特許第6014409号(P6014409)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6014409-飛灰の処理方法及び処理装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6014409
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】飛灰の処理方法及び処理装置
(51)【国際特許分類】
   G21F 9/28 20060101AFI20161011BHJP
   G21F 9/06 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   G21F9/28 521A
   G21F9/28 Z
   G21F9/06 521A
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-174788(P2012-174788)
(22)【出願日】2012年8月7日
(65)【公開番号】特開2014-35193(P2014-35193A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2014年6月25日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000192590
【氏名又は名称】株式会社神鋼環境ソリューション
(73)【特許権者】
【識別番号】598015084
【氏名又は名称】学校法人福岡大学
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(74)【代理人】
【識別番号】100171310
【弁理士】
【氏名又は名称】日東 伸二
(72)【発明者】
【氏名】谷田 克義
(72)【発明者】
【氏名】野下 昌伸
(72)【発明者】
【氏名】西尾 弘伸
(72)【発明者】
【氏名】上田 豊
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 正男
(72)【発明者】
【氏名】前背戸 智晴
(72)【発明者】
【氏名】大迫 政浩
(72)【発明者】
【氏名】蛯江 美孝
(72)【発明者】
【氏名】樋口 壯太郎
【審査官】 藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−103436(JP,A)
【文献】 特開2005−103435(JP,A)
【文献】 特開2013−101098(JP,A)
【文献】 特開2006−110508(JP,A)
【文献】 特開2006−175410(JP,A)
【文献】 (独)国立環境研究所 資源循環・廃棄物研究センター,8,000Bq/Kg超のばいじんの洗浄技術について,災害廃棄物安全評価検討会(第12回) 配付資料,日本,(独) 国立環境研究所 資源循環・廃棄物研究センター,2012年 3月12日,http://www.env.go.jp/jishin/attach/haikihyouka_kentokai/12-mat_5.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 9/06
G21F 9/12
G21F 9/28
G21F 9/30
B09B 1/00−5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性セシウムを含有する飛灰と水とを混合して放射性セシウムを溶出させる工程と、
前記溶出させる工程で得られた溶出液を、フィルタープレスで固液分離することにより第1分離液を得る工程と、
前記第1分離液を得る工程で得られる前記フィルタープレス内の脱水ケーキに、水を供給する工程と、
前記供給する工程で水が含有された脱水ケーキを、前記フィルタープレスで固液分離することにより第2分離液を得る工程と、
前記第1分離液及び前記第2分離液中の放射性セシウムを吸着材に吸着して処理水を得る工程とを備え、
