(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のHUD装置に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0017】
<HUD装置の概要>
本実施形態におけるHUD装置1の外観を
図1に、
図1に示したHUD装置1の全体構造を
図2に、HUD装置1を搭載した車両の車室内の外観を
図3に、
図1に示したHUD装置1の防眩カバー5を含む一部分の構造を拡大して
図4に示す。
図4では、カバー照明用光源21を表すために、一部を破断させて示している。各図において、車両の前後方向を矢印Yで示し、車両の上下方向を矢印Zで示し、車両の左右方向を矢印Xで示している。
【0018】
図1に示したHUD装置1は、
図3に示すように、一部分が露出可能な状態でインストルメントパネル10の内側に埋め込まれて車両に搭載される。インストルメントパネル10の上方に露出する部分には、コンバイナ3及び防眩カバー5が含まれる。コンバイナ3及び防眩カバー5は、後述する可動機構を有しており、インストルメントパネル10の内側に没入して格納されることもできる。即ち、コンバイナ3及び防眩カバー5は、当該コンバイナ3及び防眩カバー5がインストルメントパネル10から突出する位置(後述する
図9に示す位置。)と、インストルメントパネル10の内側に没入する位置(後述する
図7に示す位置。)との間で移動することができる。また、コンバイナ3及び防眩カバー5は互いに独立して駆動することができる。
【0019】
さらに、防眩カバー5は、コンバイナ3との相対的な移動により、
図1に示すコンバイナ3の表面を覆う位置(後述する
図7〜
図9に示す位置。)と、
図2に示すコンバイナ3の表面を露出させる位置(後述する
図11に示す位置。)との間で移動することもできる。HUD装置1の利用時には、
図2に示すように、コンバイナ3はインストルメントパネル10の上方に突出して露出し、防眩カバー5はコンバイナ3よりも下方の位置まで移動する。
【0020】
図2に示すように、HUD装置1の内部には照射装置2が配置されている。照射装置2はHUD装置1が表示すべき可視情報を含む光像を表示光L1として出射する。この表示光L1は、
図2に示すようにコンバイナ3の反射面30で反射し、運転席に着座している運転者の目の方向に向かう。
【0021】
この場合、運転者が視認する光像は、反射面30で反射した光であるので、運転者から視て反射面30よりも前方に虚像として結像する。したがって、運転者はフロントウインドシールド(窓ガラス)Wを透過して視える車外の風景と、反射面30を介して視認できるHUDの虚像とを同等の距離にある像として認識することができる。
【0022】
一方、例えば
図3に示すように、ルームランプ又は太陽光等の光が不要光L2としてHUD装置1の箇所に照射される場合には、不要光L2がHUD装置1により反射して運転者の目の方向に向かう虞がある。特に、コンバイナ3の展開/格納のための移動に伴って反射面30の傾きが変化する場合には、不要光L2の反射方向が一時的に運転者の目の方向と一致する蓋然性が高く、不要光L2により運転者が眩惑され易い。
【0023】
このように眩惑が発生し易いコンバイナ3の移動時において、本実施形態に係るHUD装置1では、
図3に示すように防眩カバー5がコンバイナ3の反射面30を覆う位置に配置される。より具体的には、防眩カバー5は、コンバイナ3における表示光の反射方向である車両前後方向から視た場合にコンバイナ3と重なるように、コンバイナ3に対して車両後方側に配置されている。防眩カバー5は後述するように防眩性を有し、光の反射が生じ難い構造になっているので、運転者の目の方向への不要光L2の反射を抑制し、眩惑の発生を防止することができる。
【0024】
但し、不要光L2が運転者の目の方向へ向かう可能性が高いのは、コンバイナ3の展開/格納のための移動時である。即ち、運転者がHUD装置1を利用する時には、下方からの表示光L1の反射光が運転者の目の方向へ向かうようにコンバイナ3の傾きが調整されているため、上方からの不要光L2は、反射面30で反射しても運転者の目の方向とは異なる方向へ向かうことが想定される。
【0025】
このため、運転者がHUD装置1を利用する際には、防眩カバー5によるコンバイナ3の被覆は不要であり、
