(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、マイコンが暴走すると、マイコンの出力ポートから予期せぬ信号が出力される。特許文献1の技術のように、マイコンからのPWM出力が第1電位のときにスイッチが非導通となり、第2電位のときにスイッチが導通となるように構成すると、マイコンが暴走したときに、意図せずに電磁弁が開いてしまうおそれがある。特許文献1の技術を、ガス燃焼機器のガス供給経路上に設けられた電磁弁の開閉駆動に適用すると、マイコンが暴走したときに、意図せずに電磁弁が開いて、ガス漏れが発生してしまうおそれがある。
【0005】
本明細書では、上記の課題を解決する技術を提供する。本明細書では、ガス燃焼機器のガス供給経路上に設けられた電磁弁を、マイコンによるPWM制御により開閉駆動する電磁弁駆動回路において、ガス漏れが発生するリスクを低減することが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書では、ガス燃焼機器のガス供給経路上に設けられた電磁弁を開閉駆動する電磁弁駆動回路を開示する。その電磁弁駆動回路は、PWM出力機能を有する第1出力ポートと、PWM出力機能を有さない第2出力ポートを備えるマイコンと、電源電位から電磁弁を経由して接地電位に至る電力供給経路上
で電源電位と電磁弁の間に設けられており、導通と非導通の間で切り替わる第1スイッチと、前記電力供給経路上に設けられており、第2出力ポートの電位に応じて導通と非導通の間で切り替わる第2スイッチと、炎の有無を検知する炎検知回路と、炎検知回路で炎が検知されている場合、あるいは第2スイッチが非導通である場合に、オン信号を出力し、炎検知回路で炎が検知されず、かつ第2スイッチが導通している場合に、オフ信号を出力するハード安全回路と、第1スイッチを導通と非導通の間で切り換える第1スイッチ制御回路を備えている。その電磁弁駆動回路では、第1スイッチ制御回路が、第1出力ポートが第1電位の場合は、第1スイッチを非導通とし、第1出力ポートが第2電位の場合は、ハード安全回路がオン信号を出力していれば第1スイッチを導通とし、ハード安全回路がオフ信号を出力していれば第1スイッチを非導通とするように構成されている。
【0007】
上記の電磁弁駆動回路では、マイコンの第1出力ポートが第1電位となると、ハード安全回路の出力に関わらず第1スイッチは非導通となり、マイコンの第1出力ポートが第2電位となると、ハード安全回路の出力に応じて第1スイッチの導通/非導通が決定される。このため、ハード安全回路がオン信号を出力している限りにおいて、第1出力ポートからのPWM出力に対応して第1スイッチの導通と非導通を切り換えることができる。また、仮にマイコンが暴走して、意図せずに第1出力ポートから第2電位が出力された場合でも、ハード安全回路がオフ信号を出力していれば、第1スイッチは非導通となり、電磁弁が閉じられる。ハード安全回路は、炎検知回路で炎が検知されず、かつ第2スイッチが導通している場合(すなわち、第1スイッチが導通してしまうと、ガス漏れが発生するおそれがある場合)にオフ信号を出力しているから、この場合に第1スイッチが導通してしまうことがない。上記の電磁弁駆動回路によれば、ガス漏れが発生するリスクを低減することができる。
【0009】
一般に、ガス燃焼機器で使用される電磁弁駆動回路においては、接地電位をガス燃焼機器の筐体に接続していることが多い。このため、第1スイッチが電磁弁と接地電位の間に設けられていると、電磁弁の接地電位側の端子が筐体と地絡した場合に、電磁弁に電力が供給されて、意図せずに電磁弁が開いてしまうおそれがある。上記の電磁弁駆動回路のように、第1スイッチを電源電位と電磁弁の間に介在させることで、電磁弁の端子が筐体と地絡しても、電磁弁には電力が供給されず、意図せずに電磁弁が開いてしまうことがない。ガス漏れが発生するリスクをより低減することができる。
【0010】
上記の電磁弁駆動回路は、第1スイッチが、電磁弁および第2スイッチよりも電源電位
側に設けられているように構成することができる。
【0011】
