【実施例】
【0015】
(パチンコ機10について)
図1に示すように、実施例に係るパチンコ機10は、前後に開口する矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に縦置き姿勢で設置される固定枠としての外枠11の開口前面側に、遊技盤20(
図2参照)を着脱可能に保持する本体枠としての中枠12が開閉および着脱可能に組み付けられて、該遊技盤20の裏側に、各種図柄を変動表示可能な図柄表示装置18(
図4参照)が着脱可能に配設されている。また、前記中枠12の前面側には、前記遊技盤20を透視保護するガラス板や透明な合成樹脂材により形成された透視保護板13bで前後に開口する窓部13aを覆うよう構成された前枠13が開閉可能に組み付けられると共に、該前枠13の下方にパチンコ球を貯留する下球受け皿15が開閉可能に組み付けられる。なお、実施例では、前記前枠13の下部位置に、パチンコ球を貯留する上球受け皿14が一体的に組み付けられており、前枠13の開閉に合わせて上球受け皿14も一体的に開閉するよう構成される。なお、実施例では、前記図柄表示装置18としては、各種図柄を表示可能な液晶パネルを収容ケースに収容した液晶表示装置が採用されるが、これに限られるものではなく、ドラム式の図柄表示装置やドットマトリックス式の図柄表示装置等の各種図柄を停止および変動表示可能な従来公知の各種の図柄表示装置を採用し得る。また、前記上球受け皿14は、前記前枠13と別体に形成してもよい。なお、球受け皿については、上下2枚の球受け皿14,15を備えるものに限らず、1枚の球受け皿のみを設ける構成であってもよい。
【0016】
前記前枠13の右下方位置には、前記中枠12に配設された打球発射装置(図示せず)を作動する操作ハンドル17が設けられている。前記操作ハンドル17は、左回転方向に付勢された操作レバー17aを備えており、該操作レバー17aを右回転するよう遊技者が回動操作することで打球発射装置が作動されて、前記上球受け皿14に貯留されたパチンコ球が前記遊技盤20に向けて発射されるようになっている。ここで、前記操作レバー17aの回動量に応じて打球発射装置によるパチンコ球の打球力が強弱変化するよう構成されており、遊技者が操作レバー17aの回動量を操作することで、前記遊技盤20における遊技領域20aの左側にパチンコ球を流下させる所謂「左打ち」と、該遊技領域20aの右側にパチンコ球を流下させる所謂「右打ち(ゴム打ち)」とを打ち分け得るようになっている。
【0017】
(遊技盤20について)
図2に示すように、前記遊技盤20は、所定板厚の略矩形状に形成された木材板の表面に、各種絵柄等が描かれた合成樹脂シート(図示せず)等を貼付けて装飾した板部材であって、該遊技盤20の表面(盤面)に配設された略円形状に湾曲形成する案内レール23により、パチンコ球が流下可能な遊技領域20aが画成されている。また、前記遊技盤20の裏面に、前記図柄表示装置18が取り付けられた設置部材19(
図7参照)が配設されている。
【0018】
図2に示すように、前記案内レール23は、遊技盤20の左下部から右上部に至るよう左方向に膨出する円弧状に形成された外レール24と、遊技盤20の右上部、右下部および左上部に至るよう右方向に膨出する円弧状に形成された内レール25,26とから構成されている。前記内レール25,26は、外レール24の右上端部に連接して遊技盤20の右上部から下部に亘って配設され、左端縁が右方に凹む円弧状に形成された盤面飾り部材25と、遊技盤20の下部から左上部に亘って配設されて盤面飾り部材25の下端部に連接し、前記外レール24の右方(内側)に離間して位置するレール部材26とから構成され、該外レール24およびレール部材26により1個のパチンコ球が通過可能な発射通路23aが画成されている。ここで、前記内レールを構成するレール部材26は、前記遊技盤20の左上部に開放端を臨ませて外レール24との間に遊技領域20aに開口する打出口23bを画成するよう構成されて、前記打球発射装置から発射されたパチンコ球が発射通路23aの下方開口から上昇して、レール部材26の開放端側の打出口23bから遊技領域20a内に打ち出されるようになっている。
【0019】
(遊技盤20の装着口28)
図7に示すように、前記遊技盤20には、前後に貫通する装着口28が前記遊技領域20a内に複数開設されて、各装着口28に対して各種部品が前側から取り付けられると共に、遊技領域20aの最下部位置には、該遊技領域20aに打ち出されたパチンコ球を排出するアウト口29が開設されている。また、前記遊技盤20には、前記遊技領域20a内に多数の遊技釘30が植設されており、遊技領域20aを流下するパチンコ球が遊技釘30に接触することでパチンコ球の流下方向を不規則に変化させるようになっている。なお、前記装着口28の形成数は、遊技盤20に対して取り付けられる各種部品の個数や配設位置等により必要に応じて適宜決定される。
【0020】
図4に示すように、実施例の前記遊技盤20には、前記案内レール23で囲まれた遊技領域20aの略中央の大部分が開口する第1装着口28に、前後に開口する窓口40aが形成された枠状装飾体40が取り付けられ、該枠状装飾体40の窓口40aを介して図柄表示装置18の表示部18aが遊技盤20の前面側に臨むよう構成されている。そして、第1装着口28(枠状装飾体40)の下方に開設された第2装着口(図示せず)に、遊技領域20aを流下するパチンコ球が入賞可能な始動入賞口32aを有する始動入賞装置32が取り付けられ、該第2装着口(第1始動入賞装置32)の右上方に開設された第3装着口(図示せず)に、遊技領域20aを流下するパチンコ球が入賞可能な特別入賞装置33が取り付けられている。また、実施例のパチンコ機10では、前記枠状装飾体40における特別入賞装置33の上方であって遊技領域20aにおける右側の流路に臨む位置に、該流路を流下するパチンコ球が入賞可能な第2始動入賞口34aを有する第2始動入賞装置34が取り付けられている。
【0021】
