特許第6014490号(P6014490)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6014490
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】分断方法、及び分断装置
(51)【国際特許分類】
   C03B 33/07 20060101AFI20161011BHJP
   B28D 5/00 20060101ALI20161011BHJP
   B23K 26/364 20140101ALI20161011BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20161011BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20161011BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20161011BHJP
【FI】
   C03B33/07
   B28D5/00 Z
   B23K26/364
   G02F1/1333
   G02F1/13 101
   B23K26/00 G
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-284053(P2012-284053)
(22)【出願日】2012年12月27日
(65)【公開番号】特開2014-125391(P2014-125391A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2015年9月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】390000608
【氏名又は名称】三星ダイヤモンド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】井上 修一
【審査官】 岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−145489(JP,A)
【文献】 特開2008−308380(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 33/00−33/14
B28D 1/00−7/04
B23K 26/00−26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各第1面が外側を向くように積層される第1基板及び第2基板を有する積層板を分断する分断方法であって、
(a)前記第1基板の前記第1面において、前記第1基板の外周縁に到達しない少なくとも一方の端を有する第1スクライブ溝を形成するステップと、
(b)前記第2基板の前記第1面において、前記第2基板の外周縁まで延びる両端を有する第2スクライブ溝を形成するステップと、
(c)前記ステップ(a)及び(b)の実行後、前記第1基板の前記第1面から前記積層板を押圧して前記第2スクライブ溝を中心に前記積層板を撓ませることによって、前記第2基板を前記第2スクライブ溝に沿って分断するステップと、
(d)前記ステップ(c)の実行後、前記第2基板の前記第1面から前記積層板を押圧して前記第1スクライブ溝を中心に前記積層板を撓ませることによって、前記第1基板を前記第1スクライブ溝に沿って分断するステップと、
を含む、分断方法。
【請求項2】
前記ステップ(a)において形成される前記第1スクライブ溝は、両端が前記第1基板の前記外周縁に到達しない、請求項1に記載の分断方法。
【請求項3】
前記ステップ(a)において、前記第1基板は、前記第1スクライブ溝から前記第1面と対向する第2面まで延びる亀裂が形成されない、請求項1又は2に記載の分断方法。
【請求項4】
前記第1スクライブ溝及び前記第2スクライブ溝の少なくとも一方は、レーザ加工によって形成される、請求項1からのいずれかに記載の分断方法。
【請求項5】
各第1面が外側を向くように積層される第1基板及び第2基板を有する積層板を分断する分断方法であって、
(a)前記第1基板の前記第1面において、前記第1基板の外周縁に到達しない少なくとも一方の端を有する第1スクライブ溝を形成するステップと、
(b)前記第2基板の前記第1面において、第2スクライブ溝を形成するステップと、
(c)前記ステップ(a)及び(b)の実行後、前記第1基板の前記第1面から前記積層板を押圧して前記第2スクライブ溝を中心に前記積層板を撓ませることによって、前記第2基板を前記第2スクライブ溝に沿って分断するステップと、
