(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
左右のファスナテープ(12)と、前記各ファスナテープ(12)に取り付けられ、相互に噛合及び分離可能な線状のファスナエレメント(16)を備えたスライドファスナチェーン(22)の製造方法において、
前記ファスナエレメント(16)を構成する樹脂製のモノフィラメント(40)を、染色用ビーム(30)に巻き付ける際、前記染色用ビーム(30)の前記巻き取り部(32)の回転中心軸(c)の軸方向に対して斜めに巻き取られた層を少なくとも一部に含み、隣接する巻線どうしのあいだの所定ピッチ幅の間隙(L2)と前記モノフィラメント(40)どうしの交差部での空間(s)とが相互に連通した網目状の通路を内部に形成した状態に巻き付ける巻付工程と、
前記モノフィラメント(40)が巻き付けられた前記染色用ビーム(30)をビーム染色機により染色する染色工程と、
染色された前記モノフィラメント(40)を前記染色用ビーム(30)から巻き外してエレメント形状に成形しファスナエレメント(16)を形成するエレメント成形工程と、
前記ファスナエレメント(16)を、前記ファスナテープ(12)に縫い付ける縫合工程とを備えたことを特徴とするスライドファスナチェーンの製造方法。
前記請求項1乃至6のいずれか1項に記載の製造方法により形成されたスライドファスナチェーン(22)を、所定長さに切断して、前記ファスナエレメント(16)にスライダ(24)を取り付けてスライドファスナ(10)を形成する工程を備えたことを特徴とするスライドファスナの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献3に開示されたような長手方向に多色に着色するファスナエレメントは、アイデアとしてはあり得るが、実際に製造するとなると、技術的及びコスト的に現実的なものではなく、スライドファスナとして提供可能なものではなかった。
【0006】
また、従来、線状のモノフィラメントの染色方法として、例えば特許文献4に示すような連続染色方法が、一部の技術分野においては利用されてはいる。しかし、このような染色方法は、ファスナエレメント用のモノフィラメントの技術分野の染色としては、十分な品質を得るまでに至っていない。そのため、これまで、ファスナエレメント用のモノフィラメントを先に染める手法として、現実的に利用されている手法は、上述の特許文献1,2に開示された製造工程により形成したコイル状のファスナエレメントを、一旦ファスナテープから外して、別の色のファスナテープに再度縫い付けて、スライドファスナチェーンを形成する工程により製造することであった。しかし、このような製造は、一旦スライドファスナチェーンを形成した後、ファスナエレメントを取り外して別のファスナテープに縫い付けるという余計な工程を経る必要があり、コストもかかるものであった。しかも、先に行うスライドファスナチェーンの染色は、ファスナテープ部分が染色不要であるにもかかわらず染料が染み込むため、余計な染料が必要となり染料のコストがかかるとともに、一度に染色可能なスライドファスナチェーンの長さも制限されるため、ファスナエレメントとしては染色効率が悪いものであった。
【0007】
さらに、合成樹脂自体を押出前に予め染料、顔料その他の染色剤で着色し、これを押出してモノフィラメントを得るという方法も考えられるが、スライドファスナの色展開は多種にわたるものであるため、それに対応するには、予め多くの種類の色の樹脂材料を準備しておかなければならないなど、製造効率やコスト面での不利なものであった。
【0008】
この発明は、上記背景技術の問題点に鑑みて成されたもので、スライドファスナのファスナエレメントの色を任意に選択することができ、製造効率が良く、コストも抑えることができるスライドファスナチェーン及びスライドファスナの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、左右のファスナテープと、前記各ファスナテープに取り付けられ、相互に噛合及び分離可能な線状のファスナエレメントを備えたスライドファスナチェーンの製造方法において、前記ファスナエレメントを構成する樹脂製のモノフィラメントを、染色用ビームに
