(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書で使用される用語「画素」とは、インクジェットプリンタが画像受取り面上に形成するインク画像に対応する画像データの二次元配列内の単一の信号の値のことを指す。画像データ内の画素位置は、プリンタ内の複数のインクジェットが、画像データを参照してインク滴を射出するときに、画像受取り面上のインク画像を形成するインク滴の位置に対応する。「起動画素」とは、画像データ内の画素であり、プリンタがこの起動画素に対応する画像受取り面上の位置にインクの滴を射出する、画素のことを言う。「非起動画素」とは、画像データ内の値を有する画素で、プリンタがこの非起動画素に対応する画像受取り面上の位置にインクの滴を射出しない、画素のことを言う。用語「二値画像データ」とは、起動画素と非起動画素との二次元配列として形成される画像データのことを指す。二値画像データ内の各画素は、画素が起動又は非起動のどちらであるかを示す2つの値を有する。インクジェットプリンタは、起動画像データ内の画素に対応するインク滴を選択的に射出することでインク画像を形成する。多色プリンタは、異なる色ごとの二値画像データの個別のセットを参照して、異なるインク色のインク滴を射出して、多色のインク画像を形成する。
【0009】
本明細書で使用される用語「重複」とは、2つ以上インク滴がそれぞれ、画像受取り面上の単一の位置を覆っている状態のことを言う。重複の量とは、画像形成処理の終わりに、複数のインク滴により覆われた1つ以上の画像受取り部の領域のサイズ、又は印刷媒体上で部分的に、又は完全に互いに重複するインク滴の数のことを言う。この重複は、一般に付近のインク滴どうしが、画像受取り面上で共に結合するときに発生する。拡散は、間接インクジェットプリンタ内の転写動作中、又は直接インクジェットプリンタ内の印刷媒体上のインク滴に対する拡散動作中に発生し得る。2つ以上の付近のインク滴どうしが、印刷媒体上で拡散し重複するとき、インクに覆われる印刷媒体の総面積は、同じインク滴が重複することなしに拡散した場合よりも小さくなる。本明細書で使用される用語「重複パラメータ」とは、印刷媒体上のインク滴の間の重複を参照して、生成される数字の値のことを言う。画像を印刷する前に、起動画像データ内の画素の配列を参照して、この重複パラメータを特定することができる。
【0010】
いくつかの構成では、プリンタは個別の色を参照して、重複部分を測定する。例えば、多色プリンタでは、画像受取り面上の同じ位置に拡散する2つのシアンのインク滴は、重複するが、同じ位置を占有するシアンのインク滴とイエローのインク滴は重複していると見なされない。プリンタ内の制御装置は、印刷インク画像を形成する前に、印刷画像の画像データを参照して、インク滴の間の重複部分を推定することができる。
【0011】
本明細書で使用される用語「画像濃度」とは、画像データ内又はインク滴を受け取るインク画像内のどちらかの画素の数のことを言う。高い濃度の領域では、比較的大きな部分の画素が起動し、画像受取り面の対応領域は、それに応じて大きな数のインク滴を受け取る。低い濃度領域では、少ない画素が起動し画像受取り面の対応領域では、少ないインク滴を受け取る。
【0012】
図5には、従来技術のプリンタ10の実施形態が示される。このプリンタ10は、1つ以上の動作不能のインクジェットを補償するよう設定可能である。図示する通り、プリンタ10は、フレーム11を含み、このフレーム11には、下記に説明する動作サブシステム及び動作部品が、直接的又は間接的に取り付けられている。相変化インクプリンタ10は、画像受取り部12を含む。この画像受取り部12は、回転画像形成ドラムの形態で示されているが、支持エンドレスベルトの形態を同様にとることもできる。画像形成ドラム12は、インク画像を形成するための面を提供する画像受取り面14を有する。サーボモータ又は電気モータ等のアクチュエータ94は、画像受取り部12に係合し、画像受取り部を方向16に回転させるよう設定される。方向17に回転する転写ローラ19は、ドラム12の表面14に対して荷重をかけて、転写ニップ18を形成し、表面14上に形成されたインク画像が、この転写ニップ18内で高温の印刷媒体49上に転写される。
【0013】
