(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
《問題点》 エンジンの製造が困難になる。
特許文献1のエンジンでは、ガス燃料供給手段としてガス燃料インジェクタが用いられ、このガス燃料インジェクタが吸気ポートに向けられているため、液体燃料のみを使用する液体燃料専用エンジンの部品を転用してガス燃料を使用するエンジンを製造する場合には、液体燃料専用エンジンの吸気マニホールドかシリンダヘッドに追加工でガス燃料インジェクタの取付部を形成する必要があり、エンジンの製造が困難になる。
【0007】
本発明の課題は、製造が容易なエンジンを提供することにある。
【0008】
本発明の発明者らは、研究の結果、ガス燃料供給手段としてガス燃料ミキサを用い、エンジン冷却ファンと反対側に位置する電子スロットル装置の後側にガス燃料ミキサを取り付けると、ガス燃料ミキサがエンジン冷却ファンと干渉することもなく、ガス燃料インジェクタの取付部の追加工無しで、液体燃料専用エンジンの吸気マニホールドやシリンダヘッドをガス燃料を使用するエンジンに転用でき、エンジンの製造が容易になることを確認し、この発明に至った。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明の発明特定事項は、次の通りである。
図1に例示するように、電子スロットル装置(1)と、電子スロットル装置(1)を制御する制御手段(3)と、ガス燃料供給手段(4)とを備えた、エンジンにおいて、
図1または
図9に例示するように、ガス燃料供給手段(4)としてガス燃料ミキサ(8)が用いられ、
図1に例示するように、クランク軸(9)の架設方向を前後方向、エンジン冷却ファン(10)側を前側、その反対側を後側として、吸気マニホールド(11)のコレクタ部(11a)が前後方向に架設され、コレクタ部(11a)の後側に電子スロットル装置(1)が取り付けられ、電子スロットル装置(1)の後側にガス燃料ミキサ(8)が
取り付けられ、
図1に例示するように、電子スロットル装置(1)がスロットル吸気通路(16)とスロットル弁(17)とを備え、ガス燃料ミキサ(8)がベンチュリ通路(21)とベンチュリ通路(21)に臨むガス燃料入口(22)とを備え、ベンチュリ通路(21)とスロットル吸気通路(16)とが前後方向に向けて直列接続され、ガス燃料入口(22)がベンチュリ通路(21)の天井壁(23)に下向きに設けられ、スロットル弁(17)としてスロットル弁軸(17a)を横方向に架設したバタフライ弁(25)が用いられ、吸気マニホールド(11)の複数のブランチ部(11b)がコレクタ部(11a)の下面から下向きに導入され、
吸気マニホールド(11)のコレクタ部(11a)の前端壁(26)が最前ブランチ部(11b)の前端壁(27)よりも前側に突出し、
図1に例示するように、吸気マニホールド(11)のコレクタ部(11a)の前端壁(26)と最前ブランチ部(11b)の前端壁(27)とを繋ぐコレクタ部(11a)の前端下隅部(28)の内面は、横側から見て、コレクタ部(11a)の前端壁(26)から最前寄りブランチ部(11b)の前端壁(27)に近づくにつれて、接線が次第に水平に近づく湾曲形状とされている、ことを特徴とするエンジン。
【発明の効果】
【0010】
(請求項1に係る発明)
請求項1に係る発明は、次の効果を奏する。
《効果》 エンジンの製造が容易になる。
図1または
図9に例示するように、ガス燃料供給手段(4)としてガス燃料ミキサ(8)が用いられ、
図1に例示するように、エンジン冷却ファン(10)と反対側に位置する電子スロットル装置(1)の後側にガス燃料ミキサ(8)が取り付けられているので、ガス燃料ミキサ(8)がエンジン冷却ファン(10)と干渉することもなく、ガス燃料インジェクタの取付部の追加工無しで、液体燃料専用エンジンの吸気マニホールド(11)やシリンダヘッド(20)をガス燃料を使用するエンジンに転用でき、エンジンの製造が容易になる。
ガス燃料を使用するエンジンとしては、ガス燃料と液体燃料の供給を切り替えて使用するデュアル燃料エンジンや、ガス燃料のみを使用するガス燃料専用エンジンがある。
《効果》 ガス燃料供給運転時に各気筒の空燃比が平準化される。
