特許第6014417号(P6014417)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アステアの特許一覧

<>
  • 特許6014417-バンパー 図000002
  • 特許6014417-バンパー 図000003
  • 特許6014417-バンパー 図000004
  • 特許6014417-バンパー 図000005
  • 特許6014417-バンパー 図000006
  • 特許6014417-バンパー 図000007
  • 特許6014417-バンパー 図000008
  • 特許6014417-バンパー 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6014417
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】バンパー
(51)【国際特許分類】
   B60R 19/04 20060101AFI20161011BHJP
【FI】
   B60R19/04 M
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-187928(P2012-187928)
(22)【出願日】2012年8月28日
(65)【公開番号】特開2014-43218(P2014-43218A)
(43)【公開日】2014年3月13日
【審査請求日】2015年7月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】503399920
【氏名又は名称】株式会社アステア
(74)【代理人】
【識別番号】100114535
【弁理士】
【氏名又は名称】森 寿夫
(74)【代理人】
【識別番号】100075960
【弁理士】
【氏名又は名称】森 廣三郎
(74)【代理人】
【識別番号】100126697
【弁理士】
【氏名又は名称】池岡 瑞枝
(74)【代理人】
【識別番号】100155103
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 厚
(72)【発明者】
【氏名】下津 晃治
【審査官】 田合 弘幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−290581(JP,A)
【文献】 特開2007−290582(JP,A)
【文献】 特開2010−179832(JP,A)
【文献】 米国特許第03905630(US,A)
【文献】 特表2010−502496(JP,A)
【文献】 特開2003−160062(JP,A)
【文献】 特開2003−239018(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0045638(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 19/04
B60R 19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体的に焼き入れされた金属製の補強部材を、車体フレームから左右一対で突出する支持部材に架け渡して構成されるバンパーにおいて、
補強部材は、角形中空断面で、支持部材を接続する接続部分又は前記接続部分の隣接部分にある稜線の一つ又は複数に、焼き入れされた全体に比べて相対的に強度の低い非焼き入れ部位を形成したことを特徴とするバンパー。
【請求項2】
補強部材は、支持部材を接続する接続部分又は前記接続部分の隣接部分にある稜線の一つ又は複数に、焼き入れされた全体や支持部材に比べて相対的に強度の低い非焼き入れ部位を形成した請求項1記載のバンパー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体的に焼き入れされた金属製の補強部材を、車体フレームから左右一対で突出する支持部材に架け渡して構成されるバンパーに関する。
【背景技術】
【0002】
バンパーは、例えば車両の前端に配置され、車両が障害物に衝突した際の衝撃エネルギーを吸収する。全体的に焼き入れされた金属製の補強部材を、車体フレームから左右一対で突出する支持部材に架け渡して構成されるバンパーは、前記補強部材又は支持部材の塑性変形又は破壊により衝撃エネルギーを吸収する。この場合、補強部材がどのように塑性変形又は破壊するかによって、吸収できる衝撃エネルギーの総量や荷重変位特性(補強部材の変位量(後退量)と前記変位に要する荷重との関係。衝撃エネルギー=荷重×変位量)が変化するため、補強部材の構成又は構造が種々検討される(特許文献1及び特許文献2)。
