特許第6014449号(P6014449)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6014449
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】レーザー走査顕微鏡装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/00 20060101AFI20161011BHJP
   G01B 11/24 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   G02B21/00
   G01B11/24 A
【請求項の数】10
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-220056(P2012-220056)
(22)【出願日】2012年10月2日
(65)【公開番号】特開2014-71432(P2014-71432A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2015年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101330
【氏名又は名称】アストロデザイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101269
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 道夫
(72)【発明者】
【氏名】武居 利治
(72)【発明者】
【氏名】武田 重人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 茂昭
【審査官】 越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−071327(JP,A)
【文献】 特開平10−274513(JP,A)
【文献】 特開昭59−214706(JP,A)
【文献】 米国特許第04577967(US,A)
【文献】 特開平06−050733(JP,A)
【文献】 米国特許第05481360(US,A)
【文献】 特表2002−517011(JP,A)
【文献】 国際公開第99/061865(WO,A1)
【文献】 特開平07−248203(JP,A)
【文献】 特開昭59−211810(JP,A)
【文献】 米国特許第04650330(US,A)
【文献】 特開2005−283659(JP,A)
【文献】 特開2001−235683(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2001/0012151(US,A1)
【文献】 米国特許第04907886(US,A)
【文献】 米国特許第04842408(US,A)
【文献】 米国特許第04832489(US,A)
【文献】 特開平09−281384(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 21/00
G01B 11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に異なる波長の少なくとも2つのレーザー光を合成しつつ出射する合成光学系と、
前記各レーザー光を相互に異なる2つの周波数の光にそれぞれ変調し、かつ2つの周波数を有した光を相互に異なる方向に出射する光変調器と、
光変調器からの光を1次元走査もしくは2次元走査する走査光学素子と、
走査光学素子からの光の一部を光路から分離するビームスプリッターと、
前記ビームスプリッターで分離された各々の光を受光し、光電変換して各々のビート信号を送り出す第1の受光素子群と、
瞳位置を有し、前記合成光学系からの光を対象物に出射する対物レンズと、
前記光変調器で相互に異なる方向に出射された各々の光を対象物上で近接させる瞳伝達レンズ系と、
対象物からの反射光あるいは透過光を受光し、各々の光を光電変換して各々のビート信号を送り出す第2の受光素子群と、
二つの受光素子群の対応するいずれかの波長に該当する受光素子からのビート信号に基づいて得られた位相同士の位相差を検出する位相比較器と、
前記位相比較器の位相情報を取得して得たデータに基づき対象物の情報を得るデータ処理部と、
を含むことを特徴とするレーザー走査顕微鏡装置。
【請求項2】
対象物からの少なくとも2波長の反射光を別々の光路に分離する分離光学素子を有し、
対象物からの反射光を前記ビームスプリッターで反射し、該分離光学素子が分離した各々の光を第2の受光素子群が受光することを特徴とする請求項1記載のレーザー走査顕微鏡装置。
【請求項3】
対象物からの少なくとも2波長の透過光を別々の光路に分離する分離光学素子を有し、
該分離光学素子が分離した各々の透過光を第2の受光素子群が受光することを特徴とする請求項1記載のレーザー走査顕微鏡装置。
【請求項4】
前記位相比較器が、二つの受光素子群の対応するいずれかの波長に該当する受光素子それぞれの2つの周波数差に相当するビート信号の位相と、前記対象物がないかあるいは前記対象物があっても影響がないほど前記対物レンズをデフォーカスした状態での位相と、の位相差を検出することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のレーザー走査顕微鏡装置。
【請求項5】
前記二つの受光素子群を1つの受光素子群で構成し、少なくとも2波長のレーザー光を出射する合成光学系から相互に異なるタイミングで2波長のレーザー光を出射し、波長ごとの位相情報によりデータを処理することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のレーザー走査顕微鏡装置。
【請求項6】
前記光変調器は、前記合成光学系から出射されたレーザー光を入射させる音響光学素子と該音響光学素子にキャリア交流信号(fc)と正弦波信号(fm)を印加する信号発生器とを含むことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のレーザー走査顕微鏡装置。
【請求項7】
前記光変調器は、前記合成光学系から出射されたレーザー光を入射させる空間変調器と該空間変調器に振幅または位相情報として正弦波状の格子縞を書き込み、前記格子縞をキャリア交流信号(fc)と正弦波信号(fm)を印加する信号発生器に基づき一定方向に移動させることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のレーザー走査顕微鏡装置。
【請求項8】
前記走査光学素子は、ガルバノミラー、レゾナントミラーの1次元走査素子、2つの1次元走査デバイスと瞳伝達レンズ系よりなる2次元走査光学系、あるいは、1次元または2次元のマイクロミラーデバイスとされることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のレーザー走査顕微鏡装置。
【請求項9】
前記受光素子群を構成する受光素子は、前記光変調器で異なる方向に出射された光の分離方向に垂直な方向に少なくとも2分割された分割受光素子とされることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のレーザー走査顕微鏡装置。
【請求項10】
