(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、操作状況によっては、押圧力のピークの発生タイミングは一定しない。このため、押圧力のピークを検出するまで、ユーザの接触操作を検出できず、ピークの発生が遅れるほど応答性が低下していた。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑み、複数の圧力センサを用いたタッチパネル装置につき、ユーザの操作に対する高い応答性の制御を実行する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、タッチパネル装置であって、異なる位置に配置され、操作面への圧力を検出する複数の圧力センサと、前記複数の圧力センサの検出結果に基づき、前記操作面に対する
接触操作の押圧位置に基づくコマンドを実行させるための押圧位置を検出する位置検出手段と、前記複数の圧力センサの検出結果に基づき、前記操作面に対する
接触操作の押圧力に基づくコマンドを実行させるための押圧力を検出する押圧力検出手段と、を備え、前記位置検出手段は、前記押圧力検出手段により前記押圧力が検出される前に、前記押圧位置を検出
して接触操作の押圧位置に基づくコマンドを実行させる。
【0007】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載のタッチパネル装置において、前記圧力センサの検出結果に基づき、前記操作面に対する押圧の開始を検出する押圧検出手段、をさらに備え、前記位置検出手段は、前記押圧検出手段が前記押圧の開始を検出したときから第1時間経過後に、前記押圧位置を検出し
て接触操作の押圧位置に基づくコマンドを実行させ、前記押圧力検出手段は、前記押圧検出手段が前記押圧の開始を検出したときから前記第1時間より長い第2時間経過後に、前記押圧力を検出する。
【0008】
また、請求項3の発明は、請求項2に記載のタッチパネル装置において、前記圧力センサの検出結果に基づき、前記操作面に対する押圧のピークを検出するピーク検出手段、
をさらに備え、前記位置検出手段は、前記ピーク検出手段が前記第1時間の経過前に前記押圧のピークを検出したとき、前記第1時間の経過に係わらず前記押圧位置を検出
して接触操作の押圧位置に基づくコマンドを実行させる。
【0009】
また、請求項4の発明は、請求項2に記載のタッチパネル装置において、前記圧力センサの検出結果に基づき、前記操作面に対する押圧のピークを検出するピーク検出手段、をさらに備え、前記押圧力検出手段は、前記ピーク検出手段が前記第2時間の経過前に前記押圧のピークを検出したとき、前記第2時間の経過に係わらず前記押圧力を検出
して接触操作の押圧力に基づくコマンドを実行させる。
【0010】
また、請求項5の発明は、異なる位置に配置され、タッチパネル装置の操作面への圧力を検知する複数の圧力センサの検出結果に基づき接触位置及び押圧力を検出する検出方法であって、(a)前記操作面への圧力を検出する工程と、(b)前記工程(a)での検出結果に基づき、前記操作面に対する
接触操作の押圧位置に基づくコマンドを実行させるための押圧位置を検出する工程と、(c)前記工程(a)での検出結果に基づき、前記操作面に対する
接触操作の押圧力に基づくコマンドを実行させるための押圧力を検出する工程と、
(d)前記工程(b)での検出結果に基づき、接触操作の押圧位置に基づくコマンドを実行させる工程と、を備え、前記工程(
d)は前記工程(c)より前に実行される。
【0011】
また、請求項6の発明は、異なる位置に配置され、操作面への圧力を検知する複数の圧力センサを有するタッチパネル装置に含まれるコンピュータによって実行可能なプログラムであって、前記プログラムの前記コンピュータによる実行は、前記コンピュータに、(a)前記操作面への圧力を検出する工程と、(b)前記工程(a)での検出結果に基づき、前記操作面に対する
接触操作の押圧位置に基づくコマンドを実行させるための押圧位置を検出する工程と、(c)前記工程(a)での検出結果に基づき、前記操作面に対する
接触操作の押圧力に基づくコマンドを実行させるための押圧力を検出する工程と、
(d)前記工程(b)での検出結果に基づき、接触操作の押圧位置に基づくコマンドを実行させる工程と、を実行させ、前記工程(
d)を前記工程(c)より前に実行させる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1ないし6の発明によれば、押圧力が検出される前に押圧位置を検出するので、