(d)前記ステップ(c)の実行後、前記第2基板の前記第1面から前記積層板を押圧して前記第1スクライブ溝を中心に前記積層板を撓ませることによって、前記第1基板を前記第1スクライブ溝に沿って分断するステップと、
を含み、
前記第1スクライブ溝及び前記第2スクライブ溝の少なくとも一方は、レーザ加工によって形成される、
分断方法。
【請求項6】
各第1面が外側を向くように積層される第1基板及び第2基板を有する積層板を分断する分断装置であって、
前記第1基板の前記第1面において、前記第1基板の外周縁に到達しない少なくとも一方の端部を有する第1スクライブ溝を形成する第1スクライブ溝形成部と、
前記第2基板の前記第1面において、前記第2基板の外周縁まで延びる両端を有する第2スクライブ溝を形成する第2スクライブ溝形成部と、
前記第1及び第2スクライブ溝が形成された前記積層板を、前記第1基板の前記第1面から押圧し、前記第2スクライブ溝を中心に前記積層板を撓ませることによって、前記第2基板を前記第2スクライブ溝に沿って分断する第1分断部と、
前記第2基板が分断された前記積層板を、前記第2基板の前記第1面から押圧し、前記第1スクライブ溝を中心に前記積層板を撓ませることによって、前記第1基板を前記第1スクライブ溝に沿って分断する第2分断部と、
を備える、分断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層板を分断する分断方法、及び分断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶装置は、液晶層を間に介在するように第1基板と第2基板とがシール材によって貼り合わされる貼り合わせ基板によって構成される(例えば特許文献1)。この貼り合わせ基板は、生産性の観点から、まず大判の状態で作製され、これを分断して複数の貼り合わせ基板とする。この分断方法について詳細に説明すると、まず貼り合わせ基板の第1基板側の面にスクライブ溝を形成し、次に、第2基板側から貼り合わせ基板を押圧して撓ませ、第1基板をスクライブ溝に沿って分断する。続いて、貼り合わせ基板の第2基板側の面にスクライブ溝を形成し、次に、第1基板側から貼り合わせ基板を押圧して撓ませ、第2基板をスクライブ溝に沿って分断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−203235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した方法では、貼り合わせ基板の第1基板をスクライブ加工した後に分断加工し、その後に貼り合わせ基板の第2基板をスクライブ加工して分断加工する。このように上述した分断方法は、スクライブ加工と分断加工とが交互に繰り返し行われるため、生産性が悪い。
【0005】
本発明の課題は、効率的に積層板を分断することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明に係る分断方法は、各第1面が外側を向くように積層される第1基板及び第2基板を有する積層板を分断する分断方法であって、次のステップ(a)から(d)を含む。ステップ(a)は、第1基板の第1面において、第1基板の外周縁に到達しない少なくとも一方の端を有する第1スクライブ溝を形成する。ステップ(b)は、第2基板の第1面において、第2スクライブ溝を形成する。ステップ(c)は、ステップ(a)及び(b)の実行後、第1基板の第1面から積層板を押圧して第2スクライブ溝を中心に積層板を撓ませることによって、第2基板を第2スクライブ溝に沿って分断する。ステップ(d)は、ステップ(c)の実行後、第2基板の第1面から積層板を押圧して第1スクライブ溝を中心に積層板を撓ませることによって、第1基板を第1スクライブ溝に沿って分断する。
【0007】
この方法によれば、まず、ステップ(a)及び(b)によって積層板の両面にスクライブ溝を形成してから、次にステップ(c)及び(d)によって、第1基板及び第2基板をそれぞれに形成されたスクライブ溝に沿って分断する。このように、積層板に対して、スクライブ加工と分断加工とをそれぞれまとめて行うことができるため、効率的に積層板を分断することができる。
【0008】
ところで、スクライブ加工と分断加工とをそれぞれまとめて行う場合、すなわち、積層板の両面にスクライブ溝を形成した後に、第1基板及び第2基板をそれぞれ分断する場合、一方の基板がスクライブ溝に沿って正確に分断されないことがある。例えば、積層板の両面にスクライブ溝を形成した後、まず第2基板を分断するために第2基板側が凸状になるように積層板を撓ませる。すると、第1基板にスクライブ溝が既に形成されているため、第2基板を分断するための工程において第1基板も分断されてしまうことがある。そして、第1基板は、スクライブ溝が形成された面が凹状となって撓むため、スクライブ溝に沿って分断されない可能性が高い。