前記ビート信号は、前記受光素子の2分割以上された受光素子のすべての受光素子の和信号、または2分割以上された分割素子の対応する位置にある受光素子同士の差信号より取得することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のレーザー走査顕微鏡装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー光の走査によって測定対象物の表面形状のプロファイルや測定対象物である細胞等の表面状態の計測および観察を高速に行うレーザー走査顕微鏡装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
微小な高さを高精度に測定するには、光へテロダイン干渉法がよく知られている。これは、周波数の異なる2つのレーザー光を干渉させ、その差の周波数のビート信号を作成し、ビート信号の位相変化を波長の1/500程度の分解能で検出して、表面の高さ方向の変化を計測するものである。このようなものとして、下記特許文献1の特開昭59−214706号公報が具体的に知られているが、この特許文献1では、音響光学素子を用いて異なる波長からなる2つのビームを隣接して発生させ、これら2ビーム間の位相変化を検出し、その位相変化を累積して表面プロファイルを得る方法が開示されている。
【0003】
ただし、この特許文献1は、ビームプロファイルよりも僅かに大きくなるように2つのビームを近接させ、2つのビームプロファイル内の平均的な位相差をヘテロダイン検波で検出して、順次積分することにより、凹凸情報を得るものであった。従って、この特許文献1によれば、半導体ウェハーのようなフラットであることが前提となるような測定対象物に対して、その凸凹情報を計測することは出来たが、ビームプロファイル内の情報を引き出すことはできず、面内であるビームプロファイル内の分解能を高くすることは出来なかった。
【0004】
しかしながら、従来のヘテロダイン検波を用いた測定器では、半導体ウェハーのようにフラットに近い物の表面の僅かなゆがみ等の検出を行っていたので、問題はなかったが、この様なヘテロダイン検波を行った場合には、波長の整数倍の不確定さが存在していた。すなわち、測定された位相差が2πの整数倍であるかどうかが判定できず、位相とびの問題が発生する欠点があった。
【0005】
この欠点を回避するための方法として、2つの相互に異なる波長で位相差を検出(2波長位相シフト法)して、検出範囲の拡大を図る方法が、たとえば、「Two wavelength laser diode interferometry that uses phaseshifting techniques、Optics Leters、vol.16、N0.19 p1523〜1525 by Ishii and onodera」という文献に示されている。
【0006】
なお、通常の可視光を含む電磁波の分解能はいわゆるアッべの理論の限界により制限されている。この限界は、波動の有する回折現象の結果であり、越えることの出来ない理論限界とされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭59−214706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
つまり、従来のヘテロダイン検波を用いた光測定器は、半導体ウェハーのようなフラットに近い対象物を主な測定対象としていた。これに対して、面内の分解能を高くするには、電子顕微鏡やAFM等の近接場を用いざるを得なかった。しかし、上記のように2つの相互に異なる波長で、位相飛びを生じさせずに位相差を検出できるような装置は従来無く、また、電子顕微鏡は、特に生物、細胞等に対しては、加工処理する必要性があるので、生きたままの観察、測定は不可能であった。他方、AFMは、処理速度が十分でないことから、リアルタイムに状態の変化を見ることが出来ないので、生物、細胞の観測には不向きであり、また、対象物に対して、プローブを近接させなくてはならず、使い勝手も悪かった。
【0009】
本発明は上記背景に鑑みてなされたもので、面内の分解能が高く、しかも面外における高さや屈折率分布に対する分解能が高く、さらに測定範囲の広い簡易な測定や観察を可能とするレーザー走査顕微鏡装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成させるために、本発明は、相互に異なる波長の少なくとも2つのレーザー光を合成しつつ出射する合成光学系と、
前記各レーザー光を相互に異なる2つの周波数の光にそれぞれ変調し、かつ2つの周波数を有した光を相互に異なる方向に出射する光変調器と、
光変調器からの光を1次元走査もしくは2次元走査する走査光学素子と、
走査光学素子からの光の一部を光路から分離するビームスプリッターと、
前記ビームスプリッターで分離された各々の光を受光し、光電変換して各々のビート信号を送り出す第1の受光素子群と、
瞳位置を有し、前記合成光学系からの光を対象物に出射する対物レンズと、
前記光変調器で相互に異なる方向に出射された各々の光を対象物上で近接させる瞳伝達レンズ系と、
対象物からの反射光あるいは透過光を受光し、各々の光を光電変換して各々のビート信号を送り出す第2の受光素子群と、
二つの受光素子群の対応するいずれかの波長に該当する受光素子からのビート信号に基づいて得られた位相同士の位相差を検出する位相比較器と、
前記位相比較器の位相情報を取得して得たデータに基づき対象物の情報を得るデータ処理部と、
を含むことを特徴とするレーザー走査顕微鏡装置とされるものである。
【0011】
また、本発明においては、対象物からの少なくとも2波長の反射光を別々の光路に分離する分離光学素子を有し、対象物からの反射光を前記ビームスプリッターで反射し、該分離光学素子が分離した各々の光を第2の受光素子群が受光するものや、対象物からの少なくとも2波長の透過光を別々の光路に分離する分離光学素子を有し、該分離光学素子が分離した各々の透過光を第2の受光素子群が受光するものが好適である。
【0012】
他方、本発明に係わる位相比較器が、二つの受光素子群の対応するいずれかの波長に該当する受光素子それぞれの2つの周波数差に相当するビート信号の位相と、前記対象物がないかあるいは前記対象物があっても影響がないほど前記対物レンズをデフォーカスした状態での位相と、の位相差を検出することが好適である。
【0013】
また、本発明においては、前記二つの受光素子群を1つの受光素子群で構成し、少なくとも2波長のレーザー光を出射する合成光学系から相互に異なるタイミングで2波長のレーザー光を出射し、波長ごとの位相情報によりデータを処理するものが好適である。
【0014】
この一方、本発明に係わる光変調器は、前記合成光学系から出射されたレーザー光を入射させる音響光学素子と該音響光学素子にキャリア交流信号(fc)と正弦波信号(fm)を印加する信号発生器とを含むことや、前記合成光学系から出射されたレーザー光を入射させる空間変調器と該空間変調器に振幅または位相情報として正弦波状の格子縞を書き込み、前記格子縞をキャリア交流信号(fc)と正弦波信号(fm)を印加する信号発生器に基づき一定方向に移動させることが好適である。
【0015】
さらに、本発明に係わる走査光学素子は、ガルバノミラー、レゾナントミラーの1次元走査素子、2つの1次元走査デバイスと瞳伝達レンズ系よりなる2次元走査光学系、あるいは、1次元または2次元のマイクロミラーデバイスとされることが好適であり、本発明に係わる受光素子群を構成する受光素子は、前記光変調器で異なる方向に出射された光の分離方向に垂直な方向に少なくとも2分割された分割受光素子とされることが好適である。
