特許第6014679号(P6014679)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6014679オイル室を隣接外部容積からシールするためのシステム、およびこの種のシールシステムが設けられるタービンエンジン
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  • 特許6014679-オイル室を隣接外部容積からシールするためのシステム、およびこの種のシールシステムが設けられるタービンエンジン 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6014679
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】オイル室を隣接外部容積からシールするためのシステム、およびこの種のシールシステムが設けられるタービンエンジン
(51)【国際特許分類】
   F02C 7/28 20060101AFI20161011BHJP
   F02C 7/06 20060101ALI20161011BHJP
   F01D 11/04 20060101ALI20161011BHJP
   F01D 25/16 20060101ALI20161011BHJP
   F16J 15/447 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   F02C7/28 B
   F02C7/06 Z
   F01D11/04
   F01D25/16 J
   F16J15/447
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-545334(P2014-545334)
(86)(22)【出願日】2012年12月5日
(65)【公表番号】特表2015-505930(P2015-505930A)
(43)【公表日】2015年2月26日
(86)【国際出願番号】FR2012052810
(87)【国際公開番号】WO2013083917
(87)【国際公開日】20130613
【審査請求日】2015年11月11日
(31)【優先権主張番号】1161330
(32)【優先日】2011年12月8日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505277691
【氏名又は名称】スネクマ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イーゲル,ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】ルルー,デルフィン
【審査官】 橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−346786(JP,A)
【文献】 米国特許第05415478(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D13/00−15/12
23/00−25/36
F02C1/00−9/58
F16J15/00−15/3296
15/46−15/53
F23R3/00−7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線(L−L)を中心に回転可能に可動であるロータ(5)および固定もしくは可動部品(7)によって画定される少なくとも1つのオイル室(1)と隣接外部容積(V2)とを備え、オイル室(1)と隣接外部容積(V2)との間にシールを形成することができる少なくとも1つのシステム(10A、10B、12、13)を含む、タービンエンジン、特には航空機ターボシャフトエンジンであって、
ロータ(5)と部品(7)との間に配置された第1のシール(10A)と、
− ロータ(5)、部品(7)、および2つのシール(10A、10B)によって画定されるシール室(12)を第1のシールと共に形成するように、ロータ(5)と部品(7)との間に取り付けられ、第1のシール(10A)に対して長手方向にオフセットされる第2のシール(10B)と、
シール室がそれぞれ第1および第2のシールを通してオイル室および隣接外部容積に通じており、ロータ(5)を回転させることによってガス(G)が圧縮されるように、ガス(G)をシール室(12)に供給するための手段(13)と
を有することを特徴とする、タービンエンジン
【請求項2】
供給手段(13)が、少なくとも一部分がロータ(5)に設けられる、請求項1に記載のタービンエンジン
【請求項3】
供給手段が、ロータ(5)に製作され、かつシール室(12)に入る少なくとも1つのチャネル(13)備える、請求項2に記載のタービンエンジン
【請求項4】
