特許第6014488号(P6014488)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6014488
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】直流配電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/12 20060101AFI20161011BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20161011BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20161011BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20161011BHJP
   H02M 3/00 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   H02J1/12
   H02J7/35 K
   H01M10/48 P
   H01M10/44 P
   H02M3/00 H
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-281243(P2012-281243)
(22)【出願日】2012年12月25日
(65)【公開番号】特開2014-128062(P2014-128062A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2015年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】小林 信郷
(72)【発明者】
【氏名】小野田 修二
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 晃
(72)【発明者】
【氏名】飯野 穣
(72)【発明者】
【氏名】小倉 靖弘
【審査官】 小池 堂夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−101523(JP,A)
【文献】 特開2009−153301(JP,A)
【文献】 特開2001−069688(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 1/00−1/16
H02J 7/00−7/12
H02J 7/34−7/36
H02J 3/00−5/00
H01M 10/42−10/48
G05F 1/00−1/10
H02M 3/00−3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力を供給する分散電源と、
蓄電装置と、
二次側に直流給電負荷が接続される分電盤と、
前記分散電源および前記蓄電装置それぞれに接続されると共に前記分電盤の一次側に接続され、直流電力の電圧変換を行う直流/直流変換器と、
前記分散電源が供給する直流電力、前記蓄電装置の充電可能電力および放電可能電力、および前記直流給電負荷の需要電力をそれぞれ検出する電力量検出部と、
前記電力量検出部の検出結果に基づき、前記直流/直流変換器への入力制御および前記蓄電装置に対する充放電制御を行い、前記分電盤を介して前記直流給電負荷に対して電力供給を行う制御部と、を有し、
前記分散電源と前記蓄電装置と前記分電盤と前記直流/直流変換器と前記直流給電負荷とは直流電力を配電する直流配電路を介して接続されており、
前記蓄電装置は、前記分電盤の一次側に設けられた1または複数の第1の蓄電装置を含み、前記分電盤の二次側に設けられ前記第1の蓄電装置よりも低容量の1または複数の第2の蓄電装置をさらに有し、
前記第1の蓄電装置および前記第2の蓄電装置の容量は、前記分電盤の二次側に接続された直流給電負荷の総容量と前記第2の蓄電装置の最大容量の総和との合計が、前記第1の蓄電装置の最大容量の総和以上となるように設定されており、
前記制御部は、前記直流/直流変換器の負荷率がより高くなるように、前記入力制御および前記充放電制御を行うことを特徴とする直流配電システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記分散電源の発電電力が前記直流給電負荷の需要電力を上回るときには、前記発電電力を前記直流給電負荷に供給し、前記発電電力のうち前記直流給電負荷への供給電力を除いた余剰電力を前記第2の蓄電装置に充電し、さらにその余剰分を前記第1の蓄電装置に充電することを特徴とする請求項記載の直流配電システム。
【請求項3】
前記直流給電負荷は、高圧給電負荷と低圧給電負荷とを含み、
前記制御部は、前記分散電源の発電電力が前記直流給電負荷の需要電力を上回りかつ前記分散電源の発電電力が前記直流/直流変換器の定格に応じて設定されるしきい値と等しいときには前記発電電力を前記高圧給電負荷に優先的に供給し、前記低圧給電負荷には前記第2の蓄電装置から電力供給を行い、
前記発電電力のうち前記高圧給電負荷への供給電力を除いた余剰電力を、前記低圧給電負荷に電力供給中の第2の蓄電装置を除く他の前記第2の蓄電装置に充電することを特徴とする請求項記載の直流配電システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記分散電源の発電電力が前記直流/直流変換器の定格に応じて設定されるしきい値を下回りかつ前記しきい値との差が予め設定したしきい値以上であるときには、前記第1の蓄電装置を、前記直流/直流変換器の定格に応じて設定されるしきい値と等しい容量で放電させ、当該放電による放電電力を前記直流給電負荷に供給し、
前記放電電力のうち、前記直流給電負荷への供給電力を除いた余剰電力を前記第2の蓄電装置に充電することを特徴とする請求項から請求項のいずれか1項に記載の直流配電システム。
【請求項5】
前記直流配電路の配電電圧は、前記直流給電負荷のうち動作電圧が最も高い電圧に設定され、かつ前記配電電圧と前記分散電源の出力電圧と前記第1の蓄電装置の出力電圧とは一致するように設定されることを特徴とする請求項から請求項のいずれか1項に記載の直流配電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流配電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、直流電力の給電が可能な複数の分散電源と、各分散電源と複数の負荷とを接続する配電路とを備えた直流電源システムが提案されている。各分散電源は、負荷で消費する電力を分担して給電している。
