(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
c−Metの過剰発現部位又は局在部位の画像を得るために哺乳動物体をインビボでイメージングする方法に使用される請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載のイメージング剤組成物であって、前記方法が、前記イメージング剤組成物が予め投与された前記哺乳動物体をイメージングすることを含んでいる、イメージング剤組成物。
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の態様では、本発明は、
18F放射性標識c−Met結合環状ペプチドを含んでなるイメージング剤であって、前記c−Met結合環状ペプチドが次の式Iの18〜30量体環状ペプチドであるイメージング剤を提供する。
Z
1−[cMBP]−Z
2 (I)
式中、
cMBPは次の式IIを有し、
−(A)
x−Q−(A')
y− (II)
(式中、
Qは次のアミノ酸配列(配列番号1)であり、
−Cys
a−X
1−Cys
c−X
2−Gly−Pro−Pro−X
3−Phe−Glu−Cys
d−Trp−Cys
b−Tyr−X
4−X
5−X
6−
(式中、X
1はAsn、His又はTyrであり、X
2はGly、Ser、Thr又はAsnであり、X
3はThr又はArgであり、X
4はAla、Asp、Glu、Gly又はSerであり、X
5はSer又はThrであり、X
6はAsp又はGluであり、Cys
a-dの各々はシステイン残基であって、残基a及びb並びに残基c及びdは環化して2つの独立したジスルフィド結合を形成している。)
A及びA’は独立にCys以外の任意のアミノ酸であって、A及びA’の少なくとも一方は存在しかつLysであることを条件とし、
x及びyは独立に0〜13の値を有する整数であって、[x+y]=1〜13となるように選択される。)
Z
1はcMBPのN末端に結合していて、H又はM
IGであり、
Z
2はcMBPのC末端に結合していて、OH、OB
c(式中、B
cは生体適合性陽イオンである。)又はM
IGであり、
各M
IGは独立に、cMBPペプチドのインビボ代謝を阻害又は抑制する生体適合性基である代謝阻害基であり、
cMBPはA又はA’基のLys残基において
18Fで標識されている。
【0015】
「イメージング剤」という用語は、哺乳動物体をイメージングするのに適した化合物を意味する。好ましくは、哺乳動物はインタクトな哺乳動物生体であり、さらに好ましくはヒト被験体である。好ましくは、イメージング剤は最小限に侵襲的なやり方(即ち、職業的な医学専門技術の下で実施した場合に哺乳動物被験体に対して実質的な健康リスクのないやり方)で哺乳動物体に投与できる。かかる最小限に侵襲的な投与は、好ましくは、局所又は全身麻酔の必要なしに行われる、前記被験体の末梢静脈への静脈内投与である。
【0016】
本明細書中で使用される「インビボイメージング」という用語は、哺乳動物被験体の内部構造の全部又は一部の画像を非侵襲的に生成する技法をいう。
【0017】
「c−Met結合環状ペプチド」という用語は、c−Met(又は単にMET)としても知られる肝細胞増殖因子受容体に結合するペプチドを意味する。本発明の好適なかかるペプチドは、式Iの18〜30アミノ酸の環状ペプチドである。かかるペプチドは、c−Metに対して約20nM未満の見掛けK
Dを有している。前記ペプチドのcMBP配列はプロリン残基を含み、かかる残基は主鎖アミド結合のシス/トランス異性化を示し得ることが知られている。本発明のcMBPペプチドは、任意のかかる異性体を含んでいる。
【0018】
Z
1基は、cMBPの最後のアミノ酸残基のアミン基(即ち、アミノ末端)を置換する。したがって、Z
1がHである場合、cMBPのアミノ末端は最後のアミノ酸残基の遊離NH
2基で終わる。Z
2基は、cMBPの最後のアミノ酸残基のカルボニル基(即ち、カルボキシ末端)を置換する。したがって、Z
2がOHである場合、cMBPのカルボキシ末端は最後のアミノ酸残基の遊離CO
2H基で終わり、Z
2がOB
cである場合、末端カルボキシ基はCO
2B
c基としてイオン化される。
【0019】
「生体適合性陽イオン」(B
c)という用語は、イオン化して負に帯電した基と共に塩を形成する正に帯電した対イオンを意味する。この場合、前記正に帯電した対イオンも無毒性であり、したがって哺乳動物体(特に人体)への投与に適している。好適な生体適合性陽イオンの例には、アルカリ金属であるナトリウム及びカリウム、アルカリ土類金属であるカルシウム及びマグネシウム、並びにアンモニウムイオンがある。好ましい生体適合性陽イオンはナトリウム及びカリウムであり、最も好ましくはナトリウムである。
【0020】
「代謝阻害基」(M
IG)という用語は、アミノ末端(Z
1)又はカルボキシ末端(Z
2)におけるcMBPペプチドのインビボ代謝を阻害又は抑制する生体適合性基を意味する。かかる基は当業者にとって公知であり、ペプチドのアミン末端については、好適にはN−アシル化基−NH(C=O)R
G(式中、アシル基−(C=O)R
GはC
1-6アルキル基及びC
3-10アリール基から選択されるR
Gを有するか、或いはポリエチレングリコール(PEG)構成単位を含む。)から選択される。ペプチドのカルボキシ末端については、カルボキサミド、tert−ブチルエステル、ベンジルエステル、シクロヘキシルエステル、アミノアルコール又はポリエチレングリコール(PEG)構成単位がある。好ましいかかるPEG基は、次の式IA又はIBのバイオモディファイアーである。
【0021】
【化1】
式中、pは1〜10の整数である。別法として、式IBのプロピオン酸誘導体に基づくPEG様構造も使用できる。
【0022】
【化2】
式中、pは式IAに関して定義した通りであり、qは3〜15の整数である。式IB中、pは好ましくは1又は2であり、qは好ましくは5〜12である。
【0023】
好ましいかかるアミノ末端M
IG基は、アセチル、ベンジルオキシカルボニル又はトリフルオロアセチルであり、最も好ましくはアセチルである。
【0024】
「
18F放射性標識」という用語は、c−Met結合環状ペプチドに放射性同位体
18Fが共有結合していることを意味する。
18Fは、好適にはC−Fフルオロアルキル又はフルオロアリール結合を介して結合される。これは、かかる結合がインビボで比較的安定であり、したがってcMBPペプチドからの
18F放射性ラベルの代謝的開裂に対する抵抗性を与えるからである。
18Fは、好ましくはC−Fフルオロアリール結合を介して結合される。
18FはcMBPのアミノ酸の1つに直接結合してもよいが、好ましくはcMBP上における放射性フッ素化置換基の一部としてコンジュゲートされる。前記置換基は、好ましくは次の式を有する。
−(L)
n−
18F
式中、
Lは式−(A)
m−(式中、各Aは独立に−CR
2−、−CR=CR−、−C≡C−、−CR
2CO
2−、−CO
2CR
2−、−NR(C=O)−、−(C=O)NR−、−NR(C=O)NR−、−NR(C=S)NR−、−SO
2NR−、−NRSO
2−、−CR
2OCR
2−、−CR
2SCR
2−、−CR
2NRCR
2−、−CR
2−O−N=、−CR
2−O−NR−、−CR
2−O−NH(CO)−、C
4-8シクロヘテロアルキレン基、C
4-8シクロアルキレン基、C
5-12アリーレン基又はC
3-12ヘテロアリーレン基、或いはアミノ酸、糖又は単分散ポリエチレングリコール(PEG)構成単位であり、各Rは独立にH、C
1-4アルキル、C
2-4アルケニル、C
2-4アルキニル、C
1-4アルコキシアルキル及びC
1-4ヒドロキシアルキルから選択され、mは1〜20の値を有する整数である。)の合成リンカー基であり、
nは0又は1の値を有する整数である。
【0025】
「アミノ酸」という用語は、L−又はD−アミノ酸、アミノ酸類似体(例えば、ナフチルアラニン)或いはアミノ酸模倣体を意味し、これらは天然のもの又は純粋に合成由来のものであってよく、光学的に純粋なもの(即ち、単一の鏡像異性体)、したがってキラルなものであるか、或いは鏡像異性体の混合物であってよい。本明細書中では、アミノ酸に関する通常の三文字略語又は一文字略語が使用される。好ましくは、本発明のアミノ酸は光学的に純粋なものである。「アミノ酸模倣体」という用語は、アイソスター(即ち、天然化合物の立体構造及び電子構造を模倣するように設計されたもの)である天然アミノ酸の合成類似体を意味する。かかるアイソスターは当業者にとって公知であり、特に限定されないが、デプシペプチド、レトロ−インベルソペプチド、チオアミド、シクロアルカン又は1,5−二置換テトラゾールを包含する[M.Goodman,Biopolymers,
24,137(1985)を参照されたい]。
【0026】
「ペプチド」という用語は、ペプチド結合(即ち、1つのアミノ酸のアミンを別のアミノ酸のカルボキシルに連結するアミド結合)によって連結された(上記に定義したような)2以上のアミノ酸を含む化合物を意味する。
【0027】