また、本発明に係わるビート信号は、前記受光素子の2分割以上された受光素子のすべての受光素子の和信号、または、2分割以上された分割素子の対応する位置にある受光素子同士の差信号より取得することが好適である。
【0016】
請求項に係る発明の作用を以下に説明する。
合成光学系から出射された相互に異なる波長の少なくとも2つのレーザー光を相互に異なる周波数の2つの光に変調させつつ相互に異なる方向に光変調器が出射する。つまり、周波数fcと周波数fmの電気信号で光変調器である例えば音響光学素子を駆動すると、周波数fcをキャリアとするAM変調により、周波数fc+fmと周波数fc-fmを有する2つのビームが発生することから、少なくとも計4つのビームが存在するようになる。
【0017】
例えば、周波数fcと周波数fmを適正に選ぶことにより、この音響光学素子より出射された光は、角度差の小さい各2つのビームとすることができる。この角度差を瞳伝達拡大レンズ系等の瞳伝達レンズ系により、2つのビームの角度差を著しく小さくして、走査光学素子に入射させる。このとき、音響光学素子の回折光出射面と走査光学素子の走査素子面とが、共役な配置となるようにする。
【0018】
このようにすると、2次元走査光学系からの出射光は、角度差が小さい各2つのビームとなるが、おのおのが有する周波数はfc+fmとfc-fmのままであり、変化は無い。つまり、この2つのビームを変調周波数とは無関係な上記した1次元走査あるいは2次元走査する走査光学素子および瞳伝達レンズ系を介して、対物レンズに向けて出射することにより、対象物上を2つの近接したビームが走査することになる。この2つの近接したビームによるビート信号を、対象物が反射物体である場合には、音響光学素子とほぼ共役な位置に配置された受光素子により取得することができ、また、対象物が透過物体である場合には、ファーフィールドではあるが対象物からあまり離れていない位置に配置した受光素子により取得することができる。
【0019】
また、このときのビート信号は2fmとなるが、これは、十数MHzと高いビート信号として、検出される。このビート信号と基準となる信号の位相θは、対象物の実質的な高さdや屈折率差nを反映している。すなわち、レーザー波長をλとすると、θ=2πnd/λなる関係があるからである。
【0020】
以上より、対象物が反射物体であれば表面のプロファイルが測定され、対象物が透過物体であれば、実質的な屈折率差あるいは厚みが測定される。しかしながら、このままではd=λごとに2πの周期関数となり、実質的な測定高さdはλ/2程度となってしまう。そこで、相互に異なる波長とされる相互に接近した2つの波長λ1の光と波長λ2の光を用い、θ1=2πnd/λ1とθ2=2πnd/λ2を測定すれば、下記の波長λにより実質的に測定した事と等価になる。
λ=λ1λ2/|λ1−λ2|
【0021】
この様にするには、少なくとも2つの接近した波長の光を、走査し変調するための光学系の光軸上に合成光学系にて合成し、レファランスとなる位相差を検知する光学系をビームスプリッターにて分離し、2つの波長を分離する素子にて分離した後に、受光素子により光を受光する。さらに、対象物からの反射光あるいは透過光の位相差を検知するには、対物レンズにて反射し、または透過した光を同様の2つの波長を分離する素子にて分離した後に、受光素子により光を受光する。このようにして、合波した2つの異なる波長を有する接近した光は、ヘテロダイン周波数2fmで対象物に同時に照射されるので、各々の波長で位相差(対象物の位相−レファランスの位相)を同時に検出することが出来る。
【0022】
この一方、レファランスとなる位相は、周波数fmとして最初から与えられているので、ビームを分離する光変調器に加える電気信号の位相を一定にすることが出来る。これに対して、走査系や電気系の位相が走査によりずれる可能性があるので、基準となる位相は、対象物が存在しないか非常にデフォーカスさせた状態で走査して得た位相情報とすることが考えられる。このようにすれば、測定対象物である対象物の真の位相は、測定位相から上記基準位相を差し引いたものとすることが出来る。この場合には、ビームスプリッターで分離させ、2つの波長の光をさらに分離光学素子で分離し受光させる光学系が不要となるので、構造が簡素になる。
【0023】
また、2つの波長の光を同時に照射する替わりに、一波長の光を照射し走査光学素子により走査して対象物から面の情報を取得した後に、波長を切り替えて同一の対象物を再度走査することで測定しても良い。この場合、2つの波長を合波させた後、レファランスの位相を取得する光学系や対象物の位相を検出する光学系は、2つの波長の光を分離する必要性がなくなるので、光学系はさらに簡素になる。但し、このような手段を用いた場合、同時測定ではないので、少なくとも一つの画像を取得するのに倍以上の時間を要することになり、多少リアルタイム性には欠けることになる。
【0024】
他方、光変調器として空間変調器を採用した場合、この空間変調器に短冊状の正弦波格子を書き込み、これを高速で一方向に移動させることにより、格子縞のピッチがビームの分離距離となる。次々と格子を移動させることにより、位相が変調されたことに相当するので、格子縞で生じた±1次回折光は、変調周波数の2倍だけ周波数の異なる光とすることができる。この場合、書き込み格子のピッチが十分に大きければ、近接した2つのビームを作ることができて拡大光学系の拡大率を小さくできるので、光学系を小型にすることができる。
【0025】
以上のような光学系と光変調器により、面外位相を非常に広く取得できるようになる。また、ビームの分離距離を著しく小さくすることにより、横の分解能も顕著に向上させることができ、高さ方向の分解能も波長の1/500程度に向上させることができる。
【0026】
また、2つのビームは殆ど光路を共有化しているので、外部的な環境変化、振動等に著しく強いレーザー走査顕微鏡装置とすることができる。このように2つのビームが存在している場合、受光素子としてビームの分離方向に垂直な方向に2つ以上に分割されている受光素子を用いると、全受光素子の出力の和信号では、実効上、対物レンズで集光された2つのビームの分離度に応じた位相差のビーム径に相当する領域の積分値を与えるので、微分干渉顕微鏡とほぼ等価な分解能を与えることになる。
【0027】
さらに分解能を高くするには、2分割以上された受光素子の隣り合った位置にある分割受光素子同士の差信号を取得することが考えられ、実効上、対物レンズで集光された2つのビームの分離度に応じた位相差の微分のビーム径に相当する領域の積分値を与える。この場合には、和信号と比較して、位相差の生じている部分のみが位相差に寄与するので、感度が著しく高くなる。従って、ビームの分離度に応じた分解能に匹敵する横分解能の向上が図れる。
【0028】
これは、通常の微分干渉顕微鏡には見られない際立った特長となる。この結果、波長で支配されている横分解能よりもはるかに高い横分解を得ることが出来る。
【0029】
以上をまとめると、高さや屈折率分布などの3次元情報を一度の2次元走査で極めて高い面内の分解能を有しかつ面外の分解能も非常に高く、検出範囲も広いレーザー走査顕微鏡装置を提供することができる。従って、生きたままの細胞やマイクロマシンなどの状態変化などの3次元計測が広い範囲で行えるなど、従来の2次元情報を取得し3次元方向に積算していくようなレーザー走査型共焦点顕微鏡などとは比較にならない大きな特徴となる。また、透過型にすれば、生物や細胞を生きたままかつ高い分解能で観察、計測できるので、細胞等を不活性化して計測する電子顕微鏡にはない大きな特徴となる。
