(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6014547
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】ベッド装置
(51)【国際特許分類】
A47C 19/00 20060101AFI20161011BHJP
【FI】
A47C19/00 B
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-104105(P2013-104105)
(22)【出願日】2013年5月16日
(65)【公開番号】特開2014-223183(P2014-223183A)
(43)【公開日】2014年12月4日
【審査請求日】2015年9月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】390039985
【氏名又は名称】パラマウントベッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】野村 克芳
(72)【発明者】
【氏名】中野 雄司
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 竜也
(72)【発明者】
【氏名】平井 栄太
(72)【発明者】
【氏名】柳原 健
(72)【発明者】
【氏名】松本 孝樹
(72)【発明者】
【氏名】影山 男
(72)【発明者】
【氏名】窪田 伸之助
【審査官】
大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−194065(JP,A)
【文献】
特開2012−070866(JP,A)
【文献】
実開平06−000201(JP,U)
【文献】
実開昭60−109459(JP,U)
【文献】
特開平10−234524(JP,A)
【文献】
米国特許第06035467(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折りたたみ可能なボトムと、それを搬送時に折りたたんで開かないように止める搬送用止め部材とを備えたベッド装置であって、
前記搬送用止め部材は、
前記ボトムの端部に固定するボトム固定部と、
前記ボトム固定部により前記ボトムに固定されたとき、ボトムの表面に立設した止め部と、
を備え、
ボトム搬送時に前記搬送用止め部材を固定したボトムと、前記搬送用止め部材の上端部との間に、折りたたんだボトムを収容して止めることを特徴とするベッド装置。
【請求項2】
前記上端部は、前記折りたたんだボトムを止める構造を有することを特徴とする請求項1に記載のベッド装置。
【請求項3】
前記搬送用止め部材の止め部は、ボトム表面から前記上端部に至るまでが、前記折りたたんだボトムの厚み以上の長さを有することを特徴とする請求項2に記載のベッド装置。
【請求項4】
前記搬送用止め部材のボトム固定部は、ボトム端部に着脱自在に嵌合固定されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のベッド装置。
【請求項5】
前記搬送用止め部材の止め部は、ベッド装置の使用時にはマットレス止めとなることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のベッド装置。
【請求項6】
前記ボトムの裏面には、搬送時に使用する取っ手を設けたことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のベッド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトムの搬送を容易にすることができるベッド装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、在宅用介護ベッドが一般家庭でもレンタルなどで使用されるようになってきた。そこで、特許文献1に開示されているように、ベッドの各パーツを分解可能とし、搬送が容易となるように、各パーツの軽量化、コンパクト化が進められている。
【0003】
例えば、特許文献1については、ボトムとフレームを簡単に分解、連結ができるものが開示されている。しかし、ボトム自体は、軽量化のため樹脂成形されたものが出てきており、背ボトムが単一部材、腰ボトム、膝ボトム、足ボトムがこれらで単一部材の場合がある。腰ボトム、膝ボトム、足ボトムの単一部材は長いため、各ボトム間で折りたたみが可能なので、2つ折りにしコンパクトにして搬送したりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−120625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、腰ボトム、膝ボトム、足ボトムの部材は長く、折りたたんで運ぶ場合は、搬送途中で開いてしまう場合もあり、開かないように押えながら運ぶことをしなければならない。そのため、結局は搬送に人数を要することにもなり、決して運びやすいとはいえない。
【0006】