図2に示すように防眩カバー5はコンバイナ3から離脱して下方に移動する。これにより、表示光L1は防眩カバー5の影響を受けることなく反射面30で反射し、運転者の目の方向に向かう。このように、HUD装置1では、防眩カバー5は、車両前後方向から視た場合にコンバイナ3と一部が重なる位置(第1の位置)と、当該方向から視た場合にコンバイナ3と重なる部分が前記一部とは異なる位置(第2の位置)と、の間で移動可能である。
【0026】
本実施形態においては、
図4に示すように、防眩カバー5の表面(運転者に近い面)には、表示要素5aが形成されている。この表面は防眩性を付加した加工面5bとして形成されており、具体的には光を乱反射する乱反射面として形成されている。
【0027】
表示要素5aは、使用者(運転者)に伝達すべき情報を可視情報として表したものであり、代表的な可視情報としては文字、図形、記号、及びこれらの組み合わせなどが考えられる。例えば、HUD装置1による表示の開始/終了に先立つ演出効果を表現したり、当該表示に関する注意事項を運転者に伝達するために表示要素5aを利用することができる。つまり、本実施形態の防眩カバー5は、不要光L2による眩惑を防止する機能に加えて、表示要素5aを用いて可視情報を使用者に伝達するための機能も有している。
【0028】
<防眩カバー及びカバー照明機構の構造>
防眩カバー5及びカバー照明機構の外観、並びに縦断面の構造を
図5に示す。
図5に示す防眩カバー5は、所定の光を透過可能な材料(例えば樹脂。)により薄板状に形成されている。また、防眩カバー5の一方の面(運転者側の面)は加工面5bとして形成され、反対側の面は反射面5cとして形成されている。
【0029】
加工面5bには、ブラスト加工が施されている。即ち、加工面5bには、(砂粒等)が高速で表面に吹き付けられることにより、磨りガラスのような不規則な細かい凹凸が表面に形成されている。これにより、加工面5bは光を乱反射する性質を有する。一方、反射面5cは、平坦な面として形成され、光を反射する性質を有する。
【0030】
表示要素5aは、例えば以下に示す(1)〜(3)のいずれかの方法、又はこれらの組み合わせにより形成される。
(1)光を透過しない性質を有する塗料を用いて表示要素5aを印刷する。これにより使用者は黒色のパターンとして表示要素5aを視認できる。
(2)光を透過する性質を有する塗料を用いて表示要素5aを印刷する。これにより使用者は光透過率に応じた光量の違いにより表示要素5aのパターンとそれ以外の領域とを区別することができる。
(3)彫刻などにより表示要素5aに相当する箇所の表面を削る。これにより、表示要素5aの箇所だけが均一な反射面となり、その周囲が乱反射面(加工面5b)なので、光量に違いが生じる。この結果、使用者は光量の違いにより表示要素5aのパターンとそれ以外の領域とを区別することができる。
【0031】
コンバイナ3がインストルメントパネル10から突出した位置に移動する際には、防眩カバー5は
図5に示すように先端部5fが上方に配置され、後端部5gが下方に配置された状態で移動する。また、防眩カバー5の運転者側には、防眩カバー5を照明するための照明光を出射するカバー照明用光源21が配置されている。
【0032】
防眩カバー5の後端部5gには、
図5(B)に示すように加工面5b及び反射面5cの延在方向に対して約45度傾斜した、傾斜面5eが形成されている。加工面5bにおける傾斜面5eと対向する部分には、カバー照明用光源21から出射された照明光を防眩カバー5の内部に導く入射部5dが形成されている。この入射部5dには、ブラスト加工が施されていない。カバー照明用光源21は、当該入射部5dと対向する位置に配置されている。
【0033】
図5(B)に示すように、カバー照明用光源21から入射部5dに入射した照明光の大部分は、傾斜面5eに入射する。この光は、傾斜面5eで反射した後、防眩カバー5の内部において加工面(乱反射面)5bでの反射及び反射面5cでの反射を繰り返しながら先端部5fに向かう。
【0034】
また、防眩カバー5の傾斜面5eで反射した光が加工面5bに入射する。当該入射光の一部は、乱反射して弱い光となり、加工面5bを透過して防眩カバー5の外側に向かう。そして、使用者は、当該加工面5bから出射した光を視認する。これにより、加工面5bが照明される。この照明光の光量は、表示要素5aが形成されている領域とその周囲とで相違する。このため、使用者は光量の違いにより表示要素5aの表示パターンを認識できる。
