【実施例】
【0024】
以下に本発明の様態を明らかにするために実施例を示すが、本発明はここに示す実施例のみに限定されるわけではない。
【0025】
実施例及び参考例で得られた反応溶液は、ガスクロマトグラフィー分析を行い、(2E,6E)−ファルネサール及び(2Z,6E)−ファルネサールの異性体比を測定した。測定条件は以下の通りである。
【0026】
装置:GC−14A(島津製作所)
カラム:HP−ULTRA1(Agilent Technologies)
25m×I.D.0.32mm、0.52μmdf
カラム温度:100℃→[10℃/min]→250℃
インジェクション温度:250℃
キャリヤーガス:ヘリウムガス
検出器:水素炎イオン化検出器(FID)
【0027】
また、参考例で単離した化合物のNMRスペクトルの測定条件は以下のとおりである。
【0028】
化合物と重CDCl
3(Cambrige Isotope Laboratories, Inc.製、0.05%TMS含有)とを混合した溶液を調製し、NMR(ブルカー(株)製 AVANCE 400)にて、
1H−NMR測定を行った。
【0029】
実施例1
(2E,6E)−ファルネサール及び(2Z,6E)−ファルネサールからなる異性体混合物((2E,6E)−ファルネサール:(2Z,6E)−ファルネサール=2.5:97.5(異性体比=0.03);22mg,0.1mmol)をクロロベンゼン(1g)に溶解し、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(1.4mg,0.01mmol)を加えて130℃に加熱し、還流しながら撹拌した。ガスクロマトグラフィー分析により異性化の進行をモニタリングしながら、72時間反応を行った。反応液を室温まで冷却した後、ガスクロマトグラフィー分析した結果、(2E,6E)−ファルネサール:(2Z,6E)−ファルネサール=77.5:22.5(異性体比=3.44)であった。また、反応の経時変化を
図1に示す。
【0030】
実施例2
(2E,6E)−ファルネサール及び(2Z,6E)−ファルネサールからなる異性体混合物((2E,6E)−ファルネサール:(2Z,6E)−ファルネサール=60.7:39.3(異性体比=1.54);22mg,0.1mmol)をクロロベンゼン(1g)に溶解し、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(1.4mg,0.01mmol)を加えて130℃に加熱し、還流しながら撹拌した。ガスクロマトグラフィー分析により異性化の進行をモニタリングしながら、37時間反応を行った。反応液を室温まで冷却した後、ガスクロマトグラフィーにより異性体比を測定した結果、(2E,6E)−ファルネサール:(2Z,6E)−ファルネサール=84.7:15.3(異性体比=5.54)であった。
【0031】
実施例3
(2E,6E)−ファルネサール及び(2Z,6E)−ファルネサールからなる異性体混合物((2E,6E)−ファルネサール:(2Z,6E)−ファルネサール=34.0:66.0(異性体比=0.52);22mg,0.1mmol)をクロロベンゼン(1g)に溶解し、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(1.4mg,0.01mmol)を加えて130℃に加熱し、還流しながら撹拌した。ガスクロマトグラフィー分析により異性化の進行をモニタリングしながら、50時間反応を行った。反応液を室温まで冷却した後、ガスクロマトグラフィーにより異性体比を測定した結果、(2E,6E)−ファルネサール:(2Z,6E)−ファルネサール=73.3:26.7(異性体比=2.75)であった。
【0032】
実施例4
(2E,6E)−ファルネサール及び(2Z,6E)−ファルネサールからなる異性体混合物((2E,6E)−ファルネサール:(2Z,6E)−ファルネサール=78.4:21.6(異性体比=3.63);22mg,0.1mmol)をクロロベンゼン(1g)に溶解し、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(1.4mg,0.01mmol)を加えて130℃に加熱し、還流しながら撹拌した。ガスクロマトグラフィー分析により異性化の進行をモニタリングしながら、18時間反応を行った。反応液を室温まで冷却した後、ガスクロマトグラフィーにより異性体比を測定した結果、(2E,6E)−ファルネサール:(2Z,6E)−ファルネサール=94.5:5.5(異性体比=17.2)であった。
