【実施例】
【0020】
[1.操作制御装置の構成および機能概要]
【0021】
次に、上述した実施形態に対応する具体的な実施例について、
図2および
図3を用いて説明する。なお以下に説明する実施例は、移動体の一例である車両等に取り付けられた操作制御装置に対して、本願を適用した場合の実施例である。
【0022】
図2に示すように、実施形態に係る操作制御装置10の一例としての操作制御装置10は、ユーザからの入力を受け付ける入力部11と、操作対象20を操作するための操作信号を出力する操作信号出力部12と、操作制御装置10を制御するためのプログラム等を記憶する記憶部13と、操作制御装置10の外部との送受信を行う通信部14と、入力部11の傾きの情報を測定する傾きセンサ15と、操作制御装置10を制御するシステム制御部16と、入出力インターフェース部17と、を備えている。そして、システム制御部16と入出力インターフェース部17とは、システムバス18を介して接続されている。
【0023】
操作制御装置10は、操作信号出力部12を介して、カーナビゲーション装置、空調装置、オーディオ装置、電話等の操作対象20に接続されている。また、操作制御装置10は、ユーザからの入力に関する情報を処理するコンピュータとして機能する。操作制御装置10は、入力部11で受け付けた操作入力に基づき、操作信号を操作対象20に出力する。
【0024】
入力部11は、例えば、位置入力機能を有するタッチパッドである。位置入力機能の部分は、例えば、静電容量方式、抵抗膜方式等を実現する素子により構成される。そして、入力部11は、位置入力機能により、ユーザの指等が接触または近接した入力部11の面の位置情報を、所定の分解能の画素単位で取得する。なお、入力部11は、表示機能と位置入力機能を有するタッチパネルでもよい。
【0025】
操作信号出力部12は、各操作対象20とのインターフェースの機能を有する。操作信号出力部12は、各操作対象20と接続され、各操作対象20に操作信号を出力する。
【0026】
記憶部13は、例えば、シリコンディスクドライブ等からなる。記憶部13は、入力部11の設定状態を記憶したり、操作制御装置10を制御するための各種プログラム等を記憶したりする。各種プログラムは、オペレーティングシステム、入力部11から取得した位置情報を処理するプログラム等が挙げられる。なお、各種プログラムは、例えば、無線通信網等のネットワークを介して取得されるようにしてもよいし、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に記録されてドライブ装置を介して読み込まれるようにしてもよい。
【0027】
また、記憶部13には、初期値として、表示部に表示させる操作項目の表示数、操作項目の大きさ、各操作項目に対する重み等のデフォルト情報が記憶されている。
【0028】
通信部14は、操作対象20や、車両の速度、車両の走行位置、車両のギアの状態等の走行に関連する走行関連情報を測定する機器等と通信を制御する。なお、操作制御装置10は、通信部14を介して、操作対象を含む機器に接続している。また、走行関連情報に基づき、操作制御装置10は、車両が走行状態になったと判定した場合、操作対象20へのユーザが意図しない操作等を防ぐため、入力部11の状態を、操作対象20への操作入力を受け付けないホールド状態にしてもよい。ここで、走行状態の例として、車両の速度が所定の速度以上になった場合、ギアがドライブ状態になった場合等が挙げられる。また、ヘッドアップディスプレイ等、カーナビゲーション装置21の表示部21aでない表示部を用いる場合は、ホールド状態にしなくてもよい。
【0029】
傾きセンサ15は、傾斜による液面の変化を捉えるセンサ、加速度センサやジャイロセンサ等が挙げられる。
【0030】
システム制御部16は、例えば、CPU(Central Processing Unit)16aと、ROM(Read Only Memory)16bと、RAM(Random Access Memory)16cと、を有する。システム制御部16は、CPU16aが、ROM16bや、RAM16cや、記憶部13に記憶された各種プログラムを読み出して実行する。例えば、システム制御部16は、入力部11で受け付けた入力を判定するプログラムを実行する。