押圧位置の検出を押圧力の検出をより早期に行うことができ
、押圧力の検出を待たず接触操作の押圧位置に基づくコマンドを実行させることができる。
【0013】
また、特に請求項2の発明によれば、押圧位置と押圧力との検出を時間の経過に基づき、適切なときに行うことができる。
【0014】
また、特に請求項3の発明によれば、時間経過に係わらず、ピーク検出に基づき押圧位置と押圧力との検出を行うので、押圧位置の検出を適切に行うことができる。
【0015】
また、特に請求項4の発明によれば、時間経過に係わらず、ピーク検出に基づき押圧位置と押圧力との検出を行うので、押圧力の検出を適切に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
<1.第1の実施の形態>
<1−1.概要>
図1は、第1の実施の形態に係るタッチパネル装置1の概要を示す図である。
【0019】
タッチパネル装置1は、車両2(本実施の形態では自動車)に搭載されるナビゲーション装置等の一部として構成される電子制御装置である。タッチパネル装置1は、タッチパネル装置1の操作者であるユーザ3により、操作パネル4が接触操作されると、接触位置のコマンドボタンに対応する制御を実行する。接触操作の検出は、操作パネル4に備えた複数の圧力センサ5(5a,5b,5c,5d)により行っている。ユーザ3は、操作パネル4を操作することで、例えばナビゲーションにおける経路探索や目的地設定の制御を実行することができる。
【0020】
圧力センサ5は、操作パネル4の四隅に配置され、操作面となる操作パネル4に対するユーザ3の押圧力を検出する。押圧される位置及び圧力により四隅に配置された圧力センサ5へ伝達される圧力が異なるため、各圧力センサ5の検出値と接触位置とを関連付けたデータテーブルを予め備え、タッチパネル装置1は、かかるデータテーブルに基づき、各圧力センサ5の検出値から接触位置を検出することができる。また、タッチパネル装置1は、各圧力センサ5の検出した検出値を合算することで、接触圧力を検出することができる。
【0021】
図2は、ユーザ3が、操作パネル4を接触操作した際の操作パネル4へ加わる押圧力Pの一般的な時間経過に伴う変化を示すタイムチャートである。時間tsにおいてユーザ3により操作パネル4へ押圧が開始されると、押圧力Pは徐々に増加し、時間tpにおいてピークに到達する。押圧力Pがピークに達すると、押圧力Pは一転して減少し、時間teにおいて押圧力Pはなくなる、すなわちユーザ3による接触操作が終了する。図に示すように、一般的な接触操作において、ピーク到達時間tpは、押圧開始時間tsから押圧終了時間teまでの中間時点より後半となる。これは、ユーザ3の操作パネル4への接触操作が、押す動作よりも離す動作の方が速く動作するためと考えられる。このようなピーク到達時間tpは、押圧開始時間tsから1.5[sec]程度であり、押圧終了時間teは、から押圧開始時間tsから2.0[sec]程度である。
【0022】
<1−2.構成>
図3は、第1の実施の形態に係るタッチパネル装置1の構成を示すブロック図である。タッチパネル装置1は、互いに電気的に接続されたタッチパネル部11、ディスプレイ部12、及び本体部13を備える。
【0023】
タッチパネル部11は、ユーザ3からの接触操作によりユーザ3の入力を受け付ける部材であり、車両の乗員、特に運転者から操作容易となるよう、ダッシュボード上に配置される。タッチパネル部11は、操作パネル4及び圧力センサ5(5a,5b,5c,5d)を備える。
【0024】
操作パネル4は、表示部に表示されたコマンドボタンを示す領域にユーザ3が接触操作を行う操作面である。操作パネル4は、ガラスやアクリル等からなる。
【0025】
圧力センサ5(5a,5b,5c,5d)は、操作パネル4の裏面(押圧面とは反対の面)の互いに異なる位置に配置され、操作パネル4に加わる押圧力を検出するセンサであり、例えば歪みゲージである。圧力センサ5は、押圧されることにより抵抗値が変化する抵抗器(図示せず)を備え、押圧により変化した抵抗値と基準電圧等に基づき、加えられた押圧力に比例する電圧(センサ電圧)を検出抵抗器(図示せず)に発生させる。後述する制御部は、検出抵抗器に発生した電圧を検出し、操作パネル4に加えられた押圧力を検出する。このようにして、タッチパネル装置1は、圧力センサ5により、ユーザ3が操作パネル4に対し、どの程度の圧力で押圧したかを検出できる。なお、圧力センサ5は、本実施の形態において、操作パネル4の四隅に配置されるが、操作パネル4に接するいずれかの位置に配置すればよい。ユーザ3が操作パネル4を押圧した場合、操作パネル4のいずれの位置においても圧力が発生するためである。
