(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記連結部は、前記駆動部の動作に応じて偏心回転すると共に前記容器把持部材の一端側を支持可能な偏心部を具備し、前記容器把持部材の一端側を支持した前記偏心部を偏心回転させることによって、前記容器把持部材を振動させるように構成されている、請求項1に記載の撹拌装置。
前記連結部は、前記基台に対する前記容器把持部材の姿勢が一定となるように前記容器把持部材を位置決めするための位置決め部を具備し、前記容器把持部材を振動させるときには、前記偏心部において前記容器把持部材の一端側を支持し、前記容器把持部材が容器を把持していない状態から容器を把持するときには、前記位置決め部において前記容器把持部材の一端側を支持するように構成されている、請求項2に記載の撹拌装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の混合装置では、キュベットホルダがキュベットを支持するときには、移送アームが移動されてキュベットを把持していないキュベットホルダをキュベットの供給位置へ移動し、そこでキュベットホルダにキュベットを把持させる必要がある。また、キュベットホルダに支持されたキュベットに検体又は試薬を分注する際には、移送アームが移動されてキュベットホルダを検体又は試薬の分注位置へ移動し、そこでキュベットに検体又は試薬を分注する必要がある。しかしながら、キュベットホルダは移送アームに可撓性を有するゴム円板のみによって支持されているため、キュベットホルダの位置精度を確保することが困難であり、キュベットホルダにおけるキュベットの支持不良が生じる虞がある。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、容器を把持する部材の位置精度を従来に比して向上させることができる撹拌装置及び検体分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の撹拌装置は、容器に収容された液体を撹拌するための撹拌装置であって、移動可能な基台と、前記基台に取り付けられた駆動部と、前記駆動部に連結され、
前記駆動部の動作に応じて変位可能であり、前記駆動部による動力が伝達される連結部と、一端側が前記連結部によって支持され、他端側で容器を把持する容器把持部材と、前記容器把持部材が前記基台に対して変位可能なように、前記容器把持部材の一端と他端との間において当該容器把持部材を支持する支持部と、を備え、前記容器把持部材は、容器を把持していない状態から容器を把持するときに、前記基台の移動に伴って、容器を把持するための把持位置に位置付けられるように構成されて
おり、前記連結部は、容器を把持していない状態から容器を把持するときに、前記基台に対する前記容器把持部材の姿勢が一定となるように前記容器把持部材を支持するように構成されている。
【0008】
これにより、容器を把持するための把持位置に位置づけられるときに、容器把持部材は支持部と連結部とによって複数点で支持されるため、容器把持部材の位置精度が従来に比して向上する。
【0009】
また、駆動部の動作により連結部を変位させて容器把持部材を振動させることで、容器把持部材に把持された容器を振動させることができる。また、容器を把持していない状態から容器を把持するときには、基台に対する容器把持部材の姿勢が常に一定となるように容器把持部材を支持するため、容器把持部材の位置精度を確保しやすくなる。
【0010】
上記態様において、前記連結部は、前記駆動部の動作に応じて偏心回転すると共に前記容器把持部材の一端側を支持可能な偏心部を具備し、前記容器把持部材の一端側を支持した前記偏心部を偏心回転させることによって、前記容器把持部材を振動させるように構成されていてもよい。これにより、簡易な構成で、駆動部の動力を容器把持部材に伝達することができる。
【0011】
上記態様において、前記連結部は、前記基台に対する前記容器把持部材の姿勢が一定となるように前記容器把持部材を位置決めするための位置決め部を具備し、前記容器把持部材を振動させるときには、前記偏心部において前記容器把持部材の一端側を支持し、前記容器把持部材が容器を把持していない状態から容器を把持するときには、前記位置決め部において前記容器把持部材の一端側を支持するように構成されていてもよい。これにより、容器を振動させるときには容器把持部材を偏心部に位置させ、容器を把持していない状態から容器を把持するときには容器把持部材を位置決め部に位置させればよく、容易に容器内の液体の撹拌の機能と容器の把持の機能とを切り替えることができる。