【発明の効果】
【0030】
上記に示したように、本発明のレーザー走査顕微鏡装置によれば、変調が可能な音響光学変調素子または空間変調器を光変調器として用い、さらに、僅かに異なる2波長以上のコヒーレント光を用いることにより、面外の検出位相範囲を大幅に拡大することができる。このことで、急峻なプロファイルを有する表面や透過物体の厚みや屈折率分布等を正確に捉えることができる。
【0031】
したがって、細胞や微生物の状態変化や表面状態の過渡的な変化等を、高速に観察、計測することができる。また、既に製品化されている裸眼立体ディスプレーや偏光めがねを使用した3次元ディスプレー等を用いることにより、ビデオレートの3次元立体画像を表示することもできるので、教育や研究、医療において、有用な装置とすることができる。
【0032】
他方、非常に近接したほぼ同一の行路を通る2つのビームを用いているので、外乱等の影響を受けにくい観察や測定ができる。また、受光素子を分割型とし、ビームを分離する方向に対して、暗線を有する少なくとも2分割以上の受光素子を用い、すべての受光素子の和演算または対応する受光素子間で、差演算をおこなってヘテロダイン検波することで、特に、差演算においては、極めて高い横分解能を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明のレーザー走査顕微鏡装置に係る実施例1を示すブロック図である。
図2図1の対物レンズおよび測定対象物周辺部分を拡大して示す図である。
図3】本発明のレーザー走査顕微鏡装置に係る実施例1による対象物における照射領域を表す説明図である。
図4】本発明のレーザー走査顕微鏡装置に係る実施例3を示すブロック図である。
図5】本発明のレーザー走査顕微鏡装置に係る実施例5に適用される空間変調器を示す図であって、(A)は空間変調器の模式図であり、(B)は空間変調器に印加される電圧、電流のパターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に、本発明に係るレーザー走査顕微鏡装置の実施例1から実施例5を各図面に基づき、詳細に説明する。
【実施例1】
【0035】
本発明に係るレーザー走査顕微鏡装置の実施例1を、以下に図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施例に係るレーザー走査顕微鏡装置の構成を示すブロック図である。まず、レーザー光がそれぞれ出射されるレーザー光源11及びレーザー光源12を含む合成光学系1について述べる。合成光学系1内のレーザー光源11及びレーザー光源12は、それぞれHe-Ne等のガスレーザー、半導体レーザー、もしくは固体レーザーであり、コヒーレント光をそれぞれ発生する。
【0036】
ここでレーザー光源11とレーザー光源12は、相互に近接した波長のレーザー光を発生するような、たとえば523nmと532nmの波長をそれぞれ有する半導体レーザーとすることが考えられる。そして、これらのレーザー光の光軸を、合成光学系1内に存在する合成プリズム13によって以降の光学系の光軸Lに合わせるようにする。
【0037】
なお、この合成プリズム13はハーフミラーで構成しても良いが、この場合には50%程度の光量のロスが発生する。これに対して、それぞれのレーザー光を直交する直線偏光の光とすると共に、合成プリズム13を偏光ビームスプリッターにすれば、光の利用効率は100%近くになる。ただしこの場合、合成プリズム13から出射された光は、直交した直線偏光の光となるので、円偏光に変換する1/4波長板を合成プリズム13に近接して配置する必要がある。これに伴い、光に変調を加える素子として音響光学素子を用いた場合、直線偏光の光で最大効率となる。従って、この場合も音響光学素子から出射される光は、50%程度になる。以上のように本実施例の合成光学系1はいくつかの手法により実現できる。
【0038】
本実施例では、各レーザー光をそれぞれ二つに分離するための光変調器である音響光学素子(AOD)3が採用されていて、図1に示すように合成光学系1とこの音響光学素子3との間に、光学系としてコリメーターレンズ2が配置されている。他方、この音響光学素子3は、信号発生器であるAODドライバー4が接続されていて、このAODドライバー4により音響光学素子3は動作される。そして、これらレーザー光源11、12およびAODドライバー4は、図示しない制御基板にそれぞれ接続されていて、この制御基板により動作がそれぞれ制御されるようになる。これに伴い、キャリア交流信号としての周波数fcと正弦波信号としての変調周波数fmを制御基板に内蔵の信号発生器がAODドライバー4に対して印加する。
【0039】
以上の構成から本実施例では、これら各レーザー光源11、12からのレーザー光をコリメーターレンズ2により平行光束にし、音響光学素子3に入射させる。このとき、レーザー光の入射ビーム径は、後述の瞳伝達レンズ系5との兼ね合いより、絞り機構(図示せず)等を用いて適正化しておくことにする。さらに、この音響光学素子3には、上記AODドライバー4より、sin(2πfct)sin(2πfmt)のようなDSB変調信号が変調信号として加えられる。
【0040】
この様な変調を行うと、fc+fmとfc-fmの2つの周波数変調が加えられたことになる音響光学素子3は、ブラッグ回折格子のピッチdに相当する音波の粗密波を発生する。すなわち、超音波の速度をVa、印加する周波数をfとすると、d=Va/fとなる。具体的には、この粗密波により、音響光学素子3に入射されたレーザー光であるビームは、±1次回折光に分離され、各々の回折光は周波数fc±fmの周波数で変調される。たとえば、音響光学素子3の材料としてTeO2が用いられるが、この材料の音速は、660m/sである。
【0041】
キャリアー周波数の周波数fcとして40MHzを選択すると、d=16.5μmとなり、He-Neレーザーをレーザー光源11、12に用いた場合、回折角θは2.198度程度の角度になる。図1においては、光軸Lが変化していないように図示してあるが、実際には音響光学素子3以降の光学系を回折角θだけ傾けておくか、2次元走査デバイス6にバイアスを付与して、回折角θの傾きを実効上与えておくことにする。このキャリアー周波数に4MHz程度の周波数fmを加えると、±1次回折光はθ=2.417度とθ=1.978度となり、44MHzと36MHzでそれぞれ変調されることになる。
【0042】
この一方、本実施例では、この音響光学素子3に対して2枚のレンズからなる瞳伝達レンズ系5、入力されたレーザー光を2次元走査する走査光学素子である2次元走査デバイス6、入力されたレーザー光を分離して出射するビームスプリッター7が順に並んで配置されている。
【0043】
次に、瞳伝達レンズ系5を拡大レンズ系で構成した場合を考え、一波長での原理的な説明を行う。
瞳伝達レンズ系5に入射した光は、拡大率分だけお互いの角度差を減じることができる。音響光学素子3とビームスプリッター7との間に配置されている瞳伝達レンズ系5は、音響光学素子3の出射面位置を次の2次元走査デバイス6の図示しない走査素子面に共役にするための光学系であり、また、拡大することにより、±1次回折光の出射角度差を小さくしている。例えば、拡大率をm倍にすれば、角度のタンジェントの比として、1/mにすることができる。従って、音響光学素子3の変調周波数fmを高くしても、拡大率mを調整することで、2つのレーザー光であるビームを近接させることができる。
