特許第6014504号(P6014504)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6014504
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】換気口カバー
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/04 20060101AFI20161011BHJP
   F16B 7/14 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   F24F7/04 B
   F16B7/14 M
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-16200(P2013-16200)
(22)【出願日】2013年1月30日
(65)【公開番号】特開2014-145575(P2014-145575A)
(43)【公開日】2014年8月14日
【審査請求日】2015年9月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】593225046
【氏名又は名称】有賀工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104488
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 良夫
(72)【発明者】
【氏名】有賀 陽一
【審査官】 岡澤 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−242723(JP,A)
【文献】 特開2008−037551(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0113030(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/04
F16B 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の壁に形成された給気用貫通孔内に挿入される中空の挿入体(3)と、該挿入体(3)の先端部に外周側に向けて連設され、前記給気用貫通孔の孔縁を覆う化粧縁部(4)と、を具備した本体部(2)と、
該本体部(2)の室内側開口部を開閉する風量調整板(9)と、
該風量調整板(9)における前記本体部(2)側に突設された、複数個の係止凹部(11)が形成されたスライダー(10)と、
前記本体部(2)に支持された、前記スライダー(10)が挿抜自在に挿入されるスライダー受け部(5)と、
前記スライダー(10)を前記スライダー受け部(5)から抜ける方向へ付勢する弾性手段(12)と、
前記係止凹部(11)に係脱自在に係止される係止爪(15)を具備して、係止爪(15)を前記係止凹部(11)に係止することで、前記スライダー(10)が前記スライダー受け部(5)から抜ける方向へ移動することは阻止し、前記スライダー(10)がスライダー受け部(5)へ挿入される方向へ移動することは許容するストッパー(13、21)と、を具備し
前記ストッパー(13)は、
前記スライダー(10)に形成した係止凹部(11)に係止される係止爪部(15)を内周側に具備して、スライダー(10)の挿抜方向に直交する方向へスライド自在でスライダー(10)の挿抜方向へは移動不可能な形態で、前記スライダー受け部(5)に周設される枠状のストッパー本体(14)と、
該ストッパー本体(14)を、前記係止爪部(15)が係止凹部(11)に係止される方向へ付勢する弾性部材(16)と、
前記ストッパー本体(14)を前記係止爪部(15)と係止凹部(11)との係止を解除する方向へ移動させるためのレバー(17)と、を具備し、
前記ストッパー本体(14)は前記スライダー受け部(5)に有したガイド(7)に嵌合することで、スライダー受け部(5)の長手方向に直交する方向にのみ移動自在とし、
