特許第6014614号(P6014614)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6014614
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】CO2回収のための収着剤物品
(51)【国際特許分類】
   B01J 20/26 20060101AFI20161011BHJP
   B01J 20/34 20060101ALI20161011BHJP
   B01D 53/04 20060101ALI20161011BHJP
   B01D 53/62 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   B01J20/26 A
   B01J20/34 H
   B01D53/04 110
   B01D53/62
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-556737(P2013-556737)
(86)(22)【出願日】2012年2月23日
(65)【公表番号】特表2014-506836(P2014-506836A)
(43)【公表日】2014年3月20日
(86)【国際出願番号】US2012026291
(87)【国際公開番号】WO2012150978
(87)【国際公開日】20121108
【審査請求日】2015年2月23日
(31)【優先権主張番号】61/447,341
(32)【優先日】2011年2月28日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/111,360
(32)【優先日】2011年5月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】ジアン,ダーユエ ディー
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ヂェン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジエングオ
【審査官】 松村 真里
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0305289(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0212495(US,A1)
【文献】 LEAL ORLANDO,REVERSIBLE ADSORPTION OF CARBON DIOXIDE ON AMINE SURFACE-BONDED SILICA GEL,INORGANICA CHIMICA ACTA,NL,ELSEVIER BV,1995年 1月 1日,V240,P183-189
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 20/00−20/34
B01D 53/00−53/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体からCO2を除去するための収着剤物品であって、
開放通路を画成する多孔質通路壁を備えた基体、および
前記多孔質通路壁の表面に分布した有機・無機複合収着材料、
を含み、
前記収着材料が、アミノ官能化アルコキシシランおよびシリル化ポリアミンに由来するものであり、
前記収着材料が、10g/l以上の量で存在し、
前記収着材料の少なくともいくらかが、前記多孔質通路壁内に存在し、該多孔質通路壁の内部にCO2収着部位を形成しており
前記有機・無機複合収着材料が微細構造均一性を有する、
収着剤物品。
【請求項2】
前記収着材料がSPEI−シリカ材料を含む、請求項1記載の物品。
【請求項3】
前記基体がハニカム形状である、請求項1または2記載の物品。
【請求項4】
前記多孔質通路壁の気孔率が60%超である、請求項1から3いずれか1項記載の物品。
【請求項5】
