(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の吐出容器では、下記の課題を有していた。
すなわち、特許文献1では、計量栓体内の内容物を吐出する際、少しずつ吐出させて使用すること(例えば所定量を小分けにして広範囲に吐出する操作など)が難しく、操作性に改善の余地があった。
また、特許文献2では、計量栓体を引き上げる動作がキャップを開く操作に依存しており、また計量栓体を押し下げる動作が被供給箇所への押し当て操作に依存しているため、操作方法により計量栓体の動作が安定せず、また計量の精度が確保されにくくなるおそれがあった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、計量の精度を安定して確保でき、操作性に優れた吐出容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
すなわち、本発明の吐出容器は、内容物が収容される容器本体と、前記容器本体の口部に装着され、該容器本体内に連通可能な連通孔が形成された中栓と、容器軸方向に沿う前記容器本体の外側に向けて付勢された状態で配設され、前記連通孔を閉塞可能に開放する栓体と、前記中栓及び前記栓体を覆い、かつ容器軸方向に沿う前記容器本体の外側に向けて開口する外端開口が形成された計量筒部材と、前記計量筒部材の外端開口を閉塞し、かつ弾性変形することで計量筒部材内の内容物が通過可能な開口が形成される吐出膜部材と、前記吐出膜部材を開閉可能に覆うキャップと、を備え、前記キャップには、前記吐出膜部材を挿通して前記栓体を容器軸方向に沿う前記容器本体の内側に向けて押下する押下体が突設されて
おり、前記中栓には、内部が前記連通孔に連通する計量内筒が立設され、この計量内筒における容器軸方向に沿う前記容器本体の内側の端部の開口部が前記連通孔とされ、前記栓体は、前記計量内筒に対して、容器軸方向に沿う前記容器本体の内側から当接することで、前記連通孔を閉塞するフランジ部を備え、前記フランジ部の容器軸方向に沿う前記容器本体の内側は、前記栓体を付勢する付勢手段に支持されていることを特徴とする。
【0008】
この吐出容器では、キャップが装着された状態で、容器を倒立姿勢とすることで、容器本体内から中栓の連通孔を通して、計量筒部材内に内容物が流入する。計量筒部材内に内容物が流入した状態から、キャップを操作して吐出膜部材を外部に開放し、押下体を吐出膜部材から引き抜いて該押下体による栓体の押下を解除することで、栓体が付勢力によって容器軸方向に沿う容器本体の外側に向けて移動するとともに、該栓体により連通孔が閉塞され、内容物が計量される。
本発明によれば、操作者の操作方法に関わらず、計量の精度を安定して確保することができる。尚、計量筒部材の外端開口は吐出膜部材により閉塞されているため、該外端開口から内容物が容器外部に漏れ出るようなことが防止されている。
【0009】
内容物を吐出する際は、上記計量後に、吐出膜部材を例えば頭皮等の被供給箇所に押し当て弾性変形させることで、この吐出膜部材に計量筒部材内の内容物が通過可能な開口が形成され、この開口を通して内容物が被供給箇所に吐出されることとなる。
この際、吐出膜部材を被供給箇所に押し当てる力を調整することで、形成される開口の大きさ、つまり内容物の供給量を調整することが可能になり、優れた操作性を具備させることができる。
【0010】
また、本発明の吐出容器において
、前記計量内筒の外部と前記計量筒部材との間で内容物を保持可能な構成とされたこととしてもよい。
【0011】
この場合、キャップが装着された状態で倒立姿勢とされた容器を、キャップを操作して吐出膜部材を外部に開放する前に、正立姿勢とすることで、計量筒部材内の余分な内容物(具体的には、計量内筒の外部と計量筒部材との間に貯留される内容物以外の内容物)が、計量内筒の内部及び連通孔を通して容器本体内に戻されるとともに、計量内筒の外部と計量筒部材との間で内容物が計量される。そして、この状態からキャップを開けることで連通孔が閉塞され、上述の作用効果が得られる。この構成によれば、上述した計量の精度を安定して確保できるという効果が、より顕著に奏されることとなる。
【0012】
また、本発明の吐出容器において、前記栓体には、該栓体が前記中栓に対して容器軸方向に移動するときに、前記中栓に摺接可能なガイド部が形成されていることとしてもよい。
