(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を
図1ないし
図16によって説明する。この実施形態では、病院等で給食を配膳する場合に用いて好適な冷温蔵装置を例示しており、
図1ないし
図3に示すように、トレイTを収納するカート10と、トレイTに載せられた給食を冷却、加熱する手段を備えて上記のカート10を出し入れ可能に収納するステーション50とから構成されている。
【0019】
カート10はさらに、カート本体11と、同カート本体11内に出し入れ可能なフレームカート30とから構成されている。カート本体11は、前後両面が開口された断熱箱体からなり、前後の開口部にはそれぞれ観音開き式の断熱扉12(一部のみを図示)が装着されているとともに、底面にはキャスタ13が装備されている。カート本体11の前面の左右の側縁には、同カート本体11を押し又は引き操作するための把手14が設けられている。
【0020】
フレームカート30は大まかには、底板31の左右の側縁からフレーム32が立ち上げられた形状であって、上記したカート本体11内に前面側から出し入れ可能となっている。左右のフレーム32の中間位置には、単位仕切壁33Aを複数個積み上げて形成された断熱性の仕切壁33が設けられているとともに、各フレーム32の内側の面には、単位仕切壁33Aの上下の境面に相当する位置ごとに、トレイ受け34が複数段に亘って設けられている。左右で対をなすトレイ受け34と、その間の単位仕切壁33Aとが、奥行の中央部において連結板35によって連結されている。
【0021】
トレイTは、合成樹脂等で横長の矩形状に形成され、横幅の中央部よりも少し一方に寄った位置に境界部Taが設けられ、境界部Taを挟んで幅広の第1載置部Tbと、幅狭の第2載置部Tcとが形成されている。
トレイTは、境界部Taが仕切壁33を貫通し、かつ両端部がトレイ受け34で受けられつつ前後両面から挿入され、奥行の前後両側において、それぞれ複数段に亘って収納されるようになっている。
【0022】
フレームカート30の底板31の下面には、その手前側でかつ幅方向の中央部において、4本のガイドフレーム37が四角形をなす配置で垂設され、その下端が、キャスタ39を備えた台座フレーム38上に立てられている。一方、上記したカート本体11の底壁には、ガイドフレーム37が進入可能な2本のガイド溝15が、前縁から奥行の途中位置に亘って切り込み形成されている。
フレームカート30は、ガイドフレーム37をガイド溝15に挿入しつつカート本体11内に手前側から挿入され、奥側のガイドフレーム37がガイド溝15の奥面に当たったところで挿入が停止される。このときフレームカート30がカート本体11内にすっぽりと収納され、前後の断熱扉12を閉鎖することによって、カート本体11内には、仕切壁33を挟んだ左右両側に、断熱された2つの貯蔵室20が形成されることになる。この実施形態では、正面視の左側に温蔵室20Hが、右側に冷蔵室20Cがそれぞれ形成される。
【0023】
カート本体11内に区画形成された温蔵室20Hと冷蔵室20Cとには、後記するように、ステーション50側で生成された冷気または暖気が個別に循環供給されるようになっている。そのため、カート本体11の左右の側壁には、それぞれ略全面にわたる空気流通路21が形成され、各空気流通路21の内面には、複数段に分かれて吹出口22が形成されている。
カート本体11の天井壁21Aの左右両側縁部には、上記の空気流通路21の上端と連通するようにして、それぞれ前後方向に細長い吹出通口24が形成されている。ただし、同吹出通口24は4個に分割されている。一方、天井壁21Aの中央部には、温蔵室20Hまたは冷蔵室20Cと個別に連通する吸込通口25が形成されている。
【0024】
次に、ステーション50の構造を説明する。ステーション50は、
図1ないし
図3に示すように、正面と底面とが開口された箱形をなし、常には定位置に設置されるようになっている。
ステーション50の内部には、上記したカート10を正面の出入口51から出し入れして収納可能な収納室52が設けられている。収納室52の天井部分には、2つの熱交換室60が左右に区画されて形成されている。
