(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
レンズとして機能するレンズ有効部と、前記レンズ有効部の端部から径方向外側に延び、前記レンズ有効部の光軸に対する垂線の角度が前記光軸に対するレンズ有効部の端部における垂線の角度より大きく90°未満である傾斜部と、前記傾斜部の径方向外側に延び、前記傾斜部の周囲に位置する溝状の収容部を備える保持部と、前記レンズ有効部および前記傾斜部に配置されたハードコートとを有する撮像レンズと、
前記撮像レンズを前記保持部の撮像対象側の面から鏡筒内に固定する固定部と、
前記収容部に収容され、前記保持部および前記固定部の間を防水する第1の防水部とを備える
ことを特徴とする光学ユニット。
請求項3に記載の光学ユニットであって、前記固定部は前記鏡筒への装着時に前記第1の防水部を前記保持部および前記鏡筒に押付ける押付部を有することを特徴とする光学ユニット。
請求項9または請求項10に記載の光学ユニットであって、前記第2の収容部は、前記鏡筒の内側に形成される溝、または前記鏡筒の端部に形成される切欠であることを特徴とする光学ユニット。
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の光学ユニットであって、前記鏡筒に装着されることにより前記撮像レンズを固定する前記固定部と、前記鏡筒との間を防水する第2の防水部をさらに備えることを特徴とする光学ユニット。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0026】
まず、本発明の第1の実施形態に係る光学ユニットについて説明する。
図1は、第1の実施形態に係る光学ユニットを有する撮像装置の概略構成を示す光軸に沿った断面図である。
【0027】
図1に示すように、撮像装置10は、光学ユニット11および撮像素子12を含んで構成される。光学ユニット11は被写体像を結像させる。撮像素子12は、光学ユニット11を透過して結像した被写体像を撮像する。
【0028】
光学ユニット11は、鏡筒13、第1の撮像レンズ14、第2の撮像レンズ15、第3の撮像レンズ16、第4の撮像レンズ17、第1のスペーサ18、第2のスペーサ19、および第1の防水部20を含んで構成される。
【0029】
図2に示すように、鏡筒13は像側から物体側(撮像対象側)まで貫通する内孔hを有する。内孔hの内径は、像側から物体側に向かうにつれて、段階的に、および一部において連続的に、広がるように形成される。鏡筒13は、内孔hの像側の端部に壁部21を有する。壁部21は、中央に、被写体像を通過させる孔部22を有する。
【0030】
第4の撮像レンズ17、第2のスペーサ19、第3の撮像レンズ16、第1のスペーサ18、第2の撮像レンズ15、および第1の撮像レンズ14が、順番に内孔hの物体側から嵌入される(
図1参照)。第4の撮像レンズ17、第2のスペーサ19、第3の撮像レンズ16、第1のスペーサ18、第2の撮像レンズ15、および第1の撮像レンズ14は、互いに当接しており、第4の撮像レンズ17と係合する壁部21が、第4の撮像レンズ17、第2のスペーサ19、第3の撮像レンズ16、第1のスペーサ18、第2の撮像レンズ15、および第1の撮像レンズ14の像側への変位を規制する。
【0031】
図3に示すように、光学ユニット11の組立て前において、鏡筒13の物体側端部は、第1の撮像レンズ14の最外縁より物体側に延びている。第4の撮像レンズ17、第2のスペーサ19、第3の撮像レンズ16、第1のスペーサ18、第2の撮像レンズ15、および第1の撮像レンズ14を内孔hに嵌入した状態で、鏡筒13の物体側の端部23を内側に折曲げることにより、鏡筒13の物体側にカシメ状の固定部24が形成される(
図1参照)。固定部24は、後述するように、第1の撮像レンズ14の一部を覆う。
【0032】
固定部24は、第1の撮像レンズ14を鏡筒13内に固定する。また、固定部24は、第1の撮像レンズ14を固定することにより、第1の撮像レンズ14、第2の撮像レンズ15、第1のスペーサ18、第3の撮像レンズ16、第2のスペーサ19、および第4の撮像レンズ17の物体側への変位を規制する。
【0033】
前述のように、第1の撮像レンズ14、第2の撮像レンズ15、第1のスペーサ18、第3の撮像レンズ16、第2のスペーサ19、および第4の撮像レンズ17の光軸axに沿った変位が規制され、それぞれの光軸axに沿った位置が定められる。当該定められた位置における鏡筒13の内周面によって、第1の撮像レンズ14、第2の撮像レンズ15、第1のスペーサ18、第3の撮像レンズ16、第2のスペーサ19、および第4の撮像レンズ17は、直接あるいは間接的に、光軸axに垂直な方向への変位が規制される。
