(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ワイヤハーネスの幅寸法に相応する間隔を開けて車体パネルの裏面に立設された一対のリブであって、当該各リブは前記ワイヤハーネスの配索経路に沿って延設され、前記一対のリブ間の空間が前記ワイヤハーネスを前記配索経路に沿って収容するハーネス収容溝となる一対のリブと、
前記ハーネス収容溝に収容された前記ワイヤハーネスの上を覆うカバー本体部と、当該カバー本体部の両側縁に設けられて前記一対のリブに着脱可能なリブ係合部と、を備えた保護カバーと、
を備え、
前記一対のリブ及び前記保護カバーは前記配索経路の略全長に渡って設けられ、前記一対のリブと前記保護カバーによって前記ワイヤハーネスを収容保持し、
前記車体パネルは、パネル裏面となると共に主に当該車体パネルの強度を確保する芯材層と、当該芯材層の外面側に積層されて前記車体パネルにクッション性を確保する発泡樹脂層と、当該発泡樹脂層の外面に積層されてパネル表面となる表皮層との3層構造に形成され、
前記一対のリブは、前記芯材層に一体成形されて前記芯材層の裏側表面に立設されたことを特徴とするワイヤハーネスの配索構造。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1では、車体パネルの裏面にワイヤハーネスを組み付けるワイヤハーネスの配索構造として、車体パネル上に想定した配索経路上の複数箇所で、クランプ部品やねじ止め部品を使ってワイヤハーネスを車体パネルに固定する構造が開示されている。
【0003】
しかし、クランプ部品やねじ止め部品によりワイヤハーネスを固定するワイヤハーネスの配索構造では、配索用の部品点数が増大し、組み付け時の作業工程数が増えるという問題が生じる。
【0004】
このような問題を解消することが可能なワイヤハーネスの配索構造として、下記特許文献2では、
図9〜
図11に示すワイヤハーネスの配索構造を記載している。
【0005】
特許文献2におけるワイヤハーネスの配索構造は、
図9及び
図10に示すように、車体パネル100の裏面101に、ワイヤハーネス110を収容するハーネス収容溝120を設け、ハーネス収容溝120に収容したワイヤハーネス110の複数箇所をクリップ130によって100に固定する。
【0006】
車体パネル100は、
図10に示すように、パネル裏面となると共に主に当該パネルの強度を確保する芯材層102と、この芯材層102の外面側に積層されて当該パネルにクッション性を確保する発砲樹脂層103と、この発砲樹脂層103の外面に積層されてパネル表面となる表皮層104との3層構造に形成されている。
【0007】
芯材層102には、後述する隆起壁121を発砲樹脂層103に一体成形するための連絡孔102aと、クリップ130の係止片132を挿通させるためのクリップ挿通孔102bと、が貫通形成されている。
【0008】
ワイヤハーネス110は、車両上における複数の電子部品の配置に応じて複数の電線111を束ねたもので、
図9に示すように、幹線及び分岐線の端部には、電子部品に接続するためのコネクタC1,C2,C3,C4が接続されている。また、ワイヤハーネス110は、
図10に示すように、複数の電線111が平面状に配列されたフラットケーブルである。
【0009】
ハーネス収容溝120は、車体パネル100の裏面101上に延設された一対の隆起壁121と、これらの一対の隆起壁121間に位置する芯材層102の表面102cと、で囲む空間である。
【0010】
隆起壁121は、発砲樹脂層103と一体成形される部位であり、芯材層102に貫通形成された連絡孔102aで発砲樹脂層103と繋がっている。
【0011】
クリップ130は、ワイヤハーネス110の上を横断するケーブル押え部131と、このケーブル押え部131の両端から延出した一対の係止片132と、を有している。係止片132は、ケーブル押え部131と直交する方向に延出しており、先端に係止突起132aが突設されている。
【0012】
クリップ130は、