図3に示すように、収納室52内にカート10が正規に収納された場合において、正面視左側の第1熱交換室60Hは、カート10内の左側の領域に区画形成された温蔵室20Hの直上に対応し、右側の第2熱交換室60Cは、カート10内の右側に区画形成された冷蔵室20Cの直上に対応するようなっている。
【0025】
なお、
図4及び
図5にも示すように、収納室52から熱交換室60H,60Cに亘る高さ領域には、それぞれ外装パネル53を共通とした断熱性の左右の側面パネル54と、背面パネル55とが配されており、ただし各パネル54,55において収納室52に対応する領域は、発泡ウレタンが充填された断熱壁が形成され、一方熱交換室60H,60Cと対応する領域では、外装パネル53の裏面にグラスウールが張られている。
また、熱交換室60H,60Cの前面には、操作パネル57が着脱可能に張られている。ただし、同操作パネル57の下縁は、カート10の上面の直ぐ上方位置に達するように延ばされて形成されている。
【0026】
再び
図3において、両熱交換室60H,60Cは、それぞれ上部室と下部室との2層に仕切られている。
第1熱交換室60H及び第2熱交換室60Cの各上部室内には、正面視で奥側の領域に、それぞれ冷却手段である第1冷却器62H及び第2冷却器62Cが配置されている(
図6参照)。なお、冷却器62H,62Cの手前側の領域の底面には導入口63が開口され、各導入口63の上面に、循環ファン64が配されている。
上記した両冷却器62H,62Cは、
図6に示すように、それぞれの手前側に膨張弁65H,65Cを直列接続した上で並列に接続され、圧縮機66、凝縮器ファン67A付きの凝縮器67と冷媒配管68により循環接続されることにより冷凍回路61が構成されている。圧縮機66、凝縮器67並びに膨張弁65H,65C等からなる冷凍装置は、熱交換室60の上に設けられた機械室58内に設置されている。第1冷却器62Hへの冷媒流入管68Hには切替弁69が設けられている。
【0027】
従って、冷凍装置が駆動された場合において、切替弁69が開放されていれば、両冷却器62H,62Cが冷却機能を発揮可能な状態にあり、切替弁69が閉鎖されていれば、第2冷却器62Cのみが冷却機能の発揮可能な状態となる。また、各冷却器62H,62Cへの冷媒流入管68H,68Cに設けられた開閉弁(図示せず)を個々に制御することにより、それぞれの冷却器62H,62Cへの冷媒の流通とその停止、すなわち冷却機能の発揮とその停止とが制御されるようになっている。
第1熱交換室60Hの上部室には、冷却器62Hに加えて加熱手段であるヒータ70が装備されている。ヒータ70は全体として円筒形状に形成され、循環ファン64の外側に嵌るようにして配されている。
【0028】
第1熱交換室60H及び第2熱交換室60Cの各下部室内は、詳しくは図示しないが、温蔵室20Hまたは冷蔵室20Cの空気を導入してそれぞれ導入口63から上面室に導入し、また上面室からの冷気または暖気を温蔵室20Hまたは冷蔵室20Cに導出するための流路71が形成されている。
第1熱交換室60H及び第2熱交換室60Cの底面には、隣りの熱交換室60に近い側の端縁寄りの位置、言い換えるとカート10の温蔵室20Hと冷蔵室20Cの吸込通口25と対応する位置に導入通口72が形成され、この導入通口72は、下部室に設けられた流路71の入口となっている。
一方、両熱交換室60H及び第2熱交換室60Cの底面における左右の側縁に寄った位置、すなわち温蔵室20Hと冷蔵室20Cの吹出通口24と対応する位置に、帯状の導出通口73が形成されている。この導出通口73は、下部室に設けられた流路71の出口となっている。
【0029】
そして後記するように、ステーション50の熱交換室60H,60Cの下面に開口された通口72,73と、カート10の温蔵室20Hと冷蔵室20Cとの天井壁21Aに対向して開口された通口24,25同士が、後記する通風路で接続されることによって、第1熱交換室60Hと温蔵室20Hの間と、第2熱交換室60Cと冷蔵室20Cの間とに、それぞれに循環ファン64を備えた個別の空気循環路75H,75Cが形成されることになる。
