(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6014499
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】可変データ・リソグラフィ・システム内の湿し液の回収
(51)【国際特許分類】
B41M 1/06 20060101AFI20161011BHJP
B41F 7/32 20060101ALI20161011BHJP
B41N 1/14 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
B41M1/06
B41F7/32
B41N1/14
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-9318(P2013-9318)
(22)【出願日】2013年1月22日
(65)【公開番号】特開2013-159115(P2013-159115A)
(43)【公開日】2013年8月19日
【審査請求日】2016年1月21日
(31)【優先権主張番号】13/366,947
(32)【優先日】2012年2月6日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502096543
【氏名又は名称】パロ・アルト・リサーチ・センター・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Palo Alto Research Center Incorporated
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・ケイ・ビーゲルセン
【審査官】
亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第3800699(US,A)
【文献】
米国特許第7191705(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 1/06
B41F 7/32
B41N 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷画像受け面と、
湿し水が前記印刷画像受け面の上に塗布されるように配置された湿し水塗布サブシステムと、
前記印刷画像受け面の上の前記湿し水に、前記湿し水の複数の個別の領域と、基板に印刷される画像の部分に対応する間隙によって分離された前記湿し水の隣接領域と、を備えるパターンを形成するように配置されたパターン化サブシステムと、
前記印刷画像受け面における前記間隙に優先的にインクを塗布するインカ―サブシステムと、
前記印刷画像受け面に塗布された前記湿し水が、前記印刷画像受け面から取り除かれるように配置された湿し水抽出サブシステムと、
塗布される交換液が、前記湿し水抽出サブシステムにより取り除かれる前に前記湿し水が元々占有していた前記印刷画像受け面上の領域に、優先的に、前記間隙に塗布された前記インクの領域を湿潤させずに、塗布されるように配置された交換液塗布サブシステムと、
前記印刷画像受け面の上の前記インクを前記基板に転移する印刷画像転移サブシステムと、
前記印刷画像転移サブシステムにより前記印刷画像受け面の上の前記インクが前記基板に転移された後において前記印刷画像受け面の上に残る前記インク及び前記交換液を取り除くクリーニングサブシステムと、
を含む、可変データ印刷システム。
【請求項2】
前記湿し水抽出サブシステムと連絡接続し、前記湿し水抽出サブシステムにより取り除かれた前記湿し水を受け、格納する容器をさらに含む請求項1に記載の可変データ印刷システム。
【請求項3】
前記湿し水抽出サブシステムと連絡接続し、前記湿し水抽出サブシステムにより取り除かれた前記湿し水を処理して、前記湿し水塗布サブシステムが前記処理された前記湿し水を前記印刷画像受け面に塗布出来るようにするリサイクリング装置をさらに含む請求項1に記載の可変データ印刷システム。
【請求項4】