前記供給する工程では、前記脱水ケーキの体積の3倍以上9倍以下の体積の水を供給し、
前記処理水を、前記溶出させる工程の水、及び、前記供給する工程の水の少なくとも何れか一方の水として利用する、飛灰の処理方法。
【請求項2】
前記処理水を、塩分が低減された処理水と、塩分とに固化装置で分離する工程を更に備え、
前記塩分が低減された処理水を、前記溶出させる工程の水、又は、前記供給する工程の水として利用する、請求項1に記載の飛灰の処理方法。
【請求項3】
前記第1分離液及び前記第2分離液を逆浸透膜装置に供給して、ろ過処理により透過水及び濃縮水を生成する工程を更に備え、
前記処理水を得る工程では、前記濃縮水中の放射性セシウムを前記吸着材に吸着して前記処理水を得る、請求項1又は2に記載の飛灰の処理方法。
【請求項4】
放射性セシウムを含有する飛灰と水とを混合して、放射性セシウムを溶出させることで溶出液を形成する混合槽と、
前記混合槽で得られる溶出液を固液分離することにより第1分離液を得るフィルタープレスと、
前記フィルタープレス内の脱水ケーキに、前記脱水ケーキの体積の3倍以上9倍以下の体積の水を供給する供給部とを備え
前記フィルタープレスが、前記供給部によって供給された水が含有された脱水ケーキを固液分離することにより第2分離液を得るように構成されており、
前記第1分離液及び前記第2分離液中の放射性セシウムを吸着材で吸着して処理水を得る吸着塔を更に備え、
前記処理水を、前記混合槽及び前記フィルタープレスの少なくとも何れか一方に供給するように構成された、飛灰の処理装置。
【請求項5】
前記処理水を、固化装置で塩分が低減された処理水と、塩分とに分離する分離装置を更に備え、
前記固化装置で塩分が低減された処理水を、前記混合槽及び前記フィルタープレスの少なくとも何れか一方に供給するように構成された、請求項4に記載の飛灰の処理装置。
【請求項6】
前記第1分離液及び前記第2分離液が供給され、ろ過処理により透過水及び濃縮水を生成する逆浸透膜装置を更に備え、
前記吸着塔は、前記濃縮水中の放射性セシウムを前記吸着材で吸着して前記処理水を得るように構成されている、請求項4又は5に記載の飛灰の処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛灰の洗浄方法、処理方法、洗浄装置及び処理装置に関し、より特定的には、放射性セシウムを含有する飛灰の洗浄方法、処理方法、洗浄装置及び処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、汚泥、ごみなどを焼却して生成される飛灰中に放射性セシウムが含有されている場合があり、このような飛灰を洗浄する必要が生じている。放射性セシウムを含有する飛灰を洗浄する方法として、例えば、非特許文献1及び非特許文献2に開示の以下の技術がある。また、塩素を含有する飛灰を洗浄する方法として、例えば特許文献1に開示の以下の技術がある。
【0003】
具体的には、特許文献1には、塩素化合物を含む飛灰洗浄方式として、溶出と固液分離と脱水とをそれぞれ3回行うことによって、除去したい物質を溶出させる技術が開示されている。
【0004】
また、非特許文献1には、灰洗浄方法として、飛灰と水とが溶解槽に供給され、その後に洗浄装置に供給され、さらにフィルタープレスにより脱水ケーキが生成される技術が開示されている。
【0005】
また、非特許文献2には、放射性セシウムが含有されている飛灰を溶媒中(蒸留水)に溶出させて溶出率を確認する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4329906号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】(独)国立環境研究所 資源循環・廃棄物研究センター、“8,000Bq/kg超のばいじんの洗浄技術について”、[online]平成24年3月17日、環境省、[平成24年6月8日検索]、インターネット<URL: http://www.env.go.jp/jishin/attach/haikihyouka_kentokai/12-mat_5.pdf>
