(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6014445
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】収納物保持用中枠
(51)【国際特許分類】
B65D 5/50 20060101AFI20161011BHJP
【FI】
B65D5/50 101Z
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-215714(P2012-215714)
(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公開番号】特開2014-69819(P2014-69819A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2015年7月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(73)【特許権者】
【識別番号】506048050
【氏名又は名称】統一印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000730
【氏名又は名称】特許業務法人 清水・醍醐特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 香里
(72)【発明者】
【氏名】今井 恵
(72)【発明者】
【氏名】米村 将貴
【審査官】
家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−096933(JP,A)
【文献】
特開2001−238949(JP,A)
【文献】
実開平02−011024(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D5/00−5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部よりも下方へ延びた円形のリム部を備えた収納物を保持する収納物保持用の中枠において、前記中枠は、前側壁と後側壁と前記前側壁と後側壁とに両端において繋がる上下壁とを備え、前記前側壁には前記収納物の形状に略対応した開口部が形成されて、該開口部を入口として前記前側壁と後側壁との間に前記収納物の少なくとも一部分を収受する収納凹所が形成され、前記開口部の下側縁部には、所定の間隔で2つの凹部が形成され、前記中枠はさらに支持片を備え、該支持片は、その基部において前記後側壁に連結されて前記前側壁側へ延び、その先端は前記開口部を通って前記前側壁から突出し、前記基部から前記先端側へ向かって斜め上方へと傾斜しており、前記先端と前記基部との間の位置で前記開口部の下側縁部により支持されることを特徴とする、収納物保持用中枠。
【請求項2】
請求項1記載の収納物保持用中枠において、前記下側縁部の2つの凹所は、前記収納物のリム部の直径に対応する距離だけ隔てて形成され、円周方向2箇所において前記リム部を収受可能になっていることを特徴とする、収納物保持用中枠。
【請求項3】
請求項1または2に記載の収納物保持用中枠において、前記支持片は、前記後側壁の一部を切り起して形成されていることを特徴とする、収納物保持用中枠。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1に記載の収納物保持用中枠において、前記支持片の先端部は保持された収納物の前側半部分における底部に当接し、前記前側壁と後側壁との間において前記収納物の後側半部分の前記リム部が部分的に前記支持片により支持されることを特徴とする、収納物保持用中枠。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1に記載の収納物保持用中枠において、前記支持片の先端部は、前記収納物の前記リム部の内周の半径に略等しい半径を有する半円形状に形成され、前記先端部は、前記リブ部の内周に略達する位置まで延びていることを特徴とする、収納物保持用中枠。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1に記載の収納物保持用中枠において、前記上側壁及び下側壁より前記前側壁の前方へ突出するスペーサ片を備えていることを特徴とする、収納物保持用中枠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は包装箱に収納物を収納する際に使用する収納物保持用中枠に関する。さらに詳細に言えば、収納物の下部に収納物の底部より下方へ突出したリム部を備えた収納物を立てた状態で支持して保持する中枠に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば化粧品など各種の品物が詰められた容器(商品)を包装箱に収納物として収納する際に、その収納物が包装箱内で移動したりしないように保持する中枠が使用されることがある。すなわち、中枠に収納物の形状に近い形の収納凹部を形成し、その収納凹部に収納物の約半部分を格納し、その状態で包装箱に格納する。この包装箱に収納する際に収納物が中枠から外れてしまっては作業がやりにくい。また、化粧品などを店頭に陳列する場合に購買者が中の収納物を確認できるように包装箱の前側壁の一部が透明体で構成されている場合があり、その際、見栄えなどの関係で、内部の収納物と包装箱の前側壁との間に空スペースが設けられることが多い。その場合、中枠に保持された収納物が陳列中に或いは購買者が手にとって見ている時にその空スペース側へ転がりだしたりしては、購買者が収納物の確認を行うのに不便である。