「糖」という用語は、単糖、二糖又は三糖を意味する。好適な糖には、グルコース、ガラクトース、マルトース、マンノース及びラクトースがある。任意には、アミノ酸への容易なカップリングを可能にするように糖を官能化することができる。即ち、例えばアミノ酸のグルコサミン誘導体は、ペプチド結合を介して他のアミノ酸にコンジュゲートすることができる。(NovaBiochem社から商業的に入手できる)アスパラギンのグルコサミン誘導体はこれの一例である。
【0028】
【化3】
A及びA’が「Cys以外の任意のアミノ酸」であるとは、A及びA’基の追加のアミノ酸が遊離チオール基(特にCys残基)を含まないことを意味する。なぜなら、追加のCys残基はQ配列のCys
a−Cys
b及びCys
c−Cys
dジスルフィドブリッジとジスルフィドブリッジスクランブリングを起こす危険があり、その結果としてc−Met結合親和性の喪失又は低下をもたらすからである。
【0029】
好ましい特徴
本発明の好ましいcMBPペプチドは、c−Metが結合してc−Met/HGF複合体を形成する反応に関して(蛍光偏光アッセイ測定に基づいて)約10nM未満、最も好ましくは1〜5nMの範囲内のK
Dを有し、3nM未満が理想的である。
【0030】
式I及び式IIのcMBPペプチドは、好ましくは次の式IIAを有する。
−(A)
x−Q−(A')
z−Lys−
(IIA)
式中、
Aは式IIに関して定義した通りであり、
zは0〜12の値を有する整数であって、[x+z]=0〜12であり、
cMBPはただ1つのLys残基を含む。
【0031】
このように、式IIAでは、単一のLys残基がcMBPのC末端に特異的に位置している。これはまた、
18F放射性ラベルが好ましくはC末端位置に位置することを意味している。
【0032】
Qは、好ましくは次の配列番号2又は配列番号3のアミノ酸配列を含んでいる。
Ser−Cys
a−X
1−Cys
c−X
2−Gly−Pro−Pro−X
3−Phe−Glu−Cys
d−Trp−Cys
b−Tyr−X
4−X
5−X
6(配列番号2)、
Ala−Gly−Ser−Cys
a−X
1−Cys
c−X
2−Gly−Pro−Pro−X
3−Phe−Glu−Cys
d−Trp−Cys
b−Tyr−X
4−X
5−X
6−Gly−Thr(配列番号3)。
【0033】
配列番号1、配列番号2及び配列番号3中では、X
3は好ましくはArgである。式I及び式II中では、−(A)
x−又は−(A')
y−基は、好ましくは
−Gly−Gly−Gly−Lys−(配列番号4)、
−Gly−Ser−Gly−Lys−(配列番号5)及び
−Gly−Ser−Gly−Ser−Lys−(配列番号6)
から選択されるリンカーペプチドを含んでいる。
【0034】
第1の態様のcMBPペプチドは、好ましくは次のアミノ酸配列(配列番号7)を有している。
Ala−Gly−Ser−Cys
a−Tyr−Cys
c−Ser−Gly−Pro−Pro−Arg−Phe−Glu−Cys
d−Trp−Cys
b−Tyr−Glu−Thr−Glu−Gly−Thr−Gly−Gly−Gly−Lys。
【0035】
本発明の好ましいイメージング剤は、両方のcMBPペプチド末端がM
IG基によって保護されている。即ち、好ましくはZ
1及びZ
2が共にM
IGであり、これらは通常異なっている。このようにして両ペプチド末端を保護することは、インビボイメージング用途にとって重要である。さもないと、急速なペプチド代謝の結果としてc−Metに対する選択的結合親和性の喪失が予想されるからである。Z
1及びZ
2が共にM
IGである場合、好ましくはZ
1はアセチルであり、Z
2は第一アミドである。最も好ましくは、Z
1はアセチルであり、Z
2は第一アミドであり、
18F部分はcMBPのリシン残基のε−アミン側鎖に結合している。
【0036】
放射性フッ素化置換基−(L)
n−
18Fは、c−Met結合ペプチドのN末端のα−アミノ基に結合していてもよいし、或いは別法として任意のアミノ置換アミノ酸(例えば、Lys残基)のアミン側鎖に結合していてもよい。好ましくは、それはcMBPのLys残基のε−アミン基に結合している。
【0037】
好ましい放射性フッ素化置換基−(L)
n−
18Fは、n=1を有している。即ち、上記に定義した合成リンカー基が存在している。さらに好ましいかかる置換基は、フェニル基に結合した
18F放射性ラベルを有している。即ち、かかる置換基は次の式を有する。
−(A)
xC
6H
4−
18F
式中、Aは上記に定義した通りであり、xは0〜5の値を有する整数である。
【0038】
最も好ましいかかる置換基は、フッ素化活性エステルによるLysアミン残基のN−アセチル化又はLysアミン残基のアミノオキシ誘導体とフッ素化ベンズアルデヒドとの縮合から生じ、次の式を有している。
【0039】
【化4】
第1の態様のイメージング剤は、第5の態様(下記)に記載されるようにして製造できる。
【0040】
第2の態様では、本発明は、
(i)第1の態様の
18F放射性標識c−Met結合環状ペプチド、及び
(ii)非標識c−Met結合環状ペプチド
を含んでなるイメージング剤組成物であって、前記c−Met結合環状ペプチドは(i)及び(ii)において同じアミノ酸配列を有し、非標識cMBPペプチドは前記
18F標識cMBPペプチドのモル量の50倍以下のモル量で前記組成物中に存在するイメージング剤組成物を提供する。
【0041】
第2の態様における
18F放射性標識c−Met結合環状ペプチドの好ましい実施形態は、第1の態様(上記)に記載した通りである。
【0042】
「組成物」という用語はその通常の意味を有する(即ち、明記された成分の混合物を意味する)。組成物は、固体又は液体/溶液の形態であり得る。
【0043】
「非標識」という用語は、c−Met結合環状ペプチドが非放射性であること、即ち
18F又はその他任意の放射性同位体で放射性標識されていないことを意味する。組成物中には1種以上のかかるペプチドが存在していてよく、かかる非標識ペプチドは主として第4の態様(下記)の非放射性前駆体を包含する。「非標識」という用語は、
19Fで標識されたc−Met結合環状ペプチドを除外する。この場合、前記
19Fは前記c−Met結合環状ペプチドを標識するために使用される
18F−フッ化物イオン中に存在し、したがって同じ放射性標識反応の生成物である。当技術分野で公知の通り、2種のフッ素置換化合物がフッ素原子の同位体に関してのみ異なる場合、これらは化学的にほとんど同一の挙動を示し、したがってこれらの分離は極めて難しいであろう。非標識c−Met結合環状ペプチド又は前駆体は、好ましくは既に結合したZ
1基及び/又はZ
2基を有している。本発明者らは、アミノオキシ官能化cMBPペプチド前駆体とコンジュゲートするために
18F標識アルデヒドを使用する場合、非放射性アルデヒド不純物が副生物の主な原因であることを見出した。
18F−ベンズアルデヒド中における重要なかかるアルデヒド不純物はDMAP(即ち、4−ジメチルアミノベンズアルデヒド)である。したがって、非放射性アルデヒド(例えば、DMAP)とアミノオキシ官能化cMBPペプチドとのコンジュゲーション生成物もまた、「非標識c−Met結合環状ペプチド」という用語の範囲内にある。
【0044】
好ましくは、非標識c−Met結合環状ペプチドは、対応する
18F標識ペプチドのモル量の30倍以下、さらに好ましくは20倍以下、最も好ましくは10倍未満のモル量で前記組成物中に存在している。
【0045】
第2の態様の組成物は好ましくは溶液形態であり、成分(i)及び(ii)は共に溶液中に存在している。さらに好ましくは、溶液は生体適合性溶媒又は2種以上のかかる溶媒の混合物である。好ましいかかる生体適合性溶媒は第3の態様(下記)に記載されており、好ましくは水性溶媒からなる。
【0046】
本発明者らは、放射性トレーサー濃度(1〜50μg/mlの概略濃度範囲)では、本発明の18F標識cMBPペプチドが各種の材料に対して不要の結合を示すことを見出した。放射性トレーサーはこのように非常に低い濃度で存在するので、僅かな化学量の吸着でも、存在する放射性同位体のかなり高い割合を占めることがある。放射性トレーサー濃度は、例えば、対応するシアニン色素標識c−Met結合ペプチド(その濃度は約2〜10mg/mlであって、ほぼ1000倍高い)と比較すべきである。このような場合、吸着によるμg量の物質の損失は、なお溶液中に存在する色素標識ペプチドのごく僅かな割合にすぎないであろう。放射性トレーサーの付着が認められた材料には、プラスチック、ガラス及びシリカがある。フィルターの場合、それは無菌濾過を実施する際に高率の放射能損失が生じることを意味し得る。
【0047】
本発明者らは、上記の付着現象は、cMBPペプチドが(特に低温において)酸性条件下で沈殿するという事実に由来することを見出した。したがって、所望の
18F標識c−Met結合ペプチドを溶液中に保つためには、組成物をpH7.5以上、さらに好ましくはpH8.0以上に維持し、それによって物質の損失を回避することが好ましい。調節されたpHの使用に代わる手段として、又はそれに加えて、可溶化剤を含めることができる。
【0048】
