特許第6014352号(P6014352)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6014352
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】超音波システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/12 20060101AFI20161011BHJP
【FI】
   A61B8/12
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-97708(P2012-97708)
(22)【出願日】2012年4月23日
(65)【公開番号】特開2013-223648(P2013-223648A)
(43)【公開日】2013年10月31日
【審査請求日】2015年3月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 正尚
(72)【発明者】
【氏名】三竹 毅
(72)【発明者】
【氏名】大坂 卓司
【審査官】 門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0009748(US,A1)
【文献】 特開2005−118553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 − 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に対して超音波を送受信する複数の振動子を有し、スキャン面を形成する体内挿入型の超音波探触子と、
前記超音波探触子に取り付けられ、前記スキャン面の座標情報を取得するための位置センサと、
受信された超音波に基づいて前記スキャン面を表す断層画像を生成する断層画像生成部と、
前記断層画像を表示する画像表示部と
を備え
前記被検体に穿刺針を挿入するための針挿入孔を有したグリッドテンプレートが前記被検体の治療部位に合わせて設置されている場合において前記被検体を超音波診断するための超音波診断システムであって、
前記グリッドテンプレートの位置に基づいて生成される三次元テンプレートデータであって前記超音波探触子の挿入方向に沿った方向に積み重ねられた複数枚の二次元テンプレートからなる三次元テンプレートデータを生成する三次元テンプレートデータ生成部と、
前記スキャン面の座標情報に基づいて前記三次元テンプレートデータ生成部で生成された前記三次元テンプレートデータから前記スキャン面に該当するテンプレートデータを切り出してテンプレート画像を生成するテンプレート画像生成部と
を備え、
前記画像表示部において前記断層画像上に前記テンプレート画像が重畳表示され、
前記グリッドテンプレートに対して前記スキャン面が平行である場合には前記三次元テンプレートデータから前記テンプレートデータとして前記複数の二次元テンプレートの内のいずれかが切り出され、
前記グリッドテンプレートに対して前記スキャン面が傾いている場合には、前記三次元テンプレートデータから前記テンプレートデータとして傾いたテンプレートデータが切り出される、
ことを特徴とする超音波システム。
【請求項2】
前記各二次元テンプレートには、マトリックス状のグリッドと、行方向に並んだ複数のラベルと、列方向に並んだ複数のラベルと、が含まれ、
前記各ラベルには積み重ね方向のアドレスが含まれる、
ことを特徴とする請求項1記載の超音波システム。
【請求項3】
前記断層画像生成部で生成された前記断層画像に前記テンプレート画像生成部で生成された前記テンプレート画像を重畳する画像処理部を備えることを特徴とする請求項1記載の超音波システム。
【請求項4】
前記被検体のボリュームデータを記憶するボリュームデータ記憶部と、
前記スキャン面の座標情報に基づいて前記ボリュームデータから前記スキャン面に対応した面データを切り出してリファレンス画像を生成するリファレンス画像生成部と、
前記リファレンス画像生成部で生成された前記リファレンス画像に前記テンプレート画像生成部で生成された前記テンプレート画像を重畳する画像処理部と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の超音波システム。
【請求項5】
前記テンプレート画像は、操作部で指定されたアドレスに付与されたマークを含む、
ことを特徴とする請求項1記載の超音波システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波システムに係り、前立腺に対しての針生検、若しくは前立腺がん密封小線源永久治療法(Brachy therapy治療)を実施する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
前立腺がんが疑われる場合、被検体内に超音波探触子を挿入し、当該超音波に基づく断層画像によって前立腺針生検を実施する。