相変化インクプリンタ10はまた、相変化インク供給サブシステム20を含み、この相変化インク供給サブシステム20は、複数の異なる色の相変化インクを、個体の形態で含む数の供給源を有する。この相変化インクプリンタ10は多色プリンタであるため、インク供給サブシステム20は、4色の異なる色CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)の相変化インクを表す4つの供給源22、24、26、28を含む。相変化インク供給サブシステムはまた、個体の形態の相変化インクを液体状態に溶かす、つまり層を変える溶解・制御システム(図示せず)を含む。各インク供給源22、24、26、28は、溶けたインクを印刷ヘッド組立体32及び34に供給するために用いられる容器を含む。
図5の例では、印刷ヘッド組立体32及び34の両方とも溶けたCMYKのインクをインク供給源22〜28から受け取る。別の実施形態では、印刷ヘッド組立体32及び34はそれぞれ、CMYKのインク色のうちの一部を印刷するよう設定される。
【0014】
相変化インクプリンタ10は、基材供給・ハンドリングサブシステム40を含む。この基材供給・ハンドリングサブシステム40は、例えば、シート又は基材供給供給源42、44、48を含み、例えば、これらの供給源のうちの供給源48は、大容量の用紙供給装置、即ち給紙装置であり、画像受取り基材をカットシートの印刷媒体49の形態で格納し供給する。図示される相変化インクプリンタ10はまた、原稿送り装置70を含み、この原稿送り装置70は、原稿保持トレイ72と、原稿シート供給・検索装置74と、原稿照射・捜査サブシステム76とを有する。媒体搬送経路50は、基材供給・ハンドリングシステム40から、個々にカットされた媒体シート等の印刷媒体を抽出し、その印刷媒体を処理方向Pに移動させる。媒体搬送経路50は、基材加熱器又は予備加熱組立体52に印刷媒体49を通過させる。これにより印刷媒体49に加熱してから、転写ニップ18内でインク画像を印刷媒体49に転写させる。
【0015】
媒体供給源42、44、48から供給された画像受取り基材は、媒体搬送経路50を通り、画像受取り部12と転写ローラ19との間に形成された転写ニップ18に達し、そこで時間を合わせて画像受取り面14上に形成されたインク画像と位置を合わされる。インク画像と媒体がニップを通過するとき、このインク画像が転写ニップ18内で表面14から印刷媒体49に固定的に定着する。両面印刷の構成では、媒体搬送経路50が印刷媒体49を転写ニップ18に2度通過させて、第2のインク画像を印刷媒体49の第2の面に転写させる。
【0016】
プリンタ10の種々のサブシステム、構成部品、機能の動作及び制御は、制御装置、即ち電子サブシステム(ESS)80の補助で行われる。ESS即ち制御装置80は、例えば、内臓型、専用小型コンピュータであり、デジタルメモリ84及びディスプレイ即ちユーザインターフェース(UI)86を有する中央プロセッサユニット(CPU)82を含む。ESS即ち制御装置80は、例えば、センサ入力部、制御回路88、及びインク滴配置・制御回路89を含む。ある実施形態では、インク滴配置・制御回路89はフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)として実装される。さらに、CPU82は、捜査システム76、あるいはオンライン又はワークステーション接続部90等の画像入力供給源から受け取ったプリントジョブに関連する画像データフローを読み取り、取り込み、用意し、管理する。そのため、ESS制御装置80は、メイン多重タスク処理プロセッサであり、その他の全てのプリンタのサブシステム及び機能を操作し制御する。
【0017】
制御装置80は、プログラム命令、例えば、印刷ヘッドの操作を実行する汎用又は専用のプログラマブルプロセッサで実装することができる。プログラム機能を実行するために必要な命令及びデータは、プロセッサ即ち制御装置に関連したメモリ84内に格納される。プロセッサ、それらのメモリ、インターフェース回路で、インク画像を形成するプリンタ10を設定する。より具体的には、印刷ヘッドモジュール32及び34内のインクジェットの動作を制御して、動作不能のインクジェットを補償する。これらの構成部品は、プリント基板カード上に設けられる、又は特定用途向け集積回路(ASIC)の中の回路として設けられる。各回路は、個別のプロセッサに実装することができる、又は複数の回路は、同じプロセッサ上で実装される。別の構成では、回路は、独立した構成部品、又は超大規模集積(VLSI)回路内に設けられた回路で実装される。また、本明細書に記載される回路をプロセッサ、FPGA、ASIC、又は独立した構成部品の組み合わせで実装することができる。
【0018】