前記収着材料が、ある温度でCO2を捕捉することができ、それより高い温度でCO2を放出することができる、請求項1から4いずれか1項記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、その内容が依拠され、ここに全て引用される、2011年2月28日に出願された米国仮特許出願第61/447341号、および2011年5月19日に出願された米国特許出願第13/111360号の優先権の恩恵を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示は、概して、官能化アルコキシシランおよびポリアミンに由来する有機・無機収着材料を含む収着剤物品に関する。その収着剤物品は、例えば、ガス流からCO2を除去するのに有用であろう。
【背景技術】
【0003】
石炭ガス化、バイオマスガス化、炭化水素の水蒸気改質、天然ガスの部分酸化、および類似のプロセスなどの多くの工業プロセスにより、例えば、CO2を含むガス流が生成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのようなCO2は温室効果を引き起こすという重大な懸念がある。したがって、それらの混合ガスからCO2を除去するまたは捕捉することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
開放通路を画成する多孔質通路壁を有する基体、およびその多孔質通路壁の表面に分布した有機・無機収着材料を含む、気体からCO2を除去するための収着剤物品であって、収着材料が、アミノ官能化アルコキシシランおよびシリル化ポリアミンに由来するものであり、10g/l以上の量で存在し、収着材料の少なくともいくらかが、多孔質通路壁内に存在し、多孔質通路壁の内部にCO2収着部位を形成している、収着剤物品が、ここに開示されている。
【0006】
開放通路を画成する多孔質通路壁を有する基体、およびその多孔質通路壁の表面に分布した有機・無機収着材料を含む、気体からCO2を除去するための収着剤物品であって、収着材料が、エポキシド官能化アルコキシシランおよびポリアミンに由来するものであり、10g/l以上の量で存在し、収着材料の少なくともいくらかが、多孔質通路壁内に存在し、多孔質通路壁の内部にCO2収着部位を形成している、収着剤物品も、ここに開示されている。
【0007】
流体からCO2を除去する方法であって、上述した収着剤物品を、CO2を含む流体流と接触させる工程を有してなる方法も開示されている。この方法は、収着したCO2の少なくとも一部を収着剤物品から放出させる工程をさらに含んでもよい。
【0008】
態様(1)において、本開示は、開放通路を画成する多孔質通路壁を備えた基体、およびその多孔質通路壁の表面に分布した有機・無機複合収着材料を含む、気体からCO2を除去するための収着剤物品であって、収着材料が、アミノ官能化アルコキシシランおよびシリル化ポリアミンに由来するものであり、10g/l以上の量で存在し、収着材料の少なくともいくらかが、多孔質通路壁内に存在し、多孔質通路壁の内部にCO2収着部位を形成している、収着剤物品を提供する。態様(2)において、本開示は、収着材料がSPEI−シリカ材料を含む、態様1の物品を提供する。態様(3)において、本開示は、基体がハニカム形状である、態様1または2の物品を提供する。態様(4)において、本開示は、通路壁の気孔率が60%超である、態様1〜3いずれか1つの物品を提供する。態様(5)において、収着材料は、ある温度でCO2を捕捉することができ、それより高い温度でCO2を放出することができる、態様1〜4いずれか1つの物品を提供する。
【0009】
態様(6)において、本開示は、開放通路を画成する多孔質通路壁を備えた基体、およびその多孔質通路壁の表面に分布した有機・無機複合収着材料を含む、気体からCO2を除去するための収着剤物品であって、収着材料が、エポキシド官能化アルコキシシランおよびポリアミンに由来するものであり、10g/l以上の量で存在し、収着材料の少なくともいくらかが、多孔質通路壁内に存在し、多孔質通路壁の内部にCO2収着部位を形成し、収着材料は、ある温度でCO2を捕捉することができ、それより高い温度でCO2を放出することができる、収着剤物品を提供する。態様(7)において、本開示は、ポリアミンがシリル化ポリアミンである、態様6の物品を提供する。態様(8)において、本開示は、ポリアミンが非シリル化ポリアミンである、態様6の物品を提供する。態様(9)において、本開示は、収着材料が、アミノ官能化アルコキシシランの存在下で、エポキシド官能化アルコキシシランおよび非シリル化ポリアミンに由来する、態様8の物品を提供する。態様(10)において、本開示は、収着材料がSPEI−シリカ材料を含む、態様6の物品を提供する。態様(11)において、本開示は、基体がハニカム形状である、態様6〜10いずれか1つの物品を提供する。態様(12)において、本開示は、通路壁の気孔率が60%超である、態様6〜10いずれか1つの物品を提供する。
