(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記乾燥室用開口に摺動自在に嵌合し、前記乾燥室用開口に対する前記弁座の位置を規定するサポート部材を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の洗浄装置。
前記開閉機構は、前記アクチュエータが可動ロッドを前記洗浄室内に突出するように作動させることによって、前記弁体が前記弁座の内側面から離間して前記乾燥室用開口を開放することを特徴とする請求項2〜6のいずれか一項に記載の洗浄装置。
前記開閉機構は、前記アクチュエータが可動ロッドを前記乾燥室側に引き込むように作動させることによって、前記弁体が前記弁座の内側面に当接して前記乾燥室用開口を閉鎖することを特徴とする請求項2〜7のいずれか一項に記載の洗浄装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態に係る真空洗浄装置は、
図1、
図3に示すように、洗浄室1、蒸気発生部2、フロントドア3、乾燥室4、接続部材5、開閉機構6、真空ポンプ7、冷媒供給源8及び再生濃縮器9を備えている。
【0015】
この真空洗浄装置の概要について最初に説明すると、この真空洗浄装置は、汚れ成分が付着したワーク(被洗浄物)に洗浄剤の蒸気(洗浄蒸気)を作用させることによりワークを洗浄する装置である。すなわち、この真空洗浄装置は、洗浄蒸気を所定期間(洗浄期間)に亘って連続的に洗浄室に供給することにより、洗浄室内に収容されたワークの表面で洗浄蒸気の付着と凝縮とを連続的に行わせ、以ってワークの表面に付着した汚れ成分を洗浄剤の凝縮液とともにワークの表面から洗い落す。なお、ワークは、例えば加工によって表面に切削油等が汚れ成分として付着した金属部品である。
【0016】
このような真空洗浄装置は、
図1に直交座標軸として示すX軸、Y軸及びZ軸のうち、Z軸が鉛直方向となるように所定の台座上に設置される。なお、この
図1では、本実施形態に係る真空洗浄装置の特徴点に直接関係しない構成要素、例えば各種の配管や弁については、便宜的に省略している。実際の真空洗浄装置(実機)は、上述した各構成要素の周囲に複数の配管や弁が実装され、さらにその外側に外装品が実装されている。
【0017】
洗浄室1は、全体として中空の直方体形状(略箱型)に形成されており、内部空間がワークを収容する。この洗浄室1には、一側面(フロント面)に開口(ワーク挿通口1a)が設けられている。このワーク挿通口1aは、洗浄室1と外部との間でワークを出し入れするための鉛直姿勢の開口であり、図示するように矩形形状である。なお、このようなワーク挿通口1aの周囲外側には、フロントドア3と密着するためのシール材が全周に亘って設けられている。
【0018】
また、このような洗浄室1の上部かつリヤ面近傍部位には、排気ポート1bが設けられている。この排気ポート1bは、上記洗浄室1の空気を外部に排気するための開口であり、図示しない配管によって真空ポンプ7に接続されている。また、洗浄室1の側部には、乾燥室用開口1c、排液ポート1d及び蒸気取入ポート1eが設けられている。
【0019】
乾燥室用開口1cは、
図3に示すように、乾燥室4に対向するように設けられており、洗浄室1を乾燥室4と連通させるための円形開口である。この乾燥室用開口1cは、乾燥室4に対向するように洗浄室1に設けられた所定厚(所定深さ)のリング状部材1fの内側面であり、乾燥室用開口1cを介して乾燥室と連通する。
【0020】
なお、上記リング状部材1fは、乾燥室用開口1cを備えると共に、後述する開閉機構6の弁体6bと対向する弁座としても機能する。すなわち、弁体6bとリング状部材1f(弁座)とは、一体として開閉バルブを構成している。
【0021】
排液ポート1dは、ワークの洗浄によって発生した洗浄液及び汚れ成分の混合液を洗浄室1の外部に排出するための開口であり、図示しない配管によって再生濃縮器9に接続されている。蒸気取入ポート1eは、再生濃縮器9で生成された洗浄液の蒸気を洗浄室1内の取り入れるための開口であり、図示しない配管によって再生濃縮器9に接続されている。
【0022】
