特許第6014514号(P6014514)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6014514
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】ナビゲーション装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/36 20060101AFI20161011BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20161011BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20161011BHJP
   G06F 17/30 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   G01C21/36
   G09B29/00 F
   G09B29/10 A
   G06F17/30 170C
   G06F17/30 360Z
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-31982(P2013-31982)
(22)【出願日】2013年2月21日
(65)【公開番号】特開2014-163683(P2014-163683A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2015年12月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000100768
【氏名又は名称】アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501271479
【氏名又は名称】株式会社トヨタマップマスター
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀畑 智
(72)【発明者】
【氏名】杉山 真治
(72)【発明者】
【氏名】森 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】三浦 直人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 真吾
(72)【発明者】
【氏名】大崎 敦史
(72)【発明者】
【氏名】秋山 基伊
(72)【発明者】
【氏名】山下 由美子
【審査官】 島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−207777(JP,A)
【文献】 特開2007−206014(JP,A)
【文献】 特開2011−107025(JP,A)
【文献】 特開2004−085466(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/36
G06F 17/30
G09B 29/00
G09B 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周辺に存在するランドマークを検索するランドマーク検索手段(21)と、
前記ランドマーク検索手段が検索した前記ランドマークまでの実際の距離を実距離として演算する実距離演算手段(22)と、
前記ランドマーク検索手段が検索した前記ランドマークを目視できる位置までの距離を目視可能距離として演算する目視可能距離演算手段(23)と、
前記ランドマーク検索手段が検索した前記ランドマークに関するランドマーク情報を、進行方向前方の画像に重畳して表示するランドマーク情報表示手段(24)と、
を備え、
前記ランドマーク情報表示手段は、前記実距離演算手段が演算した前記実距離および前記目視可能距離演算手段が演算した前記目視可能距離を前記ランドマーク情報に含ませるナビゲーション装置。
【請求項2】
前記実距離および前記目視可能距離を前記ランドマーク情報に含ませる第1表示態様、前記実距離を前記ランドマーク情報に含ませ前記目視可能距離をランドマーク情報に含ませない第2表示態様、および、前記目視可能距離を前記ランドマーク情報に含ませ前記実距離をランドマーク情報に含ませない第3表示態様の切り替えを指令する表示態様切替手段(25)をさらに備え、