第1スイッチのオン故障の有無をチェックしたい場合がある。上記の電磁弁駆動回路によれば、第2スイッチを導通させていない状態で、第1スイッチを導通させて、第1スイッチの電磁弁および第2スイッチの側の電位の変化を調べることで、第1スイッチのオン故障の有無をチェックすることができる。この際に、第2スイッチは導通していないので、電磁弁が開いてしまうことはない。上記の電磁弁駆動回路によれば、第1スイッチのオン故障の有無をチェックする際に、電磁弁が開いてしまうことを防ぐことができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施例1)
図1に本実施例の電磁弁駆動回路2の回路構成を示す。本実施例の電磁弁駆動回路2は、ガス燃焼機器に搭載して使用され、ガス燃焼機器のガス供給経路上に設けられた電磁弁4を開閉駆動する。電磁弁駆動回路2は、主に、マイコン6と、第1スイッチ素子8と、第2スイッチ素子10と、炎検知回路12と、ハード安全回路14と、第1スイッチ制御回路16を備えている。
【0014】
マイコン6は、図示しない操作部を介したユーザの開弁操作または閉弁操作に応じて、電磁弁4の開閉を制御する。マイコン6は、第1電源電位18と接地電位20に接続されている。本実施例では、第1電源電位18は5Vである。また、接地電位20は、ガス燃焼機器の筐体の電位である。
【0015】
マイコン6は、第1出力ポート22と、第2出力ポート24を備えている。第1出力ポート22は、PWM出力機能を有するPWM出力ポートである。第2出力ポート24は、PWM出力機能を有していない汎用のデジタル出力ポートである。マイコン6はさらに、WDパルス出力ポート26と、チェック出力ポート28と、チェック入力ポート30を有している。
【0016】
第1スイッチ素子8および第2スイッチ素子10は、第2電源電位32から電磁弁4を経由して接地電位20に至る電力供給経路上に設けられている。本実施例では、第2電源電位32は12Vである。
【0017】
本実施例では、第1スイッチ素子8は、PチャネルのMOSFETである。本実施例では、第1スイッチ素子8は、第2電源電位32と電磁弁4の間に設けられている。第1スイッチ素子8のソース端子は、第2電源電位32に接続されており、第1スイッチ素子8のドレイン端子は、電磁弁4の第1端子34に接続されている。第1スイッチ素子8のゲート端子とソース端子の間は、抵抗器36により接続されている。また、第1スイッチ素子8のゲート端子は、抵抗器38を介してハード安全回路14の出力端子40に接続されている。さらに、第1スイッチ素子8のドレイン端子は、マイコン6のチェック入力ポート30に接続されている。
【0018】
本実施例では、第2スイッチ素子10は、NチャネルのMOSFETである。本実施例では、第2スイッチ素子10は、電磁弁4と接地電位20の間に設けられている。第2スイッチ素子10のソース端子は、接地電位20に接続されており、第2スイッチ素子10のドレイン端子は、電磁弁4の第2端子42に接続されている。第2スイッチ素子10のゲート端子とソース端子の間は、抵抗器44により接続されている。また、第2スイッチ素子10のゲート端子は、抵抗器46を介してマイコン6の第2出力ポート24に接続されている。さらに、第2スイッチ素子10のドレイン端子は、ハード安全回路14のスイッチ入力端子48に接続されている。
【0019】
炎検知回路12は、ガス燃焼機器での炎の有無を検知する。本実施例では、炎検知回路12はフレームロッドである。炎検知回路12の出力信号は、ハード安全回路14の炎検知入力端子50に入力される。
【0020】
ハード安全回路14は、スイッチ入力端子48と炎検知入力端子50の入力信号に基づいて、出力端子40にオン信号またはオフ信号を出力する。本実施例では、オン信号はロー電位(例えば0V)であり、オフ信号はハイ電位(例えば12V)である。出力端子40にオフ信号が出力されると、第1スイッチ素子8は非導通となり、電磁弁4は閉じられる。ハード安全回路14は、第2スイッチ素子が非導通である(すなわち、スイッチ入力端子48が接地電位でない)場合、または炎検知回路12で炎が検知されている場合は、異常が発生していないものとして、出力端子40にオン信号を出力する。ハード安全回路14は、第2スイッチ素子10が導通しており(すなわち、スイッチ入力端子48が接地電位であり)、かつ炎検知回路12で炎が検出されていない場合に、異常が発生しているものとして、出力端子40にオフ信号を出力する。