【非特許文献2】(独)国立環境研究所 資源循環・廃棄物研究センター、“放射性物質の挙動からみた適正な廃棄物処理処分(技術資料)”、[online]平成23年12月2日、[平成24年7月12日検索]、インターネット<URL: http://www.env.go.jp/jishin/attach/haikihyouka_kentokai/10-mat_3.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記非特許文献1に開示された灰洗浄方式では、放射性セシウムにより、溶解槽、洗浄装置及びフィルタープレスが汚染される。
また、上記特許文献1に開示された飛灰洗浄方式においては、溶出、固液分離、及び脱水を3回行っている。このため、飛灰の洗浄の効率が悪い。
また、上記非特許文献2には、1回の溶出操作での溶出率は47%で、2回の溶出操作での溶出率は60%であることが開示されている。溶出率が低い場合には、飛灰を十分に洗浄することができない。飛灰を十分に洗浄するために、溶出率を高くするためには、溶出、固液分離、及び脱水を多数回行う必要がある。なお、上記非特許文献2には、5回の溶出操作をしても、溶出率は78%であることが開示されている。このため、飛灰の洗浄の効率が悪い。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑み、飛灰を洗浄または処理する際に、放射性セシウムにより汚染される機器を低減することができると共に、洗浄の効率を向上できる、飛灰の洗浄方法、処理方法、洗浄装置及び処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の飛灰の洗浄方法は、放射性セシウムを含有する飛灰と水とを混合して放射性セシウムを溶出させる工程と、該溶出させる工程で得られた溶出液を、フィルタープレスで固液分離する工程と、該固液分離する工程で得られる該フィルタープレス内の脱水ケーキに、水を供給する工程と、該供給する工程で水が含有された脱水ケーキを該フィルタープレスで固液分離する工程とを備え、供給する工程では、該脱水ケーキの体積の3倍以上9倍以下の体積の水を供給する。
【0011】
本発明の飛灰の洗浄装置は、放射性セシウムを含有する飛灰と水とを混合して、放射性セシウムを溶出させることで溶出液を形成する混合槽と、該混合槽で得られる溶出液を固液分離するフィルタープレスと、該フィルタープレス内の脱水ケーキに、該脱水ケーキの体積の3倍以上9倍以下の体積の水を供給する供給部とを備えている。
【0012】
非特許文献2には、放射性セシウムの存在形態のうち、約8割が水に溶解しやすい塩化セシウムとして存在し、約2割が水に溶解しない又は溶解しにくいセシウム化合物として存在することが開示されている。しかし、1回の溶出操作での溶出率は47%、2回の溶出操作での溶出率は60%であり、1回または2回の溶出操作では溶出率は低く、溶出操作の数をさらに重ねないと80%まで溶出させることができない。よって、従来は、飛灰中の放射性セシウムを水に十分溶解させるには溶出操作を3回以上繰り返すか、2次洗浄装置を設ける、或いは両方を行うことが考えられていた。
そして、飛灰中の放射性セシウムを水に溶解させるために、溶出液がフィルタープレスで圧縮されてなる脱水ケーキに、3倍以上9倍以下の体積の水を供給することにより、上記の方法よりも効率よく、飛灰中の放射性セシウムを水に十分溶解させることができることを本発明者は見出した。供給する水の体積が脱水ケーキの体積の3倍未満の場合には、放射性セシウムが十分に溶出されず、供給する水の体積が脱水ケーキの体積の9倍を超える場合には、供給水量が過剰になり、フィルタープレスで分離された分離液が増加し、分離液の処理の効率が悪くなる。