【0026】
ディスプレイ部12は、表示パネル6及び表示ドライバ7を備え、ユーザ3に対し映像情報を表示する。
【0027】
表示パネル6は、タッチパネル部11に重ねて配置され、ユーザ3の指示を受け付けるコマンドボタンや地図等を表示する液晶ディスプレイ等である。
【0028】
表示ドライバ7は、表示パネル6の輝度や色調を調整し、制御部8から送信される画像情報を表示パネル6に表示させる駆動回路である。
【0029】
本体部13は、制御部8、記憶部9、及びカードスロット10を備える電子制御装置である。
【0030】
制御部8は、CPU、RAM、及びROMを備えるコンピュータである。制御部8による制御は、ROMに予め記憶されたファームウェアとしてのプログラムに従い、CPUが演算処理を実行して実現される。また、制御部8はCPU等の他、押圧検出部81、位置検出部82、ピーク検出部83、押圧力検出部84、計時部85、及びコマンド実行部86を備える。
【0031】
押圧検出部81は、各圧力センサ5のセンサ電圧を検出し、検出した各センサ電圧が所定値を超えたか判断することで、ユーザ3が操作パネル4を押圧し、接触操作を行ったかを検出する。なお、所定値は、圧力センサ5の検出感度に基づき決定すればよい。
【0032】
位置検出部82は、各圧力センサ5のセンサ電圧を検出し、後述のデータテーブル91に基づき、ユーザ3により押圧された操作パネル4上の位置を検出する。
【0033】
ピーク検出部83は、ユーザ3による操作パネル4へ加えられた押圧力がピークに達したか否かを検出する。ピーク検出部83は、押圧力が増加から減少へ転じた時点を検出することにより押圧ピークを検出する。
【0034】
押圧力検出部84は、各圧力センサ5のセンサ電圧を合算し、操作パネル4へ加えられた押圧力の値を検出する。
【0035】
計時部85は、時間の経過を計測するタイマーである。
【0036】
コマンド実行部86は、ユーザ3の操作パネル4への接触操作に対応したコマンドを実行する。例えば、ユーザ3がナビゲーションの実行を示すコマンドボタンを接触操作した場合には、コマンド実行部86は、ナビゲーションにおける経路案内を開始させる。なお、コマンド実行部86が実行するコマンドは、操作パネル4へ接触操作された位置に基づくものと押圧力に基づくものとがある。接触操作された位置に基づくコマンドとは、例えば画面表示に関するものであり、具体的には地図画面のスクロールや拡縮等に関するコマンドである。画面表示に関するコマンドは、ユーザ3への影響が比較的少ないため、一定以上の押圧力の検出を待たずして、位置のみの検出により早期に実行されるのが好ましい。ユーザ3の操作意思をより早期に制御に反映できるからである。また、接触操作された押圧力に基づくコマンドとは、例えば制御の開始や終了に関するものであり、具体的にはナビゲーションの実行や音楽メディアの再生等に関するコマンドである。制御の開始や終了に関するコマンドは、ユーザ3への影響が比較的大きいため、一定以上の押圧力の検出を待って実行されるのが好ましい。ユーザ3の操作意思をより確実に制御に反映できるからである。
【0037】
記憶部9は、不揮発性の記憶媒体であり、データテーブル91、プログラム92、及び地図情報等を記憶する。記憶部9は、例えばEEPROM(Electrical Erasable Programmable Read-Only memory)、フラッシュメモリ、磁気ディスクを備えたハードディスクドライブ等である。
【0038】
データテーブル91は、4つの圧力センサ5a,5b,5c,5dの各電圧値を正規化した値(圧力センサの電圧値の合計を1とした場合の割合)と操作パネル4上の位置座標が対応付けられたデータからなるテーブルである。例えば、操作パネル4の四隅に配置された圧力センサ5a,5b,5c,5dの電圧値が全て5[v]を示す場合、各電圧値を正規化した値は、0.25:0.25:0.25:0.25となる。各電圧値を正規化した値が全て同値となるこのような場合、ユーザ3により接触操作された位置は、操作パネル4の中心位置である。
【0039】