【0035】
カバー照明用光源21の点灯/消灯の切り替えは、例えば車両の他の照明と連動して行うことができる。或いは、点灯/消灯を切り替えるための操作スイッチを設ける構成としてもよいし、照度センサからの出力に基づいて切り替える構成としても構わない。また、上記構成により夜間だけ点灯してもよいが、HUD装置1の表示を開始/終了する際の演出効果を上げるために昼間に点灯してもよい。また、照明する時間帯や押下された操作スイッチの種別等に応じて、照明光の色や点灯時間、点滅周期等を変更する構成としても構わない。また、使用者から視えない位置に防眩カバー5が移動した時には、カバー照明用光源21の照明は消灯されることが望ましい。
【0036】
<機構部の構成及び動作の具体例>
<構成の説明>
コンバイナユニットの外観を
図6に示す。前述のコンバイナ3や防眩カバー5を含む機構が、
図6に示すようなコンバイナユニットとして一体化されている。
【0037】
HUD装置1の第1の状態〜第5の状態を
図7〜
図11に示す。HUD装置1は、格納状態から展開して使用状態まで遷移する際には、第1の状態から第5の状態に向けて状態が遷移する。尚、
図7〜
図11では、表示要素5aは省略して示している。
【0038】
各図に示した機構部等の詳細な構成について以下に説明する。
図3に示すように、インストルメントパネル10の上面10aの運転席正面の部分には、HUD装置1を組み付けるための開口10bが設けられている。HUD装置1は、この開口10bを覆うようにインストルメントパネル10の内側に取り付けられる。
【0039】
HUD装置1は、
図2に示すように、コンバイナ3と防眩カバー5とを移動自在に支持する支持機構4を備えている。
【0040】
照射装置2は、液晶パネルに光を透過させて投射する、周知の液晶プロジェクタである。照射装置2は所定の制御基板からの制御信号を受け付けることにより、複数の液晶セルからなる液晶パネル上に制御信号に応じた文字や図形などの表示情報を形成する。そして、この表示情報をバックライトによって背面から照明することにより、表示像を含む表示光L1が表示面20から照射される。
【0041】
コンバイナ3は、板ガラスと、該板ガラスの一方の面に蒸着された錫や銀などの光半透過膜とを有する周知のハーフミラーである。コンバイナ3は、光透過性を有しており、照射装置2の車両前方側に配置される。コンバイナ3は、照射装置2から照射される表示光L1を車両後方側(反射方向における順方向)に反射し、且つ、車両前方側からの光を車両後方側に透過させる。
【0042】
支持機構4は、
図2に示すように、ケース(筺体)6と、ベース7と、該ベース7を移動させる第1駆動手段70と、防眩カバー5をベース7に対してスライド移動させる第2駆動手段80と、を備えている。
【0043】
ケース6は、
図2に示すように、下ケース6Aと、上ケース6Bと、を備えている。下ケース6Aは、コンバイナ3、防眩カバー5、ベース7、第1駆動手段70、及び第2駆動手段80を収容する第1収容部61と、照射装置2を収容する第2収容部62と、を備えている。
【0044】
第1収容部61は、長方形板状の底壁63と、該底壁63の縁から立設された4つの側壁64と、を備え、底壁63と対向する位置に第1開口を有して構成されている。4つの側壁64のうち一つの側壁64Aには、第1開口側(上方側)の端を切り欠いた矩形状の切欠き部(図示せず。)が形成されている。
【0045】
第2収容部62は、前記切欠き部の縁から外側方向に立設された3つの周壁60と、該3つの周壁60の縁を連ねるとともに、切欠き部と対向する第2側壁64Bと、を備え、第1開口と連続する位置に第2開口を有して構成されている。この第2収容部62内には、照射装置2が、その表示面20が第2貫通孔65c(後述する。)に向かうように収容されている。そして、
図2に示すように、表示面20から照射された表示光L1は、第2貫通孔65cを通って、コンバイナ3の反射面30に入射する。
【0046】
上ケース6Bは、長方形板状の天壁65と、該天壁65の縁から立設され、下ケース6Aの側壁64に重なる重なり壁66と、仕切り壁67と、を備えている。
【0047】