本発明は、斯かる実情に鑑み、利用者がベッドの搬送時に、長いボトムを搬送し易くできるベッド装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、折りたたみ可能なボトムと、それを搬送時に折りたたんで開かないように止める搬送用止め部材とを備えたベッド装置であって、前記搬送用止め部材は、前記ボトムの端部に固定するボトム固定部と、前記ボトム固定部により前記ボトムに固定されたとき、ボトムに表面に立設した止め部と、を備え、ボトム搬送時に前記搬送用止め部材を固定したボトムと、前記搬送用止め部材の上端部との間に、折りたたんだボトムを収容して止めることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明のベッド装置において、前記上端部は、前記折りたたんだボトムを止める構造を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明のベッド装置において、前記搬送用止め部材の止め部は、前記折りたたんだボトム表面から前記上端部に至るまでが、ボトムの厚み以上の長さを有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明のベッド装置において、前記搬送用止め部材のボトム固定部は、ボトム端部に着脱自在に嵌合固定されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明のベッド装置において、前記搬送用止め部は、ベッド装置の使用時にはマットレス止めとなることを特徴とする。
【0012】
また、本発明のベッド装置において、前記ボトムの裏面には、搬送時に使用する取っ手を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のベッド装置によれば、ボトムが閉じられ、ボトムに装着された搬送用止め部材により、ボトムが開かないように固定されるので、搬送が容易化される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】(a)は本発明の実施形態に係るボトムが載置されるベッド装置の概略斜視図、(b)は該ボトムの斜視図である。
【
図3】(a)は搬送用止め部材の正面図、(b)は搬送用止め部材の背面図、(c)は搬送用止め部材の側面図である。
【
図4】搬送時に折りたたむボトムを示す説明図である。
【
図5】折りたたんだボトムを開かないように搬送用止め部材で止める説明図である。
【
図6】(a)は搬送用止め部材の他の例の正面図、(b)は搬送用止め部材の他の例の背面図、(c)は搬送用止め部材の他の例の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0016】
図1(a)は本発明に係るボトムが搭載されるベッド装置の全体斜視図、(b)がボトムの斜視図である。
【0017】
図1、
図2に示すように、ベッド装置において、それに寝た状態の使用者の頭が向く頭側を符号「H」、該使用者の足が向く足側を符号「F」で示す。
【0018】
図1(a)に示すように、ベッド装置は、主に、頭側及び足側に端部が向く長さ方向が幅方向よりも長い概略ラダー状構造の上部フレーム10と、該上部フレーム10上に載置されるボトム12と、この上部フレーム10の頭側及び足側の下部にそれぞれ設けられた、フロア面上に対して前記上部フレーム10を昇降可能に支持する頭側昇降部14H及び足側昇降部14Fとを備えている。
【0019】
上部フレーム10の頭側及び足側の各部の下面側には、前記頭側昇降部14H及び足側昇降部14Fの上端部に当該上部フレーム10を設置するための、前記ベッド装置の幅方向に長い概略矩形枠状の枠フレーム16がそれぞれ固定されている。
【0020】
図示しないが、昇降部14H及び14Fの下端同士は、連結フレームによって着脱可能に連結される。また、前記昇降部14H及び14Fにはそれぞれアクチュエータが設けられ、各アクチュエータの駆動力が別々に制御する構成であり、各アクチュエータの駆動制御によって上部フレーム10が頭側及び足側同士の上下位置に差が付く傾動動作をさせることができる。
【0021】
また、上部フレーム10には、頭側に背上げ用のロッドと、中央部付近に膝上げ用のロッドが設けられている。またそれらを駆動するアクチュエータも設けられている。
【0022】
図1、
図2に示すように、ボトム12は、マットレス(概略を
図1に符号「18」で示す)を載せた状態で、使用者の荷重を支えるものである。ボトム12は、使用者が頭と背を支える背ボトム12a、腰を支える腰ボトム12b、腰から膝までを支える膝ボトム12c、膝から先の足を支える足ボトム12dの各板状部からなる。
【0023】
図1に示すように、背ボトム12aと足ボトム12dの側面2箇所ずつに搬送用止め部材(マットレス止め)15を配している。この搬送用止め部材(マットレス止め)15は、ボトム搬送時には折りたたんだボトム12の止め具としての役割を負っているとともに、ベッド使用時にはマットの側方からマットを抑えてズレを防ぐ役割も負っている。そして、背ボトム12aと足ボトム12dの側面部には搬送用止め部材(マットレス止め)15を取付ける取付部17が設けられている。
【0024】
ここで、ボトム12は、背ボトム12a、腰ボトム12b、膝ボトム12c、足ボトム12dのそれぞれが厚みのある樹脂製の板材からなり、各部の上面に凹所20が凹んで形成されている。
【0025】
図2に示すように、背ボトム12aは単一部材として形成されている。また、各部のうちの腰ボトム12b、膝ボトム12c、及び足ボトム12dが所要部であり、それら同士が連結部24によって連結されて、全体が単一部材にて構成されている。該連結部24が前記所要部と同材質でかつ所要部よりも薄く一体に形成されたものであり、腰ボトム12bと膝ボトム12cの間、膝ボトム12cと足ボトム12dの間に配置されている。腰ボトム12b、膝ボトム12c、及び足ボトム12dの単一部材は、上部フレーム10に位置決め固定されている。例えば、腰ボトム12bの裏面には、位置決め部材が設けてあり、それによって上部フレーム10の位置決め部に載置することにより位置決めができる。