前記弾性部材(16)は、前記ストッパー本体(14)の内周の基端側と前記スライダー受け部(5)の側壁間に介在させた、ことを特徴とする換気口カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外から室内に通じる換気口の室内側に取り付けられる換気口カバーに係り、より詳しくは、換気口を段階的に開閉自在であるとともに一度の動作で換気口を全開あるいは全閉することも自在であり、更に、意図しないにもかかわらず換気口が全開してしまうことを防止した換気口カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の住宅は高気密化が進んでいるために、十分な換気を行わないと、壁材などに用いられている揮発性有機化合物(VOC)を原因とするシックハウス症候群になるおそれが考えられる。そのために、西暦2003年の建築基準法改正により、シックハウス症候群対策として常時換気できる設備の設置が義務付けられ、それに従い、建物の室内側にも換気口カバーが取り付けられるようになった。
【0003】
ここで、従来から用いられている換気口カバーについて説明すると、一般的に換気口カバーは、建物の壁に形成された給気用貫通孔に挿入される円筒形状の本体部と、前記給気用貫通孔を開閉自在に閉鎖する蓋としての風量調整板とを具備しており、風量調整板は、本体部に支持されるとともに、給気用貫通孔の開閉割合を調整自在としている。
【0004】
即ち、風量調整板の裏面には、本体部側に向けて棒状のスライダーが突設されており、一方本体部には、風量調整板に突設したスライダーが挿入されるスライダー受けが具備されており、スライダー受けに対するスライダーの挿入割合を調整することにより、風量調整板による給気用貫通孔の開閉割合を調整可能としている。
【0005】
そしてこのとき、従来の換気口カバーの中には、スライダー受けに対してスライダーを段階的に伸縮自在にすることで、風量調整板による給気用貫通孔の開閉割合を段階的に調整可能とした段階的伸縮機構を採用したものが存在していた。
【0006】
即ち、この段階的に伸縮自在とした方法では、スプリング等の弾性手段によってスライダーを伸びる方向へ付勢するとともに、スライダーに長手方向に沿って複数の係止凹部を形成して、スライダー受けの内部にはスライダーに形成した係止凹部に係止される係止爪部を備えて、係止爪部が係止するスライダーの係止凹部の位置を変化させることで、スライダー受けに対してスライダーを段階的に伸縮自在としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−180976号公報
【特許文献2】特開2006−180977号公報
【特許文献3】特開平9−158917号公報
【特許文献4】特開平9−242723号公報
【特許文献5】特開平11−315812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、従来の段階的な伸縮機構では、段階的に伸びる場合と段階的に縮む場合があるが、段階的に伸びる機構では、一度に全開させることができないとともに、段階的に縮ませることができないという問題点が指摘されていた(特開平11−315812号公報参照)。
【0009】
また、段階的に縮む機構では、一度にスライダーを押し込むことで一度の動作で縮ませることは可能だが、段階的に伸ばすことができないという問題点が指摘されていた(特開平9−158917号公報、特開平9−242723号公報参照)。
【0010】
更に、段階的に縮む機構では、完全にスライダーを縮ませて風量調整板を全閉にした状態において、更にスライダーを押し込むことで、係止爪と係止凹部との係止が解除され、それによりスライダーが最長まで伸びて風量調整板が全開状態になるために、風量調整板を全閉にするために一気にスライダーを押し込んだ場合に、風量調整板を全閉にする位置を超えてスライダーを押し込んでしまうことがあり、この場合には、風量調整板を全閉にする意図に反して、スライダーが最長位置まで戻ってしまい風量調整板が全開してしまうことがあった。このことは特に、台風等の風が強いときに、室内に風が入り込んでくることを防止するために風量調整板を一気に全閉にしようとした場合に、特に起こり易かった。
【0011】
そこで、本発明は、建物の壁に形成された給気用貫通孔に挿入される円筒形状の本体部と、給気用貫通孔を開閉自在に閉鎖する蓋としての風量調整板とを具備した換気口カバーにおいて、段階的に風量調整板による給気用貫通孔の開閉を行うことと、1回の動作で風量調整板による給気用貫通孔の全開、全閉を行うことの双方を可能にするとともに、給気用貫通孔を全閉にした状態において風量調整板を押し込んだ場合でも給気用貫通孔が開くことが無い換気口カバーを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の換気口カバーは、