【0010】
態様(13)において、本開示は、流体からCO2を除去する方法であって、態様1または6の物品を、CO2を含む流体流と接触させる工程を有してなる方法を提供する。態様(14)において、本開示は、収着したCO2の少なくとも一部を前記物品から放出させる工程をさらに含む、態様13の方法を提供する。態様(15)において、本開示は、ハニカム形状体に成形された、有機・無機複合収着材料を含む物品を提供する。態様(16)において、本開示は、液体中に分散した有機・無機複合収着材料を含む物品を提供する。
【0011】
追加の特徴および利点は、以下の詳細な説明に述べられており、一部は、その説明から当業者には容易に明白となるか、または記載された説明およびその特許請求の範囲、並びに添付図面に示されたように実施の形態を実施することにより認識されるであろう。
【0012】
先の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方とも、単なる例示であり、特許請求の範囲の性質および特徴を理解するための概要または骨子を提供することが意図されているのが理解されよう。
【0013】
添付図面は、さらに理解するために含まれ、本明細書に包含され、その一部を構成する。図面は、1つ以上の実施の形態を図解しており、上記記載と共に、様々な実施の形態の原理および動作を説明する働きをする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】有機・無機複合収着剤の実施の形態の説明図
図2】ここに開示された実施の形態によるCO2の吸着と脱着を示すグラフ
図3】ここに開示された実施の形態によるCO2の吸着と脱着を示すグラフ
図4】ここに開示された実施の形態によるCO2の脱着ピークを示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0015】
開放通路を画成する多孔質通路壁を備えた基体、およびその多孔質通路壁の表面に分布した有機・無機複合収着材料を含む収着剤物品であって、収着材料が、アミノ官能化アルコキシシランおよびシリル化ポリアミンに由来するものであり、10g/l以上の量で存在し、収着材料の少なくともいくらかが、多孔質通路壁内に存在し、多孔質通路壁の内部にCO2収着部位を形成している、収着剤物品が、ここに開示されている。開放通路を画成する多孔質通路壁を備えた基体、およびその多孔質通路壁の表面に分布した有機・無機収着材料を含む、気体からCO2を除去するための収着剤物品であって、収着材料が、エポキシド官能化アルコキシシランおよびポリアミンに由来するものであり、10g/l以上の量で存在し、収着材料の少なくともいくらかが、多孔質通路壁内に存在し、多孔質通路壁の内部にCO2収着部位を形成している、収着剤物品も、ここに開示されている。開示された収着剤物品は、例えば、気体からCO2を除去するのに有用であろう。
【0016】
実施の形態において、有機・無機複合収着剤はシリル化ポリアミンである。有機・無機複合収着剤は、それ自体をCO2などの気体を収着するために用いられるようにするアミノ官能基を含んでよい。有機・無機複合収着剤の実施の形態は、無機部分が有機ポリマーに結合している、シリル化ポリアミンポリマーの網目構造を有する。その結果は、均一な充填密度および混合ガスからCO2を効果的に捕捉できる微細構造均一性を有する有機・無機複合収着剤である。
【0017】
シリル化ポリアミンを含むゾルは、ゾルゲルプロセスによるシラン部分の重合によって、均一な密度および微細構造均一性を有する収着剤を形成するのに役立ち、一方で、アミノ部分は、CO2を捕捉するための官能基を提供する。実施の形態において、ここに開示された方法は、有機・無機複合収着剤を製造するための、効率的かつ対費用効果的プロセスを提供する。