巻き付ける際、前記染色用ビームの前記巻き取り部の回転中心軸の軸方向に対して斜めに巻き取られた層を少なくとも一部に含み、隣接する巻線どうしのあいだの所定ピッチ幅の間隙と前記モノフィラメントどうしの交差部での空間とが相互に連通した網目状の通路を内部に形成した状態に巻き付ける巻付工程と、前記モノフィラメントが巻き付けられた前記染色用ビームをビーム染色機により染色する染色工程と、染色された前記モノフィラメントを前記染色用ビームから巻き外してエレメント形状に成形しファスナエレメントを形成するエレメント成形工程と、前記ファスナエレメントを前記ファスナテープに縫い付ける縫合工程とを備えたスライドファスナチェーンの製造方法である。
【0010】
前記
巻付工程は、前記ファスナエレメントを構成する樹脂製のモノフィラメントを、染色用ビームに巻き付ける際、前記染色用ビームの前記巻き取り部の回転中心軸の軸方向に対して斜めに前記モノフィラメントが整列するように、前記巻き取り部の一方の端部から他方の端部に巻き付けるものでも良い。
【0011】
前記
巻付工程は、前記ファスナエレメントを構成する樹脂製のモノフィラメントを、染色用ビームに巻き付ける際、前記染色用ビームの前記巻き取り部の回転中心軸の軸方向に対して、直角方向に整列して巻き取られた層と斜めに巻き取られた層が交互に整列するように、前記巻き取り部の一方の端部から他方の端部に巻き付けるものでも良い。
【0012】
前記
巻付工程は、前記ファスナエレメントを構成する樹脂製のモノフィラメントを、染色用ビームに巻き付ける際、前記染色用ビームの前記巻き取り部の回転中心軸の軸方向に対して斜めに前記モノフィラメントが整列するように、前記巻き取り部の一方の端部から他方の端部に巻き取り、前記斜め方向に巻き取られた複数層の前記モノフィラメントの外側部分に、前記回転中心軸の軸方向に対して直角方向に整列して巻き取られた前記モノフィラメントの層を形成して巻き付けるものでも良い。
【0013】
さらに、前記縫合工程は、前記ファスナエレメントとは色が異なる前記ファスナテープに、前記ファスナエレメントを縫い付けるものである。また、前記染色工程は、ビーム染色機内を加圧状態において染色するものである。
【0014】
またこの発明は、前記製造方法により形成されたスライドファスナチェーンを、所定長さに切断して、前記ファスナエレメントにスライダを取り付けてスライドファスナを形成する工程を備えたスライドファスナの製造方法である。
【発明の効果】
【0015】
この発明のスライドファスナチェーン及びスライドファスナの製造方法によれば、ファスナエレメントの製造を効率よく行うことができ、且つ効率的に均一な色に染色することができる。そして、スライドファスナチェーン及びスライドファスナのファスナエレメントの色を任意に選択して、スライドファスナの意匠性を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施形態のスライドファスナチェーン及びスライドファスナの製造方法について、
図面を基にして説明する。スライドファスナ10は、
図3,
図4に示すように、一対のファスナテープ12と、各ファスナテープ12の端縁部12aに、芯紐14とともに固定されたファスナエレメント16とを有する。左右一対のファスナテープ12の端縁部12aに設けられたファスナエレメント16は、1本の樹脂製のモノフィラメントを各々コイル状に形成して形成されたもので、固定糸18により芯紐14とともに縫着されている。ファスナエレメント16は、端縁部が径方向に潰されて広がった噛合頭部16aと、噛合頭部16aのからファスナテープ12側に延びた脚部16bとから成る。一対のファスナテープ12の互いに対向する端縁部12aに設けられたファスナエレメント16は、互いの噛合頭部16aが係合して、噛合状態で互いに離間しない構造に形成されている。
【0018】
スライドファスナ10は、ファスナエレメント16等が取り付けられた長尺のスライドファスナチェーン22を必要な長さに切断して形成されたものである。スライドファスナチェーン22から切り取られたスライドファスナ10は、一方の端部に、ファスナテープ12の対向するファスナエレメント16に跨ってファスナテープ12を連結固定したストッパ部材20が固定されている。スライドファスナ10の他方の端部にも、各々のファスナエレメント16の端部にストッパ部材21が各々固定されている。そして、スライドファスナ10のファスナエレメント16には、ストッパ部材21の取り付け前に、スライダ24が装着され、ファスナエレメント16の噛合及び噛合解除自在に設けられる。
【0019】
次に、スライドファスナチェーン22及びスライドファスナ10の製造方法について以下に説明する。スライドファスナ10は、ファスナエレメント16をファスナテープ12とは別に染色するもので、