【0021】
ハード安全回路14は、マイコン6のWDパルス出力ポート26に接続された、WDパルス入力端子52を有している。マイコン6はWDパルス出力ポート26からWDパルスを出力する。ハード安全回路14は、WDパルス入力端子52に入力されるWDパルスが正常とは異なる場合に、異常が発生しているものとして、出力端子40にオフ信号を出力する。
【0022】
ハード安全回路14はさらに、マイコン6のチェック出力ポート28に接続された、チェック入力端子54を有している。マイコン6はチェック出力ポート28からチェック信号を出力する。ハード安全回路14は、チェック入力端子54にチェック信号が入力されると、第1スイッチ素子8がオン故障しているか否かをチェックするために、出力端子40にオフ信号を出力する。マイコン6は、チェック出力ポート28からチェック信号を出力した後、チェック入力ポート30への入力がハイ電位からロー電位へ切り替わると、第1スイッチ素子8が正常に動作しているものと判断する。マイコン6は、チェック出力ポート28からチェック信号を出力した後、チェック入力ポート30への入力がハイ電位のまま変化しない場合に、第1スイッチ素子8がオン故障しているものと判断する。
【0023】
第1スイッチ制御回路16は、マイコン6の第1出力ポート22に接続された入力端子56と、第1スイッチ素子8のゲート端子に接続された出力端子58を有している。第1スイッチ制御回路16は、第1トランジスタ60と、第2トランジスタ62を備えている。
【0024】
本実施例では、第1トランジスタ60はNPNトランジスタである。第1トランジスタ60のベース端子とエミッタ端子の間は、抵抗器64により接続されている。第1トランジスタ60のベース端子は、抵抗器66を介して入力端子56に接続されている。第1トランジスタ60のエミッタ端子は、接地電位20に接続されている。
【0025】
本実施例では、第2トランジスタ62はPNPトランジスタである。第2トランジスタ62のベース端子とエミッタ端子の間は、抵抗器68により接続されている。第2トランジスタ62のベース端子は、抵抗器70を介して第1トランジスタ60のコレクタ端子に接続されている。第2トランジスタ62のエミッタ端子は、第2電源電位32に接続されている。第2トランジスタ62のコレクタ端子は、出力端子58に接続されている。
【0026】
第1スイッチ制御回路16では、入力端子56がハイ電位となると、第1トランジスタ60がオンとなり、第2トランジスタ62がオンとなって、出力端子58にハイ電位が出力される。出力端子58がハイ電位となると、第1スイッチ素子8が非導通となる。また、第1スイッチ制御回路16では、入力端子56がロー電位となると、第1トランジスタ60がオフとなり、第2トランジスタ62がオフとなって、出力端子58にはハイ電位が出力されない。この場合、第1スイッチ素子8は、ハード安全回路14の出力端子40の信号に応じて、導通と非導通の間で切り替わる。
【0027】
以下では
図1および
図2を参照しながら、電磁弁駆動回路2の動作を説明する。ガス燃焼機器が待機状態にあるときは、マイコン6の第1出力ポート22および第2出力ポート24は、いずれもロー電位を出力している。このとき、第1スイッチ制御回路16では、第1トランジスタ60と第2トランジスタ62がいずれもオフとなる。また、第2スイッチ素子10は非導通となり、ハード安全回路14の出力端子40にはオン信号が出力されて、第1スイッチ素子8は導通となる。電磁弁4には電力が供給されず、電磁弁4は閉じられている。
【0028】
ガス燃焼機器の点火動作時には、マイコン6の第1出力ポート22からはPWM出力がされ、第2出力ポート24からはハイ電位が出力される。このとき、第2スイッチ素子10は導通に切り替わる。また、第1出力ポート22のPWM出力がハイ電位のときには、第1スイッチ制御回路16の第1トランジスタ60と第2トランジスタ62がいずれもオンとなり、第1スイッチ素子8は非導通となる。第1出力ポート22のPWM出力がロー電位のときには、第1スイッチ制御回路16の第1トランジスタ60と第2トランジスタ62がいずれもオフとなり、第1スイッチ素子8は導通となる。これにより、電磁弁4には、第1出力ポート22からのPWM出力に応じて、PWM制御された電圧が印加される。この際に、第1出力ポート22のPWM出力のデューティ比を制御することで、電磁弁4への通電電流を経時的に変化させ、電磁弁4の開弁時の衝突音を抑制することができる。