蒸気発生部2は、洗浄室1の上部に備えられており、洗浄剤の蒸気を発生させる。この蒸気発生部2は、例えば洗浄剤を加熱して洗浄蒸気を発生させる加熱部と、洗浄蒸気を一時的に貯留する蒸気タンクとを備えており、加熱部で発生させた蒸気を蒸気タンクに一旦貯留し、当該蒸気タンクを介して洗浄蒸気を洗浄室1に供給する。このような蒸気発生部2によれば、蒸気タンクを備えているので、洗浄室に対して所定流量の洗浄蒸気を洗浄期間に亘って安定的に供給することができる。
【0023】
なお、上記洗浄剤は、炭化水素系の洗浄剤、例えばノルマルパラフィン系、イソパラフィン系、ナフテン系、芳香族系の炭化水素系洗浄剤である。さらに具体的には、クリーニングソルベントと呼ばれるテクリーン(登録商標)N20、クリーンソルG、ダフニーソルベント等、第3石油類の洗浄剤である。
【0024】
フロントドア3は、洗浄室1のフロント面に備えられ、上記ワーク挿通口1aを閉鎖あるいは開放する板状部材である。このフロントドア3は、例えばスライドドアであり、鉛直姿勢のワーク挿通口1aに同じく鉛直姿勢で対向配置され、当該鉛直姿勢のまま左右方向(X軸方向)に移動することによってワーク挿通口1aを閉鎖あるいは開放する。なお、フロントドア3は、ワーク挿通口1aの周囲外側(フロントドア3側)に設けられたシール材と接触することにより、洗浄室1を密閉する。
【0025】
乾燥室4は、
図1に示すように丸みを帯びた箱型であり、上記洗浄室1から取り込んだ蒸気(残留蒸気)を凝縮(液化)させる凝縮器である。洗浄室1でのワークの洗浄が終了した状態では、ワークの表面や洗浄室1の内面は洗浄剤で濡れた状態である。詳細については後述するが、乾燥室4は、このようなワークの洗浄後において洗浄室1に残留する洗浄剤の蒸気(残留蒸気)を洗浄室1から取り込んで凝縮(液化)させる。
【0026】
このような乾燥室4は、
図2及び
図3にも示すように、第1平面部4a、第2平面部4b、周面部4c、窪み部4d、排気ポート4e、排液ポート4f、蒸気取入ポート4g、冷媒取入ポート4h、冷媒排液ポート4i、蒸気取入口4j、複数のフィン4k及び温度保持装置4mを備えている。
【0027】
第1平面部4aは、複数のフィン4kが設けられ、外周が長円状の板状部位である。この第1平面部4aは、
図3に示すように、所定距離隔てた状態で対向する外壁4a1と内壁4a2とからなる二重殻構造を備えており、外壁4a1と内壁4a2との間が冷媒が流通する流路(冷媒流路R)になっている。
【0028】
第2平面部4bは、蒸気取入口4jが設けられ、上記第1平面部4aに平行な板状部位である。すなわち、この第2平面部4bは、第1平面部4aと同様に外周が長円形な板状部位である。なお、互いに平行な関係にある第1平面部4a及び第2平面部4bは、鉛直姿勢である。
【0029】
周面部4cは、上記第1平面部4aの外周と上記第2平面部4bの外周とを接続する無端状の板状部位である。この周面部4cは、
図3に示すように、所定距離隔てた状態で対向する外周壁4c1と内周壁4c2とからなる二重殻構造を備えており、外周壁4c1と内周壁4c2との間が冷媒が流通する流路(冷媒流路R)になっている。
【0030】
すなわち、乾燥室4では、第1平面部4aと周面部4cとが二重殻構造を備えており、当該二重殻構造によって形成される冷媒流路Rによって内壁4a2と内周壁4c2とが効果的に冷却される。なお、この冷媒流路Rは、冷媒取入ポート4h及び冷媒排液ポート4iと連通している。このような乾燥室4は、第1平面部4a、第2平面部4b及び周面部4cによって形成された内部空間が凝縮室である。
【0031】
窪み部4dは、
図1に示すように、第1平面部4aの中心から若干下に変位した部位が所定面積に亘って陥没した部位である。このような窪み部4dの底部(第1平面部4aの一部)には、開閉機構6の一部(エアーシリンダー6a等)が取り付けられている。
【0032】
排気ポート4eは、乾燥室4の空気を外部に排気するための開口であり、図示しない配管によって真空ポンプ7に接続されている。排液ポート4fは、残留蒸気が乾燥室4で凝縮して発生する凝縮液(残留凝縮液)を外部に排液するための開口であり、図示しない配管によって再生濃縮器9に接続されている。
【0033】
