特許第6014446号(P6014446)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社トップの特許一覧

<>
  • 特許6014446-オブチュレータ 図000002
  • 特許6014446-オブチュレータ 図000003
  • 特許6014446-オブチュレータ 図000004
  • 特許6014446-オブチュレータ 図000005
  • 特許6014446-オブチュレータ 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6014446
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】オブチュレータ
(51)【国際特許分類】
   A61J 15/00 20060101AFI20161011BHJP
   A61M 25/04 20060101ALI20161011BHJP
   A61M 25/02 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   A61J15/00 Z
   A61M25/04
   A61M25/02 504
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-216309(P2012-216309)
(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公開番号】特開2014-68764(P2014-68764A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2015年9月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029676
【氏名又は名称】株式会社トップ
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 雅樹
(72)【発明者】
【氏名】中川 大輔
(72)【発明者】
【氏名】上潟口 典久
【審査官】 田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−148554(JP,A)
【文献】 特開2005−312723(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0185155(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 15/00
A61M 25/02
A61M 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有し、胃瘻に挿入されるチューブ本体と、可撓性を有し、前記チューブ本体の先端から径方向外側に向けて前記チューブ本体の基端側に延びる湾曲部を有し、胃の内壁に係止されるバンパー部と、前記チューブ本体の基端に設けられ体表に係止される体表係止部とを備えるボタン型胃瘻チューブの前記バンパー部を胃内に挿入する際に、該胃瘻チューブと共に前記胃瘻に挿入されるオブチュレータであって、
先端が前記チューブ本体と前記バンパー部との間に挿入された状態で前記チューブ本体の外周面から前記チューブ本体と係合し、且つ前記チューブ本体と脱着自在に構成された、前記バンパー部より硬い樹脂からなるオブチュレータ本体を備えることを特徴とするオブチュレータ。
【請求項2】
前記オブチュレータ本体は、前記チューブ本体の外径と略同一の内径を有する円筒形状であり、その軸方向に全長に亘って前記チューブ本体を脱着するための開口が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のオブチュレータ。
【請求項3】
前記オブチュレータ本体の基端に、前記開口とは反対側に固定された把持部を備えることを特徴とする請求項2に記載のオブチュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボタン型胃瘻チューブ用のオブチュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食物を経口摂取できない患者のために、体外から胃内に貫通した瘻孔(胃瘻)を患者に穿設し、そこに胃瘻チューブを挿入して直接胃に栄養物を供給することが行われている。胃瘻チューブにはボタン型とチューブ型とがあり、ボタン型胃瘻チューブはチューブの長さが固定されるものの体表からの突出が少なく邪魔にならないというメリットがある。
【0003】
特許文献1には、チューブ本体とバンパー部と体表係止部とを備え、バンパー部がチューブ本体に移動自在に連結されたボタン型胃瘻チューブが記載されている。
【0004】
このボタン型胃瘻チューブを胃瘻に挿入する際には、ロッド(オブチュレータ)をチューブ本体内に挿入しバンパー部の先端と当接させる。次に、ロッドを更に押し込みバンパー部を細長く変形させながらボタン型胃瘻チューブを胃瘻に挿入する。そして、バンパー部が胃内に達したらロッドをチューブ本体から抜き去る。これにより、バンパー部が元の形状に戻って胃の内壁に係止される。
【0005】
しかし、ロッドは通常ステンレスなどの金属からなっており、患者によっては胃瘻チューブの挿入抵抗が大きい場合がある。このような場合、特許文献1に記載された技術では、大きな力でロッドを押し込むと、ロッドがバンパー部を突き出て、胃壁を穿孔するおそれがある。
【0006】
そこで、特許文献2には、チューブ本体の先端に筒状体を設けて、オブチュレータの先端付近に形成した拡径部が筒状体と当接し、オブチュレータの先端がバンパー部に達しないように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−215804号公報