【0009】
これに対して、上述した第1発明に係る分断方法では、第1基板に形成される第1スクライブ溝は、その少なくとも一方の端が第1基板の外周縁まで到達していない。このため、第2基板を分断するためのステップ(c)を実行する際に、第1基板の第1面が凹状となって撓んでも、第1基板が分断されてしまうことを防ぐことができる。
【0010】
第2発明に係る分断方法は、第1発明の分断方法において、ステップ(a)によって形成される第1スクライブ溝は、両端が第1基板の外周縁に到達しない。この方法では、ステップ(c)を実行した際に第1基板が過って分断されてしまうことをより確実に防ぐことができる。
【0011】
第3発明に係る分断方法は、第1又は第2発明の分断方法において、ステップ(b)によって形成される第2スクライブ溝は、両端が第2基板の外周縁まで延びる。この方法によれば、第2基板は、ステップ(c)によって容易に分断することができる。すなわち、ステップ(c)の際に第2基板を分断するための押圧力を強くする必要がないため、第1基板が分断されてしまうことをより確実に防ぐことができる。
【0012】
第4発明に係る分断方法は、第1から第3発明のいずれかの分断方法において、ステップ(a)において、第1基板は、第1スクライブ溝から第1面と対向する第2面まで延びる亀裂が形成されない。
【0013】
この方法によれば、第1基板は、第2面に亀裂が形成されていないため、第2面側が凸状になるように撓んでも、分断されてしまうことを防ぐことができる。
【0014】
第5発明に係る分断方法は、第1から第4発明のいずれかの分断方法において、第1スクライブ溝及び前記第2スクライブ溝の少なくとも一方は、レーザ加工によって形成される。
【0015】
第6発明に係る分断装置は、各第1面が外側を向くように積層される第1基板及び第2基板を有する積層板を分断する分断装置であって、第1スクライブ溝形成部と、第2スクライブ溝形成部と、第1分断部と、第2分断部とを備える。第1スクライブ溝形成部は、第1基板の第1面において、第1基板の外周縁に到達しない少なくとも一方の端部を有する第1スクライブ溝を形成する。第2スクライブ溝形成部は、第2基板の第1面において、第2スクライブ溝を形成する。第1分断部は、第1及び第2スクライブ溝が形成された積層板を、第1基板の第1面から押圧し、第2スクライブ溝を中心に積層板を撓ませることによって、第2基板を第2スクライブ溝に沿って分断する。第2分断部は、第2基板が分断された積層板を、第2基板の第1面から押圧し、第1スクライブ溝を中心に積層板を撓ませることによって、第1基板を第1スクライブ溝に沿って分断する。
【0016】
この構成によれば、まず、第1及び第2スクライブ溝形成部によって積層板の両面にスクライブ溝を形成してから、次に第1及び第2分断部によって、第1基板及び第2基板をそれぞれに形成されたスクライブ溝に沿って分断する。このように、積層板に対して、スクライブ加工と分断加工とをそれぞれまとめて行うことができるため、効率的に積層板を分断することができる。
【0017】
また、第1基板に形成される第1スクライブ溝は、その少なくとも一方の端が第1基板の外周縁まで到達していない。このため、第1分断部によって第2基板を分断する際に、第1基板の第1面が凹状となって撓んでも、第1基板が分断されてしまうことを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、効率的に積層板を分断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】分断装置の概略構成図。
図2】第1基板の平面図。
図3】第1基板の側面断面図。
図4】第2基板の平面図。
図5】第2基板の側面断面図。
図6】第2基板を分断する様子を示す図。
図7】第1基板を分断する様子を示す図。
図8】変形例1の第1基板の平面図。
図9】実施例及び比較例の基板を分断する様子を示す図。
図10】参考例1及び2の基板を分断する様子を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る分断方法及び分断装置の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0021】
[貼り合わせ基板]
まず、分断対象である貼り合わせ基板(積層板の一例)について説明する。図1に示すように、貼り合わせ基板10は、第1基板11と、シール部材13を介して第1基板11に貼り合わされる第2基板12とを有する。第1基板11と第2基板12との間は例えば液晶層を構成し、シール部材13がその液晶層を囲む。