前記リサイクリング装置は、前記リサイクリング装置により処理された前記湿し水が前記印刷画像受け面に塗布されるように、前記湿し水塗布サブシステムと連絡接続する請求項3に記載の可変データ印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、マーキング及び印刷のための方法及びシステムに関し、より具体的には可変リソグラフィ・マーキング・システム、即ち可変リソグラフィ印刷システム内の湿し水(水ベースの湿し液等)を回収する方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
オフセットリソグラフィ印刷は、一般的な印刷の方法である(本明細書では、用語「印刷」及び「マーキング」は、同様に用いられる)。一般的なリソグラフィ印刷プロセスにおいて、印刷画像担体の表面は、平板、シリンダ、ベルト等でよく、疎水性且つ親油性の材料の「画像領域」と、親水性材料の「非画像領域」と、を含んで形成される。画像領域は、最終印刷物(即ち、目標基材)上のインク等の印刷材料、即ちマーキング材料で占有される領域に対応し、非画像領域は、最終印刷上のこのマーキング材料で占有されない領域に対応する領域である。親水性領域は、水ベースの湿し液(一般に湿し水と呼ばれ、一般に水、及び少量のアルコール、並びにその他の添加剤及び/又は界面活性剤を含む)を受け入れ湿潤し易い。疎水性領域は湿し水を弾き、インクを受け入れインクを拒絶し、この親水性領域上に形成される湿し水により液体の「剥離層」が形成される。したがって、印刷版の親水性領域は、最終印刷物の印刷されない領域、即ち「非画像領域」に対応する。
【0003】
インクは、紙等の基材に直接転移され得る、又はオフセット印刷システム内のオフセット(又はブランケット)シリンダ等の中間面に塗布され得る。オフセットシリンダは、基材の質感に一致し得る面を有する、均一な被膜又はスリーブで被膜される。この膜は、画像形成板の表面の山から谷までの深さよりも少し深い表面の山から谷までの深さを有する。十分な圧力を加えて、画像をオフセットシリンダから基材に転写する。オフセットシリンダと、加圧シリンダとの間に基材を挟むことによりこの圧力が生じる。
【0004】
上記のリソグラフィ印刷及びオフセット印刷の技術では、恒久的にパターン化する印刷板を用いる。したがって、例えば、雑誌、新聞等の同じ画像を、多数の部数印刷するとき(長期間の印刷部数)にのみ重宝する。しかし、これらの印刷技術では、印刷シリンダ及び/又は画像形成板を取り除いて交換することなし、ページごとの新しいパターンを作成し印刷することは出来ない(つまり、これらの技術では、例えば、デジタル印刷システムの場合のように、印刷ごとに画像が変わる、本来の高速可変データ印刷に対応することは出来ない)。さらに、恒久的にパターン化される画像形成板又はシリンダのコストは印刷部数全体で償却される。したがって、デジタル印刷システムによる印刷とは対照的に、印刷部数ごとのコストは、同じ画像の部数を多く印刷するときよりも、同じ画像の部数を少く印刷するときのほうが高い。
【0005】
リソグラフィ印刷、及びいわゆる水無プロセスでは、一つには使用されるインクの品質及び色域により、非常に高い質の印刷が行われる。さらに、これらのインクは、一般に高い着色顔料含有率(一般に、質量で20%〜70%の範囲内)を有するが、コストは、トナー及びその他の多くの種類のマーキング材料に比べて非常に安い。しかし、高品質及び低コストのメリットを生かすために、印刷にリソグラフィ及びオフセットインクを使用したいという需要がある一方で、ページごとにデータを変えて印刷したいという需要も存在する。現在まで、これらのインクを用いた可変データ印刷を行うことに対して、複数の障害が存在してきた。さらに、同じ画像の、より少ない印刷部数に関して、部数ごとのコストを削減したいという需要も存在する。この要望は、理想的には、中間印刷部数(例えば約10,000部)、及び少ない印刷部数(例えば約1,000部)、究極には1部の印刷部数(即ち、本来の可変データ印刷)まで少なくした印刷部数に関して、リソグラフィ印刷の部数(例えば、100,000部より多い)のコストと同等の低コストで行いたいということを示唆している。
【0006】
1つの直面する問題として、オフセットインクは、その粘度が高すぎて(大抵の場合、50,000cpsを軽く上回る)、ノズル式インクジェットシステムには使えないという問題がある。さらに、その粘着性のため、オフセットインクが静電力と比べて非常に高い表面付着力を有し、したがって静電方式を用いて、表面への付着又は除去を操作することは、ほとんど不可能である(これは、その粒子形状、及び調整表面化学及び特別な表面添加剤の使用により、低い表面付着力を有する、乾式複写方式システム/電子写真方式のシステム内で用いられる乾式トナーの粒子又は液体トナーの粒子とは対照的である)。
