(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
各実施形態において実質的に同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
(第1の実施形態)
以下、
図1ないし
図5を参照しながら第1の実施形態について説明する。
図1に示す装置は、速度センサや位置センサを備えることなくセンサレスで電動機2を駆動可能な電動機制御装置1である。電動機2は三相誘導電動機または三相永久磁石同期電動機であり、そのロータ軸には伝達機構を介して負荷機3が接続されるようになっている。
【0015】
電圧形PWMインバータ4は、入力した電圧指令値Vu、Vv、Vwに基づいて、電動機2に対しPWM波形を持つ交流電圧を出力するインバータ装置である。電流検出器5は、ホール素子などから構成されており、少なくとも2相の電動機電流を検出する。速度指令値ωrefと電流検出値とを入力して電圧指令値Vu、Vv、Vwを出力する制御部は、マイクロコンピュータにより構成されている。
【0016】
制御プログラムに従って制御部が実行する処理は、
図1に示すように速度指令生成部6、フィルタ7、減算器8、速度制御部9、電流指令演算部10、ベクトル制御部11および慣性モーメント推定部12の各機能ブロックとして表すことができる。速度指令生成部6は、操作部(図示せず)の設定状態、外部からの入力信号、運転モード(制御モード、調整モード)などに応じて速度指令値ωrefを生成する。フィルタ7は、
図3、
図4に示すように一次遅れ要素である。減算器8は、フィルタ7が出力する速度指令値ωrefから速度推定値ωestを減算して速度偏差Δωを出力する。
【0017】
速度制御部9は、慣性モーメント推定部12で推定された慣性モーメント設定誤差率推定値Jrate_est(以下、誤差率推定値Jrate_estと称す)に基づいてPI補償器の制御定数を調整可能に構成されている。この速度制御部9は、速度偏差Δωがゼロになるようにトルク指令値Trefを決定する。電流指令演算部10は、トルク指令値Trefに基づいてD軸電流指令値IdrefとQ軸電流指令値Iqrefを算出してベクトル制御部11に入力する。
【0018】
ベクトル制御部11は、電流検出器5による電流検出値、D軸電流指令値IdrefおよびQ軸電流指令値Iqrefを入力し、電圧指令値Vu、Vv、Vwと速度推定値ωestを出力する。具体的には、以下のような機能ブロックからなる。
【0019】
座標変換器13は、出力周波数を積分して得た磁束の推定位相角θestを入力し、電流検出値に対し3相−2相変換および回転座標変換を実行して制御部内で用いる同期座標軸上のD軸電流IdとQ軸電流Iqを演算する。減算器14は、D軸電流指令値IdrefからD軸電流検出値Idを減算してD軸電流偏差ΔIdを求め、減算器15は、Q軸電流指令値IqrefからQ軸電流検出値Iqを減算してQ軸電流偏差ΔIqを求める。
【0020】
電流制御部16は、これらの電流偏差ΔId、ΔIqがゼロになるようにPI演算を行って出力電圧補正値を生成する。Vcompは、電流制御に係るD軸とQ軸の積分項である。加算器17、18は、それぞれ後述するD軸電圧Vdc、Q軸電圧Vqcに電流制御部16が出力するD軸電圧補正値、Q軸電圧補正値を加算してD軸電圧指令値Vdref、Q軸電圧指令値Vqrefを生成する。座標変換器19は、同期座標軸上で生成された電圧指令値Vdref、Vqrefを三相静止座標軸上に変換する。
【0021】
センサレス制御部20は、同期座標軸上において、上記電流制御に係るD軸積分項とQ軸積分項に基づいてロータの回転速度を推定演算する。そして、その速度推定値ωestを積分して磁束の位相情報である推定位相角θestを求める。さらに、センサレス制御部20は、D軸電流指令値IdrefとQ軸電流指令値Iqrefを入力して、フィードフォワード項であるD軸電圧VdcとQ軸電圧Vqcを演算する。
【0022】