【0018】
前記ゾルゲルプロセスは、当該技術分野において周知の湿式化学技法である。このプロセスは、繋がった網目構造の前駆体として働く化学溶液または懸濁液である「ゾル」、または網目構造ポリマーの「ゲル」で始まる。このゾルは、モノマー単位(すなわち、シリル化ポリアミン)を有するものであり、溶液中に、またはマイクロメートル未満の粒子の懸濁液として、最終的なゲルの他の所望の成分を有してもよい。このゾルゲルプロセスは、重縮合がゾルにおいて始まり、ゲル点まで進行する動的プロセスである。ゲル点では、重合は、注ぐことができないほど大規模である。ゾルは、ゲル点の前に流されるか、または堆積され、ゾルが流されたまたは堆積された後、特に、乾燥し始め、ゾルが濃縮された後、重縮合はゲル点まで継続する。重縮合がゲル点を越えて継続し、より堅いゲルを形成してもよい。
【0019】
いくつかの実施の形態において、ゾルは、シリル化ポリアミンを水性溶媒に加えることにより調製される。このシリル化ポリアミンは、ポリアミン内のどこかに結合したシランまたはアルコキシシランを少なくとも1つ有するポリアミンであってよい。ポリアミンは、ホモポリマーであっても、ヘテロポリマーであってもよい。ヘテロポリマーは、異なるアミン単位を有しても、アミノと、ポリ(アミノアルコール)などの他の部分との組合せを有してもよい。ゾルにおいて、シリル化ポリアミンのシラン部分は、加水分解を経て、ある程度または完全にヒドロキシル化される。シラン部分がアルコキシシランである場合、アルコキシ基は、ヒドロキシ部分により置換されてもよい。1つの例示の実施の形態において、シラン部分はトリアルコキシシランであり、加水分解により、トリアルコキシシランのアルキルオキシ基の少なくとも1つがヒドロキシル基により置換される。次いで、ヒドロキシル基は、重縮合反応により、別のヒドロキシル部分または第2のシリル化ポリアミンのアルコキシ部分のいずれかと反応し得る。その反応が継続しつつ、シリカ粒子/コア14が形成され(図1参照)、ポリマー網目構造および最終的にゲルが形成される。シリカコア14は、ポリアミン12と共に、有機・無機複合収着剤10を形成する。
【0020】
1つの実施の形態において、有機・無機複合収着剤を製造する方法が提供される。この方法は、少なくとも1つのシリル化ポリアミンおよび水性溶媒を含むゾルを調製し、表面上にゾルを流し、ゾルを乾燥させて、有機・無機複合収着剤を形成する各工程を含んでよい。シリル化ポリアミンは、シリカコアの前駆体、並びにアミノ部分がCO2を収着するところである官能性ポリマーの両方として機能してもよい。シリル化ポリアミンは、以下に限られないが、シリル化ポリエチレンイミン(SPEIm)、シリル化ポリビニルピリジン、シリル化ポリジメチルアミノエチルメタクリレート、シリル化ポリビニルアミン、シリル化ポリアリルアミン(PAAm)またはその組合せであってよい。説明のための実施の形態において、シリル化ポリアミンは、シリル化ポリエチレンイミンである、トリメトキシシリルプロピル修飾ポリエチレンイミンである。ゾルは、約5質量%から約40質量%(またはそれより多い)のシリル化ポリアミンを含んでもよい。実施の形態において、ゾルは、約10質量%から約20質量%のシリル化ポリアミンを含んでもよい。シリル化ポリアミンの濃度は、ゾルが、基体上に流されるまたは堆積される前にゲル化し始めないようなものであってよいことが、ゾル溶液の製造においてよく知られている。ゾルの作業時間は、使用されているシリル化ポリアミン並びに濃度と温度に依存する。当業者は、必要以上の実験を行わずに、ゾルからゲルを形成するための最良の濃度を決定することができるであろう。
【0021】
同様に、水性溶媒の選択は、ゾルを構成するシリル化ポリアミンに依存するであろう。非限定的例として、SPEImが水性イソプロパノール中にあってよい。水性溶媒は、所望のシリル化ポリアミンの溶解度特性に基づいて選択してよい。水性溶媒の他の例は、単独、または水との組合せのいずれかで、メタノールおよびエタノールなどの短いアルキル鎖のアルコールであってよい。
【0022】
