特許第6014708号(P6014708)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6014708切削工具、切削工具ホルダ、及びそのための切削インサート
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6014708
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】切削工具、切削工具ホルダ、及びそのための切削インサート
(51)【国際特許分類】
   B23C 5/22 20060101AFI20161011BHJP
   B23C 5/06 20060101ALI20161011BHJP
   B23C 5/10 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   B23C5/22
   B23C5/06 A
   B23C5/10 D
【請求項の数】22
【全頁数】46
(21)【出願番号】特願2015-76465(P2015-76465)
(22)【出願日】2015年4月3日
(62)【分割の表示】特願2011-551568(P2011-551568)の分割
【原出願日】2010年2月25日
(65)【公開番号】特開2015-157355(P2015-157355A)
(43)【公開日】2015年9月3日
【審査請求日】2015年4月16日
(31)【優先権主張番号】61/202,445
(32)【優先日】2009年2月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/202,771
(32)【優先日】2009年4月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509335362
【氏名又は名称】ノー スクリュー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(72)【発明者】
【氏名】ハリフ,ガーション
【審査官】 小川 真
(56)【参考文献】
【文献】 特表2001−507287(JP,A)
【文献】 特開平09−108909(JP,A)
【文献】 特表2004−521767(JP,A)
【文献】 特開2005−153140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23C 5/22
B23C 5/06
B23C 5/08
B23C 5/10
B23B 27/16
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削工具を形成するべくその上に切削インサートを設置するために適合された切削工具ホルダであって、前記切削工具ホルダは、
− ベース、及び前記ベースから延びる少なくとも1つの側壁を備え、且つ、前記切削インサートをその中に受け入れるために適合されたインサート座スペースをそれらの間に画定するインサート座と
前記インサート座との係合のための締結部材を受け入れるために構成された、前記インサート座内に形成されたボアであって、前記締結部材は、前記切削インサートが前記インサート座上に設置されることを可能にするために構成された設置位置と、前記インサート座内に前記切削インサートを固定するために適合された固定位置との間で、前記インサート座に対して変位可能である、ボアと、
− 前記ベースから前記インサート座スペースの中に延びる支持要素であって、そのため、前記ボアは前記側壁と前記支持要素との間に配置され、前記支持要素は、前記インサート座と共に一体に形成されるか、又は、少なくとも作動の間に、前記締結部材以外の手段によって前記インサート座に固定して取り付けられる、支持要素と、
を備え
前記締結部材は、前記固定位置において前記支持要素と接触する、切削工具ホルダ。
【請求項2】
前記支持要素の固定された取り付けが、前記支持要素と前記インサート座との間のねじ込み係合を介して達成される、請求項1に記載の切削工具ホルダ。
【請求項3】
前記切削工具が、その中心軸を中心として第1の方向に回転するように適合され、前記支持要素が、前記ベースと垂直で且つ前記第1の方向に面する第1の側壁と、前記第1の壁から前記第1の方向とは反対の方向に前記第1の壁に対し鋭角θをなして延びる第2の側壁と共に形成され、前記第1の側壁と前記第2の側壁との両方が、前記切削インサートとの同時係合のために適合される、請求項1に記載の切削工具ホルダ。
【請求項4】
前記第2の側壁が、前記切削インサートが前記インサート座上に設置されるときに前記切削インサートの対応する部分を受け入れるように適合された凹部と共に形成される、請求項3に記載の切削工具ホルダ。
【請求項5】
前記設置位置と前記固定位置との両方において、前記締結部材が前記インサート座と係合したままである、請求項1に記載の切削工具ホルダ。