【0044】
さらに、このビームスプリッター7に隣り合って、2組のレンズからなる瞳伝達レンズ系10が位置し、この隣に対物レンズ17が対象物Sと対向して配置されている。つまり、これら各部材が光軸Lに沿って並んでいることになる。
【0045】
このため、瞳伝達レンズ系5を通過した光は、2次元走査デバイス6に送られビームスプリッター7で一部分離されるが、このビームスプリッター7を介した2次元走査デバイス6からの光は、対物レンズ17の瞳位置に共役にする瞳伝達レンズ系10により、対物レンズ17に角度差が小さくなった±1次回折光として入射する。この結果として、拡大率を適正にして、±1次回折光同士の距離を十分に小さくすれば、図2の実線で示すビームLAおよび点線で示すビームLBのように、非常に接近して相互に同一径とされる2つのビームを得ることができる。
【0046】
また、これら2つのビームLA、LBの有する周波数は、「光の振動数+キャリア周波数fc±変調周波数fm」となる。2つの接近したビームの中心距離を上記したように回折限界以下に設定した場合、各々のビームは、アッべの理論の回折限界以下にはならないが、わずかにずらした各々別の周波数の光であるために、ヘテロダイン検波をすることにより、微分情報を取得することができる。
【0047】
図1および図2に示す対象物Sで反射されたこの2つのビームLA、LBは、対物レンズ17、瞳伝達レンズ系10およびビームスプリッター7を介して、分離光学素子90に入射される。そして、この分離光学素子90で分離されて第2の受光素子群である受光素子91や受光素子93に導かれる。これら受光素子91、93を2次元走査デバイス6の位置と共役な位置に配しておくと、2つのビームLA、LBは同じ位置に戻るので、2つのビームLA、LBの位相差δがビート信号として検出される。
【0048】
さらに、図1に示す受光素子91及び受光素子93をそれぞれ2分割以上の分割受光素子91A、91B、93A、93Bとし、図2に示す光軸Lを境界線Cとして、この境界線Cを挟んでビームの分離方向に対して垂直な方向に暗線を有するように、これら分割受光素子91A、91B、93A、93Bを配置し、その和信号あるいは差信号より、ビート信号を取得させる。この時、和信号を用いると、実質的に微分干渉顕微鏡と等価になり、差信号を用いるとはるかに高い横分解能が得られる。
【0049】
次に、対象物Sに送られる光の性質について具体的に説明する。
対物レンズ17で絞られた光は、図2に示すように近接した2つのビームLA、LBとなり、対象物Sに送られる。なお、ビームLAの複素振幅EaおよびビームLBの複素振幅Ebは、下記式のようになる。
Ea=Aexpj(2π(fo+fc+fm)t)
Eb=Bexpj(2π(fo+fc-fm)t+δ)
この複素振幅Ebの式のδは、ビームLAを基準としたビームLBの高さ方向の位相差を表わし、foは光の周波数を表す。なお、前述したようにこの2つのビームの間隔は、音響光学素子3に加えた変調周波数fmによって決定されるので、走査速度とは無関係である。
【0050】
また、前述の受光素子91、93は、光電変換された各々のビート信号を作成する光電変換部(図示せず)を有した構造とされていて、これら受光素子91、93上における2つのビームLA、LBの強度Iは、下記式に基づく値で受光素子91、93の光電変換部により検出され、スイッチャー14を介して位相比較器である信号比較器15に送られる。
I=(Ea+Eb)(Ea+Eb)*=A2+B2+2ABcos(2π*2fmt+δ)
これに伴い、図1に示す位相比較器である信号比較器15を用いて、周波数2fmのヘテロダイン検波の位相比較を行うことにより、位相差δを測定することができる。このようにして、位相情報を取得する。
【0051】
以上のようにすれば、変調周波数fmを高くし、かつ、ビームを非常に接近させることができるので、横分解能を高くすることができると同時に、データの取得を高速に行うことができる。なぜならば、位相比較を行う時間は、変調周波数fmに逆比例するので、たとえば、ビデオレート(水平走査周波数約15KHz)で、1000点以上のデーターを取得しようとすれば、1点の情報取得の周波数は15MHzとなる。例えば、変調周波数fmを8MHzにすれば、ビート周波数は、16MHzとなるので、十分にビデオレートで情報取得をすることができる。
【0052】
ここで、分離光学素子90とビームスプリッター7を挟んで対向して分離光学素子80が配置されている他、受光素子91、93とビームスプリッター7を挟んで対向して第1の受光素子群である受光素子81、83が配置されている。そして、これら受光素子81、83も、図示しない光電変換部を有した構造とされているだけでなく、それぞれ2分割以上の分割受光素子81A、81B、83A、83Bにより構成されている。この際、これら分割受光素子81A、81B、83A、83Bは、図2に示す光軸Lを境界線Cとして、この境界線Cを挟んでビームの分離方向に対して垂直な方向に暗線を有するように、配置されている。
【0053】
なお、前述と同様にこれら受光素子81、83はビームスプリッター7で入射ビームの一部を取り出した光路上に音響光学素子3の回折光出射面と共役な位置になるように配置される。但し、分離光学素子80の他に、図示していないものの必要であれば瞳伝達レンズ系10と同様なレンズ系をビームスプリッター7と受光素子81、83の間に挿入しても良い。
【0054】
以上のことから、光軸Lが通過する方向に対して直交する方向であってビームスプリッター7の両隣の位置には、それぞれセンサである受光素子81、83と受光素子91、93とが配置されている。これら受光素子81、83、91、93が、受光素子81、83、91、93からのそれぞれの信号を切り替えるスイッチャー14にそれぞれ接続されている。そして、このスイッチャー14が受光素子81、83、91、93からの信号を比較する信号比較器15にそれぞれ接続され、この信号比較器15が、最終的にデータを処理して対象物Sのプロフィル等の情報を得るためのデータ処理部16に繋がっている。
【0055】
以上より、音響光学素子3で生じる回折光の入射ビームのビート信号がこの受光素子81、83に入射されて、受光素子81、83の光電変換部により検出される。つまり、音響光学素子3までに光学系等で生じた位相差を受光素子81、83の光電変換部により検出することになるので、この受光素子81、83は位相の基準を与える役割をしている。
【0056】
この一方、前述のようにビームLAとビームLBの2つのビーム間の位相差情報を加えたビート信号が、受光素子91、93内の光電変換部により求まり、スイッチャー14を介して信号比較器15に送られる。したがって、信号比較器15においてこの2つの位相比較を行うことにより、真の位相差δが検出されることになる。この真の位相差δは、ビームLAとビームLBの平均の位相差、すなわち、平均の高さhの差情報であるδh=λδ/4πとなる。この情報をデータ処理部16で平面の走査情報とともに記録していき、表面のプロファイル情報を簡単に導くことができる。ここで、λはレーザー光源11、12からのレーザー光の波長を表す。
【0057】
この信号比較器15と接続されたCPUやメモリ等からなるデータ処理部16にこれらの情報を送り込めば、データ処理部16でこの情報を平面の走査情報とともに記録していき、対象物Sの表面のプロファイル情報を簡単に導くことができる。
【0058】