建物の壁に形成された給気用貫通孔内に挿入される中空の挿入体と、該挿入体の先端部に外周側に向けて連設され、前記給気用貫通孔の孔縁を覆う化粧縁部と、を具備した本体部と、
該本体部の室内側開口部を開閉する風量調整板と、
該風量調整板における前記本体部側に突設された、複数個の係止凹部が形成されたスライダーと、
前記本体部に支持された、前記スライダーが挿抜自在に挿入されるスライダー受け部と、
前記スライダーを前記スライダー受け部から抜ける方向に付性する弾性手段と、
前記係止凹部に係脱自在に係止される係止爪を具備して、係止爪を前記係止凹部に係止することで、前記スライダーが前記スライダー受け部から抜ける方向へ移動することは阻止し、スライダーがスライダー受け部へ挿入する方向へ移動することは許容するストッパーと、を具備し
前記ストッパーは、
前記スライダーに形成した係止凹部に係止される係止爪部を内周側に具備して、スライダーの挿抜方向に直交する方向へスライド自在でスライダーの挿抜方向へは移動不可能な形態で、前記スライダー受け部に周設される枠状のストッパー本体と、
該ストッパー本体を、前記係止爪部が係止凹部に係止される方向へ付勢する弾性部材と、
前記ストッパー本体を前記係止爪部と係止凹部との係止を解除する方向へ移動させるためのレバーと、を具備し、
前記ストッパー本体は前記スライダー受け部に有したガイドに嵌合することで、スライダー受け部の長手方向に直交する方向にのみ移動自在とし、
前記弾性部材は、前記ストッパー本体の内周の基端側と前記スライダー受け部の側壁間に介在させたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の換気口カバーでは、建物の壁に形成された給気用貫通孔内に挿入された本体部の室内側開口部を風量調整板で開閉自在に閉鎖し、風量調整板における本体部側に突設したスライダーを本体部に支持されたスライダー受け部内に挿抜自在に挿入することで、風量調整板を本体部に対して進退自在とし、スライダー受け部に対するスライダーの挿入割合を調整することで、風量調風量調整板による本体部の室内側開口部の開閉割合を調整可能としている。そして、スライダーは、複数個の係止凹部を具備するとともに、スライダー受け部から抜ける方向に付勢されており、一方、係止凹部に係止する係止爪部を有するストッパーが、スライダーが飛び出す方向へ移動することを阻止している。
【0014】
従って、係止爪部と係止凹部との係止を解除することで、スライダー受け部に対するスライダーの挿入割合を調整することができ、そのとき、複数個の係止凹部に対して順番に係止爪部を係止させることで、段階的にスライダーを伸縮させることができるとともに、最先端あるいは最後端の係止凹部に係止爪が係止されるまで係止爪部と係止凹部との係止を解除することで、一気にスライダーを伸縮させることが可能である。
【0015】
また、ストッパーは、スライダーがスライダー受け部から抜ける方向へ移動することを阻止しており、ストッパーを操作しない限りスライダーがスライダー受け部から抜ける方向へ移動しないとともに風量調整板も移動しないために、風量調整板が全閉状態のときに風量調整板を押し込んでも、スライダーが風量調整板に移動することがなく、意図しないにも関わらず風量調整板が全開してしまうことも無い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の換気口カバーの実施例の構造を説明するための断面図である。
図2】本発明の換気口カバーの実施例の構造を説明するための断面図である。
図3】本発明の換気口カバーの実施例における本体部を説明するための図である。
図4】本発明の換気口カバーの実施例における本体部を説明するための図である。
図5】本発明の換気口カバーの実施例におけるスライダー、スライダー受け部、及びストッパーの関係を説明するための分解図である。