【特許文献2】特開2008−178473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2に記載された技術では、バンパー部が変形する前にチューブ本体の先端部分が挿入抵抗に屈して折れ曲がり、挿入が困難になる場合がある。これは、留置時に胃壁を傷付けないようにチューブ本体の先端面が平坦となっており、ボタン型胃瘻チューブにかかる挿入抵抗が大きいからである。
【0009】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、バンパー部を突き出て胃壁を穿孔するおそれがなく、且つチューブ本体の先端部分が挿入抵抗で折れ曲がることのないオブチュレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、可撓性を有し、胃瘻に挿入されるチューブ本体と、可撓性を有し、前記チューブ本体の先端から径方向外側に向けて前記チューブ本体の基端側に延びる湾曲部を有し、胃の内壁に係止されるバンパー部と、前記チューブ本体の基端に設けられ体表に係止される体表係止部とを備えるボタン型胃瘻チューブの前記バンパー部を胃内に挿入する際に、該胃瘻チューブと共に前記胃瘻に挿入されるオブチュレータであって、先端が前記チューブ本体と前記バンパー部との間に挿入された状態で前記チューブ本体の外周面から前記チューブ本体と係合し、且つ前記チューブ本体と脱着自在に構成された、前記バンパー部より硬い樹脂からなるオブチュレータ本体を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、オブチュレータ本体は、その先端がチューブ本体とバンパー部との間に挿入され、且つチューブ本体の外周面からチューブ本体と係合させることができる。よって、この状態で、ボタン型胃瘻チューブと共にオブチュレータを胃瘻に挿入させれば、オブチュレータ本体の先端がチューブ本体とバンパー部との間にてチューブ先端の内面に当接しながら、ボタン型胃瘻チューブが押し込まれる。
【0012】
これにより、チューブ本体の先端部分はオブチュレータ本体によって補強された状態となり、挿入抵抗によってチューブ本体の先端部分が折れ曲がることなく、ボタン型胃瘻チューブをスムーズに胃瘻に挿入することが可能となる。更に、オブチュレータ本体は、硬い樹脂からなるので、バンパー部から突き出て胃壁を穿孔するおそれがない。
【0013】
また、本発明において、前記オブチュレータ本体は、前記チューブ本体の外径と略同一の内径を有する円筒形状であり、その軸方向に全長に亘って前記チューブ本体を脱着するための開口が形成されていることが好ましい。
【0014】
この場合、チューブ本体の外側に位置するオブチュレータ本体が円筒形状であるので、ボタン型胃瘻チューブと共にオブチュレータを胃瘻にスムーズに挿入させることができる。
【0015】
また、本発明において、前記オブチュレータ本体の基端に、前記開口とは反対側に固定された把持部を備えることが好ましい。
【0016】
この場合、把持部を把持してオブチュレータとボタン型胃瘻チューブとの係合及びその解除を行うことができ、これらの操作が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係るオブチュレータとボタン型胃瘻チューブを示す斜視図。
図2】オブチュレータを用いてボタン型胃瘻チューブを胃瘻に挿入する状態を説明する断面図であり、オブチュレータをボタン型胃瘻チューブに取り付けた状態を示す。
図3】オブチュレータを用いてボタン型胃瘻チューブを胃瘻に挿入する状態を説明する断面図であり、バンパー部が胃瘻を通過中の状態を示す。
図4】オブチュレータを用いてボタン型胃瘻チューブを胃瘻に挿入する状態を説明する断面図であり、バンパー部が胃瘻を通過した状態を示す。
図5】オブチュレータを用いてボタン型胃瘻チューブを胃瘻に挿入する状態を説明する断面図であり、ボタン型胃瘻チューブを挿入後にオブチュレータを取り外した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係る、ボタン型胃瘻チューブ10を挿入する際に使用するオブチュレータ20について図面を参照して説明する。
【0019】
図1に示すように、ボタン型胃瘻チューブ10(以下、単にチューブ10ともいう)は、円筒状のチューブ本体11と、チューブ本体11の先端に設けられた可撓性を有するバンパー部12と、チューブ本体11の基端に径方向外方に延設された体表係止部13とを備えている。
【0020】
チューブ本体11及び体表係止部13は、ポリウレタンなどの樹脂から形成されている。バンパー部12は、シリコンゴムなど、チューブ本体11及び体表係止部13が形成される樹脂より柔らかい樹脂から形成されている。
【0021】
バンパー部12は、チューブ本体11の先端に径方向外方へ延びるように設けられた連設部12aと、チューブ本体11の外周面を摺動自在な環状の摺動部12bとを備えている。そして、連設部12aと摺動部12bとは、チューブ本体11の径方向外側に湾曲し周方向に等しい間隔を存して設けられた4片の湾曲部12cにより連結されている。尚、湾曲部12cの個数は任意である。
【0022】
体表係止部13にはキャップ14が連設されている。キャップ14にはチューブ本体11に基端から挿入してチューブ本体11基端を閉塞自在な突部14aが設けられている。そして、体表係止部13には、キャップ14が嵌合される開口13aが形成されている。また、キャップ14には滑り止め14bが設けられている。
【0023】
チューブ本体11の先端とバンパー部12とは固定されていても、固定されていなくともよい。少なくとも、チューブ本体11からバンパー部12が抜け出ないように構成されていればよい。
【0024】
オブチュレータ20は、オブチュレータ本体21と、オブチュレータ本体21の基端に形成されたフランジ部22と、フランジ部22に固定された把持部23とを備えている。