【0003】
特許文献1が開示するバンパーは、支持部材(frame rail)を接続する補強部材(bumper beam)の接続部分に開口を設け、車体フレームに衝撃エネルギーを伝達する前記接続部分を塑性変形しやすくしている(特許文献1・請求項1、図3及び図4)。これにより、特許文献1が開示するバンパーは、低速度での衝突で補強部材を緩やかに塑性変形させて車体フレームに衝撃を伝えにくくしている。補強部材は、角形中空断面の板金製で、開口を除いて全体的に均一強度と思われる(特許文献1・[0026])。
【0004】
特許文献2が開示するバンパーは、支持部材(マウント)を接続する補強部材(管状ビーム)を、前記支持部材の接続部分を挟んで区分し、前記区分の少なくとも一つを焼きなまして引っ張り強さを低下させている(特許文献2・請求項1、図1)。特許文献2が開示するバンパーは、例えば支持部材を突き当てる接続部分の後壁を焼きなまし、前壁をそのままにして圧潰しやすくし、前記衝撃エネルギーのスパイク(ピーク)を減衰又は減少させて車体フレーム(車輌フレームレール)に伝達させる(特許文献2・[0013])。補強部材は、角形中空の板金製で、部分的に焼きなましている(特許文献2・[0021])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6361092号明細書
【特許文献2】特表2010-502496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
バンパーに衝撃が加えられる衝突は、低速度で多く見られる軽衝突と、高速度で多く見られる重衝突とがある。軽衝突は、補強部材の後退を抑制又は防止しながら、補強部材のみが塑性変形又は破壊し、前記塑性変形又は破壊が支持部材に影響を与えない(例えば支持部材を屈曲又は傾倒させない)ことが望まれる。これに対し、重衝突は、補強部材及び支持部材が共に塑性変形又は破壊されることにより、衝撃エネルギーが車体フレームに及ばないことが望まれる。更に、バンパーは、軽衝突及び重衝突を通じて、吸収できる衝撃エネルギーの総量が多くなること、補強部材の後退を抑制又は防止した荷重変位特性であることが要求される。
【0007】
特許文献1が開示するバンパーは、角形断面の補強部材に支持部材を接続する接続部分の稜線(山折又は谷折の折り曲げ縁)に挟まれた平面に開口を設けて接続部分の強度を低下させ、塑性変形しやすくしている。これにより、特許文献1が開示するバンパーは、軽衝突で補強部材の塑性変形又は破壊が支持部材に影響を与えず、重衝突で補強部材及び支持部材を共に塑性変形又は破壊させる。しかし、接続部分の平面に設けた開口は、加えられる衝撃によって内周縁から割れを生じさせたり、接続部分の平面に物理的な断続を招いて円滑な塑性変形又は破壊しにくくしている。これは、吸収できる衝撃エネルギーの総量を減らしたり、補強部材の後退を抑制又は防止した荷重変位特性が実現できなくなる問題を招く。
【0008】
特許文献2が開示するバンパーは、角形断面の補強部材に支持部材を接続する接続部分を一体に焼きなますことにより、接続部分全体をその他の部分に比べて相対的に強度低下させている。これにより、特許文献2が開示するバンパーは、軽衝突で補強部材の塑性変形又は破壊が支持部材に影響を与えず、重衝突で補強部材及び支持部材を共に塑性変形又は破壊させることができる。また、特許文献1が開示するバンパーと異なり、加えられる衝撃による割れの発生する虞がなく、また塑性変形も比較的円滑であると思われる。
【0009】
しかし、特許文献2が開示するバンパーは、角形断面の補強部材に支持部材を接続する接続部分を一体に焼きなましているので、前記接続部分の塑性変形又は破壊を細かく制御できず、吸収できる衝撃エネルギーの総量を確保しながら、補強部材の後退を抑制又は防止した荷重変位特性が実現できるか否かが不明である。また、大量生産が要求される自動車部品として、特許文献2が開示するバンパーは、焼きなましは加熱した接続部分をゆっくりと冷却する必要があり、生産性に劣る問題がある。
【0010】
このように、特許文献1及び特許文献2が開示するバンパーは、バンパーの吸収できる衝撃エネルギーの総量を減らしたり、補強部材の後退を抑制又は防止した荷重変位特性が実現できなくなる問題がある。また、特許文献2が開示するバンパーは、特許文献1が開示するバンパーの開口による問題を解消する点が優れているが、生産性に劣る問題がある。そこで、生産性に問題がなく、軽衝突で補強部材の塑性変形又は破壊が支持部材に影響を与えず、重衝突で補強部材及び支持部材を共に塑性変形又は破壊され、吸収できる衝撃エネルギーの総量を確保しながら、補強部材の後退を抑制又は防止した荷重変位特性が実現できるバンパーを開発するため、検討した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