図6】本発明の換気口カバーの実施例におけるスライダー、スライダー受け部、及びストッパーの関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の換気口カバーでは、建物の壁に形成された給気用貫通孔内に挿入される中空の挿入体を有しており、この挿入体の先端部には、室内側における給気用貫通孔の孔縁に沿って壁面を覆う化粧縁部が、室側の外周側に向けて連設されており、挿入体と化粧縁部によって本体部が構成されている。
【0018】
また、本発明の換気口カバーでは風量調整板を有しており、この風量調整板は、前記本体部の室内側の開口部を開閉する蓋として機能する。
【0019】
そして、この風量調整板における本体部側の面には、長尺かつ長手方向に沿って複数個の係止凹部が形成されたスライダーが突設されており、このスライダーは、本体部の挿入部内に支持されたスライダー受け部に、挿抜自在に挿入され、これによって、風量調整板は、スライダーを介して本体部に支持されている。
【0020】
また、前記スライダー受け部には、前記スライダーをスライダー受け部から抜ける方向へ付勢する弾性体が具備されている。
【0021】
更に、本発明はスライダーの移動を制御するストッパーを有しており、このストッパーは、スライダーの係止凹部に係止される係止爪を有しており、この係止爪を係止凹部に係止することにより、前記スライダーがスライダー受け部から抜ける方向に移動することは阻止し、スライダーがスライダー受け部内に挿入される方向へ移動することは許容することとしている。
【0022】
そして、前記ストッパーは、スライダーに形成した係止凹部に係止される係止爪部を内周側に具備して、スライダーの挿抜方向に直交する方向へはスライド自在で、スライダーの挿抜方向へは移動不可能な形態で、スライダー受け部に周設された枠状のストッパー本体と、ストッパー本体を、係止爪部が係止凹部に係止される方向へ付勢する弾性部材と、ストッパー本体を係止爪部と係止凹部との係止を解除する方向へ移動させるためのレバーと、を具備する構成としており、これにより、スライダーの挿抜を容易に制御することが可能となる。
【実施例1】
【0023】
本発明の換気口カバーの実施例について図面を参照して説明すると、図1及び図2は本実施例の換気口カバーの構造を説明するための断面図である。そして、図において1が本実施例の換気口カバーであり、本実施例の換気口カバー1は、 建物の壁Wに形成された給気用貫通孔内W2に挿入される本体部2と、この本体部2の室内側の開口201を開閉自在に閉鎖する風量調整板9を具備し、本体部2に対して風量調整板9を前後方向に移動することで、本体部2の室内側開口201を開閉自在としている。即ち、風量調整板9で本体部2の室内側開口201を閉鎖した状態が図1の状態であり、風量調整板9を移動させて本体部2の室内側開口201を解放した状態が図2の状態である。
【0024】
まず、前記本体部2について図面を参照して説明すると、図3は本体部2の斜視図、図4は本体部2の正面図であり、本実施例における本体部2は、建物の壁Wに形成された給気用貫通孔内W2に挿入される挿入体3を有しており、この挿入体3は、前記給気用貫通孔W2の形状に合わせて、本実施例においては円筒状としている。
【0025】
そして、この挿入体3の先端部の外周には化粧縁部4が外周側に向けて連設されており、この化粧縁部4は、前記給気用貫通孔W2の孔縁を覆うために用いられている。なお、挿入体3は必ずしも円筒状である必要はなく、給気用貫通孔W2の形状が角孔であれば角筒状にする。
【0026】
次に、図において5はスライダー受け部である。即ち、本実施例の換気口カバー1では、前記挿入体3内にスライダー受け部5が支持されており、このスライダー受け部5は、中空の角棒状としており、支持板8によって、前記挿入体3の中心部分に支持されている。
【0027】
即ち、前記スライダー受け部5の4か所の角部分にはそれぞれ、放射状方向に向けて板状とした支持板8が連設されており、この支持板8の先端部は前記挿入体3内壁に連結されている。そしてこれにより、前記スライダー受け部5は、前記挿入体3の内部における中心部分に支持されている。但し、前記支持板8は必ずしも板状にする必要はなく、挿入体3の内部にスライダー受け部5を支持可能であればいずれの形態でもよい。
【0028】
次に、図1において前記本体部2の室内側の開口201を開閉自在に閉鎖する風量調整板について説明すると、図1、2において10が風量調整板であり、本実施例において風量調整板9は、前記挿入体3の開口を十分に覆うことが可能な面積を有する角型の板状としており、前記化粧縁部4の内周側に配置されることとしている。