前記チャネル(13)の少なくとも一部が、ロータ(5)の軸線(L−L)に対して長手方向に傾斜され、および/または前記ロータ(5)の軸線(L−L)に直角な平面に属する、請求項3に記載のタービンエンジン
【請求項5】
前記供給手段が、複数のこの種のチャネル(13)を備え、これらが、ロータ(5)の軸線(L−L)を中心に規則正しく配置され、前記シール室(12)に入る、請求項3または請求項4に記載のタービンエンジン
【請求項6】
好ましくは環状の第1および第2のシール(10A、10B)が、ロータ(5)に取り付けられる、請求項1から5のいずれか一項に記載のタービンエンジン
【請求項7】
シール室(12)に供給するガス(G)が、タービンエンジンの上流段から、または前記タービンエンジンの外部から得られる、請求項1から6のいずれか一項に記載のタービンエンジン
【請求項8】
前記部品が、固定され、タービンエンジン(2)のステータに対応する、請求項1から7のいずれかに一項に記載のタービンエンジン。
【請求項9】
前記部品が、可動であり、低圧タービンと結合する本体(7)に対応する、請求項1から7のいずれか一項に記載のタービンエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる圧力がかかり、回転部品の周りに位置する2つの容積の間にシールを形成するためのシステム、およびまたこの種のシールシステムを備えるタービンエンジンに関する。
【0002】
特に、本発明は、そのように限定するものではないがタービンエンジン、特に航空機のターボシャフトエンジンで遭遇するシール問題に特によく適応する。
【背景技術】
【0003】
この種のターボシャフトエンジンは、通常、ガスの流れの方向に上流から下流に、ファン、1つまたは1つより多くの圧縮機段、例えば低圧圧縮機および高圧圧縮機、燃焼室、1つまたは1つより多くのタービン段、例えば高圧タービンおよび低圧タービン、ならびにガス排気管を備える。タービンは、各圧縮機に対応することができ、両方とも、例えば、高圧本体および低圧本体をそのように形成する部品によって接続される。
【0004】
ターボジェットエンジンは、オイルによって潤滑される転がり軸受ユニットおよびギアユニットを収容する軸受室を有する。これらの部品によって回転可能に振り落されるオイルは、軸受室の対応する容積の中に懸濁状態で液滴のミストを形成する(以下、これらは油滴の懸濁液を含むのでオイル室と呼ばれる)。
【0005】
オイル室は、ターボジェットエンジンの固定構造体の表面によって、なおまた回転要素の表面によって形成され、画定され得る。オイル室は、それらの中にオイルを保有しなければならず、これは前記オイル室に隣接する外部環状容積の中へのいかなるオイルの漏れも防止することを必要とするので、オイル室の固定要素と回転要素との間のシールが特に困難な問題であるのはこれが理由である。
【0006】
また、知られている方法では、高圧本体と低圧本体との間に配置される、1つまたは1つより多くの軸受を備えるこの種のオイル室、またはターボシャフトエンジンの固定部品のシーリングは、ラビリンスシール、環状のカーボンシール、または任意の他のタイプのシールを用いて生成され得る。特定レベルの圧力が、オイル室に向かってガスの流れを生じるためにシールの上流に与えられなければならず、これらのガスは、前記接合箇所を介してオイルの流出に対抗する。圧力の差は、ターボシャフトエンジンがアイドリング速度にある場合に十分であるように規定され、これは、低圧圧縮機または高圧圧縮機の下流の段においてガスの除去を必要とする。
【0007】
しかし、このような下流段でのガスの除去は、特に、次に述べる2つの欠点をもたらす。すなわち、
高温のガスにより、オイル室内でオイルの老化の加速がもたらされ、これは満足であり得ず、かつ
ターボシャフトエンジンの効率が著しく低下される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、タービンエンジンの効率を損ない、またはオイルが早期に老化するようになることなく、タービンエンジンのオイル室と隣接する外部環状容積との間のシールを改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのために、本発明によれば、オイル室を隣接外部容積からシールするためのシステムであり、それは軸線を中心に回転可能に可動であるロータおよび固定もしくは可動部品によって画定され、前記ロータと前記部品との間に配置される第1のシールを備える前記システムは、
ロータ、部品、および2つのシールによって画定されるシール室を第1のシールと共に形成するように、ロータと部品との間に取り付けられ、第1のシールに対して長手方向にオフセットされる第2のシールと、