分散電源としては、例えば、電力系統から供給される交流電力を直流電力に変換するAC/DC(交流/直流)変換装置や、太陽電池などの発電機能を有するもの、二次電池などがある。
【0003】
また、このような直流電源システムにおいて、前記AC/DC変換装置として、出力電力が定格出力電力よりも低い所定値のときに変換効率が最大となる特性を有するAC/DC変換装置を用い、重負荷の場合には他の分散電源と分担して給電することによって、軽負荷および重負荷に関係なく、AC/DC変換装置の変換効率の低下を抑制するようにした直流配電システムも提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−153301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の直流配電システムにおいては、軽負荷時などに二次電池からの放電電力が要求される場合には、二次電池の定格出力電力よりも低い電力を放電することが予想される。このように、二次電池の定格出力電力よりも低い電力を放電する場合、二次電池の蓄電電力を昇圧あるいは降圧して負荷への電力供給を行うDC/DC(直流/直流)変換器の変換効率が低下する可能性がある。
そこで、この発明は、上記従来の未解決の問題に着目してなされたものであり、DC/DC変換器の変換効率の低下を抑制し、効率のよい直流配電システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、直流電力を供給する分散電源(例えば図1に示す分散電源11)と、蓄電装置(例えば図1に示す大容量2次電池13)と、二次側に直流給電負荷(例えば図1に示す負荷L1、L2)が接続される分電盤(例えば図1に示すDC分電盤4)と、前記分散電源および前記蓄電装置それぞれに接続されると共に前記分電盤の一次側に接続され、直流電力の電圧変換を行う直流/直流変換器(例えば図1に示すDC/DC変換器12)と、前記分散電源が供給する直流電力、前記蓄電装置の充電可能電力および放電可能電力、および前記直流給電負荷の需要電力をそれぞれ検出する電力量検出部(例えば図1に示す電力センサS5、S6)と、前記電力量検出部の検出結果に基づき、前記直流/直流変換器への入力制御および前記蓄電装置に対する充放電制御を行い、前記分電盤を介して前記直流給電負荷に対して電力供給を行う制御部(例えば図1に示す制御部12a)と、を有し、前記分散電源と前記蓄電装置と前記分電盤と前記直流/直流変換器と前記直流給電負荷とは直流電力を配電する直流配電路を介して接続されており、前記蓄電装置は、前記分電盤の一次側に設けられた1または複数の第1の蓄電装置(例えば図1に示す大容量2次電池13、23)を含み、前記分電盤の二次側に設けられ前記第1の蓄電装置よりも低容量の1または複数の第2の蓄電装置(例えば図1に示す低容量2次電池5、6)をさらに有し、前記第1の蓄電装置および前記第2の蓄電装置の容量は、前記分電盤の二次側に接続された直流給電負荷(例えば、図1に示す負荷L1〜L4)の総容量と前記第2の蓄電装置の最大容量の総和との合計が、前記第1の蓄電装置の最大容量の総和以上となるように設定されており、前記制御部は、前記直流/直流変換器の負荷率がより高くなるように、前記入力制御および前記充放電制御を行うことを特徴とする直流配電システム、である。
【0007】
記制御部は、前記分散電源の発電電力が前記直流給電負荷の需要電力を上回るときには、前記発電電力を前記直流給電負荷に供給し、前記発電電力のうち前記直流給電負荷への供給電力を除いた余剰電力を前記第2の蓄電装置に充電し、さらにその余剰分を前記第1の蓄電装置に充電するようになっていてよい。
【0008】
前記直流給電負荷は、高圧給電負荷(例えば図1に示す負荷L1、L2)と低圧給電負荷(例えば図1に示す負荷L3,L4)とを含み、前記制御部は、前記分散電源の発電電力が前記直流給電負荷の需要電力を上回りかつ前記分散電源の発電電力が前記直流/直流変換器の定格に応じて設定されるしきい値と等しいときには前記発電電力を前記高圧給電負荷に優先的に供給し、前記低圧給電負荷には前記第2の蓄電装置から電力供給を行い、前記発電電力のうち前記高圧給電負荷への供給電力を除いた余剰電力を、前記低圧給電負荷に電力供給中の第2の蓄電装置を除く他の前記第2の蓄電装置に充電するようになっていてよい。
【0009】
前記制御部は、前記分散電源の発電電力が前記直流/直流変換器の定格に応じて設定されるしきい値を下回りかつ前記しきい値との差が予め設定したしきい値以上であるときには、前記第1の蓄電装置を、前記直流/直流変換器の定格に応じて設定されるしきい値と等しい容量で放電させ、当該放電による放電電力を前記直流給電負荷に供給し、前記放電電力のうち、前記直流給電負荷への供給電力を除いた余剰電力を前記第2の蓄電装置に充電するようになっていてよい。
前記直流配電路の配電電圧は、前記直流給電負荷のうち動作電圧が最も高い電圧に設定され、かつ前記配電電圧と前記分散電源の出力電圧と前記第1の蓄電装置の出力電圧とは一致するように設定されていてよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、分散電源が供給する直流電力、蓄電装置の充電可能電力および放電可能電力、および直流給電負荷の需要電力に基づき、直流/直流変換器への入力制御および蓄電装置に対する充放電制御を行い、かつ、制御部では、分散電源および蓄電装置、また分電盤の一次側に接続される直流/直流変換器の負荷率がより高くなるように、前記入力制御および前記充放電制御を行うため、直流/直流変換器の変換効率を向上させることができる。また、各部を、直流配電路を介して接続しているため、交流電力から直流電力への変換を伴うことなく配電路から各部へ電力供給を行うことができ、その分、変換に伴う変換損失の発生を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明を適用した直流配電システムの一例を示す概略構成図である。
図2】DC/DC変換器に含まれる制御部の機能構成の一例を示すブロック図である。
図3】本発明の動作説明に供する、配電経路の一例を示す説明図である。
図4】DC/DC変換器の、変換効率の特性を示す特性図の一例である。
図5】本発明の動作説明に供する、配電経路の一例を示す説明図である。
図6】本発明の動作説明に供する、配電経路の一例を示す説明図である。
図7】本発明の動作説明に供する、配電経路の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の直流配電システム100の一例を示す、概略構成図である。