【0003】
前立腺針生検には、被検体の直腸内より穿刺を行う経直腸的前立腺針生検と、被検体の会陰部(陰嚢と肛門の間)より穿刺を行う経会陰的前立腺針生検があり、経会陰的前立腺針生検には、会陰部にグリッドテンプレートを置き、グリッドテンプレートに刻まれたグリッドをガイドとし、経会陰的針生検を実施する場合もある。
【0004】
また、前立腺がんと確定した後の治療方法の1つとして、前立腺がん密封小線源永久治療法(Brachy therapy治療)と呼ばれる治療法がある。この治療法は少量の放射線源を穿刺針の中に入れ、グリッドテンプレートに刻まれたグリッドをガイドとし、前立腺がん周辺部に少量の放射線源を留置する治療方法である。
【0005】
なお、前立腺がん密封小線源永久治療法に関する先行技術については例えば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006-320590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
針生検や前立腺がん密封小線源永久治療法(以下、小線源治療とする)を行う場合、術者は体腔内の構造や臓器の位置を想像する。そして、術者は、体腔内の構造や臓器の位置を立体的に想像した上で、患部に対し、どのような位置若しくは角度で超音波探触子を接触させるか検討し、穿刺経路を決定する。画像表示部上に表示される穿刺経路、若しくは小線源治療用グリッドを観察しながら、穿刺を行う。画像表示部上に表示される穿刺経路及び小線源治療用グリッドは二次元的な表示であり、術者の思い通りの穿刺経路もしくは、留置部分に穿刺するまでには熟練を要する。
【0008】
発明は、針生検や小線源治療より正確に安全に実施することができる超音波システムを提供することを目的とする。あるいは、グリッドテンプレートに対するスキャン面の傾き等を認識できる超音波システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、断層画像のスキャン面に該当するグリッドを含むテンプレート画像を表示する。より詳しくは、本発明は、被検体に対して超音波を送受信する複数の振動子を有し、スキャン面を形成する体内挿入型の超音波探触子と、前記超音波探触子に取り付けられ、前記スキャン面の座標情報を取得するための位置センサと、受信された超音波に基づいて前記スキャン面を表す断層画像を生成する断層画像生成部と、前記断層画像を表示する画像表示部と、を備え、前記被検体に穿刺針を挿入するための針挿入孔を有したグリッドテンプレートが前記被検体の治療部位に合わせて設置されている場合において前記被検体を超音波診断するための超音波診断システムであって、前記グリッドテンプレートの位置に基づいて生成される三次元テンプレートデータであって前記超音波探触子の挿入方向に沿った方向に積み重ねられた複数枚の二次元テンプレートからなる三次元テンプレートデータを生成する三次元テンプレートデータ生成部と、前記スキャン面の座標情報に基づいて、前記三次元テンプレートデータ生成部で生成された前記三次元テンプレートデータから前記スキャン面に該当するテンプレートデータを切り出してテンプレート画像を生成するテンプレート画像生成部と、を備え、前記画像表示部において前記断層画像上に前記テンプレート画像が重畳表示され、前記グリッドテンプレートに対して前記スキャン面が平行である場合には前記三次元テンプレートデータから前記テンプレートデータとして前記複数の二次元テンプレートの内のいずれかが切り出され、前記グリッドテンプレートに対して前記スキャン面が傾いている場合には、前記三次元テンプレートデータから前記テンプレートデータとして傾いたテンプレートデータが切り出される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、グリッドテンプレートに対するスキャン面の傾き等を認識でき、針生検や小線源治療より正確に安全に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の超音波システムの全体構成を示す図。
図2】本発明の超音波システムに用いる体内挿入型の超音波探触子の概略構成を示す図。
図3】本発明の超音波システムの三次元テンプレートデータ生成部の説明図。
図4】本発明の超音波システムの画像表示部の1表示形態を示す図。
図5】本発明のテンプレート画像の表示形態を操作する操作例を示す図。
図6】本発明の超音波システムの画像表示部の1表示形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の超音波システムについて、図を用いて説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の超音波システムの全体構成を示す図である。超音波システムは、断層画像を生成する系統と、リファレンス画像を生成する系統と、ボディマークを生成する系統と、テンプレート画像を生成する系統に分けられる。それぞれの系統に関する処理を行う構成要素は、超音波システムの本体10に有している。
