(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ガラス転移温度が−50〜0℃である脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と、エポキシ化植物油の多量体を10〜80質量%の割合で含有する変性エポキシ化植物油(B)の混合物を含み、前記混合物中に占める(B)の割合が1〜15質量%であることを特徴とする生分解性樹脂フィルム。
前記脂肪族ポリエステル系樹脂(A)が、ポリブチレンサクシネート、及び/又は、ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)共重合体であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の生分解性樹脂フィルム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態の一例としての生分解性フィルムについて説明する。ただし、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0011】
<脂肪族ポリエステル系樹脂(A)>
本発明に用いる脂肪族ポリエステル系樹脂(A)は、ガラス転移温度が−50〜0℃の範囲にあるものを用いることが重要である。ガラス転移温度が0℃以下であれば、変性エポキシ化植物油(B)を配合した際の耐引裂強度向上効果がより高くなる。一方、ガラス転移温度が−50℃以上であれば、成形時、あるいは、使用時における作業性に優れたフィルムが得られる。
【0012】
このような観点から、前記ガラス転移温度の上限値は−10℃以下であることがより好ましく、−20℃以下であることがさらに好ましい。一方、前記ガラス転移温度の下限値は、−45℃以上であることがより好ましく、−40℃以上であることがさらに好ましい。前記脂肪族ポリエステル系樹脂(A)の具体例としては、例えば、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を縮合して得られる脂肪族ポリエステル、環状ラクトン類を開環重合した脂肪族ポリエステル、合成系脂肪族ポリエステル等が挙げられる。
【0013】
前記脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を縮合して得られる脂肪族ポリエステルは、脂肪族ジオールであるエチレングリコール、1,4−ブタンジオールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−プロパンジオール等と、脂肪族ジカルボン酸であるコハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸およびドデカン二酸等の中から、それぞれ1種類以上を選んで縮合重合して得られる。必要に応じてイソシアネート化合物等で高分子量化することで所望の分子量を有するポリマーを得ることができる。前記脂肪族ポリエステルの具体例としては、昭和高分子(株)の商品名「ビオノーレ#1000」シリーズ、三菱化学(株)の商品名「GSPla AZ」シリーズ等のポリブチレンサクシネートや、昭和高分子(株)の商品名「ビオノーレ#3000」シリーズ、三菱化学(株)の商品名「GSPla AD」シリーズ等のポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)共重合体等があげられる。
【0014】
また、上記環状ラクトン類を開環重合した脂肪族ポリエステルとしては、環状モノマーであるε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン等が代表的に挙げられ、これらから1種類以上選ばれて重合される。具体的な例としては、ダイセル化学工業(株)の商品名「セルグリーン」シリーズが挙げられる。
【0015】
さらに、上記合成系脂肪族ポリエステルとしては、環状酸無水物とオキシラン類、例えば、無水コハク酸とエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等との共重合体等が挙げられる。
【0016】
前記脂肪族ポリエステル系樹脂(A)の重量平均分子量は、加工性、耐久性や生分解性の面から、50,000〜250,000の範囲が好ましく、80,000〜220,000の範囲がより好ましく、100,000〜200,000の範囲が特に好ましい。
【0017】
これらの中でも、耐熱性や生分解性の観点から、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を縮合して得られる脂肪族ポリエステルを選択することが好ましく、ポリブチレンサクシネート、及び/又は、ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)共重合体を選択することがより好ましい。
【0018】
<変性エポキシ化植物油(B)>
前記変性エポキシ化植物油(B)は、エポキシ化植物油の一部を多量体化させたものであり、例えばエポキシ化植物油とカルボン酸との反応生成物を挙げることができる。
【0019】
