(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の屈折率調整層と前記第1の接着層との屈折率差が、0.1〜0.4であり、前記第2の屈折率調整層と前記第2の接着層との屈折率差が、0.1〜0.4であることを特徴とする、請求項1記載のタッチパネルセンサ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このように透明基材の両側に透明電極パターンを形成した構成において、各透明電極パターン上に直接接着層を積層してタッチパネルセンサを作製すると、外光が入射した場合に、干渉縞(interference fringe)が生じるという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、干渉縞の発生を抑制することができるタッチパネルセンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のタッチパネルセンサは、透明基材と、該透明基材の一方の側に、第1の透明電極パターンと、第1の屈折率調整層と、第1の接着層とをこの順に有し、前記透明基材の他方の側に、第2の透明電極パターンと、第2の屈折率調整層と、第2の接着層とをこの順に有し、前記第1の屈折率調整層の屈折率は、前記第1の接着層の屈折率よりも大きく、前記第2の屈折率調整層の屈折率は、前記第2の接着層の屈折率よりも大きく、かつ、前記第1の屈折率調整層および前記第2の屈折率調整層の厚みが、それぞれ85nm〜120nmであることを特徴とする。
【0007】
好ましくは、前記第1の屈折率調整層と前記第1の接着層との屈折率差が、0.1〜0.4であり、前記第2の屈折率調整層と前記第2の接着層との屈折率差が、0.1〜0.4である。
【0008】
また、好ましくは、前記第1の屈折率調整層および前記第2の屈折率調整層の屈折率は、それぞれ1.5〜1.8である。
【0009】
また、好ましくは、前記第1の屈折率調整層および前記第2の屈折率調整層の厚みが、それぞれ90nm〜110nmである。
【0010】
また、前記第1の屈折率調整層の屈折率が、前記第1の接着層の屈折率よりも大きく、かつ前記第1の透明電極パターンの屈折率よりも小さく、前記第2の屈折率調整層の屈折率が、前記第2の接着層の屈折率よりも大きく、かつ前記第2の透明電極パターンの屈折率よりも小さいのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第1の屈折率調整層の屈折率は、第1の接着層の屈折率よりも大きく、第2の屈折率調整層の屈折率は、第2の接着層の屈折率よりも大きく、かつ、前記第1の屈折率調整層および第2の屈折率調整層の厚みは、それぞれ85nm〜120nmである。これにより、干渉縞の発生を抑制するタッチパネルセンサを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
図1は、本実施形態に係るタッチパネルセンサの構成を概略的に示す図であり、(a)は平面図、(b)は、(a)の線A−Aに沿う断面図である。なお、
図1における各構成の長さ、幅または厚みは、その一例を示すものであり、本発明のタッチパネルセンサにおける各構成の長さ、幅または厚みは、
図1のものに限られないものとする。
【0015】
図1(a)および(b)に示すように、本発明のタッチパネルセンサ1は、透明基材2と、該透明基材の一方の側に、透明電極パターン3(第1の透明電極パターン)と、屈折率調整層4(第1の屈折率調整層)と、接着層5(第1の接着層)とをこの順に有している。また、タッチパネルセンサ1は、透明基材2の他方の側に、透明電極パターン6(第2の透明電極パターン)と、屈折率調整層7(第2の屈折率調整層)と、接着層8(第2の接着層)とをこの順に有している。
【0016】
屈折率調整層4の屈折率(相対屈折率)は、接着層5の屈折率より大きく、屈折率調整層7の屈折率は、接着層8の屈折率よりも大きい。また、屈折率調整層7および屈折率調整層8の厚みは、それぞれ85nm〜120nmである。
【0017】
上記のように構成されるタッチパネルセンサ1では、透明電極パターン3と接着層5との間に、特定の物性を有する屈折率調整層4を配置し、透明電極パターン6と接着層8との間に、特定の物性を有する屈折率調整層7を配置する。上記配置によれば、積層界面の屈折率差を小さくすることができるので、外光の反射が弱くなり、干渉縞の発生を効果的に抑制することができる。