このように、フィルタープレス内の脱水ケーキに、該脱水ケーキの体積の3倍以上9倍以下の体積の水を供給するので、飛灰中の放射性セシウムを水に溶解させるために要する機器を、洗浄装置を省略して、飛灰と水とを混合する混合槽のみにしても、飛灰中の放射性セシウムを水に十分溶解させることができる。このため、混合槽と固液分離装置との間に配置される洗浄装置を省略しても、飛灰を十分に洗浄できる。
以上より、本発明の飛灰の洗浄方法及び洗浄装置は、飛灰を洗浄または処理する際に、放射性セシウムにより汚染される機器を低減することができると共に、洗浄の効率を向上できる。
【0013】
ここで、本明細書において、混合槽とは、飛灰と水とを混合して溶解する槽を意味する。非特許文献1の洗浄装置とは、飛灰を溶解させた液に空気でせん断力を与えて洗浄する装置を意味する。つまり、本発明の混合槽は、非特許文献1の溶解槽とほぼ同様であるとともに、非特許文献1の洗浄装置とは、空気でせん断力を与えない点において異なる。
【0014】
本発明の飛灰の処理方法は、上記飛灰の洗浄方法により飛灰を洗浄する工程と、上記固液分離して得られた分離液を逆浸透(RO)膜装置に供給して、ろ過処理により透過水及び濃縮水を生成する工程と、該濃縮水中の放射性セシウムを吸着材に吸着する工程とを備えている。
【0015】
本発明の飛灰の処理装置は、上記飛灰の洗浄装置と、上記固液分離装置で得られる分離液が供給され、ろ過処理により透過水及び濃縮水を生成する逆浸透(RO)膜装置と、該濃縮水中の放射性セシウムを吸着する吸着材を含む吸着塔とを備えている。
【0016】
本発明の飛灰の処理方法及び処理装置によれば、RO膜装置での放射性セシウムのろ過処理で、放射性セシウムを含有する濃縮水を生成でき、この濃縮水中の放射性セシウムを吸着材に吸着させることができる。このため、飛灰に含有される放射性セシウムを吸着材に吸着させることができる。このように、本発明の飛灰の処理方法及び処理装置は、混合槽と固液分離装置との間に配置される洗浄装置等の機器を省略しても、飛灰中の放射性セシウムを効率よく処理することができる。よって、飛灰を洗浄または処理する際に、放射性セシウムにより汚染される機器を低減することができると共に、洗浄の効率を向上することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、飛灰を洗浄または処理する際に、放射性セシウムにより汚染される機器を低減することができると共に、洗浄の効率を向上できる、飛灰の洗浄方法、処理方法、洗浄装置及び処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態における飛灰の洗浄方法、処理方法、洗浄装置及び処理装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
まず、図1を参照して、本発明の一実施の形態における飛灰の洗浄装置1及び処理装置10について説明する。
【0020】
図1に示すように、本実施の形態における飛灰の洗浄装置1は、混合槽2と、固液分離装置3と、供給部4を備えている。本実施の形態における飛灰の処理装置10は、洗浄装置1と、調整槽11と、沈殿槽12と、除濁装置13と、加圧部14と、逆浸透(RO)膜装置15と、吸着塔16と、捕獲部17と、遮蔽部18と、処理水槽19と、固化装置20とを備えている。
【0021】
混合槽2は、放射性セシウムを含有する飛灰Aと、水Bとが供給され、飛灰Aと水Bとを混合して溶出液を形成する。混合槽2は、飛灰A中の放射性セシウムを水Bに溶解する。なお、水Bは、特に限定されないが、例えば、水道水、工水、純水、地下水、各種排水の再処理水などを利用できる。
【0022】
混合槽2は、供給される飛灰Aと水Bとを混合及び撹拌するための撹拌部材を有していてもよい。また、混合槽2は、複数の槽を含んでいてもよい。
【0023】
混合槽2は、飛灰Aと水Bを混合して溶解する槽であり、飛灰Aを溶解させた液に空気でせん断力を与えない。
【0024】