天壁65は、インストルメントパネル10の開口10bと略同一の長方形板状に形成されており、この開口10b内に配設されこの天壁65の上面65aは、運転席に向かうに従って上方に向かうように傾斜して、インストルメントパネル10の上面10aと連続する面となるように形成されている。また、天壁65は、下ケース6Aの開口(第1開口及び第2開口)を覆うように設けられている。
【0048】
天壁65には、第1開口と連通する位置に設けられた第1貫通孔65bと、第2開口と連通する位置に設けられた第2貫通孔65cと、が形成されている。第1貫通孔65bは、その長手方向が天壁65の短手方向に沿う長方形状に形成され、内側にコンバイナ3及び防眩カバー5を挿通させる。第2貫通孔65cは、その上辺及び下辺が天壁65の短手方向に沿う台形状に形成されている。
【0049】
仕切り壁67は、その短手寸法が、第2貫通孔65cの第1貫通孔65b側の上辺寸法と等しい長方形板状に形成され、この長手方向の一端が、第2貫通孔65cの上辺に連なり、長手方向の他端が第2収容部62の下方側に位置する周壁60に向かって延在し、第1収容部61と第2収容部62とを仕切っている。
【0050】
ベース7は、
図6に示すように、ベース本体71と、一対のレールガイド72と、を備えている。ベース本体71は、長方形状の上面71A、及び上面71Aと相対する下面71Bと、これら面71A、71Bの短手方向の両縁に連なる一対の第1側面71Cと、これら面71A、71B、71Cの長手方向の両縁に連なる一対の第2側面71Dと、を有して、略直方体状に形成されている。
【0051】
ベース本体71の上面71Aには、コンバイナ3を保持固定するコンバイナ保持部73と、防眩カバー5を保持する防眩カバー挿通部74と、が設けられている。コンバイナ保持部73は、コンバイナ3の厚み方向が上面71Aの短手方向に沿う向きで、コンバイナ3の下端部を保持固定している。
【0052】
防眩カバー挿通部74は、防眩カバー5を挿通可能に形成された貫通孔であり、コンバイナ保持部73よりも照射装置2側(車両の後方側、運転者側)に設けられている。防眩カバー5は、防眩カバー挿通部74内に挿通される。そして、防眩カバー5は、防眩カバー5に形成された第2ラック82(後述する。)に第2ピニオン81(後述する。)が噛合することによって、第2ピニオン81と防眩カバー挿通部74の内面との間に挟まれる。これにより、防眩カバー5は、防眩カバー挿通部74に、該防眩カバー挿通部74の貫通方向に移動可能に保持される。
【0053】
一対のレールガイド72の各々は、
図6に示すように、第1側面71Cの下方(下面71B)側に設けられている。各レールガイド72は、各第1側面71Cの外面から円柱状に突設され、その直径寸法は、第1レール79A(後述する。)の短手寸法と略等しく形成されている。
【0054】
第1駆動手段70は、
図6に示すように、第1ピニオン75と、第1ラック76と、第1駆動ギア77と、第1ピニオン75と第1駆動ギア77との間に設けられた中間ギア78と、ベース7を扶持する一対の挟持板79と、を備えている。
【0055】
第1ピニオン75は、ベース7の第1側面71Cに回転自在に支持されている。この第1ラック76は、第1レール79A(後述する。)の延在する方向に沿って、第1ピニオン75に噛合する複数の歯を有して構成されている。第1ラック76は、第1レール79Aの下面のみに設けられている。
【0056】
第1駆動ギア77は、駆動源であるモータ(図示せず。)と、該モータの出力軸77Aに固定された駆動ギア77Bと、を備えている。
【0057】
一対の挟持板79は、
図2及び
図6に示すように、略直角三角形板状に形成されており、ケース6の底壁63の短手方向両端部に垂直に立設され、車両の前後方向(矢印Y方向)に沿って配置されている。各挟持板79は、1つの鋭角部79a(
図2参照。)が底壁63の第2収容部62側(車両の後方側)で、且つ、底壁63側に位置付けられており、直角部79b(
図2参照。)が車両の前方側に向かうに従って底壁63からの距離が大きくなるように斜めに配置されている。一対の挟持板79は、ケース6の側壁64の内面に固定される。
【0058】
一対の挟持板79の各々には、第1ピニオン75を案内する第1レール79Aと、レールガイド72を案内する第2レール79Bと、が設けられている。第1レール79Aは挟持板79の斜辺に沿って設けられ、第2レール79Bは、第1レール79Aよりも下方側に、挟持板79の底辺に沿って設けられている。また、第1レール79Aの一端部(車両の後方側の端部)は、第2レール79Bの一端部(車両の後方側の端部)よりも車両の前方側に設けられている。一対の挟持板79は、第1レール79Aが第1ピニオン75を案内し、第2レール79Bがレールガイド72を案内することにより、ベース7を揺動自在に支持する。