図1に例示するように、吸気マニホールド(11)のコレクタ部(11a)の前端壁(26)が最前ブランチ部(11b)の前端壁(27)よりも前側に突出しているので、吸気マニホールド(11)のコレクタ部(11a)の前端壁(26)と最前ブランチ部(11b)の前端壁(27)との間にこれらを繋ぐコレクタ部(11a)の前端下隅部(28)が形成され、コレクタ部(11a)の前端壁(26)に沿って下降したガス燃料(6)がコレクタ部(11a)の前端下隅部(28)の案内で後向きに反転し、最前ブランチ部(11b)と後側の他のコレクタ部(11a)にそれぞれ流れ込み、ガス燃料(6)が各気筒に分配され、各気筒の空燃比が平準化される。
《効果》 ガス燃料供給運転時に各気筒の空燃比がより平準化される。
図1に例示するように、コレクタ部(11a)の前端下隅部(28)の内面は、横側から見て、湾曲形状とされているので、コレクタ部(11a)の前端壁(26)に沿って下降したガス燃料(6)がコレクタ部(11a)の前端下隅部(28)の内面の湾曲形状に沿って後向きに滑らかに反転し、乱流が生じにくいため、ガス燃料(6)が最前ブランチ部(11b)付近で停滞することなく、後側にスムーズに反転し、他の気筒にも分配され、各気筒の空燃比がより平準化される。
【0011】
(請求項2に係る発明)
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 エンジンの製造がより容易になる。
図1または
図9に例示するように、ガス燃料ミキサ(8)がガス燃料弁(12)の弁アクチュエータ(13)を備えているので、
図1に例示するように、ガス燃料弁(12)の弁アクチュエータ(13)をガス燃料ミキサ(8)と一括して電子スロットル装置(1)の後側に取り付けることができ、エンジンの製造がより容易になる。
【0012】
(請求項3に係る発明)
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 エンジンの製造がより容易になる。
図1または
図9に例示するガス燃料弁(12)の弁アクチュエータ(13)は、ガス燃料弁(12)の全開位置と全閉位置の二位置のみを切り替えるように構成されているので、弁アクチュエータ(13)の制御が簡素化され、制御手段(3)に入力する弁アクチュエータ(13)の制御プログラムを省略し、または簡素化することができ、エンジンの製造がより容易になる。
【0013】
(請求項4に係る発明)
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれかに係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 エンジンの製造が容易になる。
図1に例示するように、電子スロットル装置(1)の吸気下流側に配置された液体燃料インジェクタ(2)と、液体燃料(5)とガス燃料(6)の一方から他方に燃料供給を切り替える燃料供給切替操作手段(7)とを備えたデュアル燃料エンジンとした場合には、ガス燃料インジェクタの取付部を形成する追加工無しで、液体燃料専用エンジンの吸気マニホールド(11)やシリンダヘッド(20)をデュアル燃料エンジンに転用でき、エンジンの製造が容易になる。
【0014】
(請求項5に係る発明)
請求項5に係る発明は、請求項4に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 エンジンの製造がより容易になる。
図1または
図9に例示するように、ガス燃料ミキサ(8)がパージガス吸込み口(14)とブローバイガス吸込み口(15)とを備えているため、
図1に例示するように、パージガス吸込み口(14)とブローバイガス吸込み口(15)とをガス燃料ミキサ(8)と一括して電子スロットル装置(1)の後側に取り付けることができ、エンジンの製造がより容易になる。
【0015】
(請求項6に係る発明)
請求項6に係る発明は、請求項4または請求項5に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 燃料供給切替操作時のエンジン回転を安定化させることができる。