検討の結果、全体的に焼き入れされた金属製の補強部材を、車体フレームから左右一対で突出する支持部材に架け渡して構成されるバンパーにおいて、補強部材は、角形中空断面で、支持部材を接続する接続部分又は前記接続部分の隣接部分にある稜線の一つ又は複数に、焼き入れされた全体に比べて相対的に強度の低い非焼き入れ部位を形成したことを特徴とするバンパーを開発した。
【0012】
補強部材は、全体を焼き入れして強度を高めながら、部分的に非焼き入れ部位を形成することから金属製(好ましくは板金製)に限られる。支持部材は、車体フレームの一部として突出する延長部分や、前記車体フレームから突出して設けられる別体部分で、衝撃エネルギーを吸収する塑性変形又は破壊ができれば、金属製に限られず、セラミックス製又は樹脂製でもよい。「支持部材を接続する接続部分」は、補強部材に接続される支持部材の幅で区切られる部分を、また「接続部分の隣接部分」は、支持部材の幅から左右に外れているが、前記接続部分に隣接して連続する部分を、それぞれ意味する。
【0013】
本発明の補強部材は、支持部材を接続する接続部分又は前記接続部分の隣接部分に、焼き入れされた全体に比べて相対的に強度の低い非焼き入れ部位を形成したことにより、軽衝突において、接続部分が全体に比べて塑性変形又は破壊されやすくなり、接続部分以外の塑性変形又は破壊により接続部分が引っ張られて支持部材を屈曲又は傾倒させる虞がなくなる。補強部材は、支持部材を接続する接続部分又は前記接続部分の隣接部分にある稜線の一つ又は複数に、焼き入れされた全体や支持部材に比べて相対的に強度の低い非焼き入れ部位を形成すると、支持部材を傾倒させる虞が更に減少して、好ましい。
【0014】
非焼き入れ部位は、構造上、強度が高い部位を対象に形成するとよい。補強部材は、角形中空断面で、稜線の一つ又は複数非焼き入れ部位を形成する。稜線に挟まれる平面は、従来塑性変形又は破壊されやすいので、平面を挟む稜線非焼き入れ部位を形成すれば、接続部分が全体に比べて塑性変形又は破壊されやすくなる。稜線は、角形断面の前面と上面又は下面とに挟まれる山折の断面凸な折曲げ縁や、角形断面の上面(下面)から上方(下方)へ折り返されるフランジと前記上面(下面)とに挟まれる谷折の断面凹な折り曲げ縁である。
【発明の効果】
【0015】
本発明のバンパーは、焼き入れに際して対象部位の温度上昇を抑制又は防止したり、前記対象部位を積極的に冷却したりして非焼き入れ部位を形成でき、焼き入れ処理後、焼きなましのような長い冷却時間を要しない。このように、本発明のバンパーは、補強部材を全体的に焼き入れする際に非焼き入れ部位を形成する方法により簡単に製造できるため、生産性を低下させない利点がある。
【0016】
また、本発明のバンパーは、補強部材の接続部分が全体に比べて塑性変形又は破壊されやすくなり、接続部分以外の塑性変形又は破壊により接続部分が引っ張られて支持部材を傾倒させる虞がなくなる。支持部材の屈曲又は傾倒は、軽衝突において、吸収できる衝撃エネルギーを低下させる原因であったことから、本発明によれば、吸収できる衝撃エネルギーの総量を確保しながら、補強部材の塑性変形又は破壊のみを考慮して、補強部材の後退を抑制又は防止した荷重変位特性を実現できる効果が得られる。
【0017】
そして、補強部材の全体と接続部分との塑性変形又は破壊に差が生ずるのは、あくまで軽衝突の場合のみなので、重衝突にあっては、補強部材及び支持部材が共に塑性変形又は破壊される。こうして、本発明は、生産性に問題がなく、軽衝突で補強部材の塑性変形又は破壊が支持部材に影響を与えず、重衝突で補強部材及び支持部材を共に塑性変形又は破壊され、吸収できる衝撃エネルギーの総量を確保しながら、補強部材の後退を抑制又は防止した荷重変位特性を実現するバンパーを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明を適用したバンパーの一例を表す斜視図(紙面斜め右下方向が前方)である。
図2】本例のバンパーの正面図(紙面直交手前が前方)である。
図3】本例のバンパーの平面図(紙面上方が前方)である。
図4】本例のバンパーが軽衝突した時の図3相当平面図である。
図5】本例のバンパーが重衝突した時の図3相当平面図である。