【0031】
入出力インターフェース部17は、入力部11等の各部とシステム制御部16とのインターフェースである。
【0032】
また、操作制御装置10は、入力部11に指が触れた時間を測定するために内部時計(図示せず)を有する。
【0033】
次に、
図3に示すように、操作制御装置10の入力部11は、移動体の一例である車両のステアリング30の表側に取り付けられている。また、傾きセンサ15は、ステアリング30の回転角度を測定できるように、入力部11またはステアリング30に取り付けられている。
【0034】
ステアリング30は、ステアリングシャフト(図示せず)と接続されたステアリング本体部31と、車両を運転するユーザが握る部分であり、リング形状を有するステアリングホイール部32と、を有する。
【0035】
入力部11は、ステアリング本体部31の表側において、中心部からステアリングホイール部32側に取り付けられている。すなわち、ユーザがステアリングホイール部32を握る際、ユーザの親指が入力部11に触れることができる位置に入力部11が、設置されている。ステアリングホイール部32の回転位置が、車両の直進状態の位置の場合、ユーザが車両の運転席に座った際の、ステアリング本体部31のユーザの右手側に、入力部11が取り付けられる。なお、入力部11の取り付け位置は、ユーザの左手側や、ステアリング本体部31の中心部でもよい。
【0036】
次に、
図3に示すように、車両には、操作対象20の一例として、カーナビゲーション装置21、空調装置22と、オーディオ装置23等が設置されている。また、操作対象20の一例として、ユーザの携帯型無線電話機と近距離無線通信規格で接続し、ユーザが携帯型無線電話機を受けられるようにするための通信機器(図示せず)も設定されている。これらの操作対象20は、操作制御装置10の操作信号出力部12および通信部14と接続している。
【0037】
カーナビゲーション装置21は、タッチパネル等を含む表示部21aと、加速度センサやジャイロセンサやGPS(Global Positioning System)センサ等の各種のセンサと、CPU、RAMおよびROM等を含む処理部、情報を記憶する記憶部と、操作制御装置10等の他の機器との通信を行う通信部と、カーナビゲーション装置21を操作するための操作部と、を有する。なお、カーナビゲーション装置21は、インターネットに接続でき、表示部21aにおいて、インターネットの閲覧ができる構成を有していてもよい。
【0038】
表示部21aは、表示機能と位置入力機能を有するタッチパネルである。表示機能の部分は、例えば、液晶表示素子またはEL素子等によって構成される。位置入力機能の部分は、例えば、静電容量方式、抵抗膜方式等を実現する素子により構成される。なお、表示部が、ヘッドアップディスプレイの場合、表示部は、投影手段と、投影手段から投影された画像を映し出すスクリーン手段(ウインドシールド、眼鏡のレンズ部等)とを有する。
【0039】
また、表示部21aには、操作対象20を操作するための複数の操作項目iが表示される。操作項目iは、例えば、所定の操作対象20の操作内容を表したアイコンである。
【0040】
空調装置22は、コンプレッサー(図示せず)、車両内に空調された空気を送風する送風部(図示せず)を有し、車両の内部の温度、湿度を制御する。空調装置22の吹き出し口22aが、車両内に設置されている。
【0041】
オーディオ装置23は、CD、DVD等の再生、ラジオやテレビの電波を受信して、音をスピーカに出力し、映像をカーナビゲーション装置21の表示部21aに出力する。
【0042】
[2.操作制御装置の動作]
(2.1 操作制御装置の動作例)
実施例に係る操作制御装置の動作について、
図4から
図9を用い説明する。
【0043】
図4は、第1実施例に係る操作制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図5は、入力部にユーザの指が触れる様子の一例を示す模式図である。
図6は、入力部にユーザの指が触れた軌跡の一例を示す模式図である。
図7は、ステアリングが傾いた一例を示す模式図である。
図8および
図9は、表示部における操作項目の表示の一例を示す模式図である。
【0044】