「可溶化剤」という用語は、溶媒に対するイメージング剤の溶解性を高める、組成物中に存在する添加剤を意味する。好ましいかかる溶媒は水性媒質であり、したがって可溶化剤は好ましくは水に対する溶解性を高める。好適なかかる可溶化剤には、C
1-4アルコール、グリセリン、ポリエチレングリコール(PEG)、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノオレエート、ポリソルベート、ポリ(オキシエチレン)ポリ(オキシプロピレン)ポリ(オキシエチレン)ブロック共重合体(Pluronics(商標))、シクロデキストリン(例えば、α−、β−又はγ−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン或いはヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン)及びレシチンがある。
【0049】
好ましい可溶化剤は、シクロデキストリン、C
1-4アルコール及びPluronics(商標)であり、さらに好ましくはシクロデキストリン及びC
1-4アルコールである。可溶化剤がアルコールである場合、それは好ましくはエタノール又はプロパノールであり、さらに好ましくはエタノールである。エタノールは潜在的に二重の役割を有している。それは、放射線防護剤としても機能し得るからである。可溶化剤がシクロデキストリンである場合、それは好ましくはシクロデキストリンであり、さらに好ましくはヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPCD)である。シクロデキストリンの濃度は約0.1〜約40mg/ml、好ましくは約5〜約35mg/ml、さらに好ましくは20〜30mg/ml、最も好ましくは25mg/ml付近であり得る。単一の可溶化剤を使用する場合、それは好ましくはエタノール又はヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンであり、さらに好ましくはエタノールである。可溶化剤の組合せを使用する場合、それは好ましくはエタノール及びヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンである。
【0050】
好ましくは、第2の態様の組成物はpH7.5以上に維持されると共に、任意には5〜10%v/vのエタノールを可溶化剤として使用する。
【0051】
第2の態様のイメージング剤組成物は、好ましくはさらに1種以上の放射線防護剤を含んでいる。「放射線防護剤」という用語は、水の放射線分解から生じる含酸素フリーラジカルのような高反応性フリーラジカルを捕捉することにより、レドックス過程のような分解反応を阻止する化合物を意味する。本発明の放射線防護剤は、好適には、エタノール、アスコルビン酸、p−アミノ安息香酸(即ち、4−アミノ安息香酸又はpABA)、ゲンチシン酸(即ち、2,5−ジヒドロキシ安息香酸)及び(適用できる場合には)かかる酸と上記に定義した生体適合性陽イオンとの塩から選択される。本発明の放射性防護剤は、好ましくはp−アミノ安息香酸又はp−アミノ安息香酸ナトリウムからなっている。
【0052】
本発明の最も好ましいイメージング剤組成物は、Z
1=Z
2=M
IGが結合した配列番号7のcMBPペプチド及びアミノ安息香酸放射線防護剤とエタノール放射線防護剤/可溶化剤との組合せを水性緩衝液中に含んでいる。かかる好ましい組成物中における好ましい配列番号7のペプチドはペプチド1であり、好ましい
18F標識cMBPペプチドは化合物3である。放射能濃度は好ましくは350得MBq/ml未満であって、2mg/mlのpABA濃度及び約5〜10%vol/vol(好ましくは6.5〜7.5%vol/vol)のエタノールが使用される。
【0053】
第3の態様では、本発明は、第1の態様のイメージング剤又は第2の態様のイメージング剤組成物を、哺乳動物への投与に適した無菌形態で生体適合性キャリヤーと共に含んでなる医薬組成物を提供する。
【0054】
第3の態様におけるイメージング剤及び組成物の好ましい態様は、それぞれ第1及び第2の態様に記載した通りである。
【0055】
「生体適合性キャリヤー」とは、組成物が生理学的に認容され得るようにして(即ち、毒性又は過度の不快感なしに哺乳動物体に投与できるようにして)イメージング剤を懸濁又は好ましくは溶解するための流体(特に液体)である。生体適合性キャリヤーは、好適には、無菌のパイロジェンフリー注射用水、(有利には注射用の最終生成物が等張性になるように平衡させ得る)食塩水のような水溶液、生体適合性緩衝剤を含む水性緩衝液(例えば、リン酸緩衝液)、或いは1種以上の張度調整物質(例えば、血漿陽イオンと生体適合性対イオンとの塩)、糖(例えば、グルコース又はスクロース)、糖アルコール(例えば、ソルビトール又はマンニトール)、グリコール(例えば、グリセロール)又は他の非イオン性ポリオール物質(例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなど)の水溶液のような注射可能なキャリヤー液体である。好ましくは、生体適合性キャリヤーはパイロジェンフリー注射用水、等張食塩水又はリン酸緩衝液である。pHを調節するためには緩衝液の使用が好ましい。
【0056】
イメージング剤及び生体適合性キャリヤーはそれぞれ、注射器又はカニューレによる溶液の追加及び抜取りを許しながら、無菌保全性及び/又は放射能安全性の維持、さらに任意には不活性ヘッドスペースガス(例えば、窒素又はアルゴン)の維持を可能にする密封容器からなる適当なバイアル又は容器に入れた状態で供給される。好ましいかかる容器は、気密クロージャーを(通例はアルミニウムからなる)オーバーシールと共にクリンプ加工した隔壁密封バイアルである。クロージャーは、無菌保全性を維持しながら皮下注射針による1回又は数回の穿刺に適したもの(例えば、クリンプ加工した隔壁シールクロージャー)である。かかる容器は、(例えば、ヘッドスペースガスの交換又は溶液のガス抜きのために)所望される場合にはクロージャーが真空に耐え得ると共に、酸素又は水蒸気のような外部大気ガスの侵入を許すことなしに減圧のような圧力変化にも耐え得るという追加の利点を有している。
【0057】
好ましい複数用量容器は、複数の患者用量を含む(例えば、容積10〜30cm
3の)単一のバルクバイアルからなり、したがって臨床的状況に合わせて製剤の実用寿命中に様々な時間間隔で1回分の患者用量を臨床グレードの注射器中に抜き取ることができる。予備充填注射器は1回分のヒト用量又は「単位用量」を含むように設計され、したがって好ましくは臨床用に適した使い捨て注射器又は他の注射器である。本発明の医薬組成物は、好ましくは1人の患者用に適した用量を有し、上述したような適当な注射器又は容器に入れて供給される。
【0058】
かかる医薬組成物は、抗菌防腐剤、pH調整剤、フィラー、放射線防護剤、可溶化剤又は重量オスモル濃度調整剤のような追加の任意賦形剤を含むことができる。「放射線防護剤」及び「可溶化剤」という用語並びにこれらの好ましい実施形態は、第2の態様(上記)に記載した通りである。「抗菌防腐剤」という用語は、潜在的に有害な微生物(例えば、細菌、酵母又はかび)の増殖を阻止する薬剤を意味する。抗菌防腐剤はまた、使用する用量に応じて多少の殺菌性を示すこともある。本発明の抗菌防腐剤の主な役割は、医薬組成物中におけるこのような微生物の増殖を阻止することである。しかし、抗菌防腐剤は、任意には投与に先立って前記組成物を製造するために使用されるキットの1種以上の成分中における潜在的に有害な微生物の増殖を阻止するためにも使用できる。好適な抗菌防腐剤には、パラベン類(即ち、メチル、エチル、プロピル又はブチルパラベン或いはこれらの混合物)、ベンジルアルコール、フェノール、クレゾール、セトリミド及びチオメルサールがある。好ましい抗菌防腐剤はパラベン類である。
【0059】
「pH調整剤」という用語は、組成物のpHがヒト又は哺乳動物への投与のために許容される範囲(およそpH4.0〜10.5)内にあることを保証するために有用な化合物又は化合物の混合物を意味する。好適なかかるpH調整剤には、トリシン、リン酸塩又はTRIS[即ち、トリス(ヒドロキシルメチル)アミノメタン]のような薬学的に許容される緩衝剤、及び炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム又はこれらの混合物のような薬学的に許容される塩基がある。組成物をキットの形態で使用する場合には、pH調整剤を任意には独立のバイアル又は容器に入れて供給することができ、その結果としてキットのユーザーは多段操作の一部としてpHを調整することができる。
【0060】
「フィラー」という用語は、製造及び凍結乾燥中における材料の取扱いを容易にすることができる薬学的に許容される増量剤を意味する。好適なフィラーには、塩化ナトリウムのような無機塩、及びスクロース、マルトース、マンニトール又はトレハロースのような水溶性糖又は糖アルコールがある。
【0061】