図6】補強部材全体を焼き入れした別例1のバンパーが軽衝突した時の図3相当平面図である。
図7】補強部材を何ら熱処理しない別例2のバンパーが軽衝突した時の図3相当平面図である。
図8】本例、別例1及び別例2の荷重変位特性を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。本発明は、図1図3に見られるように、外観状、従来同様のバンパー1に適用される。本例のバンパー1は、全体的に焼き入れされた鋼板製の補強部材11を、車体フレーム(図示略)から左右一対で突出する鋼板製の支持部材12,12に架け渡して構成される。本例のバンパー1は、支持部材12の後端面に形成される正面視方形の後接続フランジ122を介して、車体フレームに接続される。
【0020】
本例の補強部材11は、前面111の上縁及び下縁から後方に上面112及び下面114を折り曲げ、前記上面112の後縁から上方に上フランジ113を折り曲げて形成し、同様に下面114の後縁から下方に下フランジ115を折り曲げて形成した断面略コ字状(いわゆるハット型断面)で、後面が開放された角形中空断面の鋼板製である。これから、本例の補強部材11は、障害物2が荷重Fで衝突することによる受ける衝撃エネルギー(=荷重×補強部材11の前面111の左右中央(障害物2の衝突点)の変位量(後退量))を全体の塑性変形により吸収する。
【0021】
本例の補強部材11は、左右中間部分を前方に凸となるように湾曲させながら、接続部分116,116となる左右端部の上フランジ113及び下フランジ114を、湾曲面から左右端面に向けて折り曲げ、左右方向直線に形成している。これにより、接続部分116における上フランジ113及び下フランジ115は、左右方向に平行な倣い平面を構成し、支持部材12の前端面に形成される正面視方形の前接続フランジ121接面して、前記支持部材12が接続される。
【0022】
本例の補強部材11は、全体的に焼き入れされて強度を高めているが、前記上フランジ113及び下フランジ114が折れ曲がる接続部分116及び隣接部分にかけて、山折の稜線117及び谷折の稜線118非焼き入れ部位119が形成されている。非焼き入れ部位119は、焼き入れにより強度が著しく向上する稜線117,118の前記強度向上を抑制又は防止できるように、稜線117,118非焼き入れ部位119が形成できればよいので、周縁形状は直線や曲線でもよく、また蛇行していても構わない。
【0023】
非焼き入れ部位119は、補強部材11を加熱しながら、稜線117,118に冷却ブロックを宛てがって前記加熱による温度上昇を抑制又は防止し、全体が変態完了温度(AC3)を越えて温度上昇しても、稜線117,118が変態開始温度(AC1)を越えないようにすれば形成できる。また、非焼き入れ部位119は、補強部材11の加熱を途中で中止して、稜線117,118に冷却ブロックを宛てがって冷却し、再び全体を加熱することにより、全体が変態完了温度(AC3)を越えて温度上昇しても、稜線117,118が変態開始温度(AC1)を越えないようにすれば形成できる。
【0024】
本例の支持部材12は、角形中空断面の鋼板製で、記述したように、前端面に正面視方形の前接続フランジ121、後端面に同形の後接続フランジ122を形成し、前接続フランジ121を上フランジ113及び下フランジ115に接面して補強部材11に接続し、後接続フランジ122を車体フレーム(図示略)に接面して接続する。本例の支持部材12は、障害物2が荷重Fで衝突することによる受ける衝撃エネルギーを、全体を前後方向に圧縮させる塑性変形により吸収する。
【0025】
本例の支持部材12は、全体を圧縮させる塑性変形により衝撃エネルギーを吸収することから、特に焼き入れによる強度向上を図っていない。このため、例えば支持部材12を構成する板材を厚くすることにより、支持部材12の強度を非焼き入れ部位119より相対的に高くする。こうして、本例のバンパー1は、補強部材11を全体的に焼き入れすることにより、非焼き入れ部位119の強度を前記補強部材11の全体に比べて相対的に低くし、支持部材12の板厚を肉厚にすることにより、非焼き入れ部位119の強度を前記支持部材12に比べて相対的に低くしている。
【0026】
本発明を適用したバンパー1は、軽衝突の場合、図4に見られるように、障害物2の衝突した補強部材11が前後方向に僅かに圧潰しながら後退する。このとき、接続部分116の強度が左右中間部分の強度より相対的に弱いため、後退する補強部材11の左右中間部分に引っ張られる接続部分116が塑性変形して、支持部材12が屈曲又は傾倒することが防止される。これは、軽衝突における衝撃エネルギーを、補強部材11の塑性変形(圧潰しながらの後退や接続部分116の塑性変形)のみで吸収することを意味する。また、本発明を適用したバンパー1は、重衝突の場合、図5に見られるように、支持部材12が前後方向に圧潰して補強部材11を圧潰しながら後退させ、衝撃エネルギーを吸収する。