【0007】
過去にも、可変データに対してリソグラフィ印刷システム及びオフセット印刷システムを作る試みが行われてきた。その1つの例が、米国特許第3,800,699号明細書で開示され、参照することにより本明細書に組み込まれている。この例では、レーザ等の強力なエネルギ源により、パターン化するように湿し水を蒸発させる。
【0008】
別の例が米国特許第7,191,705号明細書で開示され参照することにより本明細書に組み込まれ、この例では、親水性被膜を画像形成ベルトに塗布する。レーザにより、親水性被膜の領域を選択的に加熱し、蒸発させる、即ち分解する。次いで、これらの親水性領域に水ベースの湿し水を塗布し、この領域に疎油性を付与する。次いで、印刷板上の湿し水により覆われていない領域にのみ選択的にインクを塗布し転写して、基材へと転写され得るインクのパターンを形成する。転写後、ベルトをクリーニングし、新しい親水性被膜及び湿し水を付着させ、例えば、画像の次のバッチを印刷するために、パターン化、インクの塗布、印刷ステップを繰り返す。
【0009】
周知のシステムでは、インクのパターンを基材に転写した後、クリーニングのステップにより、湿し水及び全ての残余インクが完全に取り除かれる。先行画像(「ゴースト発生」、)及びその他のアーチファクトが印刷される画像が悪影響を及ぼすことを防止するためには、残余要素を徹底的で完全にクリーニングすることが必要である。ナイフエッジクリーニング(効果的に、廃棄する)システム、ワイパー又はブラシシステム、高圧すすぎクリーニング、又は溶剤クリーニング等の非接触クリーニングプロセス、及びその他の技術を用いて、印刷画像担体を完全にクリーニングする。しかし、湿し水及び残余インクを一緒に印刷画像担体から取り除くことは、湿し水又はインクのどちらかの再利用が実用的でない、即ち一般的には可能とは言えない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
湿し水の回収が可能な一つの方法は、印刷画像担体上がインク画像を形成された後及び、インクが基材に転写される転写ニップの前に湿し水を取り除くことである。これにより、印刷画像担体と基材との間でインクのみが接続し、画像のブランク領域に対しては完全に液体のないニップが提供される。しかし、印刷画像担体の面を晒して、直接基材に物理的に接触させることは一般に好ましくない。例えば、基材が紙である実施形態では、紙の摩擦面により、印刷画像担体の耐用期間が制限される可能性がある。印刷画像の画質、又は画像担体の耐用期間に悪影響を及ぼすことなく、湿し水を再捕獲し再利用性を改善するシステム及び方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本明細書は、上記の短所、及び本明細書から明らかとなるその他の短所に対応する可変データリソグラフィ印刷及びオフセットリソグラフィ印刷を行うシステム及び方法に関する。本明細書は、湿し液に特別な処理を施す必要なしに、湿し液の再利用を行って、印刷画像担体面を直接晒して基材に物理的に接触させることなく残余インクを取り除くサブシステム及び方法に関する。
【0012】
本明細書の一態様によると、可変データリソグラフィ印刷システム、又はオフセット印刷システムは、マルチステージの湿し液サブシステムを含み、このサブシステムでは、第1のステージで、別の方法で周知の通り、印刷画像担体の上に湿し液の層を塗布し、その液体層をパターン化し、そのパターン化された液体層にインクを塗布し、第2のステージで、パターン化されたインクを印刷画像担体上の所定の場所に残して湿し液を取り除き、第3のステージで、もともと湿し液が存在した所定の場所に交換液を塗布する。
【0013】
同様に、本明細書の別の態様によると、可変データリソグラフィ又はオフセットリソグラフィ印刷を行う方法は、別の方法で周知の通り、最初に湿し液の層を印刷画像担体の上に塗布するステップと、この液体層をパターン化するステップと、パターン化された液体層にインクを塗布するステップとを含み、次に、印刷画像担体上の所定の場所にパターン化されたインクを残して、湿し液を取り除き、もともとの湿し液の位置を載せる印刷画像担体の上に交換液を塗布する。