第3の態様の医薬組成物は、無菌製造条件下で(即ち、クリーンルーム内で)製造して所望の無菌で非発熱性の生成物を得ることができる。基本構成部分、特に関連する試薬並びにイメージング剤に接触する装置部品(例えば、バイアル)は無菌であることが好ましい。かかる構成部分及び試薬は、無菌濾過或いは(例えば、γ線照射、オートクレーブ処理、乾熱又は(例えば、エチレンオキシドによる)化学処理を用いる)終末滅菌をはじめとする、当技術分野で公知の方法によって滅菌できる。一部の構成部分を予め滅菌しておけば、最小数の操作を実施すれば済むので好ましい。しかし、予防策として、医薬組成物の製造における最終段階として少なくとも無菌濾過段階を含めることが好ましい。
【0062】
上述の通り、本発明の医薬組成物は、好ましくはpH7.5以上に維持され、及び/又は可溶化剤を含んでいる。その結果、濾材に吸着される放射能の過度の損失なしに無菌濾過段階を使用できる。同様な考察は、可溶化剤を使用しないと吸着によって放射能の損失が引き起こされることのある、臨床グレード注射器中又はプラスチックチューブの使用における医薬組成物の操作に対しても適用される。
【0063】
かかる医薬組成物は、好ましくは第6の態様(下記)に記載されるようにして製造される。
【0064】
第3の態様の医薬組成物は、任意にはキットから製造できる。かかるキットは、第1の態様に記載した式Iのc−Met結合ペプチド又は第4の態様の前駆体を無菌で非発熱性の形態で含む結果、適当な溶媒中で放射性同位体
18Fの無菌供給物と反応させれば、放射性標識が起こって所望の
18F標識c−Met結合ペプチドが得られる。
【0065】
キットに関しては、c−Met結合ペプチド又は前駆体並びに上述したような他の任意賦形剤は、好ましくは凍結乾燥粉末として適当なバイアル又は容器に入れて供給される。かかる薬剤は、次いで生体適合性キャリヤー中において直接に(即ち、再構成物として)
18Fで再構成するか、或いはまずキットを生体適合性キャリヤーで再構成してから
18Fの供給物と反応させるように設計されている。
【0066】
c−Met結合ペプチド又は前駆体の好ましい無菌形態は凍結乾燥固体である。無菌固体形態は、好ましくは医薬組成物に関して(上記に)記載したような医薬品用容器に入れて供給される。キットを凍結乾燥する場合、配合物は糖(好ましくはマンニトール、マルトース及びトリシン)から選択される凍結保護剤を任意に含むことができる。
【0067】
第4の態様では、本発明は、第3の態様の
18F放射性標識c−Met結合環状ペプチドを製造するのに有用な前駆体であって、(i)第1の態様に記載された式I(式中、Z
1=Z
2=M
IG)のc−Met結合環状ペプチド、又は
(ii)アミノオキシ官能化c−Met結合環状ペプチド
からなる前駆体を提供する。
【0068】
「アミノオキシ官能化c−Met結合環状ペプチド」という用語は、アミノオキシ官能基が共有的にコンジュゲートしている式Iのc−Met結合環状ペプチドを意味する。かかるアミノオキシ基は式−O−NH
2、好ましくは−CH
2O−NH
2を有するものであって、アミノオキシ基のアミンはアルデヒドと縮合反応してオキシムエーテルを生成する際にLysアミン基より高い反応性を示すという利点を有する。かかるアミノオキシ基は、好適には下記に記載されるようにcMBPの得Lys残基の位置に結合している。
【0069】
かかる前駆体は非放射性であり、高い化学純度で得ることができるように設計される。それはまた、
18Fの適当な供給源と反応させれば、満足すべき放射化学純度(RCP)で効率的に反応が起こるように設計される。「
18Fの適当な供給源」は、前駆体の性質に依存する。前駆体が式Iの非標識c−Met結合ペプチドからなる場合、非標識ペプチドのリシン(Lys)残基のアミン基は放射性標識部位であるように設計される。Z
1=Z
2=M
IGであるので、cMBPペプチドの末端は保護されている。好ましいかかるc−Met結合ペプチド及び好ましいZ
1/Z
2基は、第1の態様に記載した通りである。このように、
18Fの適当な供給源は、リシンアミン基、好ましくはLysのε−アミンとできるだけ効率的に反応するように設計される。
【0070】
第3の態様の医薬組成物を製造するためには、前駆体は好ましくは無菌形態にあり、さらに好ましくは凍結乾燥固体である。
【0071】
第4の態様の前駆体は、好ましくはアミノオキシ官能化c−Met結合ペプチドである。
【0072】
式Iのc−Met結合ペプチド、即ち本発明のZ
1−[cMBP]−Z
2は、
(i)所望のcMBPペプチドと同じペプチド配列を有し、Cys
a及びCys
bが保護されておらず、Cys
c及びCys
d残基がチオール保護基を有する線状ペプチドの固相ペプチド合成を行う段階、
(ii)段階(i)からのペプチドを塩基水溶液で処理することで、Cys
a及びCys
bを連結する第1のジスルフィド結合を有する単環式ペプチドを得る段階、並びに
(iii)Cys
c及びCys
dのチオール保護基を除去して環化することで、Cys
c及びCys
dを連結する第2のジスルフィド結合を形成し、かくして所望の二環式ペプチド生成物Z
1−[cMBP]−Z
2を得る段階
を含んでなる製造方法によって得ることができる。
【0073】
「保護基」という用語は、望ましくない化学反応を阻止又は抑制するが、分子の残部を変質させない程度に温和な条件下で問題の官能基から脱離させ得るのに十分な反応性を有するように設計された基を意味する。脱保護後には所望の生成物が得られる。アミン保護基は当業者にとって公知であり、好適にはBoc(ここでBocはtert−ブチルオキシカルボニルである。)、Fmoc(ここでFmocはフルオレニルメトキシカルボニルである。)、トリフルオロアセチル、アリルオキシカルボニル、Dde[即ち、1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキシリデン)エチル]及びNpys(即ち、3−ニトロ−2−ピリジンスルフェニル)から選択される。好適なチオール保護基は、Trt(トリチル)、Acm(アセトアミドメチル)、t−Bu(tert−ブチル)、tert−ブチルチオ、メトキシベンジル、メチルベンジル及びNpys(3−ニトロ−2−ピリジンスルフェニル)である。さらに他の保護基の使用は、‘Protective Groups in Organic Synthesis’,4
th Edition,Theodora W.Greene and Peter G.M.Wuts[Wiley Blackwell(2006)]に記載されている。好ましいアミン保護基はBoc及びFmocであり、最も好ましくはBocである。好ましいアミン保護基はTrt及びAcmである。
【0074】
実施例1及び実施例2は一層具体的な詳細を示している。固相ペプチド合成法のさらなる詳細は、P.Lloyd−Williams,F.Albericio and E.Girald;Chemical Approaches to the Synthesis of Peptides and Proteins,CRC Press,1997に記載されている。cMBPペプチドは不活性雰囲気下で最もよく貯蔵され、フリーザー内に保存される。溶液として使用する場合には、ジスルフィドブリッジのスクランブリングを生じるリスクがあるので、7より高いpHを避けるのが最もよい。
【0075】
アミノオキシ官能化c−Met結合ペプチドは、Poethko et al[J.Nucl.Med.,
45,892−902(2004)]、Schirrmacher et al[Bioconj.Chem.,
18,2085−2089(2007)]、Solbakken et al[Bioorg.Med.Chem.Lett,
16,6190−6193(2006)]又はGlaser et al[Bioconj.Chem.,
19,951−957(2008)]の方法によって製造できる。アミノオキシ基は、任意には2つの段階でコンジュゲートすることができる。第一に、N−保護アミノオキシカルボン酸又はN−保護アミノオキシ活性化エステルをc−Met結合ペプチドにコンジュゲートする。第二に、中間のN−保護アミノオキシ官能化c−Met結合ペプチドを脱保護して所望の生成物を得る[上記に引用したSolbakken及びGlaser
の論文を参照されたい]。Boc−NH−O−CH
2(C=O)OHのようなN−保護アミノオキシカルボン酸は、例えばNovabiochem社から商業的に入手できる。
【0076】
第5の態様では、本発明は、第1の態様の
18F放射性標識c−Met結合環状ペプチドの製造方法であって、
(i)第4の態様の前駆体を用意する段階、
(ii)前記前駆体が式I(式中、Z
1=Z
2=M
IG)の非標識c−Met結合環状ペプチドからなる場合、
18F標識活性化エステルと反応させるか、又は活性化剤の存在下で
18F標識カルボン酸と反応させることで、前記環状ペプチドのcMBPのLys残基の位置でアミド結合を介してコンジュゲートされた
18F放射性標識c−Met結合環状ペプチドを得る段階、及び
(iii)前記前駆体がアミノオキシ官能化c−Met結合環状ペプチドからなる場合、
(a)
18F標識活性化エステルと反応させるか、又は活性化剤の存在下で
18F標識カルボン酸と反応させることで、前記官能化ペプチドのアミノオキシ位置でアミド結合を介してコンジュゲートされた
18F放射性標識c−Met結合環状ペプチドを得る段階、或いは
(b)