そして、前記第1始動入賞装置32に設けられた第1始動入賞口32aまたは第2始動入賞装置34に設けられた第2始動入賞口34aに遊技領域20aを流下するパチンコ球が入賞することで、前記図柄表示装置18の表示部18aにおいて図柄が変動表示されて図柄変動演出が展開され、該図柄変動演出の結果、図柄表示装置18の表示部18aに所定の図柄組み合わせ(例えば同一図柄の3つ揃い等)で図柄が停止表示されることで所謂大当り(当り)が発生し、大当りの発生に伴って前記特別入賞装置33が開放して多数の賞球を獲得し得る機会が与えられるようになっている。ここで、前記第1始動入賞装置32は、第1始動入賞口32aが遊技領域20aに常時開放する常時開放型の入賞装置とされ、前記第2始動入賞装置34は、所定の開放条件および閉鎖条件(何れも後述)に従って第2始動入賞口34aが開閉部材(図示せず)により開閉される開閉型の入賞装置とされている。そして、前記特別入賞装置33は、開閉体33aにより特別入賞口(図示せず)を常には閉鎖(入賞不能状態と)するよう構成され、大当りの発生に伴って特別入賞口を開放(入賞可能状態と)するよう構成されている。
【0022】
(設置部材19について)
前記設置部材19は、前記遊技盤20の外郭形状と略整合する大きさおよび形状に形成された略矩形状の背面板19aと、該背面板の外周縁部から前方に突出する画壁部19bとから前方に開口した箱状に形成されて、該画壁部19bの開口前端部を遊技盤20の裏面に当接させた状態で、当該遊技盤20と設置部材19とがネジにより固定される。そして、前記設置部材19において前記遊技盤20との間に画成される空間に、各種の可動演出装置60や各種の発光装置等が設置されて、設置部材19をベースとする1つのユニットとして扱い得るようになっている。また、前記設置部材19の背面板19aには、前記枠状装飾体40の窓口40aを前後に整列する位置に、略矩形状の開口部19cが前後に開口するよう開設されると共に、該背面板19aの裏側に前記図柄表示装置18が着脱自在に取り付けられて、該開口部19cを介して図柄表示装置18の表示部18aが遊技盤20の前側に臨むようになっている。
図4〜
図7に示すように、設置部材19には、背面板19aにおける前記開口部19cの下側前面に、動作による演出を行う可動演出装置60が配設されており、設置部材19の背面板19a下部とこの背面板19a下部の前側に位置する遊技盤20の下部とのスペースに可動演出装置60が収容されている。ここで、設置部材19の下部には、可動演出装置60の前側に、飾り部材56および前記第1始動入賞装置32の第1始動入賞口32aに入賞したパチンコ球を案内する球通路画成部材58などが配設されており、該可動演出装置60の設置スペースは前後に狭くなっている。
【0023】
(枠状装飾体40について)
図7に示すように、前記枠状装飾体40は、環状に形成されて各種部材の設置部分となる装飾体基部42と、該装飾体基部42の後面から後方へ突出するよう形成され、前記遊技盤20に開設された前記第1装着口28の内側に沿って延在する板状の装飾体固定部44と、該装飾体基部42に設けられて前記遊技盤20の前面より前方に突出し、前記遊技領域20aと図柄表示装置18の表示部18a(表示領域)を区切る庇状部46と、該庇状部46の後縁から外方に延出する板状の装飾体取付部48とを備えている。枠状装飾体40は、装飾体固定部44を第1装着口28に挿入すると共に装飾体取付部48を遊技盤20の前面に当接した状態で、該装飾体取付部48をネジ等で遊技盤20に固定することで遊技盤20に取り付けられる。ここで、庇状部46は、枠状装飾体40(装飾体基部42)の左側縁の中間位置から上縁および右下縁に亘って連続して延在するよう設けられており、図柄表示装置18の前面側を横切ってパチンコ球が流下(落下)するのを規制している。また、枠状装飾体40の左側縁下部および下縁には、前記庇状部46が設けられず、前側をパチンコ球が通過可能に構成されている。
【0024】
図2に示すように、前記枠状装飾体40は、下縁内周(窓口40aの下側)に設けられたステージ50と、該枠状装飾体40の左側縁(窓口40aの左側)に、遊技領域20aから取り込んだパチンコ球をステージ50に導くワープ通路52とを備えている。ワープ通路52または枠状装飾体40の左側縁下部前側を通って遊技領域20aからステージ50に入ったパチンコ球は、ステージ52上を左右に転動した後に、枠状装飾体40の下縁前側を通って遊技領域20aに排出される。また、ステージ50の後側には、左右方向の全長に亘って後壁部材54が上側に向けて所定高さで立ち上がっており、ステージ50上を転動するパチンコ球が図柄表示装置18の表示部18a側に移動するのを該後壁部材54で防止している。ここで、ステージ52および後壁部材54は、無色透明な樹脂材からなり、図柄表示装置18の表示部18aで行われる表示演出と、枠状装飾体40の下縁から窓口40aの内側に延出する後述の可動演出装置60の可動体70および可動部材100とが、ステージ52および後壁部材54を介して前側から視認可能になっている。
【0025】
(可動演出装置60について)
図4〜
図7に示すように、設置部材19における開口部19cの下側には、可動演出装置60が背面板19aの前面に取り付けられ、枠状装飾体40の窓口40aに臨む図柄表示装置18の表示部18aの下側に配置されている。可動演出装置60は、可動体70とこの可動体70に対して変位可能に配設された可動部材100を備えており(
図8参照)、遊技演出に応じて、可動体70および可動部材100により所定の動作演出を行うようになっている。ここで、パチンコ機10で実行される遊技演出とは、図柄表示装置18の表示部18aにおいての各種図柄が変動する図柄変動演出、リーチ演出、リーチ予告演出、大当り演出等の表示による演出、スピーカからの音声出力による演出、光を照射し得る装置による光による演出などを指す。なお、パチンコ機10で実行される遊技演出は、パチンコ機10の外側に現れない内部的であっても、パチンコ機10の外側に現れる外部的であっても何れであってもよい。
【0026】
図8〜
図13に示すように、前記可動演出装置60は、設置部材19の背面板19aに取り付けられるベース部材62と、このベース部材62の前側に往復移動可能に配設される可動体70と、ベース部材62に配設され、可動体70を往復移動させる駆動手段80とを備えている。実施例の可動演出装置60は、可動体70が待機位置(第1位置、