【0059】
第1レール79Aは、挟持板79を貫通した帯板状に形成されている。この第1レール79Aは、その底面に設けられた第1ラック76に第1ピニオン75を噛合させることにより、第1ピニオン75を第1レール79Aの延在方向に案内する。
【0060】
第2レール79Bは、挟持板79を貫通した帯板状に形成され、ケース6の底壁63に向かって凸の曲面を有して構成されている。この第2レール79Bは、内側にレールガイド72を挿通させ、レールガイド72を第2レール79B内に摺動自在に支持することにより、レールガイド72を第2レール79Bの延在方向に案内する。
【0061】
このような第1駆動手段70は、第1ラック76がコンバイナ3の左右両端部に一対設けられ、各第1ラック76に対して1つずつ第1ピニオン75が設けられ、モータが共通で1つ設けられ、この1つのモータによって一対の第1ピニオン75が回転される構成である。そして、第1駆動手段70は、第1ピニオン75が回転することにより、第1ピニオン75が第1ラック76に対して移動され、この第1ピニオン75の移動に連動して、レールガイド72が、第1レール79Aに対して移動されることにより、ベース7を挟持板79に対して揺動自在に移動させる。
【0062】
第2駆動手段80は、
図6に示すように、ベース本体71に回転自在に支持された第2ピニオン81と、第2ラック82と、第2駆動ギア83と、を備えている。第2ピニオン81は、第2側面71Dの下方側に、防眩カバー5に形成された第2ラック82に噛合可能な位置に設けられている。
【0063】
第2ラック82は、防眩カバー5の、コンバイナ3と反対側の面に設けられている。この第2ラック82は、防眩カバー5の下端側に設けられているとともに、前述した防眩カバー挿通部74の挿通方向に沿って、第2ピニオン81に噛合する複数の歯を有して構成されている。
【0064】
第2駆動ギア83は、駆動源であるモータ(図示せず。)と、該モータの出力軸83Aと、を備えている。この出力軸83Aは第2ピニオン81に固定されている。
【0065】
このような構成の第2駆動手段80は、モータが回転し、このモータの回転による駆動力が、第2ピニオン81に伝達されると、第2ピニオン81が回転し、第2ピニオン81が第2ラック82に対して移動され、防眩カバー5を、防眩カバー挿通部74に対してスライド移動させる。
【0066】
<動作の説明>
次に、上述した構成のHUD装置1の機構部の動作例について以下に説明する。
【0067】
コンバイナ3が待機状態の位置にある時には、
図7に示す第1の状態になる。この際、第1ピニオン75が第1レール79Aの一端部に位置付けられ、レールガイド72が、第2レール79Bの一端部に位置付けられ、コンバイナ3及び防眩カバー5は上向きに倒伏した状態で、ケース6の内側に格納されている。また、第2ピニオン81が第2ラック82の下端部に位置付けられた状態で噛合され、防眩カバー5が、コンバイナ3の反射面30全体を覆う被覆位置に位置付けられている。
【0068】
ここで、被覆位置とは、防眩カバー5が、反射面30上の一部であり、外光や室内からの不要光L2をドライバーに向かって反射させる部分を覆う位置に位置付けられたことをいう。尚、防眩カバー5は、反射面30の少なくとも一部を覆っていればよく、全体を覆っていなくとも構わない。
【0069】
第1駆動ギア77のモータの駆動を開始させることにより、防眩カバー5が被覆位置に位置決めされた状態を保ちつつ、
図8に示す第2の状態になる。即ち、第1ピニオン75が回転し、第1ピニオン75が第1レール79Aの一端部から他端側に移動されるとともに、レールガイド72が、第2レール79Bの一端部から他端側に移動されることにより、コンバイナ3は、天壁65の上面65aに対して上向きに傾倒した状態で、ケース6の開口から突出する。
【0070】
さらに、第1ピニオン75の回転に伴って、
図9に示す第3の状態に遷移する。第1ピニオン75が第1レール79Aの他端部に位置付けられ、第1ピニオン75が第1レール79Aの他端部に位置付けられることにより、コンバイナ3は、反射面30の角度が変化しつつ回動変位され、天壁65の上面65aに対して起立した展開位置に位置付けられる。この第3の状態で、第1駆動ギア77のモータの駆動を停止させる。