【0014】
超音波システムは、被検体に対して超音波を送受信する超音波探触子20と、受信された超音波に基づいて断層画像を生成する断層画像生成部22と、断層画像などの画像を画像表示部26に表示するために画像処理を行う画像処理部24と、断層画像などの画像を表示する画像表示部26とを備えている。断層画像生成部22は、リアルタイムに超音波探触子20で取得される超音波に基づいて断層画像を生成してもよいし、過去に取得されたボリュームデータから断層画像を生成してもよい。
【0015】
また、超音波システムは、位置及び傾きを検出する位置センサ30と、位置センサ30の位置及び傾きを検出するために三次元空間に磁気信号を発生するソース32と、超音波の断層画像と同じスキャン面の位置及び傾きのスキャン面座標を算出するスキャン面算出部34と、画像診断装置40で構成されたボリュームデータを記憶するボリュームデータ記憶部42と、ボリュームデータ記憶部42に記憶されているボリュームデータから、超音波の断層画像と同じスキャン面の位置及び傾きのリファレンス画像を生成するリファレンス画像生成部36と、スキャン面の位置及び傾きを特定することができるボディマークを生成するボディマーク生成部44と、穿刺針を被検体に挿入する針挿入孔を有したグリッドテンプレートに基づく二次元テンプレートを複数枚積み重ねることにより、三次元テンプレートデータを生成する三次元テンプレートデータ生成部46と、三次元テンプレートデータ生成部46で生成された三次元テンプレートデータから、断層画像と同じスキャン面の位置及び傾きのテンプレート画像を生成するテンプレート画像生成部48と、各構成要素を操作する操作部50とを備えている。
【0016】
図2は、本発明の超音波システムに用いる体内挿入型の超音波探触子20の概略構成を示す図である。超音波探触子20は、被検体との間で超音波を送受信するものであり、超音波を発生すると共に反射エコーを受信する複数の振動子を有している。
【0017】
図2(a)に示すように、超音波探触子20には、周方向に沿って振動子16が配置される。周方向に沿って振動子16によって、いわゆる、コンベックス画像と呼ばれる断層画像を断層画像生成部22で生成することができる。この断層画像のスキャン面12が図示されている。
【0018】
また、図2(b)に示すように、超音波探触子20には、振動子16の周方向に対して直交する超音波探触子の長手方向に沿って振動子18が配置される。超音波探触子の長手方向に沿って振動子18によって、いわゆる、リニア画像と呼ばれる断層画像を断層画像生成部22で生成することができる。この断層画像のスキャン面14が図示されている。
【0019】
なお、図2(a)と図2(b)に示すスキャン面12、14を、適宜、切り替えながら超音波探触子20を使用することができる。
【0020】
位置センサ30は、超音波探触子20に取り付けられており、超音波探触子20の三次元的な位置及び傾きを検出する。また、被検体が横臥するベッドの近くに、被検体を含む座標系のソース32が設置されている。超音波探触子20の三次元的な位置及び傾きの検出原理は、ソース32から三次元空間に発生される磁気信号を位置センサ30により検知し、ソース32が形成する基準座標系における三次元的な位置及び傾きを検出する。なお、位置センサ30とソース32とからなる位置センサシステムは、磁石式に限らず、例えば光を利用したシステムなど、公知の位置センサシステムを用いることができる。
【0021】
スキャン面算出部34は、位置センサ30とソース32の出力信号に基づいて、基準座標系における超音波探触子20の位置及び傾きを求め、被検体に対するスキャン面に該当する位置及び傾きからなるスキャン面座標を算出する。
【0022】
ボリュームデータは、画像診断装置40から取得される。ボリュームデータとは、被検体の体内を、複数のスライス面にて撮像されたマルチスライスデータである。超音波システムには、画像診断装置40により撮像されたボリュームデータが入力され、ボリュームデータ記憶部42に記憶されるようになっている。画像診断装置40としては、例えば、X線コンピュータ断層撮影装置(X線CT装置)、磁気共鳴撮影装置(MRI装置)を適用することができる。
【0023】
なお、画像診断装置40は、図1に図示された超音波システムや他の超音波診断装置であってもよい。例えば、断層画像生成部22で生成された複数の断層画像を積み上げることによって構成されたボリュームデータをボリュームデータ記憶部42に記憶することもできる。
【0024】
リファレンス画像生成部36は、スキャン面算出部34によって算出されたスキャン面座標に対応した断面をボリュームデータ記憶部42から抽出して、断層画像と同じスキャン面の位置及び傾きのリファレンス画像を生成する。
【0025】
断層画像生成部22で生成された断層画像と、リファレンス画像生成部36で生成されたリファレンス画像が、画像処理部24を介して、画像表示部26に並列に表示されるようになっている。