図4および
図8(a)参照)と、この待機位置より上方の可動位置(第2位置、
図6および
図8(c)参照)との間で、ベース部材62に対して上下方向に往復移動可能に配設され、少なくとも可動位置において可動体70が機前側から視認可能になるよう構成されている(
図3(b)参照)。また、可動演出装置60は、可動体70に変位可能に配設された支持部90に支持され、支持部90が可動体70に対して変位することで、可動体70の前側を変位する可動部材100と、ベース部材62に設けられた案内手段102,104と、支持部90に設けられ、可動体70の往復移動に伴い案内手段102,104に案内されて支持部90(可動部材100)の状態を規定する係合部106とを備えている。可動部材100は、支持部90の変位に伴って、可動体70の前側を覆う被覆状態(
図8(a)および(b)参照)と、該被覆状態から可動体70の外側に向けて変位して可動体70の前面を露出させる露出状態(
図8(c)参照)との間で変位するように構成される。なお、実施例の可動演出装置60は、被覆状態において可動体70の左側領域(第1領域)を覆う可動部材100と可動体の右側領域(第1領域以外の第2領域)を覆う可動部材100との2基を備え、互いに離間するように回動変位して被覆状態から露出状態に移行するよう構成される。
【0027】
前記可動演出装置60は、案内手段として第1案内部102とこの第1案内部102と異なる向きで延在する第2案内部104とを有し(
図13(a)参照)、第1案内部102に位置する係合部106が該第1案内部102で位置規定されることで、可動部材100を被覆状態とするように支持部90が保持される(
図12(a)および(b)参照)。そして、可動演出装置60は、可動体70の待機位置から可動位置に向けた移動に伴い第2案内部104で案内されて変位する係合部106により支持部90を作動して可動部材100を被覆状態から露出状態に向けて変位して可動体70の可動位置で露出状態にすると共に、可動体70の可動位置から待機位置に向けた移動に伴い第2案内部104で案内されて変位する係合部106により支持部90を作動して可動部材100を露出状態から被覆状態に向けて変位するよう構成されている(
図12(c)参照)。
【0028】
(ベース部材62について)
図14および
図15に示すように、前記ベース部材62は、略矩形に形成された板状の部材であり、実施例では透明な樹脂板で構成されている。ベース部材62は、設置部材19における背面板19aの前面に取り付けられ、前記飾り部材56および球通路画成部材58の後側に配置されている。ベース部材62は、設置部材19の開口部19c下縁を縁取るように、該ベース部材62の上縁部に配設された縁飾り63を除いて、遊技盤20や枠状装飾体40の下縁の後側に隠れて前側から視認できないようになっている(
図4参照)。ベース部材62は、可動体70および駆動手段80など、可動演出装置60を構成する部材を支持して、可動演出装置60は、ベース部材62を介して1つのユニットとして取り扱い可能に構成されている。
【0029】
前記ベース部材62の前面には、2基の可動部材100,100に対応して2条の案内手段102,104,102,104が左右方向中央部に設けられており、該案内手段102,104,102,104の左右両側部に、可動体70を上下方向に往復移動可能に支持する一対のシャフト64,64が配設されている(
図13(a)参照)。各シャフト64は、金属製の棒状体であって、ベース部材62の上端部に設けられたシャフト差込部65とベース部材62の下端部に設けられたシャフト保持部66との間に架設されて、上下方向に延在している。ここで、シャフト64は、その上端を下方に開口するシャフト差込部65に下方から差し込むと共に、前側に開放した溝状に形成されたシャフト保持部66に嵌め込んだ下端が、シャフト保持部66に螺合した平ワッシャ付きネジ67で抜け止めされる。すなわち、シャフト64は、平ワッシャ付きネジ67を着脱することで、シャフト64(シャフト64で支持した可動体70)を簡単に着脱することができる。
【0030】
(可動体70について)
図13に示すように、実施例の可動体70は、前後方向が薄い箱状であり、前面視で上部が円弧状に形成されている。可動体70は、その後面下部に左右方向に離間して設けられた一対の取付部71,71を備え(
図13(b)参照)、各取付部71に対応する側のシャフト64を挿通することで、可動体70は、ベース部材62に対してシャフト64に沿って上下方向に移動可能に支持される。なお、取付部71は、後方に開口する後溝部とこの後溝部の上下に前方に開口する前溝部とから、上下に連通するシャフト64の挿通路が形成されている。可動体70は、待機位置においてベース部材62の前側に大部分が重なるように配置され、シャフト保持部66の上端に取付部71の下端が当接することで、下方への移動が規制される。また、待機位置にある可動体70は、図柄表示装置18の表示部18aの下側(窓口40aの下側)に位置して、前側に配置された遊技盤20の下部、枠状装飾体40の下縁および飾り部材56によって、該可動体70の前側を覆う被覆状態にある可動部材100を含めて大部分が隠されている。可動体70は、可動位置においてベース部材62の上縁から上方に延出し、ベース部材の前面に前記シャフト差込部65の下方に形成された移動規制片65a(
図11参照)に取付部71の上端が当接することで、上方への移動が規制される。可動体70は、待機位置から可動位置に向かうにつれて窓口40aの下縁から上方に延出して図柄表示装置18における表示部18aの前側に重なる部分および前側が大きくなり、可動位置から待機位置に向かうにつれて表示部18aの前側から下方へに退避するよう、図柄表示装置18の表示部18aの前側(窓口40aの内側)に出没するようになっている。そして、可動体70が表示部の前側に出没するのに伴って、該可動体70に配設された両可動部材100,100についても窓口40aの内側に出没するようになっている。このように、可動演出装置60は、可動体70が可動位置で表示部18aの前側に重なると共に、該可動体70が可動位置から該表示部18aの下側(外側)へ向けて移動して待機位置になるように配設されている。
