(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6014404
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】漏電検出装置
(51)【国際特許分類】
G01R 31/02 20060101AFI20161011BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20161011BHJP
H01M 10/42 20060101ALI20161011BHJP
H02H 3/16 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
G01R31/02
H01M10/48 P
H01M10/42 P
H02H3/16 A
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-169790(P2012-169790)
(22)【出願日】2012年7月31日
(65)【公開番号】特開2014-29293(P2014-29293A)
(43)【公開日】2014年2月13日
【審査請求日】2015年5月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000141901
【氏名又は名称】株式会社ケーヒン
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 誠二
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真一
【審査官】
濱本 禎広
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−080106(JP,A)
【文献】
特開2004−212376(JP,A)
【文献】
特開平07−020185(JP,A)
【文献】
国際公開第01/063306(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/02−31/07
H01M 10/42,10/48
H02H 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端がバッテリの正極端子に接続された第1保護抵抗と、
一端が前記第1保護抵抗の他端に接続された第1検出抵抗と、
一端が前記第1検出抵抗の他端に接続された第2検出抵抗と、
一端が前記第2検出抵抗の他端に接続され、他端が前記バッテリの負極端子に接続された第2保護抵抗と、
前記第2検出抵抗の一端に接続された車体グランドと、を備え、
前記車体グランドから絶縁されたバッテリの漏電を検出する漏電検出装置において、
任意のタイミングで前記第2検出抵抗の一端に基準電圧を印加するためのスイッチと、
前記スイッチの制御により前記第2検出抵抗の一端に基準電圧を印加した状態で、前記第1検出抵抗の一端の電圧を第1電圧として検出すると共に前記第2検出抵抗の他端の電圧を第2電圧として検出し、前記第1及び第2電圧の検出値に基づいて、前記バッテリの中点における漏電の有無を判定する漏電判定回路と、
を備えることを特徴とする漏電検出装置。
【請求項2】
前記漏電判定回路は、前記第2検出抵抗の一端に基準電圧を印加した状態で、前記第1及び第2電圧を検出し、前記第1電圧が第1閾値以上且つ前記第2電圧が第2閾値未満の場合に前記バッテリの中点に漏電有りと判定することを特徴とする請求項1に記載の漏電検出装置。
【請求項3】
前記漏電判定回路は、前記第2検出抵抗の一端に基準電圧を印加していない状態で、前記第1及び第2電圧を検出し、前記第1及び第2電圧の検出値に基づいて、前記バッテリの正極側或いは負極側における漏電の有無を判定することを特徴とする請求項1または2に記載の漏電検出装置。
【請求項4】
前記漏電判定回路は、前記第2検出抵抗の一端に基準電圧を印加していない状態で、前記第1及び第2電圧を検出し、前記第1電圧が第3閾値以上且つ前記第2電圧が第4閾値以上の場合に前記バッテリの負極側に漏電有りと判定する一方、前記第1電圧が前記第3閾値未満且つ前記第2電圧が前記第4閾値未満の場合に前記バッテリの正極側に漏電有りと判定することを特徴とする請求項3に記載の漏電検出装置。
【請求項5】
前記第2検出抵抗の一端と前記車体グランドとの間に配置された第3保護抵抗を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の漏電検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漏電検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、電気自動車やハイブリッド自動車などの車両には、動力源となるモータと、該モータに電力を供給する高電圧・大容量のバッテリが搭載されている。この高圧バッテリは、リチウムイオン電池或いは水素ニッケル電池等からなる電池セルを直列に複数接続して構成されるものである。このようなモータ駆動用の高圧バッテリは、安全上、車体グランドから絶縁されているため、高圧バッテリと車体グランド間の絶縁破壊を検出する(つまり漏電を検出する)ことは極めて重要である。