【0026】
ボディマーク生成部44は、ボリュームデータ記憶部42に記憶されたボリュームデータを用いて三次元可視化像を描出し、三次元可視化像に断層画像のスキャン面を半透明カラーで重ね合わせたボディマークを生成する。三次元可視化処理としては、例えばボリュームレンダリングや、サーフェスレンダリングなどの周知の方法を適用できる。ボディマーク生成部44で生成されたボディマークは、画像処理部24を介して、画像表示部26に表示されるようになっている。画像表示部26にボディマークを表示することにより、術者は被検体と断層画像のスキャン面の位置関係を把握することができる。
【0027】
被検体に穿刺針を挿入する針挿入孔を有したグリッドテンプレート(穿刺針挿入冶具)は、図示はしないが、超音波探触子20の軸方向(挿入方向)に直交する面にマトリックス状に配置された複数の挿入孔が設けられている。グリッドテンプレートは、被検体の治療部位に合わせて設置される。グリッドテンプレートの針挿入孔に穿刺針を挿入することができ、穿刺針はグリッドテンプレートをガイドとして超音波探触子20の軸方向(挿入方向)に移動することができるようになっている。なお、穿刺針の先端には放射線源を内包するカプセルが配置されるように構成されている。該カプセルを被検体の所定の臓器内に残存させるためである。
【0028】
ここで、三次元テンプレートデータ生成部46について、図3を用いて、具体的に説明する。三次元テンプレートデータ生成部46は、被検体に穿刺針を挿入する針挿入孔を有したグリッドテンプレート(穿刺針挿入冶具)の位置に合せた複数の二次元テンプレートを三次元的に積み重ねることにより、三次元テンプレートデータを生成する。具体的には、三次元テンプレートデータ生成部46は、マトリックス状に例えば13×13個のグリッドが付与された二次元テンプレートを一方向、超音波探触子20の軸方向(挿入方向)に沿った方向に積み重ね、三次元ボリュームデータとして三次元テンプレートデータを生成する。
【0029】
三次元ボリュームデータは、グリッドテンプレートの位置に基づく位置情報も含まれる。例えば、被検体に対するグリッドテンプレートの位置と断層画像のスキャン面の位置から、放射線源を留置する位置を特定する。そして、放射線源を留置する位置が含まれるように三次元ボリュームデータの位置が決定される。
【0030】
図3に示すように、二次元テンプレートは、被検体に設置するグリッドテンプレートに合わせてラベリングが行われている。二次元テンプレートは、被検体に設置するグリッドテンプレートと同様にして、行方向に、例えば、A、a、B、b、・・・、F、f、Gもしくは1列飛ばしで、A、B、C、・・・、F、Gという様にラベリングされ、列方向に、例えば1_5、1.5_5、2_5、2.5_5、・・・、7_5もしくは1行飛ばしで1_5、2_5、・・・、7_5という様にラベリングされている。ラベルの「_5」という表示は二次元テンプレートの5枚目であることを示す添え字である。二次元テンプレートが1枚目であった場合、ラベル「_1」である。
【0031】
三次元テンプレートデータ生成部46は、二次元テンプレートを超音波探触子20の軸方向(挿入方向)にN枚(Nは自然数)積み重ねることにより、超音波探触子20の軸方向(挿入方向)に奥行きをもった三次元テンプレートデータを生成することができる。
【0032】
つまり、三次元テンプレートデータには、被検体に穿刺針を挿入する針挿入孔を有したグリッドテンプレートの位置に合せて積み重ねられた二次元テンプレートのグリッドが含まれている。グリッドは、積み重ねられた二次元テンプレートの数枚分含まれている。例えば、13×13個のグリッドが付与された二次元テンプレートをN枚積み重ねられた場合、13×13×N個のグリッドが三次元テンプレートデータに含まれることになる。なお、三次元テンプレートデータには、グリッドに合わせて付与されるラベルを含むこともできる。
【0033】
テンプレート画像生成部48は、スキャン面算出部34によって算出されたスキャン面座標に対応した断面を超音波探触子20の軸方向(挿入方向)に奥行きをもった三次元テンプレートデータから抽出して、テンプレート画像を生成する。テンプレート画像は二次元画像である。テンプレート画像生成部48は、三次元テンプレートデータにおいて、スキャン面に該当するグリッドをテンプレート画像として生成する。三次元テンプレートデータにグリッドに合わせて付与されるラベルが含まれていれば、テンプレート画像のグリッドに合わせてラベルが生成される。
【0034】
テンプレート画像生成部48で生成されたテンプレート画像は、画像処理部24を介して、画像表示部26に表示される。
【0035】
図4は、画像表示部26の表示形態である。画像表示部26は、断層画像生成部22で生成された超音波の断層画像62と、リファレンス画像生成部36で生成されたリファレンス画像64と、ボディマーク生成部44で生成されたボディマーク66を表示する。