【0030】
さて、上記した空気循環路75H,75Cを形成するべく熱交換室60H,60C側の通口72,73と、温蔵室20Hと冷蔵室20Cの通口24,25同士を接続する部分の構造について説明する。
ステーション50の天井面の下方には、昇降ダクト80が配設されている。この昇降ダクト80は、
図7及び
図8に示すように、上面開口の浅い箱状をなすダクト本体81を備え、上記した熱交換室60H,60C側の通口72,73並びに温蔵室20Hと冷蔵室20C側の通口24,25と対応した配置において、計4個の接続開口82が形成されている。
【0031】
この接続開口82には、それぞれパッキン85が装着されている。このパッキン85はゴム材で形成され、接続開口82の形状に倣った角筒状のパッキン本体86(上記した本発明の通風路に相当)の下端に、シール部87が一体的に形成されている。
より詳細には、
図12にも示すように、パッキン本体86は蛇腹状をなして軸線方向に沿って伸縮可能に形成され、その上下両端にはフランジ88A,88Bが形成されている。下側のフランジ88Bは厚肉に形成され、同フランジ88Bの外周面には差込溝89が周設されている。
シール部87は、下側のフランジ88Bの下面の内縁から垂下したのち、垂下端が外側にラッパ状に拡がった形状に形成されている。
【0032】
各パッキン85は、下側のフランジ88Bの差込溝89に、対応する接続開口82の周縁を差し込むことで装着され、装着されるとパッキン本体86が接続開口82の上面側の口縁から立ち上がり、またシール部87が、当該接続開口82の下面側の口縁から下方に突出して配される。
一方、パッキン本体86の上側のフランジ88Aは、熱交換室60H,60C側の各通口72,73の口縁に固定されるようになっている。
【0033】
昇降ダクト80の支持構造については、ダクト本体81内の四隅においてそれぞれ引張コイルばね90が設けられ、各引張コイルばね90の下端がダクト本体81の底部側に、上端がステーション50の収納室52の天井面にそれぞれ掛止されることによって、昇降ダクト80が吊り下げ支持されている。そして、引張コイルばね90の弾縮力により、昇降ダクト80に対して上昇力が付勢され、昇降ダクト80は常には、パッキン85のシール部87が、カート10の上面よりも高い位置に逃げた上昇位置に支持されるようになっている(
図12)。
【0034】
一方、上昇位置にある昇降ダクト80を付勢力に抗して押し下げる操作レバー100が備えられている。この操作レバー100は、
図9にも示すように、前後方向に長いパイプからなる回動軸101が備えられ、その手前側の端部には、棒状のハンドル102(
図12の鎖線参照)が、軸線同士が直交した姿勢において着脱可能に取り付けられている。
回動軸101の後端寄りの位置と、前端から所定寸法中央に入った位置には、それぞれカム板104が設けられている。前後のカム板104の間隔は、ダクト本体81の奥行より少し短い寸法である。
【0035】
カム板104の取付構造を、
図10及び
図11によって説明する。カム板104は、やや縦長の六角形をなす基部105の一側縁を山形に突出させてカム部106を形成した形状である。このカム板104の基部105側には、回動軸101が挿通される挿通孔107が形成されている。この挿通孔107は、回動軸101と同一径の2つ円を、各中心O1,O2を偏心させて連ねたような長孔状に形成され、ただし基部105側の周縁には、直線縁からなる位置決め縁107Aが形成されている。一方、回動軸101の前後の取付位置には、カム板104の挿通孔107の位置決め縁107Aが差し込まれる位置決め溝101Aが形成されている。カム板104の基部105の上下両端部にねじ孔108が形成されている。
また、カム板104の固定用に板材からなるブラケット110が備えられている。ブラケット110は、カム板104の基部105と整合するやや縦長の六角形に形成され、同ブラケット110には、回動軸101と同一径の中心孔111が開口されている。ブラケット110の上下両端部には、ねじ(図示せず)の挿通孔112が形成されている。