図4に示すように、操作制御装置10は、操作項目を表示させる(ステップS1)。具体的には、システム制御部16は、初期設定等の複数の操作項目iを表示部21aに表示させるように、操作項目iに関するデータを、カーナビゲーション装置21に送信する。カーナビゲーション装置21は、
図3に示すように、複数の操作項目iを表示部21aに表示する。なお、移動体のエンジンがかかり、操作制御装置10やカーナビゲーション装置21等が起動すると、操作制御装置10のシステム制御部16は、記憶部13から、表示部21aに表示させる操作項目iに関するデフォルト情報を取得する。また、デフォルト情報の中には、フォーカスしている操作項目の情報もある。
【0045】
また、選択された操作項目iに対応する操作対象の操作を行うための処理が行われた後、選択される前の操作項目が表示される場合や、選択されたことにより新たな操作項目が表示される場合もある。
【0046】
そして、表示部21aに表示された操作項目を見ながら、例えば、指で入力部11の面をなぞったり、タップしたりすることにより、操作項目の特定の一例として、操作項目のフォーカスを移動させたり、操作項目を選択したりする。
【0047】
なお、複数の操作項目i等が同じ画素に重なって表示されている場合、最前面に表示されている操作項目iをフォーカスや選択の対象とする。
【0048】
次に、操作制御装置10は、入力部における接触された位置情報を取得する(ステップS2)。具体的には、
図5に示すように、位置情報取得手段の一例として、操作制御装置10のシステム制御部16は、入力部11の面において、ユーザの指5によりなぞられた部分のx座標およびy座標の位置情報を入力部11から取得する。さらに具体的には、
図6に示すように、システム制御部16は、ある時間におけるユーザの指が接触している部分の接触領域Cのx座標およびy座標の位置情報を入力部11から取得する。
【0049】
そして、システム制御部16は、ある時間間隔で、接触領域Cの位置情報を取得し、接触領域Cの中心座標を算出することにより、接触領域Cの軌跡tのx座標およびy座標の位置情報を取得する。なお、接触領域Cの中心座標は、接触領域Cの重心位置等を算出することにより求める。また、接触領域Cのx座標の値が最小の値または最大の値の点の軌跡でもよい。
【0050】
そして、システム制御部16は、取得した位置情報に関連付けて、取得した時間を記憶部13、または、RAM16cに記憶する。なお、記憶する際、軌跡t全体の情報に限らず、軌跡tの始点、終点の座標、軌跡tのx座標の最大値、最小値、y座標の最大値、最小値でもよい。
【0051】
このように、操作制御装置10は、ユーザからの入力を受け付ける入力部の入力面が接触された位置情報を取得する位置情報取得手段の一例として機能する。
【0052】
次に、操作制御装置10は、接触速度、接触角度を算出する(ステップS3)。具体的には、システム制御部16は、接触の始点の位置情報(x1,y1)および取得時間と、接触の終点の位置情報(x2,y2)および取得時間から、接触速度vおよび接触角度θ1を算出する。例えば、システム制御部16は、入力部に触れている接触時間s(接触時間の一例)を、
接触時間s=位置情報(x2,y2)の取得時間−位置情報(x1,y1)の取得時間
により算出する。システム制御部16は、移動距離dを、
移動距離d=√(a
2+b
2)
より算出する。ここで、a=x2−x1、b=y2−y1である。そして、システム制御部16は、接触速度vおよび接触角度θ1を、
接触速度v=d/s、
接触角度θ1=tan
-1(b/a)
より算出する。
【0053】
なお、軌跡tの長さと、接触時間sから接触速度vを算出してもよい。軌跡tの長さは、ある時間間隔で取得した接触領域Cの位置情報の隣り合う座標から、隣り合う距離を算出し、これらを足し合わせて長さでもよい。
【0054】
このように、操作制御装置10は、位置情報から、接触された接触方向を算出する接触方向算出手段の一例として機能する。また、操作制御装置10は、位置情報と接触時間から接触速度を算出する接触速度算出手段の一例として機能する。
【0055】
次に、操作制御装置10は、ステアリングの傾きデータを取得する(ステップS4)。具体的には、