【0029】
ガス燃焼機器の燃焼時には、マイコン6の第1出力ポート22からはロー電位が出力され、第2出力ポート24からはハイ電位が出力される。この場合、第1スイッチ制御回路16の第1トランジスタ60と第2トランジスタ62がいずれもオフとなる。また、第2スイッチ素子10は導通のまま維持され、ハード安全回路14の出力端子40はオン信号の出力を維持し、第1スイッチ素子8は導通のまま維持される。
【0030】
ガス燃焼機器の失火時には、炎検知回路12からの出力信号の変化に応じて、ハード安全回路14が出力端子40にオフ信号を出力し、第1スイッチ素子8が導通から非導通に切り替わる。これにより、電磁弁4への電力供給が遮断されて、電磁弁4は閉弁される。
【0031】
本実施例の電磁弁駆動回路2では、マイコン6の第1出力ポート22と第1スイッチ素子8の間に第1スイッチ制御回路16が介在している。このため、マイコン6の第1出力ポート22からハイ電位が出力されると、ハード安全回路14の出力端子40の信号に関わらず、第1スイッチ素子8は非導通となり、マイコン6の第1出力ポート22からロー電位が出力されると、ハード安全回路14の出力端子40の信号に応じて、第1スイッチ素子8の導通/非導通が決定される。このため、ハード安全回路14が出力端子40にオン信号を出力している限りにおいて、第1出力ポート22からのPWM出力に対応して第1スイッチ素子8の導通と非導通を切り換えることができる。また、仮にマイコン6が暴走した場合でも、意図せずにマイコン6の第1出力ポート22からハイ電位が出力された場合、第1スイッチ素子8は非導通となり、意図せずにマイコン6の第1出力ポート22からロー電位が出力された場合、ハード安全回路14が出力端子40にオフ信号を出力していれば、第1スイッチ素子8は非導通となり、いずれの場合も電磁弁4は閉じられる。ハード安全回路14は、炎検知回路12で炎が検知されず、かつ第2スイッチ素子10が導通している場合(すなわち、第1スイッチ素子8が導通してしまうと、ガス漏れが発生するおそれがある場合)にオフ信号を出力しているから、この場合に第1スイッチ素子8が導通してしまうことがない。本実施例の電磁弁駆動回路2によれば、ガス漏れが発生するリスクを低減することができる。
【0032】
本実施例の電磁弁駆動回路2では、第1スイッチ素子8が第2電源電位32と電磁弁4の間に設けられている。仮に、第1スイッチ素子8が電磁弁4と接地電位20の間に設けられている場合、電磁弁4の接地電位20側の端子が筐体と地絡した場合に、電磁弁4に電力が供給されて、意図せずに電磁弁4が開いてしまう。本実施例の電磁弁駆動回路2のように、第1スイッチ素子8を第2電源電位32と電磁弁4の間に介在させることで、電磁弁4の端子が筐体と地絡しても、電磁弁4には電力が供給されず、意図せずに電磁弁4が開いてしまうことがない。ガス漏れが発生するリスクをより低減することができる。
【0033】
本実施例の電磁弁駆動回路2では、第1スイッチ素子8が電磁弁4および第2スイッチ素子10よりも第2電源電位32側に設けられている。このような構成とすると、第2スイッチ素子10を導通させていない状態で、マイコン6がチェック出力ポート28からチェック信号を出力して、第1スイッチ素子8のオン故障の有無をチェックすることができる。第1スイッチ素子8のオン故障のチェックをする際に、電磁弁4が開いてしまうことを防ぐことができる。
【0034】
(
参考例)
図3に本
参考例の電磁弁駆動回路100の回路構成を示す。以下では、実施例1の電磁弁駆動回路2と同様の構成については、同様の参照符号を付して、詳細な説明を省略する。本
参考例の電磁弁駆動回路100は、主に、マイコン6と、第1スイッチ素子102と、第2スイッチ素子104と、炎検知回路12と、ハード安全回路14と、第1スイッチ制御回路106を備えている。
【0035】
本
参考例の電磁弁駆動回路100では、第1スイッチ素子102は、NチャネルのMOSFETである。本