ここで、計測される位相差δについて考えると、2πの不確定値のあることがわかるので、これについて、以下に説明する。
1つのレーザー光による一波長を用いた一連の流れを述べてきたが、本実施例では、合成光学系1にて合成された2種類の波長のレーザー光を用いている。このため、2つの波長を用いた場合の光学系と効果を以下に具体的に述べる。
【0059】
まず、上記のように近接した波長を有する2つのレーザー光をビームスプリッター7により本来の光軸Lから分離し、さらに分離光学素子80にて2つの波長の光に分離させる。この分離光学素子80は、例えばハーフミラーと狭帯域のバンドパスフィルターの組み合わせ等により実現できる。この様にしたことで、上記した532nmの光は、受光素子81に導かれ光電変換部で光電変換された信号がスイッチャー14に送られる。また、上記した523nmの光は、受光素子83に導かれ光電変換部で光電変換された信号がスイッチャー14に送られる。
【0060】
同様に、被測定物である対象物Sで反射した光も、対物レンズ17、瞳伝達レンズ系10、 ビームスプリッター7を経て、分離光学素子90に導かれる。この分離光学素子90は、上記した分離光学素子80と同様の作用をするので、532nmの光は、受光素子91に導かれ光電変換部で光電変換された信号がスイッチャー14に送られる。また、523nmの光は、受光素子93に導かれ光電変換部で光電変換された信号がスイッチャー14に送られる。
【0061】
このスイッチャー14は、受光素子81、83、91、93からのそれぞれの信号を切り替える役割を行い、それぞれの信号を信号比較器15に送る。信号比較器15では、ヘテロダイン検波をし、直交変換やIQ変換をし、それぞれの位相を検出し、データ処理部16に送る。データ処理部16では、それぞれの波長ごとの真の位相θ1、θ2(測定位相−基準位相)を算出し、2次元走査情報とともに記録する。
【0062】
ここで、真の位相θ1、θ2は、それぞれ下記のようになる。
θ1=2πdn/λ1
θ2=2πdn/λ2
この結果として、θ1とθ2を測定すれば、下記の波長λと等価な波長を実質的に与えたことになる。
λ=λ1λ2/|λ1−λ2|
すなわち、523nmと532nmの場合には、30915nmの波長に相当する。従って、対象物Sの位相差を±πまで深さ、屈折率分布測定等へ適用できるとすれば、深さは±15000nm程度の測定が可能となる。
【0063】
このままの位相情報を使用しても良いが、位相θ1と位相θ2の差の情報を、あくまでθ1あるいはθ2が2πの整数倍値mを同定することに使用するとすれば、位相θ1、θ2は以下のようになる。
θ1=2π*m+Θ1
θ2=2π*m+Θ2
このことから、θ1−θ2は以下のように求まる。
θ1−θ2=2πdn(1/λ1−1/λ2)
この式より、dを算出し、mを決定し、θ1あるいはθ2のそれぞれの位相からdを算出しなおしても良い。
【0064】
このようにすると、θ1−θ2より導いた位相は、精度を落としてもよく、たとえば、15000/532=28.19、すなわち、おおよそ180度を30分割程度とした約6度ぐらいの測定精度で整数倍値は与えられる。この後、θ1およびθ2の位相より導いた値を平均化するなどの処理を施すことにより、測定精度を向上させることが可能となる。この結果、測定レンジが広く、かつ、測定精度も高い検出が可能となる。また、近接したレーザー光を同時に対象物Sに照射しているので、データ処理を高速に行うことができる。
【0065】
他方、2つの波長を同時に照射する光学系を用いることなく、瞬間的にはいずれかの波長を照射するようにすることで、同様な効果をもたらすことが出来る。以下、このような方法について具体的に述べる。
すなわち、図1において、分離光学素子80及び、受光素子81または受光素子83のどちらか一つを省き、さらに分離光学素子90及び、受光素子91または受光素子93のどちらか一つを省くことにする。このようにして、たとえば1つの波長で走査範囲全域を走査した後、波長を切り替えて他の波長で走査範囲全域を走査する。これは、ビデオレートの走査の場合、フレームごとに切り替えることに相当する。この結果として得られた真の位相θ1、θ2を基にして、上記した方法によって面外の測定レンジの拡大を行うことができる。
【0066】
この場合、2波長を同時に照射していないので、同時照射に比較して2倍程度の処理時間を要するが、光学系が簡素になる利点を有する。ただし、波長切り替えをフレームごとに行わず、1ラインあるいはドットごとに切り替え、データ処理部16で合成しても良い。
以上のように、2つの波長を同時に照射しなければ、上記と実質上同様の効果をもたらすことができることになる。
【0067】
尚、上記実施例は、瞳伝達レンズ系5を拡大レンズ系で構成した例であったが、この瞳伝達レンズ系5は通常の瞳伝達レンズ径にしても測定レンジの拡大については、同様な効果をもたらすことになる。ただし、瞳伝達レンズ系5を拡大レンズ系で構成すると、高速な処理が可能になる利点がある。また、さらに高速なデータ取得をするには、できるだけVaの大きい音響光学素子を用い、拡大倍率を適正化することにすれば良い。
【0068】
このような光学系を用いることにより、3次元計測データをビデオレート以上の高速で取得することが可能で、かつ、面外の測定レンジも拡大することができる。したがって、本実施例のレーザー走査顕微鏡装置によれば、細胞や微生物の状態変化や表面状態の過渡的な変化等を、高速に観察、計測することができる。
【0069】
さらに、製品化されている裸眼立体ディスプレイや偏光めがねを使用した3次元ディスプレイ等を用いることにより、ビデオレートの3次元立体画像を表示することもできるので、教育や研究、医療において、有用な装置とすることができる。また、2つのビームの重なりの程度をビーム径よりも小さくしてあるので、2つのビームの行路差はほとんど生じていない。したがって、外乱や振動の影響も2つのビームで、同時に生じるので、これらの影響が相殺される。
【0070】
上記実施例では、ビームの分離度を個々のビーム径よりも非常に小さくした例を示したが、変調周波数を高くすることによりビームの分離度が大きくなるような場合であって、ビーム径程度の分離度が必要となる場合にも、本発明の光学系が有用であることになる。尚、上記実施例においては、2次元走査デバイスの説明をしたが、単純な一方向だけのデータが必要なアプリケーションであれば、1次元走査デバイスに置き換えても同様な効果が得られることになる。
【0071】
これらの1次元走査デバイスとしては、ガルバノミラーやレゾナントミラー、回転ポリゴンミラー等を用いることができる。また、2次元走査デバイスとしては、上記した1次元走査デバイスをX方向用とY方向用の2つを用意し、瞳伝達レンズ系を介すことにより、実現できる。さらに、マイクロマシーンの技術を用いたマイクロミラーデバイスを用いても良い。このデバイスとしては、1次元、2次元用ともに製品化されている。
【0072】
以上において、主に高速にデータを取得する手段について述べたが、次に、横分解能を著しく増大させる手段について述べる。
【0073】
簡単のために1次元で考える。まず、表面のプロファイルd(x)の位相分布をAejθ(x)とおく。ここで、θ(x)=2πd(x)/λである。本実施例のように反射の場合には、光路差は2倍になるので、観測されるθ(x)の半分を高さ情報とすればよい。