【0018】
ここで、従来のタッチパネルセンサでは、各透明電極パターンに直接接着層を積層して作製されている。このとき、干渉縞は、透明基材の表側(視認側)に積層された透明電極パターンの上面(接着層と透明電極パターンとの界面)で反射する反射光と、透明基材の裏側(視認側とは反対側)に積層された透明電極パターンの上面(透明基材と透明電極パターンとの界面)で反射する反射光との干渉作用によって生じる。そこで本発明では、透明基材の表側で発生する反射光に着目し、透明電極パターン3と接着層5との間に屈折率調整層4を配置している。これにより、透明電極パターン3の上面で反射する反射光を弱めることができる。またタッチパネルセンサは、タッチパネルの製造工程において表裏を逆にして使用する場合があることから、断面構造が表裏対称となるように作製するのが好ましい。よって、透明電極パターン6と接着層8との間に屈折率調整層7を配置している。本構成によれば、透明電極パターン3の上面で反射する反射光を弱めることで、透明電極パターン3の上面で反射する反射光と、透明電極パターン6の上面で反射する反射光との干渉を抑えることができる。
【0019】
なお、本明細書における屈折率は、特に断りのない限り、25℃において、ナトリウムD線(波長589.3nm)を用いて測定された、空気に対する値を示す。
【0020】
本発明のタッチパネルセンサ1では、透明基材2上に透明電極パターン3を形成しているが、これに限るものではない。透明基材と透明電極パターンとの間に、接着強度を高めるための易接着層(anchor coat layer)、他の屈折率調整層、又は透明基材の表面硬度を高めるためのハードコート層を有していてもよい。
【0021】
次に、タッチパネルセンサ1の各構成要素の詳細を以下に説明する。
【0022】
(1)透明基材
本発明に用いられる透明基材は、第1および第2の透明電極パターンをそれぞれ支持するものである。透明基材の厚みは、例えば、20μm〜200μmである。
【0023】
上記透明基材は、特に制限はないが、好ましくはポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、またはポリシクロオレフィンフィルムである。特に、ポリシクロオレフィンフィルムは、タッチパネルセンサの感度を向上させる観点から好適である。ポリシクロオレフィンフィルムは、他の材料に比べて誘電率が低いため、第1の透明電極パターンと第2の透明電極パターンとの間の静電容量を小さくすることができる。本発明のタッチパネルセンサを静電容量方式タッチパネルに用いる場合、透明電極パターン間の静電容量を小さくすると、指が透明電極パターンに接近する際に生じる静電容量変化が相対的に大きくなるので、タッチ感度が向上する。
【0024】
(2)透明電極パターン
本発明に用いられる第1および第2の透明電極パターンは、タッチ位置を検出するためのセンサである。上記第1および第2の透明電極パターンは、一般的には、透明部材の端部に形成された引き回し配線(不図示)に電気的に接続され、上記引き回し配線は、コントローラIC(不図示)と接続される。
【0025】
上記第1および第2の透明電極パターンは、いずれか一方をX座標用の電極とし、もう一方をY座標用の電極として、平面視にて格子状に形成される(
図1(a))。各透明電極パターンの形状は、特に制限されないが、例えばストライプ状やひし形状である。
【0026】
上記第1および第2の透明電極パターンは、代表的には、透明導電体により形成される。上記透明導電体は、可視光領域で透過率が高く(好ましくは、80%以上)かつ単位面積当りの表面抵抗値(Ω/□:ohms per square)が500Ω/□以下である材料をいう。
【0027】
上記第1および第2の透明電極パターンの屈折率は、通常、1.9〜2.5であり、タッチパネルセンサを構成する部材の中で最も高い。上記透明導電体を形成する材料は、例えば、インジウムスズ酸化物(屈折率2.0)、またはインジウム亜鉛酸化物(屈折率2.3)である。
【0028】
上記第1および第2の透明電極パターンの高さは、好ましくは10nm〜100nmであり、幅は好ましくは0.1mm〜5mmであり、ピッチは好ましくは0.5mm〜10mmである。
【0029】