また、前記所要部の腰ボトム12bには、頭側方向に、背ボトム12aに摺接して折り曲げ可能に連結する湾曲ボトム28が延在している。
【0026】
以下に、搬送用止め部材(マットレス止め)15について、詳しく説明する。
【0027】
図3は、搬送用止め部材(マットレス止め)15の一例を示す外観図である。(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は側面図である。
【0028】
搬送用止め部材(マットレス止め)15は、ボトム12に固定するボトム固定部31と、折りたたんだボトム12を開かないように止めたり、あるいはボトム12に載置されたマットレス18をずれないように止めたりする止め部32とからなる構成であり、これらが一体的に樹脂により成形されている。
【0029】
ボトム固定部31は、ボトム12の上面に当接する当接部36と、その当接部36の先端に形成されてボトム表面端部の溝に嵌合する凸部34と、ボトム裏面端部の凹部に係止する係止爪35とからなる構成である。当接部36と係止爪35により、ボトム12を挟持して、搬送用止め部材(マットレス止め)15をボトム12に着脱自在に固定する。
【0030】
ボトム固定部31により、ボトム12に固定されると、止め部32はボトム12表面に立設することになる。このとき止め部32の上端傾斜部33は、ボトム12側に傾斜している構造である。搬送用止め部材15の止め部32は、固定されたボトム12表面から上端傾斜部33に至るまでが、折りたたんだ膝ボトム12c(止める対象のボトム12)の厚さ以上の長さを有する。こうして、折りたたんだ膝ボトム12cを、足ボトム12dに固定された搬送用止め部材15に収容して、開かないようにできる。
【0031】
図4は、搬送時に折りたたむボトムを示す説明図である。
図5は、折りたたんだボトム12を開かないように搬送用止め部材15で止める説明図である。
【0032】
ボトム12の搬送時には、
図4に示すように、ボトム12(湾曲ボトム28、腰ボトム12b、膝ボトム12c、足ボトム12dの単一部材)を膝ボトム12cと足ボトム12dの間で二つに折りたたむ。足ボトム12dの両側面には搬送用止め部材15が装着されている。膝ボトム12cと足ボトム12dの間で二つに折りたたむと、ボトム12上面から突出している搬送用止め部材15の止め部32の上端傾斜部33に膝ボトム12cの端部が当たる。そのまま押し込むと、
図5に示すように、膝ボトム12cが止め部32内に収まり、上端傾斜部33に裏面が当接して、開かないように押えられる。また、搬送用止め部材15は着脱自在であるので、一旦ボトム12から取り外して、折りたたんだ状態で、ボトム12に取付けて開かないように固定してもよい。
【0033】
こうして膝ボトム12cと足ボトム12dとが閉じられ、ボトム12の両端に装着された搬送用止め部材15により、ボトム12が開かないように固定されるので、搬送が容易化され、一人でも運搬も可能となる。また、ベッドの使用時には、
図1に示すように、搬送用止め部材15はマットレス止めにもなり、止め部32がマットレス18の側面に当接し、マットレス18のズレも防ぐことができる。
【0034】
図6は、搬送用止め部材(マットレス止め)の他の例を示す外観図である。(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は側面図である。
【0035】
図6の搬送用止め部材(マットレス止め)15aは、ボトム固定部31と、止め部32aとからなる構成である。
図6の搬送用止め部材(マットレス止め)15aは、ボトム固定部31は
図3の実施例と同じであるが、止め部32aは異なる構造である。以下に止め部32aについて説明する。
【0036】
止め部32aは、ボトム固定部31によりボトム12に固定されると、傾斜せずにボトム12表面に立設する。止め部32aのボトム12側に向いた面の上端部には、突起37が形成されている。この突起37により、マットレス18を押える機能を果たす。また、固定されたボトム表面から上端部の突起37に至るまでが、折りたたんだ膝ボトム12c(止める対象のボトム12)の厚さ以上の長さを有する。こうして、搬送用止め部材(マットレス止め)15aは、折りたたんだ膝ボトム12cを、足ボトム12dに固定された搬送用止め部材15aに収容して、開かないよう止めることができ、
図3の搬送用止め部材(マットレス止め)15と同じ効果を奏する。
【0037】
なお、搬送用止め部材(マットレス止め)の上端部のボトムを止める構造は、上記
図3や
図6の例に限定されるものではない。
【0038】
図7に示すように、ボトム12の裏面に、持ち運びに手を添える取っ手38を取付ける。このようにすると、ボトム12を脇に抱えて取っ手38をつかむと、搬送が更に楽に行えるという利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のベッド装置のボトムは、在宅介護用ベッド装置、施設介護用ベッド装置、病院用ベッド装置等各種ベッド装置のボトムに利用することができる。
【符号の説明】
【0040】
10 上部フレーム
11 貫通孔
12 ボトム
12a 背ボトム
12b 腰ボトム
12c 膝ボトム
12d 足ボトム
15 搬送用止め部材(マットレス止め)
17 取付部
31 ボトム固定部
32 止め部
33 上端傾斜部
34 凸部
35 係止爪
36 当接部
37 突起
38 取っ手