動作中に、プリンタ10は、印刷ヘッド組立体32及び34内のインクジェットから画像受取り部12の表面14上に複数のインク滴を射出する。制御装置80は、電気発射信号を生成して、印刷ヘッド組立体32及び34のうちの一方又は両方の中の個々のインクジェットを操作する。多色プリンタ10では、制御装置80が、プリントジョブの中の1枚以上の印刷ページに対応するデジタル画像データを処理し、CMYK色等の画像内のインクの色ごとの2次元のビットマップを生成する。各ビットマップは、画像受取り部12上の位置に対応する2次元の画素の配列を含む。各画素は、2つの値のうち1つ有し、その値により、画素が起動画素か、又は非起動画素かが示される。制御装置80は、発射信号を生成してインクジェットを起動し、起動画素に関する画像受取り部12上にインクの滴を射出するが、非起動画素に関しては発射信号を生成しない。プリンタ10内のインクの色ごとに組み合わせたビットマップにより、多色画像又は単色画像が生成され、続いて、それらの画像は印刷媒体49に転写される。制御装置80は、選択された起動画素の位置を伴うビットマップを生成し、これによりプリンタ10は、多色画像、ハーフトーン画像、濃淡画像等を作成することができる。
【0019】
印刷動作中、印刷ヘッド組立体32及び34内のインクジェットのうちの1つ以上が動作不能となり得る。動作不能のインクジェットは、断続的にインク滴を射出し得る、又は、画像受取り面14上の不正確な位置にインク滴を射出し得る、あるいは、全くインク滴を射出しない。プリンタ10では、インク画像が生成された後、画像形成ドラム12が回転してニップ18を通過しインク画像を転写する前に、光センサ98が画像受取り面14上に印刷されるインク滴に対応する画像データを生成する。ある実施形態では、光センサ98は、画像受取り面から反射された光を検知する個々の光検知器の線形アレイを含む。これらの個々の光検知器が、画像受取り部の表面の1画素に対応した、処理方向Pと垂直のクロス処理方向の画像受取り部の領域をそれぞれ検知する。光センサ98は、画像受取り面から反射される光に対応した、反射率データと呼ばれる、デジタルデータを生成する。制御装置80は、画像受取り面14上で検知された反射率の値と所定の印刷インク画像の画像データとを参照して、印刷ヘッド組立体32及び34内の動作不能のインクジェットを特定するよう設定される。代替実施形態では、インク画像が、印刷媒体49上に形成された後、光センサが、インク画像内の不良を検知する。別の代替実施形態では、印刷ヘッド組立体内に配置されたセンサを用いて、動作不能のインクジェットを検知する。動作不能のインクジェットの特定に応じて、制御装置80は動作不能のインクジェットに関する発射信号の生成を停止し、プリンタ内の動作不能のインクジェットに隣接する別のインクジェットの関する発射信号を生成して、動作不能のインクジェットを補償する。
【0020】
プリンタ10は、本明細書に記載されるプロセスを用いて動作不能のインクジェットを補償するプリンタの実施形態の実例であるが、別のインクジェットプリンタの構成においても、本明細書に記載されるプロセスを用いて動作不能のインクジェットを補償することができる。例えば、
図5に示されるプリンタ10は、相変化インクの滴を射出するよう設定されているが、水性インク、溶剤ベースのインク、紫外線硬化インク等を含む異なる種類のインクを用いた、インク画像を形成する別の構成のプリンタを、本明細書に記載されるプロセスを用いて、動作させることができる。さらに、プリンタ10は間接プリンタであるが、インク滴を直接印刷媒体に射出するプリンタも本明細書に記載されるプロセスを用いて、動作させることができる。
【0021】
図1には、動作不能のインクジェットが検知された後、動作不能のインクジェットを補償するプリンタ内のインクジェットの動作に関するプロセス100が示される。以下の議論では、機能又は動作を実行するプロセスを言及することで、制御装置がメモリ内に格納されたプログラム命令を実行して、プリンタの1つ以上の構成部品を操作して、機能又は動作を実行することを指す。例示のために
図1のプリンタ10を参照して、プロセス100を説明する。
【0022】