【0012】
上記態様において、前記連結部は、前記駆動部の動作に応じて回転する回転軸を有し、前記偏心部および前記位置決め部は、前記回転軸の一部が曲げられることにより形成されていてもよく、またこの場合、前記容器把持部材は、前記偏心部と前記位置決め部との間を移動可能に前記回転軸に接続されていてもよい。これにより、回転軸に沿って容器把持部材の位置を変化させるだけで、容易に容器内の液体の撹拌の機能と容器の把持の機能とを切り替えることができる。
【0013】
上記態様において、前記回転軸は、前記容器把持部材に設けられた貫通孔又は凹部に挿入されており、前記容器把持部材は、前記回転軸の回転に伴って前記偏心部が貫通孔又は凹部の内壁に接触することにより、振動するように構成されていてもよい。これにより、偏心部の変位を確実に容器把持部材の振動に変換することができる。
【0014】
上記態様において、前記回転軸は、その中心線に沿って直線状に設けられた前記位置決め部を有していてもよい。これにより、回転中心に対する位置決め部の位置は駆動部の動作によって変わることがなく、容器を把持していない状態から容器を把持するときには容器把持部材が常に一定の位置で連結部に支持されることとなる。
【0015】
上記態様において、前記連結部は、前記駆動部の動作に応じて回転する回転軸を有し、前記回転軸は、その回転中心に対して傾斜した前記偏心部を有していてもよい。これにより、回転中心に対して傾斜した部分を回転軸に設けるだけで、偏心部を構成することができる。
【0016】
上記態様において、前記連結部は、前記駆動部の動作に応じて回転する回転軸を有し、前記回転軸は、その回転中心である中心軸に平行な直線状の前記偏心部を有していてもよい。これにより、中心軸に平行な部分を回転軸に設けるだけで、偏心部を構成することができる。
【0017】
上記態様において、前記偏心部は、前記容器把持部材の振動の幅を変更可能に構成されていてもよく、またこの場合、前記連結部は、前記駆動部の動作に応じて回転する回転軸を有し、前記偏心部は、前記回転軸の所定部分が曲げられることにより形成され、前記容器把持部材は、前記回転軸の前記所定部分を移動可能に前記回転軸に接続されていてもよい。これにより、回転軸の所定部分に沿って容器把持部材の位置を変化させるだけで、容器把持部材の振動の幅を容易に変更することができる。
【0018】
上記態様において、前記支持部は、弾性部材を含んでいてもよい。
【0019】
上記態様において、前記駆動部は、モータと、前記連結部に接続されたプーリと、一端が前記モータの出力軸に接続されるとともに他端が前記プーリに接続された伝動ベルトと、を含んでいてもよい。
【0020】
また、本発明の一の態様の撹拌装置は、容器に収容された液体を撹拌するための撹拌装置であって、移動可能な基台と、前記基台に取り付けられた回転駆動部と、前記回転駆動部によって回転される回転軸と、一端側が前記回転軸によって支持され、他端側で容器を把持する容器把持部材と、前記容器把持部材が前記基台に対して変位可能なように、前記容器把持部材の一端と他端との間において当該容器把持部材を支持する支持部材と、を備え、前記容器把持部材は、容器を把持していない状態から容器を把持するときに、前記基台の移動に伴って、容器を把持するための把持位置に位置付けられ、前記回転軸は、前記回転駆動部の動作に応じて偏心回転すると共に前記容器把持部材の一端側を支持可能な偏心部を含み、当該偏心部を偏心回転させることにより、前記偏心部において支持された前記容器把持部材を振動させるように構成されている。
【0021】
また、本発明の一の態様の検体分析装置は、容器に収容された検体を分析する検体分析装置であって、容器を供給する容器供給部と、前記容器供給部によって供給された容器に検体を分注するための検体分注部と、前記容器供給部によって供給された容器に試薬を分注するための試薬分注部と、前記容器に分注された検体及び試薬を撹拌するための撹拌装置と、前記撹拌装置によって検体及び試薬が撹拌され、これによって調製された測定試料を測定する測定部と、を備え、前記撹拌装置は、移動可能な基台と、前記基台に取り付けられた駆動部と、前記駆動部に連結され、
前記駆動部の動作に応じて変位可能であり、前記駆動部による動力が伝達される連結部と、一端側が前記連結部によって支持され、他端側で容器を把持する容器把持部材と、前記容器把持部材が前記基台に対して変位可能なように、前記容器把持部材の一端と他端との間において当該容器把持部材を支持する支持部と、を備え、前記容器把持部材は、容器を把持していない状態から容器を把持するときに、前記基台の移動に伴って、容器を把持するための把持位置に位置付けられるように構成されて