【0025】
オブチュレータ本体21は、その内径がチューブ本体11の外径と略同一であり、その長さがチューブ本体11先端からチューブ本体11と体表係止部13との結合部までの長さより僅かに短くなる円筒形状に形成されている。
【0026】
そして、オブチュレータ本体21に軸方向に沿って全長に亘って開口21aが形成され、オブチュレータ本体21の横断面形状はC字状となっている。また、フランジ部22には、開口21aと連続する切欠き22aがオブチュレータ本体21に軸方向に沿って亘って形成されている。
【0027】
このようにして、オブチュレータ本体21内の中空部にチューブ本体11の外周面を包み込み、チューブ本体11と係合するように構成されている。換言すれば、チューブ本体11はオブチュレータ本体21の内部に収容される。
【0028】
そして、開口21aを介してチューブ本体11はオブチュレータ本体21と脱着可能に構成されている。チューブ本体11とオブチュレータ本体21とが容易に係合でき、且つチューブ本体11がオブチュレータ本体21内に安定的に収容されるように、開口21aの幅が設定されている。例えば、開口21aの幅は、オブチュレータ本体21の内径の半分から4分の3程度である。
【0029】
尚、開口21aはその先端部において狭くなるように形成されている。これは、オブチュレータ20を用いてチューブ10を挿入するときに、円周方向に略均一の力がかかるようにして、チューブ10を傾斜させずに挿入するためである。
【0030】
把持部23は、術者が2本の指で把持するために適した形状であり、ここでは、略直方体である。把持部23は、切欠き22aと反対側に固定されている。
【0031】
オブチュレータ20は、ABS(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合合成樹脂)、高密度ポリエチレンなど、チューブ本体11より硬質の樹脂、即ち剛性プラスチックスから形成されている。
【0032】
次に、本発明の実施形態に係るオブチュレータ20を用いたボタン型胃瘻チューブ10を胃瘻31に挿入する方法について図面を参照して説明する。
【0033】
チューブ10を胃瘻31に挿入する際には、まず、図2に示すように、チューブ10にオブチュレータ20を装着する。具体的には、術者は、一方の手の指でチューブ10を支持し、他方の手の指で把持部23を把持して、チューブ本体11とバンパー部12との間にオブチュレータ本体21の先端を斜め上から開口21aを介して入れ込む。そして、フランジ部22の切欠き22aにチューブ本体11の基端側が入り込むようにオブチュレータ本体21をチューブ本体11に強く押し付ける。これにより、チューブ本体11が開口21aを介してオブチュレータ本体21内に入り込む。
【0034】
このように、オブチュレータ20を開口21a側からチューブ本体11に強く押し当てることによって、開口21aを介してオブチュレータ本体21内にチューブ本体11を容易に入れ込むことができる。
【0035】
次いで、オブチュレータ20と共にチューブ10を胃瘻31に挿入する。このとき、図3に示すように、バンパー部12は、そのチューブ本体11との連結部分の内面がオブチュレータ本体21の先端に当接して押し込まれると共に、腹壁32や胃壁33に接触してチューブ本体11の基端側に押され摺動部12bがチューブ本体11を摺動しながら基端側に移動することによって、湾曲部12cが胃瘻31に沿って細長く延びる。これにより、チューブ10をスムーズに胃瘻31に挿入することができる。
【0036】
そして、更に、オブチュレータ20と共にチューブ10を胃瘻31に押し込み、図4に示すように、バンパー部12の基端側が胃瘻31から胃内に突き出ると、バンパー部12は自己の復元力により元の形状に戻る。これにより、バンパー部12は胃の内壁に係止される。
【0037】
このように、オブチュレータ20と共にチューブ10を胃瘻31に挿入するとき、オブチュレータ20の先端は、チューブ本体11とバンパー部12との間の内面に当接する。そして、オブチュレータ20は樹脂製であるので、オブチュレータ20を強く押し込んでも、オブチュレータ20の先端がチューブ10から突き出て、胃壁を穿孔するおそれがない。
【0038】
更に、オブチュレータ20は押し込み時にチューブ本体11を補強(補助)していると言える。即ち、オブチュレータ本体21は、押し込み時にチューブ本体11と言わば一体となって、チューブ本体11が挿入抵抗によって折れ曲がらない程度の強度を有しており、従来のようにステンレスなどの金属から形成する必要はない。尚、オブチュレータ本体21の先端は、バンパー部12を傷付けないためには平坦であることが好ましいが、挿入の容易さを重視すれば、外周面側をテーパ面としてもよい。
【0039】
次いで、図5に示すように、オブチュレータ20をチューブ10から抜き去る。具体的には、術者は、一方の手の指でチューブ10を支持し、他方の手の指で把持部23を把持してオブチュレータ20をチューブ10から引き出す。このとき、オブチュレータ20を、開口21aを介してチューブ10から脱離させ、胃瘻31から容易に抜き出すことができる。
【0040】
そして、最後に、キャップ14の突部14aにより開口13aを閉塞する。チューブ10から胃内に栄養剤を注入する場合は、キャップ14を外してチューブ10に栄養物を注入するチューブ等(図示省略)を接続して行う。
【0041】
以上、本発明の実施形態に係るボタン型胃瘻チューブ10用のオブチュレータ20を説明したが、本発明に係るオブチュレータは、説明した実施形態に限定されず、適宜種々変形することができる。
【符号の説明】
【0042】
10…ボタン型胃瘻チューブ(チューブ)、 11…チューブ本体、 12…バンパー部、 13…体表係止部、 14…キャップ、 20…オブチュレータ、 21…オブチュレータ本体、 21a…開口、 22…フランジ部、 23…把持部、 31…胃瘻。
図1
図2
図3
図4
図5