図1に示す直流配電システム100は、分散電源ユニット1と、分散電源ユニット2と、系統電源からの交流電力(例えばAC210V)を直流電力に変換するAC/DC変換器3と、DC分電盤4と、当該DC分電盤4に接続される低容量2次電池5、6とを備える。そして、直流電力(例えばDC280V)を動作電力とする、負荷としてのDC−Load LED light(以下、LEDライト、または単に負荷ともいう。)L1およびL2がDC分電盤4に接続される。また、直流電力を動作電力とするパーソナルコンピュータ(PC)などの低圧DC負荷(以下、単に負荷ともいう。)L3、L4が、低容量2次電池5、6に接続される。
【0013】
なお、系統電源40から供給される交流電力はAC210Vに限るものではなく、他の電圧であってもよい。また、DC分電盤4に接続される負荷L1、L2は、DC280VのLEDライトに限るものではない。LEDライト以外の負荷であってもよく、また、DC280V以外の電圧の負荷であってもよい。
分散電源ユニット1および分散電源ユニット2は同一機能構成を有し、一方がメインの分散電源ユニットとして動作し、他方がサブの分散電源ユニットとして動作する。そして、例えばメインの分散電源ユニットが直流配電システム全体の制御を行う。
【0014】
ここでは、分散電源ユニット1がメイン、分散電源ユニット2がサブとして動作する場合を説明する。なお、これに限るものではなく、分散電源ユニット2がメイン、分散電源ユニット1がサブとして動作することも可能であり、また、メイン、サブの区別なく、分散電源ユニット1および2が独立に動作し、それぞれが予め割りつけられた負荷に電力供給を行うように構成してもよく、負荷への電力供給を分散電源ユニット1と2とでどのように分担してもよい。
【0015】
また、ここでは、2つの分散電源ユニット1、2により、負荷L1〜L4に電力供給を行う場合について説明したが、これに限るものではなく、1または3以上の分散電源ユニットにより電力供給を行うように構成してもよく、また、3以下あるいは5以上の負荷に対して電力供給を行うように構成してもよい。また、1つのDC/DC変換器に複数の分散電源を接続した構成であってもよい。
【0016】
分散電源ユニット1は、分散電源11と、分散電源11の出力電力を昇降圧するDC/DC変換器12と、DC/DC変換器12により充放電制御される大容量2次電池13と、を備える。
分散電源11は、例えば太陽光発電装置(PV)を備える。この分散電源11としての太陽光発電装置の出力電圧は例えばDC280Vに設定される。
【0017】
DC/DC変換器12は、直流電力を昇降圧する電圧変換機能を有する。また、DC/DC変換器12は、配電制御を行う制御部12aを備える。
前記配電制御は、大容量2次電池13に対する充放電制御、DC分電盤4に対する電力供給量制御、AC/DC変換器3に対する直流電力の出力制御、また、分散電源ユニット2に含まれる後述の制御部22aとの間での、制御信号やセンサ信号の授受、また直流電力の授受制御などの処理を含む。
また、制御部12aは、後述の各種センサのセンサ信号に基づき前記配電制御を行う。
【0018】
大容量2次電池13は、DC/DC変換器12により充放電制御される。大容量2次電池13の出力電圧は、太陽光発電装置の出力電圧とほぼ同等であることが好ましく、ここではDC280V程度である。
分散電源ユニット2は、分散電源ユニット1と同様に、分散電源21と、分散電源21の出力電力を昇降圧するDC/DC変換器22と、DC/DC変換器22により充放電制御される大容量2次電池23と、を備える。
【0019】
DC/DC変換器22は、直流電力を昇降圧する電圧変換機能を有する。また、DC/DC変換器22は、配電制御を行う制御部22aを備える。
そして、制御部22aは、前記制御部12aからの指令信号に基づき、大容量2次電池23に対する充放電制御、DC分電盤4に対する電力供給量制御、AC/DC変換器3に対する直流電力の出力制御、また、制御部12aとの間での、制御信号やセンサ信号の授受、また直流電力の授受制御などの配電制御を行う。
【0020】
なお、制御部12aは、分散電源ユニット1および2のうち、分散電源ユニット1による電力供給を優先するように配電制御を行う。すなわち、メインの分散電源ユニットである分散電源ユニット1に含まれる分散電源11および大容量2次電池13から、負荷L1〜L4への電力供給を行うよう制御を行い、メインの分散電源ユニット1による電力供給により、負荷L1〜L4への電力供給を全て賄うことができるとき、すなわち、サブの分散電源ユニット2に含まれる分散電源21および大容量2次電池23の放電を行わなくとも、メインの分散電源ユニット1により負荷L1〜L4への供給電力を賄うことができるときには、サブの分散電源ユニット2からの電力供給は受けずに、負荷L1〜L4への電力供給を行う。
【0021】
一方、分散電源ユニット1を利用しただけでは負荷L1〜L4への供給電力を賄うことができないときには、メインの分散電源ユニット1により負荷L1〜L4への供給電力を行うとともに、負荷L1〜L4へ供給すべき電力の不足分が、後述の、DC/DC変換器22の放電判断しきい値以上であるとき、すなわちDC/DC変換器22を負荷率20%以上で動作させることができると予測されるときには、サブの分散電源ユニット2も利用して不足分を賄う。一方、不足分をサブの分散電源ユニット2で賄う際に、DC/DC変換器22を負荷率20%以上で動作させることができないと予測されるときには、サブの分散電源ユニット2は利用せずに、低容量2次電池5および/または6を利用して不足分を賄う。
【0022】
なお、ここでは、メインの分散電源ユニット1による電力供給を優先して行う場合について説明したがこれに限るものではない。サブの分散電源ユニット2による電力供給を優先して行うように構成してもよい。要は、負荷を含むシステムや、負荷L1〜L4への電力供給状況などに応じて、DC/DC変換器12および22の変換効率が共に大きくなるように、分散電源ユニット1、2による配分制御を行うようにすればよい。
【0023】
なお、大容量2次電池23の出力電圧は、太陽光発電装置の出力電圧とほぼ同等であることが好ましく、ここではDC280V程度である。
そして、前記分散電源11にはその出力電力、すなわち太陽光発電装置による発電電力を検出する電力センサS1が設けられ、同様に、分散電源21には、その出力電力を検出する電力センサS2が設けられている。
【0024】