【0071】
このように、コンバイナ3が待機位置から展開位置まで移動する移動途中では、防眩カバー5は被覆位置に位置付けられた状態を保つ。即ち、防眩カバー5は常に被覆位置に位置付けられており、外部からの不要光L2を運転者に向かって反射させる部分が覆われている。したがって、不要光L2が反射面30で反射することを確実に防止でき、ドライバーに眩しさを感じさせることを確実に防止できる。
【0072】
次に、第2駆動ギア83のモータの駆動を開始させることにより、
図10に示す第4の状態に遷移する。このとき、第2ピニオン81が回転し、第2ピニオン81が第2レール79Bの下端部から上端側に移動されることにより、防眩カバー5が、コンバイナ3に対して下方側にスライドする。
【0073】
第4の状態から、第2ピニオン81の回転に伴って、更に
図11に示すような第5の状態に変化する。第2ピニオン81が第2ラック82の上端部に位置付けられることにより、防眩カバー5が、コンバイナ3に対して下方側にスライドし、コンバイナ3の反射面30全部が露出する露出位置に位置付けられる。
【0074】
ここで、露出位置とは、防眩カバー5が、反射面30上の反射位置を霹出する位置に位置付けられたことをいう。即ち、反射面30全体が露出していなくてもよい。防眩カバー5の反射面30のうちの、表示光L1を反射する部分が露出する位置に移動すればよい。
【0075】
この状態で、HUD装置1は使用される。この際、防眩カバー5は、露出位置に位置付けられているため、表示光L1がコンバイナ3によって運転者に向けて反射される。
【0076】
次に、コンバイナ3が展開位置から格納位置まで移動する場合の動作について説明する。コンバイナ3が格納位置から展開位置に移動する際の駆動方向と反対方向に出力軸77A、83Aを回転させることにより、コンバイナ3が、当該コンバイナ3の格納位置から展開位置まで移動する。つまり、第5の状態から第1の状態に向けて状態が遷移する。
【0077】
この場合にも、コンバイナ3が展開位置から待機位置まで移動する移動途中では、防眩カバー5が被覆位置に位置付けられた状態を保つために、防眩カバー5は常に被覆位置に位置付けられ、不要光L2を運転者に向かって反射させる部分を覆う。したがって、不要光L2が反射面30で反射することを確実に防止できるので、運転者に眩しさを感じさせることを確実に防止できる。
【0078】
以上説明したように、HUD装置1では、防眩カバー5は、ケース6から突出し、車両前後方向から視た場合にコンバイナ3と一部が重なる位置(第1の位置、例えば
図10に示す位置。)と、ケース6に没入し、車両前後方向から視た場合にコンバイナ3と重なる部分が前記一部とは異なる位置(第2の位置、例えば
図11に示す位置)と、の間で移動可能である。また、コンバイナ3は、ケース6から突出する位置(第3の位置、例えば
図9〜
図11に示す位置。)と、ケース6に没入する位置(第4の位置、例えば
図7及び
図8に示す位置。)との間で、傾きが変化しつつ、移動する。そして、コンバイナ3がケース6から突出する位置と没入する位置との間で移動している時間帯においては、防眩カバー5が、車両前後方向から視た場合にコンバイナ3と重なるように配置される。
【0079】
<変形例>
図12及び
図13を参照して、HUD装置1の第1の変形例及び第2の変形例について説明する。
図12は、第1の変形例に係る防眩カバー5及びカバー照明機構を示す図であり、
図12(A)は斜視図、
図12(B)は縦断面図である。第1の変形例では、カバー照明用光源21の周囲にリフレクタ22が配置されている。リフレクタ22は、入射部5dと対向する部分を除くカバー照明用光源21の周囲を取り囲むように配置されている。リフレクタ22は、カバー照明用光源21から出射された光を反射して入射部5dに導く機能を有する。リフレクタ22は、ケース6に対して固定されていてもよいし、防眩カバー5に対して固定される構成としても構わない。防眩カバー5に対して固定される構成とすれば、防眩カバー5を照明することができる。その他の構成については、上述した実施形態に係る構成と同一であるので、同一の部材については同一の符号を付して説明を省略する。
【0080】
図13は、第2の変形例に係る防眩カバー及びカバー照明機構を示す図であり、