変性エポキシ化植物油(B)は、変性エポキシ化植物油(B)中に占めるエポキシ化植物油の多量体の割合が10〜80質量%(この場合、単量体の割合が90〜20質量%)であるのが好ましい。多量体の割合が10〜80質量%であれば、本発明の生分解性樹脂フィルムに十分な引裂強度が付与できる。多量体の割合が80質量%以下であれば、変性エポキシ化植物油が適度に高分子量化しているため、ゲルの発生を抑制することができ、多量体の割合が10質量%以上であれば、実用上十分な引裂強度が得られる。
【0020】
このような観点から、変性エポキシ化植物油中に占めるエポキシ化植物油の多量体の下限値は、前記範囲の中でも15質量%以上(この場合、単量体の割合が85質量%以下)であるのがより一層好ましく、その中でも20質量%以上(この場合、単量体の割合が80質量%以下)であるのがさらに好ましい。一方、上限値は、75質量%以下(この場合、単量体の割合が25質量%以上)であるのがより一層好ましく、70質量%以下(この場合、単量体の割合が30質量%以上)であるのがさらに好ましい。
【0021】
なお、前記変性エポキシ化植物油(B)中に占めるエポキシ化植物油の多量体の割合は次の方法で測定することができる。
【0022】
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(カラム:東ソー(株)の商品名TSKgelG2000HXL)を用いて、溶媒としてTHF(溶液濃度2.5mg/mL、溶液注入量0.05mL、流速1mL/分、温度40℃)を使用して測定を行なう。得られたチャートより、エポキシ化植物油の単量体の割合を算出し、以下の式にて多量体の割合を求める。
多量体の割合(質量%)=100(質量%)−「単量体の割合(質量%)」
【0023】
前記変性エポキシ化植物油(B)中に占めるエポキシ化植物油の多量体の割合を10〜80質量%とするための手段としては、エポキシ化植物油とカルボン酸を反応させてエポキシ化植物油の一部を多量体化させる方法が好ましい。
【0024】
この際、前記エポキシ化植物油と前記カルボン酸とを反応させる方法としては、あらかじめ前記エポキシ化植物油とカルボン酸を混合したものを、例えば100〜220℃の温度で10分〜2時間程度加熱することにより多量体化させる方法や、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)、エポキシ化植物油、カルボン酸及びその他添加剤を全て混合し、これを混合機或いは押出機などの混練機で反応させて多量体化する方法など、どのような方法を用いても構わない。
【0025】
(エポキシ化植物油)
前記エポキシ化植物油としては、例えばエポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化綿実油、エポキシ化落花生油、エポキシ化紅花油、エポキシ化ブドウ種子油、エポキシ化オリーブ油等を挙げることができ、これらを単独、又は、2種類以上の混合物として使用することができる。この中でも特に塩化ビニル系樹脂との相溶性の点からエポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油を用いることが好ましい。
【0026】
(カルボン酸)
前記カルボン酸としては、例えばエポキシ化大豆油などのエポキシ化植物油と反応して、エポキシ化植物油を多量体化することができ、好ましくは変性エポキシ化植物油中に占める多量体の割合を上述のように10〜80質量%とすることができれば、特に限定されるものではない。このようなカルボン酸として、例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸などの飽和カルボン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ソルビン酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸などの不飽和カルボン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸などのヒドロキシ酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸などの芳香族カルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸などのジカルボン酸、その他としてオキソカルボン酸や、アコニット酸、アミノ酸、ニトロカルボン酸などのカルボン酸誘導体があげられ、これらを単独、あるいは、2種類以上を混合して用いることができる。これらの中でも特に、エポキシ化植物油との反応性が高い不飽和カルボン酸、あるいは、ジカルボン酸を用いることが好ましい。
【0027】
前記脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と、前記変性エポキシ化植物油(B)の混合物に対し、変性エポキシ化植物油(B)の割合は1〜15質量%であることが好ましい。1質量%以上であれば十分な引裂強度が得られ、15質量%以下であればフィルム表面への変性エポキシ化植物油のブリードを抑制することができる。
【0028】
このような観点から、変性エポキシ化植物油(B)の割合は3質量%以上であることがさらに好ましく、5質量%以上であることが特に好ましい。一方、13質量%以下であることがさらに好ましく、10質量%以下であることが特に好ましい。