18F標識アルデヒドと反応させることで、前記官能化ペプチドのアミノオキシ位置でオキシムエーテル結合を介してコンジュゲートされた
18F放射性標識c−Met結合環状ペプチドを得る段階
を含んでなる方法を提供する。
【0077】
「活性化エステル」又は「活性エステル」という用語は、良好な脱離基であり、したがってアミンのような求核試薬との一層容易な反応を可能にするように設計された関連カルボン酸のエステル誘導体を意味する。好適な活性エステルの例は、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、スルホ−スクシンイミジルエステル、ペンタフルオロフェノール、ペンタフルオロチオフェノール、p−ニトロフェノール、ヒドロキシベンゾトリアゾール及びPyBOP(即ち、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート)である。好ましい活性エステルは、N−ヒドロキシスクシンイミド又はペンタフルオロフェノールエステル、特にN−ヒドロキシスクシンイミドエステルである。
【0078】
「活性化剤」という用語は、アミンとカルボン酸とのカップリングによるアミドの生成を容易にするために使用される試薬を意味する。好適なかかる活性化剤は当技術分野で公知であり、EDC[N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド]のようなカルボジイミド及びジシクロヘキシルカルボジイミド又はジイソプロピルカルボジイミドのようなN,N’−ジアルキルカルボジイミド、並びにHBTU[O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート]、HATU[O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート]及びPyBOP[ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート]のようなトリアゾールを包含する。さらなる詳細は、“March's Advanced Organic Chemistry”,5
th Edition,pages 508−510,Wiley Interscience(2001)に示されている。好ましいかかる活性化剤はEDCである。
【0079】
[
18F]SFBのような
18F標識活性化エステルは、Glaser et al[J.Lab.Comp.Radiopharm.,
52,327−330(2009)]の方法及びその中の参考文献によって製造でき、或いはMarik et al[Appl.Rad.Isot.,
65(2),199−203(2007)]の自動化方法によって製造できる。
【0080】
【化5】
18F標識カルボン酸は、上記に引用したMarik et alの方法によって得ることができる。式
18F(CH
2)
2O[CH
2CH
2O]
qCH
2CHO(式中、qは3である。)の
18F標識脂肪族アルデヒドは、Glaser et al[Bioconj.Chem.,
19(4),951−957(2008)]の方法によって得ることができる。
18F−フルオロベンズアルデヒドは、Glaser et al[J.Lab.Comp.Radiopharm.,
52,327−330(2009)]の方法によって得ることができる。前駆体Me
3N
+−C
6H
4−CHO・CF
3SO
3-は、Haka et al[J.Lab.Comp.Radiopharm.,
27,823−833(1989)]の方法によって得られる。
【0081】
アミノオキシ官能化c−Metペプチドに対する
18F標識アルデヒドのコンジュゲーションは、好ましくはFlavell et al[J.Am.Chem.Soc.,
130(28),9106−9112(2008)]によって記載されているようにアニリン触媒の存在下で実施される。保護アミノオキシc−Metペプチド(例えば、化合物1)を前駆体として使用することも可能であるが、遊離アミノオキシ誘導体(例えば、化合物2)が好ましい。これは、合成全体が自動化しやすくなるからである。保護前駆体を使用すると、手動の脱保護段階が通例必要となる。
【0082】
第6の態様では、本発明は、第2の態様のイメージング剤組成物又は第3の態様の医薬組成物の製造方法であって、
(i)第5の態様の製造方法に記載されるようにして
18F放射性標識c−Met結合環状ペプチドを製造する段階、及び
(ii)
18F放射性標識c−Met結合環状ペプチドから非標識c−Met結合環状ペプチドのクロマトグラフィー分離を行う段階
を含んでなる方法を提供する。
【0083】
第6の態様におけるイメージング剤組成物及び医薬組成物の好ましい態様は、それぞれ第2及び第3の態様に記載した通りである。
【0084】
段階(ii)のクロマトグラフィー分離は、HPLC又は1以上のSPEカートリッジを用いる固相抽出(SPE)によって実施できる。自動化合成装置を使用する場合にはSPEが好ましく、他の状況下ではHPLCが好ましい。実施例5は、本発明の化合物3に関する好適なHPLC方法を示している。
【0085】
第6の態様の方法は、好ましくは第3の態様の医薬組成物を得るために使用される。本方法が第3の態様の医薬組成物を得るために使用される場合、本製造方法は好ましくは自動化合成装置を用いて実施される。
【0086】
「自動化合成装置」という用語は、Satyamurthy et al[Clin.Positr.Imag.,
2(5),233−253(1999)]によって記載されているような単位操作の原理に基づく自動化モジュールを意味する。「単位操作」という用語は、複雑なプロセスが一連の簡単な操作又は反応に還元されることを意味し、これは一定範囲の材料に適用できる。かかる自動化合成装置は、特に放射性医薬組成物が所望される場合、本発明の方法にとって好ましい。これらは、GE Healthcare社、CTI Inc、Ion Beam Applications S.A.(Chemin du Cyclotron 3,B−1348 Louvain−La−Neuve,ベルギー)、Raytest社(ドイツ)及びBioscan社(米国)を含む一連の供給業者から商業的に入手できる[Satyamurthy et al,上記]。
【0087】
市販の自動化合成装置はまた、放射性医薬品製造の結果として生じる液体放射性廃棄物用の適当な容器を提供する。通例、自動化合成装置は放射線遮蔽を備えていないが、それはかかる装置が適宜に構成された放射能作業セル内で使用するように設計されているからである。放射能作業セルは、オペレーターを潜在的な放射線量から保護するために適した放射線遮蔽を与えると共に、化学薬品蒸気及び/又は放射性蒸気を除去するための換気を可能にする。自動化合成装置は、好ましくはカセットを含んでいる。「カセット」という用語は、合成装置の可動部分の機械的運動がカセットの外側から(即ち、外部から)カセットの動作を制御するようにして、(下記に定義されるような)自動化合成装置上に着脱自在かつ交換可能に装着し得るように設計された装置部分を意味する。好適なカセットは直線状に並んだ弁の列を含み、その各々は倒立隔壁密封バイアルの針穿刺又は気密連結継手によって試薬又はバイアルを装着することができるポートに結合している。各弁は、自動化合成装置の対応する可動アームとかみ合うはめ込み型継手を有している。かくして、カセットを自動化合成装置に装着した場合、アームの外部回転が弁の開閉を制御する。自動化合成装置の追加の可動部分は、注射器のプランジャー先端をつかみ、それによって注射器外筒を上昇又は降下させるように設計されている。
【0088】
カセットは融通性の高いものであって、通例は試薬を装着することができる複数の位置、及び試薬のシリンジバイアル又はクロマトグラフィー用カートリッジ(例えば、SPE)を装着するために適した複数のポートを有している。カセットは常に反応器を含んでいる。かかる反応器は好ましくは1〜10cm
3、最も好ましくは2〜5cm
3の容積を有しており、カセット上の様々なポートからの試薬又は溶媒の移送を可能にするため、カセットの3以上のポートが反応器に連結されるように構成されている。好ましくは、カセットは直線状に並んだ15〜40の弁、最も好ましくは20〜30の弁を有しており、25の弁が特に好ましい。カセットの弁は好ましくはそれぞれ同一であり、最も好ましくは三方弁である。かかるカセットは放射性医薬品製造のために適するように設計されており、したがって医薬品グレードの材料であって理想的には放射線分解にも耐える材料で製造されている。
【0089】
本発明の好ましい自動化合成装置は、放射性フッ素化放射性医薬品の所定バッチの製造を実施するために必要なすべての試薬、反応器及び機器を含む使い捨て又は1回使用のカセットを含むものである。かかるカセットは、単にカセットを交換するだけで、自動化合成装置が相互汚染のリスクを最小限に抑えながら各種の放射性医薬品を製造できる融通性を有することを意味する。カセットアプローチはまた、次の利点も有する。即ち、装置構成が単純化されてオペレーターエラーのリスクが低減すること、GMP(医薬品製造品質管理基準)コンプライアンスが向上すること、マルチトレーサーの使用が可能になること、製造作業間の変更が迅速になること、カセット及び試薬の作業前自動診断検査が行えること、実施すべき合成に対して化学試薬の自動バーコードクロスチェックが行えること、試薬が追跡可能であること、1回使用であるために相互汚染、不正改造及び乱用による耐性のリスクがないことがある。本発明のこの態様には、第2の態様の医薬組成物を製造するための自動化合成装置の使用も包含される。