プログラム92は、制御部8により記憶部9から読み出され、制御部8がタッチパネル装置1を制御するために実行されるファームウェアである。
【0040】
カードスロット10は、メモリカードの差込口であり、差し込まれたメモリカードに対してデータの読み取りや書き込みを行う。
【0041】
メモリカード10aは、フラッシュメモリ等を備える可搬性の記録媒体である。
【0042】
<1−3.処理手順>
図4は、第1の実施の形態に係るタッチパネル装置1の処理手順を示すフローチャートである。かかる処理は、タッチパネル装置1の電源投入時又は起動時に開始し、所定周期で繰り返し実行される。
【0043】
処理が開始されると、押圧検出部81が操作パネル4へ押圧が加えられたか否か判断する(ステップS111)。押圧検出部81により操作パネル4へ押圧が加えられたと判断される場合とは、ユーザ3による接触操作があった場合である。したがって、押圧検出部81は、加えられた押圧力が接触操作の開始に相当する値であるか否かにより判断する。かかる押圧力の値は、予め操作パネル4へ接触操作を試行し、記憶部9に記憶しておけばよい。
【0044】
押圧検出部81が操作パネル4へ押圧が加えられていないと判断する場合(ステップS111でNo)、本処理手順は終了する。ユーザ3による押圧が加えられていないと判断される以上、押圧位置や押圧力の検出はできないからである。
【0045】
一方、押圧検出部81が操作パネル4へ押圧が加えられたと判断する場合(ステップS111でYes)、計時部85が時間経過の計測を開始する(ステップS112)。計時部85は、計測を開始すると、計測開始から、すなわちユーザ3による操作パネル4への押圧の開始から第1の所定時間t1が経過したか否か判断する(ステップS113)。なお、第1の所定時間t1は、圧力センサ5が、一般的な押圧力の変化において押圧力がピークに到達せずとも位置検出を行うのに十分な圧力値を検出できる時間が定められる。例えば、時間t1は0.5[sec]である。すなわち、
図5に示すように、押圧力の一般的な時間変化において、時間t1は、押圧の開始時であるtsと押圧力のピークであるtpとの間に設定される。
【0046】
計時部85により時間t1が経過したと判断されると(ステップS113でYes)、位置検出部82は、圧力センサ5の検出値とデータテーブル91とに基づき、ユーザ3により操作パネル4が押圧された位置を検出する(ステップS114)。なお、
図2に示すような一般的な押圧において時間t1が経過すれば、前述のように圧力センサ5が位置検出を行うのに十分な圧力値を検出できるため、従来のようにピークの到来を待たずして、時間t1の経過をもって位置検出を行うことができる。これにより、押圧力のピークで押圧位置及び押圧力を検出していた従来の技術に比較し、位置の検出をより早期に行うことができる。また、位置の検出を早期に行うことで、位置検出に基づくコマンド実行の応答性を向上することができる。
【0047】
ステップS114による押圧位置の検出が実行された場合、すなわち時間t1が経過したと判断されて押圧位置の検出が実行された場合は、コマンド実行部86は押圧位置に基づくコマンドの実行を行う(ステップS115)。
【0048】
一方、計時部85により時間t1が経過していないと判断されると(ステップS113でNo)、ピーク検出部83は、押圧力がピークに達したか否か判断する(ステップS116)。押圧力がピークに達していないと判断される場合には(ステップS116でNo)、ステップS113に戻り、計時部85により時間t1が経過したか否か再度判断される。
【0049】
ピーク検出部83が、押圧力がピークに達したと判断すると(ステップS116でYes)、押圧力検出部84が、押圧力がピーク閾値を超えたか否か判断する(ステップS117)。振動や接触不良により生じた小さなピークに基づく誤検出を回避するためである。したがって、ピーク閾値は、予め操作パネル4へ接触操作を試行し、ピーク値を取得することで、適切な値を記憶部9に記憶しておけばよい。押圧力検出部84により押圧力がピーク閾値を超えていないと判断される場合には(ステップS117でNo)、再度、計時部85により時間t1が経過したか否か判断される(ステップS113)。
【0050】
押圧力検出部84が、押圧力がピーク閾値を超えたと判断すると(ステップS117でYes)、位置検出部82は、圧力センサ5の検出値とデータテーブル91とに基づき、ユーザ3により操作パネル4が押圧された位置を検出する(ステップS118)。