【0034】
図4に示すように、第1の撮像レンズ14が位置付けられる鏡筒13の内周面isには、複数の第2の収容部25が形成される。各第2の収容部25は、物体側の開口端まで連続する溝である。後述するように、第2の収容部25は、第1の撮像レンズ14に形成される凸部を収容する。第1の実施形態では、例えば4つの第2の収容部25が等間隔、すなわち90°毎の回転位置に設けられる。ただし、第2の収容部25の数は4つに限定されず、また等間隔でなくてもよい。
【0035】
第1の撮像レンズ14は、例えば、物体側に凸である樹脂製のメニスカスレンズである。
図5に示すように、第1の撮像レンズ14は、レンズ有効部26、傾斜部27、および保持部28を有する。
【0036】
レンズ有効部26は物体側においてレンズ有効面として機能する凸面を形成する部位である。傾斜部27は、レンズ有効部26の端部eから径方向外側に延び、光軸axに対する垂線の角度
θ2が光軸axに対するレンズ有効部26の端部eにおける垂線の角度
θ1より大きく、90°未満である傾斜面を有する部位である。保持部28は傾斜部27の径方向外側に鍔状に延びる部位である。
【0037】
保持部28は、傾斜部27の傾斜面と連続する第1の収容部29を有する。第1の収容部29は、例えば傾斜部27の傾斜面の周囲に形成される溝である。第1の収容部29には、固定部24の形成前に、熱硬化型接着剤が充填される。前述のように固定部24の形成後、加熱により接着剤は硬化する。硬化した接着剤は、保持部28および固定部24の間に介在し、保持部28および固定部24の間を防水する第1の防水部20として機能する(
図1参照)。
【0038】
第1の撮像レンズ14は金型を用いて形成され、樹脂の金型への供給経路であるゲートが、
図6に示すように、保持部28から径方向外側に突出する凸部30として形成される。凸部30を除いた保持部28の外径は、収容される位置における鏡筒13の内径に実質的に等しい。
【0039】
レンズ有効部26、傾斜部27、および保持部28の物体側の面(
図5における上面)には、均一な膜厚のハードコート31が塗布される。例えば、
図7に示すように、第1の撮像レンズ14は物体側の面を上に向けてベルトコンベヤ32上に並べられ、ベルトコンベヤ32の上方からハードコート剤33を噴射することによりハードコート31は塗布される。
【0040】
第2の撮像レンズ15、第3の撮像レンズ16、および第4の撮像レンズ17は金型を用いて形成される。第2の撮像レンズ15および第4の撮像レンズ17の外径は、収容される位置における鏡筒13の内径に実質的に等しい。第1のスペーサ18および第2のスペーサ19は、第2の撮像レンズ15および第4の撮像レンズ17の間において第3の撮像レンズ16を保持し、かつ絞りとして機能するように形成される。第1のスペーサ18および第2のスペーサ19の外径は、収容される位置における鏡筒13の内径に実質的に等しい。
【0041】
以上のような構成の第1の実施形態の光学ユニットによれば、以下に説明するように、第1の撮像レンズ14の高い耐環境性能を長期間維持させながら、最も物体側に樹脂製の第1の撮像レンズ14を適用可能である。
【0042】
前述のように、ハードコート31を塗布することにより、樹脂製のレンズに、高い耐環境性能が備わる。ただし、第1の撮像レンズ14に所望の光学特性を持たせるためには、レンズ有効部26に膜厚を調整したハードコート31を塗布する必要がある。製造コストを極端に増加させること無く、膜厚を調整したハードコート31を塗布するには、前述のように、物体側の面方向からハードコート剤33と噴射することが望ましい(
図7参照)。
【0043】
しかし、このような方法では、樹脂製のレンズ全体にハードコート31を塗布することは困難であり、第1の撮像レンズ14はハードコートの非塗布面を有し得る。ハードコート31の非塗布面を有すると、ハードコート31の塗布面および非塗布面の境界からハードコート31の塗布面の下に雨水や薬品などが浸入し得、第1の撮像レンズ14が浸食され、高い耐環境性能の長期間の維持が困難となる。
【0044】
そこで、第1の実施形態では、保持部28と、第1の撮像レンズ14を物体側の面から固定する固定部24との間を第1の防水部20が防水するので、ハードコート31の非塗布面を外部に曝すことを防ぐことが可能であり、高い耐環境性能を長期間維持せることが可能である。