【0036】
カム板104を取り付けるに当たっては、カム板104とその内側にブラケット110をそれぞれ回動軸101に嵌装しておき、カム板104を回動軸101の位置決め溝101Aの形成位置までずらしたのち、カム板104を
図10の矢線に示す方向に引っ張って、挿通孔107の位置決め縁107Aを回動軸101の位置決め溝101Aに差し込む。これにより、カム板104が回動軸101に対して軸線方向の移動不能かつ回動不能に位置決めされ、そののち、
図11に示すように、ブラケット110をカム板104の基部105に合わせてねじ止めにより固定することにより、操作レバー100の回動軸101の前後の取付位置に、カム板104が所定姿勢を採って固定される。カム板104のカム部106の先端にはローラ115が取り付けられる。
上記のようなカム板104の取付構造によれば、例えばキー機構によりカムを固定する場合と比べて安価に対応できる。
【0037】
上記した操作レバー100の回動軸101が、ダクト本体81の幅方向の中央部における同ダクト本体81の上面側を前後方向に渡され、後端が収納室52の背面壁側に軸支されるとともに、前端が操作パネル57の下端部に設けられた軸受孔57A(
図2参照)を貫通して手前側に突出するようになっている。同回動軸101の手前の突出端にはハンドル102が取り付けられる。
一方、ダクト本体81の底面の中央幅位置における前後両端部には、
図7及び
図8に示すように、カム板104に設けられたローラ115が当接する所定幅を持った被当接板92が設けられ、各被当接板92の正面視で左側縁には、ストッパ板93が立ち上がり形成されている。
【0038】
図12に示すように、昇降ダクト80が上昇位置にある場合は、操作レバー100は、カム板104の先端が正面視で右斜め下方を向いてローラ115が被当接板92に当たった回動姿勢を採る。ハンドル102は起立姿勢から少し右側に傾いている。昇降ダクト80が上昇位置にある場合は、既述したように、各パッキン85のシール部87が、カート10の上面よりも所定寸法高い位置に逃がされている。
【0039】
この状態から操作レバー100のハンドル102を
図12の時計回り方向に回動操作すると、前後のカム板104が回動軸101の軸線回りに同方向に回動され、これに伴いカム板104の先端のローラ115が被当接板92上を転動し、引張コイルばね90を弾力に抗して伸長させつつ昇降ダクト80が押し下げられる。パッキン85のパッキン本体86も伸ばされる。
図13に示すように、カム板104が真下を向いた姿勢を採るまで回動操作されたときが、昇降ダクト80が最大に下がった状態にあり、各パッキン85のシール部87が、カート10の上面に形成された各通口24,25の口縁に強く押し付けられる。
【0040】
この状態からハンドル102をさらに同方向に回転すると、
図14に示すように、カム板104の先端のローラ115が少し左上方に逃げるから、昇降ダクト80が引張コイルばね90の収縮力を受けてローラ115を追うようにして持ち上げられるが、同ローラ115は上記のように少し逃げたところでストッパ板93に当たって停止し、ハンドル102のそれ以上の時計回り方向の回動が停止されるとともに、上記のようにストッパ板93に当たって停止したローラ115に被当接板92が押し付けられることで、昇降ダクト80のそれ以上の上昇も停止されて同位置に保持される。この位置が昇降ダクト80の下降位置であって、上記のように昇降ダクト80が最大に下降された位置から若干は上昇するが、各パッキン85のシール部87が、カート10の上面に形成された各通口24,25の口縁に未だ密着し、すなわちシールされた状態に保持されるようになっている。
【0041】
また、ステーション50における他の特徴的な構成として、
図15及び
図16に概略的に示すように、収納室52の左右の側面を構成する左右の側面パネル54の出入口51側の端縁では、内側の角部がほぼ全幅に亘るC面とされ、誘い込み面54Aが形成されている。
【0042】
続いて、本実施形態の作動を説明する。