前記ランドマーク情報表示手段は、前記表示態様切替手段が指令する表示態様で前記ランドマーク情報を表示する請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記ランドマーク情報表示手段は、前記実距離を前記ランドマーク情報に含ませる場合には、前記実距離を表示していることを示す実距離表示中マークを前記ランドマーク情報に含ませ、前記目視可能距離を前記ランドマーク情報に含ませる場合には、前記目視可能距離を表示していることを示す目視可能距離表示中マークを前記ランドマーク情報に含ませる請求項1または2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記ランドマークを目視できる位置を目視可能位置として収集する目視可能位置収集手段(26)をさらに備える請求項1から3の何れか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記目視可能位置収集手段は、前記目視可能位置を更新する請求項4に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記ランドマーク情報表示手段は、前記ランドマークを目視できる位置に到達すると、そのランドマークに係る前記ランドマーク情報を強調して表示する請求項1から5の何れか1項に記載のナビゲーション装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、前方を撮像した実写画像にランドマークアイコンを重畳表示して案内を行うナビゲーション装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−236844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の装置においては、進行方向前方に存在するランドマークに係る情報(以下、「ランドマーク情報」と称する)として、そのランドマークまでの実際の距離(以下、「実距離」と称する)を表示することが一般的に行われている。また、この種の装置においては、進行方向前方の画像上で目視できるランドマークのみならず、目視できないランドマークに係るランドマーク情報も表示する場合がある。
ここで、表示されているランドマーク情報に係るランドマークが進行方向前方の画像上で目視できる場合には、そのランドマーク自体を画面上で確認できるので、当該ランドマークまでの実距離が表示されることで、ユーザは、そのランドマークまでの距離感を十分に把握することができる。しかしながら、表示されているランドマーク情報に係るランドマークが進行方向前方の画像上で目視できない場合には、そのランドマーク自体を画面上で確認できないので、当該ランドマークまでの実距離が表示されたとしても、ユーザは、そのランドマークまでの距離感を十分に把握することができない。
【0005】
そこで、本発明は、表示されているランドマーク情報に係るランドマークが進行方向前方の画像上で目視できないランドマークであっても、そのランドマークまでの距離感を十分に把握することができるナビゲーション装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るナビゲーション装置は、進行方向前方の画像に重畳して表示するランドマーク情報に、そのランドマーク情報に係るランドマークまでの実際の距離を実距離として含ませるとともに、そのランドマークを目視できる位置までの距離を目視可能距離として含ませる。これにより、表示されているランドマーク情報に係るランドマークまでの実際の距離のみならず、さらに、そのランドマークを目視できる位置までの距離も把握することができる。よって、表示されているランドマーク情報に係るランドマークが進行方向前方の画像上で目視できないランドマークであっても、そのランドマークを目視できる位置までの距離を把握することができるから、当該ランドマークまでの距離感を十分に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係るナビゲーション装置の構成を概略的に示す機能ブロック図
図2】ランドマークと目視可能位置特定情報によって特定される目視可能位置との位置関係の一例を示す図
図3】ランドマーク情報の一例を示す図
図4】ランドマーク情報の表示態様の一例を示す図
図5】ナビゲーション装置の動作内容を示すフローチャート
図6】ランドマーク情報の重畳表示の一例を示す図
図7】ランドマークの存在位置の一例を示す図
図8】ランドマーク情報の強調表示の一例を示す図(その1)
図9】ランドマーク情報の強調表示の一例を示す図(その2)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、ナビゲーション装置の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1に示すように、ナビゲーション装置10は、制御部11、フロントカメラ12、ロケーション機能部13、記憶部14、表示出力部15、音声出力部16、音声認識機能部17、通信部18などを備える。制御部11は、図示しないCPU、RAM、ROM及びI/Oバスなどを有する周知のマイクロコンピュータで構成されている。制御部11は、画像処理機能やデータ処理機能を有しており、ROMあるいは記憶部14などに記憶されているコンピュータプログラムに従ってナビゲーション装置10の動作全般を制御する。また、制御部11は、制御プログラムを実行することにより、ランドマーク検索処理部21、実距離演算処理部22、目視可能距離演算処理部23、ランドマーク情報表示処理部24、表示態様切替処理部25、目視可能位置収集処理部26をソフトウェアによって仮想的に実現する。なお、これら処理部21〜26は、例えば制御部11と一体の集積回路としてハードウェア的に実現してもよい。