【0045】
また、前述のハードコート塗布方法では、ハードコート剤33の噴射方向に向いている面以外にハードコート31を塗布することが困難である。例えば、
図8に示すように、第1の撮像レンズ14’において傾斜部27を設けずに、レンズ有効部26が光軸axに垂直な側周面34を有し、側周面34が保持部28と連続する場合には、側周面34にはハードコート31が塗布されない。それゆえ、側周面34側から、ハードコート31とレンズ有効部26との間に雨水が浸入し得る。
【0046】
そこで、第1の実施形態では、第1の撮像レンズ14に傾斜部27を設けることにより、レンズ有効部26から保持部28まで連続するように、ハードコート31を塗布可能である。したがって、第1の撮像レンズ14において外部に曝される面の全面にハードコート31を塗布可能なので、第1の撮像レンズ14の高い耐環境性能の長期間維持可能である。
【0047】
また、第1の実施形態では、傾斜部27の径方向外側に、さらに保持部28が設けられる。保持部28を設けることにより、第1の防水部20を安定的に、第1の撮像レンズ14に保持することが可能であり、第1の防水部20の防水性を向上させることが可能である。
【0048】
また、第1の実施形態では、保持部28に第1の収容部29が形成され、第1の防水部20を収容可能である。第1の収容部29に第1の防水部20を収容することにより、以下に説明するように、第1の収容部29が形成されない構成に対して、接着強度を向上させることが可能である。
【0049】
図9(a)に示すように、第1の収容部29を形成せずに、物体側の面全体が平坦な保持部28を有する第1の撮像レンズ14”の場合には、固定部24による固定後に固定部24、傾斜部27、および保持部28によって形成される空間に接着剤35が充填される。第1の撮像レンズ14”の接着においては、接着剤35と保持部28および固定部24との接着面(符号“A”参照)が互いに垂直であり、少なくとも一方の接着面においては接着面から垂直な方向に接着剤35が剥離する力が加わりやすい。
【0050】
一方、第1の実施形態では、接着剤35と保持部28および固定部24との接着面(
図9(b)符号“B”参照)が互いに平行であり、いずれの接着面においても接着面から平行な方向に接着剤35がせん断される力は加わりやすいが、剥離する力は加わりにくい。一般的に、接着剤のせん断強度は、剥離強度より大きい。それゆえ、第1の実施形態によれば、接着強度の向上により、第1の防水部20の防水性を長期間維持することが可能となる。
【0051】
また、第1の実施形態では、接着剤35が熱硬化型であるので、光硬化型接着剤と異なり、固定部24の形成後であっても周囲から加熱することにより、接着剤35を硬化させることが可能である。
【0052】
また、第1の実施形態では、鏡筒13に第2の収容部25が形成される。コスト低減化のために金型を用いて第1の撮像レンズ14を形成する場合には、前述のように第1の撮像レンズ14に凸部30が形成される。凸部30を有する撮像レンズを鏡筒13内に収容するためには、
図10に示すように、撮像レンズ36の最外縁の一部を切削した形状に凸部30が設けられるように形成することが一般的である。
【0053】
しかし、第1の撮像レンズ14は、保持部28を用いて第1の防水部20を保持するので保持部28の狭小化は第1の防水部20の保持を不安定下させ、防水性を向上させることが困難となり得る。そこで、第1の実施形態では、鏡筒13に凸部30を収容可能な第2の収容部25を形成し、全周囲に亘って保持部28を狭小化させないので(
図6参照)、防水性を向上可能である。
【0054】
また、第1の実施形態では、形成される第2の収容部25が複数である。従来の光学ユニットにおいて、鏡筒の内周面を用いてレンズの光軸合わせが行なわれ、さらにレンズを内周面に沿って回転させることにより光軸合わせの微調整が行なわれる。単一の第2の収容部25が形成される場合には、凸部30に対して第2の収容部25に遊びを持たせても微調整可能な範囲は狭い。そこで、第1の実施形態では、複数の第2の収容部25を形成することにより、光軸合わせの微調整の調整範囲を拡大可能である。
【0055】
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。第2の実施形態では固定部の構成および防水部の数が第1の実施形態と異なっている。以下に、第1の実施形態と異なる点を中心に第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同じ構成を有する部位には同じ符号を付す。