朝食を配膳する場合を例に挙げて説明する。例えば前日の夕方等に、調理等の準備をした温食と冷食とをトレイTに盛り、冷凍庫に入れてチルド保存する。翌朝になったら、ステーション50から空のカート10を引き出す。このとき昇降ダクト80を
図12に示すように上昇位置に持ち来し、パッキン85のシール部87を上方に逃がしておく。一方冷凍庫からトレイTを取り出し、各トレイTを温蔵室20Hと冷蔵室20Cとに亘るようにして複数段に収納する。
トレイTの収納が完了したら、カート10を押してステーション50の収納室52内に前面の出入口51から入れる。ここで、
図15に示すように、同カート10の中心が左右方向に多少ずれていても、カート10の前縁が左右の側面パネル54に形成された誘い込み面54Aに当たることにより左右方向に位置矯正されつつ、
図16に示すように、カート10がステーション50の収納室52の中心に収納される。
【0043】
カート10がステーション50の収納室52内の正規位置に収納されたら、操作レバー100の操作により、
図3及び
図14に示すように、昇降ダクト80を引張コイルばね90の付勢力に抗して下降位置に下降させて同下降位置にロックする。昇降ダクト80が下降位置にあるときには、各パッキン85のシール部87が、対応するカート10の通口24,25の上面の口縁に密着し、これによりステーション50の熱交換室60H,60Cの下面に開口された通口72,73と、カート10の温蔵室20Hと冷蔵室20Cとの天井壁21Aに対向して開口された通口24,25同士が、パッキン85によって気密に接続され、第1熱交換室60Hと温蔵室20Hの間と、第2熱交換室60Cと冷蔵室20Cの間とに、それぞれに循環ファン64を備えた個別の空気循環路75H,75Cが形成される。
【0044】
この状態から冷温蔵装置が運転され、初めは温食、冷食ともに低温解凍される。そのためには、両熱交換室60H,60Cとも冷却運転が実行され、温蔵室20H並びに冷蔵室20Cの庫内空気が、対応する熱交換室60H,60Cに導入されて冷却器62H,62Cを通過する間に冷気が生成され、この冷気が温蔵室20Hまたは冷蔵室20Cの空気流通路21に打ち込まれ、同空気流通路21を流下しつつ温蔵室20Hまたは冷蔵室20Cに流入するといった循環流が生じ、温蔵室20Hと冷蔵室20Cが共に冷却される。ここで、温蔵室20Hと冷蔵室20Cの冷却温度は、例えば「10℃」程度に設定され、トレイTに載せられた温食と冷食が共に低温解凍される。
【0045】
低温解凍が始まってから所定時間経過すると、温蔵室20H側が加熱状態に切り替わり、冷蔵室20C側では、解凍時よりも少し低い冷却温度(3℃程度)による冷蔵状態となる。すなわち所定のタイミングになると、第1冷却器62Hが非作動状態となり、それに代わってヒータ70に通電される。そうすると、温蔵室20Hから引かれた空気が、第1熱交換室60Hに流入してヒータ70を通過する間に暖気が生成され、その暖気が温蔵室20Hの空気流通路21に打ち込まれて、同空気流通路21を流下しつつ温蔵室20Hに流入するといった循環流が生じ、トレイTに載せられた温食が再加熱されることになる。一方、冷蔵室20C側では、庫内設定温度が3℃程度に下げられた上で引き続いて冷却状態とされ、冷食については冷蔵状態とされる。
【0046】
配膳時刻となったら、冷温蔵運転が停止される。それとともに、操作レバー100のハンドル102を
図14の反時計回り方向に回動することで、引張コイルばね90の復元収縮力(付勢力)を利用して昇降ダクト80を上昇位置に戻す。そののち、カート10を引っ張ってステーション50から出すと、温食は暖められ、冷食は冷やされた状態でそれぞれ盛られたトレイTが取り出され、配膳に供することができる。なお、カート10をステーション50から取り出した後、カート10ごと搬送するようにしてもよいし、配膳場所が近い場合等には、カート本体11からフレームカート30を出してフレームカート30単体で搬送するような使い方もできる。
【0047】