【0014】
交換液は、プリント画像担体の表面(必ずしも全部でなく大部分)を覆うが、湿し液を取り除いた後に残るインクの領域を湿潤させない。交換液は、(インクと共に)潤滑剤として機能して、摩擦を低減する。交換液は、最後に紙に吸収される、又は転写ニップ内に分割される。印刷画像担体に残る全ての交換液は、残余インクがクリーニングサブシステムで取り除かれる前に蒸発する、又は、例えば、エアーナイフ又はその他の好適な方法により取り除かれる。
【0015】
したがって、可変データリソグラフィシステム内で使用する交換液サブシステムを開示する。このシステムは、印刷画像受け面に塗布され、パターン化された湿し液の層を形成する湿し液が、湿し液の層内の間隙に塗布されたインクに対して、最低限の変更しかしない状態で、この印刷画像受け面から取り除かれ得るように配置される湿し液抽出サブシステムと、それにより塗布される交換液が、湿し液抽出サブシステムにより取り除かれる前に湿し水がより、元々占有していた印刷画像受け面上の領域に優先的に塗布され得るよう配置された交換液塗布サブシステムであって、交換液は、その間隙内に塗布されたインクに対して最小限の変更しかしない状態で、塗布される、交換液塗布サブシステムと、を含む。
【0016】
本明細書の添付図面では、同様の参照番号は、種々の図面間で同様の要素を示す。これらの図面は、説明のためであり実際の縮尺では示されていない。以下に図面を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本明細書の実施形態による、可変リソグラフィ印刷に関するシステムを示す側面図である。
【
図2】
図2は、本明細書の実施形態による、画像形成ドラム、画像形成プレート又は画像形成ベルト等の印刷画像担体の部分、及びエアーナイフ式湿し液抽出サブシステムの部分を示す切り欠き側面図である。
【
図3】
図3は、本明細書の実施形態による、画像形成ドラム、画像形成プレート又は画像形成ベルト等の印刷画像担体の部分、及びバキューム式湿し液抽出サブシステムの部分を示す切り欠き側面図である。
【
図4】
図4は、本明細書の実施形態による、画像形成ドラム、画像形成プレート又は画像形成ベルト等の印刷画像担体の部分、及び噴霧式交換液分配サブシステムの部分を示す切り欠き側面図である。
【
図5】
図5は、本明細書の実施形態による、の部分、画像形成ドラム、画像形成プレート又は画像形成ベルト等の印刷画像担体の部分、及びインクジェット式交換液分配サブシステムの部分を示す切り欠き側面図である。
【
図6】
図6は、本明細書の実施形態による、インク塗布後に湿し水を交換液に入れ替える可変データ・リソグラフィ・システムの動作に関するプロセスのステップを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
最初に、本発明の詳細がいたずらに分かりにくくならないよう、周知の開始材料、処理技術、機構部品、設備及びその他の周知の詳細に関しては、その説明を単に簡潔にする、又は省略することを前置きする。したがって、詳細が周知でなければ、これらの詳細に関する選択に対する提案又は指示を本発明の用途に委ねる。
【0019】
図1を参照すると、本明細書の一実施形態による可変データリソグラフィ印刷の関するシステム10が示される。システム10は印刷画像担体12を含み、この印刷画像担体12は、本実施形態ではドラムであるが、同等に、印刷板、ベルト等でもよい。印刷画像担体12は面13を有し、この面13に近接して複数のサブシステムが配置されている。印刷画像担体12は、基材14が印刷画像担体12と、加圧ローラ18との間に挟まれるニップ16でインク画像を基材14に塗布する。例えば、紙、プラスティック又は複合薄板の膜、セラミック、ガラス等の様々な種類の基材を用いることが出来る。この説明を簡単で明瞭にするために、基材を紙と仮定するが、本明細書が基材の形態に制限されることがないことは言うまでもない。例えば、その他の基材には、ボール紙、波形梱包材料、木材、セラミックタイル、布(例えば、衣類、カーテン、ガーメント等)、透明フィルム又はプラスティックフィルム、金属フォルム等が含まれ得る。非限定的に梱包に役立つ金属インク又は白色インク含む、質量で10%より高い顔料密度のものを含む広い許容範囲のマーキング材料を用いることが出来る。本明細書のこの部分を簡潔で明瞭にするために、一般にインクという用語を用いるが、この用語には、周知の又は本明細書で開示されるシステム及び方法により塗布され得る、インク、顔料、及びその他の材料等のマーキング材料の範囲が含まれることは言うまでもない。