慣性モーメント推定部12は、速度制御部9の制御ゲイン(制御定数)を最適化するため、電動機2のロータの慣性モーメントと負荷機3の慣性モーメントとを合わせた慣性モーメントJを推定する。負荷機3にギヤ機構が介在する場合には、負荷機3の慣性モーメントはロータ軸に換算した値である。
【0023】
速度制御部9と慣性モーメント推定部12には、電動機制御装置1が駆動対象とする標準的な電動機2のロータの慣性モーメントJsetが予め設定されている。慣性モーメント推定部12は、(1)式に示すように、推定する慣性モーメントJと予め設定されている慣性モーメントJsetとの比率である誤差率推定値Jrate_estを演算して出力する。慣性モーメント設定値Jsetは既定値であるので、慣性モーメント推定部12は、実質的に慣性モーメントJを推定していることになる。
Jrate_est=J/Jset …(1)
【0024】
図2は、慣性モーメント推定部12が誤差率推定値Jrate_estを演算する具体的な処理を機能ブロックにより示している。慣性モーメント推定部12は、負荷機3のトルクを推定して負荷トルク推定値TL_estを出力する負荷トルク推定部21を備えている。この負荷トルク推定部21は、トルク指令値Trefを平均化した値、D軸電流検出値IdとQ軸電流検出値Iqに基づいて算出したトルク推定値Testを平均化した値、または第5の実施形態で説明するように負荷機3の粘性摩擦とクーロン摩擦から推定したトルク値を負荷トルク推定値TL_estとする。
【0025】
慣性モーメント推定部12は、速度制御部9で決定したトルク指令値Trefを、電動機2が出力するトルク値として用いる。減算器22は、速度制御部9で決定したトルク指令値Trefから負荷トルク推定値TL_estを減算し、加減速に寄与するトルクである加減速トルク出力値TAを求める。
【0026】
一方、微分器23は、前回の制御周期と今回の制御周期の速度推定値ωestの差分を、離散値系の制御周期Tsで除すことにより、速度推定値ωestの単位時間あたりの変化量すなわち速度微分値αestを算出する。乗算器24は、この速度推定値ωestの微分値αestに、以下のように推定される慣性モーメントJ(=Jset×Jrate_est)を乗算し、加減速に寄与するトルクの推定値である加減速トルク推定値TBを求める。
【0027】
慣性モーメント推定部12は、加減速トルク出力値TAを規範モデルとし、加減速トルク推定値TBを適応モデルとし、これら加減速トルク出力値TAと加減速トルク推定値TBの差に基づいて、適応モデル内で用いられている誤差率推定値Jrate_estを収束演算する。すなわち、減算器25は、加減速トルク出力値TAから加減速トルク推定値TBを減算して加減速トルク差分ΔTを求める。誤差率推定部26は、加減速トルク差分ΔTを慣性モーメント設定値Jsetで除すとともに、逆数器27で得た1/αestを乗じて(つまりαestで除して)無次元の値にする。その後、Ts/Tc(Tcは積分時定数)を乗じて積分演算することにより誤差率推定値Jrate_estを得る。
【0028】
続いて、
図3、
図4を参照しながら速度制御部9の制御ゲインの設定について説明する。上述したように、電流制御部16は、電流指令値Idref、Iqrefと電流検出値Id、Iqとが一致するように制御する。一般に、電流制御部16のカットオフ周波数は、速度制御部9のカットオフ周波数に比べ十分に高く設定されている。これにより、トルク指令値Trefと実際のトルクTが一致しているとして扱うことができ、速度制御系のモデルは
図4に示すように考えることができる。電動機2の実際の回転速度をωrとすれば、速度制御系の伝達関数は(2)式になる。
【0030】
ここで、速度制御系を一般的な2次系として扱えるようにKFILを1に設定すると、速度制御系の伝達関数は(3)式になる。伝達関数の分子は1になる。
【0032】
減衰係数をζ、固有角周波数をωとし、比例ゲインKPおよび積分ゲインKIを(4)式および(5)式のように設定することにより、速度制御系を一般的な2次系の応答として見通しよく扱うことができる。
KP=2ζωJ …(4)
KI=ω
2J …(5)
【0033】