上記第1および第2の透明電極パターンを形成する方法としては、スパッタリング法または真空蒸着法を用いて、透明基材の表面全体に透明導電体層を形成した後、エッチング処理により透明導電体層をパターニングする方法が挙げられる。
【0030】
(3)屈折率調整層(index-matching layer)
本発明に用いられる屈折率調整層は、透明電極パターンの反射を抑制するように屈折率が特定の値に調整された透明な層である。上記第1の屈折率調整層は、第1の透明電極パターンを覆うように、透明基材の一方の側に形成され、上記第2の屈折率調整層は、第2の透明電極パターンを覆うように、透明基材の他方の側に形成される。
【0031】
上記第1および第2の屈折率調整層を形成する材料は、特に制限されないが、好ましくは、感光性樹脂または感光性モノマーの有機成分に無機粒子を分散させた無機・有機複合材料を光硬化させたものである。無機粒子としては、例えばシリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化チタンが挙げられる。また、上記無機・有機複合材料は、湿式成膜(Wet coating)が可能であり、この湿式成膜は、スパッタリング等の乾式成膜(Dry coating)と比較して、真空装置などの多大な設備投資が不要で、大面積化に適しており、生産性に優れる。上記無機・有機複合材料としては、例えばOPSTAR(登録商標)Zシリーズ(JSR社製)を用いることができる。
【0032】
上記第1の屈折率調整層の屈折率は、上記第1の接着層の屈折率よりも大きく、好ましくは上記第1の透明電極パターンの屈折率よりも小さい。また、上記第2の屈折率調整層の屈折率は、上記第2の接着層の屈折率よりも大きく、好ましくは上記第2の透明電極パターンの屈折率よりも小さい。
【0033】
上記第1の屈折率調整層と上記第1の接着層との屈折率差Δn1(相対屈折率の差)は、好ましくは0.1〜0.4であり、上記第2の屈折率調整層と上記第2の接着層との屈折率差Δn2は、好ましくは0.1〜0.4である。屈折率差Δn1や屈折率差Δn2が0.1より小さいと干渉縞の発生を抑制する効果が小さくなり、また、屈折率差Δn1や屈折率差Δn2が0.4より大きいと、屈折率調整層と接着層との界面で新たな反射が生じ、それに起因する干渉縞が発生する虞がある。
【0034】
上記第1および第2の屈折率調整層の屈折率は、干渉縞の発生をより一層抑制する観点から、それぞれ好ましくは1.5〜1.8であり、更に好ましくは1.5〜1.7である。上記屈折率調整層として無機・有機複合材料を用いる場合、屈折率調整層の屈折率は、無機粒子の種類やその含有量を変化させることによって、適宜増加あるいは減少させることが可能である。
【0035】
上記第1および第2の屈折率調整層の厚みは、それぞれ85nm〜120nmであり、干渉縞の発生をより一層抑制する観点から、好ましくは90nm〜110nmである。なお、第1および第2の屈折率調整層の材料、屈折率および厚みは、同一であってもよいし、あるいは互いに異なっていてもよい。
【0036】
(4)接着層
本発明に用いられる第1および第2の接着層は、上記第1および第2の屈折率調整層の各表面に積層される。上記第1および第2の接着層の厚みは、好ましくは10μm〜100μmである。上記第1および第2の接着層を形成する材料は、均一性や透明性の観点から、好ましくはアクリル系粘着剤である。第1および第2の接着層の屈折率は、好ましくは1.4〜1.6である。
【0037】
上述したように、本実施形態によれば、第1の屈折率調整層の屈折率は、第1の接着層の屈折率よりも大きく、第2の屈折率調整層の屈折率は、第2の接着層の屈折率よりも大きく、さらに、第1の屈折率調整層および第2の屈折率調整層の厚みは、それぞれ85nm〜120nmであるので、外光の反射が弱くなり、干渉縞の発生を抑制することができる。
【0038】
以上、本実施形態に係るタッチパネルセンサについて述べたが、本発明は記述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。
【実施例】
【0040】
(実施例1)
厚み100μmのポリシクロオレフィンフィルム(日本ゼオン社製 商品名「ZEONOR(登録商標)」)からなる透明基材の両面に、直径3μmの球状粒子を含有するハードコート層と、屈折率が1.65であり厚みが100nmである屈折率調整層を順次形成した。