【0031】
図14および
図15に示すように、前記可動体70は、該可動体70の後面を構成する可動体後板部72と、この可動体後板部72の前側に配設され、該可動体70の前面を構成する可動体前板部73と、可動体後板部72の後面に配設された一対のラック部74,75とを備えている。また、可動体70において可動体後板部72と可動体前板部73との間に画成される収納空間に、前面にLED(発光体)76aが実装された発光基板(発光手段)76と、この発光基板76の前側に配設された仕切部材77と、この仕切部材77の前側に配設されたシート状の光拡散部材78とが配設されている。可動体前板部73は、有色の樹脂板で光を透過可能に構成されており、該可動体前板部73の後面における外周縁部分に内外方向に溝と頂とが延在する凹凸からなる可動体光拡散部73aが形成される一方で、該可動体光拡散部73aより内側の中央部分が平坦に形成されている。すなわち、可動体前板部73は、外周縁部分と中央部分とで入射する光の拡散態様を異ならせている。なお、発光基板76、仕切部材77および光拡散部材78の外形は、可動体前板部73と相似形に形成されている。仕切部材77は、発光基板76のLED76aの前側に重ならないように仕切壁が延在する枠状に形成されており、仕切部材77における仕切壁間の隙間に発光基板76のLED76aが臨むように配置される。可動体70は、発光基板76のLED76aから前方に光を照射することで、光拡散部材78を介して可動体前板部73を照らして、可動体前板部73(可動体70の前面)を発光し得るように構成されている。このように、実施例では可動体70の前面全体が発光部となっている。なお、可動体後板部72は、光を透過しないように構成されて、可動体70が待機位置から移動して図柄表示装置18の表示部18aの前側に重なった際に、表示部18aで行われる表示演出により可動体70の可動体前板部73を発光させないようになっている。
【0032】
図13(b)に示すように、前記可動体70の後面には、左右方向に離間して一対のラック部74,75が配設されている。各ラック部74,75は、可動体後板部72の上下に亘って延在する歯部を外側(右側のラック部75であれば右側、左側のラック部74であれば左側)に向けて有し、各ラック部74,75の下部内側(右側のラック部75であれば下部左側、左側のラック部74であれば下部右側)に、前記取付部71が一体形成されている。可動体70は、駆動手段80が設置されるベース部材62の左側部(一側部)に配設される左側のラック部74(作動ラック部という)が駆動手段80に連係して、この作動ラック部74を介して駆動手段80の駆動力が該可動体70に伝達される(
図11および
図12参照)。また、可動体70は、ベース部材62の右側部(他側部)に配設される右側のラック部75(規制ラック部という)が、ベース部材62の右側上部前面に、前後の軸周りに自由回転可能に配設された規制歯車68に噛み合って、該規制歯車68により右側方への移動が規制される(
図10〜
図12参照。なお、実施例では、一対のラック部74,75が取付部71を含めて左右対称な形状で形成されている。
【0033】
(駆動手段80について)
図14および
図15に示すように、前記駆動手段80は、ベース部材62の左側部中間部位前面に、出力軸を後方へ向けた姿勢で配設された駆動モータ82と、ベース部材62の後側に突出する駆動モータの出力軸に固定された駆動歯車84と、この駆動歯車84の内側に位置してベース部材62に回転可能に配設され、駆動歯車84に噛み合う連繋歯車86と、この連繋歯車86の内側に位置してベース部材62に回転可能に配設され、連繋歯車86および前記作動ラック部74に噛み合う作動歯車88とから構成されている。ベース部材62には、駆動歯車84および連繋歯車86の配設部位に前側に凹む凹部が形成されており、この凹部に駆動歯車84および連繋歯車86が収容され、該凹部の上側に開設された切欠を介して連繋歯車86が作動歯車88の第1作動歯部88aに噛み合っている。そして、作動歯車88において第1作動歯部88aの前側に該第1作動歯部88aと同軸的に形成された第2作動歯部88bが、ベース部材62の前側において作動ラック部74と噛み合うようになっている。作動歯車88は、その回転軸が連繋歯車86の回転軸より上側に配置されて、作動歯車88において第1作動歯部88aより大径に形成された第2作動歯部88bの下部が連繋歯車86の上部前側に重なっている。ベース部材62の前面には、作動歯車88と案内手段102,104を挟んだ左右対称な位置関係で前記規制歯車68が回転可能に配設されており、この規制歯車68が可動体70の規制ラック部75に噛み合っている。このように、可動体70は、作動ラック部74に噛み合う作動歯車88と規制ラック部75に噛み合う規制歯車68とで左右から挟持されており、駆動歯車84、連繋歯車86および作動歯車88からなる伝達部を介して作動ラック部74に伝達される駆動モータ82の駆動力によりシャフト64,64に沿って上下方向に往復移動するよう構成される。なお、駆動歯車84、連繋歯車86および作動歯車88は、前後方向の軸周りに回転するようになっている。
【0034】
(案内手段について)
図11および
図13(a)に示すように、前記ベース部材62の前面には、可動体70の往復移動方向である上下方向に延在する第1案内部102と、この第1案内部102の上端部(可動体70の往復移動方向における第2位置側の端部)から上下方向(可動体70の往復移動方向)と交差するように延在する第2案内部104とからなる案内手段が設けられている。実施例では、第1案内部102および第2案内部104が前側に開放した溝状に形成されており、可動部材100の配設数に対応して、ベース部材62に左右対称な延在形状で案内手段が2条形成されている。第1案内部102は、ベース部材62の下部から上部に亘って上下方向に直線的に延在する一対の横壁と、両横壁の下端に連なって左右方向に延在する下壁とにより画成されている。第2案内部104は、ベース部材62の上部に形成され、ベース部材62の下部から上部にかけて延在する第1案内部102より延在長さが短く設定されている。第2案内部104は、第1案内部102の横壁との接続部から上方へ離間するにつれて第1案内部102の延在ラインから左右方向(第1案内部102の延在ラインと直交する方向)に離れるように延在する一対の横壁と、両横壁の上端に連なる上壁とにより画成されている。