参考例では、第1スイッチ素子102は、電磁弁4と接地電位20の間に設けられている。第1スイッチ素子102のソース端子は、接地電位20に接続されており、第1スイッチ素子102のドレイン端子は、電磁弁4の第2端子42に接続されている。第1スイッチ素子102のゲート端子とソース端子の間は、抵抗器108により接続されている。また、第1スイッチ素子102のゲート端子は、抵抗器110と、デジタルトランジスタ112を介して、ハード安全回路14の出力端子40に接続されている。さらに、第1スイッチ素子102のドレイン端子は、マイコン6のチェック入力ポート30に接続されている。
【0036】
本
参考例の電磁弁駆動回路100では、第2スイッチ素子104は、PチャネルのMOSFETである。本
参考例では、第2スイッチ素子104は、第2電源電位32と電磁弁4の間に設けられている。第2スイッチ素子104のソース端子は、第2電源電位32に接続されており、第2スイッチ素子104のドレイン端子は、電磁弁4の第1端子34に接続されている。第2スイッチ素子104のゲート端子とソース端子の間は、抵抗器114により接続されている。また、第2スイッチ素子104のゲート端子は、抵抗器116と、デジタルトランジスタ118を介して、マイコン6の第2出力ポート24に接続されている。さらに、第2スイッチ素子104のドレイン端子は、ハード安全回路14のスイッチ入力端子48に接続されている。本
参考例では、第2出力ポート24からロー電位が出力されると、デジタルトランジスタ118がオフとなり、第2スイッチ素子104は非導通となる。また、第2出力ポート24からハイ電位が出力されると、デジタルトランジスタ118はオンとなり、第2スイッチ素子104は導通となる。
【0037】
本
参考例の電磁弁駆動回路100では、第1スイッチ制御回路106は、マイコン6の第1出力ポート22に接続された入力端子120と、第1スイッチ素子102のゲート端子に接続された出力端子122を有している。第1スイッチ制御回路106は、トランジスタ124を備えている。トランジスタ124は、NPNトランジスタである。トランジスタ124のベース端子とエミッタ端子の間は、抵抗器126により接続されている。トランジスタ124のベース端子は、抵抗器128を介して入力端子120に接続されている。トランジスタ124のエミッタ端子は、接地電位20に接続されている。トランジスタ124のコレクタ端子は、出力端子122に接続されている。
【0038】
第1スイッチ制御回路106では、入力端子120がハイ電位となると、トランジスタ124がオンとなり、出力端子122にロー電位が出力される。出力端子122がロー電位となると、第1スイッチ素子102が非導通となる。また、第1スイッチ制御回路106では、入力端子120がロー電位となると、トランジスタ124がオフとなり、出力端子122にはロー電位が出力されない。この場合、第1スイッチ素子102は、ハード安全回路14の出力端子40の信号に応じて、導通と非導通の間で切り替わる。すなわち、ハード安全回路14の出力端子40にオン信号(ロー電位)が出力されると、デジタルトランジスタ112がオンとなり、第1スイッチ素子102は導通となる。また、ハード安全回路14の出力端子40にオフ信号(ハイ電位)が出力されると、デジタルトランジスタ112がオフとなり、第1スイッチ素子102は非導通となる。
【0039】
本
参考例の電磁弁駆動回路100の動作を説明する。ガス燃焼機器が待機状態にあるときは、マイコン6の第1出力ポート22および第2出力ポート24は、いずれもロー電位を出力している。このとき、第1スイッチ制御回路106では、トランジスタ124がオフとなる。また、第2スイッチ素子104は非導通となり、ハード安全回路14の出力端子40にはオン信号が出力されて、第1スイッチ素子102は導通となる。電磁弁4には電力が供給されず、電磁弁4は閉じられている。
【0040】
ガス燃焼機器の点火動作時には、マイコン6の第1出力ポート22からはPWM出力がされ、第2出力ポート24からはハイ電位が出力される。このとき、第2スイッチ素子104は導通に切り替わる。また、第1出力ポート22のPWM出力がハイ電位のときには、第1スイッチ制御回路106のトランジスタ124がオンとなり、第1スイッチ素子102は非導通となる。第1出力ポート22のPWM出力がロー電位のときには、第1スイッチ制御回路106のトランジスタ124がオフとなり、第1スイッチ素子102は導通となる。これにより、電磁弁4には、第1出力ポート22からのPWM出力に応じて、PWM制御された電圧が印加される。この際に、第1出力ポート22のPWM出力のデューティ比を制御することで、電磁弁4への通電電流を経時的に変化させ、電磁弁4の開弁時の衝突音を抑制することができる。
