【実施例1】
【0023】
本発明の換気口カバーの実施例について図面を参照して説明すると、
図1及び
図2は本実施例の換気口カバーの構造を説明するための断面図である。そして、図において1が本実施例の換気口カバーであり、本実施例の換気口カバー1は、 建物の壁Wに形成された給気用貫通孔内W2に挿入される本体部2と、この本体部2の室内側の開口201を開閉自在に閉鎖する風量調整板9を具備し、本体部2に対して風量調整板9を前後方向に移動することで、本体部2の室内側開口201を開閉自在としている。即ち、風量調整板9で本体部2の室内側開口201を閉鎖した状態が
図1の状態であり、風量調整板9を移動させて本体部2の室内側開口201を解放した状態が
図2の状態である。
【0024】
まず、前記本体部2について図面を参照して説明すると、
図3は本体部2の斜視図、
図4は本体部2の正面図であり、本実施例における本体部2は、建物の壁Wに形成された給気用貫通孔内W2に挿入される挿入体3を有しており、この挿入体3は、前記給気用貫通孔W2の形状に合わせて、本実施例においては円筒状としている。
【0025】
そして、この挿入体3の先端部の外周には化粧縁部4が外周側に向けて連設されており、この化粧縁部4は、前記給気用貫通孔W2の孔縁を覆うために用いられている。なお、挿入体3は必ずしも円筒状である必要はなく、給気用貫通孔W2の形状が角孔であれば角筒状にする。
【0026】
次に、図において5はスライダー受け部である。即ち、本実施例の換気口カバー1では、前記挿入体3内にスライダー受け部5が支持されており、このスライダー受け部5は、中空の角棒状としており、支持板8によって、前記挿入体3の中心部分に支持されている。
【0027】
即ち、前記スライダー受け部5の4か所の角部分にはそれぞれ、放射状方向に向けて板状とした支持板8が連設されており、この支持板8の先端部は前記挿入体3内壁に連結されている。そしてこれにより、前記スライダー受け部5は、前記挿入体3の内部における中心部分に支持されている。但し、前記支持板8は必ずしも板状にする必要はなく、挿入体3の内部にスライダー受け部5を支持可能であればいずれの形態でもよい。
【0028】
次に、
図1において前記本体部2の室内側の開口201を開閉自在に閉鎖する風量調整板について説明すると、
図1、2において10が風量調整板であり、本実施例において風量調整板9は、前記挿入体3の開口を十分に覆うことが可能な面積を有する角型の板状としており、前記化粧縁部4の内周側に配置されることとしている。
【0029】
そして、風量調整板9における前記本体部2に対向する面、即ち風量調整板9の裏面には、本体部2側に向けてスライダーが突設されている。即ち、
図1、2において10がスライダーであり、本実施例においてスライダー10は、角棒状としており、長手方向に沿って間隔を置いて係止凹部11が形成され、前記スライダー受け部5内に挿抜自在に挿入されている。
【0030】
また、前記スライダー受け部5内には弾性体としてのスプリング12が備えられており、このスプリング12は、スライダー受け部5内に挿入された前記スライダー10を、スライダー10がスライダー受け部5から抜ける方向へ付勢している。即ち、前記スライダー受け部5は、室内側、即ち風量調整板9側は解放され、屋外側は閉鎖されており、その内部において、屋外側の閉鎖された部分とスライダー10間にスプリング12が配設されており、これにより、前記スライダー10は常時、スライダー受け部5から抜ける方向へ付勢されている。なお、本実施例においては、前記スライダー10の先端部に長手方向に向けて小孔を形成して、この小孔内にスプリング12の先端を挿入させ、これによりスプリング12の位置を固定している。
【0031】
そして、このスライダー10は、ストッパーによって、スライダー受け部5から抜け出ることが阻止されている。即ち、図において13がストッパーであり、このストッパー13は、前記スライダー10の挿抜方向に直交する方向に向けて移動自在としている。また、前記ストッパー13には係止爪部15が形成されており、この係止爪部15は、前記スライダー10に形成した係止凹部11に係止可能としており、係止凹部11に係止爪部15を係止した状態では、前記スライダー10は前記スライダー受け部5から抜ける方向へは移動できず、一方、スライダー10がスライダー受け部5へ挿入される方向への移動は可能となる。
【0032】
この関係を詳細に説明すると、
図5はスライダー受け部5内にスライダー10が挿入されているとともに、スライダー10の係止凹部11にストッパー13の係止爪部
15が係止している状態を示しており、
図6は、スライダー受け部5、スライダー10及びストッパー13を分解して示した図である。
【0033】