以上のように本実施形態によれば、ステーション50の熱交換室60H,60Cの下面に開口された通口72,73と、カート10の温蔵室20Hと冷蔵室20Cとの天井壁21Aに対向して開口された通口24,25同士を気密に接続するべくパッキン85を備えた昇降ダクト80が昇降可能に設けられていて、カート10がステーション50内に出し入れされる際には、昇降ダクト80が上昇位置に逃がされ、カート10がステーション50内に正規に収納されたときに、操作レバー100の操作により昇降ダクト80が初めて下降位置に下降して、各パッキン85の下端のシール部87が対向したカート10の上面の通口24,25の口縁に密着し、洩れのない空気循環路75H,75Cが形成される。
すなわち、カート10を出し入れする際にはパッキン85(シール部87)を擦ることがないから、パッキン85の耐用寿命を延ばすことができ、長期に亘って効率良く冷温蔵を行うことができる。
【0048】
昇降ダクト80を昇降可能に支持するに当たって、ダクト本体81の四隅を引張コイルばね90で吊り下げ支持した構造を採っている。例えば昇降ダクト80の左右の側縁をガイドに摺動させつつ昇降させる場合には、左右の側縁の抵抗差によって昇降ダクト80が傾く可能性があるが、この実施形態ではそのような摺動部が無くて抵抗差が生じるおそれがないから、昇降ダクト80を水平姿勢を維持して昇降させることができる。
【0049】
昇降ダクト80は言い換えると、ステーション50の収納室52における天井部に配設されことになるが、同収納室52の天井部の前面開口は、操作パネル57の下縁が延ばされることで覆われている。したがって、昇降ダクト80や吊り下げ支持用の引張コイルばね90が隠され、作業者がそれらに直接に触れることが防止され、また見栄えも良いものにできる。
その場合、操作ハンドル102の回動軸101の前端は、操作パネル57の延ばされた下縁部を貫通して支持され、その突出端にハンドル102が設けられることになるが、同ハンドル102は着脱可能に装着されている。したがって、メンテナンス等においては、ハンドル102を回動軸101の突出端から外すこととで、操作パネル57を手前側に外すことができる。
【0050】
<実施形態2>
本発明の実施形態2を
図17ないし
図20によって説明する。この実施形態2では、昇降ダクト80の昇降駆動機構の変形例を示している。なお、この実施形態では、ステーション50が、前面ではなく右側面に出入口51が開口され、カート10は左側面側から収納室52内に出し入れされる形態を採っている。ただし以下では、ステーション50とカート10の右側面をそれぞれ前面として説明する。その他、上記実施形態1と同一機能を有する部位、部材については同一符号を付すことで、説明を省略または簡略化する。
【0051】
昇降ダクト80は、上記実施形態1と同様の形状であって、四隅を引張コイルばね90で吊り下げられ、常には
図17及び
図18に示す上昇位置に支持されるようになっている。
昇降ダクト80の左右両側には、奥端側で軸121により揺動可能に支持されたレバー120がそれぞれ配され、各レバー120のほぼ中間位置が昇降ダクト80の対向した側面にピン122で連結されるとともに、両レバー120の手前側の端部の間に、略コ字形をなすハンドル123が渡されて回動可能に支持されている。
カート10の前面の上縁部には、ハンドル123に係止してその上動を規制するロック片125が設けられている。また、ステーション50の天井面における手前側の端縁には、ハンドル123を受けて同ハンドル123がカート10の上面位置まで垂れ下がることを規制する受け片126が設けられている。
【0052】
カート10を出し入れする際には、昇降ダクト80は、
図17及び
図18に示すように上昇位置に保持され、ハンドル123も受け片126で受けられてカート10の進入路の上方に退避している。カート10がステーション50内に正規に収納されたら、ハンドル123を受け片126から外して下方に引くと、左右のレバー120が前下がりに揺動されることに伴い昇降ダクト80が引張コイルばね90の付勢力に抗して押し下げられ、
図19及び
図20に示すように、ハンドル123をロック片125に係止することで、昇降ダクト80が下降位置に保持される。各パッキン85の下端のシール部87が対向したカート10の上面の通口24,25の口縁に密着し、洩れのない空気循環路75H,75Cが形成される。