【0013】
この場合、中栓に対する栓体の容器軸方向に沿う移動が、スムーズに安定して行われる。
【0014】
また、本発明の吐出容器において、前記キャップは、この吐出容器を倒立姿勢とした状態で対象物に載置可能に形成されていることとしてもよい。
【0015】
この場合、例えば棚や机上等の対象物に対して、容器を倒立姿勢の状態で載置することができる。従って、内容物を吐出する際、容器を倒立姿勢とする操作が不要となり、操作性がより向上する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の吐出容器によれば、計量の精度を安定して確保でき、操作性に優れている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る吐出容器1について説明する。
本実施形態の吐出容器1は、例えば頭皮等の被供給箇所Hに液状の内容物Lを吐出(塗布)するのに用いられるものである(
図7を参照)。
図1及び
図2に示すように、吐出容器1は、内容物が収容される容器本体2と、容器本体2の口部3に装着され、該容器本体2内に連通可能な連通孔4が形成された中栓5と、容器軸O方向に沿う容器本体2の外側に向けて付勢された状態で配設され、連通孔4を閉塞可能に開放する栓体6と、中栓5及び栓体6を覆い、かつ容器軸O方向に沿う容器本体2の外側に向けて開口する外端開口7が形成された計量筒部材8と、計量筒部材8の外端開口7を閉塞し、かつ弾性変形することで計量筒部材8内の内容物が通過可能な開口が形成される吐出膜部材9と、吐出膜部材9を開閉可能に覆うキャップ10と、を備えている。
ここで、容器本体2、中栓5、栓体6、計量筒部材8、吐出膜部材9及びキャップ10の各中心軸線は、共通軸上に位置している。本明細書では、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸Oに沿う方向を上下方向といい、上下方向に沿った容器本体2の底部11側を下側(容器本体2の内側)といい、キャップ10側を上側(容器本体2の外側)といい、容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0019】
容器本体2は、有底筒状をなしており、その口部3が、本体部分をなす胴部12よりも小径に形成されている。容器本体2の口部3と胴部12との間には、
図1に示される縦断面視で、下側に向かうに従い漸次径方向外側に向かって延びる肩部13が形成されている。また、
図2に示されるように、容器本体2の底部11は、ドーム状に形成されている。
【0020】
図1において、口部3の外周面には、雄ねじ部3aが形成されており、該外周面における雄ねじ部3aの下側には、周方向に延びる環状のフランジ3bが突設されている。また、口部3において雄ねじ部3aより上側に位置する上端部3cの外径は、該口部3の上端部3c以外の部位の外径より小径となっている。口部3の内径は、上下方向に略一定とされている。
【0021】
中栓5は、容器本体2の口部3に装着される下筒部14と、該下筒部14の上側に連結される上筒部15と、を備えている。
【0022】
下筒部14は、口部3内に嵌合する嵌合筒16と、該嵌合筒16の径方向内側に配設される支持筒17と、を有している。
嵌合筒16は、その上端部16a以外の部位(上端部16aより下側に位置する部位)が口部3内に挿入されている。嵌合筒16の上端部16aは、前記上端部16a以外の部位よりも大径とされて口部3の上側に隣接配置されており、上端部16aにおける下端面16bは、口部3の上端開口縁にその上側から当接している。
【0023】
支持筒17は、嵌合筒16の前記上端部16a以外の部位における上端部から径方向内側に向けて突設されるとともに、
図1に示される縦断面視で嵌合筒16から径方向内側に向かうに従い漸次下側へ向けて延びるテーパ部17aと、該テーパ部17aの下側に連なる大径部17bと、該大径部17bの下側に連なり大径部17bより小径とされた小径部17cと、を備えている。小径部17cは、有底筒状をなしており、その底壁17dには上下方向に貫通する貫通孔17eが形成されている。大径部17b及び小径部17cには、これら大径部17b及び小径部17cを厚さ方向に貫通して上下方向に延びるスリット17fが、1つ、又は周方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0024】