【0003】
下記特許文献1には、バッテリの正極側及び負極側のそれぞれに直列に接続された複数の保護抵抗及び2個の検出抵抗と、保護抵抗の両端を短絡または開放する複数のスイッチとを設け、互いに接続されてその接続部が車体グランドに接地された2個の検出抵抗の両端電圧またはそこに流れる電流の測定値から漏電を検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−308185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の技術では、バッテリの中点で漏電が発生した場合(つまりバッテリの中点と車体グランド間に絶縁破壊が生じた場合)、バッテリの中点電圧と、2個の検出抵抗の両端電圧とが一致するため、漏電を検出できない可能性がある。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、バッテリの中点で発生した漏電を精度良く検出することの可能な漏電検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では、漏電検出装置に係る第1の解決手段として、一端がバッテリの正極端子に接続された第1保護抵抗と、一端が前記第1保護抵抗の他端に接続された第1検出抵抗と、一端が前記第1検出抵抗の他端に接続された第2検出抵抗と、一端が前記第2検出抵抗の他端に接続され、他端が前記バッテリの負極端子に接続された第2保護抵抗と、前記第2検出抵抗の一端に接続された車体グランドと、を備え、前記車体グランドから絶縁されたバッテリの漏電を検出する漏電検出装置において、任意のタイミングで前記第2検出抵抗の一端に基準電圧を印加するためのスイッチと、前記スイッチの制御により前記第2検出抵抗の一端に基準電圧を印加した状態で、前記第1検出抵抗の一端の電圧を第1電圧として検出すると共に前記第2検出抵抗の他端の電圧を第2電圧として検出し、前記第1及び第2電圧の検出値に基づいて、前記バッテリの中点における漏電の有無を判定する漏電判定回路とを備える、という手段を採用する。
【0008】
また、本発明では、漏電検出装置に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記漏電判定回路は、前記第2検出抵抗の一端に基準電圧を印加した状態で、前記第1及び第2電圧を検出し、前記第1電圧が第1閾値以上且つ前記第2電圧が第2閾値未満の場合に前記バッテリの中点に漏電有りと判定する、という手段を採用する。
【0009】
また、本発明では、漏電検出装置に係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、前記漏電判定回路は、前記第2検出抵抗の一端に基準電圧を印加していない状態で、前記第1及び第2電圧を検出し、前記第1及び第2電圧の検出値に基づいて、前記バッテリの正極側或いは負極側における漏電の有無を判定する、という手段を採用する。
【0010】
また、本発明では、漏電検出装置に係る第4の解決手段として、上記第3の解決手段において、前記漏電判定回路は、前記第2検出抵抗の一端に基準電圧を印加していない状態で、前記第1及び第2電圧を検出し、前記第1電圧が第3閾値以上且つ前記第2電圧が第4閾値以上の場合に前記バッテリの負極側に漏電有りと判定する一方、前記第1電圧が前記第3閾値未満且つ前記第2電圧が前記第4閾値未満の場合に前記バッテリの正極側に漏電有りと判定する、という手段を採用する。
【0011】
また、本発明では、漏電検出装置に係る第5の解決手段として、上記第1〜第4のいずれか一つの解決手段において、前記第2検出抵抗の一端と前記車体グランドとの間に配置された第3保護抵抗を備える、という手段を採用する。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る漏電検出装置において、前記第2検出抵抗の一端に基準電圧を印加した状態では、バッテリ中点と車体グランド間の絶縁抵抗が小さくなるほど、第1電圧は上昇する一方、第2電圧は下降するという特徴的な現象が発生する。従って、これら第1及び第2電圧の検出値に基づいて、バッテリの中点における漏電の有無を判定することにより、バッテリの中点で発生した漏電を精度良く検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態に係る漏電検出装置1の概略構成図である。
【
図2】スイッチSWがオフの状態で高圧バッテリBTの正極側に漏電が発生した場合に、漏電検出装置1にどのような経路で電流が流れるかを示した図(a)と、その経路で電流が流れた場合における、第1電圧VH、第2電圧VLと絶縁抵抗RL_Hとの関係を示す図(b)である。
【
図3】スイッチSWがオフの状態で高圧バッテリBTの負極側に漏電が発生した場合に、漏電検出装置1にどのような経路で電流が流れるかを示した図(a)と、その経路で電流が流れた場合における、第1電圧VH、第2電圧VLと絶縁抵抗RL_Lとの関係を示す図(b)である。
【