おり、前記連結部は、容器を把持していない状態から容器を把持するときに、前記基台に対する前記容器把持部材の姿勢が一定となるように前記容器把持部材を支持するように構成されている。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、容器把持部材の位置精度を従来に比して向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0025】
<検体分析装置の構成>
図1は、本実施の形態に係る検体分析装置の構成を示す図である。
図1には、正面斜め上方から検体分析装置1を見たときの状態が示されている。本実施形態に係る検体分析装置1は、検体(血液試料)の凝固・線溶機能に関連する特定の物質の量又は活性の度合いを光学的に測定して分析するためのものである。この検体分析装置1では、凝固時間法、合成基質法及び免疫比濁法を用いて検体の光学的な測定を行う。凝固時間法の測定項目としては、PT(プロトロンビン時間)、APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)、Fbg(フィブリノーゲン濃度)、LA(ループスアンチコアグラント)等がある。また、合成基質法の測定項目としてはAT等があり、免疫比濁法の測定項目としてはDダイマー、FDP等がある。
【0026】
検体分析装置1は、装置本体2と装置本体2の上面から前面までを覆うカバー3とを備えている。カバー3はヒンジによって装置本体2と接続されており、開閉可能である。また、装置本体2にはタッチパネルディスプレイ4が設けられており、ユーザが当該タッチパネルディスプレイ4を用いて検体の分析に必要な情報(例えば、検体ID、患者情報、測定項目、測定開始指示等)を入力したり、測定結果をタッチパネルディスプレイ4に表示したりすることが可能となっている。
【0027】
カバー3が閉じられているときに装置本体2のカバー3によって覆われる部分は、開口部となっている。この開口部には、測定試薬を設置するための試薬設置部5と、検体が分注される容器を設置するための一次分注容器設置部6と、試薬と検体とを混和して反応させる反応容器を供給する反応容器供給部7と、反応容器内の試料を測定するための測定部8とが同一テーブル上に設けられている。このテーブルの上方には、検体を分注するための検体分注部91と、試薬を分注するための試薬分注部92と、反応容器を反応容器供給部7から測定部8へと搬送するための容器搬送部10とが設けられている。
【0028】
試薬設置部5には、試薬容器を設置するための複数の穴が設けられている。また、試薬容器設置部5には冷却装置が内蔵されており、設置された試薬容器を一定の温度に冷却することが可能である。
【0029】
一次分注容器設置部6には、検体が分注される一次分注容器が着脱可能となっている。一次分注容器は、複数の穴(凹部)を有する容器であり、各穴には検体分注部91によって検体が分注される。本実施の形態に係る検体分析装置においては、1つの検体に対して、複数の測定項目についての測定指示が与えられる場合がある。このような場合には、指示された測定項目と同数の反応容器が用意され、それぞれの反応容器に検体が分注される必要がある。一次分注容器設置部6は、検体が収容された採血管から検体分注部91により吸引された検体を収容するために用いられ、一次分注容器の1つの穴には1つの検体が収容される。1つの穴に収容された検体は、測定項目に応じて用意された一又は複数の反応容器へと検体分注部91によってさらに分注される(二次分注)。
【0030】
反応容器供給部7は、複数の反応容器を収容可能であり、収容された反応容器を1つずつ供給(排出)することができる。
【0031】
測定部8は、反応容器を保持するための複数の穴が設けられている。検体と試薬とが収容された反応容器が容器搬送部10により搬送され、測定部8の穴に保持される。また、測定部8の内部には、ヒータが設けられており、各穴に保持された反応容器中の液体が当該ヒータによって一定温度に加温されるようになっている。さらに、測定部8の各穴には、発光部と受光部とが設けられており、穴に保持された反応容器内の測定試料(検体と試薬との混合物)の吸光度が測定可能である。測定されたデータは装置本体2に内蔵される制御部に送信され、制御部において当該データが処理され、測定結果が得られる。
【0032】