【0090】
第7の態様では、本発明は、c−Metの過剰発現部位又は局在部位の画像を得るために哺乳動物体をインビボでイメージングする方法であって、第1の態様のイメージング剤、第2の態様のイメージング剤組成物又は第3の態様の医薬組成物を予め投与した前記哺乳動物体をイメージングすることを含んでなる方法を提供する。
【0091】
第7の態様におけるイメージング剤、イメージング剤組成物及び医薬組成物の好ましい態様は、それぞれ第1、第2及び第3の態様に記載した通りである。
【0092】
好ましくは、哺乳動物はインタクトな哺乳動物生体であり、さらに好ましくはヒト被験体である。好ましくは、イメージング剤は最小限に侵襲的なやり方(即ち、職業的な医学専門技術の下で実施した場合に哺乳動物被験体に対して実質的な健康リスクのないやり方)で哺乳動物体に投与できる。かかる最小限に侵襲的な投与は、好ましくは、局所又は全身麻酔の必要なしに行われる、前記被験体の末梢静脈への静脈内投与である。
【0093】
好ましくは、第3の態様の医薬組成物が使用される。第7の態様のイメージング方法では、c−Metの過剰発現部位又は局在部位は好ましくは癌性の腫瘍又は転移である。かかる薬剤は前癌性及び癌性の腫瘍又は転移の両方においてc−Metの発現をイメージングするために有用であり、潜在的には治療法の選択を可能にすると考えられる。加えて、かかるイメージング剤による反復イメージングはまた、確立された治療計画及び新規な治療計画に対する個々の被験体の応答を迅速かつ効果的にモニターし、それによって効果のない治療を中止させる可能性も有している。さらに、c−Metの過剰発現は攻撃的な腫瘍の潜在的な属性であるので、c−Metイメージング剤は発生の初期段階で攻撃的な癌と攻撃性の低い癌とを識別する可能性も有すると予想される。
【0094】
この態様には、哺乳動物体内のc−Metの過剰発現部位又は局在部位をインビボで診断する方法であって、第7の態様のイメージング方法を含んでなる方法も包含される。
【実施例】
【0095】
下記に詳述する非限定的な実施例によって本発明を例示する。実施例1は、両方の末端に代謝阻害基(Z
1=Z
2=M
IG)を有する本発明のcMBPペプチド(ペプチド1)の合成を示している。実施例2は、本発明の保護前駆体(化合物1)の合成を示している。実施例3は、フッ素標識c−Metペプチドの非放射性フッ素化(即ち、
19F)対応物(化合物3A)の合成を示している。実施例4は、本発明の
18F放射性フッ素化c−Metペプチド(化合物3B)の合成を示している。実施例5は、標識及び非標識c−Met結合ペプチドを分離するためのHPLC条件を示している。
【0096】
実施例6は、動物腫瘍モデルにおける本発明の
18F標識ペプチド(化合物3B)の体内分布を示している。結果は、HT−29腫瘍で発現されるヒトc−Met受容体への結合を示し、したがって腫瘍イメージングのための有用性を示している。実施例7は、実施例6の腫瘍取込みが特異的であることを証明している。これは、非放射性
19F標識c−Met結合ペプチド(化合物3A)の同時投与によって取込みを阻止し得るからである。c−Met受容体に対して親和性を有しないこのペプチドの
19F標識スクランブルドバージョンの同時投与は、肝臓取込みを有意に低減させなかった。肝臓は高いc−Met発現レベルを有し、したがって
19F標識cMBPとの競合後における取込みの低減はインビボでの特異的c−Met結合の証拠になると考えられる。
【0097】
実施例9は、可溶化剤であるシクロデキストリンがインビボでの化合物3Bの体内分布に対して有意な効果を及ぼさないことを示している。実施例10は、(化合物2から出発する)化合物3Bの完全自動化合成を、化合物1から出発する部分自動化合成と比較している。化合物2の使用が好ましい。なぜなら、それはより高い収率を与えると共に、化合物1の脱保護は(i)放射性標識前に脱保護度を確定するのが困難であり、かつ(ii)ペプチドを脱保護するために使用するTFAが自動化合成装置のプラスチックとの適合性をもたないという欠点を有するからである。
【0098】
実施例11は、さらにSPEカートリッジ精製の自動使用を含む、化合物3Bの自動化合成を示している。結果は、このアプローチを用いると、化合物3Bが高い純度及び満足すべき放射化学収率で得られることを示している。実施例12は、本質的の前駆体の凍結乾燥を示している。実施例13は、本発明のイメージング剤に対するpHの効果を証明している。実施例14は、本発明のイメージング剤を用いたヒトのイメージングを記載している。
【0099】
略語
通常の一文字又は三文字アミノ酸略語が使用される。
%id: パーセント注射量
Ac: アセチル
Acm: アセトアミドメチル
ACN: アセトニトリル
Boc: tert−ブチルオキシカルボニル
DCM: ジクロロメタン
DIPEA: N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DMF: ジメチルホルムアミド
DMSO: ジメチルスルホキシド
EDC: N−3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド
Fmoc: 9−フルオレニルメトキシカルボニル
HBTU: O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチ
ルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
HPLC: 高速液体クロマトグラフィー
HSPyU: O−(N−スクシンイミジル)−N,N,N’,N’−テトラメチレン
ウロニウムヘキサフルオロホスフェート
NHS: N−ヒドロキシ−スクシンイミド
NMM: N−メチルモルホリン
NMP: 1−メチル−2−ピロリジノン
pABA: p−アミノ安息香酸ナトリウム塩
Pbf: 2,2,4,6,7−ペンタメチルジヒドロベンゾフラン−5−スルホ
ニル
PBS: リン酸緩衝食塩水
p.i.: 注射後
PyBOP: ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリピロリジノホスホニウムヘ
キサフルオロホスフェート
tBu: tert−ブチル
TFA トリフルオロ酢酸
TIS: トリイソプロピルシラン
Trt: トリチル
【0100】
【表1】
実施例1:ペプチド1の合成
段階(a):保護前駆体線状ペプチドの合成
前駆体線状ペプチドは次の構造を有している。
Ac−Ala−Gly−Ser−Cys−Tyr−Cys(Acm)−Ser−Gly−
Pro−Pro−Arg−Phe−Glu−Cys(Acm)−Trp−Cys−
Tyr−Glu−Thr−Glu−Gly−Thr−Gly−Gly−Gly−Lys−
NH
2。
【0101】
0.1mmolのRink Amide Novagel樹脂から出発するFmoc化学を用いて、Applied Biosystems 433Aペプチド合成装置上でペプチジル樹脂H−Ala−Gly−Ser(tBu)−Cys(Trt)−Tyr(tBu)−Cys(Acm)−Ser(tBu)−Gly−Pro−Pro−Arg(Pbf)−Phe−Glu(OtBu)−Cys(Acm)−Trp(Boc)−Cys(Trt)−Tyr(tBu)−Glu(OtBu)−Thr(ψ
Me,Mepro)−Glu(OtBu)−Gly−Thr(tBu)−Gly−Gly−Gly−Lys(Boc)−ポリマーをアセンブルした。カップリング段階では、(HBTUを用いて)予備活性化した過剰量の1mmolアミノ酸を適用した。Glu−Thrプソイドプロリン(Novabiochem 05−20−1122)を配列中に組み込んだ。樹脂を窒素バブラー装置に移し、無水酢酸(1mmol)及びNMM(1mmol)をDCM(5mL)に溶解した溶液で60分間処理した。濾過によって無水物溶液を除去し、樹脂をDCMで洗浄してから窒素流下で乾燥した。
【0102】
2.5%のTIS、2.5%の4−チオクレゾール及び2.5%の水を含むTFA(10mL)中で、側鎖保護基の除去及び樹脂からのペプチド切断を2時間30分にわたり同時に実施した。樹脂を濾過によって取り除き、TFAを真空中で除去し、残留物にジエチルエーテルを添加した。生じた沈殿をジエチルエーテルで洗浄し、空気乾燥することで、264mgの粗ペプチドを得た。
【0103】
粗ペプチドを分取HPLC(勾配:40分で20〜30%B(ただし、A=H
2O/0.1%TFA及びB=ACN/0.1%TFA)、流量:10mL/分、カラム:Phenomenex Luna 5μ C18(2) 250×21.20mm、検出:UV214nm、生成物保持時間:30分)によって精製することで、純粋なペプチド1の線状前駆体100mgを得た。純生成物を分析HPLC(勾配:10分で10〜40%B(ただし、A=H