固液分離装置3は混合槽2と接続され、固液分離装置3と混合槽2との間には、洗浄装置、分級装置、脱水装置などの機器は配置されていない。つまり、混合槽2と固液分離装置3との間には、それらを接続する部材のみが配置されており、混合槽2で形成される溶出液を固液分離装置3へ移送するためのポンプ、貯留槽等は配置されていてもよい。
【0025】
固液分離装置3は、混合槽2で得られる溶出液を固液分離するフィルタープレスである。固液分離装置3は、溶出液を、脱水ケーキと、放射性セシウムを含む分離液とに固液分離するとともに、後述する供給部4から水が供給された脱水ケーキ(溶出液)を、脱水ケーキと、放射性セシウムを含む分離液とに固液分離する。供給部4から水が供給された脱水ケーキを脱水して得られる脱水ケーキは、洗浄された飛灰(洗浄飛灰C)である。
【0026】
フィルタープレスは、特に限定されないが、例えば、金属や樹脂製の凹凸のある中心に穴のあいたろ板にろ布を張ったものを直列に密着させたもので、溶出液がポンプなどでろ板中心の穴から加圧圧入され、水分(分離液)のみが2枚のろ板の隙間のろ布の目から外へ排出され、ろ板間(ろ布とろ布との間)に脱水ケーキが形成されるものである。
【0027】
供給部4は、固液分離装置3内の脱水ケーキに、脱水ケーキの体積の3倍以上9倍以下、好ましくは3倍以上8倍以下の体積の水を供給する。供給部4は、処理装置10の外部からの水を固液分離装置3に供給するように構成されていてもよく、後述するRO膜装置15で排出される透過水Dを固液分離装置3に供給するように構成されていてもよい。なお、供給部4から供給する水が処理装置10の外部から導入される場合、例えば、水道水、工水、純水、地下水、各種排水の再処理水などを利用できる。
【0028】
調整槽11は、固液分離装置3の分離液排出部と接続され、固液分離装置3で生成される放射性セシウムを含有する分離液を貯留する。調整槽11は、複数の槽を含んでいてもよい。
【0029】
沈殿槽12は、調整槽11と接続され、分離液に固形物が混じっている場合に、分離液中の粗い固形物(除濁装置13で分離するよりも粗い固形物)を凝集沈殿させる。沈殿槽12により、分離液中の粗い固形物が低減される。沈殿槽12は、複数の槽を含んでいてもよい。
【0030】
除濁装置13は、沈殿槽12と接続され、粗い固形物が低減された分離液をろ過するためのものであり、RO膜よりも粗いろ過、即ち、RO膜で分離するよりも粗い不純物(例えば沈殿槽12で除去できなかった固形物等)を除去するためのものであり、RO膜装置15の前処理装置である。除濁装置13は、例えば、砂ろ過である。
【0031】
加圧部14は、除濁装置13と接続され、除濁装置13から排出される粗い不純物が除去された分離液を浸透圧以上に加圧する。加圧部14は、例えば高圧ポンプである。
【0032】
RO膜装置15は、加圧部14と接続され、加圧された分離液が供給され、ろ過処理により透過水D及び濃縮水を生成する。透過水Dは、RO膜を透過した水であり、濃縮水は、RO膜を透過せず、放射性セシウムを含有する水である。このRO膜装置15において、RO膜によるろ過処理により、放射性セシウムが除去された透過水Dと、飛灰に含有されていた放射性セシウムが残留する濃縮水とが得られる。
【0033】
RO膜装置15は、例えば、RO膜と、このRO膜を収容する圧力容器とを有している。RO膜は、放射性セシウムを透過させないように構成されている。
【0034】
なお、処理装置10は、1組の加圧部14及びRO膜装置15を備えていてもよく、複数組の加圧部14及びRO膜装置15を備えていてもよい。処理装置10が複数組の加圧部14及びRO膜装置15を備えている場合には、並列に配置されていても直列に配置されていてもよいが、直列に配置されることが好ましい。
【0035】
RO膜装置15により得られる透過水Dの用途は特に限定されないが、固液分離装置3に供給されるように構成されることが好ましい。例えば、図1において透過水Dと固液分離装置3とを結ぶ点線で示されるように、RO膜装置15の透過水排出部と固液分離装置3とを配管等で接続することにより供給部4として機能し、透過水Dは飛灰の洗浄に用いられる。また、透過水Dは、例えば飛灰Aを洗浄する水Bとして用いてもよい。このように、処理装置10は、処理装置10で発生する水を処理装置10内で循環させるように構成されていることが好ましい。