いくつかの実施の形態において、シリル化ポリアミンは、ゾルおよびその後の有機・無機複合収着剤を調製する前に、その場でのシリル化プロセスにより調製される。そのポリアミンは、シラン、例えば、グリシジルプロピルトリメトキシシラン(GPTMOS)との反応により、水性系においてその場でシリル化してもよい。いくつかの実施の形態において、複数のシランを使用してもよい。その場のシリル化に適したポリアミンの例としては、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、およびポリビニルアミンが挙げられる。
【0023】
ゾルは、表面に流されても(例えば、浸漬被覆または回転塗布により)、成形体に形成しても、粉末、小球、またはナノスフェアを合成するために使用しても差し支えない。1つの実施の形態において、ゾルは、基体上に流されて、有機・無機複合収着剤物品を製造する。基体は、以下に限られないが、セラミック製ハニカム基体であってよい。別の実施の形態において、ゾルは、成形体、例えば、ハニカム基体に成形される。さらに別の実施の形態において、乾燥ゾルを使用して、粉末収着剤を得る。
【0024】
ゾルが一旦、所望の表面および/または基体上に流されたら、ゾルおよび/またはその後に生じるゲルを乾燥させて、残留液体(溶媒)を除去してもよい。上述したように、ゾルゲルプロセスは、動的プロセスであり、ゾルの乾燥は、ゲル点の始まりを早めるであろう。
【0025】
実施の形態において、ゾル、およびその後の有機・無機複合収着剤は、少なくとも1種類の親水性ポリマーをさらに有してよい。ゾルは、親水性ポリマーがアルコール系ポリマーまたはアミノ官能化アルコールポリマーである場合、約5質量%から約25質量%の親水性ポリマーを有してよい。アルコール系ポリマーの非限定的例は、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)またはポリ(アリルアルコール)(PAA)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEMa)もしくはそれらの組合せであってよい。アミノ官能化アルコールポリマーは、ポリ(ビニルアルコール−co−ビニルアミン)(PVAAm)、ポリ(ビニルアルコール−co−アリルアミン)(PVAAAm)、ポリ(アミノプロピルメタクリルアミド−co−ヒドロキシエチルメタクリレート)(PAPMa−co−MHMa)またはそれらの組合せであってよい。親水性ポリマーは、形成されるときにゲル全体に、その後、有機・無機複合組成物膜全体に分布してよい。親水性ポリマーは、イオン結合、水素結合またはファンデルワールス力により、シリル化ポリアミンと相互作用してよい。しかしながら、親水性ポリマーがシリル化ポリアミンと相互作用する必要はない。必要に応じて、親水性ポリマーを、化学的に、放射線または紫外線により、もしくは熱的に、ポリアミンに架橋させてもよい。親水性ポリマーは、ゾルにおいて、またはゲルが形成された後に、架橋させてもよい。親水性ポリマーがアミノ官能化アルコールポリマーである場合、CO2を収着するための追加のアミン官能基を提供するであろう。
【0026】
実施の形態において、ゾルは、およびその後の有機・無機複合収着剤も、少なくとも1つのアルコキシシランを有してもよい。説明のための実施の形態において、アルコキシシランは、以下に限られないが、アミノプロピルトリエトキシシラン(APTEOS)、(3−トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン(TMSPDETA)、グリシジルプロピルトリメトキシシラン(GPTMOS)、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノイソブチルメチルジエトキシシラン、またはそれらの組合せなどのアミン官能化アルコキシシランであってよい。アミン官能化アルコキシシランは、シリル化ポリアミンについて上述したようなシリカコアの形成によって、アミノ官能化シリカ粒子を形成することができる。アルコキシシランは、シリル化ポリアミンと共に、両方の化合物を有する異種シリカコアを形成してもよい。いくつかの実施の形態において、非アミノ官能化シラン/シロキサンを使用してもよく、例えば、エポキシド官能化アルコキシシランを使用してもよい。