【0022】
第1基板11は、第1面11aと、第1面11aと対向する第2面11bとを有する。第1基板11において、第1面11aは外側(図1上側)を向き、第2面11bは第2基板12と対向する。第2基板12は、第1面12aと、第1面12aと対向する第2面12bとを有する。第2基板12において、第1面12aは外側(図1下側)を向き、第2面12bは第1基板11と対向する。なお、「外側」とは、上側に配置される第1基板11では上方向を意味し、下側に配置される第2基板12では下方向を意味する。すなわち、積層される際の相手側の基板が位置する方向と反対側の方向を意味する。
【0023】
[分断装置]
次に、分断装置について説明する。分断装置は、図1図6、及び図7に示すように、貼り合わせ基板10が載置されるテーブル20、第1スクライブ溝形成部30、第2スクライブ溝形成部40、第1分断部50(図6)、及び第2分断部60(図7)を備える。
【0024】
図1に示すように、第1スクライブ溝形成部30は、第1基板11の第1面11aに第1スクライブ溝11cを形成する。この第1スクライブ溝形成部30は、照射部31と、冷却部32とを有し、第1スクライブ溝11cが形成される方向に移動する。照射部31は、レーザ発振器31a、反射ミラー31b、及び集光レンズ31cを有し、レーザビームを第1基板11に向けて照射する。レーザ発振器31aは、第1基板11に対して吸収性及び透過性を有する波長のレーザを出力する。反射ミラー31bは、レーザ発振器31aからのレーザをテーブル20側に導く。集光レンズ31cは、焦点が第1基板11の第1面11a、又は第1面11aと第2面11bとの間に位置するようにレーザを集光する。
【0025】
冷却部32は、図示しない冷媒源から供給される冷媒を第1基板11の第1面11aに対して、ノズル32aを介して噴射し、冷却スポットを形成する。
【0026】
第2スクライブ溝形成部40は、第2基板12の第1面12aに第2スクライブ溝12cを形成する。この第2スクライブ溝形成部40は、照射部41及び冷却部42を有する。照射部41は、レーザ発振器41a、反射ミラー41b、及び集光レンズ41cを有し、冷却部42は、ノズル42aを有する。なお、第2スクライブ溝形成部40は、加工対象が第1基板11ではなく第2基板12である点のみが上述した第1スクライブ溝形成部30と異なり、その他については第1スクライブ溝形成部30と同じ構成であるため、その詳細な説明を省略する。
【0027】
図6に示すように、第1分断部50は、第2基板12を第2スクライブ溝12cに沿って分断する。この第1分断部50は、第1基板11の第1面11a上を押圧しながら転がるローラ50aと、ローラ50aを貼り合わせ基板10側に押し込むシリンダ(図示省略)とを有する。
【0028】
図7に示すように、第2分断部60は、第1基板11を第1スクライブ溝11cに沿って分断する。この第2分断部60は、第1分断部50と同様の構成であり、ローラ60aと、シリンダ(図示省略)とを有する。
【0029】
また、分断装置は、ここでは図示しないが、貼り合わせ基板10の走査開始側の端部に、スクライブ溝の起点となる初期亀裂を形成するための初期亀裂形成手段が設けられる。初期亀裂形成手段としては、例えば、圧子、又はカッターホイール等の機械的ツールや、レーザ照射装置を挙げることができる。レーザ照射装置は、レーザアブレーション加工によって初期亀裂を形成する。
【0030】
[分断方法]
次に、貼り合わせ基板10を分断する方法について説明する。まず、貼り合わせ基板10をテーブル21上に載置する。そして、初期亀裂形成手段を用いて、第1基板11の第1面11a、及び第2基板12の第1面12aの各端部に、スクライブ溝の基点となる初期亀裂を形成する。
【0031】
次に、図1に示すように、第1スクライブ溝形成部30の照射部31が第1基板11に対してレーザを照射する。なお、集光レンズ31は、レーザの焦点を、第1基板11の第1面11a、又は第1面11aと第2面11bとの間に位置させる。また、第1スクライブ溝形成部30の冷却部32は、レーザの照射と同時に、かつレーザが照射された領域に、冷却ノズル32aを介して冷却媒体を噴射する。
【0032】
ここで、レーザとして、第1基板11に対して吸収性及び透過性を有する波長のレーザが用いられるので、レーザ照射によって、第1基板11の表面及び内部が加熱される。一方で、レーザ照射領域に冷却媒体が噴射されて冷却されるため、基板内部には温度勾配が生じ、第1基板の表面には引張応力が生じ、内部には圧縮応力が生じる。これにより、第1基板11に亀裂が生じる。
【0033】