【0036】
ここでは、説明簡略化のため、被検体に設置するグリッドテンプレートに平行な面の画像を切り出すように、超音波探触子20を被検体に接触させた画像表示部26の表示形態を示す。これは、周方向に沿って配列された超音波探触子20の振動子16によるスキャン面12が被検体に設置するグリッドテンプレートに平行になっている状態である。
【0037】
図4(a)は、断層画像生成部22で生成された超音波の断層画像62である。画像処理部24は、超音波の断層画像62にテンプレート画像生成部48で生成されたテンプレート画像70を重畳する処理を行っている。よって、超音波の断層画像62には、テンプレート画像生成部48で生成されたグリッドを含むテンプレート画像70がラベルとともに重畳される。
【0038】
図4(b)は、リファレンス画像生成部36で生成されたリファレンス画像64である。画像処理部24は、リファレンス画像64にテンプレート画像生成部48で生成されたテンプレート画像70を重畳する処理を行っている。よって、リファレンス画像64には、テンプレート画像生成部48で生成されたグリッドを含むテンプレート画像70がラベルとともに重畳される。
【0039】
図4(c)は、ボディマーク生成部44で生成されたボディマーク66である。ボディマーク66には、ボリュームデータを用いて生成された三次元可視化像76と、三次元テンプレートデータ生成部46によって生成された三次元テンプレートデータの三次元テンプレート画像60と、スキャン面算出部34によって算出されたスキャン面座標に対応したスキャン面78とが重畳されている。なお、図示はしないが、画像処理部24は、スキャン面算出部34によって算出されたスキャン面座標に対応したスキャン面78にテンプレート画像生成部48で生成されたグリッドを含むテンプレート画像70を重畳することができる。よって、三次元テンプレートデータの三次元テンプレート画像60のスキャン面78に該当するテンプレート画像70を画像表示部26に表示することができる。また、スキャン面78は半透明画像であってもよい。
【0040】
テンプレート画像70には、被検体に設置するグリッドテンプレートに合ったグリッド72が複数表示されている。術者は、断層画像62又はリファレンス画像64に対して、グリッド72の位置を把握することができる。
【0041】
また、テンプレート画像70の周囲には、被検体に設置するグリッドテンプレートに合わせて二次元テンプレートの位置を示すラベルが付与されている。行方向と列方向のラベルから、テンプレート画像70のグリッド72の位置を把握することができる。例えば、ラベル「_5」という表示は二次元テンプレートの5枚目であることを示す添え字であるため、術者は、三次元テンプレートデータ60に対して、テンプレート画像70の奥行きを認識することができる。被検体に設置するグリッドテンプレートに平行な面の画像を切り出されているため、ラベル「_5」が全て同じである。
【0042】
被検体に設置するグリッドテンプレートに対して傾いたスキャン面12のテンプレート画像70が切り出されている場合、すなわち、スキャン面12が被検体に設置するグリッドテンプレートに平行になっていない場合、ラベル「_5」が全て同じではなくなる。つまり、術者は、ラベルによって、テンプレート画像70(スキャン面12)の傾きを認識することができる。
【0043】
また、術者が超音波探触子20を奥行き方向に移動させると、ラベル「_1」、「_2」、「_3」、・・・、「_N」、もしくは、「_N」、・・・、「_3」、「_2」、「_1」というように更新される。つまり、ラベルがテンプレート画像70の奥行き方向のアドレスの役割を担う。術者は、ラベルによって、テンプレート画像70(スキャン面12)の奥行きを認識することができる。
【0044】
操作部50は、マウスやトラックボール等のポインティングデバイスやキーボードなどの入力装置や図示していない音声入力装置である。術者は操作部50を介して、グリッドに対応するアドレスを指定すると、指定されたアドレスが三次元テンプレートデータ生成部46に出力される。三次元テンプレートデータ生成部46は、操作部50で指定されたアドレスに該当する三次元テンプレートデータのグリッドに対してマーク74を生成する。
【0045】
テンプレート画像生成部48で生成されるテンプレート画像70には、操作部50で指定されたアドレスに該当するマーク74が付与される。操作部50で指定されたアドレスに該当するグリッドがマーク74とともに画像表示部26に表示される。
【0046】
図5は、テンプレート画像70の表示形態を操作する操作例を示す図である。放射線源を内包するカプセルを配置するために被検体に挿入される穿刺針に対応するグリッドをテンプレート画像上に表示させる場合、術者は、画像表示部26に表示された断層画像62とリファレンス画像64を観察しながら、操作部50を介してアドレスを指定する。
【0047】