【0027】
本発明を適用した本例のバンパー1と、補強部材11全体が焼き入れされている別例1のバンパー1や補強部材11全体が焼き入れされていない別例2のバンパー1とは、軽衝突における衝撃エネルギーの吸収態様が異なる。別例1のバンパー1は、図6に見られるように、障害物2の衝突した補強部材11が全体として左右均等に圧潰し、後退するため、支持部材12の前接続フランジ121が左右内向きに引っ張られ、座屈する。
【0028】
支持部材12の座屈は、補強部材11の後退量を増加させる(図6中破線表示された本例のバンパー1と比較対照)ほか、軽衝突での衝撃エネルギーの吸収量を増加させ、それだけ重衝突での衝撃エネルギーの吸収量を減少させる。また、軽衝突で支持部材12が座屈すると、支持部材12が前後方向に圧潰する塑性変形態様を阻害し、使用要求通りに支持部材12を塑性変形させにくくなる。
【0029】
別例2のバンパー1は、図7に見られるように、補強部材12全体が伸びるため、支持部材12が座屈する事態は回避される。これにより、別例2のバンパー1は、軽衝突では補強部材12の塑性変形のみで衝撃エネルギーを吸収し、重衝突では支持部材12が前後方向に圧潰して衝撃エネルギーを吸収できる。しかし、障害物2の衝突した部位を中心に補強部材11全体が屈曲し、補強部材11の左右中間部分が突出して後退する(図7中破線表示された本例のバンパー1と比較対照)。
【0030】
重衝突では、支持部材12を前後方向に圧潰させながら、屈曲した補強部材12がそのまま後退していくことから、補強部材12の後方に配されたラジエータが破損させられる危険性が出てくる。本発明のバンパー1は、補強部材11の左右の接続部分116で塑性変形をするため、別例2のバンパー1のように補強部材11が屈曲することがなく、軽衝突及び重衝突を通して前記補強部材11の後退を抑制又は防止できている。
【0031】
本発明を適用した本例のバンパー1と、補強部材11全体が焼き入れされている別例1のバンパー1や補強部材11全体が焼き入れされていない別例2のバンパー1との相違は、図8に見られるように、荷重変位特性にも表れる。別例1のバンパー1は、軽衝突で支持部材12が座屈するため、補強部材11を後退させる荷重Fが高くなり、それだけ衝撃エネルギーを吸収できる。しかし、別例1のバンパー1は、軽衝突において、既に支持部材12が塑性変形しているため、重衝突において、補強部材11を後退させる荷重Fは低くて済むようになり、吸収できる衝撃エネギーEが減少する。
【0032】
別例2のバンパー1は、軽衝突で支持部材12を座屈をさせず、補強部材11を屈曲させながら後退させることにより衝撃エネルギーを吸収するので、前記補強部材11を後退させる荷重Fが低くなり、別例1に比べて補強部材11がより多く後退しなければ等量の衝撃エネルギーを吸収できない。しかし、別例2のバンパー1は、軽衝突において、支持部材12は塑性変形することなく元の外形を維持できるため、重衝突において、補強部材11を後退させる荷重Fは支持部材12の塑性変形を招くように高くなり、吸収できる衝撃エネギーEが増加する。
【0033】
本発明を適用した本例のバンパー1は、別例1のバンパー1と別例2のバンパー1とを合わせた荷重変位特性を有する。本例のバンパー1は、軽衝突において、支持部材12を座屈させず、補強部材11の接続部分116を塑性変形させて補強部材11を後退させる荷重Fを高くし、別例1のバンパー1と同等の衝撃エネルギーを吸収する。また、本例のバンパー1は、重衝突において、支持部材12を前後方向に圧潰させて補強部材11を後退させる荷重Fを高くし、別例2のバンパー1と同等の衝撃エネルギーを吸収する。このようにして、本例のバンパー1は、吸収できる衝撃エネルギーの総量を確保しながら、補強部材の後退を抑制又は防止した荷重変位特性を実現する。
【符号の説明】
【0034】
1 バンパー
11 補強部材
111 前面
112 上面
113 上フランジ
114 下面
115 下フランジ
116 接続部分
117 山折の稜線
118 谷折の稜線
119 非焼き入れ部位
12 支持部材
121 前接続フランジ
122 後接続フランジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8