上筒部15は、下筒部14のテーパ部17a内に嵌合される受け筒18と、該受け筒18の内周縁部から立設される計量内筒19と、を有している。
受け筒18の外周縁部は、嵌合筒16の前記上端部16a以外の部位における上端開口縁にその上側から当接しており、かつ、上端部16aにその径方向内側から接近又は当接配置されている。受け筒18の外周縁部以外の部位(外周縁部より径方向内側に位置する部位)には、
図1に示される縦断面視でこの外周縁部から径方向内側に向かうに従い漸次下側へ向けて延びるテーパ部18aと、該テーパ部18aの内周縁部から下側へ向けて突設される案内部18bと、が形成されている。
【0025】
案内部18bは、筒状をなし、支持筒17の大径部17b内に嵌合しており、該案内部18bの下端開口縁は、小径部17cの上端開口縁にその上側から当接している。案内部18bには、該案内部18bを厚さ方向に貫通して上下方向に延びるスリット18cが、1つ、又は周方向に間隔をあけて複数形成されている。そして、受け筒18のスリット18cと支持筒17のスリット17fとが、周方向に対応して配置されている(周方向位置が互いに一致している)ことで、計量内筒19の内部と容器本体2の内部とが連通されている。
【0026】
計量内筒19は、案内部18bより若干小径に形成されている。計量内筒19の下端開口部は、前記連通孔4とされている。
図5等に示されるように、栓体6がキャップ10により押し下げられた状態において、計量内筒19の内部は、連通孔4を通して容器本体2内に連通している。
図1において、計量内筒19には、径方向内側へ向けて突設されるとともに上下方向に沿って延びるガイドリブ19aが、周方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0027】
栓体6は、有頂筒状の押し下げ筒20と、該押し下げ筒20を中栓5に対して上方に向けて付勢する弾性部21と、を備えている。
【0028】
押し下げ筒20は、天壁20aと、周壁20bと、フランジ20cと、垂下筒20dと、を有している。天壁20a、及び周壁20bの上側部分は、中栓5の計量内筒19より上側に突出して配置されている。周壁20bの下側部分は、計量内筒19内に配設されており、該計量内筒19のガイドリブ19aにその径方向内側から接近又は当接配置されている。
【0029】
フランジ20cは、周壁20bの下端部から径方向外側に向けて突出するとともに周方向に沿って延びる環状をなしており、計量内筒19にその下側から当接可能とされている。また、このようにフランジ20cが計量内筒19に当接することで、栓体6は、連通孔4を閉塞可能である。また、フランジ20cの外周縁部は、栓体6が中栓5に対して上下方向に移動するときに、中栓5に摺接可能なガイド部22とされている。ガイド部22は、受け筒18の案内部18bにその径方向内側から接近又は当接配置されている。
【0030】
垂下筒20dは、周壁20bより大径とされて、フランジ20cから下側へ向けて突設されている。垂下筒20dは、支持筒17の貫通孔17e内に挿入されており、該垂下筒20dの外周面は、貫通孔17eの内周面に接近又は当接配置されている。
【0031】
弾性部21は、垂下筒20dをその径方向外側から囲繞する筒状をなしており、フランジ20cと底壁17dとに上下方向から挟まれている。
図1に示される縦断面視で、弾性部21は波形状をなしている。
【0032】
計量筒部材8は、容器本体2の口部3に装着される装着筒23と、該装着筒23の上側に位置して計量内筒19及び押し下げ筒20を囲うとともに、計量内筒19の外部(外周面)との間で内容物Lを保持可能な計量外筒24と、を備えている。
【0033】
装着筒23は、口部3の上端部3cに径方向外側から嵌合しており、図示の例ではアンダーカット嵌合とされている。装着筒23の内周面における上端部には、下側に向けて開口するとともに周方向に沿って延びる環状溝23aが形成されており、該環状溝23a内には、下筒部14の上端部16aが嵌合している。
【0034】