(1)式を書き直すと、電動機2と負荷機3を合わせた全ての慣性モーメントJは、予め設定された慣性モーメントJsetと推定した誤差率推定値Jrate_estを用いて(6)式のように表せる。
J=JsetJrate_est …(6)
【0034】
(4)式ないし(6)式によれば、速度制御部9に設定する制御ゲインKP、KIを(7)式、(8)式のように調整すれば最適化できることになる。周知のように減衰係数ζを1にすると臨界減衰になる。
KP=2ζωJsetJrate_est …(7)
KI=ω
2JsetJrate_est …(8)
【0035】
従って、
図3に示すように、慣性モーメント推定部12で得られた誤差率推定値Jrate_estを、速度制御部9に設定されている慣性モーメントJsetに乗算することにより、速度制御部9の制御ゲイン(KP+KI/s)を最適化できる。
【0036】
図5は、慣性モーメントおよび制御ゲインの調整機能を選択したときの速度指令値ωref、速度推定値ωest、トルク指令値Trefの変化波形を示している。速度指令生成部6は、慣性モーメントおよび制御ゲインの調整が終了するまでの期間、加速度を発生させるために速度指令値ωrefを以下のように変化させる。
【0037】
すなわち、速度指令生成部6は、はじめに電動機2を定格回転速度以下に設定された所定の速度指令値まで加速して定常運転に移行する。その後、時刻t1に速度指令値ωrefを増加の向き(第1の向き)に所定の速度幅ωaだけ変化させる。そして、電動機2の速度推定値ωestが整定する時間が経過した後の時刻t2で、速度指令値ωrefを逆に減少の向き(第2の向き)に速度幅ωaだけ変化させる。電動機2の速度推定値ωestが整定する時間が経過した後の時刻t3で、再び速度指令値ωrefを増加の向き(第1の向き)に所定の速度幅ωaだけ変化させる。以降、こうした速度指令値ωrefの変化を繰り返す(時刻t4、t5、…)。
【0038】
慣性モーメント推定部12は、このように速度指令値ωrefが変化する状態において、誤差率推定値Jrate_estの算出(すなわち慣性モーメントJの推定)および速度制御部9の制御ゲインの最適化を実行する。このように加速度を繰り返し発生させることにより、慣性モーメントの設定誤差情報が得易くなる。
【0039】
この収束演算は、例えば予め定められた調整時間が経過した時点で終了する。また、予め設定されている慣性モーメントJsetは、電動機2の慣性モーメントと負荷機3の慣性モーメントを合わせた慣性モーメントよりも小さい場合が多く、誤差率推定値Jrate_estは増加する向きに調整される。この調整に伴い、速度推定値ωestのオーバーシュート量およびアンダーシュート量が減少する。そこで、速度推定値ωestのオーバーシュート量およびアンダーシュート量が所定値以下に低下したことを収束演算の終了条件としてもよい。
【0040】
以上説明したように、本実施形態の電動機制御装置1は、トルク指令値Trefから負荷トルク推定値TL_estを減じて得た加減速トルク出力値TAと、速度推定値ωestの微分値αestに慣性モーメント推定値Jを乗じて得た加減速トルク推定値TBとの偏差がゼロに収束するように誤差率推定値Jrate_est(すなわち慣性モーメントJ)を推定する。この推定方法によれば、負荷機3にトルクが生じていても慣性モーメントを正確に推定できる。また、負荷機3を逆転させる必要がないので、逆転が禁止される場合にも適用できる。
【0041】
速度制御部9は、慣性モーメント推定値Jに基づいて制御定数を最適化する。これにより、速度指令を変化させたときに、回転速度のオーバーシュートおよびアンダーシュートを防止しながら速度応答性を高めることができる。また、過電圧の発生および減速停止させるときの逆転現象を防止できる。このように、電動機制御装置1は、負荷機3の慣性モーメントが未知の場合にも、速度制御部9の制御定数を修正し速度応答を最適化することができる。
【0042】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について
図6および