図4に示すように、液体燃料(5)からガス燃料(6)への燃料供給の切替操作(18)が行われた場合には、遅延時間(t1)により、吸気マニホールド(11)にガス燃料(6)が満たされるまで液体燃料(5)の供給を継続させて、燃料供給不足を防止するとともに、ガス燃料(6)から液体燃料(5)への燃料供給切替操作(19)が行われた場合には、吸気マニホールド(11)に残留するガス燃料(6)が消費されるまで液体燃料(5)の供給を遅らせて、燃料供給過多を防止することができ、燃料供給量を適正化して、燃料供給切替操作時のエンジン回転を安定化させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1〜
図9は本発明の実施形態に係るエンジンを説明する図であり、この実施形態では、ガス燃料(6)と液体燃料(5)の供給を切り替えて使用する水冷の立形直列3気筒のデュアル燃料エンジンについて説明する。ガス燃料(6)はLPG(液化石油ガス)で、液体燃料(5)はガソリンである。
【0018】
このエンジンの概要は、次の通りである。
図5〜
図8に示すように、シリンダブロック(31)の上部にシリンダヘッド(20)が組み付けられ、シリンダヘッド(20)の上部にシリンダヘッドカバー(32)が組み付けられ、シリンダブロック(31)の前部に調時伝動ケース(34)が組み付けられ、調時伝動ケース(34)の前方にエンジン冷却ファン(10)が配置され、シリンダブロック(31)の後部にフライホイール(35)が配置され、シリンダブロック(31)の下部にオイルパン(36)が組み付けられている。
シリンダヘッド(20)の横一側には吸気マニホールド(11)が組付けられ、横他側には排気マニホールド(37)が組み付けられている。
【0019】
図1に示すように、このエンジンは、電子スロットル装置(1)と、電子スロットル装置(1)を制御する制御手段(3)と、ガス燃料供給手段(4)とを備えている。
ガス燃料供給手段(4)としてガス燃料ミキサ(8)が用いられている。
クランク軸(9)の架設方向を前後方向、エンジン冷却ファン(10)側を前側、その反対側を後側として、吸気マニホールド(11)のコレクタ部(11a)が前後方向に架設され、コレクタ部(11a)の後側に電子スロットル装置(1)が取り付けられ、電子スロットル装置(1)の後側にガス燃料ミキサ(8)が取り付けられている。
【0020】
上記構成により、ガス燃料ミキサ(8)がエンジン冷却ファン(10)と干渉することもなく、ガス燃料インジェクタの取付部の追加工無しで、液体燃料専用エンジンの吸気マニホールド(11)やシリンダヘッド(20)をガス燃料を使用するエンジンに転用でき、エンジンの製造が容易になる。
ガス燃料を使用するエンジンとしては、ガス燃料と液体燃料の供給を切り替えて使用するデュアル燃料エンジンや、ガス燃料のみを使用するガス燃料専用エンジンがあるが、この実施形態では、デュアル燃料エンジンが用いられている。
【0021】
図1に示すように、ガス燃料ミキサ(8)がガス燃料弁(12)の弁アクチュエータ(13)を備えている。
このため、
図1に示すように、ガス燃料弁(12)の弁アクチュエータ(13)をガス燃料ミキサ(8)と一括して電子スロットル装置(1)の後側に取り付けることができ、エンジンの製造がより容易になる。
【0022】
図1に示すガス燃料弁(12)の弁アクチュエータ(13)は、ガス燃料弁(12)の全開位置と全閉位置の二位置のみを切り替えるように構成されている。
このため、弁アクチュエータ(13)の制御が簡素化され、制御手段(3)に入力する弁アクチュエータ(13)の制御プログラムを省略し、または簡素化することができ、エンジンの製造がより容易になる。
【0023】
図1に示すように、電子スロットル装置(1)の吸気下流側に配置された液体燃料インジェクタ(2)と、液体燃料(5)とガス燃料(6)の一方から他方に燃料供給を切り替える燃料供給切替操作手段(7)とを備えたデュアル燃料エンジンとされている。
このため、ガス燃料インジェクタの取付部を形成する追加工無しで、液体燃料専用エンジンの吸気マニホールド(11)やシリンダヘッド(20)をデュアル燃料エンジンに転用でき、エンジンの製造が容易になる。