また、大容量2次電池13には、この大容量2次電池13の充放電可能容量を検出するための充放電可能容量検出センサS3が設けられ、同様に、大容量2次電池23には、この大容量2次電池23の充放電可能容量を検出するための充放電可能容量検出センサS4が設けられている。この充放電可能容量検出センサS3、S4は、例えば、電流センサを含む。この電流センサからなる充放電可能容量検出センサS3により、大容量2次電池13への充電電流量および放電電流量を検出し、これらを積算することによって充放電可能容量を演算する。この充放電可能容量の演算処理は、充放電可能容量検出センサS3の検出信号をもとに、例えば、DC/DC変換器12の制御部12aで行う。同様に、電流センサからなる充放電可能容量検出センサS4により、大容量2次電池23への充電電流量および放電電流量を検出し、これらを積算することによって大容量2次電池23の充放電可能容量を演算する。この充放電可能容量の演算処理は、例えば、充放電可能容量検出センサS4の検出信号をもとに、例えば、DC/DC変換器22の制御部22aで行う。
【0025】
AC/DC変換器3は、DC/DC変換器12またはDC/DC変換器22から出力命令がなされたとき、系統電源40からの交流電力(例えばAC210V)を入力し、DC280Vの直流電力に変換する。そして、出力命令を行ったDC/DC変換器12またはDC/DC変換器22に直流電力を出力する。また、DC/DC変換器12またはDC/DC変換器22から連系命令がなされたときには、DC/DC変換器12またはDC/DC変換器22から入力される直流電力を交流電力に変換して、系統電源40の系統に出力する。
【0026】
なお、ここでは、AC/DC変換器3を備えた直流配電システム100について説明するが、AC/DC変換器3を持たない直流配電システム100であっても適用することができる。すなわち、系統電源40と連系しない独立電源構成の直流配電システムであってもよい。また、系統電源40と連系可能であるがAC/DC変換器3を動作させず系統電源40と連系しない場合、あるいは、系統電源40側が停電している場合などAC/DC変換器3を備えてはいるが、AC/DC変換器3を動作させない構成の直流配電システム100であっても適用することができる。
【0027】
DC分電盤4は、分流機能、降圧(DC/DC変換)機能、遮断機能、監視機能、DC/AC(直流/交流)変換機能等の機能を有するとともに、低容量2次電池5、6への充放電制御を行う。すなわち、DC分電盤4は制御部4aを備え、DC/DC変換器12の制御部12aおよびDC/DC変換器22の制御部22aからの指令信号にしたがって動作し、前記各種機能を実現するとともに、低容量2次電池5、6への充放電制御を行う。また、DC分電盤4は、前記降圧機能を実現するための、DC/DC変換器12、22よりも容量の小さいDC/DC変換器(図示せず)を備えており、このDC/DC変換器により、DC/DC変換器12、22から供給される直流電力を所定電圧に降圧し、負荷L1、L2、あるいは低容量2次電池5、6に電力供給を行う。また、前記DC/AC変換機能を実現するためのDC/AC変換器(図示せず)を備えている。
【0028】
また、DC分電盤4は、後述の電力センサS5、S6、電流センサS7、S8のセンサ信号、さらに、低圧DC負荷L3、L4からこれら負荷の作動状態/非作動状態を表す作動情報を入力し、これら情報をDC/DC変換器12、22の制御部12a、22aのそれぞれに出力する。
また、DC分電盤4は、例えば、DC/DC変換器12または22の制御部12a、22aから電力供給命令がなされたときには、電力供給命令によって指定された負荷L1〜L4に対して、DC/DC変換器12または22から供給された直流電力を出力する。このとき、低圧DC負荷L3またはL4に対して電力供給を行う場合には、例えばDC分電盤4から、低容量2次電池5または6への充電経路に低圧DC負荷L3またはL4を接続し、DC/DC変換器12または22から供給された直流電力を低圧DC負荷L3、L4に供給する。
【0029】
また、DC分電盤4は、DC/DC変換器12または22の制御部12a、22aから、充電命令がなされたときには、低容量2次電池5、6に対する充電制御を行い、DC/DC変換器12または22から供給される直流電力を、低容量2次電池5、6へ充電する。
また、DC分電盤4は、DC/DC変換器12または22の制御部12a、22aから、放電命令がなされたときには、低容量2次電池5、6に対する放電制御を行い、放電命令により指定された電力量を放電させ、低容量2次電池5、6から放電された放電電力を、DC分電盤4を介して、放電命令により指定された負荷L1、L2、あるいは、放電命令の命令元のDC/DC変換器12または22に対して供給する。
【0030】
また、DC分電盤4は、電力供給命令により低圧DC負荷L3に対する電力供給が指示され、かつ低容量2次電池5に対する充電または放電命令が行われたとき、または、電力供給命令により低圧DC負荷L4に対する電力供給が指示され、かつ低容量2次電池6に対する充電または放電命令が行われたときには、DC分電盤4からの供給電力を低圧DC負荷L3に供給するとともに、低容量2次電池5への充電または放電を行う。同様に、DC分電盤4からの供給電力を低圧DC負荷L4に供給するとともに、低容量2次電池6への充電または放電を行う。
【0031】
低容量2次電池5、6は、低圧の直流給電負荷、図1の場合には低圧DC負荷L3、L4の近傍に設置される。なお、大容量2次電池13、23、および低容量2次電池5、6の容量値は、低容量2次電池5、6の各最大容量と負荷L1〜L4の各容量との総和が、大容量2次電池13、23の各最大容量の総和以上となるように設定される。つまり、満充電状態の大容量2次電池13、23を全て放電させたとき、その放電電力を、各負荷L1〜L4に供給し、さらに未充電状態の低容量2次電池5、6へ充電することにより、余剰分なく供給することができるようになっている。
【0032】
LEDライトL1、L2には、それぞれその需要電力を検出する電力センサS5、S6が設けられている。また、低容量2次電池5、6には、電流センサS7、S8がそれぞれ設けられている。
これら電力センサS5、S6および電流センサS7、S8のセンサ信号は、DC分電盤4の制御部4aに入力される。
【0033】
ここで、低容量2次電池5には低圧DC負荷L3が接続されている。低容量2次電池5に対する充放電制御が行われていないときの、電流センサS7のセンサ信号を積算することにより、低圧DC負荷L3の需要電力を演算することができる。また、低圧DC負荷L3が動作していないときの、電流センサS7のセンサ信号を積算することにより、低容量2次電池5の充放電電力を演算することができる。また、低容量2次電池5および低圧DC負荷L3からなる系統をM1としたとき、系統M1に対してDC分電盤4から電力供給が行われておらず、かつ、低容量2次電池5を電源として低圧DC負荷L3が動作した場合には、低圧DC負荷L3が作動状態でありかつ系統M1にDC分電盤4から電力供給が行われていないかを監視することにより、低容量2次電池5を電源として低圧DC負荷L3が動作していることを検出することができ、そのときの低容量2次電池5の放電電力は、前記低容量2次電池5に対する充放電制御が行われていないときの電流センサS7のセンサ信号を積算して得た低圧DC負荷L3の需要電力と同等とみなすことができる。