図7に示すように、システム制御部16は、傾きセンサ15から、入力部11の姿勢に関する角度情報の一例として、入力部11が設置されたステアリングの傾き角度θ2のデータを取得する。なお、ステアリングの傾きを求める方法として、カメラでステアリング30を撮影した画像を用いて、システム制御部16は、画像処理を行いステアリング30の傾き角度θ2を求めてもよい。
【0056】
このように、操作制御装置10は、入力部の姿勢に関する角度情報を取得する角度情報取得手段の一例として機能する。
【0057】
次に、操作制御装置10は、操作項目のフォーカスの移動が否かを判定する(ステップS5)。具体的には、システム制御部16は、接触時間sと接触の移動距離dより、フォーカスが当たっているオブジェクトの選択かフォーカス移動かを判定する。例えば、接触時間sが0.1秒未満であれば、操作項目の選択とシステム制御部16は判定し、0.1秒以上であればフォーカス移動と、判定する。または、接触の移動距離dが所定値以下であれば、システム制御部16は、操作項目の選択と判定し、移動距離dが所定値より大きければ、フォーカス移動と判定する。また、ダブルタップのように、所定時間内における接触回数が所定以上の場合は、システム制御部16は、操作項目の選択と判定してもよい。
【0058】
フォーカスの移動の場合(ステップS5;YES)、操作制御装置10は、接触速度、接触角度、ステアリングの傾きの角度に基づき、フォーカスする操作項目を特定する(ステップS6)。まず、例えば、
図8に示すように、現在フォーカスが当たっている操作項目i1の基点(例えば、操作項目i1の中心oもしくは重心画素)から、接触角度θ1およびステアリングの傾きの角度θ2に関する方向(例えばθ1+θ2)の線L上にある操作項目i4、i5を、次のフォーカスの候補の操作項目として、システム制御部16は特定する。
【0059】
そして、システム制御部16は、中心oを基点に線L上にある画素に応じて、順に所定の値を、ステップS3で算出した接触速度vの値から減算していく。例えば、線L上で操作項目i外の画素を通過する場合、画素毎に値nにより減算し、線L上で操作項目i内の画素を通過する場合、画素毎に値mにより減算するというように、システム制御部16は、操作項目i内外で違う値を減算する。システム制御部16は、操作項目i1の中心oから減算して、v=np+mq(pは操作項目i外を通過した画素数、qは操作項目i内を通過した画素数)となる画素を求めることになる。すなわち、
図9に示すように、減算してゼロになった画素の点zを求める。値nは、操作項目i外の画素に対する重み、値mは、操作項目i内の画素に対する重みである。
【0060】
そして、システム制御部16は、接触速度vの値から減算してゼロになった画素からフォーカスする操作項目を特定する。
【0061】
操作項目i内で、接触速度vの値から減算してゼロになった場合、その操作項目iにフォーカスが移動する。例えば、操作項目i4内で、減算してゼロになった場合、操作項目i4にフォーカスが移動し、操作項目i5内で、ゼロになった場合、操作項目i5にフォーカスが移動する。なお、操作項目i4、i5が、基点から接触速度の値に応じた距離の付近にある操作項目の一例である。
【0062】
操作項目i外で、接触速度vの値から減算してゼロになった場合、現フォーカス操作項目i1により近い操作項目iにフォーカスが移動する。例えば、操作項目i4と操作項目i5の間の画素で、減算してゼロになった場合、操作項目i4にフォーカスが移動する。また、
図9に示すように、操作項目i5を超えたところで、減算してゼロになった場合、操作項目i5にフォーカスが移動する。なお、操作項目i4、i5が、基点から接触速度の値に応じた距離の付近にある操作項目の一例である。
【0063】
線L上を、現フォーカス操作項目i1から次の操作項目i4にいく前に、減算してゼロになった場合、フォーカスの移動はしない。例えば、操作項目i1内や操作項目i1と操作項目i4との間で、減算してゼロになった場合、フォーカスが操作項目i1のまま移動しない。
【0064】
なお、システム制御部16は、線L上にある操作項目iのうち、ゼロになった画素の点zに一番近い操作項目i5(基点から接触速度の値に応じた距離の付近にある操作項目の一例)を、次にフォーカスにする操作項目iとして特定してもよい。
【0065】