プロセス100は、特定された動作不能のインクジェットに対応する画像データの縦列を特定することから始まる(ブロック104)。本明細書で使用され画像データの「縦列」とは、処理方向Pに延在する画素の配列のことを言う。プリンタ10では、画像受取り面14が方向16に回転するとき、印刷ヘッド組立体32又は34のうちの1つ中の単一のインクジェットが、インク滴を縦列内の起動画素に射出する。制御装置80は、インク滴が起動画素の各縦列内に付着するように、インクジェットに対して生成される発射信号のタイミングを制御する。インクジェットが動作不能のとき、制御装置80発射信号を生成せず、その動作不能のインクジェットに対応する縦列内の画素は、インク滴を受け取らない。
図2Aは、動作不能のインクジェット206、及び隣接する動作可能なインクジェット208A〜208Dを有する印刷ヘッド204の概略図である。
図2Aには、縦列は処理方向Pと平行で、横列はクロス処理方向CPに平行に配列された二値画像データのアレイが示される。上記に説明した通り、画像データは二値画像データであり、画像データの各画素は2つの値のうちの1つをとる。
図2Aでは、値「0」によりその画素は起動していないことを示し、値「1」によりその画素が起動していることを示す。動作不能のインクジェット206に対応する画素220の縦列には、値「1」を有する複数の起動画素212A〜212Eが含まれ、インクジェット206は、指定された画素位置上にインク滴を印刷しなければならないことを示す。プロセス100では、制御装置80が縦列220を動作不能のインクジェット206に対応する列として特定する。プリンタ10では、制御装置80は二値画像データをメモリ84内に格納し、プロセス100の間に制御装置80は、メモリ内に格納された画素の値を選択的に変更する。
【0023】
続いてプロセス100は、動作不能のインクジェットに対応する画素の縦列に関する重複パラメータ値を初期化する(ブロック108)。ブロック108の処理で初期化される、重複パラメータ値とは、動作不能のインクジェットにより印刷されないインク滴の分を補償するために起動する代替の画素間の重複の計測される度合のことを指す。本明細書で使用される、重複という用語は、隣接する画素どうしが印刷されるときに、その隣接する起動画素のインクどうしが共に結合する量のことを言う。例えば、
図2Aでは、一般に隣接する正方形として表された隣接する画素どうしの中の二値画像データが配置される。しかし、画像受取り部12上に印刷される実際のインク滴は、正方形の形状とは完全には一致しない。付近の画素位置に印刷されるインク滴どうしは、画像受取り部12上に射出されるとき、互いが部分的に重なり合う。例えば、
図2Aには画素位置224A及び224B内で部分的に重複するインク滴が示され、その重複は領域226内で発生している。
図4Bには、画像受取り面14上のインク滴224A及び224Bの間の重複する領域226の断面図が示される。一方、
図4Aには、重複しない2つのインク滴404及び408が示される。転写動作中、インク滴が、ニップ18内で印刷媒体49に転写されるとき、重複するインク滴どうし、又は付近のインク滴どうしが、広がり共に結合する。ニップ18内で発生する圧力及び熱により、インク滴は、平らに延ばされ、個々の画素のどうしの境界を越えて広げられる。インク滴の間の重複により、プリンタ10はインクで完全に覆われるベタ領域有する画像を印刷することができる。
【0024】
動作不能のインクジェットにより、印刷されなければならない起動画素が特定されるまで、特定される画像データの縦列に沿ってプロセス100は続く(ブロック112)。ある実施形態では、プロセス100により、縦列220の第1の画素から始め、処理方向Pに処理方向Pに進み、その二値画像データ内の縦列の最後まで、累進的に画素を特定する。例えば、
図2Aでは、プロセス100が起動画素を212A、212B、212C、212D、212Eの順番で特定する。別の実施形態では、プロセス100が、縦列220内の最後の画素から始め処理方向Pとは反対の方向に進む。
【0025】
重複パラメータ値と、所定の重複閾値との比較結果(ブロック116)に基づいて、プロセス100では、動作不能のインクジェットからの、次に特定される画素分を補償する。以下に重複パラメータ値の計算をより詳細に説明する。重複パラメータ値が所定の閾値より小さい場合、次いで、プロセス100は、特定済みの欠けた画素の分を補償するために有効な第1の代替画素の位置を特定し、画素値を設定して第1の代替画素の位置を起動させる(ブロック120)。プリンタ内の別のインクジェットが、代替画素の位置にインク滴を印刷して、欠けているインクジェットを補償するため、第1の代替画素の位置は、「補償画素」とも呼ばれる。ある実施形態では、動作不能のインクジェットからの画素の周りの画素領域内での所定の検索パターンを参照して、第1の代替の画素位置を特定する。