【0029】
そして、風量調整板9における前記本体部2に対向する面、即ち風量調整板9の裏面には、本体部2側に向けてスライダーが突設されている。即ち、図1、2において10がスライダーであり、本実施例においてスライダー10は、角棒状としており、長手方向に沿って間隔を置いて係止凹部11が形成され、前記スライダー受け部5内に挿抜自在に挿入されている。
【0030】
また、前記スライダー受け部5内には弾性体としてのスプリング12が備えられており、このスプリング12は、スライダー受け部5内に挿入された前記スライダー10を、スライダー10がスライダー受け部5から抜ける方向へ付勢している。即ち、前記スライダー受け部5は、室内側、即ち風量調整板9側は解放され、屋外側は閉鎖されており、その内部において、屋外側の閉鎖された部分とスライダー10間にスプリング12が配設されており、これにより、前記スライダー10は常時、スライダー受け部5から抜ける方向へ付勢されている。なお、本実施例においては、前記スライダー10の先端部に長手方向に向けて小孔を形成して、この小孔内にスプリング12の先端を挿入させ、これによりスプリング12の位置を固定している。
【0031】
そして、このスライダー10は、ストッパーによって、スライダー受け部5から抜け出ることが阻止されている。即ち、図において13がストッパーであり、このストッパー13は、前記スライダー10の挿抜方向に直交する方向に向けて移動自在としている。また、前記ストッパー13には係止爪部15が形成されており、この係止爪部15は、前記スライダー10に形成した係止凹部11に係止可能としており、係止凹部11に係止爪部15を係止した状態では、前記スライダー10は前記スライダー受け部5から抜ける方向へは移動できず、一方、スライダー10がスライダー受け部5へ挿入される方向への移動は可能となる。
【0032】
この関係を詳細に説明すると、図5はスライダー受け部5内にスライダー10が挿入されているとともに、スライダー10の係止凹部11にストッパー13の係止爪部15が係止している状態を示しており、図6は、スライダー受け部5、スライダー10及びストッパー13を分解して示した図である。
【0033】
そして、図においてストッパー13は、前記スライダー受け部5の下端部に周設される枠状のストッパー本体14を有しており、このストッパー本体14は、スライダー受け部5の長手方向に直交する方向に移動自在であり、内周側の先端部には、前記スライダー10に形成した係止凹部11に係止される係止爪部15が形成されている。
【0034】
一方、前記スライダー受け部5は、前記ストッパー13がスライド自在に嵌合されるガイドを有しており、前記ストッパー13は、前記ガイドに嵌合することで、スライダー受け部5の長手方向に直交する方向にのみ移動自在としている。即ち、前記スライダー受け部5の下端部分には、対向する側壁の外周側にそれぞれ、上下二段に亘り、スライダー受け部5の長手方向に直交する方向に向けて長尺のガイド部材701が連設され、これにより、ガイド部材701間にガイド溝702が形成され、このガイド部材701とガイド溝702でガイド7が構成されている。
【0035】
また、前記スライダー受け部5の下端部分において、ガイド7が形成された側壁以外の側壁部分には切り欠き部6が形成されている。そして、前記ストッパー13は、前記ガイド溝702内に嵌合する形態で、かつ、係止爪部15が前記切り欠き部6内に対向する配置で、ガイド溝702に沿ってスライダー受け部5の長手方向に直交する方向へ移動自在にして、前記スライダー受け部5の下端部に周設されている。また、ストッパー13は、前記スライダー受け部5における切り欠き6に対向する側壁と前記ストッパー本体14の内周の基端側間に介在させたスプリング16により、常に基端側に、即ち反スライダー受け部側に付勢されている。そしてこれにより、係止爪部15は常に、切り欠き部6を通過してスライダー受け部5内に侵入している。
【0036】
一方、前記ストッパー本体14の基端側にはレバー17が連設されており、このレバー17の反ストッパー本体部側には押圧部18が連設されており、押圧部18をストッパー本体14の側に押圧してストッパー本体14を先端側に移動することで、係止爪部15をスライダー受け部5から出すことが可能である。なお、本実施例において前記押圧部18は、前記化粧縁部4に形成した押圧部用切り欠き401内に配置されている。