【0027】
有機・無機複合収着剤の溶液を基体に塗布することなどの適切な技法を使用して、有機・無機複合収着剤を基体上に堆積させてもよい。例として、有機・無機複合収着剤は、有機・無機複合収着剤を含む溶液中に基体を浸漬することにより、有機・無機複合収着剤を含む溶液を基体上に注ぐことにより、または有機・無機複合収着剤を含む溶液を基体に吹き付けることにより、施すことができる。
【0028】
フロースルー型基体上に形成された有機・無機複合収着剤の最終的な量は、基体により保持される有機・無機複合収着剤の量に依存する。基体により保持される有機・無機複合収着剤の量は、例えば、基体を有機・無機複合収着剤と複数回接触させ、接触工程の間に基体を乾燥させることによって、増加させることができる。その上、基体により保持される有機・無機複合収着剤の量は、基体の全気孔率を単に変える(例えば、気孔率を増加させると、基体により保持される有機・無機複合収着剤の量が増加する)ことによって、調節できる。いくつかの実施の形態において、フロースルー型基体上に堆積される有機・無機複合収着剤の量により、収着剤の添加量が10g/l超に、収着剤の添加量が25g/l超に、収着剤の添加量が50g/l超に、収着剤の添加量が75g/l超に、収着剤の添加量が100g/l超に、収着剤の添加量が200g/l超に、収着剤の添加量が300g/l超に、収着剤の添加量が400g/l超に、または収着剤の添加量が500g/l超になる。
【0029】
いくつかの実施の形態において、有機・無機複合収着剤、基体の多孔質通路壁の表面上に分布している。例えば、有機・無機複合収着剤は、多孔質通路壁の露出表面の全てにまたはその一部に分布していてよい。多孔質通路壁が多孔質通路壁全体に亘り細孔径と多孔質網目構造の組合せを含む実施の形態において、有機・無機複合収着剤は、基体の多孔質通路壁に任意の程度に含浸していてよい。いくつかの実施の形態において、有機・無機複合収着剤は、基体の多孔質通路壁の表面および任意の外面に分布している。いくつかの実施の形態において、有機・無機複合収着剤は、基体の表面の全てまたは一部を覆う、一体となった連続被覆の形態にある。他の実施の形態において、有機・無機複合収着剤は、割れ目、ピンホール、または他の不連続を含む。いくつかの実施の形態において、有機・無機複合収着剤は、粒子形態で、多孔質通路壁の表面上に分布している。実施の形態において、有機・無機複合収着剤による細孔の閉塞は最小である。
【0030】
いくつかの実施の形態において、有機・無機複合収着剤の少なくとも一部は、フロースルー型基体の少なくとも一部に化学結合している。それゆえ、これらの実施の形態において、有機・無機複合収着剤のいくらかまたは全ては、フロースルー型基体のいくらかまたは全てに化学結合していて差し支えない。
【0031】
いくつかの実施の形態において、有機・無機複合収着剤の少なくとも一部は、フロースルー型基体の少なくとも一部に機械的に結合している。それゆえ、これらの実施の形態において、有機・無機複合収着剤のいくらかまたは全ては、フロースルー型基体のいくらかまたは全てに機械的に結合していて差し支えない。
【0032】
いくつかの実施の形態において、基体は、ガラス、ガラスセラミック、セラミック、またはそれらの組合せから構成される。いくつかの例示の基体材料としては、コージエライト、ムライト、粘土、マグネシア、金属酸化物、タルク、ジルコン、ジルコニア、ジルコン酸塩、ジルコニア・スピネル、スピネル、ゼオライト、アルミナ、アルミナ・チタン酸塩、チタニア、アルミノケイ酸塩、シリカ、ケイ酸塩、マグネシウムアルミノケイ酸塩、ホウ化物、長石、溶融シリカ、窒化物、炭化物、窒化ケイ素、金属硫酸塩、金属炭酸塩、金属リン酸塩、またはこれらの組合せが挙げられる。
【0033】