図1に示すような染色用ビーム30を用いる。この染色用ビーム30は、筒状の巻き取り部32とその両端に設けられた鍔部34とを備え、巻き取り部32と鍔部34は同心的に設けられ、鍔部34の中央部の透孔36が、巻き取り部32の筒内に連通して設けられている。さらに、巻き取り部32には、筒の内外に連通した貫通孔38が所定のピッチで全周に亘って形成され、鍔部34の透孔36を介して、巻き取り部32内外と連通可能に設けられている。
【0020】
染色用ビーム30には、ファスナエレメント16を形成するPET等の樹脂製のモノフィラメント40が所定のパターンで巻き付けられている。モノフィラメント40の巻き付けパターンは、
図2に示すように、巻き取り部32の回転中心軸cの軸方向に対してほぼ直角方向に密に巻き取られ、モノフィラメント40を順に平行に整列して巻付けるとともに、順次外側の層に巻き重ねて、所定の層数に巻に付けるものである。巻層構造としては、
図2(a)に斜線部で示す全巻層が、
図2(b)に示すように回転中心軸cに対して直角方向の巻層の構成となっている。
【0021】
この巻き方によれば、
図2(c)の拡大図で示すように、隣接する巻線どうしの間には、モノフィラメント40の直径程度又はそれより僅かに狭い小さな間隙L1のみが形成され、密度の高い巻き方となる。そのため、一回に行えるモノフィラメント40の染色量を多く設定できる。
【0022】
染色用ビーム30にモノフィラメント40を所定の層数で所定の長さを巻き付けた後、図示しないビーム染色機内にその染色用ビーム30を装填し、所定の色の染液をビーム染色機内に供給して、所定の温度及び加圧状態で染色を行う。この時、染液は、染色用ビーム30の内外を、鍔部34の透孔36を経て巻き取り部32の貫通孔38を介して、巻き取り部32の内外に流通する。これにより、巻き取り部32巻回されたモノフィラメント40には、染液が表面に付着し浸透し、所定の高温で一定時間加圧状態を維持することにより、染色が行われる。
【0023】
この後、染色用ビーム30をビーム染色機から取り出して、モノフィラメント40を引き出して巻き外し、従来の方法と同様の製造工程により、モノフィラメント40をコイル状に成形して芯紐14とともにファスナエレメント16を形成し、ファスナテープ12の端縁部12aに縫い付ける。この時のファスナテープ12は、ファスナエレメント16とは異なる色に染色されたもので、ファスナエレメント16を縫合した後にファスナテープ12ともに染色を行う従来の工程は不要のものである。
【0024】
以上の工程により、所定の色のファスナエレメント16が一体に縫合された長尺のスライドファスナチェーン22が形成される。この後、従来と同様の工程により、スライドファスナチェーン22に、所定間隔でスペース部を形成し、所定の長さで切断した後、スライダ24を装着し、ストッパ部材20,21を取り付けてスライドファスナ10が完成する。
【0025】
上述のスライドファスナチェーン及びスライドファスナの製造方法によれば、染色用ビーム30にモノフィラメント40を巻き取って、染色用ビーム30に巻回された状態でモノフィラメント40を染色するので、モノフィラメント40の染色が効率的に行われ、ファスナテープ12と異なる色のファスナエレメント16の製造をより効率的に行うことができる。モノフィラメント40には、染色用ビーム30の巻き取り部32に巻き取られた状態で染液が巻き取り部32の貫通孔38を介して内外に流通するので、効果的に染色されるものである。
【0026】
次に、この発明の一実施形態のスライドファスナチェーン及びスライドファスナの製造方法について、
図5を基にして説明する。ここで、上述の実施形態と同様の部材は同一の符号を付して説明する。この実施形態のスライドファスナチェーン及びスライドファスナの製造方法も上記実施形態と同様のものであるが、染色用ビーム30に巻き取られるモノフィラメント40の巻き方が異なる方法で染色を行ったものである。
【0027】
この実施形態のモノフィラメント40の巻き付けパターンは、
図5に示すように、巻き取り部32の回転中心軸cの軸方向に対して、斜めにモノフィラメント40が整列するように、巻き取り部32の一方の端部から他方の端部に巻き付け、折り返して、傾斜方向を変えて同様に巻き取り部32の他方の端部から一方の端部に巻き付け、これを所定の層数繰り返して巻き付けるものである。巻層構造としては、
図5(a)に交差斜線部で示す全巻層が、
図5(b)に示すように、全巻層で傾斜角度をもった巻層の構成となっている。この時、巻き取り部32の回転中心軸cと直交する方向に対するモノフィラメント40の傾斜角度αは、±1.0°〜6.0°、より好ましくは±1.5°〜3.0°である。