図13(A)は斜視図、
図13(B)は縦断面図である。第2の変形例では、後端部5gが、加工面5b及び反射面5cの延在方向に対して略直角な面として形成されている。当該後端部5gは、ブラスト加工が施されておらず、表示光を入射するための入射部5dとしても機能する。そして、
図13に示すように、カバー照明用光源21及びリフレクタ22は、後端部5gと対向する位置に、上方に向けて表示光を出射するように配置されている。その他の構成については、上述した実施形態に係る構成と同一であるので、同一の部材については同一の符号を付して説明を省略する。
【0081】
以下では、実施形態に係るHUD装置1の作用及び効果について説明する。
【0082】
本実施形態に係るHUD装置1は、表示像を含む表示光を反射方向(車両前後方向)に反射するコンバイナ3と、前記反射方向から視た場合にコンバイナ3と少なくとも一部が重なるようにコンバイナ3に対して反射方向における順方向側(車両後方側)に配置された、防眩性を有する防眩カバー5と、照明光を出射するカバー照明用光源21と、を備えている。また、防眩カバー5には、当該照明光を防眩カバー5の内部に導く入射部5dが形成されている。
HUD装置1によれば、防眩性を有する防眩カバー5を備えているので、コンバイナ3からの不要光の反射に起因する眩惑を防止することができる。また、防眩カバー5の内部には、カバー照明用光源21からの照明光が入射部5dを通じて導かれるので、防眩カバー5を照明することもできる。この構成によれば、例えば、夜間に防眩カバー5を照明したり、HUD装置1の使用開始時に防眩カバー5を照明したりすることによって、従来とは異なる演出効果を実現できる。これにより、HUD装置としての商品価値を向上できる。
【0083】
また、本実施形態に係るHUD装置1では、防眩カバー5の車両後方側の面が加工面(乱反射面)5bであり、防眩カバー5の該加工面5bと反対側の面が反射面5cである。
このように、防眩カバー5の車両後方側の面が加工面5bであるので、コンバイナ3で反射されて防眩カバー5に入射した不要光L2は、加工面5bで乱反射されて弱い光となって出射する。即ち、加工面5bが形成されていることにより、防眩カバー5には防眩性が付加されている。また、防眩カバー5の加工面5bと反対側の面が反射面5cであるので、入射部5dにより防眩カバー5の内部に導かれた照明光が当該反射面5cで反射して加工面5bに向かう。また、加工面5bで反射面5cに向けて反射した光が、反射面5cで反射して加工面5bに再度向かう。即ち、加工面5bと反射面5cとの組み合わせにより、防眩カバー5の内部に進入した照明光を比較的高い確度で、加工面5bで乱反射させることができる。この結果、防眩カバー5に防眩性を付加しつつ、防眩カバー5の照明効率を向上することができる。
【0084】
また、変形例に係るHUD装置1は、照明光を反射して該照明光を防眩カバー5の入射部5dに導くリフレクタ22を更に備えている。
このように、照明光を防眩カバー5の入射部5dに導くリフレクタ22を備えているので、防眩カバー5の照明効率を向上することができる。
【0085】
また、本実施形態に係るHUD装置1では、防眩カバー5には、文字、図形、及び記号の少なくとも1つにより構成された所定の情報を表す視認可能な表示要素5aが形成されている。
このように、防眩性を有する防眩カバー5に、視認可能な表示要素5aが形成されているので、コンバイナ3からの不要光の反射に対する防眩のためだけではなく、運転者に対する情報の伝達や、装飾、又は演出効果のためにも防眩カバー5を利用できる。これにより、スペースを有効活用して、HUD装置としての商品価値を向上できる。
【0086】
尚、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態は、本発明の技術的範囲内で種々の変形や改良等を伴うことができる。
【0087】
例えば、上述した実施形態では、コンバイナ3及び防眩カバー5が、その主面が車両の前後方向と垂直となるように配置されている構成としたが、コンバイナ3及び防眩カバー5の取付け方向はこれに限られず、コンバイナ3で反射した表示光L1が使用者の視点に向かう構成であれば構わない。
【0088】
また、コンバイナ3の展開/格納のための移動機構や支持機構については様々な変形が可能である。例えば、コンバイナ3及び防眩カバー5の少なくとも一方がケース6に対して車両の上下方向(矢印Z方向)のみに直線的に移動するように支持及び案内してもよいし、或いは回動自在となるように支持してもよい。