計量外筒24は、有頂筒状をなしており、天壁24aと、周壁24bと、を有している。周壁24bは、装着筒23との連結部分から上側へ向かうに従い漸次縮径するテーパ状をなしており、該周壁24bの下端開口縁は、受け筒18の外周縁部にその上側から当接している。天壁24aの径方向中央(容器軸O上)には上下方向に貫通する孔が形成されており、該孔が前記外端開口7となっている。また、天壁24aには、吐出膜部材9が過度に弾性変形させられることを防止する規制筒24cが立設されている。規制筒24cの内径は、外端開口7の内径より若干大径となっている。
【0035】
図3(a)(b)に示されるように、吐出膜部材9は、有頂筒状をなしており、天壁9aと、周壁9bと、フランジ9cと、を備えている。天壁9a、及び周壁9bの上側部分は、計量外筒24の天壁24aより上側に突出して配置されている。
図3(b)に示される縦断面視で、天壁9aは、その外周縁部から径方向内側へ向かうに従い漸次下側へ向けて延びており、全体として下側へ向けて窪まされた椀状をなしている。また、
図3(a)に示される上面視で、天壁9aには、十字状又はX字状をなすスリット25が形成されており、該スリット25は、天壁9aを上下方向に貫通して形成されている一方、吐出膜部材9が被供給箇所Hに押し当てられ弾性変形する前の待機状態(
図3(b)の状態)においては、内容物Lを流通させないようになっている。
【0036】
図3(b)において、周壁9bは、天壁9aとの連結部分から下側へ向かうに従い漸次拡径するテーパ状をなしており、外端開口7の径方向内側に配設されている。フランジ9cは、周壁9bの下端部から径方向外側に向けて突出するとともに周方向に沿って延びる環状に形成されている。フランジ9cは、計量外筒24の天壁24aにその下側から当接している。また、フランジ9cの下面には、該下面から窪まされるとともに周方向に沿って延びる環状溝9dが形成されている。
【0037】
また、計量外筒24内には、吐出膜部材9をその下側から支持する支持部材26が配設されている。支持部材26は、円環板状をなしており、その外周縁部が計量外筒24の周壁24bの上端部に嵌合している。支持部材26内、及び吐出膜部材9の周壁9b内には、押し下げ筒20の上端部が挿入されている。また、支持部材26の上面には、該上面から突出するとともに周方向に沿って延びる環状突起26aが形成されており、該環状突起26aはフランジ9cの環状溝9d内に係合している。
【0038】
図1において、キャップ10は、吐出膜部材9を覆った状態で容器本体2の口部3に着脱可能に装着されている。本実施形態のキャップ10は、内キャップ27と、外キャップ28と、を備えている。内キャップ27は、有頂筒状をなしており、天壁27aと、周壁27bと、を有している。天壁27aの径方向中央には、下側へ向けて突出する棒状、針状又は板状をなし、吐出膜部材9を挿通して栓体6を下側へ向けて押下する押下体29が形成されている。具体的に、押下体29は吐出膜部材9のスリット25内に挿入されており、該押下体29の外径(径方向寸法)は、スリット25の開口幅に対応している。
【0039】
天壁27aにおける押下体29の径方向外側には、該押下体29との間に間隔をあけて、シール筒30が垂設されている。シール筒30は、吐出膜部材9をその径方向外側から囲うように形成されており、該シール筒30の下側部分は、その上側部分よりも薄肉に形成されている。シール筒30の下側部分は、計量外筒24の規制筒24c内に嵌合している。
【0040】
周壁27bは、天壁27aとの連結部分から下側へ向かうに従い段階的に拡径するように形成されている。周壁27bの内周面における下側部分には、雌ねじ部27cが形成されており、該雌ねじ部27cは、口部3の雄ねじ部3aに螺着している。周壁27bの下端部には、径方向外側へ向けて突出するとともに周方向に沿って延びる環状のフランジ27dが形成されている。また、周壁27bの下側部分には、径方向外側へ向けて突出するとともに上下方向に延びる規制リブ27eが、周方向に間隔をあけて複数形成されている。規制リブ27eは、外キャップ28に対する内キャップ27の周方向への移動(回転)を規制するとともに、キャップ10の下側部分の強度を高めている。
【0041】
外キャップ28は、有頂筒状をなしており、天壁28aと、周壁28bと、を備えている。天壁28aは、内キャップ27の天壁27aより大径とされ、該天壁27aにその上側から当接している。天壁28aの上面は、平坦面とされており、キャップ10は、