【0026】
図3A及び
図3Bには、代替画素の位置を発見するために制御装置80が用いる2つの例示的な検索パターンが示される。
図3Aでは、動作不能のインクジェット206からの、次に特定される起動画素が、画素縦列220に沿った位置0で特定される。画素0の周囲の番号付された画素は、潜在的な代替位置の順序付けされた配列に対応し、インクジェット208A〜208Dのうちの別の1つが画素0の分を補償するインク滴を射出する。制御装置80は、起動していない代替画素、つまり、既存の画像データでは代替画素が印刷されないことを意味する代替画素の位置を特定するまで、順番に1〜20の代替画素の位置を検索する。例えば、制御装置80は、画素位置1内の二値画像データを特定し、もし二値データが位置1内の画素が既に起動していることを示したら、第1の非起動画素の位置を発見するまで、制御装置80は、画素位置2〜20の検索を続ける。次いで、プロセッサ80は、二値画像データを変更して、インクジェット208A〜208Dのうちの1つに対応する代替画素の位置を起動させる。
図3Bには別の検索パターンが示される。この検索パターンは、処理方向の軸Pに沿って反射する
図3Aの検索パターンの鏡像である。別の実施形態では、検索パターン内で上記より多い数又は少ない数の画素を用いることができ、検索の順序も
図3A及び
図3Bの例から変更することも可能である。また、検索の順序は、所定の検索順序に従う代わりに、画素の範囲に対してランダムに選択することができる。
【0027】
プロセス100では、二値画像データ内の特定された代替画素の位置と、別の起動画素の位置との間の重複部分を特定する(ブロック124)。例えば、
図2Bでは、制御装置80が、二値画像データ内のこれまでの非起動の画素位置内の補償される画素216Aを起動させて、欠けた画素212A分を補償する。補償される画素216Aは別の印刷画素218に隣接し、制御装置80が重複した領域219を特定する。続いて、制御装置80は、重複パラメータ値に特定された重複部分を加える(ブロック128)。ある実施形態では、プロセス100により、代替画素の位置と付近の画素との間に複数の重複部分が特定される。例えば、画素216Aは、単一の起動画素218と重複するが、別の画素位置が付近の複数の起動画素と重複する可能性がある。複数の重複部分は、重複パラメータ値に加えられ、この重複パラメータ値が、トータルの重複閾値と比較される。別の実施形態では、重複の値は、代替画素の位置の周りの起動画素の配列に基づいて変化し得る。例えば、
図2Bでは、起動画素217は代替画素位置216Aから斜めにオフセットされる。ある実施形態では、画素216Aと画素217は重複するが、重複の程度は、重複する領域219よりも小さい。ある構成では、制御装置80が、重複パラメータ値を1だけ増加させて、画素216Aと画素218との間に大きな重複部分を含ませ、0.5だけ増加させて、画素216Aと画素217との間に小さな重複部分を含ませる。
【0028】
プロセス100では、動作不能のインクジェットに関する、次に特定された起動画素の起動を停止する、又はリセットする(ブロック132)。
図2Bに示される二値画像データでは、制御装置80は、特定された画素212A〜212Eそれぞれに対する二値画像データ値を「1」から「0」にリセットする。印刷中に制御装置80は、動作不能のインクジェット206に関する発射信号を生成しない。
【0029】
プロセス100では、ブロック112〜132で説明した処理が、動作不能のインクジェット206に対応する画素の縦列220内の追加の画素に対して繰り返され、重複パラメータ値は所定の重複閾値より低いままとなる。重複パラメータ値が所定の閾値を超えた場合(ブロック116)、次いで、プロセス100では、二値画像データ内の上記の第1の代替画素の位置と第2の代替画素の位置の両方で起動画素を特定して、両方の位置でインク滴を印刷する(ブロック136)。第2の代替画素の位置は、欠けたインクジェットに関する追加の補償画素として選択される。例えば、
図2A及び
図2Bでは、代替画素216Aが選択されて画素212A分を補償すると、所定の重複閾値の値を超える。続いて、制御装置80は、縦列220内の起動画素212B、212C、212Dを特定する。起動画素212B〜212Dのそれぞれに関して重複閾値を超える。
【0030】
制御装置80は、