【0036】
吸着塔16は、RO膜装置15の濃縮水排出部と接続され、濃縮水中の放射性セシウムを吸着して、処理水を生成する。吸着塔16は、放射性セシウムを吸着可能な吸着材を内部に収容する。吸着材は、放射性セシウムを吸着できれば特に限定されず、非放射性セシウムなどをさらに吸着できてもよい。このような吸着材は、例えば紺青、ゼオライトなどであり、紺青であることが好ましい。なお、紺青とは、フェロシアン化鉄(C18Fe718)やプルシアンブルーとも呼ばれ、紺青の担持物、紺青の造粒物などの紺青に由来した物を含む。
【0037】
捕獲部17は、吸着塔16から排出される吸着材を捕獲する。捕獲部17は、特に限定されないが、例えば、UF膜、沈殿装置などを用いることができ、捕獲性が高い観点からUF膜を用いることが好ましい。
【0038】
遮蔽部18は、吸着塔16及び捕獲部17を取り囲む。遮蔽部18は、例えばコンクリートであり、内部から外部へ放射線が漏れ出ないように構成されている。
【0039】
処理水槽19は、捕獲部17と接続され、捕獲部17で吸着材が除去された処理水を収容する。処理水槽19に収容された処理水は、放射性セシウムが低減されているが、塩分を有している。
【0040】
固化装置20は、処理水槽19と接続され、塩分が低減された処理水Eと、塩分Fとに分離する。固化装置20は、例えば蒸発装置である。得られた処理水Eは、透過水Dと同様に、飛灰Aの洗浄として、固液分離装置3に供給してもよく、水Bとして利用してもよい。処理水Eを固液分離装置3に供給する場合には、混合槽3から固液分離装置3に供給される溶出液の洗浄水としても用いてもよいが、固液分離装置3で脱水して得られる脱水ケーキの洗浄水として用いることが好ましい。処理水Eと透過水Dは不純物が少ない水であり、純水水質をもつことから、固液分離装置3のリンス水として使用することで、水道水や工水を使うよりもより多くのセシウムを効率的に溶出させることができる。
【0041】
続いて、本実施の形態における飛灰の洗浄方法及び処理方法について説明する。本実施の形態における飛灰の洗浄方法及び処理方法は、図1に示す飛灰の洗浄装置1及び処理装置10を用いて行う。
【0042】
まず、放射性セシウムを含有する飛灰Aと、水Bとを混合槽2に供給し、混合槽2において飛灰Aと水Bとを混合して溶出液を形成する。この工程では、飛灰A中の放射性セシウムを水Bに溶解する。
【0043】
次に、上記工程で得られる溶出液を、固液分離する。言い換えると、混合槽2で得た溶出液を、洗浄装置などの他の機器を介さずに、固液分離装置3に供給する。さらに言い換えると、上記溶出液を形成する工程後に、洗浄工程、分級工程などの他の工程を実施せずに、固液分離する工程を実施する。この固液分離する工程では、フィルタープレスを用いて、溶出液を固液分離する。この工程により、固形分としての脱水ケーキと、液体分としての放射性セシウムを含む分離液とに分離される。
【0044】
次に、上記固液分離する工程で得られる固液分離装置3であるフィルタープレス内の脱水ケーキに、水を供給する。この工程では、脱水ケーキの体積の3倍以上9倍以下、好ましくは3倍以上8倍以下の体積の水を供給する。脱水ケーキの体積に対する水の体積が3倍以上の場合、放射性セシウムが8割以上溶出される。脱水ケーキの体積に対する水の体積が9倍を超えても、9倍以下であっても、放射性セシウムの溶出量の差は同程度なので、9倍以下とすることにより、洗浄水量を低減できるので、分離液量を低減できることから、放射性セシウムを含有する分離液の処理効率を向上できる。
【0045】
次に、上記水を供給する工程で水が含有された脱水ケーキを、固液分離装置3で固液分離する。これにより、脱水ケーキである洗浄された飛灰(洗浄飛灰C)と、液体分としての放射性セシウムを含む分離液とに分離される。脱水完了後、フィルタープレスのろ板を開板し、脱水ケーキを排出する。