さて、上記のように音響光学素子3にキャリア信号fcと変調信号fmの掛け算信号(DSB変調)を与えると、実質上、回折光は2つの僅かに分離したfc±fmの周波数を持った光となる。対物レンズ17で収束されるとΔxだけ分離した2つのビームとなり、各ビームプロファイルをu(x)とする。この場合、対物レンズ17から離れた場所では、表面プロファイルとビームプロファイルの積のフーリエ変換となる。
【0074】
本レーザー走査顕微鏡装置においては、一方の受光素子で受光されるビームは、ej(ωc-ωm)tで変調を受けていることになり、中心距離Δxだけ離れた他方の受光素子で受光されるビームは、ej(ωc+ωm)tで変調を受けていることになる。従って、受光素子上の複素振幅分布は、以下のようになる。
E=∫(Aejθ(x) u(x)ejkxdx・ej(ωc-ωm)t+Aejθ(x+Δx) u(x)ejkxdx・ej(ωc+ωm)t)
【0075】
これら受光素子により強度Iの検出を行うと、I=EE*、さらに、2ωmのヘテロダイン検波を行うので、以下の(1)式のようになる。
I(k)=A2∫ej(θ(x)-θ(x'+Δx') u(x) u(x’) ejk(x-x')dxdx’e-j2ωmt
+A2∫e-j(θ(x)-θ(x'+Δx') u(x) u(x’) ejk(x-x')dxdx’ej2ωmt・・・・・(1)式
【0076】
そして、2つのビームLA、LBの重なっている照射領域A,Bのほぼ中心を図3の境界線Cとし、この境界線Cを挟んだ位置であって、ビームLA、LBの分離方向である各々の照射領域A,Bの分離方向に沿った位置に対応して2つの受光素子を対象物Sから離して配置する。
ここでまず、2つの受光素子の和信号がどのようになるかを考える。対象物Sから離れた位置では、フーリエ変換面であると考えられるので、受光素子で受光できる最大空間周波数をKmaxとすると、和信号では強度Iが下記式から求められる。
I=∫I(k)dk(積分範囲は-KmaxからKmax)
=A2∫cos(θ(x)−θ(x’+Δx’)−2ωmt) u(x) u(x’)sin(Kmax(x-x’))/(x-x’)dxdx’
【0077】
受光素子を近接させてより広い空間周波数まで受光するように配置すると、
sin(Kmax(x-x’))/(x-x’)=Kδ(x-x’)となるので、以下の(2)式のようになる。
I=A2∫cos(θ(x) −θ(x+Δx) −2ωmt) u(x)2dx・・・・・(2)式
【0078】
すなわち、2つのビームの分離位置の位相差をビームプロファイルのウェイトで積分したことになる。
(2)式を変形すると下記の式を得る。
Iq=A2∫cos(θ(x)−θ(x+Δx) u(x)2dx)・cos(2ωmt)
Ii=A2∫sin(θ(x)−θ(x+Δx) u(x)2dx)・sin(2ωmt)
【0079】
従って、直交変換により、観測される位相差Θは以下の(3)式のようになる。
Θ=tan-1(∫sin(θ(x)−θ(x+Δx)) u(x)2dx/∫cos(θ(x)−θ(x+Δx)) u(x)2dx)・・・・・(3)式
【0080】
この一方、2つの受光素子の差信号を考えると、和信号の場合と同様にして下記の式が得られる。
I=∫I(k)dk(積分範囲は0からKmax)−∫I(k)dk(積分範囲は−Kmaxから0)
=A2∫sin(θ(x)−θ(x’+Δx’)−2ωmt) u(x) u(x’)( cos(Kmax(x-x’)-1)/(x-x’)dxdx’
【0081】
受光素子を近接させたより広い空間周波数まで受光するように配置すると、
(cos(Kmax(x-x’)-1)/(x-x’)=δ’(x-x’)+1/x(δ(x)-1)となるので、下記(4)式のようになる。
I=A2∫d/dx(sin(θ(x)―θ(x+Δx)―2ωmt) )u(x)2dx・・・・・(4)式
さらに、この(4)式を変形すると、下記のようになる。
Iq=A2∫d/dx(sin(θ(x)−θ(x+Δx)) u(x)2dx・cos(2ωmt)
Ii=−A2∫d/dx(cos(θ(x)−θ(x+Δx)) u(x)2dx・sin(2ωmt)
【0082】
従って、直交変換により観測される位相差Θは以下の(5)式のようになる。
Θ=tan-1(−∫d/dx(cos(θ(x)−θ(x+Δx)) u(x)2dx/∫d/dx(sin(θ(x)−θ(x+Δx))u(x)2dx)・・・・・(5)式
【0083】
ここで、(3)式と(5)式の比較を行う。定性的には、以下の点がわかる。
まず、(3)式では、ビームの中心距離Δxだけ離れた2点の位相差をu(x)の重み関数で、平滑化した結果として得られる位相差を示しているので、ビーム内の平均的な位相差を示している。これは、微分干渉顕微鏡と等価な処理である。
【0084】
他方、(5)式では、ビームの中心距離Δxだけ離れた2点の位相差の微分に対して、u(x)の重み関数で、平滑化しているので、おおよそ元の関数を復元していることになる。従って、ビームを走査するとビーム分離度に相当する横分解能で、位相差および位置情報を取得することが可能となる。
【0085】
ここでは、2分割の分割受光素子を適用した場合を記述したが、照射領域A,Bの重なった領域の中心付近に、2つのビームの分離方向に沿って複数の受光素子を対象物Sから離して配置した場合も同様になる。特に、差出力を得る場合には、光軸Lの中心付近に対応して配置した複数の受光素子のうちの、対応する複数の受光素子間同士で差演算するようにすれば良い。また、複数の受光素子の和出力だけを用いるのであれば、実質上1つの受光素子を用いることで、同様のことが実現できることになる。
【0086】
また、上記実施例では、2つの僅かに異なる波長(523,532nm)を用いて説明したが、相互に波長の異なる3以上のレーザー光を用いても同様なことが出来ることになる。この場合には、分離光学素子が多少複雑になり受光素子等も増えるが、たとえば使用する波長を3つにしたときであっても、3波長のうち2つを使用して位相を算出すると共に、選択する2波長の組み合わせを変えて位相を算出し、それらの平均化を行うなどすれば、測定精度の向上につながる。以下の実施例においては、この点を踏まえ、すべて2つの波長を用いた場合のみを記述する。
【0087】
以上述べたように、フーリエ変換面にて空間周波数情報を処理することにより、特に差演算では非常に高い横分解能の向上をもたらすことができる。
【実施例2】
【0088】
本実施例は、実施例1で受光素子81、83により得ていた基準位相を別の手段で簡易に取得するものである。
実施例1の分離光学素子80及び受光素子81、83を取り払い、対象物Sがない状態、あるいは対象物Sがあってもかなりデフォーカスした状態で、2波長のレーザー光を同時に照射しつつ2次元走査デバイス6により、これらレーザー光を走査する。
【0089】
スイッチャー14は、受光素子91、93からのそれぞれの信号を切り替える役割をし、それぞれの信号を信号比較器15に送る。信号比較器15では、ヘテロダイン検波をし、直交変換やIQ変換を行い、それぞれの位相を検出し、データ処理部16に送る。この位相情報は、光学系、電気系の有する位相ずれであるので、これを基準値とする。データ処理部16では画面内の位置情報とともに位相をメモリーに蓄えておくことにする。
【0090】
次に、対象物Sがある場合、もしくは対象物Sがありフォーカスした状態で、同様に位相を検出する。その後、データ処理部16で、それぞれの波長ごとの真の位相θ1、θ2(測定位相−基準位相)を算出し、2次元走査情報とともに記録する。この場合、受光素子が不要になるとともに、対象物Sを観測する前に補正値を求めておくようにすれば、精度の高い計測が可能となる。