いくつかの実施の形態において、基体の多孔質通路壁は、60%超、65%超、70%超、または75%超の表面気孔率を有する。いくつかの実施の形態において、基体の多孔質壁は、100m2/g以上、150m2/g以上、200m2/g以上、または250m2/g以上の表面積を有する。いくつかの実施の形態において、多孔質通路壁は、10マイクロメートル超、25マイクロメートル超、50マイクロメートル超、75マイクロメートル超、100マイクロメートル超、125マイクロメートル超、150マイクロメートル超、200マイクロメートル超、500マイクロメートル超の細孔径、またはそれらの組合せを有する。いくつかの実施の形態において、高い気孔率および大きい細孔径の組合せにより、収着材料の添加量を多くする、例えば、多孔質通路壁の細孔構造内の収着材料が堆積する量を多くすることができる。
【0034】
いくつかの実施の形態において、基体は、入口端、出口端、および入口端から出口端まで延在する開放通路(セルとも称される)を含むハニカム構造を有する。いくつかの実施の形態において、ハニカムは、入口端から出口端まで延在する多数の通路を含み、その通路は、交差する通路壁により画成されている。
【0035】
基体は適切な技法を使用して製造してよく、例えば、基体は押出しにより製造してよい。
【0036】
ここに記載された実施の形態のいずれを含む、開示された収着剤物品は、例えば、気体との接触により、気体からCO2を除去するのに使用してよい。例えば、ガス流を、有機・無機複合収着剤がその上に分布した基体の開放通路に、入口端から出口端まで通過させてよい。
【0037】
「収着する」、「収着」および「収着した」という用語は、物理的、化学的のいずれか、または物理的と化学的の両方で、収着剤物品上のCO2の吸着、収着、または他の取込みを称する。
【0038】
いくつかの実施の形態において、CO2収着は、30℃まで、40℃まで、50℃まで、60℃まで、または70℃までの温度で行われる。
【0039】
気体からのCO2の除去は、有機・無機複合収着剤物品からCO2を放出する工程をさらに含んでもよい。例えば、収着したCO2の少なくとも一部は、収着したCO2をその上に有する物品を提供し、その物品を、CO2の脱着温度より高い温度に加熱することによって、収着剤物品から脱着される。収着したCO2の脱着は、収着剤物品の再生とも称される。収着剤物品は、適切な方法を使用して加熱してよい。例えば、1つの実施の形態において、収着剤物品は、窒素などの高温の不活性ガスの流れによって、加熱してよい。
【0040】
CO2を脱着するのに十分な温度は、一部には、存在するCO2の量に依存する。1つの実施の形態において、十分な温度は、例えば、100℃、150℃、180℃、または200℃の温度を含む、50℃から300℃の範囲の温度で物品を加熱することを含み得る。別の実施の形態において、この十分な加熱温度は、例えば、90℃から200℃、または90℃から180℃の範囲を含む、これらの値から導かれる範囲であって差し支えない。
【0041】
いくつかの実施の形態において、収着剤物品は、CO2の収着と脱着の複数回のサイクルが可能である。例えば、収着剤物品を、気体からのCO2の除去に使用し、再生して、収着したCO2を除去し、次いで、この物品を、気体からのCO2の除去に再び使用することができる。いくつかの実施の形態において、収着剤物品は、2回以上、5回以上、10回以上、50回以上、または100回以上のサイクルのCO2の収着と脱着が可能であろう。
【実施例】
【0042】
様々な実施の形態を、以下の実施例によりさらに明白にする。
【0043】
実施例1〜3
バイアル内に、ある量の化学物質を装填し、次いで、ある量の水を加え、これを十分に混合した。例えば、5.0gのAPTEOSおよび5.0gの水を十分に混合し、50%の水溶液を得た。これらの溶液を、表1に示されるように調製した。
【表1】
【0044】
実施例1〜3について、基体としてグラスウール紙を使用した。この基体(収着剤を施す前に、その質量を測定した)を10〜15秒間に亘り溶液中に浸漬し、次いで、数時間から一晩に亘り室温で乾燥させた(再び質量を測定した)。質量増加(水分を含む固体の収着剤の百分率)は、質量差により得た(質量増加のパーセントは、試験サンプルについて約65%であった)。
【0045】
得られたサンプルについてCO2を捕捉する能力は、少量の背圧で保湿CO2雰囲気内で測定した。最初のサイクルについての、収着A、脱着Bおよび推定水分Cの結果が、表2に列挙されており、図2にプロットされている。
【表2】
【0046】