2O/0.1%TFA及びB=ACN/0.1%TFA)、流量:0.3mL/分、カラム:Phenomenex Luna 3μ C18(2) 50×2mm、検出:UV214nm、生成物保持時間:6.54分)によって分析した。さらに、エレクトロスプレー質量分析法を用いて生成物の特性決定を実施した(MH
22+計算値:1464.6、MH
22+実測値:1465.1)。
【0104】
段階(b):単環式Cys4−16ジスルフィドブリッジの形成
Cys4−16;Ac−Ala−Gly−Ser−Cys−Tyr−Cys(Acm)−Ser−Gly−Pro−Pro−Arg−Phe−Glu−Cys(Acm)−Trp−Cys−Tyr−Glu−Thr−Glu−Gly−Thr−Gly−Gly−Gly−Lys−NH
2。
【0105】
段階(a)からの線状前駆体(100mg)を5%DMSO/水(200mL)に溶解し、アンモニアを用いて溶液をpH6に調整した。反応混合物を5日間撹拌した。次いで、TFAを用いて溶液をpH2に調整し、大部分の溶媒を真空中での蒸発によって除去した。生成物の精製のため、残留物(40mL)を分取HPLCカラム上に少しずつ注入した。
【0106】
残留物を分取HPLC(勾配:0%Bを10分間、次いで40分で0〜40%B(ただし、A=H
2O/0.1%TFA及びB=ACN/0.1%TFA)、流量:10mL/分、カラム:Phenomenex Luna 5μ C18(2) 250×21.20mm、検出:UV214nm、生成物保持時間:44分)によって精製することで、純粋なペプチド1の単環式前駆体72mgを得た。
【0107】
(異性体P1乃至P3の混合物としての)純生成物を分析HPLC(勾配:10分で10〜40%B(ただし、A=H
2O/0.1%TFA及びB=ACN/0.1%TFA)、流量:0.3mL/分、カラム:Phenomenex Luna 3μ C18(2) 50×2mm、検出:UV214nm、生成物保持時間:5.37分(P1)、5.61分(P2)、6.05分(P3))によって分析した。さらに、エレクトロスプレー質量分析法を用いて生成物の特性決定を実施した(MH
22+計算値:1463.6、MH
22+実測値:1464.1(P1)、1464.4(P2)、1464.3(P3))。
【0108】
段階(c):第2のCys6−14ジスルフィドブリッジの形成(ペプチド1)
段階(b)からの単環式前駆体(72mg)を窒素ブランケット下で75%AcOH/水(72mL)に溶解した。1M HCl(7.2mL)及びAcOH中の0.05M I
2(4.8mL)をその順序で添加し、混合物を45分間撹拌した。1Mアスコルビン酸(1mL)を添加して無色の混合物を得た。大部分の溶媒を真空中で蒸発させ、残留物(18mL)を水/0.1%TFA(4mL)で希釈し、分取HPLCを用いて生成物を精製した。
【0109】
残留物を分取HPLC(勾配:0%Bを10分間、次いで40分で20〜30%B(ただし、A=H
2O/0.1%TFA及びB=ACN/0.1%TFA)、流量:10mL/分、カラム:Phenomenex Luna 5μ C18(2) 250×21.20mm、検出:UV214nm、生成物保持時間:43〜53分)によって精製することで、52mgの純粋なペプチド1を得た。純生成物を分析HPLC(勾配:10分で10〜40%B(ただし、A=H
2O/0.1%TFA及びB=ACN/0.1%TFA)、流量:0.3mL/分、カラム:Phenomenex Luna 3μ C18(2) 50×2mm、検出:UV214nm、生成物保持時間:6.54分)によって分析した。さらに、エレクトロスプレー質量分析法を用いて生成物の特性決定を実施した(MH
22+計算値:1391.5、MH
22+実測値:1392.5)。
【0110】
実施例2:化合物1の合成
(Boc−アミノオキシ)酢酸(Sigma−Aldrich社、138mg、0.72mmol)、EDC(138mg、0.72mmol)及びN−ヒドロキシスクシンイミド(83mg、0.72mmol)をDMF(1ml)に溶解した。溶液を25分間振盪し、次いでDMF(5ml)中のペプチド1(1.0g、0.36mmol)の溶液に添加した。反応混合物を2分間撹拌した。次いで、sym−コリジン(239μL、1.80mmol)を添加し、反応混合物を3時間確認した。反応混合物を水(5ml)で希釈し、生成物を分取RP−HPLCによって精製した。
【0111】
HPLC条件:Waters Prep 4000システム、溶媒A=H
2O/0.1%TFA及び溶媒B=ACN/0.1%TFA、勾配:60分で20〜40%B、流量=50ml/分、カラム:Phenomenex Luna 10μm C18(2) 250×50mm、検出:UV214nm。精製化合物1の収量:690mg(65%)。実測m/z:1478.4、予測MH
22+:1478.1。
【0112】
実施例3:化合物3Aの合成
段階(a):N−(4−フルオロベンジリデン)アミノオキシ酢酸の製造
(Boc−アミノオキシ)酢酸(96mg、0.50mmol)及び4−フルオロベンズアルデヒド(53μL、0.50mmol)をギ酸(0.5ml)に溶解し、反応混合物を135分間撹拌した。次いで、反応混合物を20%ACN/水/0.1%TFA(7ml)で希釈し、生成物を半分取RP−HPLCによって精製した。
【0113】
HPLC条件:Beckman System Gold、溶媒A=H
2O/0.1%TFA及び溶媒B=ACN/0.1%TFA、勾配:40分で25〜35%B、流量=10ml/分、カラム:Phenomenex Luna 5μm C18(2) 250x21.2mm、検出:UV214nm。収量:92mg(93%)。
【0114】
段階(b):化合物3Aの製造
N−(4−フルオロベンジリデン)アミノオキシ酢酸[段階(a)から、43mg、0.22mmol]及びPyBOP(112mg、0.22mmol)をDMF(2ml)に溶解した。DMF(10ml)中のDIPEA(157μL、0.90mmol)の溶液を添加し、混合物を1分間振盪した。次いで、この溶液をDMF(10ml)中のペプチド1(500mg、0.18mmol)の溶液に添加し、反応混合物を30分間振盪した。次いで、反応混合物を水(20ml)で希釈し、生成物を分取HPLCによって精製した。
【0115】
HPLC条件(下記の点を除き、実施例2の通り):溶媒A=H
2O/0.1%酢酸アンモニウム及び溶媒B=ACN。純物質の収量:291mg(55%)。実測m/z:988.6、予測MH
33+:987.7。
【0116】
実施例4:化合物1からの化合物3Bの合成
段階(a):化合物1の脱保護による化合物2の生成
5ml反応バイアル中の化合物1(7mg、2.37μM)を水(10μL)及びトリフルオロ酢酸(190μL)で処理し、次いで密封バイアルに入れて超音波浴中に10分間浸漬した。次いで、水性TFAを真空中で除去し(約30分)、残留物をクエン酸緩衝液(pH2.6、1.7mL)中で再構成し、位置14の自動化合成装置カセット(FastLab(商標)、GE Healthcare Ltd)上に装填した。
【0117】
段階(b):18F−ベンズアルデヒドの合成及び精製
銀ターゲットを有するGEMS PETトレーサーサイクロトロンを用いて、[
18F]フッ化物イオンを[
18O](p,n)[
18F]核反応により生成した。1.5〜3.5mLの総ターゲット体積を使用した。放射性フッ化物イオンを(炭酸塩でプレコンディショニングした)Waters QMAカートリッジ上に捕捉し、水(80μL)及びアセトニトリル(320μL)中のKryptofix
2.2.2(4mg、10.7μM)及び炭酸カリウム(0.56mg、4.1μM)の溶液でフッ化物イオンを溶出した。窒素を用いて溶液をQMAカートリッジから反応器に排出した。窒素の定常流及び真空下において、[
18F]フッ化物イオンを120℃で9分間乾燥した。ジメチルスルホキシド(1.1mL)中のトリメチルアンモニウムベンズアルデヒドトリフレート[Haka et al,J.Lab.Comp.Radiopharm.,
27,823−833(1989)](3.3mg、10.5μM)を乾燥した[
18F]フッ化物イオンに添加し、混合物を105℃で7分間加熱して4−[
18F]フルオロベンズアルデヒドを生成した。標識効率は69±3%(崩壊補正値)であった。
【0118】
次いで、粗標識混合物を水酸化アンモニウム溶液で希釈し、(FASTlabシーケンスの一部として水でプレコンディショニングした)MCX+ SPEカートリッジ上に装填した。カートリッジを水で洗浄し、窒素ガスで乾燥した後、4−[
18F]フルオロベンズアルデヒドをエタノール(1mL)で反応器に戻し溶出した。約13%(崩壊補正値)の[
18F]フルオロベンズアルデヒドがカートリッジ上に捕捉されたままに残った。
【0119】
段階(c):アミノオキシ誘導体(化合物2)とのアルデヒド縮合
化合物2(5mg、1.8μmol)をFASTlab反応器に移した後、4−[