【0034】
したがって、これらを考慮することによって、低容量2次電池5の現時点における充放電可能容量を演算することができる。
以上から、低容量2次電池5の充放電可能容量から得られる充電可能電力と、低圧DC負荷L3の需要電力との和から、系統M1の需要電力を得ることができる。つまり、図1中に示すように、低容量2次電池5の充電可能電力をPsc1、低圧DC負荷L3の需要電力をPld1とすると、系統M1の需要電力Pd3は、“Pd3=Psc1+Pld1”と表すことができる。
【0035】
同様に、電流センサS8のセンサ信号から得られる、低圧DC負荷L4の需要電力と、低容量2次電池6への充電電力および放電電力とから、低容量2次電池6の現時点における充放電可能容量を演算することができる。
したがって、低容量2次電池6の充放電可能容量から得られる充電可能電力と、低圧DC負荷L4の需要電力との和から、低容量2次電池6および低圧DC負荷L4からなる系統M2の需要電力を得ることができる。つまり、図1中に示すように、低容量2次電池6の充電可能電力をPsc2、低圧DC負荷L4の需要電力をPld2とすると、系統M2の需要電力Pd4は、“Pd4=Psc2+Pld2”と表すことができる。
【0036】
この各系統M1、M2の需要電力Pd3、Pd4の演算は、例えば、DC分電盤4の制御部4aにおいて、各種センサS7、S8のセンサ信号と、低圧DC負荷L3、L4の既知の需要電力および作動状況とから演算される。
そして、このように構成される直流配電システム100の配電電圧は、LEDライトL1、L2などの直流給電負荷の点灯電圧、あるいは太陽光発電装置からなる分散電源11、21、大容量2次電池13、23の出力電圧と概ね統一されており、これによって、電圧変換に伴う変換効率を向上させるようになっている。配電電圧は、LEDライトL1、L2などの複数の直流給電負荷のうち、動作電圧がもっと高い電圧とすればよい。ここでは、LEDライトL1、L2の動作電圧例えば280Vを、配電電圧としている。
【0037】
図2は、DC/DC変換器12、22の制御部12a、22aの機能構成を示すブロック図の一例である。
制御部12a、22aは、センサ情報収集部31と、電力演算部32と、配電経路決定部33と、命令部34と、を備える。
センサ情報収集部31は、各種センサS1〜S8のセンサ信号を、直接、あるいは、他方の制御部から、または、DC分電盤4を介して収集する。
【0038】
電力演算部32は、センサ情報収集部31で収集した各種センサのセンサ信号、また、低圧DC負荷L3、L4の作動情報をもとに、負荷L1、L2、および系統M1、M2の需要電力を演算する。また、大容量2次電池13、23、低容量2次電池5、6の充放電可能容量を演算する。さらに、負荷L1、L2の需要電力、系統M1、M2の需要電力Pd1〜Pd4の総和Σ(Pd)を演算する。
【0039】
配電経路決定部33は、電力演算部32で演算した需要電力あるいは、充放電可能容量に基づき配電経路を決定する。すなわち、分散電源11、21の発電電力と負荷L1〜L4の需要電力との大小関係などに基づき、予め設定した配電経路のうちどの配電経路で配電を行うかを決定する。図1の直流配電システム100では、メインの分散電源ユニットである分散電源ユニット1の制御部12aが配電経路を決定する。
命令部34は、配電経路決定部33で決定した配電経路となるように各部に対して動作命令を行う。
【0040】
次に、上記実施形態の動作を説明する。
メインの分散電源ユニットである、分散電源ユニット1の制御部12aは、分散電源11および21の発電電力、また各負荷L1〜L4の需要電力などに基づき、発電電力と需要電力との関係から、配電経路を決定し、決定した配電経路にしたがって配電を行う。
【0041】
(状態1)
図3は、配電経路1の電力の流れを示す説明図である。
制御部12aは、直流配電システム100における発電電力が需要電力を上回る状態であり、かつ、分散電源11の発電電力Pg1を変換したDC/DC変換器12の変換出力電力が、予め設定した放電判断しきい値以上となる状態1にあるとき、配電経路1に示す経路で配電を行う。
ここでいう、発電電力とは、分散電源11の発電電力Pg1および分散電源12の発電電力Pg2の和である。需要電力とは需要電力Pd1、Pd2、Pdl1、Pdl2の総和である。
【0042】
また、放電判断しきい値は、例えばDC/DC変換器12の定格出力電力に対する負荷率が20%となるときのDC/DC変換器12の変換出力電力相当に設定される。なお、この放電判断しきい値は、負荷率が20%程度となるときの変換出力電力相当に限るものではなく、任意に設定することができる。
この放電判断しきい値は、DC/DC変換器毎に、負荷率に対する変換効率特性カーブは異なるため、DC/DC変換器毎に設定され、例えば図4に示すようなDC/DC変換器12の変換効率特性、また、AC/DC変換器3の変換効率特性の諸条件を考慮した演算を行い、その結果に基づいて設定すればよい。
【0043】
ここで、前記図4は、DC/DC変換器12の変換効率の特性を示したものである。図4において、横軸は負荷率(%)、縦軸は変換効率(%)を示す。
図4に示すように、負荷率が100%〜60%程度であるときには、変換効率は最大値(例えば98%程度)となる。負荷率が60%を下回ると、変換効率は負荷率の低下に伴って低下する。つまり、負荷率を高くすることによって、DC/DC変換器12の変換効率を高めることができる。なお、DC/DC変換器22の放電判断しきい値は、同様の手順で設定すればよい。
【0044】
したがって、前述のように、分散電源11、21の発電電力Pg1、Pg2を、可能な限り負荷は、大容量2次電池あるいは低容量2次電池など各部で使用するように構成し、DC/DC変換器12、22の負荷率がより大きくなるようにDC/DC変換器12、22を動作させることにより、DC/DC変換器12、22の変換効率の向上を図ることができる。
【0045】
DC/DC変換器12の制御部12aでは、分散電源11の発電電力Pg1をもとに、この発電電力Pg1をDC/DC変換器12で変換した変換出力電力を推定し、この推定値が放電判断しきい値以上となるかを判断する。
制御部12aでは、各種センサのセンサ信号に基づき、前記条件を満足するかの判断を行う。前記条件を満足するときには、制御部12aでは、大容量2次電池13への放電制御は行わない。また、AC/DC変換器3への停止命令を行い、系統電源40からの電力供給を停止させる。
【0046】