【0051】
位置検出部82により押圧位置の検出が実行された場合、すなわち時間t1経過前にピークが発生したと判断されて押圧位置の検出が実行された場合には、コマンド実行部86は、押圧位置に基づくコマンドの実行を行う(ステップS119)。なお、ステップS119におけるコマンドの実行が行われる場合は、押圧力の一般的な時間経過に伴う変化と異なり、時間t1経過前に押圧力のピークが発生した場合である。このような場合は、ユーザ3が強い操作意志を接触操作に込めた、すなわち早期かつ確実にコマンドを実行させるべく強い押圧力を持って接触操作を行ったと考えられ、ユーザ3に対する操作性の低下を防止する。時間t1経過前に押圧力のピークが発生すると、時間t1の経過時には押圧力がピークを超え減少し、押圧位置及び押圧力を検出するのに適切な圧力値を検出できないからである。
【0052】
ステップS119において、コマンド実行部86がコマンドの実行を行うと、処理はステップS122に進み、押圧力の検出を行う。ステップS122の詳細な処理内容は後述する。
【0053】
一方、ステップS115においてコマンドの実行が行われると、計時部85は計測開始から、すなわちユーザ3による操作パネル4への押圧の開始から第2の所定時間t2が経過したか否か判断する(ステップS120)。かかる第2の所定時間t2は、t1より長く、かつ一般的な押圧操作におけるピーク到達時間より短い時間であって、ユーザ3が操作意思を込めて押圧したと判断できる程度の押圧力を検出できる時間に定められる。これにより、ピークに到達する前に押圧力が検出され、かかる押圧力に基づきコマンドが実行されても、押圧の開始から押圧力に基づくコマンド実行までの時間を必要以上に延ばす必要がなく、ユーザ3の操作性を低下させない。時間t2は、例えば0.75[sec]である。このため、
図5に示すように、時間t2は、時間t1と押圧力のピークであるtpとの間に設定される。
【0054】
計時部85により時間t2が経過していないと判断されると(ステップS120でNo)、ピーク検出部83は、押圧力がピークに達したか否か判断する(ステップS121)。ステップS121においてピーク検出部83により押圧力のピークが検出されないと判断されると(ステップS121でNo)、ステップS120に戻り、計時部85により時間t2が経過したか再度判断される。
【0055】
ステップS120でピークの検出がされた場合(ステップS120でYes)、ステップS121で時間t2が経過したと判断された場合(ステップS121でYes)、又はステップS119で位置検出に基づくコマンドが実行された場合には、押圧力検出部84により押圧力の検出が行われる(ステップS122)。なお、ステップS120でピークの検出がされた場合に押圧力の検出を行うのは、押圧がピークに達したことにより、押圧力の検出を行うべきタイミングであると考えられるからである。また、ステップS121で時間t2が経過したと判断された場合に押圧力の検出を行うのは、押圧がピークに達しなくとも時間t2の経過に基づき押圧力の検出を行うことで、操作性の低下を防止できるからである。また、ステップS119で位置検出に基づくコマンドが実行された場合に押圧力の検出を行うのは、ステップS119の実行前の処理において既にピークの検出及びピーク閾値の超過を検出しているため、押圧力の検出を行うべきタイミングであると考えられるからである。
【0056】
ステップS122による押圧位置の検出が実行されると、コマンド実行部86は、押圧位置に基づくコマンドの実行を行う(ステップS123)。
【0057】
ステップS123が実行されると、操作パネル4への接触位置及び圧力を検出する処理は終了する。
【0058】
以上のように、本実施の形態は、操作面への圧力を検出する複数の圧力センサの検出結果に基づき、押圧力が検出される前に押圧位置を検出するので、押圧位置の検出を押圧力の検出より早期に行うことができる。また、押圧位置の検出に基づきコマンドを実行できるので、押圧力の検出に基づくコマンドの実行に比較して早期にコマンドを実行でき、タッチパネル操作の応答性を向上できる。
【0059】
<2.第2の実施の形態>
<2−1.概要>
従来、タッチパネル装置への入力は、タッチ(接触)操作によるものであったが、近年いわゆるフリックやドラッグ操作といった、操作面に接触したまま接触点をスライドさせる操作が行われるようになった。タッチパネル装置は、操作面におけるフリック等の開始座標と終了座標との直線距離を測定し、測定した距離に応じた制御を実行している。