【0037】
次に、前記スライダー10に形成した係止凹部11は、スライダー10の側面からスライダー10の長手方向に直交する方向へ形成された水平面1101と、この水平面1101の最奥部から斜め下方に向けて形成されたテーパー面1102により形成されている。そして、本実施例においては、スライダー10の長手方向に沿って間隔を置いて、4個の係止凹部11が形成されており、この係止凹部11が前記スライダー受け部5の下端に形成した切り欠き部6に対向する配置で、前記スライダー10はスライダー受け部5内に挿入されており、これにより、前記係止爪部15は、係止凹部11内に係止されている。
【0038】
ここで、前記係止爪部15は、前記係止凹部11における水平面1101に当接する水平面と、前記係止凹付11におけるテーパー面1102に当接するテーパー面を有している。従って、スライダー10に対してスライダー受け部5内に挿入する方向への圧力が加えられると、係止凹部11のテーパー面1102によって係止爪部のテーパー面1502に上方の圧力が加えられるが、ストッパー本体14はガイド7によって、スライダー受け部5の長手方向に直交する方向にのみ移動可能であるために、いわゆるくさびの原理によって、係止爪部15のテーパー面1502にはストッパー本体14の先端側に向けて圧力が加えられる。そうすると、それによって、ストッパー本体14が先端側に移動するとともに、係止爪部15がスライダー受け部5から出るとともに係止凹部11と係止爪部15の係止が解除される。
【0039】
一方、スライダー10にスライダー受け部5内から抜ける方向への圧力が加えられた場合には、係止凹部11の水平面1101によって係止爪部の水平面1501に下方へ向けた圧力が加えられるが、前述と同様に、ストッパー本体14はガイド7によって、スライダー受け部5の長手方向に直交する方向にのみ移動可能であり、かつ、係止凹部11の水平面1101による係止爪部の水平面1501に対する圧力であるためにくさびの原理は働かず、従って、係止凹部11と係止爪部15の係止は解除されずに維持される。
【0040】
従って、本実施例における前記ストッパー15は、係止爪15を係止凹部11に係止している状態では、スライダー10がスライダー受け部5から抜ける方向へ移動することは阻止し、前記スライダー10がスライダー受け部5へ挿入する方向へ移動することは許容することになる。
【0041】
なお、前記ガイド7は必ずしも前述の構成にする必要は無く、ストッパー13がスライダー受け部5の長手方向に直交する方向にのみ移動自在にする手段であればいずれの構成としても良い。また、係止爪部15をスライダー受け部5内に侵入させる方法としては、必ずしも切り欠き部6を用いる必要は無く、その他、貫通孔をスライダー受け部5に形成して、この貫通孔を介して、係止爪部15をスライダー受け部5内に侵入させても良い。
【0042】
更に、ストッパー13は必ずしもスライダー受け部5の下端部に周設する必要は無く、スライダー受け部5の長手方向に沿った任意の部分に周設されていれば良い。そしてこの場合には、スライダー受け部5におけるストッパー13を周設する箇所にガイド7を形成するとともに、ストッパー13を周設した際に係止爪部15に対向する箇所に、係止爪部15がスライダー受け部5内に挿入する挿入孔を形成しておく。
【0043】
また、スライダー10及びスライダー受け部5の形状は特に限定されず、必ずしも角棒状である必要はなく、丸棒状であってもよい。
【0044】
次に、このように構成される本実施例の換気口カバー1の作用について説明すると、図1の状態はスライダー10がスライダー受け部5の最奥部まで挿入されており、ストッパー13の係止爪部15がスライダー10の最先端側の係止凹部11に係止されており、風量調整板9が本体部2の室内側の開口201を全閉している状態であり、この状態では、スプリング12によって、スライダー10は、スライダー受け部5から抜ける方向へ付勢されており、スライダー10にはスライダー受け部5内から抜ける方向への圧力が加えられているが、前述したように、係止凹部11と係止爪部15の係止は解除されないために、ストッパー13を操作しない限りは、スライダー10をスライダー受け部5から抜くことはできず、従って風量調整板9を移動させて本体部2の室内側の開口201を開くことはできない。