【0003】
特開平7−96933号には、缶詰などを包装箱に収納する際に使用する包装用台紙が開示されている。その台紙においては、缶詰を収納する凹部空間を2枚の側壁部と2枚のフラップとを主面平面部に対して折り曲げることにより画成し、そのフラップが斜めに折り曲げられた状態で、缶詰の上下端に隆起した形状にされたリム部に囲まれた浅い凹部に係合させ、それにより缶詰が台紙からこぼれ落ちるのを防止している。
【0004】
しかし上記のような構成においては、缶詰の内容物がきわめて軽い場合はよいが、内容物が重い場合には、下側のフラップが下側へ押し曲げられてしまい、それにより上側のフラップが凹部から外れてしまい、缶詰が台紙からこぼれ落ちてしまう可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−96933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明は上記した問題点に鑑みなされたものであり、下側にリム部を備えた収納物を立てた状態で保持するのに使用する中枠であって、収納物を安定的に保持し、それから外れることを確実に防止することのできる収納物保持用中枠を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本願発明は以下の構成を備えた収納物保持用中枠を提供する。すなわちその中枠は、底部よりも下方へ延びた円形のリム部を備えた収納物を保持する収納物保持用の中枠である。そしてその中枠は、前側壁と後側壁と前記前側壁と後側壁とに両端において繋がる上下壁とを備え、前記前側壁には前記
収納物の形状に略対応した開口部が形成されて、該開口部を入口として前記前側壁と後側壁との間に前記収納物の少なくとも一部分を収受する収納凹所が形成され、前記開口部の下側縁部には、所定の間隔で2つの凹部が形成されている。
中枠はさらに支持片を備え、該支持片はその基部において前記後側壁に連結されて前記前側壁側へ延び、その先端が前記開口部を通って前記前側壁から突出し、前記基部から
前記先端側へ
向かって斜め上方へと傾斜しており、前記先端と前記基部との間の位置で前記開口部の下側縁部により支持される。
前記下側縁部の2つの凹所は、前記収納物のリム部の直径に対応する距離だけ隔てて形成され、円周方向2箇所において前記リム部を収受可能に形成することができる。
前記支持片は、前記後側壁の一部を切り起して形成することができる。
前記支持片の先端部は保持された収納物の前側半部分における底部に当接し、前記前側壁と後側壁との間において前記収納物の後側半部分の前記リム部が部分的に前記支持片により支持されるように構成することができる。
前記上側壁及び下側壁より前記前側壁の前方へ突出するスペーサ片を備えることができる。
【発明の効果】
【0008】
上記の如き構成を備えた中枠を使用した場合、支持片の先端が収納物のリム部の内側において収納物の底部に当接し、前側壁と後側壁との間で収納物のリム部の一部が支持片により支持されるようになる。支持片は収納凹所の下側縁部により支持されており、下方へ移動することが出来ないので、強制的に中枠を変形させなければ中枠に保持された収納物は収納凹所から外れることが無い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本願発明の中枠を使用する収納物の例である容器の一部切欠正面図である。
【
図2】中枠に容器を保持させた状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下図面を参照しながら本願発明の実施の形態について収納物を横断面円形の容器を例として説明する。
図1は本願発明の中枠によって保持される容器の一例を示す正面図で、一部を切り欠いて示してある。容器1は横断面円形で、本体2と蓋3とからなる。本体2はその周壁が二重構造になっており、同心状に形成された内側壁4と外側壁5とで構成されている。外側壁5の下端部は、収納部7の底部8より下方へ突出して、内側に円形の凹所9を画成する円環状のリム部6を形成している。なお、本願発明の中枠を使用する容器としては、図示のような二重壁の構造は必須ではなく、収納部の底部より下方へ延びるリム部が形成され、それにより、そのリム部の内側に凹所が画成されていればよい。
【0011】
次に本願発明の中枠について
図2以下を参照して説明する。
図2は容器1を保持した状態の中枠11の正面図であり、
図3は
図2のA−A線断面図であり、この
図3には容器1を保持した状態で中枠11が格納される包装箱Hも2点鎖線で示してある。
図4は
図3のB−B線断面図であり、
図5は背面図である。
【0012】
中枠11は一枚の厚紙で構成され、前側壁12と後側壁13と、前側壁12と後側壁13のそれぞれの上側端部の間と下側端部の間を繋いでいる上側壁14と下側壁15とを備えている。なお、この中枠11は一枚の厚紙を予め定められて位置で折り曲げて形成されており、
図5の背面図に示されるように、後側壁13の上部側13Aに設けられた挿入片13aを下部側13Bのスリット13bに挿入して掛け止めすることにより、閉じた形状が維持されるようになっている。この構造は公知であるので詳細の説明は省略する。
【0013】
前側壁12の略中央に容器1の形状に略対応した開口部16が画成されている。この開口部16について
図6を参照して説明すると、前側壁12の開口部16となる部分に