【0029】
前記カルボン酸の添加量としては、エポキシ化植物油100質量部に対して、0.1質量部以上、30質量部以下の割合で添加することが好ましく、0.3質量部以上、25質量部以下であることがより好ましく、0.5質量部以上、20質量部以下であることがさらに好ましい。エポキシ化植物油に対して、かかる範囲でカルボン酸を添加することにより、引裂強度の向上効果に優れた変性エポキシ化植物油が得られる。
【0030】
また、本発明の混合物の効果が阻害されない範囲内で各種の添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、有機粒子、無機粒子、顔料、染料、帯電防止剤、核剤、難燃剤等を本発明の混合物にさらに添加しても構わない。
【0031】
<成形方法>
本発明の生分解性樹脂フィルムの成形方法としては、具体的には、前記脂肪族ポリエステル系樹脂(A)、変性エポキシ化植物油(B)、及び、必要に応じてその他の樹脂や添加剤等の原料を直接混合し、押出機に投入して成形する方法、又は、前記原料を二軸押出機を用いて溶融混合し、ストランド形状に押出してペレットを作製した後、このペレットを押出機に投入して成形する方法を挙げることができる。いずれの方法においても、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)の加水分解による分子量の低下を考慮する必要があり、均一に混合させるためには後者を選択するのが好ましい。そこで、以下後者の製造方法について説明する。
【0032】
前記脂肪族ポリエステル系樹脂(A)、変性エポキシ化植物油(B)、及び、必要に応じてその他の樹脂や添加剤を十分に乾燥して水分を除去した後、二軸押出機を用いて溶融混合し、ストランド形状に押出してペレットを作製する。この際、各原料の組成比や配合割合によって粘度が変化すること等を考慮して、溶融押出温度を適宜選択することが好ましい。具体的には、成形温度は140℃以上、220℃以下が好ましく、160℃以上、210℃以下がより好ましく、180℃以上、200℃以下がさらに好ましい。
【0033】
上記方法にて作製したペレットは、十分に乾燥させて水分を除去した後、Tダイキャスト法やカレンダー法、チューブラー法、インフレーション法などの方法によりフィルムを成形することができる。
【0034】
なお、一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいい(JIS K6900)、一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、その厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
【0035】
本発明において、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
また、本発明において、「X以上」(Xは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
【実施例】
【0036】
以下に実施例を示すが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。なお、本明細書中に表示される原料及び試験片についての種々の測定値及び評価は次のようにして行った。ここで、フィルムの押出機からの流れ方向を縦方向、その直交方向を横方向と呼ぶ。
【0037】
(1)ガラス転移温度
粘弾性スペクトロメーターDVA−200(アイティー計測制御株式会社製)を用い、歪み0.1%、周波数10Hz、昇温速度3℃/分にて動的粘弾性の温度分散測定(JIS K7198A法の動的粘弾性測定)を行った。そして、損失正接(tanδ)の主分散のピークを示す温度をガラス転移温度とした。
(2)変性エポキシ化植物油中の多量体の割合
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(カラム:東ソー(株)の商品名TSKgelG2000HXL)を用いて、溶媒としてTHF(溶液濃度2.5mg/mL、溶液注入量0.05mL、流速1mL/分、温度40℃)を使用して測定を行った。得られたチャートより、エポキシ化植物油の単量体の割合を算出し、以下の式にて多量体の割合を求めた。
多量体の割合(質量%)=100(質量%)−「単量体の割合(質量%)」
【0038】
(3)引裂強度
JIS K7128−2に基づき、縦方向、及び、横方向のエルメンドルフ引裂強度の測定を行った。エルメンドルフ引裂強度が縦方向、横方向共に20N/mm以上であるものを合格とした。
【0039】
(4)加水分解性
温度80℃、相対湿度80%の恒温恒湿槽内に幅10mm、長さ100mmのサンプルを静置し、120時間経過した時点と、240時間経過した時点でサンプルを取り出した。取り出したサンプルの縦方向の中央部を180度の角度で折り曲げた際、120時間経過した時点でフィルムの形状を保持しており、かつ、240時間経過した時点でフィルムの形状を保持しなかったもの(加水分解が十分に進行しなかったもの)を○とした。また、120時間経過した時点でフィルムの形状を保持しなかったもの(早い段階で加水分解が進行してしまったもの)、又は、240時間経過した時点でフィルムの形状を保持しているもの(所定の期間内に加水分解が十分に進行しなかったもの)を×とした。