【0045】
次に、図1の状態において、押圧部18を本体部2の中心側に押すことで、レバー17を介してストッパー本体14を先端側に移動すると、係止爪部15がスライダー受け部5から出す方向に移動するとともに、スライダー10の係止凹部11と係止爪部15の係止が解除される。
【0046】
そうすると、スライダー10は、スプリング12によって、スライダー受け部5から抜ける方向へ付勢されているために、スライダー受け部5から抜ける方向へ移動するとともに、それにより、風量調整板9が室内側へ移動して、本体部2の室内側開口201を開放していく。そしてそのとき、押圧部18に対する押圧を断続的に行うことで、スライダー10を段階に伸ばして風量調整板9を段階的に室内側へ移動させることで、本体部2の室内側開口201を段階的に開放していくことができる。
【0047】
一方、押圧部18を比較的長時間押していることで、1回の動作で、スライダー10を最長まで伸ばすとともに風量調整板9を室内側へ移動させることで、本体部2の室内側開口201を一気に全開にすることが可能であり、この全開の状態が図2である。なおこのとき、風量調整板9が全開したときにスライダー10がそれ以上スライダー受け部5から抜けないように、スライダー10を抜ける方向に付勢しているスプリング12を調整するか、あるいは、スライダー受け部5に、スライダー10の移動を制御するストッパーを備えると良い。
【0048】
次に、図2の全開の状態で、風量調整板9を壁側に押すことで、スライダー10をスライダー受け部5に挿入する方向へ向けて圧力を加えると、前述したように、係止凹部11と係止爪部15の係止が解除されてスライダー10をスライダー受け部5内に挿入することができ、従って、風量調整板9を壁側に移動させて本体部2の室内側開口201を閉じていくことが可能である。そしてそのとき、風量調整板9を段階的に壁側に押すことで、係止爪部15を係止凹部11に段階的に係止して、本体部2の室内側開口201を段階的に閉鎖していくことができるとともに、風量調整板9を一気に壁側に押すことで、係止爪部15を最先端側の係止凹部11に係止して、本体部2の室内側開口201一気に全閉することが可能である。この全閉の状態が図1の状態であり、この状態では前述したように、風量調整板9を押し込んでも全閉状態は解除されず、ストッパー13を操作しない限りは、風量調整板9を移動させて本体部2の室内側の開口201を開くことはできない。
【0049】
このように、本実施例の換気口カバー1では、風量調整板9を本体側に押し込むことで、段階的に、あるいは一気に本体部の室内側開口を閉鎖していくことができるとともに、ストッパーを操作することで、同じく段階的あるいは一気に、本体部の室内側開口を開放していくことができ、更に、ストッパーを操作しない限りは風量調整板を移動させることができないために、本体部の室内側開口を全閉にする過程において、風量調整板を押し込み過ぎることで本体部の室内側開口が開いてしまうことを確実に防止することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の換気口カバーでは、建物の壁に形成された給気用貫通孔に挿入される円筒形状の本体部と、本体部の室内側開口を開閉自在に閉鎖する風量調整板を具備して、風量調整板の位置調整を行うことで本体部の室内側開口の開閉割合を調整自在とした換気口カバーにおいて、換気口の段階的な開閉、あるいは一度の動作による開閉を自在にするとともに、意図しないにもかかわらず換気口が全開してしまうことを防止したことを特徴としているために、給気用貫通孔の開閉を風量調整板により自在とした換気口カバーの全般に適用可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 換気口カバー
2 本体部
201 室内側開口
3 挿入体
4 化粧縁部
401 押圧部用切り欠き
5 スライダー受け部
6 切り欠き部
7 ガイド
701 ガイド部材
702 ガイド溝
8 支持板
9 風量調整板
10 スライダー
11 係止凹部
12 スプリング
13 ストッパー
14 ストッパー本体
15 係止爪部
16 スプリング
17 レバー
18 押圧部
図1
図2
図3
図4
図5
図6