そして、各負荷L1〜L4の需要電力、低容量2次電池5、6の充電可能電力Psc1、Psc2などに基づき、前述のようにメインの分散電源ユニット1による電力供給を優先しつつ、DC/DC変換器12、22の負荷率を考慮しながら、負荷L1、L2あるいは系統M1、M2に対する、DC/DC変換器12および22の変換出力電力の配分などを決定する。例えば、各負荷L1〜L4に対しては需要電力相当を供給するが、低容量2次電池5、6へは、低容量2次電池5、6の充電可能電力Psc1、Psc2の範囲内で、かつ充電可能電力の和(Psc1+Psc2)が、発電電力(Pg1+Pg2)と需要電力(Pd1+Pd2+Pl1+Pl2)との差分を超えない範囲で電力供給を行う。
【0047】
そして、制御部12aは、DC分電盤4の制御部4aに対して、変換出力電力の配分にしたがって負荷L1、L2あるいは系統M1、M2に対してDC/DC変換器12の変換出力電力を供給するよう指示する。また、DC/DC変換器22の制御部22aに対して、大容量2次電池23への放電制御の禁止、AC/DC変換器3への停止命令を通知するとともに、電力要求元の負荷L1、L2あるいは系統M1、M2に対して変換出力電力の配分にしたがって、DC/DC変換器22の変換出力電力を供給するよう指示する。
【0048】
また、制御部12aは、DC分電盤4の制御部4aに対し、低容量2次電池5への供給電力が設定されているときには、低圧DC負荷L3への電力供給とともに、低容量2次電池5に対する充電制御を行うよう指示する。同様に低容量2次電池6への供給電力が設定されているときには、低圧DC負荷L4への電力供給とともに、低容量2次電池6に対する充電制御を行うよう指示する。
このような構成とすることによって、分散電源11の発電電力Pg1は、DC/DC変換器12で所定電圧に変換され、分散電源21の発電電力Pg2は、DC/DC変換器22で所定電圧に変換され、その後、DC分電盤4を介して、各負荷L1〜L4、あるいは、低容量2次電池5、6に供給される。
【0049】
これにより、DC分電盤4から負荷L1あるいはL2に、需要電力Pd1、Pd2相当の電力供給が行われる。また、系統M1、M2にはそれぞれ需要電力Pd3、Pd4が供給される。この需要電力Pd3は、需要電力Pdl1以上であり、かつ需要電力Pdl1と低容量2次電池5の充電可能電力Psc1との和以下の値となる。同様に、需要電力Pd4は、需要電力Pdl2以上であり、かつ需要電力Pdl2と低容量2次電池6の充電可能電力Psc2との和以下の値となる。
そして、系統M1に供給された充電電力は低圧DC負荷L3に供給され、さらに、低容量2次電池5が充電制御されていれば低容量2次電池5に供給される。同様に、系統M2に供給された充電電力は低圧DC負荷L4に供給され、さらに、低容量2次電池6が充電制御されていれば低容量2次電池6に供給される。
【0050】
その結果、系統M1およびM2に供給された電力は、それぞれ過不足なく低圧DC負荷L3、L4および低容量2次電池5、6に供給される。
このように、DC/DC変換器12は、分散電源11の発電電力Pg1および分散電源21の発電電力Pg2を負荷L1〜L4および低容量2次電池5、6に供給するように構成している。そのため、DC/DC変換器12、22の負荷率がより大きくなるように、DC/DC変換器12、22を動作させることができる。
【0051】
(状態2)
図3の配電経路1において、休日など発電電力>充電電力であって、低容量2次電池5、6への充電を行ってもさらに余剰分がある状態2の場合には、図5の配電経路1aに示すように、例えば、DC/DC変換器12側における変換出力電力の余剰分を、DC/DC変換器22を介して大容量2次電池23に充電するように構成してもよい。大容量2次電池23に充電したとしてもさらに余剰分がある場合には、大容量2次電池13および23の両方に充電するように構成してもよい。
【0052】
つまり、大容量2次電池13、23への充電電力をPbc1、Pbc2としたとき、“(Pg1+Pg2)−〔(Pd1+Pd2+Pld1+Pld2)+(Psc1+Psc2)〕=(Pbc1+Pbc2)”となるように、配電を行うようにしてもよい。
このようにすることによって、発電電力の余剰分をより低減することができるため、すなわち負荷率を向上させることができ、DC/DC変換器12、22の変換効率の向上を図ることができる。
【0053】
さらに、大容量2次電池13および23が満充電状態であり、かつ供給先のない発電電力の余剰分が存在する場合には、例えば、AC/DC変換器3に対して出力命令を出力し、AC/DC変換器3を介して余剰分を系統電源40の系統に供給するようにしてもよい。電力の逆遡流によって経済的効果が得られる場合には、系統電源40の系統に逆遡流させると効果的である。
【0054】
(状態3)
図6は、配電経路2の電力の流れを示す説明図である。
直流配電システム100における発電電力が需要電力を下回る場合であり、かつ、分散電源11の発電電力Pg1を変換したDC/DC変換器12の変換出力電力が、その放電判断しきい値よりも小さい状態3にあるとき、配電経路2に示す経路で電力供給が行われる。
【0055】
DC/DC変換器12の制御部12aでは分散電源11の発電電力Pg1をもとに、この発電電力Pg1をDC/DC変換器12で変換した変換出力電力を推定し、この推定値が放電判断しきい値より小さいか否かを判断する。制御部12aでは、前記条件を満足するとき、大容量2次電池13に対する放電制御と、制御部22aを介して大容量2次電池23に対する放電制御とを行う。このとき、一方の大容量2次電池、例えば大容量2次電池13を放電させたとしても、需要電力を賄うことができない場合に、他方の大容量2次電池23を動作させるようにしてもよい。
【0056】
さらに、大容量2次電池13、23を動作させても需要電力を賄うことができない場合には、DC分電盤4を介して低容量2次電池5、6を放電動作させ、低容量2次電池5、6から対応する低圧DC負荷L3、L4それぞれに電力供給を行う。
また、大容量2次電池13、23、低容量2次電池5、6を放電させたとしても需要電力を賄うことができない場合には、AC/DC変換器3を動作させ、不足分を系統電源40から取得する。
【0057】
そして、制御部12aは、負荷L1〜L4あるいは系統M1、M2に対する、DC/DC変換器12および22の変換出力電力の配分などを決定し、DC分電盤4の制御部4aに対して、変換出力電力の配分にしたがって、電力要求元の負荷L1、L2あるいは系統M1、M2に対してDC/DC変換器12の変換出力電力を供給するよう指示する。また、DC/DC変換器22の制御部22aに対して、電力要求元の負荷L1、L2あるいは系統M1、M2に対して、変換出力電力の配分にしたがって、DC/DC変換器22の変換出力電力を供給するよう指示する。