【0020】
印刷画像担体12からのインク画像は、本明細書を逸脱することなく、小さなものから大きなものまで多種多様な基材の形式に塗布され得る。一実施形態では、標準の4シートの署名ページ又はそれより大きな媒体形式に対応できるよう印刷画像担体12は、少なくとも29インチの幅を有する。印刷画像担体12の直径(又は長さ)は、即ち周辺面の周りに種々のサブシステムを設置するために十分な大きさでなくてはならない。一実施形態では、印刷画像担体12は10インチの直径を有するが、本明細書の用途に応じて、それより大きな直径又はそれより小さな直径が好適であり得る。下記により詳細に議論するが、一実施形態では、印刷画像担体12は、親油性の面を示すことが出来る。
【0021】
印刷画像担体12が進行する方向に沿って配置される種々のサブシステムには、非限定的に、湿し液分配サブシステム20、光学パターン化サブシステム22、インカーサブシステム24、湿し液抽出サブシステム26、交換液分配サブシステム28、及び担体クリーニングサブシステムが含まれる。上述の各サブシステムを下記により詳細に説明する。
【0022】
湿し液分配サブシステム20は、一般に印刷画像担体12の面13を均一に湿潤する一連のローラ(湿しユニットと呼ぶ)を含む。様々な種類及び機構の湿しユニットが存在することが知られている。湿しユニットの目的は、均一で制御可能な厚みを有する湿し液32の層を分配することである。一実施形態では、この層は、0.2μmから1.0μmの範囲内の、ピンホールのない非常に均一な層である。一般に湿し液32は、主として水から構成され、随意的には、少量のイソプロピエルアルコール又はエタノールを加えて固有の表面張力を低減し、且つその後のレーザパターン化で必要な蒸発エネルギを下げる。さらに理想的には、好適な界面活性剤を、質量で少ない割合だけ加えて、印刷画像担体12の面をより多くの湿し水で湿潤することを促進する。随意的には、湿し液32は、放射線感受性の染料を含んで、光学パターン化サブシステム22によるパターン化の工程でレーザエネルギを部分的に吸収することが出来る。
【0023】
水ベースの溶剤が、本明細書の実施形態で用いられ得る湿し液の実施形態の1つであるが、その他に、疎油性の低い表面張力を有する非水の湿し液で、蒸発可能、分解可能、又は別の方法で選択的に除去可能の湿し水等を用いることが可能であることは、さらに理解されよう。可変データ印刷では、湿し液32の選択は、インク36が湿潤出来る面13であるその同じ面を、湿し液32が湿潤可能であることが必要不可欠であるが、湿し液32はインク13には、著しく溶け込み易いわけではない。そのような湿し液は相対的には少なく、且つ、一般的には比較的コストがかかる。さらに、画像作成工程では、湿し液が後に残らず完全に取り去られることが望ましい。したがって、界面活性剤は好ましくない。湿し液が複数の液体からなる限りでは、再生された蒸気が未使用の湿し液として同じ組成を有するように、それらの液体は共沸性を有することが最も望ましい。
【0024】
この分類の液体の1つに、ミネソタ州セントポール市の3M社が製造するNovec brand Engineered Fluid等のハイドロフルオロエーテル(HFE)類がある。これらの液体は、本明細書に照らし下記の有益な特性を有する。(1)水より低い蒸発熱を有し、(下記に詳細に議論する)所与の印刷速度、又は所与のレーザ出力に関する、より早い印刷速度に対するパターン化に対し、より低いレーザ出力しか必要としない。(2)より低い熱容量を有し、上記の(1)と同様の利益を提供する。(3)蒸発後の残留物がほとんどなく、クリーニング性能の向上及び/又は長期間の安定性の改善を可能にする。(4)蒸気圧及び沸点を操作可能である。(5)画像形成部適切に湿潤するために低い界面エネルギしか必要としない。(6)環境や毒性に関しては、無害である。添加剤を加えることにより、湿し水の導電率全般を制御することが出来る。