装置本体2には、前後方向及び左右方向にそれぞれ延びたガイドレールが設けられており、検体分注部91及び試薬分注部92のそれぞれは、これらのガイドレールに沿って前後方向及び左右方向、即ち、直交する水平2軸方向へ移動が可能である。また、検体分注部91及び試薬分注部92のそれぞれは、検体及び試薬を分注するためのノズルを具備している。各ノズルは上下方向に移動可能であり、検体分注部91及び試薬分注部92のそれぞれが移動する場合には、ノズルが上方の位置に位置付けられ、検体分注部91及び試薬分注部92のそれぞれが検体及び試薬を吸引又は吐出する場合には、ノズルが下降されるようになっている。
【0033】
容器搬送部10は、装置本体2の内部に設けられたガイドレールに沿って、左右方向に移動可能である。かかる容器搬送部10は、反応容器供給部7によって供給された反応容器を把持し、測定部8の穴に搬送することが可能である。また、容器搬送部10は、把持された反応容器を振動させ、反応容器内の検体と試薬とを撹拌することができる。
【0034】
本実施の形態に係る検体分析装置1では、採血管から検体分注部91によって吸引された検体が、一次分注容器設置部6に設置された一次分注容器の穴に定量分注(一次分注)される。その一方で、反応容器供給部7から供給された反応容器が容器搬送部10によって把持される。前記一次分注容器の穴に収容された検体の一部は、検体分注部91により吸引され、容器搬送部10に把持された反応容器へ分注(二次分注)される。このようにして検体が二次分注された反応容器は、容器搬送部10により測定部8の保持穴へと移送され、当該保持穴の中で所定時間加温される。所定時間加温された反応容器は、容器搬送部10によって測定部8から取り出される。試薬分注部92が測定項目に対応する血液凝固試薬を試薬設置部5に設置された試薬容器から吸引し、容器搬送部10に把持された反応容器へ分注される。さらに、容器搬送部10は反応容器を振動させ、反応容器中の検体と試薬とを撹拌して混和させ、測定試料を調製する。検体と試薬とが撹拌された反応容器は、測定部8の保持穴へと戻され、さらに所定時間加温される。こうして血液凝固試薬と検体が反応容器内で混和され、血液凝固反応が生じる。測定部8において、測定試料が収容された反応容器に対して光が照射され、その透過光が検出されることにより、検体の測定が行われる。
【0035】
<容器搬送部の構成>
次に、容器搬送部の構成について詳細に説明する。
図2は、容器搬送部の構成を示す斜視図である。容器搬送部10は、フレーム11と、当該フレーム11内に設けられた撹拌装置12とを有している。フレーム11は、金属板を屈曲させて形成されており、撹拌装置12を上方から覆うように下方が開口した箱状をなしている。また、フレーム11の上方には、ガイドレールが貫通するガイド部13が設けられている。またフレーム11は、装置本体2に設けられた伝動ベルトに接続されており、この伝動ベルトが駆動されると、ガイド部13がガイドレールを摺動することで、容器搬送部10が左右方向(図中X方向)へ移動することとなる。
【0036】
撹拌装置12は、フレーム11の内部において前後方向、即ち、図中Y方向へ移動可能である。フレーム11の外側には、撹拌装置12を前後方向へ移動させるためのモータ14が設けられている。また、フレーム11の内側には、前後方向に延びたガイドレール141と、伝動ベルト及びプーリからなる動力伝達機構が設けられている。撹拌装置12は、ガイドレール141が貫通するガイド部を有しており、モータ14が動作すると、動力伝達機構が駆動され、ガイド部がガイドレール141を摺動することで、撹拌装置12が前後方向へ移動する。つまり、撹拌装置12は、可動範囲においてX方向及びY方向に自在に移動可能となっている。
【0037】
図3は、撹拌装置の構成を示す正面図であり、
図4は、その左側面図である。本実施の形態に係る撹拌装置12は、ベース121と、反応容器を把持するためのキャッチャ122と、昇降ブロック123と、昇降ブロック123とキャッチャ122とを連結する支持ゴム124と、昇降ブロック123及びキャッチャ122を上下方向(図中Z方向)へ移動させるためのモータ125と、キャッチャ122に把持された反応容器を振動させるためのモータ126と、モータ126の出力軸に接続された回転軸127とを備えている。
【0038】