図11に示すように、係止片132が芯材層102のクリップ挿通孔102bを挿通して、係止突起132aが芯材層102の外面102dに係合することで、芯材層102に固定される。クリップ130を芯材層102に固定することで、ワイヤハーネス110をハーネス収容溝120の底部に押さえ付けることができる。
【0013】
特許文献2のワイヤハーネスの配索構造では、車体パネル100の裏面101に形成されたハーネス収容溝120にワイヤハーネス110を載置した後、クリップ130を芯材層102に差し込むだけで、ワイヤハーネス110の車体パネル100への取り付けが完了するため、特許文献1のワイヤハーネスの配索構造と比較すると、配索用の部品点数の削減、ワイヤハーネスの組み付け時の作業工程数の削減を図ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところが、特許文献2のワイヤハーネスの配索構造は、ワイヤハーネス110をしっかりと固定するには、クリップ130の間隔を狭めなければならず、多数のクリップ130が必要となるため、配索用の部品点数はそれほど削減させることができない。
【0016】
また、特許文献2のワイヤハーネスの配索構造の場合、車体パネル100に取り付けられたワイヤハーネス110は、ハーネス収容溝120の開放側が外部に露出した状態になるため、他の機材等がワイヤハーネス110に直接接触するおそれがあり、ワイヤハーネス110に対する保護性能がそれほど高くないという問題もある。
【0017】
また、特許文献2のワイヤハーネスの配索構造の場合、ハーネス収容溝120を構成する隆起壁121は、車体パネル100の発砲樹脂層103で形成されていて、しかも、長さ方向の極一部である連絡孔102aでしか発砲樹脂層103と繋がっていないため、剛性や機械的強度の確保が難しい。
【0018】
そのため、ワイヤハーネス110がフラットケーブルで、ハーネス収容溝120が浅くて済み、隆起壁121に大きな曲げ荷重が作用しない場合は、特に問題は生じない。しかし、収容するワイヤハーネスが丸形ケーブルで、ハーネス収容溝120が深くなる場合には、ワイヤハーネスを介して隆起壁121に作用する曲げ荷重で、隆起壁121が破損するおそれがあり、丸形ケーブルを使用したワイヤハーネスの配索には適さないという問題もある。
【0019】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消することに係り、配索用の部品点数を低減して配索時の作業性を向上させることができ、しかも、ワイヤハーネスに対する高い保護性能を確保することのできるワイヤハーネスの配索構造を提供することにある。
【0020】
更に、本発明の目的は、ハーネス収容溝を深く形成しても当該ハーネス収容溝を形成するリブに高い強度を確保することが可能で、深いハーネス収容溝が必要となる丸形ケーブルを使用したワイヤハーネスの配索にも適したワイヤハーネスの配索構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1) ワイヤハーネスの幅寸法に相応する間隔を開けて車体パネルの裏面に立設された一対のリブであって、当該各リブは前記ワイヤハーネスの配索経路に沿って延設され、前記一対のリブ間の空間が前記ワイヤハーネスを前記配索経路に沿って収容するハーネス収容溝となる一対のリブと、
前記ハーネス収容溝に収容された前記ワイヤハーネスの上を覆うカバー本体部と、当該カバー本体部の両側縁に設けられて前記一対のリブに着脱可能なリブ係合部と、を備えた保護カバーと、
を備え、
前記一対のリブ及び前記保護カバーは前記配索経路の略全長に渡って設けられ、前記一対のリブと前記保護カバーによって前記ワイヤハーネスを収容保持
し、
前記車体パネルは、パネル裏面となると共に主に当該車体パネルの強度を確保する芯材層と、当該芯材層の外面側に積層されて前記車体パネルにクッション性を確保する発泡樹脂層と、当該発泡樹脂層の外面に積層されてパネル表面となる表皮層との3層構造に形成され、
前記一対のリブは、前記芯材層に一体成形されて前記芯材層の裏側表面に立設されたことを特徴とするワイヤハーネスの配索構造。
【0022】
(2) 上記(1)に記載のワイヤハーネスの配索構造において、