そして、図においてストッパー13は、前記スライダー受け部5の下端部に周設される枠状のストッパー本体14を有しており、このストッパー本体14は、スライダー受け部5の長手方向に直交する方向に移動自在であり、内周側の先端部には、前記スライダー10に形成した係止凹部11に係止される係止爪部15が形成されている。
【0034】
一方、前記スライダー受け部5は、前記ストッパー13がスライド自在に嵌合されるガイドを有しており、前記ストッパー13は、前記ガイドに嵌合することで、スライダー受け部5の長手方向に直交する方向にのみ移動自在としている。即ち、前記スライダー受け部5の下端部分には、対向する側壁の外周側にそれぞれ、上下二段に亘り、スライダー受け部5の長手方向に直交する方向に向けて長尺のガイド部材701が連設され、これにより、ガイド部材701間にガイド溝702が形成され、このガイド部材701とガイド溝702でガイド7が構成されている。
【0035】
また、前記スライダー受け部5の下端部分において、ガイド7が形成された側壁以外の側壁部分には切り欠き部6が形成されている。そして、前記ストッパー13は、前記ガイド溝702内に嵌合する形態で、かつ、係止爪部15が前記切り欠き部6内に対向する配置で、ガイド溝702に沿ってスライダー受け部5の長手方向に直交する方向へ移動自在にして、前記スライダー受け部5の下端部に周設されている。また、ストッパー13は、前記スライダー受け部5における切り欠き6に対向する側壁と前記ストッパー本体14の内周の基端側間に介在させたスプリング16により、常に基端側に、即ち反スライダー受け部側に付勢されている。そしてこれにより、係止爪部15は常に、切り欠き部6を通過してスライダー受け部5内に侵入している。
【0036】
一方、前記ストッパー本体14の基端側にはレバー17が連設されており、このレバー17の反ストッパー本体部側には押圧部18が連設されており、押圧部18をストッパー本体14の側に押圧してストッパー本体14を先端側に移動することで、係止爪部15をスライダー受け部5から出すことが可能である。なお、本実施例において前記押圧部18は、前記化粧縁部4に形成した押圧部用切り欠き401内に配置されている。
【0037】
次に、前記スライダー10に形成した係止凹部11は、スライダー10の側面からスライダー10の長手方向に直交する方向へ形成された水平面1101と、この水平面1101の最奥部から斜め下方に向けて形成されたテーパー面1102により形成されている。そして、本実施例においては、スライダー10の長手方向に沿って間隔を置いて、4個の係止凹部11が形成されており、この係止凹部11が前記スライダー受け部5の下端に形成した切り欠き部6に対向する配置で、前記スライダー10はスライダー受け部5内に挿入されており、これにより、前記係止爪部15は、係止凹部11内に係止されている。
【0038】
ここで、前記係止爪部15は、前記係止凹部11における水平面1101に当接する水平面と、前記係止凹付11におけるテーパー面1102に当接するテーパー面を有している。従って、スライダー10に対してスライダー受け部5内に挿入する方向への圧力が加えられると、係止凹部11のテーパー面1102によって係止爪部のテーパー面1502に上方の圧力が加えられるが、ストッパー本体14はガイド7によって、スライダー受け部5の長手方向に直交する方向にのみ移動可能であるために、いわゆるくさびの原理によって、係止爪部15のテーパー面1502にはストッパー本体14の先端側に向けて圧力が加えられる。そうすると、それによって、ストッパー本体14が先端側に移動するとともに、係止爪部15がスライダー受け部5から出るとともに係止凹部11と係止爪部15の係止が解除される。
【0039】
一方、スライダー10にスライダー受け部5内から抜ける方向への圧力が加えられた場合には、係止凹部11の水平面1101によって係止爪部の水平面1501に下方へ向けた圧力が加えられるが、前述と同様に、ストッパー本体14はガイド7によって、スライダー受け部5の長手方向に直交する方向にのみ移動可能であり、かつ、係止凹部11の水平面1101による係止爪部の水平面1501に対する圧力であるためにくさびの原理は働かず、従って、係止凹部11と係止爪部15の係止は解除されずに維持される。
【0040】
従って、本実施例における前記ストッパー15は、係止爪
部15を係止凹部11に係止している状態では、スライダー10がスライダー受け部5から抜ける方向へ移動することは阻止し、前記スライダー10がスライダー受け部5へ挿入する方向へ移動することは許容することになる。
【0041】