【0091】
他方、分離光学素子90、受光素子93をさらに取り払い、実施例1で述べたように2波長同時照射を行わず、瞬間的にはいずれかの波長を照射するようにしても、面外の測定レンジの拡大を実現することが出来る。
【実施例3】
【0092】
本実施例においては、実施例1で述べた反射光学系を透過光学系に置き換えた場合の実施例を示す。
図4は、この透過型のレーザー走査顕微鏡装置に係る光学系のブロック図を示している。主要な光学系は実施例1と同じなので説明を割愛するが、図4に示す本実施例では、対物レンズ17で集光された光は透過することになるので、対象物Sを挟んで対物レンズ17と対向して、図示しない光電変換部を有した受光素子91、93が配置されることが特徴である。そして、これら受光素子91、93は、光軸Lを中心として音響光学素子3によりビームが分離された方向に沿ってそれぞれ設置された、少なくとも2つ以上の分割受光素子91A、91B、93A、93Bから成る。
【0093】
この構造の場合、音響光学素子3により分離された2つのビームの分離方向に対して受光素子91、93を構成する各分割受光素子の暗線が垂直方向に伸びるように、光軸Lの延長線上に各分割受光素子91A、91B、93A、93Bを配置することにする。本実施例によれば、反射型に比較して、対象物Sに近接して受光素子を配置することができるので、取得できる空間周波数を非常に高く設定することが可能となる。
【0094】
この結果、対象物Sの有する空間周波数の再現性が良くなるので、横分解能の更なる向上が可能となる。特に、生きたままの状態で、生物や細胞等の観察や計測を非常に高分解能で実施できる。これは、電子顕微鏡のような高倍率であっても生体を殺した状態でないと観測できない測定器とは大きく異なる特徴である。
【0095】
他方、分離光学素子90及び受光素子93をさらに取り払い、実施例1で述べたように、2波長同時照射を行わず、瞬間的にはいずれかの波長を照射するようにしても、面外の測定レンジの拡大を実現することが出来る。この場合、分離光学素子90を取り除いてあるので、受光素子91を対象物Sにさらに近づけることで、取得できる空間周波数を非常に高く設定することが可能となる。
【0096】
この結果、対象物Sの有する空間周波数の再現性がさらに良くなるので、横分解能の更なる向上が可能となる。特に、生きたままの状態で、生物や細胞等の観察や計測を非常に高分解能で実施できる。
【実施例4】
【0097】
本実施例は、実施例1で受光素子81、83より得ていた基準位相を実施例2のようにメモリーを用いて予め取得する点と透過光学系にて情報を取得する組み合わせたことが特徴である。
本実施例の場合、2次元走査で位相情報を取得することができるが、特に、マイクロ流路に細胞等を流す場合のモニターや細胞形状の判断を行った後に細胞を種わけする等の応用に対して、絶大な効果をもたらす。
【0098】
すなわち、マイクロ流路は一方向に細胞等を流す素子であるので、実施例1の2次元走査デバイス6の代わりに流路の方向に垂直な方向に走査する1次元走査デバイスを用意すればよい。この様にすれば、基準位相は1次元走査方向のみの非常に少ない点に関する位相をメモリーしておけばよいことになる。また、光学系も簡素になる。
【0099】
他方、分離光学素子90及び受光素子93をさらに取り払い、実施例1で述べたように、2波長同時照射を行わず、瞬間的にはいずれかの波長を照射するようにしても、面外の測定レンジの拡大を実現することが出来る。この場合には、極めて簡素な光学系とすることが出来る。
【実施例5】
【0100】
本実施例においては、変調を加えるための部材として、変調を加える音響光学素子3の代替に空間変調器を用いることが特徴である。
図5は、本実施例で適用される空間変調器を示した概念図である。この図5(A)に示すような空間変調器53を構成する磁性ガーネット膜53Aをピクセルごとに電圧または電流により駆動できるように、電極(図示せず)を付して、この空間変調器53を図1における音響光学素子3の位置に配置する。そして、磁性ガーネット膜53Aの各ピクセルに電圧、電流を印加することで、磁気光学効果によって各ピクセルの偏光面が回転するが、この偏光面の回転の程度は、印加する電圧、電流の大きさにより決定される。このような構造の空間変調器53として、ピクセル数が128×128であり、15nsの応答速度を有しているものがある。
【0101】
この空間変調器53を図1における音響光学素子3の位置に配置するが、これに伴い、図1のビームスプリッター7を通過した光の強度または位相が、短冊状の正弦格子となるように、この空間変調器53に走査方向に対して垂直方向に、図5(B)に示す形で電圧または電流を各ピクセルに印加する。この際、各ピクセルに対して位相のずれた周波数fm=±2πv/dの単振動をさせることで、速度vでこの格子を移動させることができる。
【0102】
つまり、この正弦波状の格子のピッチをd、移動速度をvとすると、下記式となる。
Acos{2π/d(x−vt)}=A/2(expj{2π/d(x−vt)}+expj{−2π/d(x−vt)})
このため、±1次回折光がfm=±2πv/dの変調周波数を有することになる。尚、強度の場合には、0次の直流成分が生じるが、DC成分なので、ビート信号に影響はない。
【0103】
ここで、±1次回折光は、実施例1と同様に正弦格子のピッチと瞳伝達レンズ系の倍率により、ビームが所望の程度重なる程度とする。また、変調周波数fmが8MHz程度になるように速度vを決めれば、実施例1と同様な効果を得ることができる。空間変調器53の応答速度は15nsとしたが、現状の空間変調器はデジタル的に2値となっている。
【0104】
しかしながら、アナログ的に変調することは可能であり、そのときの応答速度も1桁程度悪化する可能性がある程度であり、瞳伝達レンズ系と併用することにより、十分に8MHz以上の変調周波数を得ることは可能である。この場合、実施例1と比較すると、瞳伝達レンズ系が簡素になる。なぜならば、変調周波数は、デバイスの応答速度で決まるが、格子のピッチをできるだけ大きくすると、ビームの分離度は小さくすることができる。
【0105】
したがって、最小の分離度は、デバイスの大きさによって決まるので、適正に選択すれば、瞳伝達レンズ系の拡大率を小さく、または、等倍にすることができる。このようにすれば、光学系の全長を短くすることが可能となる。なお、上記した空間変調器のピクセル自体を図5(A)に示した短冊状の形にすることにより、駆動回路等を簡素化することもできる。
【0106】
以上、本発明に係る実施の形態を説明したが、本発明は前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明は、レーザー光の走査によって不透明物体の表面形状の観察及び計測、透明物体の表面または内部構造の観察及び計測を高速に行うレーザー走査顕微鏡装置だけでなく、さまざまな種類の顕微鏡に好適なものである。
【符号の説明】
【0108】
1 合成光学系
2 コリメーターレンズ
3 音響光学素子
4 AODドライバー
5 瞳伝達レンズ系
6 2次元走査デバイス
7 ビームスプリッター
10 瞳伝達レンズ系
11 レーザー光源
12 レーザー光源
13 合成プリズム
14 スイッチャー
15 信号比較器
16 データ処理部
17 対物レンズ
53 空間変調器
53A 磁性ガーネット膜
80 分離光学素子
90 分離光学素子
81,83,91,93 受光素子
S 対象物
図1
図2
図3
図4
図5