【0035】
ここで、ベース部材62の前面には、右側に配置される可動部材100を作動するための案内手段102,104が左側に形成されており、左側に配置される可動部材100を作動するための案内手段102,104が右側に形成されている。左右の第1案内部102,102は互いに並行に延在すると共に、左右の第2案内部104,104は第1案内部102との接続部から離間するにつれて互いに近づくように斜めに延在している。すなわち、各案内手段の第2案内部104は、第1案内部102との接続部から上方(可動体70の可動位置への移動方向)へ離間するにつれて可動部材100における被覆状態から露出状態への変位方向に傾くように斜め延在し、実施例の第2案内部104は、第1案内部102に対して30°程度傾いている。
【0036】
(支持部90について)
図13(b)に示すように、前記支持部90は、可動体70の下部に、前後方向の軸周りに回転可能に配設された支持円盤92と、この支持円盤92の前面に一端部が固定されると共に他端部が可動部材100に固定された支持アーム94とを備えている。可動演出装置60は、2基の可動部材100,100に対応して2つの支持部90,90を備えており、左側に配置される可動部材100を支持する支持部90の支持円盤92がベース部材において右側に配置されると共に、右側に配置される可動部材100を支持する支持部90の支持円盤92がベース部材において左側に配置され、左右の支持円盤92,92が隣接している。そして、右側の支持円盤92から延出して左側の可動部材100を支持する支持アーム94と、左側の支持円盤92から延出して右側の可動部材100を支持する支持アーム94とが、その延在途中で前後に交差している。可動体70には、可動体後板部72において可動体前板部73の下縁から延出する下部に支持円盤収容部72aが形成され、この支持円盤収容部72aに左右に離間して突設された一対の支持ボス72b,72bに夫々嵌め合わせて一対の支持円盤92,92が左右に隣り合って配設されている。各支持円盤92は、外周縁の一部範囲に連動歯部92aを有し、この連動歯部92aが他方の支持円盤92に形成された連動歯部92aに互いに噛み合っている。すなわち、一対の支持部90,90は、互いの支持円盤92,92の連動歯部92a,92aの噛み合いにより連動して作動するように構成されている。
【0037】
図13(b)に示すように、前記支持アーム94は、可動部材100の被覆状態において、支持円盤92に固定された一端部から支持する可動部材側(左側の可動部材100であれば左側、右側の可動部材100であれば右側)に向けて左右方向に延在した後に上方(可動体70の可動位置側)に向けて延在する、前面視で略L字状に形成されている。そして、支持アーム94は、上下に延在する他端部側が可動部材100の外側縁の後側に重なっており、該可動部材100を後側から支持している。左右の支持アーム94,94は、一端部側で互いに重なるように構成されて、実施例では、左側の可動部材100を支持する支持アーム94の後側を、右側の可動部材100を支持する支持アーム94が通るようになっており、該右側の支持アーム94の一端部が、左側の支持アーム94と干渉しないように後側に向けて屈曲形成されている(
図9参照)。なお、左右の支持円盤92,92および該支持円盤92,92の前面に取り付けられた支持アーム94,94の固定部の前側は、可動体70の下部に取り付けられる支持カバー部96で覆われている(
図8参照)。
【0038】
(係合部106について)
図13(b)に示すように、前記係合部106は、前記支持円盤92の後面における該支持円盤92の回転中心から半径方向外側にずれた偏芯位置に設けられている。係合部106は、支持円盤92の後面に突設された円柱状の係合突起106aと、この係合突起106aの外周に回転可能に嵌め合わせられた係合スリーブ106bとを有している(
図14および
図15参照)。係合部106は、可動体後板部72における前記支持円盤収容部72aに前後に貫通形成された係合通口72cを介して可動体後板部72(可動体70)の後側に突出するようになっている(
図12参照)。係合通口72cは、支持円盤92の回転軸を中心とする円弧状に形成されており、第1案内部102の前側に整合する位置から、第2案内部104における第1案内部102に対する偏倚方向に延在するように開口している。そして、可動体70の後側に突出する係合部106は、ベース部材62の前面に設けられた案内手段102,104に挿入されている。左側の可動部材100を支持する右側の支持円盤92から突出する右側の係合部106は、右側の案内手段102,104に係合し、右側の可動部材100を支持する左側の支持円盤92から突出する左側の係合部106は、左側の案内手段102,104に係合し、可動体70の移動に伴って両係合部106,106が上下方向に変位することで、夫々の案内手段102,104での位置が変化するようになっている。
【0039】
前記係合部106は、第1案内部102に位置している際に、該第1案内部102の横壁に左右方向の移動が規制されて、支持円盤92の回転中心の略直上に位置付けられる(
図11(a)、(b)および
図12(a)、(b)参照)。すなわち、係合部106は、可動体70が上下方向に往復移動しても、第1案内部102に位置している間は回動変位しないようになっている。係合部106は、可動体70の待機位置から可動位置に向けた上方移動に際して第2案内部104に位置する際に、斜めに延在する該第2案内部104の横壁に案内されて下方(右側の係合部106であれば反時計回り、左側の係合部106であれば時計回り)へ向けて回動変位させられる。また、係合部106は、可動体70の可動位置から待機位置に向けた下方移動に際して第2案内部104に位置する際に、斜めに延在する該第2案内部104の横壁に案内されて上方(右側の係合部106であれば時計回り、左側の係合部106であれば反時計回り)へ向けて回動変位させられる。このように、左右の係合部106,106は、第2案内部104,104に位置する際に、互いに反対向きに回動変位するように対応の第2案内部104により案内される。そして、係合部106が回動変位することで支持円盤92が回転し、これに伴って揺動する支持アーム94によって、可動部材100が支持円盤92を中心として被覆状態と露出状態との間で回動変位される。