前記リブ係合部は、前記一対のリブの頂部に形成されたカバー係止部に着脱可能に係合することを特徴とするワイヤハーネスの配索構造。
【0023】
(3) 上記(1)又は(2)に記載のワイヤハーネスの配索構造において、
前記ハーネス収容溝には、複数の電線が平面状に並ぶフラットケーブルが収容され、
前記カバー本体部の下面には、収容された前記フラットケーブルにおける幅方向の延在範囲の略全域に亘って前記フラットケーブル側に突出すると共に前記複数の電線を平面状に並べた状態に押さえる平坦な電線押さえ面が形成されたことを特徴とするワイヤハーネスの配索構造。
【0024】
(4)
上記(1)〜(3)の何れか1つに記載のワイヤハーネスの配索構造において、
前記一対のリブ間に位置する前記芯材層の
裏側表面位置が、前記一対のリブの外側に位置する前記芯材層の
裏側表面位置よりも前記発泡樹脂層側に下がって形成されることで、前記ハーネス収容溝が前記芯材層側に沈降して形成されていることを特徴とするワイヤハーネスの配索構造。
【0025】
上記(1)の構成によれば、車体パネルの裏面の一対のリブが形成するハーネス収容溝にワイヤハーネスを配置し、その後、一対のリブの頂部に保護カバーを取り付けると、ワイヤハーネスの配索経路の略全長に渡ってワイヤハーネスが外部に露出しない状態に収容された配索状態が得られる。
【0026】
即ち、上記(1)の構成によれば、配索構造の構成部材は、車体パネルの裏面に立設された一対のリブと、これらリブの頂部に着脱可能な保護カバーだけであり、保護カバーを単一部品とすれば、極めて少数の部品で構成することができる。従って、配索用の部品点数を低減して配索時の作業性を向上させることができる。
【0027】
しかも、配索するワイヤハーネスの略全長が一対のリブと保護カバーとで覆われるため、ワイヤハーネスが外部の機材に接触することを確実に回避することができ、ワイヤハーネスに対する高い保護性能を確保することができる。
加えて、ハーネス収容溝を形成する一対のリブは、車体パネルにおいて主な強度部材である芯材層に一体成形される。更に、一対のリブは、長さ方向の一部ではなく、全長に渡って芯材層と繋がった状態に形成することができる。そのため、一対のリブに高い強度を確保することができる。従って、ハーネス収容溝を深く形成しても当該ハーネス収容溝を形成するリブに高い強度を確保することが可能で、深いハーネス収容溝が必要となる丸形ケーブルを使用したワイヤハーネスの配索にも適している。
更に、一対のリブと芯材層との一体成形は、従来技術のように、芯材層の内面側に位置するリブを、芯材層の外面側に位置する発泡樹脂層に一体成形する場合と比較すると、成形も容易になり、生産性を向上させることができる。
【0028】
上記(2)の構成によれば、保護カバーのリブ係合部は、一対のリブの頂部に形成されたカバー係止部に着脱可能に係合する。即ち、保護カバーとリブとの係合部が、車体パネル内に埋もれずに、車体パネルの裏面から外部に突出した位置に位置する。そのため、保護カバーとリブとの係合部へのアクセスが容易になり、ワイヤハーネスの保守時等における保護カバーの着脱操作が容易になる。
【0029】
上記(3)の構成によれば、
ハーネス収容溝に収容されたフラットケーブルであるワイヤハーネスをしっかりと固定することができる。
【0031】
上記(4)の構成によれば、一対のリブの車体パネルの裏面からの突出高さを低く抑えて、ワイヤハーネスの配索構造を低背化することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によるワイヤハーネスの配索構造によれば、配索用の部品点数を低減して配索時の作業性を向上させることができ、しかも、ワイヤハーネスに対する高い保護性能を確保することができる。
【0033】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明に係るワイヤハーネスの配索構造の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0036】
[第1実施形態]
図1〜
図5は本発明に係るワイヤハーネスの配索構造の第1実施形態を示したもので、
