、所定の間隔を有して配置された第1突起部51及び第2突起部52をそれぞれ備えている。
【0077】
第1突起部51は、第2突起部52及び雌螺子部46の螺子山46aよりもその高さが低く形成されている。第1突起部51は、第2突起部52の、雄螺子部22及び雌螺子部46の螺合方向の一次側に配置される。
【0078】
第1突起部51は、
図16及び
図17に示すように、周壁部42Aの軸心方向と直交する方向の断面が半楕円形状であって、周壁部42Aの軸心方向に沿って形成された半楕円柱状に形成されている。第1突起部51は、その接平面が口径部21の接平面に対して45度よりも小さい角度で傾斜して形成されている。
【0079】
第2突起部52は、第1突起部51の二次側に、第1突起部51と所定の間隔、具体的には、係合部23Aの先端側の一部が位置可能な隙間を有して配置される。第2突起部52は、雌螺子部46の螺子山46aよりもその高さが低く形成されている。さらに言えば、第2突起部52は、周壁部42Aの内周面と面一に形成されている。
【0080】
第2突起部52は、その側面が、周壁部42Aの内周面の接平面に対して45度より大きく、例えば略90度に形成された四角柱状に形成されている。第2突起部52の側面は、好ましくは、係合部23Aの一次側の側面と略同一角度に形成されている。
【0081】
なお、このような蓋体3Aは、射出成形により、周壁部42Aの軸心方向に分割してなる金型により形成される。
【0082】
このように構成された樹脂容器1Aによれば、上述した樹脂容器1と同等の効果を有する。具体的には、容器体2A及び蓋体3Aは、係合部23A及び被係合部48Aの第1突起部51が当接した状態で、さらに蓋体3Aを回転させることで、容器体2Aの口径部21が弾性変形する。なお、ここで、係合部23A及び第1突起部51が4箇所で当接し、第1突起部51により係合部23Aがそれぞれ押圧されることから、口径部21は、その外周面であって、係合部23Aが形成された位置で、その軸心に向かって窪むように弾性変形する。
【0083】
この口径部21の弾性変形により、第1突起部51が係合部23Aを乗り上げて係合部23A及び被係合部48Aが係合する。これにより、樹脂容器1Aは、上述した樹脂容器1と同様に、係合部23A及び被係合部48Aが変形、即ち、塑性変形や損傷することがなく、係合部23A及び被係合部48Aの係合を繰り返し行うことが可能となる。
【0084】
係合部23Aは、雄螺子部22及び連続部24間の口径部21に、雄螺子部22及び連続部24と離間して配置される。即ち、係合部23Aは、口径部21の雄螺子部22及び連続部24により強度が向上されていない部位に配置されることから、被係合部48Aにより係合部23Aが押圧された際に、当該押圧力により、口径部21が容易に弾性変形することとなる。
【0085】
また、被係合部48Aが第1突起部51を、その接平面が周壁部42Aの接平面に対して45度より小さい角度の円弧形状とすることで、蓋体3Aにより係合部23Aに印加される回転力を、係合部23Aから口径部21の軸心へ向かう力に分散可能となる。また、被係合部48Aの形状により、被係合部48Aは、係合部23Aの乗り越えが容易となる。
【0086】
これらのことから、口径部21が容易に弾性変形可能となるとともに、係合部23A及び被係合部48Aの係合に高いトルクを必要とせず、係合部23A及び被係合部48Aの塑性変形を極力防止することが可能となる。
【0087】
また、係合部23A及び被係合部48Aは、射出成形により形成することで、係合部23A及び被係合部48Aの寸法精度が向上する。
【0088】
上述したように本発明の実施形態に係る樹脂容器1Aによれば、上述した樹脂容器1と同様に、係合部23A及び被係合部48Aの係合時に、口径部21を弾性変形させることで、蓋体3Aを容器体2Aに繰り返し固定することが可能となる。
【0089】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る樹脂容器1Bの構成を、
図18を用いて説明する。
図18は本発明の第3の実施形態に係る樹脂容器1Bの構成を示す断面図である。なお、第3の実施形態に係る樹脂容器1Bの構成のうち、上述した第1の実施形態に係る樹脂容器1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0090】
図18に示すように、樹脂容器1Bは、有底円筒状のカップ形状に形成された容器体2Bと、容器体2Bの開口を閉塞する蓋体3と、を備えている。樹脂容器1Bは、内容物として液状物を容器体2B内に充填し、且つ、蓋体3により容器体2Bを密封することで、液状物を保持可能、且つ、混合可能な、所謂広口容器と呼ばれる包装容器である。
【0091】
図18に示すように、容器体2Bは、胴部材10と、底部材11と、口部12Bと、を備えている。
【0092】
口部12Bは、胴部材10の他方の端部側に一体に形成され、胴部材10(容器体2B)の端部を開口させる。口部12Bは、胴部材10とその内径及び外径が略同一径であって、且つ、その肉厚が胴部材10の肉厚と略同一に形成されている。口部12Bは、例えば、その口径が50mm〜150mmに、その肉厚が1mm〜2mmに形成されている。
【0093】
口部12Bは、口径部21と、雄螺子部22と、係合部23と、口径部21及び胴部材10を連続させる連続部24Bと、を備えている。
【0094】
連続部24Bは、周面部35と、第1稜部36と、周面部35及び口径部21を曲面で連続するとともに、その外面が円環状に突出する第2稜部37Bと、を備えている。
【0095】