【0060】
しかし、ユーザによるフリック操作等が曲線で移動した場合、フリック操作等の開始座標と終了座標との直線距離を測定することによっては、必ずしも正確な操作距離を計測することができなかった。
【0061】
そこで、本発明の第2の実施の形態は、タッチパネル装置へのフリック操作等による操作距離を正確に計測する技術を提供することを目的とする。
【0062】
図6は、第2の実施の形態に係るタッチパネル装置の概要を示す図である。
【0063】
タッチパネル装置1は、ナビゲーション装置等の一部として構成される電子制御装置である。タッチパネル装置1は、タッチパネル装置1の操作者であるユーザ3により、操作パネル4が接触操作されると、接触位置のコマンドボタンに対応する制御を実行する。かかるユーザ3による接触操作を複数の圧力センサ5(5a,5b,5c,5d)により検出している。第2の実施の形態に係る操作パネル4は、その表面が一定距離の間隔で凹凸を形成して構成される。タッチパネル装置1は、ユーザ3の指等が操作パネル4上をスライドしながら凹凸に接触することにより生じる圧力センサ5の検出値に基づき、操作距離を導出する。
【0064】
図7は、操作パネル4の断面図である。図に示すように、操作パネル4は一定距離の間隔で凹凸が形成される。フリック等の操作において、ユーザ3の指等が操作パネル4上をスライドすると、表面に形成さえた各凹凸に連続して接触する。
【0065】
図8は、ユーザ3の指等が操作パネル4上をスライドしながら凹凸に接触することにより、圧力センサ5が出力する検出値PRを示すタイムチャートである。図において横軸は時間を表し、縦軸は圧力センサ5の検出値を表す。図に示すように、時間t1からt7においてパルスPLが生じる。パルスPLは、ユーザ3の指等が操作パネル4の凹凸に接触することにより生じるものである。ユーザ3の指等が凹凸を超えると、すなわち凹凸への接触開始時と離脱時に指等の操作パネル4への押圧力が急激に変化することにより、このようなパルスPLが生じる。
【0066】
<2−2.構成>
第2の実施の形態のタッチパネル装置1は、第1の実施の形態と同様の構成を含む。このため、第2の実施の形態の構成につき、以下に第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0067】
図9は、第2の実施の形態に係るタッチパネル装置の構成を示すブロック図である。第1の実施の形態との相違点は、制御部8にパルス検出部87と距離導出部88とを備えた点である。なお、第2の実施の形態の説明において、第1の実施の形態と同一の構成には同一の符号が付される。
【0068】
パルス検出部87は、圧力センサ5の検出値PRがパルス形状を示した場合、パルスPLの発生を検出する。また、パルス検出部87は、検出したパルスPLの数を累積する。
【0069】
距離導出部88は、パルス検出部87により累積されたパルスPLの数に操作パネル4の凹凸間の距離を積算することで、ユーザ3の指等が操作パネル4上をスライドした操作距離を導出する。例えば、距離導出部88は、パルス検出部87がパルスPLの数を10と検出し、操作パネル4の凹凸間の距離が5[mm]である場合に、操作距離は50[mm]と導出する。なお、距離導出部88は、パルスPLの数と凹凸間の距離と相関付けたマップから操作距離を導出してもよい。
【0070】
<2−3.処理手順>
図10は、第2の実施の形態に係るタッチパネル装置1の処理手順を示すフローチャートである。
かかる処理は、タッチパネル装置1の電源投入時又は起動時に開始し、所定周期で繰り返し実行される。
【0071】
処理が開始されると、押圧検出部81が操作パネル4へ押圧が加えられたか否か判断する(ステップS111)。押圧検出部81により操作パネル4へ押圧が加えられたと判断される場合とは、ユーザ3による接触操作があった場合である。したがって、押圧検出部81は、加えられた押圧力が接触操作の開始に相当する値であるか否かにより判断する。かかる押圧力の値は、予め操作パネル4へ接触操作を行い取得し、記憶部9に記憶しておけばよい。
【0072】
押圧検出部81が操作パネル4へ押圧が加えられていないと判断する場合(ステップS211でNo)、本処理手順は終了する。ユーザ3による押圧が加えられていないと判断される以上、接触距離の導出はできないからである。
【0073】