その他の好適な代替的な湿し液には、上記の特性の全て又は大部分を有する、フロリナート及びその他の当技術分野では周知の液体が含まれる。これらの種の液体は、その非希釈形態で使用可能なだけでなく、水溶性又は非水溶液あるいは乳液の機構要素にも使用できることも言うまでもない。最終的に、これらの上記の種類の湿し液は比較的高価であり、これらの湿し水を効率的に再捕獲し再利用することで、重要なコスト削減の機会を実現できることは言うまでもない。さらに、環境に潜在的に有害な材料がこの湿し液の一部を成す限りでは、それらを再捕獲し再利用することで、そのような材料が環境へ放出されてしまうことを防ぐ。
【0025】
光学パターン化サブシステム22を用いて、例えば、レーザエネルギを用いて湿し液層の領域を画像状に(例えば画素ごとに)蒸発させることにより湿し液32内に画像を選択的に形成する。湿し液32の蒸発を制御するパラメータに関しては、本明細書の範囲を超えるが、いくらかの詳細は、例えば、米国特許出願第13/095,714号明細書内で見ることが出来、この明細書を参照することにより、本明細書を組み込むものとする。しかし、印刷画像担体12の面13の上の湿し液32をパターン化するために、様々なシステム及び方法を用いてエネルギ分配することが出来ることを理解されたい。特定なパターン化システム及び方法により本明細書が制限されるわけではない。
【0026】
インカーサブシステム24を用いて、パターン化システム22により形成された、湿し液32内の間隙34内に低い界面エネルギのインクを塗布して、インク領域36を形成することが出来る。インカーサブシステム24は、「キーレス」システムで構成され、アニロックスローラを用いて、1つ以上の形成ローラ上に、又は印刷板面13上に直接オフセットインクを調量することが出来る。あるいは、インカーサブシステム24は、より従来の要素から構成され得、これらの要素は、電気機械のキーを用いて、正確なインクの供給率を決定する一連の調量ローラを有する。インカーサブシステム24の一般的な態様は、本明細書の用途に依存し、それらは当業者には容易に理解される。
【0027】
インカーサブシステム24からのインクを、最初に印刷画像担体12の面の上で湿潤するために、間隙34内に露出する印刷画像担体12の部分に分離するために十分に、このインクの凝集エネルギが低くなければならない。いくらかの実施形態では、印刷画像担体12の面13は、意図的に親油性(又はより一般には、インクとの間に低い界面エネルギを有する)にされ得る、及び/又はパターン化後に残る湿し液32の上から弾かれるようインクは十分に疎水性にされ得る。湿し液自体は低い粘度を有し、インカーニップの出口で優先的に分離する。したがって、湿し液に覆われる領域は、油ベースのインクを弾く性質を自然に有する。
【0028】
インク領域36内のインクがニップ16の出口で基材14に接触するときに、インクと面の間の粘着力よりも、インクと印刷画像担体面の間の凝集力が好適に勝るように、インクと印刷画像担体面との凝集力を間隙34内で制御することが出来る。再度、この工程のさらなる詳細、及び好適なインク塗布に関するシステム及び方法の種々の実施形態は、上述した米国特許出願第13/095,714号明細書に見ることが出来る。
【0029】
印刷画像担体12の面13は、インクに対する弱い粘着力と、そのインクに関して良好な親油性の湿潤特性とを有し、その面への均一な(ピンホール、ビーズ又はその他の瑕疵のない)インク塗布と、その後のインクが基材へと離昇する前方転写とを促進することは現状では理解されよう。シリコーンがこの特性を有する材料のうちの1つである。この特性を提供するその材料、例えば、ポリウレタン、フッ素炭素等をいくらかの割合で混ぜた混合液等も、代替的に用いることが出来る。湿し水(水ベースの湿し水等の)の適当な湿潤に関して、シリコーン面は親水性である必要はなく、実際、シリコーングリコール共重合体等の湿潤界面活性剤を湿し水に加えて、湿し水がシリコーン面を湿潤できるようにした場合、シリコーン麺は疎水性でよい。
【0030】
湿し液抽出サブシステム26は、この時点で、印刷画像担体12の面から湿し液32を選択的に取り除くよう機能する。様々な方法を用いて湿し液32を抽出することが出来る。