【0009】
フロントカメラ12は、ナビゲーション装置10が搭載された車両の進行方向前方を撮像し、その撮像データを制御部11に出力する。表示出力部15は、例えば液晶表示器や有機EL表示器などを備えて構成されており、制御部11から入力される各種の表示出力信号に基づいて各種の情報、例えば、地図データに基づく地図画面や経路案内用の画面などを表示する。なお、この表示出力部15の画面にはタッチパネルスイッチが設けられ、これにより、表示出力部15は、図示しない機械的な操作スイッチとともに操作入力部としても機能する。また、制御部11は、ナビゲーション装置10が備えるバスガイド機能がオンされた場合には、フロントカメラ12から入力された撮像データに画像処理を施して表示出力部15に出力する。これにより、表示出力部15の画面には、フロントカメラ12が撮像した進行方向前方の画像が表示される。なお、バスガイド機能とは、進行方向前方の画像に、進行方向前方に存在するランドマークに係るランドマーク情報(図3参照)を重畳表示する機能である。
【0010】
記憶部14は、例えばハードディスクドライブやメモリカードなどの不揮発性の記憶媒体で構成されており、地図データや経路案内用のデータのほか、フロントカメラ12から出力された撮像データなど各種の情報やデータを記憶する。地図データには、地図上の各地点の座標を示す座標データや、地図上の各地点間の距離を示す距離データなどが含まれている。また、地図データには、例えば、庁舎、駅、ビル、塔、ホテル、博物館、店舗、山岳の頂上などのランドマークに関する属性情報(以下、「ランドマーク属性情報」と称する)が格納されている。このランドマーク属性情報としては、例えば、ランドマークの位置情報(座標情報)や名称情報などが含まれる。また、地図データには、地図データ作成時に予め格納されたランドマーク属性情報、地図データのアップデート時に追加されたランドマーク属性情報、ユーザが操作入力部を介して新たに入力したランドマーク属性情報などが含まれる。
【0011】
また、地図データには、ランドマークを目視できる位置(以下、「目視可能位置」と称する)を示す目視可能位置データが格納されている。即ち、例えば図2に示すように、1つのランドマークRについては、その周囲に複数の目視可能位置Pが設定されており、例えば、目視可能位置P1は、矢印D1方向に進む車両がランドマークRを目視可能となる位置を示し、目視可能位置P2は、矢印D2方向に進む車両がランドマークRを目視可能となる位置を示している。即ち、ランドマークRに向かって矢印D1方向に進行する車両は、目視可能位置P1に到達すると当該ランドマークRを目視可能となり、ランドマークRに向かって矢印D2方向に進行する車両は、目視可能位置P2に到達すると当該ランドマークRを目視可能となる。
【0012】
あるランドマークを目視できる位置は、そのランドマークの周辺に存在する建造物などの大きさや高さ、道路の形状や大きさ、車両の進行方向などによって異なってくる。従って、ナビゲーション装置10は、各ランドマークについて、図2に示すような位置関係を特定するための情報、つまり、あるランドマークと当該ランドマークに係る目視可能位置との位置関係を特定するための目視可能位置特定情報を格納している。
【0013】
ロケーション機能部13は、測位用衛星電波を受信する受信機、ジャイロセンサ、方位センサなど各種の位置検出用あるいは進行方向検出用のセンサ類を備えており、これらセンサ類から入力される検出信号に基づいて、ナビゲーション装置10を搭載した車両の現在位置および進行方向を検出する。そして、ロケーション機能部13は、検出した現在位置を示す現在位置情報および検出した進行方向を示す進行方向情報を制御部11に出力する。制御部11は、ロケーション機能部13から入力される現在位置情報や進行方向情報などに基づいて、車両の現在位置や進行方向を特定する。
【0014】
音声出力部16は、図示しないスピーカなどを備えて構成されており、制御部11から入力される各種の音声出力信号に基づいて各種の音声を出力する。音声認識機能部17は、図示しないマイクから入力された音声を記憶部14に格納されている音声辞書データに基づいて解析し、制御部11に出力する。通信部18は、例えば無線通信モジュールなどで構成されており、図示しない外部の情報機器との間に通信回線を確立して、各種の通信を行う。なお、外部の情報機器としては、例えば、図示しない情報センターに設置されたサーバ、ナビゲーション装置10とは別のナビゲーション装置や車載機器、あるいは、携帯通信機器などが考えられる。
【0015】
ランドマーク検索処理部21は、ランドマーク検索手段に相当するものであり、ナビゲーション装置10が搭載された車両の周辺に存在するランドマークを地図データから検索する。なお、ランドマーク検索処理部21による検索範囲は、適宜変更して設定することができ、例えば、検索範囲を、車両の「進行方向前方」に設定してもよい。