蒸気取入ポート4gは、再生濃縮器9で発生させた洗浄液の蒸気(再生蒸気)を乾燥室4内に取り込むするための開口であり、図示しない配管によって再生濃縮器9に接続されている。冷媒取入ポート4hは、冷媒を上記冷媒流路R内に取り入れるための開口であり、図示しない配管によって冷媒供給源8に接続されている。冷媒排液ポート4iは、上記冷媒流路R内の冷媒を乾燥室4の外部に排出するための開口であり、図示しない配管によって排液タンク(図示略)に接続されている。
【0034】
蒸気取入口4jは、
図3に示すように、上記第2平面部4bに設けられた所定サイズの円形開口である。この蒸気取入口4jは、上記第1平面部4aに設けられた窪み部4dの位置に符合する位置、つまり長円形状の第2平面部4bの中心から下側に若干変位した位置に設けられている。
【0035】
複数のフィン4kは、
図3に示すように、乾燥室4に突出するように第1平面部4aの内壁4a2に設けられた矩形の板状部材である。より具体的には、これらフィン4kは、第1平面部4aにおいて窪み部4dの上方側のみに設けられており、また鉛直方向(Z軸方向)に延在すると共に当該鉛直方向及び水平方向に所定間隔を空けて設けられている。
【0036】
温度保持装置4mは、乾燥室温度を洗浄室温度よりも低い所定温度に保持する装置であり、
図1に示すように窪み部4d(第1平面部4a)に設けられている。この温度保持装置4mは、より具体的には乾燥室4に延在する冷却管によって乾燥室温度を洗浄室温度よりも低い温度に保持する。この温度保持装置4mによって設定・保持される乾燥室温度は、例えば5〜50℃である。なお、乾燥室温度は、温度保持装置4mに加えて、上述した冷媒流路Rに冷媒供給源8から所定の冷媒が供給されることによって所定温度に設定・保持される。
【0037】
接続部材5は、洗浄室1の乾燥室用開口1cと乾燥室4の蒸気取入口4jとを接続する円筒状部材であり、軸線方向が水平方向(X軸方向)に設定されている。この接続部材5は、例えば円筒状の金属製蛇腹であり、乾燥室用開口1cと蒸気取入口4jとの間に介装される。本実施形態に係る真空洗浄装置では、接続部材5を金属製蛇腹とすることにより、洗浄室1の熱変形が乾燥室4に影響を与えることを軽減している。
【0038】
開閉機構6は、上記接続部材5によって接続された洗浄室1と乾燥室4とを連通状態あるいは非連通状態に切り替える機構であり、
図3に示すように、エアーシリンダー6a(アクチュエータ)、弁体6b、連結軸部材6c、サポート部材6d及びリング状部材1f等から構成されている。なお、リング状部材1fは、洗浄室1の構成要素であると共に、開閉機構6の構成要素でもある。
【0039】
すなわち、この開閉機構6は、乾燥室4に対向するように洗浄室1に形成された乾燥室用開口1cを閉鎖あるいは開放することにより、上記接続部材5による洗浄室1と乾燥室4との接続状態を連通状態あるいは非連通状態に切り替える機構である。エアーシリンダー6aは、弁体6bを駆動するアクチュエータであり、可動ロッドの突出方向が接続部材5の軸線方向(X軸方向)と一致するように窪み部4d(第1平面部4a)に設けられている。
【0040】
弁体6bは、乾燥室用開口1cよりも若干大きな形状を備えた円形部材であり、乾燥室用開口1cの内側つまり洗浄室1内に位置すると共に乾燥室用開口1cに対向する。この弁体6bには、連結軸部材6cが乾燥室用開口1cの接続部材5側(乾燥室4側)に突出するように連結軸部材6cの先端が取り付けられている。また、この弁体6bには、乾燥室用開口1c側の面(リング状部材1fと対向する面)にシール部材(Oリング)が設けられている。
【0041】
連結軸部材6cは、図示するように接続部材5の内部に設けられると共にエアーシリンダー6aの可動ロッドと弁体6bとの間に介装された所定長の棒状部材であり、可動ロッドと弁体6bとを連結する。サポート部材6dは、弁体6bに隣接するように連結軸部材6cに設けられた円形部材であり、リング状部材1fに対する弁体6bの位置(Y−Z平面における位置)を規定する。すなわち、サポート部材6dは、所定深さを有する乾燥室用開口1c内に摺動自在に嵌合することにより、リング状部材1fの内側に位置する弁体6bの全周がリング状部材1fの内側面と確実に当接するように案内する。
【0042】