収着は、CO2源としてドライアイスを使用して、わずかな背圧で30〜45分間に亘り室温で得た。CO2ガスを水浴に通して水分を得た。対照試験を同じ条件下で加湿空気雰囲気(N2およびO2の両方を含有する)内で行った。試験の直前に、試験サンプル(朝まで室温で乾燥させた)を、15分間に亘り100℃で強制空気を流したオーブン内でさらに乾燥させた。
【0047】
脱着は、強制空気を流したオーブン内で15分間に亘り100℃で行った。
【0048】
水分は、収着と脱着のデータに含まれており、収着と推定水分との間の差を用いて、捕捉したCO2を推定し、脱着と推定水分との間の差を用いて、放出されたCO2を推定する。水分は、3つの様式で推定した:1)サンプルを試験する前の、室温で乾燥させた後のサンプルの質量(一晩の乾燥)と、オーブン乾燥させた後のサンプルの質量(強制空気による15分間の100℃)との間の差;2)15分間に亘り100℃でCO2を放出したばかりの質量と、サンプルを室温で朝までフード内に配置した後に得られた質量との差;および3)対照試験からの質量差−15分間に亘り100℃で乾燥させた後の質量と、対照試験後(CO2を置換するために空気を使用したことを除いて、CO2捕捉試験と同じ条件による)に、一晩室温で乾燥させた質量との間の差。
【0049】
最初のサイクルで試験した3つのサンプルを、第2のサイクルについて試験し、収着A、脱着B、および推定水分Cが、図3にプロットされている。
【0050】
熱安定性および酸化防止剤性能を、サンプルを強制空気による100℃のオーブン内で加熱することによる変色によって評価した。最も早い時間で変色した(無色から淡褐色および濃褐色まで)サンプルを、熱安定性および酸化防止剤性能が不十分であると考えた。
【0051】
アミノ官能化シリカ粒子(APTEOSからの)は、熱試験による良好な熱安定性および酸化防止剤性能を有するが、アミノ基の量が比較的少ないために、最低の収着能力を示す。シリカ結合PEIは、良好なCO2捕捉能力を有するが、熱安定性および酸化防止剤が望ましくない。APTEOS/SPEIに由来するシリカ/PEI複合体は、2つの材料の利点を併せ持ち、シリカ結合PEIに近いCO2捕捉能力、およびアミノ官能化シリカに近い熱安定性および酸化防止剤を示す。
【0052】
実施例4
上述したように調製したシリカ/PEI複合収着剤溶液を高気孔率ハニカム基体上に分布させた。基体上の固体収着材料の量は約10質量パーセントであった。サンプルのCO2捕捉能力は、9.2%のCO2、5.5%のH2O、および残りの量のN2を含むガス流を使用して試験した。吸着は室温で試験した。10分間から20分間の異なる吸着時間の4サイクルを測定した。H2Oの吸着ピークは検出されなかったが、H2Oの脱着曲線が100℃未満の温度で観察された。4サイクルに亘り、CO2捕捉能力は安定であった。CO2の吸着は3分以内に生じる。吸着中にサンプルの温度の上昇が観察された。このサンプルのCO2捕捉効率は約35%であった。
【0053】
次いで、サンプルを120℃に加熱して、CO2を脱着させた。図4に示されるように、2つの脱着ピークが観察された。約38℃から40℃の1つのピークは、物理吸着されたCO2を表す。約108℃の第2のピークは化学吸着されたCO2を表す。物理吸着されたCO2の化学吸着されたCO2に対する量の比率は約6:1である。
【0054】
別記しない限り、ここの述べたどの方法も、工程を特定の順序で行うことを要求しているとみなすことは決して意図していない。したがって、方法の請求項が、その工程が従うべき順序を実際に列挙していない場合、または工程が特定の順序に制限されるべきであると請求項または説明に他の様式で具体的に述べられていない場合、どのような特定の順序も推測されることは決して意図されていない。
【0055】
本発明の精神または範囲から逸脱せずに、様々な改変および変更を行えることが当業者には明白であろう。本発明の精神および実体を含む開示の実施の形態の改変、組合せ、下位の組合せおよび変更が当業者に想起されるであろうから、本発明は、付随の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内に全てを含むものとみなすべきである。
図1
図2
図3
図4