【0040】
(可動部材100について)
図4〜
図6に示すように、前記可動部材100は、板状に形成されて、その板面が盤面に沿う可動体70の前面に沿って延在している。一対の可動部材100,100は、係合部106の変位につれて支持円盤92を中心に互いに異なる向きに回動変位することで互いに接離するよう構成され、被覆状態において、内縁部を互いに沿わせて左右に並ぶように配置され、両可動部材100,100によって可動体70における意匠が施された本体部分前面の略全体を覆うようになっている。一対の可動部材100,100は、被覆状態から互いに離間するように回動変位することで露出状態になり、可動体70における本体部分の外側縁下部を除く大部分の前面が露出し、可動部材100の内側縁を除く外側縁が可動体70の外側に延出するよう構成される。ここで、可動部材100は、可動体70の可動位置で露出状態になるよう構成されているので、該可動部材100において露出状態で可動体70の外側に延出する領域が、表示部18aの前側に重なるようになっている(
図3(b)参照)。そして、一対の可動部材100,100は、露出状態から互いに近接するように回動変位することで被覆状態に戻る。
【0041】
図14および
図15に示すように、前記可動部材100は、光を透過可能な可動板部100aと、この可動板部100aの前側に取り付けられ、前後に貫通する開口や適宜の意匠形状が形成されて光を透過可能な可動装飾部100bとから、全体として光を透過可能に構成されている。実施例では、可動板部100aおよび可動装飾部100bが有色透明な樹脂板で形成されて、可動装飾部100bの開口を介して可動板部100aが前側から視認可能になっている。このように、実施例の可動部材100は、全体が飾り部として構成されている。可動部材100は、発光基板76のLED76aから照射した光によって、被覆状態において全体的に発光されると共に、露出状態であっても可動体70の前面に重なる領域がLED76aの光により発光される。実施例の可動部材100は、可動装飾部100bの開口を介して可動板部100aが前面に露出する領域(易透視領域という)101Aが、可動装飾部100bと可動板部100aとが重なった領域(難透視領域という)101Bよりも、被覆状態で可動体70の前面意匠を視認し易く設定されている。そして、可動演出装置60は、発光基板76のLED76aから光を照射して可動体70の前面を照明することで、被覆状態でLED76aを点灯しない状態よりも可動部材100を介して可動体70の前面意匠が見易くなる。ここで、可動体70の可動位置で露出状態となる可動部材100は、外縁部が可動体70の外側に位置して表示部18aの前側に重なり、当該外縁部が表示部18aで行われる表示により発光される。
【0042】
前記左側の可動部材100は、被覆状態から右側の支持円盤92を中心に左斜め下方(反時計回り)に向けて回動変位して露出状態となり、露出状態から右側の支持円盤92を中心に右斜め上方(時計回り)に向けて回動変位して被覆状態となり、被覆状態から露出状態に向けて付勢されるよう、該可動部材100の重心が設定されている。右側の可動部材100は、被覆状態から左側の支持円盤92を中心に右斜め下方(時計回り)に向けて回動変位して露出状態となり、露出状態から左側の支持円盤92を中心に左斜め上方(反時計回り)に向けて回動変位して被覆状態となり、被覆状態から露出状態に向けて付勢されるよう、該可動部材100の重心が設定されている。すなわち、可動部材100は、被覆状態から露出状態に向けて回動変位させる方向に自重が作用し、案内手段102,104に係合部106が回動規制されることで、該可動部材100の姿勢が規定されている。
【0043】
図8(a)に示すように、前記可動演出装置60では、可動体70が待機位置にある際に、駆動手段80の駆動モータ82が、左側の可動部材100の露出状態への変位経路上に位置するように、ベース部材62の左側部中央に設置されている。ベース部材62の前面から前方に突出する駆動モータ82は、可動体72の待機位置において被覆状態にある左側の可動部材100の左側方に近接配置され、可動体70の待機位置において左側の可動部材100と駆動モータ82との当接によっても該可動部材100の露出状態への変位を規制するよう構成される。ここで、左右の可動部材100,100は、支持円盤92の連動歯部92aで連動するよう構成されているから、可動体70の待機位置において左側の可動部材100を駆動モータ82で位置規制することで、右側の可動部材100についても露出状態への変位を規制し得る。また、可動演出装置60は、係合部106が第2案内部104に配置される可動体70の位置で、可動部材100の被覆状態から露出状態への変位経路上から駆動モータ82が外れるよう構成されている。左側の可動部材100は、待機位置から可動位置に向けて可動体70が上方へ移動して係合部106が第1案内部102の上端に位置する高さで、駆動モータ82よりも上方に配置される(
図8(b)参照)。そして、第2案内部104に係合部106が案内されて左側の可動部材100が被覆状態から露出状態に回動変位するときは、駆動モータ82から上方へ更に離間するようになっている。
【0044】
(補助係合部108について)