【0033】
実施例5
(2E,6E)−ファルネサール及び(2Z,6E)−ファルネサールからなる異性体混合物((2E,6E)−ファルネサール:(2Z,6E)−ファルネサール=87.8:12.2(異性体比=7.20);22mg,0.1mmol)をクロロベンゼン(1g)に溶解し、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(1.4mg,0.01mmol)を加えて130℃に加熱し、還流しながら撹拌した。ガスクロマトグラフィー分析により異性化の進行をモニタリングしながら、17.5時間反応を行った。反応液を室温まで冷却した後、ガスクロマトグラフィーにより異性体比を測定した結果、(2E,6E)−ファルネサール:(2Z,6E)−ファルネサール=98.0:2.0(異性体比=49.0)であった。
【0034】
実施例6
(2E,6E)−ファルネサール及び(2Z,6E)−ファルネサールからなる異性体混合物((2E,6E)−ファルネサール:(2Z,6E)−ファルネサール=55.2:44.8(異性体比=1.23);22mg,0.1mmol)をクロロベンゼン(1g)に溶解し、4−カルボキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(2.0mg,0.01mmol)を加えて130℃に加熱した。ガスクロマトグラフィー分析により異性化の進行をモニタリングしながら、22時間反応を行った。反応液を室温まで冷却した後、ガスクロマトグラフィーにより異性体比を測定した結果、(2E,6E)−ファルネサール:(2Z,6E)−ファルネサール=68.5:31.5(異性体比=2.17)であった。
【0035】
実施例7
(2E,6E)−ファルネサール及び(2Z,6E)−ファルネサールからなる異性体混合物((2E,6E)−ファルネサール:(2Z,6E)−ファルネサール=55.2:44.8(異性体比=1.23);22mg,0.1mmol)をクロロベンゼン(1g)に溶解し、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(2.1mg,0.01mmol)を加えて130℃に加熱した。ガスクロマトグラフィー分析により異性化の進行をモニタリングしながら、22時間反応を行った。反応液を室温まで冷却した後、ガスクロマトグラフィーにより異性体比を測定した結果、(2E,6E)−ファルネサール:(2Z,6E)−ファルネサール=72.0:28.0(異性体比=2.57)であった。
【0036】
実施例8
(2E,6E)−ファルネサール及び(2Z,6E)−ファルネサールからなる異性体混合物((2E,6E)−ファルネサール:(2Z,6E)−ファルネサール=55.2:44.8(異性体比=1.23);22mg,0.1mmol)をクロロベンゼン(1g)に溶解し、4−シアノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(1.8mg,0.01mmol)を加えて130℃に加熱した。ガスクロマトグラフィー分析により異性化の進行をモニタリングしながら、22時間反応を行った。反応液を室温まで冷却した後、ガスクロマトグラフィーにより異性体比を測定した結果、(2E,6E)−ファルネサール:(2Z,6E)−ファルネサール=73.2:26.8(異性体比=2.73)であった。
【0037】
実施例9
(2E,6E)−ファルネサール及び(2Z,6E)−ファルネサールからなる異性体混合物((2E,6E)−ファルネサール:(2Z,6E)−ファルネサール=55.2:44.8(異性体比=1.23);22mg,0.1mmol)をクロロベンゼン(1g)に溶解し、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(1.7mg,0.01mmol)を加えて130℃に加熱した。ガスクロマトグラフィー分析により異性化の進行をモニタリングしながら、22時間反応を行った。反応液を室温まで冷却した後、ガスクロマトグラフィーにより異性体比を測定した結果、(2E,6E)−ファルネサール:(2Z,6E)−ファルネサール=67.5:32.5(異性体比=2.08)であった。
【0038】
実施例10