【0046】
以上の工程を実施することにより、飛灰A中の放射性セシウムを低減することができるので、飛灰Aを洗浄することができる。飛灰A中の放射性セシウムを処理する場合には、上記工程に続けて、以下の工程を実施する。
【0047】
固液分離により得られた放射性セシウムを含有する分離液を、調整槽11に移送する。
次に、調整槽11に貯留された分離液を沈殿槽12に移送して、分離液中に固形分が含まれている場合には、分離液中の固形物を凝集沈殿する。
【0048】
次に、沈殿槽12で沈殿処理された分離液を除濁装置13でろ過する。このろ過により、沈殿槽12で取り除かれなかった分離液中の固形物質等の粗い不純物を除去することができる。
【0049】
次に、除濁装置13で粗い不純物が除去された分離液を加圧部14で加圧する。分離液に加える圧力は特に限定されないが、RO膜装置15で放射性セシウムを除去した透過水Dを得るために必要な圧力を加える。
【0050】
次に、加圧部14で加圧した分離液を、RO膜装置15に供給して、RO膜を用いたろ過処理により透過水Dと濃縮水とに分離する。この工程により、放射性セシウムが除去された透過水Dと、飛灰に含有されていた放射性セシウムが残留する濃縮水とを生成する。
【0051】
なお、加圧部14及びRO膜装置15は、1段であってもよく、複数段であってもよい。2段の場合には、1段目の加圧部14で加圧された分離液を1段目のRO膜装置15でろ過処理し、得られる透過水を2段目の加圧部で加圧し、加圧された透過水を2段目のRO膜装置でろ過処理し、2段目のRO膜装置を透過した水を透過水Dとすることが好ましい。
【0052】
透過水Dは処理装置10の外部に放流してもよいが、処理装置10で発生する水を処理装置10内に循環させるクローズドシステムを採用することが好ましい。クローズドシステムでは、透過水Dを、洗浄液としてフィルタープレスに供給してもよく、水Bとして利用してもよい。
【0053】
次に、濃縮水中の放射性セシウムを吸着材に吸着する。この工程では、濃縮水を吸着塔16に供給して、吸着塔16内に収容された紺青、ゼオライトなどの吸着材に放射性セシウムを吸着させる。これにより、飛灰に含有されていた放射性セシウムを処理することができる。なお、放射性セシウムが吸着された吸着材は、所定の廃棄物処理が行われる。
【0054】
次に、吸着塔16から排出された吸着材等を捕獲する。この工程では、放射性セシウムを含む吸着材が吸着塔から排出された場合に、UF膜等の捕獲手段で、吸着材を捕獲する。
【0055】
上記吸着材に吸着する工程及び吸着材を捕獲する工程は、放射線を内部に遮蔽する遮蔽部18内で実施する。これにより、上記工程の実施中に、外部へ放射性セシウムが漏れることを抑制できる。
【0056】
次に、捕獲部17で吸着材が除去された処理水を処理水槽19に収容する。処理水槽19に収容された処理水は、放射性セシウムが低減されているが、塩分を有している。
【0057】
次に、処理水中の塩分を蒸発装置などの固化装置20で分離する。これにより、塩分が低減された処理水Eと、塩分Fとを生成することができる。なお、処理水Eを、固液分離装置3に供給してもよく、水Bとして利用してもよい。
【0058】
以上説明したように、本実施の形態の飛灰の洗浄方法は、放射性セシウムを含有する飛灰と水とを混合して放射性セシウムを溶出させる工程と、この溶出させる工程で得られた溶出液を、フィルタープレス(固液分離装置3)で固液分離する工程と、この固液分離する工程で得られるフィルタープレス内の脱水ケーキに、水を供給する工程と、この供給する工程で水が含有された脱水ケーキをフィルタープレスで固液分離する工程とを備え、供給する工程では、脱水ケーキの体積の3倍以上9倍以下の体積の水を供給する。
【0059】
また、本実施の形態の飛灰の洗浄装置1は、放射性セシウムを含有する飛灰Aと水Bとを混合して、放射性セシウムを溶出させることで溶出液を形成する混合槽2と、この混合槽2で得られる溶出液を固液分離するフィルタープレス(固液分離装置3)と、フィルタープレス内の脱水ケーキに、脱水ケーキの体積の3倍以上9倍以下の体積の水を供給する供給部4とを備えている。