図13に示すように、前記可動演出装置60は、可動部材100に、支持部90における可動体70への支持部位となる支持円盤92から離間して設けられた補助係合部108と、可動体70に設けられ、可動部材100が被覆状態と露出状態との間の所定の変位経路で変位するように、補助係合部108を案内する補助案内部110とを備えている。補助係合部108は、支持部90において可動部材100の外縁部を後側から支持する支持アーム94の他端部から内方へ延出する補助片94aに設けられている。補助係合部108は、補助片94aから後方へ延出し、前後に開口する補助案内部110に挿通される係合軸108aと、この係合軸108aに嵌め込まれて補助案内部110の開口縁を前後から挟む一対のワッシャ108bとを有し、係合軸108aに螺合されるネジ108cによりワッシャ108bが抜け止めされている。補助案内部110は、可動体70における可動体後板部72の両側部に、該可動体後板部72の上下方向中間部から下部にかけて、支持円盤92の回転軸を中心とする円弧状に延在するように形成されている。ここで、補助案内部110は、第2案内部104に案内される係合部106の変位に伴う被覆状態と露出状態との間の可動部材100の変位に合わせて延在するよう形成される。すなわち、被覆状態から露出状態に向けて左斜め下方に回動変位する左側の可動部材100に合わせて左側の補助案内部110が可動体後板部72の中間部から左斜め下方へ円弧状に延在し、被覆状態から露出状態に向けて右斜め下方に回動変位する右側の可動部材100に合わせて右側の補助案内部110が可動体後板部72の中間部から右斜め下方へ円弧状に延在している。
【0045】
(原位置検出手段114について)
図13に示すように、前記ベース部材62における右側部の上下方向中央部には、可動体70の可動体後板部72の右側縁から右方へ延出する検出片112を検出する原位置検出手段114が配設されている。実施例の原位置検出手段114は、前後に対向配置された発光部と受光部を有するフォトセンサであり、可動体70の待機位置において検出片112が発光部と受光部との間に位置し、可動体70を待機位置から可動位置に向けて作動することで、検出片112が発光部と受光部との間から外れる。
【0046】
(実施例の作用)
前記可動演出装置60は、可動体70が待機位置にある際に、各係合部106が対応の第1案内部102の下端に位置して、該第1案内部102により支持円盤92の上端に位置付けられた係合部106により支持部90が可動部材100を被覆状態で保持している。このように、可動体70の待機位置において両可動部材100,100が被覆状態にあり(
図8(a))、可動体70および該可動体70の前面を覆う両可動部材100,100が設置部材19の背面板19aと該設置部材19の前側に配設された飾り部材56および球通路画成部材58との間に収容されて隠れた状態になっている(
図3参照)。ここで、両可動部材100,100は、可動体70が背面板19aと飾り部材56および球通路画成部材58との間に収容されているときに、互いに近接した被覆状態になっているので、左右方向の幅寸法がコンパクトになっている。
【0047】
前記可動演出装置60は、可動体70を待機位置から可動位置に向けて上方へ移動すると、可動体70と共に両係合部106,106、両支持部90,90および両可動部材100,100が上方に移動し、係合部106が第1案内部102に位置している間は可動部材100が被覆状態で保持される。すなわち、被覆状態にある両可動部材100,100で前側が覆われた状態で可動体70が窓口40aの下側から表示部18aの前側に次第に現れる(
図8(b)および
図4参照)。可動体70が待機位置から可動位置に向けて更に上方へ移動すると、係合部106が第1案内部102から第2案内部104に位置し、可動体70の移動方向と交差するように延在する第2案内部104に案内されて係合部106が回動変位し、これにより支持円盤92が回転して支持アーム94が揺動することで可動部材100が被覆状態から露出状態に向けて回動変位される。そして、可動体70が可動位置に至ると、係合部106が第2案内部104の上端に至り、両可動部材100,100が露出状態となって可動体70の前側から左右外側にずれて、可動体70の前面が露出される(
図8(c)および
図6参照)。
【0048】
ここで、支持部90は、第2案内部104に変位される係合部106により回転される支持円盤92に一端部を接続すると共にこの一端部から離間した支持アーム94の他端部で可動部材100を支持しているので、係合部106の変位量が小さくても支持アーム94で該変位量が増幅されて可動部材100を係合部106の変位量よりも大きな変位量で作動することができる。すなわち、可動体70において待機位置と可動位置との間における可動位置側の狭い移動範囲において、両可動部材100,100を被覆状態から露出状態に一気に開放することができる。これにより、表示部18aの前側に位置する可動体70の前側を覆っている被覆状態の両可動部材100,100を素速く露出状態に変位し、可動体70が両可動部材100,100の間から突然現れるような演出を行うことができる。換言すると、可動体70が可動位置に至る直前までは、該可動体70を両可動部材100,100で隠すことができ、可動体70が表示部18aの前側に十分に延出した前側から見易い可動位置近傍で両可動部材100,100が開いて可動体70の前面を露出するので、遊技者の注意を惹き付けることができる。
【0049】
前記可動体70の左側領域を覆う可動部材100を支持する支持部90の支持円盤92をベース部材の右側に偏倚して配置すると共に、支持アーム94の他端部で左側の可動部材100の左側縁を支持しているから、支持アーム94をより長く設定することができ、係合部106の変位に対する可動部材100の変位をより大きくすることができる。可動体70の右側領域を覆う可動部材100を支持する支持部90の支持円盤92をベース部材の左側に偏倚して配置すると共に、支持アーム94の他端部で右側の可動部材100の右側縁を支持することで、支持アーム94をより長く設定することができ、係合部106の変位に対する可動部材100の変位をより大きくすることができる。
【0050】
前記可動演出装置60は、可動体70を可動位置から待機位置に向けて下方へ移動すると、第2案内部104に案内されて係合部106が回動変位し、これにより支持円盤92が回転して支持アーム94が揺動することで可動部材100が露出状態から被覆状態に向けて回動変位される。可動体70を可動位置から待機位置に向けて更に下方へ移動して係合部106が第1案内部102に位置すると、可動部材100が被覆状態で保たれ、この状態で可動体70が下降し、待機位置で停止する。可動演出装置60は、可動部材100の被覆状態と露出状態との間の変位が、可動体70の上下移動範囲において、可動部材100が前側から視認できる状態で行われる。そして、可動部材100は、被覆状態と露出状態との間の変位に際して、補助係合部108が補助案内部110に案内されるので、安定して動作させることができる。