なお、操作項目i1の中心oの他に、操作項目i1の内部の点や、操作項目i1の近傍の画素を基点としてもよい。
【0066】
このように、操作制御装置10は、位置情報と角度情報とに基づき、操作項目を特定する操作項目特定手段の一例として機能する。また、操作制御装置10は、表示部において既に特定されている前記操作項目を基点に、接触方向と角度情報とに基づき、次の操作項目を特定する操作項目特定手段の一例として機能する。また、操作制御装置10は、基点から接触方向と角度情報とに応じた方向にある操作項目の中から、接触速度に基づき、操作項目を特定する操作項目特定手段の一例として機能する。また、操作制御装置10は、基点から接触速度の値に応じた距離の付近にある操作項目を特定する操作項目特定手段の一例として機能する。
【0067】
次に、操作制御装置10は、フォーカスを移動させる(ステップS7)。具体的には、
図9に示すように、システム制御部16は、操作項目i1の形態(例えば、操作項目i1の色)を、フォーカスされて無い通常の形態に戻し、操作項目i5をフォーカス用の形態にする。
【0068】
次に、操作制御装置10は、終了か否かを判定する(ステップS8)。例えば、システム制御部16は、操作制御装置10の電源がONかOFFかを判定する。電源がONの場合(ステップS8;NO)、システム制御部16は、ステップS2の処理に戻り位置情報を取得する。電源がOFFの場合(ステップS8;YES)、システム制御部16は、処理を終了する。
【0069】
一方、フォーカスの移動で無い場合(ステップS5;NO)、フォーカスされている操作項目iを選択する(ステップS9)。具体的には、システム制御部16は、フォーカスされている操作項目i1がユーザに選択されたとして、操作項目i1に対応する操作対象の操作を行うための処理をする。
【0070】
選択されたことにより新たな操作が必要な場合、システム制御部16は、ステップS1に戻り、新たな操作項目を表示する。
【0071】
また、選択されたことにより新たな操作が必要でない場合、システム制御部16は、ステップS1に戻り、選択された時の操作項目を表示する。
【0072】
以上説明したように、実施例に係る動作によれば、表示部21aに表示された複数の操作項目iに従いユーザが操作対象を操作する操作手段を制御するための操作制御装置10において、ユーザからの入力を受け付ける入力部11の入力面が接触された位置情報を取得し、入力部11の姿勢に関する角度情報(θ2)を取得し、位置情報と角度情報とに基づき、操作項目を特定することにより、ユーザが見て把握している表示部21aの操作項目iの位置とユーザが入力している入力部11に対する指5の動きとを、入力部11の傾きを考慮してユーザの感覚に近い形で対応づけて、操作項目iを特定できるので、ユーザにとって操作項目iの操作がしやすくなる。
【0073】
ステアリング30上にタッチパッド等の入力部11があるため、入力部11が常に水平になっているわけではない。そのため、ステアリング30の傾きに応じた補正をかけることにより、ユーザはステアリング30の傾きを意識することなく、表示部21a画面を見たまま意図した方向へ、操作項目iのフォーカスを決めることができる。
【0074】
また、表示部21aの画面上のタッチパッド操作を前提に作成されたUI(User Interface)としての操作項目iを、表示部21aの操作項目iを見ながらマウスなどのポインタを使わずに、操作項目iに対する操作ができる。
【0075】
また、実施例によれば、スマートフォンやタブレット用に作成されたアプリケーションを、再度移動体専用のUIへ開発を行わなくても、使用することができる。
【0076】
なお、スマートフォンやタブレットの普及により、PC(Personal Computer)等で使用されるマウスやキーボードを使わず、画面を直接触ることで操作をするのが当たり前になっている。これらの機器で使用されるアプリケーションはユーザが自由にインストールすることが可能で、車載用の機器にもユーザが自由にアプリケーションをインストールしたいというニーズがある。
【0077】