図1は第1実施形態のワイヤハーネスの配索構造の斜視図、
図2は
図1のA−A断面図、
図3は
図2のB部の拡大図、
図4は本発明の第1実施形態のワイヤハーネスの配索構造の分解斜視図、
図5は本発明の第1実施形態のワイヤハーネスの配索構造において、保護カバーを一対のリブに組み付ける前の状態の斜視図である。
【0037】
この第1実施形態のワイヤハーネスの配索構造は、車両に搭載するワイヤハーネス10を、車体パネル20の裏面に、所定の配索経路に沿って固定するものである。
【0038】
ワイヤハーネス10は、
図3に示すように複数の電線11を略丸形に束ねたものである。ワイヤハーネス10の両端には、
図1及び
図4に示すように、機器等の接続端子に嵌合接続するコネクタ12が接続されている。
【0039】
車体パネル20は、
図3に示すように、主に当該車体パネル20の強度を確保する芯材層21と、この芯材層21の外面21a側に積層される発泡樹脂層22と、この発泡樹脂層22の外面22aに積層される表皮層23と、の3層構造に形成されている。
【0040】
芯材層21は、内面21bがパネル裏面20aとなる樹脂層である。発泡樹脂層22は、当該車体パネル20にクッション性を確保する樹脂層である。表皮層23は、パネル表面となる層である。
【0041】
本実施形態におけるワイヤハーネスの配索構造は、車体パネル20の裏面に立設された一対のリブ31,32と、これらの一対のリブ31,32の頂部31a,32aに着脱可能に取り付けられる保護カバー40と、を備えている。
【0042】
一対のリブ31,32は、ワイヤハーネス10の幅寸法に相応する間隔を開けて、車体パネル20のパネル裏面20aに立設されている。また、
図4に示すように、一対のリブ31,32は、ワイヤハーネス10の配索経路に沿って延設されている。そして、これらの一対のリブ31,32間の空間が、ワイヤハーネス10を前記配索経路に沿って収容するハーネス収容溝35となる。
【0043】
一対のリブ31,32の頂部31a,32aには、
図3に示すように、カバー係止部311,321が設けられている。カバー係止部311,321は、保護カバー40を着脱可能に係止する係止突起である。
【0044】
本実施形態の場合、一対のリブ31,32は、芯材層21に一体成形されている。
【0045】
保護カバー40は、
図3に示すように、ハーネス収容溝35に収容されたワイヤハーネス10の上を覆うカバー本体部41と、このカバー本体部41の両側縁に設けられたリブ係合部411,421と、を備えている。リブ係合部411,421は、一対のリブ31,32のカバー係止部311,321に着脱可能に係合する係合突起である。
【0046】
保護カバー40のカバー本体部41及びリブ係合部411,421は、一対のリブ31,32と同様に、ワイヤハーネス10の配索経路の略全長に渡る長さに渡って連続する形状に一体形成されている。
【0047】
保護カバー40は、一対のリブ31,32の頂部に載せた後、
図3の矢印X1方向に押下することで、カバー係止部311,321をリブ係合部411,421に係合させた状態にすることができる。保護カバー40は、カバー係止部311,321をリブ係合部411,421に係合させることで、一対のリブ31,32の頂部31a,32aに固定することができる。
【0048】
更に、一対のリブ31,32の頂部31a,32aに固定されている保護カバー40は、
図3に矢印Yで示す方向に一対のリブ31,32を押圧して、頂部31a,32aが互いに接近する側にこれらの一対のリブ31,32を撓み変形させることで、簡単にカバー係止部311,321とリブ係合部411,421との間の係合を解除させることができる。
【0049】
本実施形態のワイヤハーネスの配索構造は、前述の一対のリブ31,32と保護カバー40によってワイヤハーネス10を収容保持するものである。
【0050】
本実施形態のワイヤハーネスの配索構造では、まず
図5に示すように、一対のリブ31,32が形成するハーネス収容溝35にワイヤハーネス10を収容させる。その後に、一対のリブ31,32の頂部31a,32aに保護カバー40を結合することで、ワイヤハーネス10の配索作業が完了する。