【0058】
このとき、発電電力と、大容量2次電池13および23のいずれか一方、あるいはこれら両方による放電電力とにより、需要電力を賄うことができる場合には、“発電電力の和(Pg1+Pg2)+大容量2次電池13、23の放電電力の和(Pb1+Pb2)=需要電力(Pd1+Pd2+Pld1+Pld2)”を満足するように、大容量2次電池13、23の放電電力を決定する。そして、大容量2次電池13、23の放電電力と発電電力Pg1、Pg2とを、負荷L1〜L4の需要電力に応じて各部に配電する。つまり、低容量2次電池5、6よりも大容量2次電池13、23を優先して放電させる。
【0059】
これによって、分散電源11、21の発電電力Pg1、Pg2と、大容量2次電池13、23の放電電力とが、DC/DC変換器12、22で変換されて、需要電力Pd1、Pd2相当の電力負荷L1、L2に供給される。また、系統M1、M2には、需要電力Pld1、Pld2相当の電力が供給され、それぞれ低容量2次電池5、6を介して、低圧DC負荷L3、L4に供給される。このとき、低容量2次電池5、6は充放電制御されないため、系統M1、M2に供給された電力はそのまま負荷L3、L4に供給される。
【0060】
また、大容量2次電池13、23を動作させても需要電力を賄うことができない場合には、“発電電力の和(Pg1+Pg2)+大容量2次電池13、23の放電可能電力の和+低容量2次電池5、6の放電電力の和=需要電力(Pd1+Pd2+Pld1+Pld2)を満足するように、低容量2次電池5、6の放電電力を決定する。つまり、大容量2次電池13、23は放電可能電力相当を放電するようにし、その不足分を低容量2次電池5、6から放電するように設定する。
【0061】
これによって、分散電源11、21の発電電力Pg1、Pg2と、大容量2次電池13、23の放電電力Pb1、Pb2とが、DC/DC変換器12、22で変換されて、需要電力Pd1、Pd2相当の電力が負荷L1、L2に供給される。また、系統M1、M2には、DC/DC変換器12、22で変換された変換出力電力のうち、負荷L1、L2へ電力供給を行った余剰分が供給される。さらに、低容量2次電池5、6が放電制御され、系統M1、M2にDC分電盤4から供給された電力と、低容量2次電池5、6の放電電力Psc1、Psc2との和が、負荷L3およびL4の需要電力Pld1、Pld2相当となり、これが負荷L3、L4に供給される。
【0062】
さらに、大容量2次電池13、23および低容量2次電池5、6を放電させ、その上でAC/DC変換器3を動作させる場合は、“発電電力の和(Pg1+Pg2)+大容量2次電池13、23の放電可能電力の和+低容量2次電池5、6の放電可能電力の和+AC/DC変換器3からの系統電力Pi=需要電力(Pd1+Pd2+Pld1+Pld2)”を満足するように、AC/DC変換器3からの系統電力Piを決定する。
【0063】
これによって、分散電源11、21の発電電力Pg1、Pg2と、大容量2次電池13、23の放電電力Pb1、Pb2と、AC/DC変換器3の変換出力Piとが、DC/DC変換器12、22で変換されて、需要電力Pd1、Pd2相当の電力が負荷L1、L2に供給される。また、系統M1、M2には、DC/DC変換器12、22で変換された変換出力電力のうち、負荷L1、L2へ電力供給を行った余剰分が供給される。さらに、低容量2次電池5、6が放電制御され、系統M1、M2にDC分電盤4から供給された電力と、低容量2次電池5、6の放電電力Psc1、Psc2との和が、負荷L3およびL4の需要電力Pld1、Pld2相当となり、これが負荷L3、L4に供給される。
【0064】
このように、分散電源11、21の発電電力が需要電力を下回るときには、大容量2次電池13、23をDC/DC変換器12、22の定格出力電力に近い容量で放電させて各負荷への電力供給をはかり、さらに不足する場合には低容量2次電池5、6も放電させて低圧DC負荷L3、L4に電力供給を行い、さらに不足する場合には、AC/DC変換器3を介して系統電源40から電力供給を受けることで、負荷への電力供給を行うようにした。
したがって、DC/DC変換器12、22を、DC/DC変換器12、22の効率の高い容量で動作させているため、変換効率が高い状態でDC/DC変換器12、22を動作させることができる。
【0065】
(状態4)
図6に示す配電経路2において、発電電力Pg1の、DC/DC変換器12での変換出力電力が、予め設定した発電電力しきい値以下である状態4のときには、図7に示す配電経路2aに示すように、分散電源11、21による発電電力を利用せずに、系統電源40から電力供給を受けるようにしてもよい。
【0066】
前記発電電力しきい値は放電判断しきい値よりも小さい値であって、例えば、DC/DC変換器12の定格出力電力の0%程度の値に設定される。つまり、発電電力をDC/DC変換器12で変換して得た変換出力電力が、DC/DC変換器12の定格出力電力の0%程度以上であるときには、この発電電力を、DC/DC変換器12、22で変換する場合、変換効率が悪くなる。したがって、この場合には、発電電力をDC/DC変換器12で変換して得た変換出力電力が、DC/DC変換器12の定格出力電力の0%より小さいとき、すなわち夜間などには、発電電力を負荷への供給電力として使用しないと判断する。
【0067】
そして、制御部12aでは、発電電力が需要電力を大幅に下回り、発電電力Pg1の、DC/DC変換器12での変換出力電力が、放電判断しきい値よりも小さいときには、分散電源11、21の発電電力をDC/DC変換器12、22に入力しない。そして、AC/DC変換器3に対して出力命令を行う。また、必要に応じて制御部22aからAC/DC変換器3に対して出力命令を行うよう指示する。
このとき、DC/DC変換器12および22がAC/DC変換器3から取得する入力電力の総和Piは、負荷L1〜L4の需要電力相当以上値となるように設定する。このとき、AC/DC変換器3の負荷率50%以上となるようにする。
【0068】
そして、AC/DC変換器3から取得した入力電力を、DC/DC変換器12、22を介して、DC分電盤4から、各負荷L1〜L4に供給する。
ただし、夜間などは照明負荷、コンセント負荷などの需要も低下するため、余剰分が生じる場合には、余剰分を大容量2次電池13、23に蓄電する。つまり、“入力電力の総和Pi=需要電力(Pd1+Pd2+Pld1+Pld2)+蓄電電力(Pb1+Pb2)”を満足するように、蓄電電力Pb1、Pb2を設定する。
【0069】