【0041】
次に、この透明基材を、酸化インジウムを97重量%、酸化スズを3重量%含む焼成体ターゲットを設置したスパッタ装置内に入れ、透明基材の一方の側に、スパッタ法により厚み27nmのインジウムスズ酸化物層を形成した。続いて、透明基材の他方の側にも、上記同様の処理を行い、厚み27nmのインジウムスズ酸化物層を形成した。次いで、両側にインジウムスズ酸化物層を備える透明基材を、150℃で90分間加熱処理し、各インジウムスズ酸化物層を非晶質から結晶質に転化させた。
【0042】
その後、透明基材の一方の側に形成されたインジウムスズ酸化物層に、ポリエステルフィルムの保護層(サンエー化研社製)を積層して保護した。また、他方の側に形成されたインジウムスズ酸化物層に、ストライプ状のフォトレジストを塗布した後、塩酸に浸漬して透明電極パターンを形成した。続いて、透明基材の他方の側に形成されたインジウムスズ酸化物層にも同様の処理を行い、透明基材の両側に透明電極パターンを形成した。
【0043】
次に、透明基材の一方の側に、透明電極パターンを覆うように、感光性モノマーの有機成分に無機粒子を分散させた無機・有機複合材料(JSR社製 商品名「OPSTAR(登録商標)」 KZ6661)を塗布し、光硬化させて、屈折率が1.65であり厚み100nmである第1の屈折率調整層を形成した。透明基材の他方の側にも同様の処理を行い、第2の屈折率調整層を形成した。
【0044】
次に、第1および第2の屈折率調整層の表面に、屈折率が1.5であるアクリル系接着層(日東電工社製 商品名「LUCIACS(登録商標)」)をそれぞれ積層して、タッチパネルセンサを作製した。
(実施例2)
第1および第2の屈折率調整層の厚みを85nmとした以外は、実施例1と同様の方法で、タッチパネルセンサを作製した。
(実施例3)
第1および第2の屈折率調整層の厚みを120nmとした以外は、実施例1と同様の方法で、タッチパネルセンサを作製した。
(比較例1)
第1および第2の屈折率調整層の厚みを60nmとした以外は、実施例1と同様の方法で、タッチパネルセンサを作製した。
(比較例2)
第1および第2の屈折率調整層の厚みを140nmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で、タッチパネルセンサを作製した。
【0045】
次に、上記のように作製した実施例1〜3および比較例1〜2の各タッチパネルセンサを、平滑な評価台上に置き、視認側にガラス板(Corning社製 商品名「GORILLA(登録商標)」)を配置し、背面側に反射防止用の黒色テープを貼り合わせて、模擬的なタッチパネルとし、視認側から三波長型蛍光灯でタッチパネルを照らして、干渉縞の発生の程度を目視観察で評価した。結果を表1に示す。表1中、干渉縞がほぼ視認されなかった場合を「○」、干渉縞が明瞭に視認された場合を「×」で示す。
【0046】
【表1】
【0047】
表1の実施例1に示すように、第1および第2の屈折率調整層の屈折率を1.65、第1および第2の接着層の屈折率を1.5とし、第1および第2の屈折率調整層の厚みをいずれも100nmとすると、タッチパネルに干渉縞がほぼ視認されなかった。また、実施例2において、第1および第2の屈折率調整層の屈折率を1.65、第1および第2の接着層の屈折率を1.5とし、第1および第2の屈折率調整層の厚みをいずれも85nmとすると、干渉縞がほぼ視認されなかった。実施例3では、第1および第2の屈折率調整層の屈折率を1.65、第1および第2の接着層の屈折率を1.5とし、第1および第2の屈折率調整層の厚みをいずれも120nmとすると、干渉縞がほぼ視認されなかった。
【0048】
一方、比較例1に示すように、第1および第2の屈折率調整層の屈折率を1.65、第1および第2の接着層の屈折率を1.5とし、第1および第2の屈折率調整層の厚みをいずれも60nmとすると、タッチパネルに干渉縞が明瞭に視認された。また比較例2に示すように、第1および第2の屈折率調整層の屈折率を1.65、第1および第2の接着層の屈折率を1.5とし、第1および第2の屈折率調整層の厚みをいずれも140nmとすると、干渉縞が明瞭に視認された。
【0049】
したがって、屈折率調整層の屈折率を接着層の屈折率より大きい値とし、屈折率調整層の厚みを85nm〜120nmとすれば、干渉縞の発生を十分に抑制できることが分かった。