【0041】
ガス燃焼機器の燃焼時には、マイコン6の第1出力ポート22からはロー電位が出力され、第2出力ポート24からはハイ電位が出力される。この場合、第1スイッチ制御回路106のトランジスタ124がオフとなる。また、第2スイッチ素子104は導通のまま維持され、ハード安全回路14の出力端子40はオン信号の出力を維持し、第1スイッチ素子102は導通のまま維持される。
【0042】
ガス燃焼機器の失火時には、炎検知回路12からの出力信号の変化に応じて、ハード安全回路14が出力端子40にオフ信号を出力し、第1スイッチ素子102が導通から非導通に切り替わる。これにより、電磁弁4への電力供給が遮断されて、電磁弁4は閉弁される。
【0043】
本
参考例の電磁弁駆動回路100では、マイコン6の第1出力ポート22と第1スイッチ素子102の間に第1スイッチ制御回路106が介在している。このため、ハード安全回路14が出力端子40にオン信号を出力している限りにおいて、第1出力ポート22からのPWM出力に対応して第1スイッチ素子102の導通と非導通を切り換えることができる。また、仮にマイコン6が暴走した場合でも、意図せずにマイコン6の第1出力ポート22からハイ電位が出力された場合、第1スイッチ素子102は非導通となり、意図せずにマイコン6の第1出力ポート22からロー電位が出力された場合、ハード安全回路14が出力端子40にオフ信号を出力していれば、第1スイッチ素子102は非導通となり、いずれの場合も電磁弁4は閉じられる。本
参考例の電磁弁駆動回路100によれば、ガス漏れが発生するリスクを低減することができる。
【0044】
本
参考例の電磁弁駆動回路100では、第1スイッチ素子102が電磁弁4および第2スイッチ素子104よりも接地電位20側に設けられている。このような構成とすると、第2スイッチ素子104を導通させていない状態で、マイコン6がチェック出力ポート28からチェック信号を出力して、第1スイッチ素子102のオン故障の有無をチェックすることができる。第1スイッチ素子102のオン故障のチェックをする際に、電磁弁4が開いてしまうことを防ぐことができる。
【0045】
(
実施例2)
図4に本実施例の電磁弁駆動回路152の回路構成を示す。以下では、実施例1の電磁弁駆動回路2や
参考例の電磁弁駆動回路100と同様の構成については、同様の参照符号を付して、詳細な説明を省略する。本実施例の電磁弁駆動回路152は、主に、マイコン6と、第1スイッチ素子8と、第2スイッチ素子104と、炎検知回路12と、ハード安全回路14と、第1スイッチ制御回路16を備えている。
【0046】
本実施例の電磁弁駆動回路152では、第1スイッチ素子8、第2スイッチ素子104が、いずれも第2電源電位32と電磁弁4の間に設けられている。第1スイッチ素子8のソース端子は、第2電源電位32に接続されている。第1スイッチ素子8のドレイン端子は、第2スイッチ素子104のソース端子に接続されている。第2スイッチ素子104のドレイン端子は、電磁弁4の第1端子34に接続されている。電磁弁4の第2端子42は、接地電位20に接続されている。
【0047】
本実施例の電磁弁駆動回路152では、マイコン6の第1出力ポート22と第1スイッチ素子8の間に第1スイッチ制御回路16が介在している。このため、ハード安全回路14が出力端子40にオン信号を出力している限りにおいて、第1出力ポート22からのPWM出力に対応して第1スイッチ素子8の導通と非導通を切り換えることができる。また、仮にマイコン6が暴走した場合でも、意図せずにマイコン6の第1出力ポート22からハイ電位が出力された場合、第1スイッチ素子8は非導通となり、意図せずにマイコン6の第1出力ポート22からロー電位が出力された場合、ハード安全回路14が出力端子40にオフ信号を出力していれば、第1スイッチ素子8は非導通となり、いずれの場合も電磁弁4は閉じられる。本実施例の電磁弁駆動回路152によれば、ガス漏れが発生するリスクを低減することができる。