このとき、大容量2次電池13、23へは、DC/DC変換器12、22の負荷率が20%以上となるように蓄電電力を供給する。そして、余剰分が生じる場合には、低容量2次電池の蓄電電池として蓄電する。つまり、“入力電力の総和Pi=需要電力(Pd1+Pd2+Pld1+Pld2)+大容量2次電池への蓄電電力(Pb1+Pb2)+小容量2次電池への蓄電電力”を満足するように、大容量2次電池への蓄電電力および小容量2次電池への蓄電電力を設定する。
【0070】
このように、分散電源11、21の発電電力が需要電力を大幅に下回るとき、すなわち、発電電力をDC/DC変換器12、22で変換するとDC/DC変換器12、22の変換効率が悪いと予測されるときには、発電電力は利用せずに、系統電源40から電力供給を受けるようにした。そのため、変換効率の悪い状態でDC/DC変換器12、22を動作させることに伴う、エネルギ損失を低減することができる。
【0071】
(状態5)
また、発電電力が、DC/DC変換器12、22の定格を大幅に下回る状態5の場合、大容量2次電池13、23から、DC/DC変換器12、22の定格容量に近い容量で放電させるようにしてもよい。大容量2次電池13、23の放電電力を負荷L1〜L4に供給する。このとき、放電電力が需要電力を上回る場合には、低容量2次電池5、6に余剰分を充電する。それでも余剰分が生じる場合には、DC分電盤4内の、直流/交流変換機能により、交流電力に変換し、交流系統に連系させる。
このようにすることによって、DC/DC変換器12、22を、変換効率の高い状態で動作させることができる。
【0072】
(状態6)
また、例えば、分散電源の発電電力が、DC/DC変換器12、22の定格と同程度ではあるが、需要電力を下回る状態6にあるときには、発電電力Pg1、Pg2は、DC/DC変換器12、22、DC分電盤4を介してLEDライト(DC280V)、サーバ装置(DC360V)などの高圧直流給電負荷、すなわち図1の場合には、LEDライトL1、L2に優先的に給電し、低圧給電負荷、すなわち図1の場合には、低圧DC負荷L3、L4には、低容量2次電池5、6から直接供給する。
【0073】
ここで、発電電力に余剰分が生じる場合には、放電していない低容量2次電池5または6に優先的に充電する。なお、このとき、大容量2次電池13、23は、充放電制御しない。このようにすることによって、DC/DC変換器12、22を変換効率の高い状態で動作させることができる。
以上説明したように、本実施形態では、分散電源の発電電力が需要電力よりも大きい場合には、大容量2次電池13、23による放電は行わず、また、系統電源40からの電力供給も停止するようにし、さらに、余剰分を、低容量2次電池5、6に蓄電し、その余剰分は大容量2次電池13、23に充電し、それでも余剰分がある場合にはAC/DC変換器3を介して系統電源40に連系させるようにした。
【0074】
そのため、発電電力を変換するDC/DC変換器12、22の負荷率を向上させることができ、その結果、変換効率を向上させることができる。そのため、DC/DC変換器12、22における変換時のエネルギ損失などを低減することができる。
特に、発電電力と需要電力との余剰分は、大容量2次電池13、23よりも低容量2次電池5、6に対して優先して充電するようにしている。ここで、仮に、低容量2次電池5、6を備えていない場合、余剰分は、大容量2次電池13、23に蓄電することになる。そのため、大容量2次電池13、23の放電電力を、低圧DC負荷L3、L4の要求に応じて降圧する必要がある。
【0075】
しかしながら、余剰分は、低容量2次電池5、6に蓄電するようにし、この低容量2次電池5、6から低圧DC負荷L3、L4に電力供給を行うことができるように構成したため、降圧しなくとも低圧DC負荷L3、L4に蓄電電力を供給することができる。そのため、変換に伴うエネルギ損失を低減することができる。
また、配電電圧を、直流給電負荷のうち、動作電圧が最も高い電圧であるLEDライトL1、L2の動作電圧に設定し、さらに、分散電源11、21の出力電圧、また、大容量2次電池13、23の放電電圧を、配電電圧に一致させるようにした。すなわち電圧階級を統一することができるため、DC/DC変換器12、22における変換効率を向上させることができる。
【0076】
また、DC/DC変換器12、22による変換出力電力は、DC分電盤4を介して各負荷L1、L2や低容量2次電池5、6に供給する構成としている。ここで直流電力の場合、アークなどが生じる可能性があり、電力供給を遮断しにくい。しかしながら、DC/DC変換器12、22と、電力供給先である、負荷L1、L2や、低容量2次電池5、6との間に、DC分電盤4を設け、このDC分電盤4により、各負荷や低容量2次電池への直流電力の遮断や、分流、降圧などの処理を行う構成としたため、より確実に遮断することができ、安全性を確保することができる。
【0077】
さらに、AC/DC変換器3、分散電源11、21、大容量2次電池13、23を、DC/DC変換器12、22を介してDC分電盤4で直流接続する構成とした。そのため、これらAC/DC変換器3、分散電源11、21、大容量2次電池13、23などからの電力をDC/DC変換のみを行うことで負荷に供給することができ、直流/交流間の変換回数を削減することができるため、これに伴うエネルギ損失を低減することができる。
【0078】
なお、上記実施形態では、低容量2次電池5、6のそれぞれに、低圧DC負荷L3、L4が接続されている場合について説明したがこれに限るものではない。低容量2次電池を有していない場合、あるいは低容量2次電池に負荷が接続されない場合などであっても適用することができる。
また、上記実施形態では、DC/DC変換器12、22のそれぞれに設けた制御部12a、22aにおいて配電経路を決定する場合について説明したが、これに限るものではなく、例えば、DC分電盤4に設けた制御部4aにおいて行うようにしてもよく、また、配電経路を決定する処理を行う制御装置を別途設け、この制御装置からDC/DC変換器12、22、あるいは、DC分電盤4を制御するように構成してもよい。
【0079】
また、本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、特許請求の範囲により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、すべての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
【符号の説明】
【0080】
1、2 分散電源ユニット
3 AC/DC変換器
4 DC分電盤
5、6 低容量2次電池
11、21 分散電源
12、22 DC/DC変換器
13、23 大容量2次電池
S1、S2、S5、S6 電力センサ
S3、S4 充放電可能容量検出センサ
S7、S8 電流センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7