【0028】
この実施形態のファスナエレメントの形成方法においては、ファスナエレメント16を形成するPET等の樹脂製のモノフィラメント40が、巻き取り部32の回転中心軸cの軸方向に対して、90°以外の斜め方向に整列して巻回されているとともに、巻回された各層で回転中心軸cの軸方向に対する傾斜方向が対称な方向に傾斜して、異なる角度で巻き取り部32に巻回されている。そのため
図5(c)に示すように、隣接するモノフィラメント40の巻線どうしのあいだに所定ピッチ幅の間隙L2が形成されるとともに、モノフィラメント40どうしの交差部で、モノフィラメント40の太さによる僅かな空間sが形成される。その結果、巻線内部には、間隙L2と空間sが相互に連通した網目状の通路が形成されて、ビーム染色機内での染液の流通おいて、モノフィラメント40の各層間で染液の流れがより良好となる。これにより、巻き取り部32巻回されたモノフィラメント40には、染液が表面により効率よく付着し、所定の高温で一定時間加圧状態を維持することにより、効果的で均一な染色が行われる。
【0029】
スライドファスナ10用のモノフィラメントは、通常の織布用の糸よりも、太く(例えば0.35mm〜2.5mm、好ましくは0.45mm〜1.0mm)硬質であり、通常の織布用の糸ほど染色性がよくない。そのため、染料の材料とモノフィラメント材質の相性や、温度や圧力などの製造条件によっては、
図2に示す巻き方では、十分かつ均一な染色ができない場合もあり得る。そのような場合であっても、本実施形態のように、巻線内部に間隙L2と空間sとが相互に連通した網目状の通路を形成することにより、さらに十分かつ均一な染色を実現することができる。このことは、スライドファスナ10用のモノフィラメントが通常の織布用の糸よりも太く、PETやナイロン6、ナイロン66のような材料でつくられることで、通常の織布用の糸よりも硬質で形状変形しにくいものであるが故に、モノフィラメントの太さ程度(例えば0.35mm〜2.5mm、好ましくは0.45mm〜1.0mm)の空間sが生じ、結果として、通常の織布用の糸を巻いたのでは生じない空間sと間隙L2とが相互に連通した網目状の通路が形成されることによるともいえる。
【0030】
この実施形態のスライドファスナチェーン及びスライドファスナの製造方法によれば、染色用ビーム30にモノフィラメント40を斜め方向に交互に巻き取って染色するので、モノフィラメント40の表面に染液が効果的に大量に流れ、染色がより効率的且つ均一に行われる。
【0031】
次に、この発明の
他の実施形態のスライドファスナチェーン及びスライドファスナの製造方法について、
図6を基にして説明する。ここで、上述の実施形態と同様の部材は同一の符号を付して説明する。この実施形態のスライドファスナチェーン及びスライドファスナの製造方法も上記実施形態と同様のものであるが、染色用ビーム30に巻き取られるモノフィラメント40の巻き方をさらに変えて染色を行ったものである。
【0032】
この実施形態のモノフィラメント40の巻回パターンは、
図6に示すように、巻き取り部32の回転中心軸cの軸方向に対して、ほぼ90°方向に整列して巻き取り部32の一方の端部から他方の端部にモノフィラメント40を1層巻き付け、次の層では、回転中心軸cの軸方向に対して斜めにモノフィラメント40が整列するように、巻き取り部32の他方の端部から一方の端部に整列させて巻き付け、折り返して上記の巻き付け方法を繰り返したものである。巻層構造としては、
図6(a)に示すようになっている。この時の巻き取り部32の回転中心軸cと直交する方向に対するモノフィラメント40の傾斜角度αは、上記実施形態と同様に、
図6(b)に示すように±1.0°〜6.0°、より好ましくは±1.5°〜3.0°である。
【0033】
この実施形態のスライドファスナチェーン及びスライドファスナの製造方法においては、モノフィラメント40が、巻き取り部32の回転中心軸cの軸方向に対して、ほぼ90°に整列して巻回された層と、90°以外の斜め方向に整列して巻回された層が交互に形成され、斜めに巻回された各層でも、回転中心軸cの軸方向に対する傾斜方向が対称な方向に傾斜して巻き取り部32に巻回されている。そのため、斜めに巻回された各層では、
図6(c)で示したような、隣接する巻線どうしのあいだに所定ピッチ幅の間隙L2が形成されるとともに、モノフィラメント40どうしの交差部で僅かな空間sが形成される。一方、ほぼ90°に整列して巻回された層では、
図2(c)で示したような、隣接する巻線どうしのあいだにモノフィラメント40の直径程度の小さな間隙L1が形成される。その結果、巻線内部には、