以上のレーザスポット及び冷却スポットを分断予定ラインに沿って走査することにより、第1基板11は、分断予定ラインに沿って亀裂が進展し、図2及び図3に示すような第1スクライブ溝11cが形成される。ここで、初期亀裂が形成される位置を調整すること、並びにレーザスポット及び冷却スポットを第1基板11の外周縁11eまで走査させないことにより、第1スクライブ溝11cは、その両端11dが第1基板11の外周縁11eに到達しない。このため、第1スクライブ溝11cの両端11dと外周縁11eとの間に間隔dが形成される。この間隔dは、2mm以上10mm以下程度とすることが好ましく、3mm以上5mm以下程度とすることがより好ましい。
【0034】
第1スクライブ溝11cは、第1基板11の第1面11aから形成され、第2面11bまで到達しない、いわゆるハーフカットである。第1スクライブ溝11の深さは、特に限定されるものではないが、例えば第1基板11の厚さの10%以上20%以下程度とすることができる。また、第1基板11は、第1スクライブ溝11cから第2面11bまで延びる亀裂は形成されない。
【0035】
次に、第2スクライブ溝形成部40によって、第2基板12にも同様に第2スクライブ溝12cを形成する。この第2スクライブ溝12cは、図4及び図5に示すように、その両端が第2基板12の外周縁12eまで延び、また、第2スクライブ溝12cから第2面12bまで延びる亀裂12fが形成されるが、それ以外については、第1スクライブ溝11cと同じである。
【0036】
次に、図6に示すように、第1分断部50は、第2基板12を第2スクライブ溝12cに沿って分断する。詳細には、シリンダによって貼り合わせ基板10側に押し込まれるローラ50aが、第1基板11側から貼り合わせ基板10を押圧しながら、第1基板11の第1面11a上を転がる。なお、ローラ50aは、第2基板12の第2スクライブ溝12cと対応するラインに沿って、第1基板11の第1面11a上を転がる。これによって、貼り合わせ基板10は、第2スクライブ溝12cを中心に下側に凸状となって撓む。この結果、第2基板12は、第2スクライブ溝12cに沿って分断される。なお、この工程におけるローラ50aの押込量は、特に限定されるものではないが、第1基板11を分断せずに第2基板12のみを分断することができるよう、0.1mm以上1.0mm以下とすることが好ましい。なお、押込量とは、ローラを貼り合わせ基板10に向かって押し込む量であり、ローラが貼り合わせ基板10を押圧せずに単に接しただけの状態を0mmとする。
【0037】
次に、図7に示すように、第2分断部60は、第1基板11を第1スクライブ溝11cに沿って分断する。詳細には、シリンダによって貼り合わせ基板10側に押し込まれるローラ60aが、第2基板12側から貼り合わせ基板10を押圧しながら、第2基板12の第1面12a上を転がる。なお、ローラは、第1基板11の第1スクライブ溝11cと対応するラインに沿って、第2基板12の第1面12a上を転がる。これによって、貼り合わせ基板10は、第1スクライブ溝11cを中心に上側に凸状となる。この結果、第1基板11は、第1スクライブ溝11cに沿って分断される。以上によって、貼り合わせ基板10は、第1スクライブ溝11c及び第2スクライブ溝12cに沿って分断される。なお、本実施形態では、第1スクライブ溝11cと第2スクライブ溝12cとは対応する位置に形成される。
【0038】
[特徴]
(1)上述した実施形態に係る分断方法によれば、まず、貼り合わせ基板10の両面11a、12aにスクライブ溝11c、12cを形成してから、次に、第1基板11及び第2基板12をそれぞれに形成されたスクライブ溝11c、12cに沿って分断する。このように、貼り合わせ基板に対して、スクライブ加工と分断加工とをそれぞれまとめて行うことができるため、効率的に貼り合わせ基板10を分断することができる。
【0039】
(2)第1基板11に形成される第1スクライブ溝11cは、その少なくとも一方の端11dが第1基板11の外周縁11eまで到達していない。このため、第2基板12を分断するため際に、第1基板11の第1面11aが凹状となって撓んでも、第1基板11が分断されてしまうことを防ぐことができる。
【0040】
(3)第2スクライブ溝12cは、両端が第2基板12の外周縁12eまで延びるため、第2基板12は容易に分断することができる。よって、第2基板12を分断するための押圧力を強くする必要がないため、第2基板12を分断する際に、第1基板11が分断されてしまうことをより確実に防ぐことができる。
【0041】
(4)第1基板11は、第1スクライブ溝11cから第1面11aと対向する第2面11bまで延びる亀裂が形成されないため、第2基板12を分断する際に第2面側11bが凸状になるように撓んでも、第1基板11が分断されてしまうことを防ぐことができる。