図2に示されるようにこの吐出容器1を倒立姿勢とした状態で、例えば棚や机上等の対象物(不図示)に載置可能に形成されている。周壁28bの内周面における下端部には、該内周面から窪まされ周方向に沿って延びる環状の係合溝28cが形成されており、該係合溝28c内には、内キャップ27のフランジ27dの外周縁部が係合されている。
【0042】
以上説明した吐出容器1では、
図1のようにキャップ10が装着された状態で、
図2に示すように容器を倒立姿勢とすることで、
図4に示すように、容器本体2内から中栓5の連通孔4を通して、計量筒部材8内に内容物Lが流入する。ここで、
図4は、容器本体2の内容物Lが計量筒部材8内で一次計量された状態を示している。このように計量筒部材8内に内容物Lが流入した状態から、キャップ10を操作して吐出膜部材9を外部に開放し、押下体29を吐出膜部材9から引き抜いて該押下体29による栓体6の押下を解除することで、栓体6が弾性部21の付勢力によって上側(
図4においては下側となる)に向けて移動するとともに、該栓体6により連通孔4が閉塞され、内容物Lが計量される。
本実施形態によれば、従来のようにキャップを開ける動作などに依存することなく、つまり操作者の操作方法に関わらず、計量の精度を安定して確保することができる。尚、計量筒部材8の外端開口7は吐出膜部材9により閉塞されているため、該外端開口7から内容物Lが容器外部に漏れ出るようなことが防止されている。
【0043】
内容物Lを吐出する際は、上記計量後に、
図7に示すように吐出膜部材9を被供給箇所Hに接近させ、押し当てて弾性変形させることで、この吐出膜部材9に計量筒部材8内の内容物Lが通過可能な開口が形成され、この開口を通して内容物Lが被供給箇所Hに吐出されることとなる。具体的に、本実施形態では、吐出膜部材9が弾性変形させられるとともにスリット25の開口幅が大きくなることで、内容物Lが吐出される。
この際、吐出膜部材9を被供給箇所Hに押し当てる力を調整することで、形成される開口の大きさ、つまり内容物Lの供給量を調整することが可能になり、優れた操作性を具備させることができる。本実施形態では、規制筒24cにより吐出膜部材9の弾性変形量を一定とし、吐出膜部材9を被供給箇所Hに押し当てる力を調整している。
【0044】
また、本実施形態では、中栓5に計量内筒19が立設されていることから、下記の顕著な効果を奏することとなる。
すなわち、
図4において一次計量がなされた後、キャップ10を操作して吐出膜部材9を外部に開放する前に、
図5に示すように容器を正立姿勢とすることで、計量筒部材8内の余分な内容物L(具体的には、計量内筒19の外部と計量筒部材8との間に貯留される内容物L以外の内容物L)が、計量内筒19の内部及び連通孔4を通して容器本体2内に戻されるとともに、計量内筒19の外部と計量筒部材8との間で内容物が計量される(二次計量)。そして、この状態から、
図6に示すようにキャップ10を開けることで、栓体6の上昇移動により連通孔4が閉塞され、上述の作用効果が得られる。この構成によれば、上述した計量の精度を安定して確保できるという効果が、より顕著に奏されることとなる。さらに、吐出する内容物Lの容量(一次計量及び二次計量のいずれか)を、操作者が簡単な操作のみで選択可能である。
【0045】
また、本実施形態のように、頭皮等の被供給箇所Hに対して当接される吐出膜部材9が、弾性変形可能な材料からなることで、被供給箇所Hに軟らかい接触感を付与することができる。さらに、吐出膜部材9の材質や材料の硬さ、先端形状などを種々に設定することができ、これにより被供給箇所Hに対して所望の接触感(例えば刺激など)を付与することが可能である。
【0046】
また、
図1において、栓体6には、該栓体6が中栓5に対して上下方向に移動するときに、中栓5に摺接可能なガイド部22が形成されているので、中栓5に対する栓体6の上下方向に沿う移動が、スムーズに安定して行われる。尚、前述の説明では、栓体6のフランジ20cにおける外周縁部を上記ガイド部22としたが、栓体6のうち、前記フランジ20cの外周縁部、押し下げ筒20の周壁20b、及び、垂下筒20dのうち、少なくとも1つ以上がガイド部とされていればよい。
【0047】
また、キャップ10の天壁28aの上面が平坦面に形成されているので、例えば棚や机上等の対象物に対して、この吐出容器1を倒立姿勢の状態で載置することができる。従って、内容物Lを吐出する際、容器を倒立姿勢とする操作が不要となり(つまり上記一次計量のための操作が不要となり)、操作性がより向上する。