図6(c)に示すように、間隙L1と間隙L2と空間sが相互に連通した網目状の通路が形成されている。このように、モノフィラメント40の各層が粗密に積層されることによって、染液の流れが、間隙L1、L2と空間sに沿って良好に流れる部分と、各層間で仕切られるように流れる部分とが混在することになり、その結果、染料の流量を調整することができ、その調整具合に応じた染色が行われる。
【0034】
この実施形態のスライドファスナチェーン及びスライドファスナの製造方法によれば、上記実施形態と同様の効果に加えて、モノフィラメント40の表面に染液が効果的に調整された状態で且つ均一に流れ、染色がより効率的に調整した状態且つ均一に行われる。
【0035】
次に、この発明のさらに他の実施形態のスライドファスナチェーン及びスライドファスナの製造方法について、
図7を基にして説明する。ここで、上述の実施形態と同様の部材は同一の符号を付して説明する。この実施形態のスライドファスナチェーン及びスライドファスナの製造方法も上記実施形態と同様のものであるが、染色用ビーム30に巻き取られるモノフィラメント40の巻き方をさらに変えて染色を行ったものである。
【0036】
この実施形態のモノフィラメント40の巻回パターンは、
図7に示すように、巻き取り部32の回転中心軸cの軸方向に対して斜めにモノフィラメント40が整列するように、巻き取り部32の他方の端部から一方の端部に整列させて巻き付け、折り返して逆方向に傾斜させて、上記の巻き付け方法を繰り返したものである。さらに、巻き取り部32に巻き付けたられたモノフィラメント40の最後の数層、例えば2層程度を、巻き取り部32の回転中心軸cの軸方向に対してほぼ直角方向に整列させて巻き付けたものである。巻層構造としては、
図7(a)に示すようになっている。この時の、内側に巻回されたモノフィラメント40の傾斜角度αは、上記実施形態と同様に、
図7(b)に示すように±1.0°〜6.0°、より好ましくは±1.5°〜3.0°である。
【0037】
この実施形態のスライドファスナチェーン及びスライドファスナの製造方法においては、モノフィラメント40が、巻き取り部32の回転中心軸cの軸方向に対して斜めに整列して巻回されて、各層で交互に方向が逆に巻回され、さらに、最外層から数層は、回転中心軸cに対してほぼ90°に整列して巻回されている。そのため、斜めに巻回された各層では、
図5(c)で示したような、隣接する巻線どうしのあいだに所定ピッチ幅の間隙L2が形成されるとともに、モノフィラメント40どうしの交差部で僅かな空間sが形成される。一方、ほぼ90°に整列して巻回された層では、
図2(c)で示したような、隣接する巻線どうしのあいだにモノフィラメント40の直径程度の小さな間隙L1が形成される。その結果、巻線軸部側では、間隙L2と空間sが相互に連通した網目状の通路が形成されている一方、巻線外周側には
図2(c)に示した拡大図で示すように、隣接する巻線どうしのあいだにモノフィラメント40の直径程度の小さな間隙L1のみが形成されている。即ち、ビーム染色機内での染液の流通おいて、モノフィラメント40の各層間で間隙L2と空間sが相互に連通した網目状の通路が形成されるとともに、斜めに巻回されたモノフィラメント40は、外層に整列された密に巻回された層により蓋をされた状態となる。これにより、染液の流れが間隙L2と空間sが相互に連通した網目状の通路に沿って良好であるとともに、最外層のモノフィラメント40により最外層とその内側で染液の圧力差が生じ、染液がその内側に留まるように流れ、モノフィラメント40には、染液が表面により効率よく付着し、効果的で均一な染色が行われる。
【0038】
この実施形態のスライドファスナチェーン及びスライドファスナの製造方法によれば、上記実施形態と同様の効果に加えて、最外層とその内側で染液の圧力差による効果的な染色が行える。
【0039】
なお、この発明のスライドファスナチェーン及びスライドファスナの製造方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、染色用ビームの形状は、特許文献2に開示されているように、巻き取り部に対して鍔部が傾斜して円錐台状に形成されているものでも良い。また、モノフィラメントの巻き付け方法は適宜選択可能なものであり、染色用ビームの中心軸方向に対する傾斜角度も適宜設定可能なものである。
【0040】
また、この発明のスライドファスナチェーン及びスライドファスナの製造方法は、コイル形状のエレメントの染色に限らず、ジグザグ形状のエレメントなどにも利用できる。