【0051】
以上に説明した本実施形態のワイヤハーネスの配索構造によれば、車体パネル20の裏面20aの一対のリブ31,32が形成するハーネス収容溝35にワイヤハーネス10を配置し、その後、一対のリブ31,32の頂部31a,32aに保護カバー40を取り付けると、
図1に示すように、ワイヤハーネス10の配索経路の略全長に渡ってワイヤハーネス10が外部に露出しない状態に収容された配索状態が得られる。
【0052】
即ち、本実施形態のワイヤハーネスの配索構造によれば、配索構造の構成部材は、車体パネル20の裏面20aに立設された一対のリブ31,32と、これらの一対のリブ31,32の頂部31a,32aに着脱可能な保護カバー40だけであり、保護カバー40を本実施形態のように単一部品とすれば、極めて少数の部品で構成することができる。従って、配索用の部品点数を低減して配索時の作業性を向上させることができる。
【0053】
しかも、配索するワイヤハーネス10の略全長が一対のリブ31,32と保護カバー40とで覆われるため、ワイヤハーネス10が外部の機材に接触することを確実に回避することができ、ワイヤハーネス10に対する高い保護性能を確保することができる。
【0054】
そして、ワイヤハーネス10の略全長を収容するため、ワイヤハーネス10は、保護性能が高い外装を施す必要がなくなり、ワイヤハーネス10の外装を簡易、又は省略して、ワイヤハーネス10の生産性を向上させることもできる。
【0055】
また、本実施形態のワイヤハーネスの配索構造によれば、保護カバー40のリブ係合部411,421は、一対のリブ31,32の頂部31a,32aに形成されたカバー係止部311,321に着脱可能に係合する。即ち、保護カバー40と一対のリブ31,32との係合部が、車体パネル20内に埋もれずに、車体パネル20の裏面20aから外部に突出した位置に位置する。そのため、保護カバー40と一対のリブ31,32との係合部へのアクセスが容易になり、ワイヤハーネス10の保守時等における保護カバー40の着脱操作が容易になる。
【0056】
また、本実施形態のワイヤハーネスの配索構造によれば、ハーネス収容溝35を形成する一対のリブ31,32は、車体パネル20において主な強度部材である芯材層21に一体成形される。更に、一対のリブ31,32は、長さ方向の一部ではなく、全長に渡って芯材層21と繋がった状態に形成することができる。そのため、一対のリブ31,32に高い強度を確保することができる。
【0057】
従って、ハーネス収容溝35を深く形成しても当該ハーネス収容溝35を形成するリブに高い強度を確保することが可能で、深いハーネス収容溝35が必要となる丸形ケーブルを使用したワイヤハーネス10の配索にも適している。
【0058】
更に、本実施形態のワイヤハーネスの配索構造における一対のリブ31,32と芯材層21との一体成形は、従来技術のように、芯材層21の内面21b側に位置するリブを、芯材層21の外面21a側に位置する発泡樹脂層22に一体成形する場合と比較すると、成形も容易になり、生産性を向上させることができる。
【0059】
[第2実施形態]
図6〜
図8は本発明に係るワイヤハーネス10の配索構造の第2実施形態を示したもので、
図6は本発明に係るワイヤハーネス10の配索構造の第2実施形態の斜視図、
図7は
図6のC−C断面図、
図8は本発明の第2実施形態のワイヤハーネス10の配索構造の分解斜視図である。
【0060】
第2実施形態のワイヤハーネスの配索構造は、第1実施形態のワイヤハーネスの配索構造の一部を改良したものである。
【0061】
第2実施形態のワイヤハーネスの配索構造において、第1実施形態のワイヤハーネスの配索構造と対応する構成については、同番号を付けて、説明を省略、又は簡略化する。
【0062】
第2実施形態のワイヤハーネスの配索構造において、ハーネス収容溝35を形成する一対のリブ31,32が車体パネル20の芯材層21に一体形成されている点、保護カバー40が一対のリブ31,32の頂部31a,32aに着脱可能な点、一対のリブ31,32や保護カバー40が、車体パネル20上の配索経路の略全長に渡って連続している点など、基本的な構成は第1実施形態のワイヤハーネスの配索構造と共通している。