図4】スイッチSWがオンの状態で高圧バッテリBTの中点に漏電が発生した場合に、漏電検出装置1にどのような経路で電流が流れるかを示した図(a)と、その経路で電流が流れた場合における、第1電圧VH、第2電圧VLと絶縁抵抗RL_Mとの関係を示す図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る漏電検出装置1の概略構成図である。この漏電検出装置1は、車体グランドBGから絶縁されたモータ駆動用の高圧バッテリBTの漏電を検出するものであり、第1検出抵抗R1、第2検出抵抗R2、第1保護抵抗R3、第2保護抵抗R4、第3保護抵抗R5、スイッチSW、漏電判定回路10を備えている。
【0015】
第1保護抵抗R3は、一端が高圧バッテリBTの正極端子に接続され、他端が第1検出抵抗R1の一端に接続されている。第1検出抵抗R1は、一端が第1保護抵抗R3の他端に接続され、他端が第2検出抵抗R2の一端に接続されている。第2検出抵抗R2は、一端が第1検出抵抗R1の他端に接続され、他端が第2保護抵抗R4の一端に接続されている。第2保護抵抗R4は、一端が第2検出抵抗R2の他端に接続され、他端が高圧バッテリBTの負極端子に接続されている。第3保護抵抗R5は、一端が第1検出抵抗R1の他端及び第2検出抵抗R2の一端に接続され、他端が車体グランドBGに接続されている。
【0016】
スイッチSWは、例えばMOSFETなど、任意のタイミングで第2検出抵抗R2の一端(第1検出抵抗R1と第2検出抵抗R2との接続点)に基準電圧Vrefを印加するための半導体スイッチング素子である。具体的には、スイッチSWの一端は第2検出抵抗R2の一端に接続され、他端は基準電圧Vrefが印加されている基準電圧線に接続されている。なお、この基準電圧Vrefは、漏電検出装置1の内部回路で生成したものでも良いし、或いは外部装置から供給されるものでも良い。
【0017】
漏電判定回路10は、第1検出抵抗R1の一端の電圧を第1電圧VHとして検出すると共に、第2検出抵抗R2の他端の電圧を第2電圧VLとして検出し、これら第1及び第2電圧VH、VLの検出値に基づいて、高圧バッテリBTにおける漏電の有無を判定するものであり、第1増幅回路11、第2増幅回路12及びマイクロコンピュータ(以下、マイコンと略す)13を備えている。
【0018】
第1増幅回路11は、例えばオペアンプ等であり、第1電圧VHを増幅してマイコン13に出力する。第2増幅回路12は、例えばオペアンプ等であり、第2電圧VLを増幅してマイコン13に出力する。マイコン13は、第1増幅回路11から入力される第1電圧VHと、第2増幅回路12から入力される第2電圧VLとをデジタル値に変換し、このデジタル値、つまり第1及び第2電圧VH、VLの検出値に基づいて、高圧バッテリBTにおける漏電の有無を判定する。また、このマイコン13は、スイッチSWのオン/オフを制御する機能も有している。
【0019】
以下、上記のように構成された漏電検出装置1の動作について説明する。
漏電検出装置1のマイコン13は、漏電検出処理を開始すると、まず、スイッチSWをオフに制御した状態(つまり、第2検出抵抗R2の一端に基準電圧Vrefを印加していない状態)で、第1増幅回路11から入力される第1電圧VHと、第2増幅回路12から入力される第2電圧VLとをデジタル値に変換することにより、第1及び第2電圧VH、VLの検出値を得る。
【0020】
図2(a)は、スイッチSWがオフの状態で高圧バッテリBTの正極側に漏電が発生した場合に、漏電検出装置1の内部において、どのような経路で電流が流れるかを示したものである。なお、
図2(a)において、符号RL_Hは、高圧バッテリBTの正極端子と車体グランドBG間の絶縁抵抗を示している。
【0021】
この
図2(a)に示すように、スイッチSWがオフの状態で高圧バッテリBTの正極側に漏電が発生した場合、高圧バッテリBTの正極端子→絶縁抵抗RL_H→車体グランドBG→第3保護抵抗R5→第2検出抵抗R2→第2保護抵抗R4→高圧バッテリBTの負極端子、という経路と、高圧バッテリBTの正極端子→第1保護抵抗R3→第1検出抵抗R1→第2検出抵抗R2→第2保護抵抗R4→高圧バッテリBTの負極端子、という経路で電流が流れる。
【0022】
図2(b)は、上記のような経路で電流が流れた場合における、第1電圧VH、第2電圧VLと絶縁抵抗RL_Hとの関係を示す図である。この
図2(b)に示すように、絶縁抵抗RL_Hが小さくなるほど、第1電圧VH及び第2電圧VLは、一定の大小関係(VH>VL)を保ったまま下降する。このような現象を利用することにより、第1電圧VH及び第2電圧VLが、それぞれ閾値を下回った場合に、高圧バッテリBTの正極側で漏電が発生したと判定することができる。
【0023】
つまり、マイコン13は、
図2(b)に示すように、スイッチSWをオフに制御した状態で得た第1電圧VHが閾値VH_th1(第3閾値)未満で且つ第2電圧VLが閾値VL_th1(第4閾値)未満の場合に、高圧バッテリBTの正極側に漏電有りと判定し、その判定結果を外部に出力する。なお、
図2(b)に示すように、閾値VH_th1は、値VL_th1より高く設定されている。
【0024】