実距離演算処理部22は、実距離演算手段に相当するものであり、地図データを参照して、車両の現在位置からランドマーク検索処理部21が検索したランドマークまでの実際の距離を実距離として演算する。なお、実距離は、現在位置からランドマークまでの直線距離を演算してもよいし、現在位置からランドマークまでの道路に沿った距離を演算してもよい。また、実距離演算処理部22は、地図データを参照して、現在位置から見てランドマークが存在する方向(存在方向)も演算することが可能である。
【0016】
目視可能距離演算処理部23は、目視可能距離演算手段に相当するものであり、地図データを参照して、車両の現在位置からランドマーク検索処理部21が検索したランドマークを目視できる目視可能位置、この場合、現在位置から最も近い目視可能位置までの距離を目視可能距離として演算する。なお、目視可能距離は、現在位置から目視可能位置までの直線距離を演算してもよいし、現在位置から目視可能位置までの道路に沿った距離を演算してもよい。また、目視可能距離演算処理部23は、地図データを参照して、現在位置から見て目視可能位置が存在する方向(存在方向)も演算することが可能である。
【0017】
ランドマーク情報表示処理部24は、ランドマーク情報表示手段に相当するものであり、バスガイド機能がオンされた場合に、ランドマーク検索処理部21が検索したランドマークに関するランドマーク情報を、進行方向前方の画像に重畳して表示する。この場合、ランドマーク情報表示処理部24は、フロントカメラ12によって撮像された進行方向前方の画像に地図データの位置情報を三次元的に反映させながら、演算された実距離および存在方向に基づいて、進行方向前方の画像内におけるランドマークの存在位置を特定する。そして、ランドマーク情報表示処理部24は、その特定した位置に対応付けて、そのランドマークに係るランドマーク情報を表示する。
【0018】
また、ランドマーク情報表示処理部24は、例えば図3に示すように、対象となるランドマークの名称Nをランドマーク情報Tに含ませる。また、ランドマーク情報表示処理部24は、実距離演算処理部22が演算した実距離L1および目視可能距離演算処理部23が演算した目視可能距離L2をランドマーク情報Tに含ませて表示することが可能である。また、ランドマーク情報表示処理部24は、実距離L1をランドマーク情報Tに含ませる場合には、実距離L1を表示していることを示す実距離表示中マークM1をランドマーク情報Tに含ませる。また、ランドマーク情報表示処理部24は、目視可能距離L2をランドマーク情報に含ませる場合には、目視可能距離L2を表示していることを示す目視可能距離表示中マークM2をランドマーク情報Tに含ませる。なお、ランドマーク情報Tのレイアウトやデザインは適宜変更して設定することができる。
【0019】
表示態様切替処理部25は、表示態様切替手段に相当するものであり、例えばユーザによる切り替え操作に応じて、ランドマーク情報表示処理部24に対して、ランドマーク情報の表示態様の切り替え指令信号を出力する。この場合、表示態様は、第1表示態様、第2表示態様および第3表示態様の3態様に切り替えることができる。図4(a)に示す第1表示態様は、実距離および目視可能距離の双方をランドマーク情報に含ませる表示態様である。図4(b)に示す第2表示態様は、実距離および目視可能距離のうち何れか一方を表示するものであり、この場合、実距離をランドマーク情報に含ませ目視可能距離をランドマーク情報に含ませない表示態様となっている。図4(c)に示す第3表示態様は、実距離および目視可能距離のうち何れか一方を表示するものであり、この場合、目視可能距離をランドマーク情報に含ませ実距離をランドマーク情報に含ませない表示態様となっている。ランドマーク情報表示処理部24は、表示態様切替処理部25が指令する表示態様に従ってランドマーク情報を表示する。
【0020】
目視可能位置収集処理部26は、目視可能位置収集手段に相当するものであり、ランドマークを目視できる位置、即ち目視可能位置を示す目視可能位置データを収集する。そして、目視可能位置収集処理部26は、収集した目視可能位置データを地図データに反映(地図データに登録)する。この場合、目視可能位置収集処理部26は、音声認識機能部17により音声を解析することにより、目視可能位置を収集することが可能である。即ち、目視可能位置収集処理部26は、例えば音声認識機能部17によって「富士山が見えた」といった音声が認識された場合には、その時点の位置において「富士山」というランドマークが目視できることを確認し、その位置をランドマーク「富士山」の目視可能位置として収集する。また、目視可能位置収集処理部26は、例えば、外部の情報センターでデータベース化された目視可能位置データ、外部のナビゲーション装置や車載機器が収集した目視可能位置データ、外部の携帯通信機器が収集した目視可能位置データなどを、通信部18を介して収集することも可能である。また、目視可能位置収集処理部26は、例えばユーザ操作によりナビゲーション装置10に直接的に入力される目視可能位置を収集することも可能である。即ち、目視可能位置収集処理部26は、通信部18による外部との通信に依らずとも目視可能位置を収集することが可能である。また、目視可能位置収集処理部26は、収集した複数の目視可能位置が連続する場合には、その連続する領域を目視可能区間として編集することも可能である。