なお、前記ガイド7は必ずしも前述の構成にする必要は無く、ストッパー13がスライダー受け部5の長手方向に直交する方向にのみ移動自在にする手段であればいずれの構成としても良い。また、係止爪部15をスライダー受け部5内に侵入させる方法としては、必ずしも切り欠き部6を用いる必要は無く、その他、貫通孔をスライダー受け部5に形成して、この貫通孔を介して、係止爪部15をスライダー受け部5内に侵入させても良い。
【0042】
更に、ストッパー13は必ずしもスライダー受け部5の下端部に周設する必要は無く、スライダー受け部5の長手方向に沿った任意の部分に周設されていれば良い。そしてこの場合には、スライダー受け部5におけるストッパー13を周設する箇所にガイド7を形成するとともに、ストッパー13を周設した際に係止爪部15に対向する箇所に、係止爪部15がスライダー受け部5内に挿入する挿入孔を形成しておく。
【0043】
また、スライダー10及びスライダー受け部5の形状は特に限定されず、必ずしも角棒状である必要はなく、丸棒状であってもよい。
【0044】
次に、このように構成される本実施例の換気口カバー1の作用について説明すると、
図1の状態はスライダー10がスライダー受け部5の最奥部まで挿入されており、ストッパー13の係止爪部15がスライダー10の最先端側の係止凹部11に係止されており、風量調整板9が本体部2の室内側の開口201を全閉している状態であり、この状態では、スプリング12によって、スライダー10は、スライダー受け部5から抜ける方向へ付勢されており、スライダー10にはスライダー受け部5内から抜ける方向への圧力が加えられているが、前述したように、係止凹部11と係止爪部15の係止は解除されないために、ストッパー13を操作しない限りは、スライダー10をスライダー受け部5から抜くことはできず、従って風量調整板9を移動させて本体部2の室内側の開口201を開くことはできない。
【0045】
次に、
図1の状態において、押圧部18を本体部2の中心側に押すことで、レバー17を介してストッパー本体14を先端側に移動すると、係止爪部15がスライダー受け部5から出す方向に移動するとともに、スライダー10の係止凹部11と係止爪部15の係止が解除される。
【0046】
そうすると、スライダー10は、スプリング12によって、スライダー受け部5から抜ける方向へ付勢されているために、スライダー受け部5から抜ける方向へ移動するとともに、それにより、風量調整板9が室内側へ移動して、本体部2の室内側開口201を開放していく。そしてそのとき、押圧部18に対する押圧を断続的に行うことで、スライダー10を段階に伸ばして風量調整板9を段階的に室内側へ移動させることで、本体部2の室内側開口201を段階的に開放していくことができる。
【0047】
一方、押圧部18を比較的長時間押していることで、1回の動作で、スライダー10を最長まで伸ばすとともに風量調整板9を室内側へ移動させることで、本体部2の室内側開口201を一気に全開にすることが可能であり、この全開の状態が
図2である。なおこのとき、風量調整板9が全開したときにスライダー10がそれ以上スライダー受け部5から抜けないように、スライダー10を抜ける方向に付勢しているスプリング12を調整するか、あるいは、スライダー受け部5に、スライダー10の移動を制御するストッパーを備えると良い。
【0048】
次に、
図2の全開の状態で、風量調整板9を壁側に押すことで、スライダー10をスライダー受け部5に挿入する方向へ向けて圧力を加えると、前述したように、係止凹部11と係止爪部15の係止が解除されてスライダー10をスライダー受け部5内に挿入することができ、従って、風量調整板9を壁側に移動させて本体部2の室内側開口201を閉じていくことが可能である。そしてそのとき、風量調整板9を段階的に壁側に押すことで、係止爪部15を係止凹部11に段階的に係止して、本体部2の室内側開口201を段階的に閉鎖していくことができるとともに、風量調整板9を一気に壁側に押すことで、係止爪部15を最先端側の係止凹部11に係止して、本体部2の室内側開口201一気に全閉することが可能である。この全閉の状態が
図1の状態であり、この状態では前述したように、風量調整板9を押し込んでも全閉状態は解除されず、ストッパー13を操作しない限りは、風量調整板9を移動させて本体部2の室内側の開口201を開くことはできない。
【0049】
このように、本実施例の換気口カバー1では、風量調整板9を本体側に押し込むことで、段階的に、あるいは一気に本体部の室内側開口を閉鎖していくことができるとともに、ストッパーを操作することで、同じく段階的あるいは一気に、本体部の室内側開口を開放していくことができ、更に、ストッパーを操作しない限りは風量調整板を移動させることができないために、本体部の室内側開口を全閉にする過程において、風量調整板を押し込み過ぎることで本体部の室内側開口が開いてしまうことを確実に防止することが可能である。