【0048】
本実施例の電磁弁駆動回路152では、第1スイッチ素子8が第2電源電位32と電磁弁4の間に設けられている。仮に、第1スイッチ素子8が電磁弁4と接地電位20の間に設けられている場合、電磁弁4の接地電位20側の端子が筐体と地絡した場合に、電磁弁4に電力が供給されて、意図せずに電磁弁4が開いてしまう。本実施例の電磁弁駆動回路152のように、第1スイッチ素子8を第2電源電位32と電磁弁4の間に介在させることで、電磁弁4の端子が筐体と地絡しても、電磁弁4には電力が供給されず、意図せずに電磁弁4が開いてしまうことがない。ガス漏れが発生するリスクをより低減することができる。
【0049】
本実施例の電磁弁駆動回路152では、第1スイッチ素子8が電磁弁4および第2スイッチ素子104よりも第2電源電位32側に設けられている。このような構成とすると、第2スイッチ素子104を導通させていない状態で、マイコン6がチェック出力ポート28からチェック信号を出力して、第1スイッチ素子8のオン故障の有無をチェックすることができる。第1スイッチ素子8のオン故障のチェックをする際に、電磁弁4が開いてしまうことを防ぐことができる。
【0050】
(
実施例3)
図5に本実施例の電磁弁駆動回路172の回路構成を示す。以下では、実施例1の電磁弁駆動回路2や
参考例の電磁弁駆動回路100、
実施例2の電磁弁駆動回路152と同様の構成については、同様の参照符号を付して、詳細な説明を省略する。本実施例の電磁弁駆動回路152は、主に、マイコン6と、第1スイッチ素子8と、第2スイッチ素子104と、炎検知回路12と、ハード安全回路14と、第1スイッチ制御回路16を備えている。
【0051】
本実施例の電磁弁駆動回路172では、第1スイッチ素子8、第2スイッチ素子104が、いずれも第2電源電位32と電磁弁4の間に設けられている。第2スイッチ素子104のソース端子は、第2電源電位32に接続されている。第2スイッチ素子104のドレイン端子は、第1スイッチ素子8のソース端子に接続されている。第1スイッチ素子8のドレイン端子は、電磁弁4の第1端子34に接続されている。電磁弁4の第2端子42は、接地電位20に接続されている。また、本実施例の電磁弁駆動回路172では、マイコン6がチェック出力ポート28、チェック入力ポート30を有していない。
【0052】
本実施例の電磁弁駆動回路172では、マイコン6の第1出力ポート22と第1スイッチ素子8の間に第1スイッチ制御回路16が介在している。このため、ハード安全回路14が出力端子40にオン信号を出力している限りにおいて、第1出力ポート22からのPWM出力に対応して第1スイッチ素子8の導通と非導通を切り換えることができる。また、仮にマイコン6が暴走した場合でも、意図せずにマイコン6の第1出力ポート22からハイ電位が出力された場合、第1スイッチ素子8は非導通となり、意図せずにマイコン6の第1出力ポート22からロー電位が出力された場合、ハード安全回路14が出力端子40にオフ信号を出力していれば、第1スイッチ素子8は非導通となり、いずれの場合も電磁弁4は閉じられる。本実施例の電磁弁駆動回路172によれば、ガス漏れが発生するリスクを低減することができる。
【0053】
本実施例の電磁弁駆動回路172では、第1スイッチ素子8が第2電源電位32と電磁弁4の間に設けられている。仮に、第1スイッチ素子8が電磁弁4と接地電位20の間に設けられている場合、電磁弁4の接地電位20側の端子が筐体と地絡した場合に、電磁弁4に電力が供給されて、意図せずに電磁弁4が開いてしまう。本実施例の電磁弁駆動回路172のように、第1スイッチ素子8を第2電源電位32と電磁弁4の間に介在させることで、電磁弁4の端子が筐体と地絡しても、電磁弁4には電力が供給されず、意図せずに電磁弁4が開いてしまうことがない。ガス漏れが発生するリスクをより低減することができる。
【0054】
以上、各実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0055】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は、複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。