ベース121は、金属板が屈曲されて形成されており、撹拌装置12の基本骨格を構成する部材である。かかるベース121には、キャッチャ122を上下方向へ移動させるためのモータ125が取り付けられている。モータ125の出力軸には、伝動ベルト128a及びプーリ128b,128cからなる動力伝達機構128が接続されており、動力伝達機構128の伝動ベルト128aに昇降ブロック123が接続されている。また、昇降ブロック123には貫通孔が設けられており、ベース121の上部から下部へと延びたガイドレール129a,129bがこの貫通孔を貫通している。モータ125が動作すると、動力伝達機構128が駆動され、昇降ブロック123がガイドレール129a,129bを摺動することで、昇降ブロック123が上下方向へ移動することとなる。
【0039】
かかる昇降ブロック123の正面側には支持ゴム124が取り付けられており、この支持ゴム124によってキャッチャ122が支持されている。支持ゴム124は可撓性を有しており、このためキャッチャ122は昇降ブロック123に対して所定の範囲(支持ゴム124のゴム弾性により許容される範囲)で変位(振動)可能な状態で接続されている。
【0040】
キャッチャ122は、ポリアセタール等の合成樹脂によって主として構成されており、上下方向に延びた板状の基部122aと、基部122aの下端に設けられた把持部122bと、基部122aの上端に設けられた実質的に水平な板状の接続部122cとを具備している。基部122aには、上述した支持ゴム124が接続されている。把持部122bは、反応容器を把持する部分である。
【0041】
ここで、反応容器の構成について説明する。
図5は、反応容器の構成を示す正面図である。反応容器20は、半球状の底部を有する円筒形をなしており、透光性を有する合成樹脂によって構成されている。かかる反応容器20の内側には検体及び試薬を収容するための空間が設けられている。また、反応容器20の上端には、円環状の鍔部21が設けられている。
【0042】
図3及び
図4を用いた撹拌装置12の説明に戻る。把持部122bは、基部122aの下端から前方へ突設されている。かかる把持部122bは、上述した反応容器20の鍔部21に係合可能な形状及び構造を有している。
【0043】
また、接続部122cは、基部122aの上端から後方へ延びている。接続部122cには貫通孔が設けられており、この貫通孔によって後述するような反応容器20の振動が可能となる。
【0044】
ベース121の上端には、モータ126(ステッピングモータ)が取り付けられている。当該モータ126の出力軸は下方に延びており、伝動ベルト130a及びプーリ130b,130cからなる動力伝達機構130が接続されている。動力伝達機構130の従動プーリ130cには、回転軸127が接続されている。かかる回転軸127は金属製の棒体であり、ベース121の上端から、その下方に設けられた軸受部131まで延設されている。回転軸127の上端部及び下端部は、回転軸127の回転中心に沿った直線状の部分とされている。特に下側の直線部分は、反応容器20を把持する際にキャッチャ122を支持するための位置決め部127aとされている。他方、回転軸127の中間部分は、屈曲されることで前記回転中心から外れた偏心部127bとされている。偏心部127bは、上側部分の第1傾斜部127pと、中間部分の直線部127qと、下側部分の第2傾斜部127rとを有している。第1傾斜部127pは、回転軸127の上端側の直線部分に連なっており、下方へ向かうにしたがって回転軸の回転中心からのずれ量が大きくなるように傾斜している。第1傾斜部127pは、その回転中心からのずれ量が最大となる下端において直線部127qに連なっている。直線部127qは、回転中心の軸長方向と平行に延びている。また、第2傾斜部127rは、回転軸127の下端側の直線部分に連なっており、下方へ向かうにしたがって回転軸の回転中心からのずれ量が小さくなるように傾斜している。第2傾斜部127rは、その上端において、直線部127qの下端と連なっている。また、第2傾斜部127rの傾斜角(回転軸127の回転中心の軸長方向に対して第2傾斜部127rの軸長方向がなす角度)は、第1傾斜部127pの傾斜角(回転軸127の回転中心の軸長方向に対して第1傾斜部127pの軸長方向がなす角度)よりも小さくなっている。
【0045】
このような回転軸127は、上述したキャッチャ122の接続部122cに設けられた貫通孔を貫通している。この貫通孔の大きさは、回転軸127の径よりも若干大きくされている。このため、接続部122cが位置決め部127aから第2傾斜部127rを経由して直線部127qへ移動可能となっている。
【0046】
<撹拌装置の動作>
次に、本実施の形態に係る撹拌装置の動作について説明する。反応容器供給部7から反応容器20が供給されるとき、撹拌装置12において、キャッチャ122の接続部122cが回転軸127の位置決め部127aに位置付けられるように、モータ125が駆動される。これにより、昇降ブロック123及びキャッチャ122が一体的に下降され、接続部122cが回転軸127に沿って位置決め部127aへと移動される。これにより、キャッチャ122は