【0053】
この実施形態2においても、カート10を出し入れする際にはパッキン85(シール部87)を擦ることがないから、パッキン85の耐用寿命を延ばすことができ、長期に亘って効率良く冷温蔵を行うことができる。
この実施形態2では、ハンドル123を引き下げ操作して左右のレバー120を揺動させる際に、奥端が支点、ハンドル123側が力点、中間位置が作用点となるてこ機構を呈することで、比較的小さな操作力で昇降ダクト80を下降操作することができる。
【0054】
カート10が正規位置まで挿入されていないと、ハンドル123をロック片125に対してロックできないから、カート10が正規位置に挿入されたか否かの検知機能も併せて発揮することができる。
また、昇降ダクト80の下面等に、同昇降ダクト80が下降位置に到ったときにオンするスイッチを備え、同スイッチがオンして初めて冷温蔵運転の実行が可能なようにしておくとよい。
【0055】
<実施形態3>
図21及び
図22は、本発明の実施形態3を示す。この実施形態3では、昇降ダクト80がガイド(図示せず)に沿って昇降可能に設けられるとともに、
図22に示す下降位置からの落下不能に支持されている。
昇降ダクト80の下面の左右両側縁には、前後方向に延びた2本の突条130が所定間隔を開けて一列に並んで形成されているとともに、カート10の上面の左右両側縁には、挿入方向の前端部と中央部とに、それぞれ突条130の下に潜り込むことで昇降ダクト80を上昇位置まで持ち上げる突部131が形成されている。
【0056】
この実施形態3では、カート10が挿入される前の状態では、昇降ダクト80が下降位置に下降しており、
図21の矢線に示すように、カート10がステーション50の収納室52に挿入されると、カート10の突部131が昇降ダクト80の下面の突条130の下に潜り込むことで、昇降ダクト80が上昇位置に逃がされる。カート10が正規位置まで挿入されると、
図22に示すように、カート10の前後の突部131が、共に突条130の前方に外れることで昇降ダクト80が下降位置に下降し、各パッキン85の下端のシール部87が対向したカート10の上面の通口24,25の口縁に密着し、洩れのない空気循環路75H,75Cが形成される。
カート10を出すときも、同じようにして昇降ダクト80が上昇位置に逃がされる。
この実施形態3では、簡単な構造で以て、パッキン85(シール部87)の摩耗防止を図ることができる。
【0057】
<関連技術1>
上記に例示した冷温蔵装置において、以下のような構造や制御運転を採用してもよい。
関連技術1を
図6並びに
図23によって説明する。第1熱交換室60Hでは、既述したように、初めは冷却運転が実行され、そののち第1冷却器62Hが非作動状態となることに代わってヒータ70に通電されることで、いわゆる加熱運転に代わるのであるが、その際、暖気は第1冷却器62Hを通過しつつ流れるため、第1熱交換室60H側の膨張弁65Hが第1冷却器62Hからの伝熱により過剰に温度上昇する嫌いがある。
【0058】
そこで、第1熱交換室60H側の膨張弁65Hを凝縮器ファン67Aの下流側に配設するとともに、
図23に示すように、第1熱交換室60Hで加熱運転する間は、圧縮機66が停止している場合も凝縮器ファン67Aを駆動するようにしている。これにより、加熱運転時における第1熱交換室60H側の膨張弁65Hの温度上昇を極力抑えることができる。
【0059】
<関連技術2>
関連技術2を
図24によって説明する。上記関連技術1でも説明したように、第1熱交換室60Hでは、加熱運転に切り替わった際に、ヒータ70で加熱された暖気が、
図24の矢線aに示すように、第1冷却器62Hを通って下部室に送られるのであるが、特に加熱運転に切り替わった直後では、第1冷却器62Hが未だ低温状態にあるためヒータ70で生成された暖気の温度が下がり、また暖気が送り出される勢いも不必要に衰え、ひいては温蔵室20Hの加熱(温蔵)効率が悪くなる嫌いがある。
【0060】