図3Aに示された検索パターンを用いて、画素212Bに対する代替位置を特定するが、制御装置80は、第1の有効な画素位置に加えて、検索パターン内で第2の有効な画素位置も選択する。画素212Bに対して、二値画像データ内の第1の有効な画素は、
図3Aの検索パターンを用いると、画素216Bと一致し、制御装置80は、画素216Bを起動する。重複閾値を超えているため、制御装置80は、検索を続け、二値画像データ内の第2の有効な画素位置として、画素位置228Aを特定する。制御装置80は、第2の画素位置228Aの画像データ値を「1」に設定して、第2の画素位置を起動する。制御装置80は、画素212Cと212Dに対して、それぞれ第1の代替画素216Cと216Dを起動させるとともに、第2の代替画素位置228Bと228Cも同様に起動させる。
【0031】
第1の有効な画素位置に加えて、第2の画素位置も起動させることにより、補償される画像データ内の画素の画線領域が増加する。補償された画素内の重複の程度が高すぎると、重複するインク滴が、非重複のインク滴より小さな画像受取り面上での総領域を覆うため、印刷画像の濃度は、元のインク画像の濃度よりも薄くなる。例えば、
図4Aでは、非重複のインク滴404及び408は、
図4B内の重複するインク滴224A及びインク滴224Bにより覆われる領域416よりも、大きな画像受取り面14の領域412を覆う。重複するインク滴により薄くなる画像濃度では、動作不能のインクジェットによりハーフトーンのインク画像内で発生する光の筋等の画像のアーチファクトが目立ってしまう。プロセス100により、重複分を補償して、動作不能のインクジェットが通常に機能した場合の画像濃度にかなり近い画像濃度を有するインク画像を生成する。このように、プロセス100は、インクにより覆われた印刷画像の領域を増やし、印刷中により広い範囲のインク滴濃度全般での動作不能のインクジェットの補償を可能にする。
【0032】
プロセス100では、画素が第2の位置に割り当てられ(ブロック140)、動作不能のインクジェットに対応する、特定された画素の起動を停止させると(ブロック132)、動作不能のインクジェットに対応する画素の縦列の重複パラメータ値を下げる。ある実施形態では、制御装置80は、二値画像データ内の第2の位置内の画素を起動した後、重複パラメータ値から所定の重複閾値の値を減算する。別の実施形態では、制御装置80が、別の所定の量だけ重複パラメータ値を下げる。
【0033】
プロセス100では、重複パラメータ値を下げて、二値画像データ内の重複のレベルが低下したときに、プロセス100が、検索パターン内で特定された第1の代替位置内の画素の起動画素に戻れるようにする。画像データの濃い領域では、プロセス100が、検索パターン内の第2の位置でより大きな部分の補償画素を起動させ、これにより、より大きな領域に渡って補償画素を拡散させる。低い濃度を有する画像データ内の別の領域では、重複の程度が下がり、検索パターン内の第1の有効な位置で、大きな割合の補償画素が起動する。したがって、プロセス100は、画素の縦列220の全長に沿って延在する二値画像データ内の印刷画素の濃度の変動に適応する。
図2Bの例では、制御装置80は、起動される画素212Eを特定する前に、重複パラメータ値を重複閾値より下げ、制御装置80が、第1の有効な代替画素位置216Eを起動する。
【0034】
上記に説明した通り、プロセス100は、動作不能のインクジェットにより射出されるインク滴に対応する画像データの縦列内の起動画素の特定を続けて、その画素分を補償する。
縦列内の各起動画素分を補償した後(ブロック112)、プロセス100は、プリンタ内の全ての追加の動作不能のインクジェットに対応する画素分の補償を続ける(ブロック144)。
図5のプリンタ10等の多色プリンタは、プリンタ内で色分解ごとに二値画像データを用いてプロセス100を実行する。例えば、プリンタ10のCMYKの実施形態では、プロセス100を実行して、シアン、マゼンタ、イエロー、黒ごとに、全ての動作不能のインクジェットを補償する。動作不能のインクジェットを補償するための画像データを修正した後、プロセス100は、修正された画像データを用いて、発射信号を生成する(ブロック148)。プリンタ10では、制御装置80が、印刷ヘッドユニット32及び34内のインクジェットに対する電気発射信号を生成する。修正された二値の画像データには、動作不能のインクジェットに対する非起動画素が含まれ、制御装置80はこの動作不能のインクジェットに対する発射信号を生成しない。制御装置80は、起動される代替画素の位置ごとの発射信号も生成して、動作不能のインクジェットを補償する。