【0060】
本実施の形態における飛灰の洗浄方法及び洗浄装置によれば、溶出液がフィルタープレスで圧縮されてなる脱水ケーキに、3倍以上9倍以下の体積の水を供給することにより、飛灰Aの水への溶出操作1回と、フィルタープレスでの溶出液の脱水操作1回と、フィルタープレスでのリンス操作1回との工程により、飛灰に含有されている放射性セシウムの約8割以上を分離液として回収できる。このため、飛灰の洗浄の効率を向上できる。
また、飛灰中の放射性セシウムを水に溶解させるために要する機器である洗浄装置を省略して、飛灰と水とを混合する混合槽2のみにしても、フィルタープレス内の脱水ケーキに、該脱水ケーキの体積の3倍以上9倍以下の体積の水を供給して、放射性セシウムを十分に溶出できるので、飛灰A中の放射性セシウムを水に十分溶解させることができる。このため、混合槽2と固液分離装置3との間に配置される洗浄装置を省略しても、飛灰Aを十分に洗浄できる。
さらに、洗浄水を脱水ケーキへ一定時間循環させて洗浄を行うことにより、一層溶出効果が増す。
なお、洗浄装置を省略することにより、洗浄装置に要する動力を省略することができるので、洗浄効率を向上することもできる。
以上より、本実施の形態の飛灰の洗浄方法及び洗浄装置1は、飛灰を洗浄または処理する際に、放射性セシウムにより汚染される機器を低減することができると共に、洗浄の効率を向上できる。
【0061】
本実施の形態の飛灰の処理方法は、上記飛灰の洗浄方法により飛灰Aを洗浄する工程と、上記固液分離して得られる分離液をRO膜装置15に供給して、ろ過処理により透過水D及び濃縮水を生成する工程と、この濃縮水中の放射性セシウムを吸着材に吸着する工程とを備えている。
【0062】
本発明の飛灰の処理装置10は、飛灰の洗浄装置1と、固液分離装置3で得られる分離液が供給され、ろ過処理により透過水D及び濃縮水を生成するRO膜装置15と、この濃縮水中の放射性セシウムを吸着する吸着材を含む吸着塔16とを備えている。
【0063】
本実施の形態における飛灰の処理方法及び処理装置10によれば、RO膜装置15での放射性セシウムのろ過処理で、放射性セシウムを含有する濃縮水を生成でき、この濃縮水中の放射性セシウムを吸着材に吸着させることができる。このため、飛灰Aに含有される放射性セシウムを吸着材に吸着させることができるので、飛灰Aに含有される放射性セシウムを処理することができる。上述したように、本実施の形態の飛灰の処理方法及び処理装置10は、混合槽2と固液分離装置3との間に配置される洗浄装置等の機器を省略しても、飛灰Aを効率よく処理することができる。よって、飛灰Aを処理する際に、放射性セシウムにより汚染される機器を低減することができると共に、飛灰Aの処理の効率を向上できる。
【0064】
本実施の形態における飛灰の処理方法において好ましくは、透過水及び濃縮水を生成する工程で得られる透過水Dをフィルタープレスに供給する。
【0065】
本実施の形態における飛灰の処理方法において好ましくは、フィルタープレスは、RO膜装置15で得られる透過水Dが供給されるように構成されている。
【0066】
これにより、RO膜装置15を用いたろ過により得られる透過水Dを、フィルタープレスでの洗浄水として用いることができるので、飛灰Aを効果的に洗浄できるとともに、飛灰の処理方法及び処理装置10内に供給される水を低減することができる。
【0067】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0068】
1 洗浄装置、2 混合槽、3 固液分離装置、4 供給部、10 処理装置、11 調整槽、12 沈殿槽、13 除濁装置、14 加圧部、15 RO膜装置、16 吸着塔、17 捕獲部、18 遮蔽部、19 処理水槽、20 固化装置、A 飛灰、B 水、C 洗浄飛灰、D 透過水、E 処理水、F 塩分。
図1