18F]フルオロベンズアルデヒドをMCX+カートリッジから溶出して戻した。次いで、混合物を70℃で17分間加熱した。分析HPLCにより、化合物3B生成物のRCPは63±9%であることが確認された。
【0120】
粗反応混合物を水(10mL)で希釈し、分取HPLC上に装填した。10mM酢酸アンモニウム/アセトニトリル系により、粗反応混合物の3種の可能な放射性成分、即ち[
18F]フッ化物イオン(T
R=0.5分)、[
18F]化合物3B(T
R=6分)及び4−[
18F]フルオロベンズアルデヒド(T
R=9分)が完全に分離された。HPLCシステムからの放射能の回収は良好であって、97%の回収効率を示した。約6分の保持時間を収集することで精製された生成物が得られた。
【0121】
実施例5:非標識ペプチドからの0F標識c−Met環状ペプチドのHPLC分離
実施例3に従って化合物3Aを製造した。
(i)
分析HPLC条件
カラム:XBridge Shield RP18(4.6×50)mm、2.5μm。
水性移動相A:10mM NH
4Ac(緩衝剤)、pH約6.8。
有機移動相B:アセトニトリル。
カラム温度:25℃。
流量:1.2ml/分。
勾配:
【0122】
【表2】
(ii)
分取HPLC条件
カラム:XBridge Shield RP18(10×100)mm、5μm。
水性移動相A:10mM NH
4Ac(緩衝剤)、pH約6.8。
有機移動相B:エタノール(90%)/水性移動相A(10%)。
カラム温度:25℃。
流量:4ml/分。
勾配:
【0123】
【表3】
(iii)
分析及び分取HPLCの結果
【0124】
【表4】
実施例6:腫瘍担持ヌードマウスにおける18F標識c−Metペプチド(化合物3B)の体内分布
CD−1雄ヌードマウス(約20g)を個別換気ケージに収容し、飼料及び水に随意にアクセスさせた。10%ウシ胎児血清及びペニシリン/ストレプトマイシンを補充したMcCoy’s 5a培地(Sigma #M8403)中でHT−29細胞(ATCC,Cat.no.HTB−38)を増殖させた。0.25%トリプシンを用いて70〜80%コンフルエントで細胞を週2回1:3に分割し、5%CO
2中37℃でインキュベートした。軽いガス麻酔(イソフルラン)下で、ファインボア注射針(25G)を用いて100μlの量のHT−29細胞懸濁液をマウスの1つの部位(うなじ)に皮下注射した。公称投与量は注射1回当たり10
6個の細胞であった。次いで、腫瘍を20日間増殖させ、或いは(試験に含めるため)体積が少なくとも200mm
3に達するまで増殖させた。
【0125】
20日の増殖期間後、化合物3B(0.1ml、1〜5MBq/動物)を静脈内ボーラスとして尾静脈経由で動物に注射した。注射後の様々な時点で動物を安楽死させ、解剖し、下記の器官及び組織を取り出した。
【0126】
腫瘍取込みは2分後に2.3%id/gであり、30分後にピーク(3.8%id/g)に達し、次いで時間と共に減少して注射から120分後に1.9%id/gになった。腫瘍内の総保持率は83%であった。経時的な血液クリアランスはかなり速かった(最初の2分後の血液は9.2%id/gであり、注射から120分後には0.8%id/gに減少した)。主要バックグラウンド組織(例えば、肺及び肝臓)は経時的に血液クリアランスプロファイルに従い、注射から120分後の取込みは1.1%id/g(肝臓)及び1.56%id/g(肺)であった。
【0127】
実施例7:腫瘍担持ヌードマウスにおける化合物3Bのレセプター阻止試験
100倍及び1000倍過剰量の非放射性類似体(化合物3A、動物当たり約1.5μg及び15μg過剰量)を同時注射し、注射から120分後に動物を解剖することで、実施例6の試験を繰り返した。この試験における動物はすべて、同様な体重(25〜30gの範囲)を有していた。データは、1000倍過剰量の非標識ペプチドを使用すると、化合物3Bの腫瘍取込みが統計的に有意に減少する(p<0.01)を示した(HT−29腫瘍の取込みは1.9%id/gから1.1%id/gに低下し、これは40%の減少であった)。
【0128】
実施例8:化合物3Bの霊長類PETイメージング
3頭の雌カニクイザルにおける化合物3Bの体内分布をPETによって測定した。各々の場合に2回のトレーサー注射を行った。即ち、(a)トレーサー(化合物3B、3MBq/kg)のみの注射(ベースライン試験)、及び(b)ベースライン注射から4時間後におけるトレーサー(9MBq/kg)と0.15mg/kgの化合物3Aの同時注射(阻止試験)。トレーサーは1〜3mLのボーラス用量として注射し、続いて1mLの食塩水を注射した。
【0129】
放射能測定用の血液試料(0.2ml)を投与から210分後まで一定の間隔で採取した。動的試験では、骨、心臓、腎臓、肺、肝臓及び筋肉内に検査対象領域を描画した。全身試験では、骨、脳、結腸、心臓、腎臓、肺、肝臓、筋肉、膵臓、小腸、脾臓及び膀胱内に検査対象領域を描画した。標準取込み値(SUV)として表された時間−放射能データを生成した。
【0130】
凍結切片オートラジオグラフィーを用いることで、アカゲザルの肝臓ではインビトロで特異的結合(約40%)が認められた。アカゲザルの筋肉は、いかなる特異的結合も有するとは認められなかった。インビボ試験では、カニクイザルは肝臓への迅速な取込みを示したが、これは0.15mg/kgの化合物3Aの同時注射後に40%超だけ低下した。インビボでの筋肉に対する特異的結合は認められなかった。
【0131】
実施例9:化合物3Bの体内分布に対するシクロデキストリンの効果
化合物3Bの体内分布及び可溶化剤ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPCD)と配合した化合物3Bの体内分布を比較した。有意差は見出されなかった。
【0132】
実施例10:化合物3Bの完全自動化合成
緩衝液又はアニリン溶液に溶解し、直接使用のためFastLabカセット上に装填した化合物2を用いて、実施例4と同様な合成を実施した。
【0133】
下記の表には、分析HPLCの放射化学純度によって計算した各々の主要放射性標識成分の量が要約されている。
【0134】
【表5】
実施例11:SPE精製を用いた化合物3Bの自動化合成
FastLab(商標)(GE Healthcare Ltd)自動化合成装置を用いて、実施例4の合成を実施した。
【0135】
QMA(第四級メチルアンモニウム水処理)、MCX+(混合陽イオン交換)及びC2(低疎水性)SPEカートリッジは、いずれもWaters社から入手した。
【0136】
FASTlabシーケンス中、カートリッジには(直列で)エタノールによるコンディショニングを施した。使用直前に、カートリッジを希(0.2%)リン酸でプライムした。粗反応混合物を1%リン酸で希釈し、SPE上に装填した。SPEを水で洗浄した後、生成物を6mLの水(80%エタノール)で溶出し、分布HPLCによって放射化学純度(RCP)を分析した。
【0137】
使用した
18F−フッ化物イオンの出発量に基づく結果は、下記の通りであった。
【0138】
【表6】
実施例12:前駆体の配合及び凍結乾燥
ペプチド前駆体である化合物2(2.5又は5mg)を配合緩衝液(リン酸水素二ナトリウム二水和物及びクエン酸一水和物、pH2.8)と混合し、均質な懸濁液が得られるまで撹拌した。凍結乾燥栓を有する、FASTlab(商標)自動化合成装置(GE Healthcare Ltd)からの13mmバイアルに、それぞれ1mLの懸濁液を充填した。次いで、バイアルを凍結乾燥ユニット内で凍結し、4日間の凍結乾燥サイクルに付した。
【0139】
ペプチドを含むすべてのバイアルが、満足な凍結乾燥ケーキを与えた。凍結乾燥された前駆体は、乾燥分配された化合物2よりはるかに急速に溶解することが判明した。
【0140】
実施例13:溶解性に対するpHの効果
化合物3BをFASTlab(商標)合成装置上で製造し、2mLの配合緩衝液(pABA、クエン酸緩衝液、pH7)を含むバイアル中に生成物溶出液(約6mL)を収集した。濁った溶液が認められた。溶液(8mL)はプレフィルター(疎水性の撥水縞を含む0.2μm Supor膜を有するPall 25mmフィルター、部品番号6124211)で容易に濾過され、透明な溶液を与えた。
【0141】
濾過した溶液を4×2mL試料に分割し、4種の試料のpHを下記のようにしてリン酸塩(体積を変化させないために固体)で調整した。
バイアル1 pH7.5(元の溶液、調整せず)
バイアル2 pH6.1
バイアル3 pH8.6
バイアル4 pH9.1
すべての試料を周囲温度で暗所に貯蔵した。凝集/沈殿の可能性を評価するため、4種の試料を静的光散乱によって28日間追跡した。下記の結果が認められた。
−pH6.1は10日目に可視的な沈殿を示した。
−pH>7.5では、28日後にも凝集の徴候は認められなかった。
【0142】
実施例14:ヒト試験
頭頸部の扁平上皮細胞癌を有すると予め診断された6名のヒト患者において、化合物3Bによるイメージングを試験した。薬剤の耐容性はよかった(副作用はなかった)。6名の患者のうち、5名はトレーサーの中程度/高度の取込みを示し、1名の患者は(反対側と同様な)低い取込みを有していた。これは、かかる患者の80%がc−Metを過剰発現するという文献報告と一致している。