【0048】
尚、本発明は前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0049】
例えば、前述の実施形態では、栓体6が、押し下げ筒20と弾性部21とを別体として備えることとしたが、これに限定されるものではない。
ここで、
図8は、前述した実施形態の変形例を示している。
図8においては、栓体6の押し下げ筒20と弾性部21とが、一体に形成されている。この場合、弾性部21の弾性変形量を十分に確保する目的で、弾性部21には、該弾性部21を厚さ方向に貫通するとともに上下方向に延びるスリット(不図示)が形成されていることが好ましい。また、前記スリットは、弾性部21に周方向に間隔をあけて複数形成されていることが望ましい。尚、この変形例では、垂下筒20dは設けられていない。
【0050】
また、前述の実施形態では、
図1に示される縦断面視で、弾性部21が波形状をなしているとしたが、弾性部21は、中栓5に対して栓体6を上方付勢できる構成であればよく、これに限定されるものではない。すなわち、弾性部21は、例えば圧縮コイルばね等であっても構わない。
【0051】
また、前述の実施形態では、吐出膜部材9の天壁9aに、十字状又はX字状をなすスリット25が形成されているとしたが、吐出膜部材9は、弾性変形により計量筒部材8内の内容物Lが通過可能な開口が形成されるものであればよく、これに限定されるものではない。例えば、スリット25は、I字状やY字状をなしていてもよい。
さらに、吐出膜部材9の天壁9a(例えば、スリット25が形成された部分より径方向の外側)に1つ又は複数の突起部を形成し、前記天壁9aを被供給箇所Hに押し当てたときに、前記突起部を起点に天壁9aが歪な変形を起こすように構成してもよい。これにより、天壁9aのスリット25間の開口を形成し易くなり、操作性の更なる向上を図ることができる。
ここで、
図10(a)(b)は、前述した実施形態の変形例を示している。
図10(a)(b)においては、吐出膜部材9の天壁9aに、スリット25の代わりに、該天壁9aを厚さ方向に貫通する孔31が形成されている。そして、吐出膜部材9が被供給箇所Hに当接されることで、孔31を通して計量筒部材8内の内容物Lが被供給箇所Hに吐出されるようになっている。尚、孔31は、天壁9aに複数形成されていてもよい。
この場合、キャップ10を装着した際に、押下体29が、シリコンゴム等の弾性体で形成された吐出膜部材9の孔31を拡径させるように変形させることで、当該孔31に挿通される。
【0052】
また、前述の実施形態では、キャップ10が、互いに別体である内キャップ27と外キャップ28とを備えるとしたが、これら内キャップ27と外キャップ28とが、一体に形成されていてもよい。
ここで、
図9は、前述した実施形態の変形例を示している。
図9においては、内キャップ27のフランジ27dと、外キャップ28の周壁28bとが連結されており、これら内キャップ27と外キャップ28とが一体に形成されている。また、外キャップ28に天壁28aは設けられておらず、周壁28bはフランジ27dとの連結部分から上側(
図9においては下側となる)に向かうに従い漸次拡径して形成されている。この場合、キャップ10が、対象物に対してより安定した状態で載置されるとともに、容器を安定して倒立姿勢とすることができる。
【0053】
また、前述の実施形態では、キャップ10が、容器本体2の口部3に対して螺着により着脱可能に装着されているとしたが、これに限定されるものではなく、例えばそれ以外のアンダーカット嵌合等により着脱可能に装着されていてもよい。
また、キャップ10が、容器本体2の口部3に装着される代わりに、計量筒部材8や中栓5に対して着脱可能に装着されていてもよい。
さらにキャップ10は、容器本体2の口部3、計量筒部材8又は中栓5にヒンジ部を介して連結されていてもよい。つまりキャップ10を、吐出膜部材9を開閉可能に覆う他の構成に適宜変更してもよく、さらにキャップ10と併せて、例えば押下体29の形状、大きさ、材質なども適宜変更してよい。
【0054】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。