【0056】
図11に示すように、撮像装置100は、光学ユニット110および撮像素子12を含んで構成される。光学ユニット110の機能は、第1の実施形態と同じである。撮像素子12の構成および機能は、第1の実施形態と同じである。
【0057】
光学ユニット110は、鏡筒130、第1の撮像レンズ14、第2の撮像レンズ15、第3の撮像レンズ16、第4の撮像レンズ17、第1のスペーサ18、第2のスペーサ19、固定部240、第1の防水部20、および第2の防水部370を含んで構成される。第1の撮像レンズ14、第2の撮像レンズ15、第3の撮像レンズ16、第4の撮像レンズ17、第1のスペーサ18、第2のスペーサ19、および第1の防水部20の構成および機能は、第1の実施形態と同じである。
【0058】
鏡筒130の物体側の端部以外の構成および機能は、第1の実施形態と同じである。したがって、鏡筒130は、像側に孔部22が形成された壁部21を有し、壁部21が第4の撮像レンズ17、第2のスペーサ19、第3の撮像レンズ16、第1のスペーサ18、第2の撮像レンズ15、および第1の撮像レンズ14の像側への変位を規制する。
【0059】
また、鏡筒130は、第1の実施形態と同様に、鏡筒130の内周面isによって、第1の撮像レンズ14、第2の撮像レンズ15、第1のスペーサ18、第3の撮像レンズ16、第2のスペーサ19、および第4の撮像レンズ17を、直接あるいは間接的に光軸axに垂直な方向への変位を規制する。
【0060】
鏡筒130の物体側の端部は、第1の実施形態と異なり、第1の撮像レンズ14の保持部28より物体側に延びず、第1の撮像レンズ14の像側の変位を前述のように規制した状態で第1の撮像レンズ14の保持部28が鏡筒130の物体側端部より物体側に突出する。また、鏡筒130の物体側の端部には、端部の円周に沿った溝状の第3の収容部380が形成される。後述するように、第3の収容部380は第2の防水部370を収容する。
【0061】
鏡筒130には、第1の実施形態と同様に、第1の撮像レンズ14が位置付けられる、内周面isに、複数の第2の収容部25が形成される(
図4参照)。第2の収容部25は、第1の撮像レンズ14に形成される凸部30を収容する。
【0062】
固定部240は、第1の実施形態と異なり、鏡筒130の一部でなく、例えば螺合することにより鏡筒130に装着される環状のリテーナである。固定部240は、鏡筒130に装着されることにより、第1の撮像レンズ14を鏡筒130内で固定する。固定部240は、第1の実施形態と同様に、第1の撮像レンズ14を固定することにより、第1の撮像レンズ14、第2の撮像レンズ15、第1のスペーサ18、第3の撮像レンズ16、第2のスペーサ19、および第4の撮像レンズ17の物体側への変位を規制する。
【0063】
固定部240には、第1の撮像レンズ14の第1の収容部29に突出する環部390が形成される。環部390は、鏡筒130に装着時に、第1の撮像レンズ14の第1の収容部29に充填させた接着剤35に埋入する。環部390が第1の収容部29の接着剤35に埋入した状態で接着剤35が硬化する。硬化した接着剤35は、第1の実施形態と同様に、第1の防水部20として機能する。
【0064】
第2の防水部370は、例えば弾性部材で形成されたOリングである。第2の防水部370は、鏡筒130の第3の収容部380に収容された状態で固定部240の鏡筒130への装着時に、鏡筒130および固定部240に押圧されることにより弾性変形する。第2の防水部370は弾性変形しながら、鏡筒130および固定部240を押圧することにより、鏡筒130および固定部240の間を防水する。
【0065】
以上のような構成の第2の実施形態の光学ユニットによっても、第1の撮像レンズ14は傾斜部27および保持部28を有し、第1の防水部20により第1の撮像レンズ14および固定部240の間を防水可能である。したがって、第1の実施形態と同様に、第1の撮像レンズ14の高い耐環境性能を長期間維持させながら、最も物体側に樹脂製の第1の撮像レンズ14を適用可能である。また、第2の実施形態の光学ユニットによっても、第1の撮像レンズ14が保持部28を有するので、第1の防水部20の防水性を向上させることが可能である。また、第2の実施形態の光学ユニットによっても、保持部28に第1の収容部29が形成されるので、第1の防水部20の防水性を長期間維持することが可能になる。また、第2の実施形態の光学ユニットによっても、接着剤35が熱硬化型なので、固定部240の装着後に接着剤35を硬化させることが可能である。また、第2の実施形態の光学ユニットによっても、鏡筒130に複数の第2の収容部25が形成されるので、第1の防水部20の防水性を向上させ且つ光軸合わせの微調整の調整範囲を拡大可能である。