【0021】
さらに、目視可能位置収集処理部26は、収集した目視可能位置(目視可能位置データ)を適宜更新することも可能である。この更新には、収集した目視可能位置の「削除」が含まれ、目視可能位置収集処理部26は、一旦収集したある目視可能位置から対象となるランドマークを目視できなくなったと判断した場合には、その目視可能位置を適宜削除する。即ち、あるランドマークを目視できる目視可能位置は、そのランドマークの周辺に新たに高層ビルが建設されることなどにより、そのランドマークを目視できない位置(目視不能位置)となる可能性がある。つまり、あるランドマークの目視可能位置は、そのランドマークの周囲の状況変化に応じて日々変化する。そのため、目視可能位置収集処理部26は、一旦収集した目視可能位置であっても、その位置からランドマークを目視できなくなったと判断した場合には、その目視可能位置を地図データから削除する。なお、「目視できなくなった」ことの判断は、例えば、新たに建設された建造物のデータ(その建造物の位置情報や高さ情報など)が反映された最新の地図データと目視可能位置との関係から演算により求めることができる。あるいは、例えば音声認識機能部17によって「○○が見えなくなったね」といった音声が認識されたか否かにより判断するようにしてもよい。
【0022】
次に、上記構成のナビゲーション装置10においてバスガイド機能がオンされた場合の動作について説明する。即ち、図5に示すように、ナビゲーション装置10は、バスガイド機能がオンされると(S1:YES)、表示可能状態であるか否かを判断する(S2)。なお、表示可能状態とは、例えばフロントカメラ12、ロケーション機能部13、記憶部14などの各構成要素との通信異常が発生しておらず、バスガイド機能を実施可能な状態を示す。一方、表示不能状態とは、各構成要素との通信異常が発生しており、バスガイド機能を実施不能な状態を示す。
【0023】
ナビゲーション装置10は、表示不能状態である場合には(S2:NO)、バスガイド機能を自動的にオフして、この処理を終了する。一方、ナビゲーション装置10は、表示可能状態である場合には(S2:YES)、車両の現在位置および進行方向を特定し(S3)、前回特定した現在位置および進行方向から変化が生じたか否かを判定する(S4)。
ナビゲーション装置10は、現在位置および進行方向に変化が有る場合には(S4:YES)、車両の周辺に存在するランドマークを検索する(S5)。そして、ナビゲーション装置10は、検索したランドマークまでの実距離および当該ランドマークが存在する方向を演算する(S6)。また、ナビゲーション装置10は、検索したランドマークの目視可能位置および当該目視可能位置が存在する方向を演算する(S7)。
【0024】
そして、ナビゲーション装置10は、演算結果をランドマーク情報に反映させる。つまり、ナビゲーション装置10は、ランドマーク情報に含まれる実距離および目視可能距離を、演算によって新たに得られた実距離および目視可能距離に更新する(S8)。そして、ナビゲーション装置10は、進行方向前方の画像を表示するとともに、その画像上に、更新したランドマーク情報を重畳表示する(S9)。なお、ナビゲーション装置10は、特定した現在位置および進行方向に変化が無い場合には(S4:NO)、ランドマーク情報を更新することなく、そのランドマーク情報を重畳表示する(S9)。ナビゲーション装置10は、ステップS2以降の処理をバスガイド機能がオフされるまで繰り返す(S10:NO)。そして、ナビゲーション装置10は、ガスガイド機能がオフされると(S10:YES)、この処理を終了する。
【0025】
次に、ランドマーク情報の重畳表示例について説明する。図6に示す表示例は、図7に示すように車両の進行方向前方に複数のランドマークRa,Rb,Rcが存在する場合の表示例である。なお、ランドマーク情報Taは、ランドマークRaに係るものであり、ランドマーク情報Tbは、ランドマークRbに係るものであり、ランドマーク情報Tcは、ランドマークRcに係るものである。この場合、ランドマーク情報Tcに係るランドマークRcは、進行方向前方の画像上で目視することができない。
【0026】
図6に示すように、ナビゲーション装置10は、車両の現在位置からランドマークまでの実距離あるいは目視可能距離に応じて、ランドマーク情報Ta,Tb,Tcの大きさ、これらランドマーク情報Ta,Tb,Tcに含まれる文字の大きさ、これらランドマーク情報Ta,Tb,Tcの画像内における表示高さを変更する。この場合、ナビゲーション装置10は、現在位置から最も近くに存在するランドマークRaに係るランドマーク情報Taの大きさを大きくし、当該ランドマーク情報Taに含まれる文字の大きさを大きくし、当該ランドマーク情報Taの表示高さを低くする。そして、ナビゲーション装置10は、現在位置から遠いランドマークであるほど、そのランドマークに係るランドマーク情報の大きさを小さくし、当該ランドマーク情報に含まれる文字の大きさを小さくし、当該ランドマーク情報の表示高さを高くする。