一方、車載用の機器では、運転中等において、ステアリング30からできるだけ、手を離さずに、アプリケーションを操作したい場合がある。しかし、アプリケーションを操作するためには、フォーカスを移動してオブジェクト等の操作項目を選択するという操作が必要であるが、アプリケーションは、画面上を直接触ることを前提に作られている。実施例によれば、ステアリング30の入力部11に対する操作により、操作項目に対するフォーカスの移動と、操作項目の選択を実現することができる。
【0078】
また、位置情報から、接触方向(例えばθ1)を算出し、表示部21aにおいて既に特定されている操作項目(例えば操作項目i1)を基点に、接触方向と角度情報(例えばθ2)とに基づき、次の操作項目(例えば操作項目i5)を特定する場合、ユーザが入力した接触方向により、ユーザの感覚にあった操作項目iを特定できるので、ユーザにとって操作項目iの操作がしやすくなる。また、接触方向と角度情報とにより、例えば、角度(θ1+θ2)の線L上にある画素を含む操作項目iをフォーカス移動の候補として絞り込むことができる。
【0079】
また、接触時間をs取得し、位置情報と接触時間sから接触速度vを算出し、基点から接触方向(例えばθ1)と角度情報(例えばθ2)とに基づいた方向にある操作項目(例えば、操作項目i4、i5)の中から、接触速度vに基づき、操作項目(例えば、操作項目i5)を特定する場合、入力部11に対する操作での指5の接触速度に応じて、ユーザの感覚にあった操作項目iを特定できるので、ユーザにとって操作項目iの操作がしやすくなる。例えば、入力部11に対する操作での指5の接触速度を早くすることで、より離れた操作項目iへフォーカスを一瞬で飛ばし、指5の接触速度を遅くすることで、近くの操作項目iを特定するといった使い方ができる。また、ユーザの入力部11に対する操作の加減により、フォーカス変更を直感的に一回の操作で行うことができる。
【0080】
また、基点(例えば、操作項目i)から接触速度vの値に応じた距離の付近にある操作項目を特定する場合、入力部11に対する操作での指5の接触速度に応じた距離感を入力できるので、ユーザにとって操作項目iの操作がしやすくなる。
【0081】
操作項目に対応する画像の画素に対して重み付けをし、基点から接触方向と角度情報とに応じた方向にある画素に対する重みに従い、接触速度vの値から順次減算し、接触速度vの値がゼロになる付近にある操作項目を特定する場合、操作項目iに応じて、フォーカスへの当てやすさを変えることができる。
【0082】
(2.2 操作項目の形状の変形例)
次に、操作項目の形状の変形例について、
図10および
図11を用いて説明する。
図10および
図11は、操作項目の形状の変形例を示す模式図である。
【0083】
図10および
図11に示すように、操作項目iiの形状が矩形でない場合、操作項目iiが外接する矩形irや多角形ipを、上述の操作項目iとみなしてもよい。このように、操作項目ii自体の形状を、上述の操作項目iと同じように取り扱うことができる。なお、操作項目ii自体の形状を、上述の操作項目iとみなしてもよい。このように、矩形の操作項目でなくても適用できる。
【0084】
(2.3 フォーカスの移動先の特定の変形例)
次に、フォーカスの移動先の特定の変形例について、
図12から
図14を用いて説明する。
図12から
図14は、表示部における操作項目の表示の一例を示す模式図である。
【0085】
まず、接触速度vの値から減算してゼロになる画素を求める部分の変形例として、式v=np+mqにおいて、
図12に示すように、値mに対し、操作項目i毎に、値miを変えてもよい(線L上にある操作項目i4に対して値m4、操作項目i5に対して値m5)。なお、値mi(i=1、2、3、・・・)は、操作項目に対応する画像の画素に対する重みの一例である。
【0086】
システム制御部16は、操作項目i1の中心oから減算して、v=np+m4q4+m5q5となる画素を求める。ここで、pは、操作項目i外を通過した画素数、q4は操作項目i4内を通過した画素数、q5は操作項目i5内を通過した画素数である。
【0087】
この場合、miが高い操作項目iにフォーカスが当たりやすくなる。このように、操作項目i毎にフォーカスの当たりやすさを変えることができる。
【0088】