(2E,6E)−ファルネサール及び(2Z,6E)−ファルネサールからなる異性体混合物((2E,6E)−ファルネサール:(2Z,6E)−ファルネサール=55.2:44.8(異性体比=1.23);22mg,0.1mmol)をクロロベンゼン(1g)に溶解し、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(1.7mg,0.01mmol)を加えて130℃に加熱した。ガスクロマトグラフィー分析により異性化の進行をモニタリングしながら、22時間反応を行った。反応液を室温まで冷却した後、ガスクロマトグラフィーにより異性体比を測定した結果、(2E,6E)−ファルネサール:(2Z,6E)−ファルネサール=68.4:31.6(異性体比=2.16)であった。
【0039】
実施例11
(2E,6E)−ファルネサール及び(2Z,6E)−ファルネサールからなる異性体混合物((2E,6E)−ファルネサール:(2Z,6E)−ファルネサール=55.2:44.8(異性体比=1.23);22mg,0.1mmol)をクロロベンゼン(1g)に溶解し、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(1.7mg,0.01mmol)を加えて130℃に加熱した。ガスクロマトグラフィー分析により異性化の進行をモニタリングしながら、22時間反応を行った。反応液を室温まで冷却した後、ガスクロマトグラフィーにより異性体比を測定した結果、(2E,6E)−ファルネサール:(2Z,6E)−ファルネサール=69.7:30.3(異性体比=2.30)であった。
【0040】
実施例12
(2E,6E)−ファルネサール及び(2Z,6E)−ファルネサールからなる異性体混合物((2E,6E)−ファルネサール:(2Z,6E)−ファルネサール=55.2:44.8(異性体比=1.23);22mg,0.1mmol)をクロロベンゼン(1g)に溶解し、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(2.8mg,0.01mmol)を加えて130℃に加熱した。ガスクロマトグラフィー分析により異性化の進行をモニタリングしながら、22時間反応を行った。反応液を室温まで冷却した後、ガスクロマトグラフィーにより異性体比を測定した結果、(2E,6E)−ファルネサール:(2Z,6E)−ファルネサール=73.0:27.0(異性体比=2.70)であった。
【0041】
実施例13
(2E,6E)−ファルネサール及び(2Z,6E)−ファルネサールからなる異性体混合物((2E,6E)−ファルネサール:(2Z,6E)−ファルネサール=55.2:44.8(異性体比=1.23);22mg,0.1mmol)をクロロベンゼン(1g)に溶解し、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(1.6mg,0.01mmol)を加えて100℃に加熱した。ガスクロマトグラフィー分析により異性化の進行をモニタリングしながら、23時間反応を行った。反応液を室温まで冷却した後、ガスクロマトグラフィーにより異性体比を測定した結果、(2E,6E)−ファルネサール:(2Z,6E)−ファルネサール=61.6:38.4(異性体比=1.60)であった。
【0042】
実施例14
(2E,6E)−ファルネサール及び(2Z,6E)−ファルネサールからなる異性体混合物((2E,6E)−ファルネサール:(2Z,6E)−ファルネサール=55.2:44.8(異性体比=1.23);22mg,0.1mmol)をクロロベンゼン(1g)に溶解し、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(7.8mg,0.05mmol)を加えて130℃に加熱した。ガスクロマトグラフィー分析により異性化の進行をモニタリングしながら、23時間反応を行った。反応液を室温まで冷却した後、ガスクロマトグラフィーにより異性体比を測定した結果、(2E,6E)−ファルネサール:(2Z,6E)−ファルネサール=87.2:12.8(異性体比=6.81)であった。
【0043】
実施例15