【0027】
また、ナビゲーション装置10は、表示される画像上で目視できるランドマークRa,Rbに係るランドマーク情報Ta,Tbについては、表示中の画像に地図データの位置情報を三次元的に反映させることにより特定したランドマークRa,Rbの存在位置、換言すれば、画像上においてランドマークRa,Rbが表示されている位置から直接的にランドマーク情報Ta,Tbを延ばして表示する。一方、ナビゲーション装置10は、表示される画像上で目視できないランドマークRcに係るランドマーク情報Tcについては、表示中の画像に地図データの位置情報を三次元的に反映させることにより特定したランドマークRcの存在位置の上空に対応する画像上の位置にランドマーク情報Tcを表示する。
【0028】
なお、ナビゲーション装置10は、画像上で目視できないランドマークに係るランドマーク情報を表示した場合において、その後、車両の進行に伴い当該ランドマークを目視できる位置に到達した場合には、その目視できるようになったランドマークに係るランドマーク情報を強調して表示するように構成してもよい。即ち、ナビゲーション装置10は、例えば図8に示すように、矢印マークMyを添付することでランドマーク情報を強調表示することができる。また、ナビゲーション装置10は、例えば図9に示すように、ランドマーク情報を点滅させることで、そのランドマーク情報を強調表示することができる。また、図示はしないが、ナビゲーション装置10は、ランドマーク情報に含まれる文字のフォント、太さ、色などを変更することにより、そのランドマーク情報を強調表示するようにしてもよい。また、ナビゲーション装置10は、ランドマークが目視できるようになったことを、音声出力部16から音声により出力するように構成してもよい。
【0029】
本実施形態によれば、ナビゲーション装置10は、進行方向前方の画像に重畳して表示するランドマーク情報に、そのランドマーク情報に係るランドマークまでの実際の距離を実距離として含ませるとともに、そのランドマークを目視できる位置までの距離を目視可能距離として含ませる。これにより、表示されているランドマーク情報に係るランドマークまでの実際の距離のみならず、さらに、そのランドマークを目視できる位置までの距離も把握することができる。よって、表示されているランドマーク情報に係るランドマークが進行方向前方の画像上で目視できないランドマークであっても、そのランドマークを目視できる位置までの距離を把握することができるから、当該ランドマークまでの距離感を十分に把握することができる。
【0030】
また、ナビゲーション装置10は、表示態様切替処理部25が指令する表示態様でランドマーク情報を表示する。これにより、実距離の表示あるいは目視可能距離の表示を必要に応じて切り替えることができ、ユーザの嗜好に応じたランドマーク情報の表示が可能となる。
【0031】
また、ナビゲーション装置10は、実距離をランドマーク情報に含ませる場合には、実距離を表示していることを示す実距離表示中マークをランドマーク情報に含ませ、目視可能距離をランドマーク情報に含ませる場合には、目視可能距離を表示していることを示す目視可能距離表示中マークをランドマーク情報に含ませる。これにより、表示されている数値が実距離であるのか、あるいは、目視可能距離であるのかを明確に把握することができる。
【0032】
また、ナビゲーション装置10は、目視可能位置収集処理部26によって目視可能位置を収集する。これにより、目視可能位置のデータ量を充実させることができ、より正確な目視可能距離を表示することができる。
また、ナビゲーション装置10は、ランドマークを目視できる位置に到達したことに応じて、そのランドマークに係るランドマーク情報を強調表示することにより、目視できるようになったランドマークを画面上で確認しやすくすることができる。
【0033】
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。例えば、ランドマークの位置関係により、複数のランドマーク情報の表示位置が全体的にあるいは部分的に重なってしまう場合には、現在位置から最も近いランドマークに係るランドマーク情報を表示し、それよりも遠くに存在するランドマークに係るランドマーク情報を表示しないように構成してもよい。
【符号の説明】
【0034】
図面中、10はナビゲーション装置、21はランドマーク検索処理部(ランドマーク検索手段)、22は実距離演算処理部(実距離演算手段)、23は目視可能距離演算処理部(目視可能距離演算手段)、24はランドマーク情報表示処理部(ランドマーク情報表示手段)、25は表示態様切替処理部(表示態様切替手段)、26は目視可能位置収集処理部(目視可能位置収集手段)を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9