図3(a)は、スイッチSWがオフの状態で高圧バッテリBTの負極側に漏電が発生した場合に、漏電検出装置1の内部において、どのような経路で電流が流れるかを示したものである。なお、
図3(a)において、符号RL_Lは、高圧バッテリBTの負極端子と車体グランドBG間の絶縁抵抗を示している。
【0025】
この
図3(a)に示すように、スイッチSWがオフの状態で高圧バッテリBTの負極側に漏電が発生した場合、高圧バッテリBTの正極端子→第1保護抵抗R3→第1検出抵抗R1→第2検出抵抗R2→第2保護抵抗R4→高圧バッテリBTの負極端子、という経路と、高圧バッテリBTの負極端子→絶縁抵抗RL_L→車体グランドBG→第3保護抵抗R5→第2検出抵抗R2→第2保護抵抗R4→高圧バッテリBTの負極端子、という経路で電流が流れる。
【0026】
図3(b)は、上記のような経路で電流が流れた場合における、第1電圧VH、第2電圧VLと絶縁抵抗RL_Lとの関係を示す図である。この
図3(b)に示すように、絶縁抵抗RL_Lが小さくなるほど、第1電圧VH及び第2電圧VLは、一定の大小関係(VH>VL)を保ったまま上昇する。このような現象を利用することにより、第1電圧VH及び第2電圧VLが、それぞれ閾値以上となった場合に、高圧バッテリBTの負極側で漏電が発生したと判定することができる。
【0027】
つまり、マイコン13は、
図3(b)に示すように、スイッチSWをオフに制御した状態で得た第1電圧VHが閾値VH_th1以上で且つ第2電圧VLが閾値VL_th1以上の場合に、高圧バッテリBTの負極側に漏電有りと判定し、その判定結果を外部に出力する。
【0028】
ところで、上記のように、スイッチSWがオフの状態では、高圧バッテリBTの正極側或いは負極側に発生した漏電を検出することができるが、
図4(a)に示すように、高圧バッテリBTの中点で漏電が発生した場合、第1電圧VHと第2電圧VLが等しくなるため、漏電の有無を判定できない。そこで、マイコン13は、スイッチSWをオフに制御した状態で得た第1及び第2電圧VH、VLの検出値が等しい場合、スイッチSWをオンに切替える。
【0029】
そして、マイコン13は、スイッチSWをオンに制御した状態(つまり、第2検出抵抗R2の一端に基準電圧Vrefを印加した状態)で、第1増幅回路11から入力される第1電圧VHと、第2増幅回路12から入力される第2電圧VLとをデジタル値に変換することにより、新たに第1及び第2電圧VH、VLの検出値を得る。
【0030】
図4(a)は、スイッチSWがオンの状態で高圧バッテリBTの中点に漏電が発生した場合に、漏電検出装置1の内部において、どのような経路で電流が流れるかを示したものである。なお、
図4(a)において、符号RL_Mは、高圧バッテリBTの中点と車体グランドBG間の絶縁抵抗を示している。
【0031】
この
図4(a)に示すように、スイッチSWがオンの状態で高圧バッテリBTの中点に漏電が発生した場合、高圧バッテリBTの中点→絶縁抵抗RL_M→車体グランドBG→第3保護抵抗R5→第2検出抵抗R2→第2保護抵抗R4→高圧バッテリBTの負極端子、という経路と、高圧バッテリBTの正極端子→第1保護抵抗R3→第1検出抵抗R1→第2検出抵抗R2→第2保護抵抗R4→高圧バッテリBTの負極端子、という経路で電流が流れる。また、スイッチSWがオンとなるこことにより、第2検出抵抗R2の一端に基準電圧Vrefが印加される。
【0032】
図4(b)は、上記のような経路で電流が流れた場合における、第1電圧VH、第2電圧VLと絶縁抵抗RL_Mとの関係を示す図である。この
図4(b)に示すように、絶縁抵抗RL_Mが小さくなるほど、第1電圧VHは上昇する一方、第2電圧VLは下降する。このような現象を利用することにより、第1電圧VHが閾値以上となり、且つ第2電圧VLが閾値未満となった場合に、高圧バッテリBTの中点で漏電が発生したと判定することができる。
【0033】
つまり、マイコン13は、
図4(b)に示すように、スイッチSWをオンに制御した状態で得た第1電圧VHが閾値VH_th2(第1閾値)以上で且つ第2電圧VLが閾値VL_th2(第2閾値)未満の場合に、高圧バッテリBTの中点に漏電有りと判定し、その判定結果を外部に出力する。なお、マイコン13は、スイッチSWをオンに切替えた時、閾値VH_th2を閾値VH_th1より高く設定し、閾値VL_th2を閾値VL_th1より高く設定する。
【0034】
以上のように、本実施形態に係る漏電検出装置1によれば、高圧バッテリBTの漏電を検出することができ、特に従来では検出が困難であった高圧バッテリBTの中点で発生した漏電を精度良く検出することが可能となる。
【0035】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、
図1では、第1検出抵抗R1、第2検出抵抗R2、第1保護抵抗R3、第2保護抵抗R4及び第3保護抵抗R5が、それぞれあたかも一つの抵抗素子からなるように図示しているが、直列接続或いは並列接続された複数の抵抗素子からなるようにしても良い。
【符号の説明】
【0036】
1…漏電検出装置、R1…第1検出抵抗、R2…第2検出抵抗、R3…第1保護抵抗、R4…第2保護抵抗、R5…第3保護抵抗、SW…スイッチ、10…漏電判定回路、BT…高圧バッテリ