【0042】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0043】
変形例1
第1基板11に形成される第1スクライブ溝11cは、図8に示すように、一方の端が第1基板11の外周縁11eに到達してもよい。
【0044】
変形例2
上記実施形態では、第2基板12は、第2スクライブ溝12cの両端が第2基板12の外周縁12eまで延びるが、一方の端部又は両端が第2基板12の外周縁12eまで到達していなくてもよい。
【0045】
変形例3
また、上記実施形態では、レーザ加工によってスクライブ溝を形成するが、スクライブ溝の形成方法は特にこれに限定されない。例えば、切断カッターなどの機械的ツールによってスクライブ溝を形成してもよい。
【0046】
変形例4
上記実施形態では、貼り合わせ基板10にスクライブ溝を形成する、又は貼り合わせ基板10を分断する際、第1及び第2スクライブ溝形成部30、40又は第1及び第2分断部50,60が移動するが、特にこれに限定されない。例えば、分断装置がテーブル移動機構をさらに備え、第1及び第2スクライブ溝形成部30、40、並びに第1及び第2分断部50,60は停止したまま、テーブル移動機構がテーブル20のみを移動させることもできる。またさらには、第1及び第2スクライブ溝形成部30、40と、第1及び第2分断部50、60と、テーブル20との全てを移動させて、貼り合わせ基板10にスクライブ溝を形成したり、貼り合わせ基板10を分断したりすることもできる。
【0047】
変形例5
第2スクライブ溝形成部40を省略することができる。この場合、第1スクライブ溝形成部30によって、第2スクライブ溝12cを形成する。また、第2分断部60も省略することができる。この場合、第1分断部50によって、第1基板11を分断する。
【実施例】
【0048】
以下に実施例及び比較例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0049】
対象基板として、厚さ0.5mmのソーダガラスである基板1を用いた。実施例の基板1には、深さ120μmであって、両端が基板1の外周縁まで到達しないスクライブ溝1cを形成した。なお、スクライブ溝1cの両端と基板1の外周縁との距離dは、4mmとした。比較例の基板1には、実施例の基板1と同じ方法で同じ深さのスクライブ溝1cを形成したが、このスクライブ溝1cの両端は基板1の外周縁まで延ばした。
【0050】
そして、図9に示すように、各基板1のスクライブ溝1が形成された面1a上をスクライブ溝1cに沿ってローラ50aを転がした。このときのローラ50aの押込量を基板1ごとに変化させて、各基板1が分断されたか否かを目視にて確認した結果を表1に示す。なお、表1において、「○」は基板1が分断されないことを意味し、「×」は基板1が分断されたことを意味する。
【0051】
表1に示すように、実施例の基板1は、押込量が1.0mmであっても分断されなかった。これに対して、比較例の基板1は、押込量が0.1mmで分断された。しかも、比較例の基板1は、全ての押込量において、スクライブ溝1cに沿った分断ではなかった。すなわち、比較例の基板1は、分断予定ラインではないラインで分断された。
【0052】
【表1】
【0053】
また、上記実施例と同じ構成の基板1を参考例1、上記比較例と同じ構成の基板1を参考例2とした。そして、図10に示すように、各基板1のスクライブ溝1が形成された面1aと対向する面1b上をスクライブ溝1cに沿ってローラ50aを転がした。このときのローラ50aの押込量を基板1ごとに変化させて、各基板1が分断されたか否かを目視にて確認した結果を表2に示す。なお、表2において、「○」は基板1が完全に分断されたことを意味し、「×」は基板1が完全に分断されなかったこと、すなわち、基板1が一部のみしか分断されなかったことを意味する。参考例1の基板1は、スクライブ溝1cに沿って完全に分断されるために押込量が0.3mm必要であるのに対して、参考例2の基板1は、押込量が0.1mmであればスクライブ溝1cに沿って完全に分断されることが分かる。
【0054】
【表2】
【符号の説明】
【0055】
10 貼り合わせ基板(積層板)
11 第1基板
12 第2基板
11a、12a 第1面
11b、12b 第2面
11c、12c スクライブ溝
11d 端部
11e、12e 外周縁
30 第1スクライブ溝形成部
40 第2スクライブ溝形成部
50 第1分断部
60 第2分断部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10