【0066】
さらに、第2の実施形態の光学ユニットによれば、リテーナを固定部240として用いた場合においても、第2の防水部370を有するので、鏡筒130および固定部240の間から進入し得る雨水を防水可能である。
【0067】
また、第2の実施形態の光学ユニットによれば、固定部240に環部390が形成されるので、固定部240と接着剤35の接着面が拡大するので、接着強度が向上し、第1の防水部20の防水性を向上させることが可能である。
【0068】
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。第3の実施形態では固定部の構成および第1の防水部の構成が第1の実施形態と異なっている。以下に、第1の実施形態と異なる点を中心に第3の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同じ構成を有する部位には同じ符号を付す。
【0069】
図12に示すように、撮像装置101は、光学ユニット111および撮像素子12を含んで構成される。光学ユニット111の機能は、第1の実施形態と同じである。撮像素子12の構成および機能は、第1の実施形態と同じである。
【0070】
光学ユニット111は、鏡筒131、第1の撮像レンズ141、第2の撮像レンズ15、第3の撮像レンズ16、第4の撮像レンズ17、第1のスペーサ18、第2のスペーサ19、固定部241、および第1の防水部201を含んで構成される。第2の撮像レンズ15、第3の撮像レンズ16、第4の撮像レンズ17、第1のスペーサ18、および第2のスペーサ19の構成および機能は第1の実施形態と同じである。
【0071】
鏡筒131の物体側の端部以外の構成および機能は、第1の実施形態と同じである。したがって、鏡筒131は、像側に孔部22が形成された壁部21を有し、壁部21が第4の撮像レンズ17、第2のスペーサ19、第3の撮像レンズ16、第1のスペーサ18、第2の撮像レンズ15、および第1の撮像レンズ141の像側への変位を規制する。
【0072】
また、鏡筒131は、第1の実施形態と同様に、鏡筒131の内周面isによって、第2の撮像レンズ15、第1のスペーサ18、第3の撮像レンズ16、第2のスペーサ19、および第4の撮像レンズ17を、直接あるいは間接的に光軸axに垂直な方向への変位を規制する。ただし、第1の実施形態と異なり、第1の撮像レンズ141の当該方向への変位は、内周面isでなく、第1の撮像レンズ141に嵌合させた第2の撮像レンズ15により規制される。
【0073】
図13に示すように、鏡筒131の内周面isにおいて、第1撮像レンズ141の保持部281の側周面に対向する面を座面401とする。座面401の物体側の端部には面取りが施され、座面401対して傾斜した傾斜面411が形成される。
【0074】
固定部241は、第1の実施形態と異なり、例えば螺合することにより鏡筒131に装着される環状のリテーナである(
図12参照)。固定部241は、鏡筒131に装着されることにより、第1の撮像レンズ141を鏡筒131内に固定する。固定部241は、第1の実施形態と同様に、第1の撮像レンズ141を固定することにより、第1の撮像レンズ14、第2の撮像レンズ15、第1のスペーサ18、第3の撮像レンズ16、第2のスペーサ19、および第4の撮像レンズ17の物体側への変位を規制する。
【0075】
固定部241には、鏡筒131への装着時に、鏡筒131の座面401および第1の撮像レンズ141の保持部281の間の空間に突出する押付部421が形成される。押付部421は、環状の固定部241に沿って連続する環状に形成される。押付部421は、後述するように、第1の防水部201を、第1の撮像レンズ141の保持部281および鏡筒131の傾斜面411に押付ける。
【0076】
第1の撮像レンズ141は、第1の実施形態と同様に、レンズ有効部26、傾斜部27、および保持部281有する。レンズ有効部26および傾斜部27の構成および機能は、第1の実施形態と同様である。
【0077】
保持部281には、第1の実施形態と異なり、第1の収容部29が形成されない。また、保持部281の側周面の物体側の端部には面取りが施され、側周面に対して傾斜する傾斜面が形成される。保持部281の像側には、第2の撮像レンズ15と嵌合する段差が形成される。保持部281を第2の撮像レンズ15に嵌合させることにより、光軸axに垂直な方向への変位が規制される。保持部281の外径は、座面401の内径より短い、したがって、保持部281および座面401の間には空隙が生じる。