図3及び
図4に示す第1位置に位置付けられる(
図7の破線参照)。
【0047】
キャッチャ122が第1位置に位置付けられているときには、モータ126により回転軸127が回転されても、位置決め部127aはその回転中心に沿って設けられているため、回転中心に対する位置決め部127aの位置は変化することがない。つまり、回転軸127の偏心部127bが回転中心に対してどのような位置にあったとしても、ベース121に対する位置決め部127aの位置は変化することがない。したがって、キャッチャ122が第1位置に位置付けられているとき(キャッチャ122が位置決め部127aにおいて支持されているとき)には、キャッチャ122のベース121に対する位置(姿勢)は一定となっている。
【0048】
このとき、キャッチャ122は、支持ゴム124と、回転軸127とによって2点で支持されている。したがって、支持ゴム124のゴム弾性によるキャッチャ122の位置精度の低下が抑制され、十分な位置精度を確保することができる。
【0049】
この状態で、容器搬送部10がX方向及びY方向へ移動され、これによってキャッチャ122が反応容器供給部7へ移動される。キャッチャ122は、把持部122bが容器供給位置にある反応容器20の後方に位置付けられ、そこからモータ14が駆動されて撹拌装置12がフレーム11の内部で前方へ移動する。これにより把持部122bが反応容器20の鍔部21に係合する。キャッチャ122がこのようにして反応容器20の鍔部21を把持した状態で、モータ125が駆動され、昇降ブロック123及びキャッチャ122が一体的に上昇される。これにより、反応容器供給部7から反応容器20が引き抜かれる。
【0050】
図6は、キャッチャ122が上昇されたときの撹拌装置の構成を示す左側面図である。モータ125の動作によって昇降ブロック123及びキャッチャ122が上昇されるとき、キャッチャ122の接続部122cは回転軸127の直線部127qに位置付けられる。これにより、キャッチャ122は
図6に示す第2位置に位置付けられる。
【0051】
反応容器に検体を分注する場合、キャッチャ122が反応容器20を把持して第2位置に位置付けられた状態で、容器搬送部10がX方向及びY方向へ移動され、キャッチャ122が検体を分注するための検体分注位置へ移動される。キャッチャ122が検体分注位置へ位置付けられると、検体分注部91が一次分注容器に収容された検体を吸引し、この検体をキャッチャ122に把持されている反応容器20へ分注する。このようにして反応容器20内に検体が収容されると、容器搬送部10がX方向及びY方向へ移動され、これによってキャッチャ122が測定部8へ移動される。キャッチャ122は測定部8の1つの保持穴の上方に位置付けられ、モータ125が駆動されることにより、昇降ブロック123及びキャッチャ122が一体的に下降され、反応容器20が保持穴に挿入される。反応容器20が保持穴に挿入された後、モータ14が駆動されて撹拌装置12がフレーム11の内部で後方へ移動する。これにより把持部122bと反応容器20の鍔部21との係合が解除され、キャッチャ122から反応容器20が取り外される。
【0052】
反応容器に試薬を分注する場合、容器搬送部10がX方向及びY方向へ移動され、これによってキャッチャ122が測定部8へ移動される。キャッチャ122は測定部8の穴の1つに保持されている反応容器20の後方に位置付けられ、そこからモータ14が駆動されて撹拌装置12がフレーム11の内部で前方へ移動する。これにより把持部122bが反応容器20の鍔部21に係合する。キャッチャ122がこのようにして反応容器20の鍔部21を把持した状態で、モータ125が駆動され、昇降ブロック123及びキャッチャ122が一体的に上昇される。これにより、測定部8の保持穴から反応容器20が引き抜かれる。
【0053】
このようにしてキャッチャ122が反応容器20を把持して第2位置に位置付けられた状態で、容器搬送部10がX方向及びY方向へ移動され、キャッチャ122が試薬を分注するための試薬分注位置へ移動される。キャッチャ122が試薬分注位置へ位置付けられると、試薬分注部92が試薬容器に収容された試薬を吸引し、この試薬をキャッチャ122に把持されている反応容器20へ分注する。このようにして反応容器20内に試薬が収容されると、撹拌装置12が撹拌動作を実行する。
【0054】