そこで関連技術2では、同図の矢線bに示すように、循環ファン64で引かれてヒータ70で生成された暖気の一部を、第1冷却器62Hを通すことなく下部室に直接に送ることができるバイパス路135が形成されている。これにより、温蔵室20Hに吹き出される暖気の温度低下と勢いの劣化とが抑制され、温蔵室20Hの加熱(温蔵)効率を高めることができる。
なお、上記のバイパス路135を設けると、冷却運転時に生成される冷気の温度が多少上昇したものになるが、この冷気は、温蔵室20Hにおける低温解凍に機能するものであるから、多少温度が上がっても支障はない。
【0061】
<関連技術3>
関連技術3を
図4並びに
図25によって説明する。温蔵室20Hに対する加熱制御は、
図4に示すように、温蔵室20Hの吸込通口25と接続される昇降ダクト80の接続開口82に配された吸込側サーミスタ140によって、庫内空気の吸込温度(庫内温度を擬制)が検知され、この検知温度と吸込側設定温度taとの比較に基づいて第1熱交換室60Hに配されたヒータ70がオンオフされることで、温蔵室20H内が設定された温蔵温度に維持されるようになっている。ここで、温蔵室20Hが低温解凍状態から温蔵状態に切り替わった当初では、庫内が十分に冷えた状態から設定温度taまで温度上昇させることになるため、ヒータ70が連続してオンされて暖気が継続して吹き出されることになるが、温蔵室20Hが設定温度taに上昇するまでには暖気の吹出温度が相当に高くなる。そのため、特に温蔵室20Hの上段側に配された食品に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0062】
そこで、
図4に示すように、温蔵室20Hの吹出通口24と接続される昇降ダクト80の接続開口82に、暖気の吹出温度を検知する吹出側サーミスタ141を配し、その検知温度と吹出温度の設定温度tbとの比較に基づいてヒータ70のオンオフを制御し得る手段が講じられている。
制御形態を
図25によって説明すると、加熱運転に切り替わると、暖気が温蔵室20Hに向けて吹き出されることで、吸込温度(庫内温度)が次第に上昇し、このとき吹出温度は、吸込温度に比べて急勾配で温度上昇する。例えば、吸込温度が設定温度taに達する前(タイミングx)に、吹出温度が設定温度tbに達すると、以降はヒータ70のオンオフを伴って、吹出温度がほぼ設定温度tbに維持される。
【0063】
この間に、吸込温度(庫内温度)が緩やかではあるが次第に上昇し、吸込温度が設定温度taに達すると(タイミングy)、以降は、吸込温度と設定温度taとの比較に基づくヒータ70のオンオフ制御が優先されて、吸込温度(庫内温度)がほぼ設定温度taに維持される。この間に吹出温度は次第に下降する。
このように関連技術3では、暖気の吹出温度を直接に検知して同吹出温度が一定値以上に上昇しない手段を設けたから、温蔵室20Hに配された食品に悪影響を及ぼすことが未然に防止される。
【0064】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、パッキンにおけるパッキン本体により通風路を一体的に設けた場合を例示したが、同通風路をいわゆるシール機能を果たすパッキンとは別体に設けるようにしてもよい。
(2)上記実施形態では、通風路が蛇腹状で伸縮する形態のものを例示したが、軸線方向の伸縮が許容される限りは、単に畳まれる等の他の形態であってもよい。
(3)上記実施形態では、昇降ダクトを隠すように操作パネルの下縁を延ばした場合を例示したが、操作パネルの下縁は必ずしも延ばさなくてもよく、そのようなものも本発明の技術的範囲に含まれる。
(4)上記実施形態は、カートがカート本体とフレームカートとに分離できるものを例示したが、両者が分離不能に一体化されたような構造のカートであってもよい。
(5)なお、冷温蔵の制御方式として、チルド保存(3〜5℃)されたトレイを温蔵室と冷蔵室とに亘って収納したのち、初めは温蔵室と冷蔵室ともに引き続いてチルド保存し、所定時間が経過したら、温蔵室側では再加熱し、冷蔵室側でさらに続いてチルド保存をする、といった冷温蔵制御を行うようにしてもよく、そのような冷温蔵の制御方式を採用したものも、本発明の技術的範囲に含まれる。