図2に示される一実施形態によると、高速のエアーナイフ44を用いて湿し液32を選択的に取り除き、容器40内のバキューム装置46により集めることが出来る。主として、湿し液32のインク36に対してかなり低い粘度、及びかなり高い蒸気圧により、湿し液32はインク領域36内のインクよりもかなり簡単に、印刷画像担体12から分離する。また、上述の親油性印刷画像担体12の面へ湿し液の引力より強い油ベースのインクの引力により、湿し液が優先的に下に落ち得る。湿し液32はまた、インクの疎水性の性質と湿し液の疎油性とにより、インク領域36内のインクから比較的きれいに分離する。
図3に示されるさらに別の実施形態では、湿し液32はバキューム装置46により、インク領域36により、形成されたインクのパターンを最小限しかかき乱さずに直接取り除かれ得る。インク領域36により形成されたインクのパターンを最小限にしかかき乱さないように、その他の方法及び装置が考案され、これにより多くの方法を用いて湿し液32を取り除くことが出来ることは言うまでもない。したがって、事前に形成されたインク領域36のパターンは、液体の間隙38がその間に配置された状態で、印刷画像担体12の面上に残る。
【0031】
図1に戻ると、蒸気の形で抽出された湿し液が、液体の形で簡単に集められる場合、液化し容器40内に集められる。リサイクリング装置42による好適な方法を随意的に用いてインク及びその他の汚染を、湿し液から取り除くことが出来る。次いで、処理された湿し液は、上記で議論した通り、印刷画像担体12の面に塗布されるために、湿し液分配サブシステム20に戻され得る。
【0032】
次いで、印刷画像担体12の面に残るインク領域36のパターンは交換液分配サブシステム28に近接する。交換液分配サブシステム28の構造や機構は、印刷画像担体12の面に残るインク領域36のパターンをかき乱さないよう特別に考慮されている以外は、湿し液分配サブシステム28とほぼ同じでよい。
図1では、ローラ機構は、印刷画像担体12の面から、少なくともインク領域36を形成するインク厚みの分だけ離れて配置されている。このローラ機構により、交換液50が、印刷画像担体12の面に分配される。
図4に示される別の実施形態では、噴霧ノズル48により交換液50が印刷画像担体12の面に分配される。
【0033】
交換液分配サブシステム28の種々の実施形態では、交換液はインクにより弾かれるが、印刷画像担体12の面を湿潤可能でなければならない。したがって、インクと交換液との十分な分離を促進するよう交換液は、一般に水ベースの材料となる。交換液は簡単に取り除かれ、きれいな面を印刷画像担体12に提供すように、この交換液も印刷画像担体12の面から容易に分離されなければならない。一実施形態では、沈着し印刷画像担体12の面13から取り除くことが難しい可能性のある界面活性剤を交換液は含まない。一実施形態によると、交換液は、アルコールと水との混合液である。別の実施形態によると、イオン化されたシリコーン溶液を含む混合液が用いられる。
【0034】
あるいは、交換液50は、インク画像領域間のより広い空間に塗布され得、丸くなることが出来る。丸まった交換液は、転写ニップ内で延ばされ潤滑膜として機能する。インクジェット記録ヘッド42を用いて、インク画像を生成するために用いられたデータに基づいて、(例えば光学パターン化サブシステム22と協力して)交換液を塗布することが出来る。そのような機構を
図5に示す。
【0035】
再度
図1に戻ると、上記の説明では湿し液抽出サブシステム26及び交換液分配サブシステム28は、互いに分離し独立したサブシステムとして示される。しかし、いくらかの実施形態では、これらのサブシステムは交換液サブシステムの一部でよい。同様に、容器40及びリサイクリング装置42は独立した要素として示されているが、これらもまた、単一の交換液サブシステムの要素を形成可能である。あるいは、単一の交換液サブシステムは、湿し液抽出サブシステム26、交換液分配サブシステム28、及びリサイクリング装置42を含み、このリサイクリング装置42は、容器40なしで直接湿し液抽出サブシステム26と接続する。交換液サブシステムは既存の可変データリソグラフィシステムに対してアップグレードすることが出来、この可変データリソグラフィ印刷システムは交換液サブシステムを受け入れるよう改良され、可変データリソグラフィシステムの設計要素を形成することが出来る。
【0036】