【0024】
図1に示すように、ガス燃料ミキサ(8)がパージガス吸込み口(14)とブローバイガス吸込み口(15)とを備えている。
キャニスタの吸着体に吸着された燃料タンク(図示せず)の液体燃料(5)が、パージガス吸込み口(14)からガス燃料ミキサ(8)に吸い込まれるとともに、ブローバイガスがブローバイガス吸込み口(15)からガス燃料ミキサ(8)に吸い込まれるように構成されている。
このため、
図1に示すように、パージガス吸込み口(14)とブローバイガス吸込み口(15)とをガス燃料ミキサ(8)と一括して電子スロットル装置(1)の後側に取り付けることができ、エンジンの製造がより容易になる。
図1に示すように、パージガス吸込み口(14)が、ブローバイガス吸込み口(15)及びベンチュリ通路(21)よりも吸気下流側に配置され、ベンチュリ通路(21)がブローバイガス吸込み口(15)よりも吸気下流側に配置されている。
【0025】
図1及び
図3(A)(D)(F)に示すように、ブローバイガス吸込み口(15)は、ガス燃料ミキサ(8)のベンチュリ通路(21)に臨むガス燃料入口(22)よりも吸気上流側で、ミキサボディ(49)の横側壁に水平な向きに沿って設けられ、パージガス吸込み口(14)は、ガス燃料入口(22)よりも吸気下流側で、
図3(A)に示すように、吸気上流側から見て、ミキサボディ(49)の天井壁に下り傾斜する向きで設けられている。
【0026】
図1に示すように、燃料供給切替操作手段(7)とガス燃料ミキサ(8)と液体燃料インジェクタ(2)とが制御手段(3)に連携されている。
図1、
図4に示すように、燃料供給切替操作手段(7)で液体燃料(5)からガス燃料(6)への燃料供給の切替操作(18)が行われた場合には、制御手段(3)により、ガス燃料ミキサ(8)のガス燃料供給期間(8a)の開始時点(8b)よりも液体燃料インジェクタ(2)の液体燃料供給期間(2a)の終了時点(2c)が所定の遅延時間(t1)だけ遅らされ、燃料供給切替操作手段(7)でガス燃料(6)から液体燃料(5)への燃料供給の切替操作(19)が行われた場合には、制御手段(3)により、ガス燃料ミキサ(8)のガス燃料供給期間(8a)の終了時点(8c)よりも液体燃料インジェクタ(2)の液体燃料供給期間(2a)の開始時点(2b)が所定の遅延時間(t2)だけ遅らされるように構成されている。
【0027】
図4に示すように、上記構成により、液体燃料(5)からガス燃料(6)への燃料供給の切替操作(18)が行われた場合には、遅延時間(t1)により、吸気マニホールド(11)にガス燃料(6)が満たされるまで液体燃料(5)の供給を継続させて、燃料供給不足を防止するとともに、ガス燃料(6)から液体燃料(5)への燃料供給切替操作(19)が行われた場合には、吸気マニホールド(11)に残留するガス燃料(6)が消費されるまで液体燃料(5)の供給を遅らせて、燃料供給過多を防止することができ、燃料供給量を適正化して、燃料供給切替操作時のエンジン回転を安定化させることができる。
【0028】
制御手段(3)はエンジンECUである。
エンジンECUは、エンジン電子制御ユニットの略称で、マイクロコンピュータである。
図1に示すように、燃料供給切替操作手段(7)と目標回転数設定手段(38)と実回転数検出手段とクランク角検出手段とを兼ねた電磁ピックアップ(39)とエアフローセンサ(図外)と酸素センサ(図外)とが、制御手段(3)を介して電子スロットル装置(1)とガス燃料弁(12)の弁アクチュエータ(13)と液体燃料インジェクタ(2)と点火コイル(40)に連携されている。
燃料供給切替操作手段(7)は切替操作レバーで、切替操作レバーの切替操作情報は、電圧信号として、制御手段(3)に送信される。
目標回転数設定手段(38)は調速操作レバーで、調速操作レバーの設定位置情報はポテンショメータの電圧信号として制御手段(3)に送信される。
電磁ピックアップ(39)は、クランク軸(9)に取り付けたロータ(41)の周面に設けられた多数の歯と対向され、前方を通過した歯の数により、実回転数とクランク角度を検出する。
エアフローセンサは吸気通路の吸気量を検出する。酸素センサは、排気中の酸素量を測定する。
【0029】