一方、押圧検出部81が操作パネル4へ押圧が加えられたと判断する場合(ステップS211でYes)、計時部85が時間経過の計測を開始する(ステップS212)。
【0074】
計時部85による計時が開始されると、パルス検出部87は、圧力センサ5の検出値PRに基づきパルスPLが発生したか否か判断する(ステップS213)。
【0075】
パルス検出部87がパルスPLの発生がないと判断する場合(ステップS213でNo)、押圧力検出部84は、ユーザ3のフリック操作等による押圧力が操作パネル4へ発生しているか判断する(ステップS214)。押圧力検出部84が、押圧力が操作パネル4へ発生しているか判断することで、ユーザ3のフリック操作等が継続しているか否か判断することができる。フリック操作等が終了し、操作パネル4を押圧していたユーザ3の指等が操作パネル4を離れれば、押圧力が検出されなくなるためである。したがって、押圧力検出部84が、押圧力が操作パネル4へ発生していないと判断する場合(ステップS214でNo)は、フリック操作等が終了したと判断される。この場合、距離導出部88がパルス検出部87が累積したパルスPL数に基づき、操作距離の導出を行う(ステップS216)。
【0076】
一方、押圧力検出部84が、押圧力が操作パネル4へ発生していると判断する場合(ステップS214でYes)、計時部85は計時開始から時間tsが経過したか否か判断する(ステップS215)。この場合は、ユーザ3が操作パネル4に指等を留めたまま、フリック操作等を中断した場合であり、中断された時間に応じてフリック操作等の連続性を判断する。時間tsが経過しないと判断する場合は(ステップS215でNo)、パルス検出部87は、圧力センサ5の検出値PRに基づきパルスPLが発生したか否か再度判断する(ステップS213)。
【0077】
一方、計時部85が、時間tsが経過したと判断する場合(ステップS215でYes)、距離導出部88は、パルス検出部87が累積したパルスPL数に基づき、操作距離を導出する(ステップS216)。このように、時間tsの経過を判断するのは、フリック操作等の連続性を判断するためである。すなわち、時間ts以内にパルスPLが発生している限り、発生したパルスPLを一連のフリック操作等に基づくものと判断し、パルスPLを累積して操作距離の導出に用いるためである。したがって、時間tsは、フリック操作等が終了したと判断できる時間、すなわちフリック操作等による操作パネル4へのスライドの停止後から、かかるスライドが再開しないと判断できる時間に定められる。例えば、時間tsは2[sec]である。
【0078】
一方、パルス検出部87は、ステップS213において、パルスPLが発生したと判断すると(ステップS213でYes)、検出したパルスPLの数を累積する(ステップS216)。次に、計時部85が、計時のリセットを行う(ステップS217)。したがって、パルスPLが発生している限り、計時はリセットされ続けるため、時間経過が時間tsに達することがなく、計時の開始とパルスPLの検出及び累積が繰り返し行われる。
【0079】
ステップS215において距離導出部88による接触距離が導出されると、本処理手順は終了する。
【0080】
以上の通り、圧力センサ5を用いたタッチパネル装置1において、加速度が検出されると、操作パネル4への押圧力に対応する処理を実行しないため、加速度の発生による誤った処理の実行を防止できる。
【0081】
<3.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記実施の形態に限定されず様々に変形可能である。以下、変形例について説明する。上記実施の形態及び以下で説明する形態は、適宜組合せ可能である。
【0082】
上記実施の形態では、圧力センサ5は、タッチパネル装置1の四隅に配置されると説明したが、隅に配置される必要はない。タッチパネルの所定位置でよい。それに応じてテーブルを作成すればよい。なるべく分散することが好ましい。
【0083】
上記実施の形態では、タッチパネル装置1として、車両用ナビゲーション装置を例に説明したが、これに限定されるものでない。携帯型のタッチパネル装置でもよい。
【0084】
上記実施の形態では、プログラムに従ったCPUの演算処理によってソフトウェア的に各種の機能が実現されると説明したが、これら機能のうちの一部は電気的なハードウェア回路により実現されてもよい。また逆に、ハードウェア回路によって実現されるとした機能のうちの一部は、ソフトウェア的に実現されてもよい。