この交換液は、インク領域36間に露出する印刷画像担体12の面を覆う(少なくとも部分的に)が、インク領域36を湿潤させない。次いで交換液は(インクと共に)潤滑剤として機能して、印刷画像担体12と基材14との間の接触部での面13の(即ち、相対的な基材14の面の粗さにより生じる)摩擦を低減する。
【0037】
したがって、交換液により分離されたインク領域36を有する印刷画像担体12は、次いで、ニップ16で基材14と物理的に接触する。インク領域36内のインクが基材14と物理的に接触するために、印刷画像担体12と加圧ローラ18との間で十分な圧力がかけられる。基材14へのインクの粘着性及び強い内部凝集性により、インクが印刷画像担体12から分離し、基材14に粘着する。加圧ローラ18やニップ16のその他の要素を冷却して、さらにインクの基材14への転写を促進することが出来る。実際には、基材14自体を印刷画像担体12上のインクよりも比較的低温で維持し、又は局所的に冷却して、転移工程でインクの転写を補助することが出来る。質量で計測して95%より高い効率、及びシステムを最適化し他状態で99%を超える効率で、インク印刷画像担体12から転写可能である。
【0038】
いくつかの交換液も基材14を湿潤させ、印刷画像担体12から分離させることができる。しかし、転移する交換液の量は比較的に少なく、を素早く蒸発してしまう、又は基材14に吸収されてしまう。
【0039】
次いで、担体クリーニングサブシステム30が、好ましくは面13を廃棄、即ち削ることなしに、交換液の残り、及び全ての残余インクを印刷画像担体12から取り除く。十分な空気流を有するエアーナイフにより、交換液の、全てではないにしろほとんどが、取り除かれる。交換液は低コストで環境にやさしい材料が理想的であり、エアーナイフにより取り除かれない全ての液体は単純に蒸発する。堆積した交換液は、その後のインク及びその他の汚染物の除去工程で安全に廃棄される。印刷サイクル後の過剰な交換液の総容量は、非常に少ないが、クリーニングステージで液体を堆積するための容器(図示せず)を設けることが出来る。
【0040】
粘着性、接着性ベルト、ローラ又は類似の装置を用いて、残余インクを取り除くことが出来る。再度、本明細書に記載する種類のシステムでは、印刷効率は非常に高く、印刷工程に関する残余インクの量が極めて少ないが、全ての残余インクが可変リソグラフィシステム内の専用部材上に堆積され得、この専用部材はシステム等の消耗品よく、定期的に交換・清掃することが出来る。
【0041】
例えば上記で説明された方法100のステップを
図6に示す。ステップ102で、湿し液の層を印刷画像担体の面に塗布する。ステップ104で、湿し液層をパターン化する。ステップ106で、パターン化された湿し液の層にインクを塗布する。ステップ108で、湿し液を取り除き、ステップ110で、交換液に取り換える。ステップ112で、インク画像を基材に転写する。ステップ114で、印刷画像担体の面の残余インク及び交換液をクリーニングし、随意的に再度、新しい画像対して、このプロセスを開始する。随意的に、取り除かれた湿し液を好適に処理して、ステップ116で、リサイクルし、次いでステップ102で、印刷画像担体の面に再塗布する。
【0042】
本明細書では、オフセットシリンダやブランケットシリンダの無い単一の画像作成シリンダを有するシステムを図示し説明してきた。このような実施形態では、印刷画像担体の面は、印刷媒体の粗さと高圧力の加圧シリンダを介して等角である材料から形成されるが、大量印刷に対して必要である、好適な引っ張り強度を維持する。従来、これはオフセット印刷システム内のオフセットシリンダ又はブランケットシリンダの役割である。しかし、オフセットローラが必要であるということは、即ち、より多くの機構部品のメンテナンス及び修理/交換の問題を抱え、生産コストが高く、ドラム(あるいはベルト、印刷板等の)の回転運動を維持するために余分なエネルギを消費する大型のシステムを示唆する。したがって、本明細書では、完全な印刷システム内でオフセットシリンダが使用され得ることを考慮しているが、必ずしもそうではない。むしろ、その代りとして、印刷画像担体面は、直接基材に接触して、再度画像作成可な能面の層から基材へのインク画像の転写に影響を与える。これにより、部品のコスト、修理/交換のコスト、及び必要な運転エネルギを全て抑える。