【0040】
<使用した材料>
(A−1):三菱化学(株)社製の商品名GSPla AZ91T(ポリブチレンサクシネート、ジカルボン酸成分:コハク酸=100モル%、ジオール成分:1,4−ブタンジオール=100モル%、ガラス転移温度=−24℃、重量平均分子量=180,000)
(A−2):三菱化学(株)社製の商品名GSPla AD92WD(ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)共重合体、ジカルボン酸成分:コハク酸/アジピン酸=78/22モル%、ジオール成分:1,4−ブタンジオール=100モル%、ガラス転移温度=−36℃、重量平均分子量=170,000)
(a−1):BASF社製の商品名エコフレックスF(ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)共重合体、ジカルボン酸成分:テレフタル酸/アジピン酸=48/52モル%、ジオール成分:1,4−ブタンジオール=100モル%、ガラス転移温度=−22℃、重量平均分子量:120,000)
【0041】
(B−1):エポキシ化大豆油100質量部に対して、コハク酸を5質量部添加し、200℃で30分攪拌混合して反応させて得られた酸変性エポキシ化植物油(変性エポキシ化植物油中の多量体の割合:46質量%)
(B−2):エポキシ化大豆油100質量部に対して、コハク酸を10質量部添加し、200℃で30分攪拌混合して反応させて得られた酸変性エポキシ化植物油(変性エポキシ化植物油中の多量体の割合:75質量%)
(b−1):エポキシ化大豆油100質量部に対して、コハク酸を20質量部添加し、200℃で30分攪拌混合して反応させて得られた酸変性エポキシ化植物油(変性エポキシ化植物油中の多量体の割合:91質量%)
(b−2):酸変性していないエポキシ化植物油
【0042】
(実施例1)
(A−1)、及び、(B−1)を混合質量比95:5の割合でドライブレンドした後、40mmφ同方向二軸押出機を用いて180℃で混練した後、Tダイより押出し、次いで約40℃のキャスティングロールにて急冷し、厚み20μmのフィルムを作製した。得られたフィルムについて、エルメンドルフ引裂強度、及び、加水分解性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0043】
(実施例2)
(A−1)、及び、(B−2)を混合質量比95:5の割合でドライブレンドした以外は実施例1と同様の方法でフィルムの作製、及び、評価を行った。結果を表1に示す。
【0044】
(実施例3)
(A−1)、及び、(B−2)を混合質量比90:10の割合でドライブレンドした以外は実施例1と同様の方法でフィルムの作製、及び、評価を行った。結果を表1に示す。
【0045】
(実施例4)
(A−2)、及び、(B−2)を混合質量比95:5の割合でドライブレンドした以外は実施例1と同様の方法でフィルムの作製、及び、評価を行った。結果を表1に示す。
【0046】
(比較例1)
変性エポキシ化植物油を用いずに、(A−1)を単独で用い、実施例1と同様の方法でフィルムの作製、及び、評価を行った。結果を表1に示す。
【0047】
(比較例2)
(A−1)、及び、(b−2)を混合質量比95:5の割合でドライブレンドした以外は実施例1と同様の方法でフィルムの作製、及び、評価を行った。結果を表1に示す。
【0048】
(比較例3)
(A−1)、及び、(b−1)を混合質量比95:5の割合でドライブレンドした以外は実施例1と同様の方法でフィルムの作製、及び、評価を行った。結果を表1に示す。
【0049】
(比較例4)
脂肪族ポリエステル系樹脂の代わりに、芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂である(a−1)を用い、(a−1)、及び、(B−2)を混合質量比95:5の割合でドライブレンドした以外は実施例1と同様の方法でフィルムの作製、及び、評価を行った。結果を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
表1の結果より、実施例1〜4は、ガラス転移温度が−50〜0℃である脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と、エポキシ化植物油の多量体を10〜80質量%の割合で含有する変性エポキシ化植物油(B)の混合物からなり、前記混合物中に占める(B)の割合が1〜15質量%であることにより、優れた引裂強度と加水分解性を有することがわかった。
これに対し、混合物中に変性エポキシ化植物油が含まれない場合(比較例1)や、エポキシ化植物油の単量体を使用した場合(比較例2)には、引裂強度が得られなかった。また、変性エポキシ化植物油中のエポキシ化植物油の多量体の含有割合が80質量%を超える場合(比較例3)には、十分な引裂強度が得られないうえに、早い段階で加水分解が進行してしまい、所定の期間フィルムの形状を保持できなかった。また、芳香族脂肪族ポリエステルを使用した場合(比較例4)には、引裂強度は優れるものの、加水分解性が得られなかった。