このような開閉機構6は、エアーシリンダー6aが可動ロッドを引き込むように作動することによって、弁体6bがリング状部材1fの内側面に当接して乾燥室用開口1cを閉鎖する。一方、開閉機構6は、エアーシリンダー6aが可動ロッドを突出させるように作動することによって、弁体6bがリング状部材1fの内側面(洗浄室1の側面)から離間して乾燥室用開口1cを開放する。
【0043】
真空ポンプ7は、図示しない配管を介して排気ポート1b、4eに接続されており、洗浄室1及び乾燥室4の空気を外部に排気する。冷媒供給源8は、図示しない配管を介して冷媒取入ポート4hに接続されており、乾燥室4に冷媒を供給する。この冷媒は、例えば水である。再生濃縮器9は、図示しない配管を介して排液ポート1d、4f及び蒸気取入ポート1e、4gに接続されており、洗浄室1及び乾燥室4から回収した洗浄剤及び汚れ成分の凝縮液のうち、洗浄剤のみを再蒸気化して洗浄室1及び乾燥室4に供給すると共に汚れ成分を分離・濃縮する。
【0044】
次に、このように構成された本実施形態に係る真空洗浄装置の動作について詳しく説明する。
【0045】
この真空洗浄装置でワークを洗浄する場合、ワークはワーク挿通口1aから洗浄室1に収容される。このワークは表面に切削油等の汚れ成分が付着した物である。そして、フロントドア3が作動して洗浄室1及び乾燥室4が密閉空間とされる。そして、真空ポンプ7が作動して洗浄室1及び乾燥室4が徐々に減圧されて、例えば10kPa以下の圧力(初期圧力)に圧力設定される。
【0046】
また、このような減圧処理に平行して、蒸気発生部2が作動して洗浄蒸気が生成される。この洗浄蒸気は、圧力が飽和蒸気圧、また温度が洗浄液の沸点近傍、例えば80〜140℃である。また、上記減圧処理に平行して開閉機構6が作動することにより洗浄室1と乾燥室4とが個別の部屋として分離され、さらに温度保持装置4m及び冷媒供給源8が作動することにより乾燥室温度が洗浄終了後の洗浄室温度よりも低温な状態(例えば5〜50℃)に温度設定される。
【0047】
そして、このような状態で蒸気発生部2から洗浄室1に洗浄蒸気が所定の洗浄期間に亘って順次供給されることによって、洗浄室1のワークが洗浄される。すなわち、洗浄期間において、ワークの表面では洗浄蒸気の付着と凝縮とが連続的に繰り返され、ワークの表面に付着した汚れ成分が洗浄蒸気の凝縮液と共にワークの表面から流下して除去(洗浄)される。
【0048】
上記洗浄処理が終了した時点において、洗浄室1の圧力は洗浄蒸気の飽和蒸気圧にほぼ等しい圧力、また洗浄蒸気の温度にほぼ等しい温度(80〜140℃程度)になっている。すなわち、洗浄室1の圧力及び温度は、予め設定・保持された乾燥室内の圧力及び温度よりもかなり高い値になっている。
【0049】
上記洗浄処理に引き続いて洗浄室内のワークの乾燥処理が行われるが、この乾燥処理では、開閉機構6を作動させることにより上記圧力関係及び温度関係にある洗浄室1と乾燥室4とを連通させる。すなわち、エアーシリンダー6aが作動することによって、弁体6bの外周部が乾燥室用開口1cの内側面(洗浄室側面)に当接している状態から離間する状態に急峻に変位させることにより、洗浄室1と乾燥室4とを短時間かつ比較的大きな面積で接続させる。
【0050】
この結果、洗浄室1の圧力は急速に減圧され、この急速減圧に起因してワークの表面に付着している洗浄蒸気の凝縮液(残留液)が一瞬で沸騰(突沸)する。また、洗浄室1と乾燥室4とを短時間かつ比較的大きな面積で接続することによって、ワークの表面から発生した残留液の蒸気(残留蒸気)は洗浄室1(高圧側)から弁体6bと乾燥室用開口1cとの隙間と接続部材5と蒸気取入口4jとを経由して乾燥室4(低圧側)に高速移動する。
【0051】
そして、乾燥室4(低圧側)に移動した残留蒸気は、乾燥室温度が洗浄室温度よりも低温かつ洗浄液の沸点以下に保持されているので凝縮する。ここで、乾燥室4における残留蒸気の凝縮は、乾燥室4における部材の表面積が大きい程に残留蒸気が上記部材に接触して低温化され易くなるので効率的に行われる。
【0052】
ここで、本実施形態に係る真空洗浄装置は、弁体6bが乾燥室用開口1cの内側(洗浄室1内)から乾燥室用開口1cを閉鎖するように構成されているので、弁体6bが洗浄室1外に設けられた場合、例えば弁体6bが乾燥室4に設けられた蒸気取入口4jを閉鎖するように構成した場合に比較して、ワークを容易に乾燥させることができる。