図7を参照しながら説明する。電動機制御装置31は、慣性モーメント推定部32を除いて電動機制御装置1と同じ構成を備えている。慣性モーメント推定部32は、D軸電流検出値IdとQ軸電流検出値Iqを用いて、電動機2が出力するトルク値を推定演算する。減算器22は、このトルク推定値Testから負荷トルク推定値TL_estを減算し、加減速に寄与するトルクである加減速トルク出力値TAを求める。慣性モーメント推定部32のその他の構成は、慣性モーメント推定部12と同じである。本実施形態によっても第1の実施形態と同様の作用および効果が得られる。
【0043】
(第3の実施形態)
第3の実施形態について
図8を参照しながら説明する。慣性モーメントおよび制御ゲインの調整機能が選択されたとき、速度指令生成部6(
図1、
図6参照)は、速度推定値ωestが整定する時間が経過するごとに、速度指令値ωrefの増加と減少を繰り返す(
図5参照)。増減を開始したときの初期増加幅と初期減少幅はωaである。
【0044】
速度指令生成部6は、加減速トルク出力値TAまたは加減速トルク推定値TBの単位時間あたりの変化量が規定値(
図8において一点鎖線で示す)以上になるまで増減速度幅を徐々に増やす。その後(時刻t17以後)、慣性モーメント推定部12、32(
図2、
図7参照)は、誤差率推定値Jrate_estの収束演算を開始する。本実施形態によれば、十分に大きい加減速トルクを発生させた状態で慣性モーメントを推定できるので、誤差率推定値Jrate_estの収束演算を精度よく実行することができる。
【0045】
(第4の実施形態)
第4の実施形態について
図9を参照しながら説明する。慣性モーメント推定部41は、速度微分値αestの絶対値がしきい値αth未満の場合に0となり、しきい値αth以上の場合に1となる係数kswを出力するスイッチ42を備えている。誤差率推定部43は、加減速トルク差分ΔTを慣性モーメント設定値Jsetで除すとともに、1/αestおよび係数kswを乗じてから積分演算することにより誤差率推定値Jrate_estを得る。誤差率推定値Jrate_estはフィルタ44を通して乗算器24に与えられるが、フィルタ44は省略可能である。その他の構成は、慣性モーメント推定部12と同じである。
【0046】
慣性モーメント推定部41は、速度推定値ωestの単位時間あたりの変化量(速度微分値αestの絶対値)が所定のしきい値αth未満となる期間中、誤差率推定値Jrate_estの推定動作を停止し、その停止期間の直前に推定した誤差率推定値Jrate_estを維持する。速度変化率が小さいときには、加減速トルク出力値TAおよび加減速トルク推定値TBも小さくなるので、そのまま収束演算を継続すると誤差が増大する虞がある。本実施形態によれば、加減速トルクが小さくなる期間の収束演算を停止するので、誤差率推定値Jrate_estの誤差の増大を防止する効果が得られる。
【0047】
(第5の実施形態)
負荷トルク推定部21に関する第5の実施形態について
図10を参照しながら説明する。ここでは、第4の実施形態への適用例を示すが、他の実施形態についても同様に適用できる。
【0048】
負荷トルク推定部21は、(9)式に示すように、負荷機3のトルク推定値TL_estを粘性摩擦によるトルクTv_estとクーロン摩擦によるトルクTc_estの和として近似する。
TL_est=Tv_est+Tc_est …(9)
【0049】
粘性摩擦によるトルクTv_estとクーロン摩擦によるトルクTc_estは、それぞれ(10)式と(11)式により表される。fv_estは粘性摩擦係数、fc_estはクーロン摩擦係数、signは符号関数である。
Tv_est=ωest・fv_est …(10)
Tc_est=sign(ωest)・fc_est …(11)
【0050】
図10は、
図8に示す時刻t18以降に実行する誤差率推定値Jrate_estの推定処理に係る波形図である。波形は、上から順に速度指令値ωrefと速度推定値ωest、トルク指令値Trefと負荷機3のトルク推定値TL_est、係数ksw、誤差率推定値Jrate_estとフィルタ通過後の誤差率推定値Jrate_est_filt、粘性摩擦係数fv_est、クーロン摩擦係数fc_estを示している。
【0051】