第2稜部37Bは、蓋体3が容器体2に固定される際に、その外周面が薄肉部47と、0.05mm〜0.5mm程度の隙間を有して対向する。第2稜部37Bは、周壁部42の変形時に、薄肉部47の内周面と当接することで、周壁部42の変形を規制する規制部である。第2稜部37Bは、口径部21からその外周面までの高さが、口径部21から係合部23(第2突起部32)の先端までの高さと同一の高さ、又は、第2突起部32よりも高く形成されている。
【0096】
なお、このような容器体2Bは、射出ブロー成形により形成される。容器体2Bは、先ず、射出成形により、連続部24Bを含む口部12Bが形成された有底パリソンが形成される。容器体2Bは、有底パリソン形成後、胴部材10及び底部材11が、胴部材10の軸心方向に分割される一対の金型を用いてブロー成形により形成される。
【0097】
なお、有底パリソンの形成時において、口部12Bの連続部24Bは、少なくとも第2稜部37Bが形成されていればよく、例えば、周面部35及び第1稜部36は、ブロー成形時に有底パリソンから形成する構成であってもよい。
【0098】
このように構成された樹脂容器1Bは、上述した樹脂容器1と同様の効果を有するとともに、蓋体3を容器体2Bに螺合する際に、第2稜部37Bにより、蓋体3の周壁部42の変形を防止することが可能となる。
【0099】
上述したように本発明の第3の実施形態に係る樹脂容器1Bによれば、上述した樹脂容器1と同様に、蓋体3を容器体2Bに繰り返し固定することが可能となる。
【0100】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。上述した例では、樹脂容器1、1Bは、容器体2に係合部23が周方向に等間隔に2つ、蓋体3に被係合部48が周方向に等間隔に4つ設けられる構成を、樹脂容器1Aは、係合部23A及び被係合部48が、周方向に等間隔に4つ形成される構成を説明したが、これに限定されない。
【0101】
例えば、樹脂容器1、1Bに設けられる係合部23及び被係合部48は、それぞれ、周方向に等間隔に4つであってもよく、周方向に等間隔に2つであってもよい。また、例えば、樹脂容器1Aの係合部23Aは、周方向に等間隔に2つ設ける構成であってもよく、係合部23A及び被係合部48Aがそれぞれ2つ設けられる構成であってもよい。
【0102】
但し、樹脂容器1、1Bに係合部23を4つ設ける構成とすると、分割した金型の抜き方向に、金型の内面と第1突起部31及び第2突起部32のいずれかの外面とが干渉するため、金型の抜き工程において係合部23を損傷させる虞がある。このため、第1突起部31及び第2突起部32を有する係合部23は、樹脂容器1、1Bに2つ設ける構成、又は、金型を抜く際に、係合部23と金型が極力干渉しない構成とすることが望ましい。
【0103】
また、上述した係合部23,23A及び被係合部48,48Aは、少なくとも一方が、第1突起部31,51、及び第2突起部32,52を有する構成を有する構成を説明したがこれに限定されない。例えば、係合部及び被係合部ともに、一つの突起部により構成されていてもよい。このような構成とすることで、係合部及び被係合部の係合後、さらに蓋体3を螺合方向に回転させた際に、蓋体3の回転は、口径部21の先端及び当接部45の当接により規制されることになる。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 一方の端側が閉塞され、他方の端側が開口する円筒状に形成された胴部材、並びに、胴部材の端部に設けられ、外力により弾性変形可能な円筒状の口径部、前記口径部の外面に形成された雄螺子部、前記口径部の外周面に前記雄螺子部及び前記胴部材と離間して設けられ、前記口径部の周方向に等間隔に前記雄螺子部よりも高く突出して複数形成された係合部、及び、前記係合部と離間して形成され前記口径部及び胴部材を連続する連続部を具備する口部を有する容器体と、
前記口径部を挿入可能な有底円筒状に形成され、その内周面に前記雄螺子部と螺合可能に形成された雌螺子部、及び、その内周面であって、その端部及び前記雌螺子部の間に設けられ、その周方向に等間隔に前記雌螺子部よりも低く突出して複数形成された被係合部を具備する蓋体と、
を備えることを特徴とする樹脂容器。
[2] 前記係合部は、前記被係合部が位置可能な間隔を有して配置された第1突起部及び第2突起部を具備することを特徴とする[1]に記載の樹脂容器。
[3] 前記第1突起部は、前記第2突起部の、前記雄螺子部及び前記雌螺子部の螺合方向の一次側に配置され、前記第2突起部よりも低く形成されることを特徴とする[2]に記載の樹脂容器。
[4] 前記被係合部は、前記係合部が位置可能な間隔を有して配置された第1突起部及び第2突起部を具備することを特徴とする[1]に記載の樹脂容器。
[5] 前記第1突起部は、前記第2突起部の、前記雄螺子部及び前記雌螺子部の螺合方向の一次側に配置され、前記第2突起部よりも低く形成されることを特徴とする[4]に記載の樹脂容器。
[6] 前記連続部は、前記蓋体の開口端部の内周面と所定の隙間を有して対向して配置され、前記蓋体の変形時に前記蓋体の開口端部の内周面と当接可能に、前記係合部と同一の高さ又は前記係合部より高く形成され、前記蓋体の開口端部の変形時に、前記蓋体の開口端部と当接することで、前記蓋体の変形を規制する規制部を備えることを特徴とする[1]に記載の樹脂容器。
[7] 前記容器体は、前記口径部、前記雄螺子部、及び、前記係合部が射出成形又はダイレクトブロー成形により形成されることを特徴とする[1]乃至[6]に記載の樹脂容器。
[8] 前記容器体は、さらに前記連続部が前記射出成形により形成されることを特徴とする[7]に記載の樹脂容器。