図6に示すように実線で示される切り込みを設け、破線で示される部分に折り曲げ線を設けて左側及び右側折り曲げ片17,18(
図4参照)と、上側折り曲げ片19(
図2参照)と、下側縁部20と、その下側縁部20の両端部に形成された凹部21,22とが形成され、これら折り曲げ片17,18,19が後側壁13側へ略直角に折り曲げられている(
図2参照)。これにより、開口部16を入口とする、容器1の略半部分が収納される収納凹部23が前側壁12と後側壁13との間に画成されている。
【0014】
一方、後側壁13の下部には、
図5に示されるように上側に開いた「コ」字状の切込み24aが入れられてその基部25で折り曲げ可能とされた支持片24が形成される。この支持片24は、その折り曲げの基部25の位置が、開口部16の下側縁部20よりも低い位置になっている。そしてその支持片24の長さは前側壁12と後側壁13との間の距離よりも長くなっている。従って、この支持片24を折り曲げてその先端部26側を開口部16を通り越して前側壁12の前側へ突出した状態にすると、支持片24は先端部26と基部25との間の位置で下側縁部20により支持されることとなり、先端部26が基部25より上側に位置して傾斜した状態となる。そして支持片24はその先端部26で容器1の底部8を支持し、下側縁部20により支持される位置と基部25との間の、
図3において符合Pで示される位置(
図2で見た場合、略左右対称な2箇所の位置)で容器のリブ部6を支持することとなる。なお、支持片24の先端部26を図示の例より長くして、収納物1のリブ部6の内周面に略当たる位置まで延びるようにしても良い。その場合、先端部26の先端形状を収納物1の下部の凹所9の半径或いはリム部6の内周の半径に略等しい半径を有する半円状に形成するとよい。
【0015】
図示のように中枠11に保持された容器1は、中枠11が傾いたりしても中枠から外れ落ちることがない。すなわち、
図3で見た場合に、容器1が中枠11から外れるためには
図3において容器1が相対的に右側へ移動し、その下側のリム部6が支持片24の先端26を乗り越えなければならない。しかし、上記の通り支持片24により支持された状態では、容器1の蓋3の上面と開口部16の上側折り曲げ片19の基部19aとの間の隙間は短くなっている。一方で、容器1が右側へ移動しようとしても、支持片24がその途中の位置で下側縁部20により支持されているために、リム部6によって支持片24を下側へ移動させることが出来ない。従って容器1のリム部6が支持片24の先端部26を乗り越えることができないので、容器1が中枠11から外れることが防止される。
【0016】
符号27,28は、前側壁11の上部と下部においてそれぞれ上側に開いた切込み27a或いは下側に開いた切込み28aを設け、前側壁11に対して上側壁14、下側壁15を折り曲げることにより前側壁11の前方へ突出して延びるようになっている上側スペーサ部と下側スペーサ部である。
図3に示されるように、容器1を保持した中枠11が包装箱H内に格納された時に、包装箱H内で中枠11の前側に空スペースを確保すると共に、包装箱H内で中枠11が移動するのを防止する。
【0017】
以下に中枠11の組立て手順及び容器1の中枠11への取り付け手順について説明する。先ず前側壁12に対して上側壁14、下側壁15を折り曲げ、次いで後側壁13の上部13a、下部13bをそれぞれ上側壁14、下側壁15に対して折り曲げる。そして後側壁上部側13Aの挿入片13aを後側壁下部側13Bの切り込み13bに挿入して掛け止めする。そして、開口部16において左右折り曲げ片17,18、上側折り曲げ半19を折り曲げ、収納凹部23を画成する。次に容器1を蓋3側を若干手前に傾けながら収納凹部23内にその約半部分を挿入し、リブ部6が下側縁部20の両端に形成された凹部22,23に嵌るようにする。最後に支持片24を折り曲げて、支持片24或いは前側壁12の弾性変形を利用してその先端部26側を開口部16を通って前側壁12の前方へ突出させる。これにより、前述のように支持片24が容器1の底部8とリム部6とを支持し、一方、支持片24は前側壁12の下側縁部20によって支持された状態になり、容器1は中枠11に離脱しない状態で取付けられる。この状態で容器1を保持した中枠を包装箱H内へ格納する。このとき上下のスペーサ部27、28は前側壁12の前方へ延びており、包装箱内へ中枠を挿入する際のガイドになると共に、前述のとおり前側壁12の前側に空きスペースを確保する。なお、上記と異なる手順で中枠の組立、容器の取付けを行うことも可能である。例えば、先に支持片を折り曲げて下側縁部で支持し、その後中枠の弾性変形を利用して容器を取付けて保持させることも可能である。
【0018】
なお、先の支持片24についての説明において、支持片24の先端部26を図示の例より長くして、収納物1のリブ部6の内周面に略当たる位置まで延びるようしても良い。その場合、先端部26の先端形状を収納物1の下部の凹所9の半径或いはリム部6の内周の半径に略等しい半径を有する半円状に形成するとよいと述べたが、これにより、例えば包装箱Hに上下方向の力が作用し、その力が中枠11に作用して中枠11が上下方向で圧縮され、
図3において高さ方向中間部分が外側に拡がった樽形に変形しても、支持片24が開口部16の下側縁部20から外れてしまうことが無いという効果が得られる。従って、支持片24の長さは必ずしもリム部の内周面に当たる位置まで延びる長さでなくてもよく、その場合、先端部26の形状も必ずしも凹所9の半径或いはリム部の内周の半径に等しい半円形である必要もない。上記した効果が得られる長さ及び形状であれば良い。