ここで、速度指令値ωrefを減少の向き(第1の向き)に変化させる直前の速度推定値をωest_H、トルク指令値をTref_Hとし、速度指令値ωrefを増加の向き(第2の向き)に変化させる直前の速度推定値をωest_L、トルク指令値をTref_Lとする。負荷トルク推定部21は、(12)式および(13)式により粘性摩擦係数fv_estおよびクーロン摩擦係数fc_estを推定する。
fv_est=(Tref_H−Tref_L)/(ωest_H−ωest_L) …(12)
fc_est=(Tref_H・ωest_L−Tref_L・ωest_H)/(−ωest_H+ωest_L)
…(13)
【0052】
これに替えて、速度指令値ωrefを減少の向きに変化させる直前のD軸電流検出値IdとQ軸電流検出値Iqに基づいて算出したトルク推定値をTest_H、速度指令値ωrefを増加の向きに変化させる直前のD軸電流検出値IdとQ軸電流検出値Iqに基づいて算出したトルク推定値をTest_Lとし、(14)式および(15)式により粘性摩擦係数fv_estおよびクーロン摩擦係数fc_estを推定してもよい。
fv_est=(Test_H−Test_L)/(ωest_H−ωest_L) …(14)
fc_est=(Test_H・ωest_L−Test_L・ωest_H)/(−ωest_H+ωest_L)
…(15)
【0053】
負荷トルク推定部21は、慣性モーメントおよび制御ゲインの調整機能が選択されて速度指令生成部6が速度指令値ωrefの増減を開始すると、粘性摩擦係数fv_estとクーロン摩擦係数fc_estの推定演算を開始する。例えば、時刻t23とt24の間では、時刻t22に得た速度推定値ωest_Hとトルク指令値Tref_Hおよび時刻t23に得た速度推定値ωest_Lとトルク指令値Tref_Lを用いて粘性摩擦係数fv_estとクーロン摩擦係数fc_estを推定する。この推定結果を用いて負荷機3のトルク推定値TL_estを演算し、係数kswがHレベルの期間に限り誤差率推定値Jrate_estの収束演算を実行する。
【0054】
本実施形態によれば、負荷機3の負荷トルクが未知の場合であっても負荷トルクを推定でき、それを用いて誤差率推定値Jrate_estすなわち慣性モーメントを推定できる。これにより、慣性モーメントの推定精度を高めることができる。その他、上述した各実施形態の作用および効果が得られる。
【0055】
(その他の実施形態)
以上説明した複数の実施形態に加えて以下のような構成を採用してもよい。
第2の実施形態で説明した慣性モーメント推定部32に対しても、第4の実施形態と同様にスイッチ42およびフィルタ44を追加してもよい。第3の実施形態に対しても第4の実施形態を適用できる。
【0056】
各実施形態において、慣性モーメント推定部12、32、41の逆数器27は省略してもよい。慣性モーメント推定部12、32、41は、加減速トルク差分ΔTに応じた誤差率推定値Jrate_estを出力する構成であれば、上述した構成に限られない。
【0057】
第4の実施形態において、逆数器27とスイッチ42に替えて(16)式に示す補正器を備えてもよい。
αest_mod=αest/(1+αest
2) …(16)
この補正器の出力値αest_modは、速度微分値αestが所定のしきい値以上の範囲で逆数1/αestにほぼ等しくなり、速度微分値αestが上記しきい値未満の範囲でαestにほぼ等しくなる。この補正器を用いて誤差率推定値Jrate_estの収束演算を行うと、加減速トルクが小さくなる範囲において、加減速トルク差分ΔTに乗じる推定ゲインが低下するので、誤差率推定値Jrate_estの誤差の増大を防止する効果が得られる。
【0058】
以上説明した実施形態によれば、負荷機3にトルクが生じていても、電動機2のロータの慣性モーメントと負荷機3の慣性モーメントとを合わせた慣性モーメントを正確に推定できる。速度制御部9は、慣性モーメント推定値に基づいて制御定数を調整するので、速度応答を最適化できる。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。