(2E,6E)−ファルネサール及び(2Z,6E)−ファルネサールからなる異性体混合物((2E,6E)−ファルネサール:(2Z,6E)−ファルネサール=55.2:44.8(異性体比=1.23);22mg,0.1mmol)を1,2−ジクロロベンゼン(1.3g)に溶解し、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(7.8mg,0.01mmol)を加えて130℃に加熱した。ガスクロマトグラフィー分析により異性化の進行をモニタリングしながら、23時間反応を行った。反応液を室温まで冷却した後、ガスクロマトグラフィーにより異性体比を測定した結果、(2E,6E)−ファルネサール:(2Z,6E)−ファルネサール=72.9:27.1(異性体比=2.69)であった。
【0044】
実施例16
(2E,6E)−ファルネサール及び(2Z,6E)−ファルネサールからなる異性体混合物((2E,6E)−ファルネサール:(2Z,6E)−ファルネサール=55.2:44.8(異性体比=1.23);22mg,0.1mmol)をo−キシレン(0.9g)に溶解し、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(7.8mg,0.01mmol)を加えて130℃に加熱した。ガスクロマトグラフィー分析により異性化の進行をモニタリングしながら、23時間反応を行った。反応液を室温まで冷却した後、ガスクロマトグラフィーにより異性体比を測定した結果、(2E,6E)−ファルネサール:(2Z,6E)−ファルネサール=75.2:24.8(異性体比=3.03)であった。
【0045】
実施例17
(2E,6E)−ファルネサール及び(2Z,6E)−ファルネサールからなる異性体混合物((2E,6E)−ファルネサール:(2Z,6E)−ファルネサール=55.2:44.8(異性体比=1.23);22mg,0.1mmol)を1,2,4−トリクロロベンゼン(1.5g)に溶解し、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(7.8mg,0.01mmol)を加えて130℃に加熱した。ガスクロマトグラフィー分析により異性化の進行をモニタリングしながら、22時間反応を行った。反応液を室温まで冷却した後、ガスクロマトグラフィーにより異性体比を測定した結果、(2E,6E)−ファルネサール:(2Z,6E)−ファルネサール=73.2:26.8(異性体比=2.73)であった。
【0046】
参考例1
(2E,6E)−ファルネサール及び(2Z,6E)−ファルネサールからなる異性体混合物の合成
(E)−ネロリドール(2.0g,9.0mmol)を無水ジクロロメタン(40ml)に溶解し、モレキュラーシーブ4A(7.7g)、クロロクロム酸ピリジニウム(7.7g,36mmol)を加えて、室温で24時間撹拌した。反応液をセライトろ過し、ろ液を減圧下濃縮した。(2E,6E)−ファルネサール及び(2Z,6E)−ファルネサールを異性体比((2E,6E)−ファルネサール/(2Z,6E)−ファルネサール)=1.9で得たことを確認した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=20:1 Rf値=0.5)で精製し、さらに得られた(2E,6E)−ファルネサール及び(2Z,6E)−ファルネサールを分取薄層クロマトグラフィーで精製して、(2E,6E)−ファルネサール((2E,6E)−ファルネサール:(2Z,6E)−ファルネサール=97.2:2.8)、(2Z,6E)−ファルネサール((2E,6E)−ファルネサール:(2Z,6E)−ファルネサール=2.5:97.5)を得た。
また、上記の方法で得られた(2E,6E)−ファルネサール及び(2Z,6E)−ファルネサールを混合することで、実施例1〜17で用いたファルネサール異性体混合物を調製した。
【0047】
(2E,6E)−ファルネサール:
1H−NMR(400MHz,CDCl
3)δ9.99(d,1H,J=8.0Hz),5.89(d,1H,J=8.0Hz),5.03−5.13(m,2H),2.18−2.29(m,4H),2.17(d,3H,J=1.2Hz),2.02−2.11(m,2H),1.94−2.02(m,2H),1.68(s,3H),1.61(s,3H),1.60(s,3H)
(2Z,6E)−ファルネサール:
1H−NMR(400MHz,CDCl
3)δ(ppm):9.92(d,1H,J=8.2Hz),5.88(d,1H,J=8.2Hz),5.03−5.16(m,2H),2.60(t,2H,J=7.5Hz),2.21−2.30(m,2H),2.01−2.10(m,2H),1.94−2.01(m,2H),1.99(d,3H,J=1.2Hz),1.68(s,3H),1.60(s,6H)