図5(a)に示すように、術者が三次元テンプレートデータ60のアドレス(例えば、D4_5)をダイアログ80に指定する。三次元テンプレートデータ生成部46は、三次元テンプレートデータ60に操作部50で指定されたアドレスを反映する。
【0048】
テンプレート画像生成部48は、スキャン面算出部34によって算出されたスキャン面座標に対応した断面を超音波探触子20の軸方向(挿入方向)に奥行きをもった三次元テンプレートデータとアドレスとともに抽出して、テンプレート画像を生成する。指定されたアドレスに該当する箇所については、図4(a)(b)に示されるように、マーク74が付与される。なお、指定されたアドレスに該当する箇所については、グリッドの色が変えられたり、目立つように強調表示させたりしてもよい。
【0049】
図5(b)に示すように、「指定アドレス以外を表示」、「指定アドレス以外を非表示」というメニュー82を画像表示部26に表示することもできる。術者は操作部50で「指定アドレス以外を非表示」を選択すると、指定アドレス以外のグリッド72を非表示としたテンプレート画像70を表示することができる。つまり、図5(a)に示すように、操作部50で指定された指定アドレスに該当する箇所については、グリッド72が表示され、指定アドレス以外のグリッド72が非表示になる。
【0050】
以上、本実施例によれば、被検体に穿刺針を挿入するための針挿入孔を有したグリッドテンプレートに基づく二次元テンプレートを複数枚積み重ねることにより、三次元テンプレートデータを生成する三次元テンプレートデータ生成部46と、三次元テンプレートデータ生成部46で生成された三次元テンプレートデータから、断層画像のスキャン面に該当する(断層画像と同じスキャン面の位置及び傾きである)テンプレート画像を生成するテンプレート画像生成部48とを備え、画像表示部26は、テンプレート画像を表示する。
【0051】
また、断層画像生成部22で生成された断層画像にテンプレート画像生成部48で生成された前記テンプレート画像を重畳する画像処理部24を備える。被検体のボリュームデータを記憶するボリュームデータ記憶部42と、ボリュームデータから断層画像のスキャン面に対応したリファレンス画像を生成するリファレンス画像生成部36と、リファレンス画像生成部36で生成されたリファレンス画像にテンプレート画像生成部48で生成されたテンプレート画像を重畳する画像処理部24とを備える。
【0052】
よって、術者は、断層画像と同じスキャン面の位置及び傾きのグリッドを含むテンプレート画像から、穿刺針(小線源留置用穿刺針)の挿入経路を三次元的に観察することができ、針生検や小線源治療がより正確に安全に実施することができる。
【実施例2】
【0053】
実施例2について、図6を用いて説明する。実施例1と異なる点は、穿刺針が通過する経路を示す穿刺ガイドラインを表示する点である。
【0054】
図6は、画像表示部26の表示形態を示す。超音波探触子20の軸方向(挿入方向)に沿って配列された超音波探触子20の振動子18によるスキャン面14が被検体に設置するグリッドテンプレートに直交している状態である。
【0055】
図6(a)は、断層画像生成部22で生成された超音波の断層画像62である。画像処理部24は、超音波の断層画像62にテンプレート画像生成部48で生成されたテンプレート画像70を重畳する処理を行っている。図6(b)は、リファレンス画像生成部36で生成されたリファレンス画像64である。画像処理部24は、リファレンス画像64にテンプレート画像生成部48で生成されたテンプレート画像70を重畳する処理を行っている。図6(c)は、ボディマーク生成部44で生成されたボディマーク66である。
【0056】
画像処理部24は、操作部50で指定されたアドレスに該当するマーク74に該当するラインに対して、穿刺針が通過する経路を示す穿刺ガイドライン96を生成する。また、操作部50で指定されたアドレスに該当するマーク74に該当する穿刺ガイドライン96には、アドレス98が表示される。三次元テンプレートデータ60のアドレス(例えば、D4_5)をダイアログ80に指定した場合、アドレス98はD4と表示される。
【0057】
よって、術者は、アドレス98によって、被検体に設置するグリッドテンプレートの穿刺針の挿入位置を把握することができる。また、画像処理部24は、テンプレート画像70において穿刺針を用いて治療が終わったグリッドについては、終了マーク100を付与することもできる。
【0058】
よって、術者は、穿刺針(小線源留置用穿刺針)の挿入経路を三次元的に観察することができる。
【符号の説明】
【0059】
10 本体、20 超音波探触子、22 断層画像生成部、24 画像処理部、26 画像表示部、30 位置センサ、32 ソース、34 スキャン面算出部、36 リファレンス画像生成部、40 画像診断装置、42 ボリュームデータ記憶部、44 ボディマーク生成部、46 三次元テンプレートデータ生成部、48 テンプレート画像生成部、50 操作部。
図1
図2
図3
図5
図4
図6