ロータを回転可能に取り付けることによってガスが圧縮されることができ、シール室がそれぞれ単独で第1および第2のシールを通してオイル室および/または隣接外部容積に通じるようにガスをシール室に供給するための手段と
を有することが明らかである。
【0010】
したがって、本発明によって、第1のシールと第2のシールとの間に画定されるシール室には、ロータの回転中にそれに加えられている遠心力の影響の下で圧縮されるガスが供給され得る。したがって、シール室に広がる圧力は、オイル室および隣接外部容積にそれぞれ広がる圧力よりも大きくなり、それにより、オイル室のオイルが、オイル室外側の容積に出てくるために2つのシールのうちのどちらかを通過することが防止される。換言すれば、オイル室のシーリングは、まず第1に一対のシールの存在によって、および、第2にシール室に残っているガスを加圧して、オイル室の方へガスの流れを促進し、同時にオイルがシール室に入るのを防止することによって提供される。したがって、シールの対およびガスの加圧という効果が組み合わさることにより、ロータのそれほど高くない回転中でも(例えば、タービンエンジンのアイドリング速度に対応する)、かつ追加のオイル消費なしで(オイルの損失が存在しないかまたはほとんど存在しない)、優れたシールを得ることができる。
【0011】
本発明による一実施形態においては、供給手段は、少なくとも一部分がロータに設けられる。
【0012】
供給手段は、ロータに製作され、かつシール室に入る少なくとも1つのチャネルを備えることが好ましい。
【0013】
さらに、前記チャネルの少なくとも一部は、ガスがロータの前記軸線に直交する方向にシール室に現われるように、ロータの軸線に対して傾斜され、および/またはロータの軸線に直角な平面に属することができる(その中で、前記部分は接線方向に傾斜され得る)。
【0014】
前記供給手段は、複数のチャネルを備え、これらは、ロータの軸線を中心に規則正しく配置され、ガスを一様に供給するように前記シール室に入ることが有利である。
【0015】
さらに、好ましくは環状の第1および第2のシールが、ロータに取り付けられ得る。
【0016】
本発明はまた、タービンエンジン、特に、軸線を中心に回転可能に可動であるロータおよび固定もしくは可動部品によって画定される少なくとも1つのオイル室と1つの隣接外部容積とを備える、航空機のターボシャフトエンジンに関する。本発明によれは、前記タービンエンジンは、オイル室と隣接外部容積との間にシールを形成することができる上記に説明されたような少なくとも1つのシステムを備える。
【0017】
さらに、前記システムのシール室に供給するガスは、タービンエンジンの上流段から(例えば、ファン、低圧圧縮機等から)、または前記タービンエンジンの外部から得られる。
【0018】
したがって、シール室に注入されるガスの温度は低いままであり、それにより、これがガスと接触している場合にはオイル室に存在するオイルのいかなる劣化の加速も防止される。
【0019】
さらに、タービンエンジンのロータは、高圧タービンと結合する本体に対応することが好ましい。
【0020】
さらに、前記部品は、
固定されることもでき、この場合は、タービンエンジンのステータに対応する。この構成においては、オイル室は、固定部品(すなわち、ステータ)と(高圧タービンと結合する本体に対応する)ロータとの間に画定される少なくとも1つのすべり軸受を備えることができ、
または、可動であることができ、この場合は、低圧タービンと結合する本体に対応する。この他の構成においては、オイル室は、可動部品(すなわち、低圧タービンと結合する本体)と(高圧タービンと結合する本体に対応する)ロータとの間に画定される少なくとも1つの軸間軸受を有することができる。
【0021】
ただ1つの添付した図面は、本発明が具体化され得る手法について明確な理解を与えるであろう。この図面では、同一の参照数字は、同様の要素を示している。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明によるシールシステムによってシールされる、航空機ターボシャフトエンジンのオイル室の一部軸方向断面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1においては、本発明による航空機ターボシャフトエンジン2のオイル室1が、概略的に示されている。
【0024】
ターボシャフトエンジン2は、知られている方法では、ファン、低圧圧縮機、高圧圧縮機、燃焼室、高圧タービン3、低圧タービン、および排気管を有する。高圧圧縮機および高圧タービン3は、ケーシングを介して上流方向に延在するドラムによって互いに接続され、同時に、これらは高圧本体5を形成する。低圧圧縮機および低圧タービンは、低圧シャフト6によって接続され、それと同時に、これらは低圧本体7を形成する。
【0025】