図7は、撹拌装置12の動作を説明するための模式図である。キャッチャ122が第2位置に位置付けられているとき、キャッチャ122の接続部122cに設けられた貫通孔は、回転軸127の直線部127qに位置付けられている。撹拌装置12が撹拌動作を行う場合、この状態でモータ126が駆動され、回転軸127が回転される。これにより、偏心部127bが偏心回転し、直線部127qに位置付けられた接続部122cが回転軸の回転中心周りを偏心部127qと共に回転する。即ち、接続部122cの貫通孔の内壁を、回転軸127の直線部127qが接触することにより、キャッチャ122が周期的に変位(振動)する。このとき、キャッチャ122は支持ゴム124によって支持されており、支持ゴム124の弾性力が許容する範囲で、支持ゴム124を支点として変位(振動)する。この結果、モータ126が動作し続けることで、かかるキャッチャ122の周期的な動作が反復継続され、これによってキャッチャ122に把持されている反応容器20が振動し、反応容器20内の検体と試薬とが撹拌混合される。
【0055】
反応容器20内の検体及び試薬が撹拌されると、再度測定部8の保持孔へ反応容器20が挿入される。このとき、容器搬送部10がX方向及びY方向へ移動され、これによってキャッチャ122が測定部8へ移動される。キャッチャ122は測定部8の1つの保持穴の上方に位置付けられ、モータ125が駆動されることにより、昇降ブロック123及びキャッチャ122が一体的に下降され、反応容器20が保持穴に挿入される。反応容器20が保持穴に挿入された後、モータ14が駆動されて撹拌装置12がフレーム11の内部で後方へ移動する。これにより把持部122bと反応容器20の鍔部21との係合が解除され、キャッチャ122から反応容器20が取り外される。
【0056】
上記のごとく、キャッチャ122が、複数の部材(支持ゴム124と回転軸127)によって支持されるため、反応容器供給部7の容器供給位置へキャッチャ122が移動される場合に、キャッチャ122の位置精度を十分に確保することができ、反応容器20の把持不良を抑制することができる。また、上記回転軸127を回転させることによってキャッチャ122を振動させることができるため、回転軸127によって、キャッチャ122の位置精度を確保するという効果と、キャッチャ122を振動させるという効果とを奏することができる。そのため、簡易な構成で、反応容器20の把持不良を抑制できるとともに反応容器20内の液体の撹拌を行うことが可能となる。なお、検体及び試薬を反応容器20に分注するときにも、キャッチャ122が支持ゴム124と回転軸127の位置決め部127aによって2点で支持されるため、キャッチャ122の位置精度を十分に確保することができ、検体及び試薬の分注不良を抑制することが可能となる。
【0057】
また、キャッチャ122が反応容器20を把持するとき、並びに、検体及び試薬が分注されるときに、キャッチャ122は常に回転軸127の位置決め部127qにおいて支持されるため、キャッチャ122のベース121に対する姿勢が一定となり、キャッチャ122の位置精度を確保しやすくなる。
【0058】
また、反応容器20を振動させるときにはキャッチャ122の接続部122cを偏心部127bに位置させ、反応容器20を把持するときにはキャッチャ122を位置決め部127aに位置させればよく、容易に反応容器20内の液体の撹拌の機能と反応容器20の把持の機能とを切り替えることができる。また、回転軸127に沿ってキャッチャ122の位置を変化させるだけで、容易に反応容器20内の液体の撹拌の機能と反応容器20の把持の機能とを切り替えることができる。
【0059】
また、回転軸127に沿ってキャッチャ122を移動させることによって、回転軸127の回転中心からキャッチャ122と回転軸の接続箇所までのずれ量(距離)を変更することができ、キャッチャ122の振動半径(振動の幅)を容易に変更することができる。そのため、モータ126の出力を変更しなくても、容易にキャッチャ122の振動半径を変更することができる。反応容器20内の液量に応じてキャッチャ122の振動半径を変更することで、反応容器20から液体がこぼれることを抑制することが可能である。なお、モータ126としてステッピングモータを使用しているため、モータ126の回転数も制御することができ、キャッチャ127の振動速度も容易に変更することが可能である。
【0060】