【0053】
すなわち、弁体6bが乾燥室4に設けられた蒸気取入口4jを閉鎖するように構成した場合には、接続部材5の内部空間が乾燥対象に含まれることになり、より広い空間を乾燥させる必要があるが、本実施形態では、接続部材5の内部空間が乾燥対象に含まれないので、乾燥室4も含めてワークを容易に乾燥させることができる。
【0054】
また、例えば接続部材5内に弁体6bを設けた場合には、弁体6bが抵抗(流体抵抗)となって蒸気(残留蒸気)の洗浄室1(高圧側)から乾燥室4(低圧側)への高速移動の妨げになるが、本実施形態では乾燥室用開口1cの内側(洗浄室1内)に設けられているので、蒸気(残留蒸気)の高速移動を妨げない。また、この場合には、エアシリンダー6aが
図3の右側に延びることになるので、装置が大きくなる虞があるが、本実施形態ではこのような装置の大型化の虞がない。
また、弁体6bを乾燥室4に設けた場合には、乾燥室4の容積が減るので凝縮性能を低下させる虞があるが、本実施形態では乾燥室用開口1cの内側(洗浄室1内)に設けられているので、凝縮性能を低下させる虞がない。
【0055】
また、本実施形態に係る真空洗浄装置によれば、弁体6bが洗浄室1内に位置する、つまりリング状部材(弁座)1fの内側(洗浄室1)に設けられているので、弁体6bが洗浄室1外に位置する場合、つまりリング状部材(弁座)1fの外側(乾燥室4側)に設けられている場合に比較して、ワークの洗浄時において洗浄室1を確実に密閉状態とすることができる。
【0056】
すなわち、ワークの洗浄時の初期圧力は洗浄室1及び乾燥室4ともに同圧であるが、時間の経過と共に洗浄室1の圧力は洗浄蒸気の供給に伴って徐々に上昇する一方、乾燥室4の圧力は初期圧力に維持されるので、洗浄室圧力はワークの洗浄が進むに従って乾燥室圧力よりも大きくなる。
【0057】
ここで、本実施形態では、弁体6bが洗浄室1の内側に位置するので、上述した洗浄室圧力と乾燥室圧力との圧力差によって、弁体6bをリング状部材(弁座)1fに押圧する圧力が作用するが、弁体6bが洗浄室1の外側に位置する場合には、弁体6bをリング状部材(弁座)1fから離間させる方向の圧力が作用するので、エアーシリンダー6aによる弁体6bの押圧力にも依るが、洗浄室1を確実に密閉状態とすることができない。
【0058】
また、本実施形態に係る真空洗浄装置によれば、弁体6bに隣接して連結軸部材6cに設けられ、乾燥室用開口1cに摺動自在に嵌合するサポート部材6dを備えるので、弁体6bの乾燥室用開口1cに対する位置を最適位置に維持することが可能であり、よって洗浄室1におけるワークの洗浄時において乾燥室用開口1cを弁体6bによって確実に閉塞させることができる。
【0059】
また、本実施形態に係る真空洗浄装置によれば、弁体6bを駆動するエアーシリンダー6aが乾燥室4に備えられ、接続部材5の内部において弁体6bと接続されているので、洗浄室1の内側に位置する弁体6bを確実に駆動することができる。
さらには、本実施形態に係る真空洗浄装置によれば、接続部材5が蛇腹として構成されているので、洗浄室1及び/あるいは乾燥室4が熱変形した場合に、そのお互いに対する影響を軽減することが可能である。
【0060】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施形態では、乾燥室用開口1cに対する弁体6bの位置を規定するサポート部材6dを設けたが、本発明はこれに限定されない。乾燥室用開口1cに対して弁体6bの外径が十分に大きい場合には、サポート部材6dを削除してもよい。
(2)また、上記実施形態では、弁体6bをサポート部材6dとを別部材としたが、両者を一体化させてもよい。
【0061】
(3)上記実施形態では、接続部材5を蛇腹としたが、本発明はこれに限定されない。洗浄室1及び/あるいは乾燥室4の熱変形を無視できる場合には、接続部材5を一般的な直管状の配管としてもよい。
また、上記実施形態では、二重殻構造を有する第1平面部4aの内壁4a2にフィン4kを付け、洗浄蒸気をフィン4k及び内壁4a2にて凝縮させたが、第1平面部4aを1重構造にし、フィン4kに代えて銅チューブにフィンの付いた熱交換器としても良い。