【0089】
また、上述した実施形態では、防眩カバー5が、コンバイナ3の移動に伴って自動的に展開/格納される構成としたが、防眩カバー5が所定位置に固定されて配置されている構成としても構わない。或いは、防眩カバー5の展開/格納を使用者が手動で操作できる構成としても構わない。
【0090】
また、防眩カバー5のコンバイナ3に対する移動については、コンバイナ3の反射面30に対して平行な方向へのスライド動作だけでなく、様々な方向への移動が可能である。例えば、防眩カバー5がその一端を中心として回動することにより、コンバイナ3の表面を覆う位置とコンバイナ3の表面を露出させる位置との間で移動する構成でもよい。また、上述した実施形態では、防眩カバー5が上下方向に移動する構成であったが、左右方向に移動する構成であっても構わない。
【0091】
また、防眩カバー5に防眩性を付加する方法については、上述した実施形態では光の拡散作用を用いる構成としたが、光の吸収作用を用いる構成としても構わない。即ち、防眩カバー5の前後の少なくとも一方の面に、不要光L2を吸収可能な特性を付加する構成であっても構わない。
【0092】
また、防眩カバー5がコンバイナ3の表面を覆う動作については、コンバイナ3の展開時及び格納時のいずれか一方だけに限定することも考えられる。また、防眩カバー5がコンバイナ3の表面を覆う状態を、コンバイナ3の移動中の一部の時間帯だけに限定することも考えられる。さらに、コンバイナ3及び防眩カバー5の展開/格納の動作については、両者を同時に動かしてもよいし、一方の展開/格納動作が先に開始される構成としても構わない。
【0093】
また、実施形態に係るHUD装置1によれば、更に下記のような作用及び効果を奏することができる。
【0094】
本実施形態に係るHUD装置1では、防眩カバー5は、反射方向から視た場合にコンバイナ3と少なくとも一部が重なる第1の位置(例えば
図10に示す位置)と、反射方向から視た場合にコンバイナ3と重なる部分が前記一部とは異なる第2の位置(例えば
図11に示す位)と、の間で移動可能である。また、コンバイナ3の防眩が必要である時には防眩カバー5によりコンバイナ3が覆われ、防眩が不要である時には防眩カバー5が移動してコンバイナ3と防眩カバー5とが重なる部分が狭くなるため、利便性が向上されている。
【0095】
また、本実施形態に係るHUD装置1は、ケース(筺体)6を更に備えている。また、コンバイナ3の少なくとも一部が、ケース6から突出して配置されている。そして、防眩カバー5が、上記第1の位置においてはケース6から突出し、当該第1の位置とは異なる第2の位置においてはケース6に没入する。また、コンバイナ3のケース6から突出した部分の防眩が必要である時にはケース6から突出した位置に配置された防眩カバー5によりコンバイナ3の突出部分が覆われ、防眩が不要である時には防眩カバー5が移動してケース6に没入されるため、利便性が向上されている。
【0096】
また、本実施形態に係るHUD装置1では、コンバイナ3が、ケース6から突出する第3の位置(例えば
図9〜
図11に示す位置)とケース6に没入する第4の位置(例えば
図7及び
図8に示す位置)との間で移動可能であり、コンバイナ3が当該第3の位置と第4の位置との間を移動している時間帯の少なくとも一時点においては、防眩カバー5が、反射方向から視た場合にコンバイナ3と少なくとも一部が重なるように配置される。
これにより、コンバイナ3を利用しない時にはコンバイナ3をケース6の内部に格納できるため、運転者に対して開放感を与えることができる。また、コンバイナ3が移動している時に、コンバイナ3の表面で不要な光が反射して運転者の視点側に向かうのを防眩カバー5で阻止することができる。
【0097】
また、本実施形態に係るHUD装置1では、上記第3の位置と第4の位置との間で移動に伴って、コンバイナ3の傾きが変化する。
これにより、コンバイナ3を移動させる際にその傾きを変更できるので、比較的厚みの小さい筐体(ケース6)であっても内部にコンバイナ3を収容することができる。また、コンバイナ3の傾きを変更するので、当該変更の際に不要な光が反射して運転者の視点側に向かう可能性が高くなるが、防眩カバー5を備えているために不要な光の反射を阻止することができる。