【0051】
前記可動演出装置60によれば、可動体70を駆動手段80で往復移動方向に往復移動することで、該可動体70の移動に伴って可動部材100,100を往復移動方向に往復移動することができると共に、可動体70の移動に伴って案内部102,104で案内されて変位する係合部106による簡単な構成で可動部材100を被覆状態と露出状態との間で変位させることができる。また、可動部材100は、可動体70が待機位置から可動位置に移動する際に、係合部106が第1案内部102に案内されることで可動体70の前側を覆う被覆状態を保ったまま往復移動方向に移動し、係合部106が第2案内部104に案内されることで前記被覆状態から可動体70の前面を露出させる露出状態に変位するから、可動部材100の被覆状態から露出状態への変位に伴って可動体70の見え方を大きく変化させることができる。更に、係合部106が第2案内部104に案内されて可動部材100が被覆状態と露出状態との間で変位する際にも、可動体70および可動部材100が全体として上下方向に移動している。このように、可動体70および可動部材100によって変化に富んだ動作演出を行うことができる。
【0052】
前記駆動手段80の駆動モータ82を、可動体70の待機位置で可動部材100の露出状態への変位経路上に位置するようにベース部材62に設置してあるから、可動体70の待機位置において被覆状態から露出状態に自重により変位しようとする可動部材100を、駆動モータ82との当接により変位規制することができる。そして、可動体70を待機位置から可動位置に移動して、係合部106が第2案内部104に位置して可動部材100が被覆状態から露出状態に変位する際には、可動部材100の変位経路上から駆動モータ82が外れているから、可動部材100を駆動モータ82に邪魔されずに露出状態に開くことができる。すなわち、第1案内部102とこの第1案内部102に位置する係合部106との間に左右方向の隙間を広くとっても、駆動モータ82との当接により可動部材100を被覆状態とするように補助することができ、係合部106が第1案内部102を移動する際の摺動負荷を軽減し、可動体70をスムースに移動させることができる。
【0053】
前記可動演出装置60は、発光基板76のLED76aから光を照射することで、可動部材100が被覆状態にある際には可動部材100が発光し、可動部材100が露出状態にある際には発光した可動体70が視認可能になる。また、可動部材100は露出状態において表示部18aの前側に重なり、当該重なる部分を表示部18aの表示によって発光し得る。すなわち、前述したように可動体70の移動に伴う可動部材100の変位により発光態様も大きく変化させることができ、可動体70および可動部材100による変化に富んだ動作演出と相まって演出効果を向上させることができる。
【0054】
(変更例)
なお、本発明に係る遊技機の構成としては、前述した実施例に示したものに限らず、種々の変更が可能で、例えば以下のものを採用可能である。
(1)駆動手段の伝達部は、歯車の数や配置などを適宜変更可能であり、また歯車に限定されず、リンクやその他の機構を採用することができる。
(2)案内部は溝状に限らず、係合部を案内し得る形状であれば開口状やその他の形状を採用できる。
(3)可動部材の変位は、回動変位に限定されず、可動体の往復移動方向と交差する方向にスライド変位する等、その他の動作であってもよい。
(4)発光体は、LEDに限定されず、電球などその他であってもよい。
(5)可動体の発光手段は省略することが可能である。
(6)遊技盤は、ベニヤ板等の木製であっても、透明または不透明の合成樹脂製であってもよい。
(7)遊技機としては、パチンコ機に限られるものではなく、アレンジボール機やパチンコ球を用いたスロットマシン等、その他各種の遊技機であってもよい。
【0055】
(8)実施例の規制ラック部75と規制歯車68とによる可動体70の位置規制構造に代えて、
図16〜
図17に示すように、可動体70における往復移動方向に沿う側縁に形成された鍔部120と、ベース部材62に回転可能に配設され、鍔部120の前側に重なって該鍔部120の前方変位を規制する規制部122とによる可動体70の位置規制構造を採用してもよい。なお、実施例と同様の構成には、実施例と同じ符号を付して説明を省略する。規制部122は、作動歯車88と案内手段102,104を挟んで反対側のベース部材62の右側部上部に、前後の軸周りに自由回転可能に配設された円盤状部材であり(
図16(a)参照)、鍔部120の前側に重なっている。鍔部120は、可動体70における可動体後板部の後面から離間して上下方向に延在するよう対向配置され、可動体70において作動ラック部74と反対側の右側部に設けられている(
図16(b)参照)。すなわち、規制部122による鍔部120の前方への変位が規制されて、これにより可動体70の前後のガタツキを防止することができる。前記鍔部120の外縁部には、前方に向けて突出する突出片121が形成され、突出片121は、可動体70が可動位置にある際に規制部122が重なる部位よりも該可動体70が待機位置にある際に規制部122に重なる部位の突出寸法が大きく設定されている(
図17参照)。すなわち、可動体70が待機位置にある際に、規制部122と鍔部120の突出片121との当接により可動体70の前後のガタツキをより適切に防止することができる。すなわち輸送時等の振動によっても、可動演出装置60の破損を回避できる。
【0056】
すなわち、前記(8)で説明した変更例は、以下の技術的思想が含まれる。
(付記1)
前記鍔部(120)には、前方に向けて突出する突出片(121)が形成され、
前記突出片(121)は、前記可動体(70)が第2位置にある際に規制部が重なる部位よりも該可動体(70)が第1位置にある際に前記規制部(122)に重なる部位の突出寸法が大きく設定された遊技機。
付記1によれば、可動体が第1位置にある際に、規制部と鍔部の突出片との当接により可動体の前後のガタツキをより適切に防止することができる。