ターボジェットエンジン2は、知られている方法では、上記の異なる機能要素を構成する静止(または固定)部材および回転部材を有する。これは、通常、軸線L−Lに沿って延在し、この軸線L−Lは、その回転部材の回転の軸線、また特に低圧シャフト6およびケーシングの軸線である。説明の残りの部分においては、長手方向の、半径方向の、内方の、外方のという概念は、この軸線L−Lに対する関係を示す。
【0026】
さらに、ターボジェットエンジン2は、図1に示される下流オイル室1を含むオイル室(または軸受室)を有し、この下流オイル室1は、高圧本体5と低圧本体7との間に回転連結部を形成するために軸受ローラ9が装着されている軸受8を有する。
【0027】
次に、本発明が、実例としてオイル室1について説明されるが、これは、オイルのミストを有する構成部分を含みまたは収容してそれらを潤滑する、任意の他の室に当てはまることは言うまでもない。
【0028】
オイル室1は、固定部材および回転部材の表面を介して環状内部容積V1を画定する。これは、特に、その内側では高圧本体5の一部によって、および外側では、低圧シャフト6に堅固に連結された低圧本体7の一部(部分的に示されている)によって画定される。
【0029】
さらにまた、それの上流側の室1の外側に配置される環状容積V2は、内部上流側では高圧本体5の一部によって、および下流側では低圧本体7の一部によって画定される。
【0030】
本発明によれば、図1が示すように、2つの環状容積V1と環状容積V2との間でオイルをシールし、(それにより軸受を潤滑できるようになる)オイルが高温部品と接触するのを防止するために、ターボシャフトエンジン2は、前記高圧本体と低圧本体7との間に配置されるために高圧本体5のジャーナル11に取り付けられる2つの環状のカーボンシール10Aおよび10Bを備える。シール10Aおよび10Bは、予め定められた分離距離によって互いから長手方向に間隔を置いて配置される。
【0031】
もちろん、変形として、シールの対は、ラビリンスシール、ブッシュシール、またはシーリングを2つの環状容積の間に提供できるようになる任意の他の適切なタイプのシールを有することもできる。
【0032】
したがって、ジャーナル11、低圧本体7、ならびにシール10Aおよび10Bの対によって画定される環状容積は、シール室12を形成する。
【0033】
さらに、本例では、チャネル13が、ジャーナル11の厚みに設けられ、これが得られる供給源から、スリーブと低圧シャフト6との間を循環するガスによって供給される。チャネル13は、ガスを供給することができるようにシール室12に入る(ガスは、図1において矢印Gで符号化されている)。
【0034】
チャネル13のサイズおよび数は、求められるシーリングおよびターボシャフトエンジン2のサイズに従って調整される。
【0035】
チャネル13が円形横断面を有する場合には、それらの直径は、10と40との間の範囲に含まれるいくつかのチャネル13に対して3mmと10mmとの間の範囲に含まれることが好ましい。
【0036】
したがって、チャネル13を介してシール室12に導かれるガスGは、ファンの、またはターボシャフトエンジン2の低圧圧縮機の流出において、あるいはターボシャフトエンジン2の外側から得られることができ(後者の場合には、得られるガスは、周囲空気である)、ガスGの温度は、オイルの早期老化を制限する。
【0037】
供給チャネル13は、ジャーナル11の周囲に沿って長手方向軸線L−Lを中心に規則正しく配置されることが好ましい。供給チャネルの任意の他の配置が、例えばジャーナル11の2つの平行な周囲について考えられ得ることは言うまでもない。
【0038】
図1に示される例では、ジャーナル11に設けられる供給チャネル13の下流部分は、ターボシャフトエンジン2の軸線L−Lに対して下流方向に傾斜される。もちろん、前記チャネルの下流部分は長手方向軸線L−Lに直交するということが考えられ得る。
【0039】
したがって、シール室12は、ターボシャフトエンジン2の動作中に、ファンから(または低圧圧縮機から)生じるガスGを受け入れることができる。高圧本体6の回転は、ガスGに加えられている遠心力の影響の下で、シール室12に残っているガスGの圧縮をもたらすことになる。
【0040】
こうして、室12内の圧力は、オイル室1および外部容積V2の内側の圧力よりも大きくなり、それにより、室1からのオイルが外部容積V2に出てくるために2つのシール10Aおよび10Bのうちのどちらか一方を通過するのを防止する。
【0041】
換言すれば、シール10Aおよび10Bの対、およびシール室12に残っている圧力により、シール室からオイル室1および外部容積V2の方へガスGの流れが生じ、同時に、オイルが前記室12およびなおさら容積V2に入るのを防止する。この種のシールは、追加のオイルを消費することなく(アイドリング速度などの)低動作速度の場合であっても保証される。
図1