図1に示すように、燃料供給切替操作手段(7)でガス燃料(6)の供給が選択されている場合には、制御手段(3)により、ガス燃料弁(12)の開弁を維持し、目標回転数と実回転数との回転数偏差と排気中の酸素量と吸気量とに基づいて、スロットル弁(17)の開度を調節し、ベンチュリ通路(21)で発生する吸気(42)の負圧でガス燃料(6)をベンチュリ通路(21)に吸い出し、所定空燃比の混合気(43)を吸気マニホールド(11)を介して各気筒に供給し、所定の点火タイミングで点火コイル(40)により点火プラグ(図外)でスパークを発生させる。
燃料供給切替操作手段(7)で液体燃料(5)の供給が選択されている場合には、制御手段(3)により、ガス燃料弁(12)の閉弁を維持し、目標回転速度と実回転速度との回転数偏差と排気中の酸素量と吸気量とに基づいてスロットル弁(17)の開度を調節し、所定の噴射タイミングで液体燃料インジェクタ(2)から所定量の液体燃料(5)を噴射させ、所定の点火タイミングで点火コイル(40)により点火プラグでスパークを発生させる。
【0030】
図1に示すように、電子スロットル装置(1)がスロットル吸気通路(16)とスロットル弁(17)とを備え、ガス燃料ミキサ(8)がベンチュリ通路(21)とベンチュリ通路(21)に臨むガス燃料入口(22)とを備え、ベンチュリ通路(21)とスロットル吸気通路(16)とが前後方向に向けて直列接続され、ガス燃料入口(22)がベンチュリ通路(21)の天井壁(23)に下向きに設けられ、スロットル弁(17)としてスロットル弁軸(17a)を横方向に架設したバタフライ弁(25)が用いられ、吸気マニホールド(11)の複数のブランチ部(11b)がコレクタ部(11a)の下面から下向きに導入されている。
吸気マニホールド(11)のコレクタ部(11a)の前端壁(26)が最前ブランチ部(11b)の前端壁(27)よりも前側に突出している。
【0031】
上記構成により、ガス燃料供給運転時に各気筒の空燃比が平準化される。
その理由は、次のように推定される。
図1に例示するように、ベンチュリ通路(21)とスロットル吸気通路(16)とが前後方向に向けて直列接続され、ガス燃料入口(22)がベンチュリ通路(21)の天井壁(23)に下向きに設けられ、スロットル弁(17)としてスロットル弁軸(17a)を横方向に架設したバタフライ弁(25)が用いられ、吸気マニホールド(11)の複数のブランチ部(11b)がコレクタ部(11a)の下面から下向きに導入された構造を採用した場合、ガス燃料入口(22)からベンチュリ通路(21)に流入したガス燃料(6)の一部が、スロットル吸気通路(16)の天井壁(30)に沿って前進し、その後、吸気マニホールド(11)のコレクタ部(11a)の天井壁(29)に沿って前進し、その後、コレクタ部(11a)の前端壁(26)に沿って下降する。
この場合、吸気マニホールド(11)のコレクタ部(11a)の前端壁(26)が最前ブランチ部(11b)の前端壁(27)と面一であると、コレクタ部(11a)の前端壁(26)に沿って下降したガス燃料(6)が、最前ブランチ部(11b)に集中的に流れ込み、その気筒の空燃比が他の気筒よりも過濃になる傾向がある。特に、バタフライ弁(25)の開度が小さい場合には、バタフライ弁(25)でガス燃料(6)がスロットル吸気通路(16)の天井壁(30)に偏向されやすく、特にその傾向が高い。この実施形態では、バタフライ弁(25)の開度が小さい場合(無負荷時や軽負荷時)には、バタフライ弁(25)が吸気下流側に向かって上り傾斜し、ガス燃料入口(22)から吸い出されたガス燃料(6)がバタフライ弁(25)の上面で案内され、スロットル吸気通路(16)の天井壁(30)に偏向され、特にその傾向が高い。
【0032】
これに対し、この実施形態では、吸気マニホールド(11)のコレクタ部(11a)の前端壁(26)が最前ブランチ部(11b)の前端壁(27)よりも前側に突出しているので、吸気マニホールド(11)のコレクタ部(11a)の前端壁(26)と最前ブランチ部(11b)の前端壁(27)との間にこれらを繋ぐコレクタ部(11a)の前端下隅部(28)が形成され、コレクタ部(11a)の前端壁(26)に沿って下降したガス燃料(6)がコレクタ部(11a)の前端下隅部(28)の案内で後向きに反転し、最前ブランチ部(11b)と後側の他のコレクタ部(11a)にそれぞれ流れ込み、ガス燃料(6)が各気筒に分配され、各気筒の空燃比が平準化される。