また、反応容器20を振動させる場合には、支点である基部122aを挟んで、作用点である把持部122bの反対側に力点である接続部122cが設けられているので、基部122a及び把持部122bの間の距離並びに基部122a及び接続部122cの間の距離のそれぞれを適宜設定することにより、モータ126が動作したときの把持部122bの変位量を適切に調節することができる。また反応容器20を把持する場合には、基部122aと接続部122cとがベース121に対して固定されるため、把持部122bもベース121に対して固定されることとなり、キャッチャ122の位置精度を容易に確保することができる。
【0061】
(その他の実施の形態)
なお、上述した実施の形態においては、回転軸127に直線部127aと偏心部127bとを設け、偏心部127bに第1傾斜部127pと、直線部127qと、第2傾斜部127rとを設ける構成について述べたが、これに限定されるものではない。例えば、
図8Aに示すように、矩形のクランク状に屈曲された回転軸227を設け、当該回転軸227の回転中心から外れたクランク部227aにおいて、キャッチャ222の接続部222cが接続されている構成としてもよい。これにより、回転軸227の回転によりクランク部227aが偏心回転し、その偏心回転によってキャッチャ222に把持された反応容器を振動させることができる。
【0062】
また、
図8Bに示すように、回転中心に対して傾斜した回転軸327を設け、当該回転軸327の適切な箇所において、キャッチャ322の接続部322cが接続されている構成としてもよい。これにより、回転軸327が偏心回転し、その偏心回転によってキャッチャ322に把持された反応容器を振動させることができる。
【0063】
また、
図8Cに示すように、回転中心の軸長方向に対して所定距離隔てて平行な回転軸427を設け、当該回転軸427において、キャッチャ422の接続部422cが接続されている構成としてもよい。これにより、回転軸427が偏心回転し、その偏心回転によってキャッチャ422に把持された反応容器を振動させることができる。
【0064】
また、上述した
図8A〜
図8Cの場合においては、キャッチャが反応容器を把持していない状態から反応容器を把持するときには、クランク部227a、回転軸327及び427を、一定の位置(回転角度)において停止させるようにすることが好ましい。これにより、キャッチャが反応容器を把持していない状態から反応容器を把持するときには、キャッチャがクランク部227a、回転軸327及び427により一定の位置(姿勢)で支持されることとなり、十分な位置精度を確保することができる。
【0065】
また、上述した実施の形態においては、キャッチャ122に貫通孔を設け、この貫通孔を回転軸127が貫通することによってキャッチャ122と回転軸127とが連結する構成について述べたが、これに限定されるものではない。例えば、
図9に示すように、モータの回転に応じて回転する円盤527を設け、この円盤527の中心から外れた位置に孔を設ける。キャッチャ522の一部に棒状部522cを設け、円盤527の孔に当該棒状部522cを挿入する。モータが回転すれば円盤527が回転し、円盤527に設けられた孔が偏心回転する。この孔に連結された棒状部522cも偏心回転するため、キャッチャ522に把持された反応容器を振動させることができる。
【0066】
また、伝動ベルト130aおよびプーリ130b,130cからなる動力伝達機構130を設けなくてもよく、モータ126の出力軸に回転軸127を連結してもよい。また、モータ126の出力軸を回転軸127と同様の形状に構成し、モータ126の出力軸にキャッチャ122の接続部122cを接続してもよい。
【0067】
また、上述した実施の形態においては、キャッチャ122を支持ゴム124によって支持する構成について述べたが、これに限定されるものではない。ベース121に対してキャッチャ122を所定の範囲で変位(振動)可能としつつ、キャッチャ122を支持するものであれば、ゴム弾性体である必要はなく、例えばユニバーサルジョイントによって支持する構成としてもよい。
【0068】
また、回転軸の回転以外の方法でキャッチャ122を振動させてもよい。例えば、直線的に往復運動を行うソレノイドにキャッチャを連結し、ソレノイドの動力をキャッチャに伝達することにより、キャッチャを振動させる構成としてもよい。
【0069】
また、回転軸に偏心カムを取り付け、偏心カムにキャッチャを連結させてもよい。これによっても、回転軸の回転によって偏心カムが偏心回転し、キャッチャを振動させることができる。
【0070】
また、上述した実施の形態においては、検体分析装置1を血液凝固測定装置としたが、これに限定されるものではない。例えば、生化学分析装置、免疫分析装置等の他の検体分析装置に、上記実施の形態に係る撹拌装置を設けることもできる。