また、値n、値mを使わず、単純に接触速度vの値に比例した距離の位置にある画素を、現フォーカスの操作項目i1の中心等から線L上にある画素から決定してもよい。例えば、ユーザが入力部11において、所定の閾値の速度に対して、指を早く動かすと、現フォーカスの操作項目i1から離れた操作項目iが特定され、所定の閾値の速度に対して、指をゆっくり動かすと、現フォーカスの操作項目i1に近い操作項目iが特定される。
【0089】
この場合、速度と傾きから、シンプルにフォーカスの移動先が決定される。このような操作に慣れる(方向や力加減などを直感的にユーザが分かってくる)と、ユーザが、決めた場所にフォーカスを移動させやすくなる。
【0090】
このように、操作制御装置10は、操作項目に対応する画像の画素に対して重み付けをする操作項目重付手段の一例として機能する。また、操作制御装置10は、基点から接触方向と角度情報とに応じた方向にある画素に対する重みに従い、接触速度の値から順次減算し、接触速度の値がゼロになる付近にある操作項目を特定する操作項目特定手段の一例として機能する。
【0091】
次に、
図13に示すように、線Lに限らず、線L上を中心に角度θ3の範囲にある操作項目iの中から、操作項目iを特定してもよい。システム制御部16は、特定対象の候補を扇型に拡張し、その枠内に入っている画素を含む操作項目iを次フォーカス候補とする。例えば、システム制御部16は線Lを基準に角度θ3の範囲にあり、操作項目i1中心oを通る直線で、操作項目i4および操作項目i6を通る線を決め、この決められた線に対して、式v=np+mq等を適用してもよい。または、システム制御部16は線L上を基準に角度θ3の範囲にある操作項目iの中から、所定の閾値に対して、接触速度vの大小により、操作項目iを特定してもよい。
【0092】
さらに、
図13に示すように、角度θ4を、例えば、0°〜θ3までと可変にして、扇型に角度θ3で拡張した範囲を変えるようにしてもよい。さらにまた、角度θ3および角度θ4は、ステアリング30の傾きである角度θ2と関連付けて調節するようにしてもよい。例えば、ステアリング30を大きく回した場合、角度θ3が大きくなり、右に回した場合、角度θ4が0°に近づき、左に回した場合、角度θ4が角度θ3に近づくようにする。
【0093】
また、
図14に示すように、線Lを基準にd1の幅の範囲にある操作項目iの中から、操作項目iを特定してもよい。システム制御部16は、特定対象の候補を帯状に拡張し、その帯内に入っている画素を含む操作項目iを次フォーカス候補とする。
【0094】
例えば、システム制御部16は線Lを基準に、幅d1の範囲にあり、線Lに平行で、操作項目i4および操作項目i6を通る線を決め、この決められた線に対して、式v=np+mq等を適用してもよい。または、システム制御部16は線Lを基準に幅d1の範囲にある操作項目iの中から、所定の閾値に対して、接触速度vの大小により、操作項目iを特定してもよい。
【0095】
さらに、
図14に示すように、d2は0〜d1まで可変、d1の幅で拡張した範囲をずらすようにしてもよい。さらにまた、d1、d2は、ステアリング30の傾きであるθ2と関連付けて調節するようにしてもよい。例えば、ステアリング30を大きく回した場合、d1が大きくなり、右に回した場合、d2がゼロに近づき、左に回した場合、d2がd1に近づくようにしてもよい。
【0096】
図13または
図14に示すように、角度θ3や幅d1を用いることにより、線Lが広がり、小さな操作項目iも特定されやすくなる。
【0097】
また、角度θ3、θ4や幅d1、d2を、ステアリング30の角度θ2と関連付けて調節する場合、角度θ2が大きくなればなるほど、入力部11が水平になっている状態よりもユーザが意図した方向へフォーカスを移動させにくくなると考えられる。しかし、ステアリング30の角度θ2に応じて、角度θ3、θ4や幅d1、d2等の各値を変えるように、接触方向(例えばθ1)と角度情報(例えばθ2)とに基づいた方向が、角度情報に応じた幅を有する場合、ステアリング30を回したことによる差異を吸収することができ、ユーザにとって操作項目iの操作がしやすくなる。また、ステアリング30の角度θ2に応じて、角度θ3、θ4や幅d1、d2を調節することにより、特定される候補の操作項目iを含む領域を変えることができる。
【0098】
なお、角度θ1からステアリング30の傾きθ2を差し引いてもよい。この場合、ステアリング30の傾きに関係なく、水平に対する指5の軌跡の傾きにより入力できる。