【0033】
図1に示すように、吸気マニホールド(11)のコレクタ部(11a)の前端壁(26)と最前ブランチ部(11b)の前端壁(27)とを繋ぐコレクタ部(11a)の前端下隅部(28)の内面は、横側から見て、コレクタ部(11a)の前端壁(26)から最前寄りブランチ部(11b)の前端壁(27)に近づくにつれて、接線が次第に水平に近づく湾曲形状とされている。
【0034】
ガス燃料供給運転時に各気筒の空燃比がより平準化される。
その理由は、次のように推定される。
コレクタ部(11a)の前端壁(26)に沿って下降したガス燃料(6)がコレクタ部(11a)の前端下隅部(28)の内面の湾曲形状に沿って後向きに滑らかに反転し、乱流が生じにくいため、ガス燃料(6)が最前ブランチ部(11b)付近で停滞することなく、後側にスムーズに反転し、他の気筒にも分配され、各気筒の空燃比がより平準化される。
【0035】
図1に示すガス燃料ミキサ(8)は、ガス燃料入口(22)がベンチュリ通路(21)の天井壁(23)に開口された孔で構成され、ベンチュリ通路(21)内に突出するガス燃料ノズルを備えていない。
このため、ベンチュリ通路(21)の通路断面積が広く、吸気抵抗が小さく、多くの吸気(42)を導入し、高出力を得ることができる。
【0036】
図9はガス燃料ミキサ(8)の変形例で、ガス燃料入口(22)は、ベンチュリ通路(21)の天井壁(23)に付設されたガス燃料ノズル(24)で形成され、このガス燃料ノズル(24)の下端部(24a)がベンチュリ通路(21)内に突出している。他の構成と機能は、
図1に示す基本例のガス燃料ミキサ(8)と同じであり、
図9中、
図1のものと同一の要素には同一の符号を付しておく。
【0037】
上記構成により、ガス燃料供給運転時に各気筒の空燃比がより平準化される。
その理由は、次のように推定される。
図1を参酌して説明すると、ガス燃料ノズル(24)からのガス燃料(6)はベンチュリ通路(21)の中心寄りに流出し、スロットル吸気通路(16)の天井壁(30)、ひいては吸気マニホールド(11)のコレクタ部(11a)の天井壁(29)に沿うガス燃料(6)が減少し、コレクタ部(11a)の中心寄りのガス燃料(6)が増加し、ガス燃料(6)がコレクタ部(11a)の前端壁(26)に到達する前に、吸気(42)と速やかに混合するため、各気筒の空燃比がより平準化される。
【0038】
図2に示すように、吸気マニホールド(11)のコレクタ部(11a)は矩形箱形で、サージタンク機能を備え、吸気マニホールド(11)とシリンダヘッドカバー(32)との間にプラグキャップ収容空間(44)が設けられ、このプラグキャップ収容空間(44)に点火コイル(40)と一体形のプラグキャップ(45)が収容されている。吸気マニホールド(11)の反プラグキャップ側で、吸気マニホールド(11)に燃料デリバリーパイプ(46)が取り付けられ、この燃料デリバリーパイプに液体燃料インジェクタ(2)が取り付けられ、この液体燃料インジェクタ(2)が吸気マニホールド(11)のブランチ部(11b)に差し込まれ、液体燃料インジェクタ(2)のノズル(47)が吸気ポート(48)に向けられている。
図3(A)〜(G)に示すように、ガス燃料ミキサ(8)は、ミキサボディ(49)にガス燃料弁(12)とガス燃料弁(12)の弁アクチュエータ(13)とパージガス吸込み口(14)とブローバイガス吸込み口(15)とが一体に組み込まれている。ガス燃料弁(12)はガス燃料供給通路(50)の終端に設けられた弁シート(12a)に着座する。
【0039】
ガス燃料弁(12)の弁アクチュエータ(13)は、全開位置と全閉位置の二位置のみに限らず、ガス燃料弁(12)の開度を全閉位置から全開位置の間で自由に調節できるようにしてもよい。
この場合、制御手段(13)で電子スロットル装置(1)のスロットル弁(17)の開度とガス燃料弁(12)の開度の両方を調節することにより、ガス燃料(6)の供給量や混合気(43)の空燃比を高精度に調節することができる。