【0078】
第1の実施形態と同様に、第1の撮像レンズ141のレンズ有効部26、傾斜部27、および保持部281の物体側の面には、均一な膜厚のハードコート31が塗布される。
【0079】
第1の防水部201は、第1の実施形態と異なり、例えばOリングなどの弾性部材である。
図14に示すように、第1の防水部201の光軸axに沿った断面は、一部にV字形状を有する。すなわち、2方向に分かれた脚部431を有する。第1の防水部201は、保持部281および座面401の間の空隙に嵌入される。第1の防水部201を嵌入した状態で、固定部241を鏡筒131に装着することにより、固定部241の押付部421が脚部431を押し広げ(
図12参照)、保持部281の傾斜面および鏡筒131に形成された傾斜面411に押付ける。押付部421の押付けにより、第1の防水部201は、保持部281および鏡筒131と、固定部241との間に介在し、第1の撮像レンズ141および固定部241の間と、鏡筒131および固定部241の間とを防水する。
【0080】
以上のような構成の第3の実施形態の光学ユニットによっても、第1の撮像レンズ141のレンズ有効部26から保持部281まで連続してハードコート31を塗布可能であり、ハードコート31の塗布面に第1の防水部201が介在するので、第1の防水部201が第1の撮像レンズ141および固定部241の間を防水可能である。したがって、第1の実施形態と同様に、第1の撮像レンズ141の高い耐環境性能を長期間維持させながら、最も物体側に樹脂製の第1の撮像レンズ141を適用可能である。
【0081】
また、第3の実施形態の光学ユニットによれば、リテーナを固定部241として用いた場合においても、第1の防水部201が鏡筒131および固定部241の間にも介在するので、鏡筒131および固定部241の間から進入し得る雨水を防水可能である。
【0082】
また、第3の実施形態の光学ユニットによれば、固定部241が押付部421を有するので、第1の防水部201を、第1の撮像レンズ141および鏡筒131と固定部241との間に確実に導入可能である。したがって、第1の撮像レンズ141および固定部24lの間と、鏡筒131および固定部241の間とを確実に防水可能である。
【0083】
また、第3の実施形態の光学ユニットによれば、第1の防水部201の断面が、少なくとも一部にV字形状の断面を有するので、第1の防水部201を、第1の撮像レンズ141および鏡筒131と固定部241との間に確実に導入可能である。したがって、第1の撮像レンズ141および固定部241の間と、鏡筒131および固定部241の間とを確実に防水可能である。
【0084】
本発明を諸図面や実施形態に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。
【0085】
例えば、第1の実施形態および第2の実施形態において、第1の防水部20は硬化した接着剤35であるが、Oリングの様な弾性部材であってもよい。また、第2の実施形態において、第2の防水部370は弾性部材であるが、硬化した接着剤であってもよい。
【0086】
また、第2の実施形態では、第2の収容部25は、鏡筒130の内周面isに形成される溝であるが、
図15に示すように、鏡筒130の物体側の端部に形成される切欠であってもよい。
【0087】
また、第3の実施形態では、保持部281の外径を座面401の内径より短い(
図12参照)が、
図16に示すように保持部281の一部の外径を、座面401の内径に実質的に等しくなるように拡径化させてもよい。第3の実施形態における第1の撮像レンズ141の形状では、金型を用いることにより保持部281の外径から突出する凸部30(
図6参照)が形成されるときに、第1の防水部201が保持部281の側周面から離間し得る。第1の防水部201が保持部281の外周面から離間すると、第1の撮像レンズ141および固定部241の間の防水性が低化する。一方、保持部281において拡径化される部位の一部を切削し(
図10参照)、当該切削した部位に凸部30を形成させることにより、第1の防水部201の保持部281の外周面からの離間を防ぐことが可能である。また、保持部281の一部の外径を拡径化することにより、第1の撮像レンズ141の光軸axに垂直な方向の変位を座面401によって規制することが可能となる。