【0063】
但し、本実施形態では、ハーネス収容溝35に収容するワイヤハーネス10Aは、
図7に示すように複数の電線11が平面状に並ぶフラットケーブルである。
【0064】
また、
図7に示すように、一対のリブ31,32間に位置する芯材層21の表面位置21fが、一対のリブ31,32の外側に位置する芯材層21の表面位置21gよりも発泡樹脂層22側に距離Dだけ下がって形成されることで、ハーネス収容溝35が芯材層21側に距離Dだけ沈降して形成されている。
【0065】
また、保護カバー40のカバー本体部41には、複数の電線11を平面状に並べた状態に押さえる平坦な電線押さえ面46が装備されている。
【0066】
本実施形態のように、ハーネス収容溝35が芯材層21側に沈降して形成されていると、一対のリブ31,32の車体パネル20の裏面20aからの突出高さを低く抑えて、ワイヤハーネス10の配索構造を低背化することができる。
【0067】
更に、保護カバー40には、ワイヤハーネス10Aを平面状に押さえる電線押さえ面46が装備されているため、ワイヤハーネス10Aをしっかりと固定することができる。
【0068】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
例えば、ハーネス収容溝を形成する一対のリブは、芯材層21とは別体に形成して、後から、接着剤又は締結手段によって、芯材層に固定する構造としても良い。
【0069】
ここで、上述した本発明に係るワイヤハーネスの配索構造の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[4]に簡潔に纏めて列記する。
【0070】
[1] ワイヤハーネス(10)の幅寸法に相応する間隔を開けて車体パネル(20)の裏面(20a)に立設された一対のリブ(31,32)であって、当該各リブは前記ワイヤハーネス(10)の配索経路に沿って延設され、前記一対のリブ(31,32)間の空間が前記ワイヤハーネス(10)を前記配索経路に沿って収容するハーネス収容溝(35)となる一対のリブ(31,32)と、
前記ハーネス収容溝(35)に収容された前記ワイヤハーネス(10)の上を覆うカバー本体部(41)と、当該カバー本体部(41)の両側縁に設けられて前記一対のリブ(31,32)に着脱可能なリブ係合部(411,421)と、を備えた保護カバー(40)と、
を備え、
前記一対のリブ(31,32)及び前記保護カバー(40)は前記配索経路の略全長に渡って設けられ、前記一対のリブ(31,32)と前記保護カバー(40)によって前記ワイヤハーネス(10)を収容保持することを特徴とするワイヤハーネスの配索構造。
【0071】
[2] 上記[1]に記載のワイヤハーネスの配索構造において、
前記リブ係合部(411,421)は、前記一対のリブ(31,32)の頂部(31a,32a)に形成されたカバー係止部(311,321)に着脱可能に係合することを特徴とするワイヤハーネスの配索構造。
【0072】
[3] 上記[1]又は[2]に記載のワイヤハーネスの配索構造において、
前記車体パネル(20)は、パネル裏面(20a)となると共に主に当該車体パネルの強度を確保する芯材層(21)と、当該芯材層(21)の外面側に積層されて前記車体パネルにクッション性を確保する発泡樹脂層(22)と、当該発泡樹脂層(22)の外面に積層されてパネル表面となる表皮層(23)との3層構造に形成され、
前記一対のリブ(31,32)は、前記芯材層(21)に一体成形されていることを特徴とするワイヤハーネスの配索構造。
【0073】
[4] 上記[3]に記載のワイヤハーネスの配索構造において、
前記一対のリブ(31,32)間に位置する前記芯材層(21)の表面位置(21f)が、前記一対のリブ(31,32)の外側に位置する前記芯材層(21)の表面位置(21g)よりも前記発泡樹脂層(22)側に下がって形成されることで、前記ハーネス収容溝(35)が前記芯材層(21)側に沈降して形成されていることを特徴とするワイヤハーネスの配索構造。