【請求項6】
前記締結部材が、前記インサート座の対応するボア内に受け入れられるように適合された固定ピンの形態にある、請求項1に記載の切削工具ホルダ。
【請求項7】
前記固定ピンが前記固定位置にばねでバイアスされる、請求項6に記載の切削工具ホルダ。
【請求項8】
前記支持要素が、少なくとも作動の間に、前記ベースに対して鋭角をなして且つ前記側壁から離れて延びるアンダーカット表面と共に形成される、請求項1に記載の切削工具ホルダ。
【請求項9】
切削工具を形成するべくその上に切削工具ホルダを設置するために構成された切削インサートであって、前記切削工具ホルダは、
− ベース、及び前記ベースから延びる少なくとも1つの側壁を備え、且つ、前記切削インサートをその中に受け入れるために適合されたインサート座スペースをそれらの間に画定するインサート座と、
− 前記インサート座との係合のための締結部材を受け入れるために構成された、前記インサート座内に形成されたボアであって、前記締結部材は、前記切削インサートが前記インサート座上に設置されることを可能にするために構成された設置位置と、前記インサート座内に前記切削インサートを固定するために適合された固定位置との間で、前記インサート座に対して変位可能である、ボアと、
− 前記ベースから前記インサート座スペースの中に延びる支持要素であって、そのため、前記ボアは前記側壁と前記支持要素との間に配置され、前記支持要素は、前記インサート座と共に一体に形成されるか、又は、少なくとも作動の間に、前記締結部材以外の手段によって前記インサート座に固定して取り付けられる、支持要素と、
を備え、
前記締結部材は、前記固定位置において前記支持要素に係合し、
前記切削インサートは、
上面と、
下面と、
前記上面と前記下面との間に延びるキャビティであって、前記キャビティは、前記切削インサートの全体積の15%以上を占め、前記キャビティは、前記キャビティの内接円の中心を通じて前記上面と前記下面との間に延びる中心軸を画定し、前記キャビティは、前記中心軸と垂直な平面上に位置しており、前記キャビティは、前記支持要素との係合のために構成された第1の幾何学的形状を有する第1の固定部と、前記中心軸に対して前記キャビティの反対側に位置し、且つ前記締結部材との係合のために構成された第2の幾何学的形状を有する第2の固定部と、を有する内面と共に形成され、前記第1の固定部と前記第2の固定部との両方は、同じ設置位置において前記支持要素及び前記締結部材の各々を同時に係合するために構成されている、キャビティと、
を備える、切削インサート。
【請求項10】
前記第1の固定部が前記上面及び前記下面のうちの一方により近く、前記第2の固定部が前記上面及び前記下面のうちの他方により近い、請求項9に記載の切削インサート。
【請求項11】
前記第1の固定部が弧状面の形態にあり、前記第2の固定部が平面状である、請求項9に記載の切削インサート。
【請求項12】
前記第1の固定部と前記第2の固定部との両方が弧状面の形態にある、請求項9に記載の切削インサート。
【請求項13】
前記切削インサートが可逆性であり、そのため、前記切削インサートの内側キャビティは、
− 第1側対の固定部であって、
〇 前記上面により近く配向された第1の固定部と、
〇 前記下面により近く配向された第2の固定部と、
から成る、第1側対の固定部と、
− 少なくとも1つの第2側対の固定部であって、
〇 前記下面により近く配向された第1の固定部と、
〇 前記上面により近く配向された第2の固定部と、
から成る、第2側対の固定部と、
を備える、請求項9に記載の切削インサート。
【請求項14】
前記切削インサートが割出し可能であり、そのため、前記切削インサートの内側キャビティは、第1対の固定部及び第2対の固定部を備え、各対は、
〇 前記上面により近く配向された第1の固定部と、
〇 前記下面により近く配向された第2の固定部と、
を備える、請求項9に記載の切削インサート。
【請求項15】
前記キャビティの内面が、間に鋭角θを形成する第1の側壁及び第2の側壁と共にさらに形成され、前記第1の側壁と前記第2の側壁との両方は、前記支持要素との同時係合のために適合されている、請求項9に記載の切削インサート。
【請求項16】
前記キャビティが、前記切削インサートの全体積の30%以上を占める、請求項9に記載の切削インサート。
【請求項17】
前記上面又は前記下面と平行な平面に沿って見た前記切削インサートの各断面において、前記キャビティの断面積が前記切削インサートの全断面積の15%以上を構成する、請求項9に記載の切削インサート。
【請求項18】
前記キャビティの断面が、前記切削インサートの全断面積の30%以上を構成する、請求項17に記載の切削工具ホルダ。
【請求項19】
請求項1に記載の切削工具ホルダを備える切削工具であって、少なくとも作動の間に、前記切削インサートが、前記切削工具ホルダ上に設置され且つその中に固定され、そのため、前記切削インサートのキャビティが、その中に前記支持要素と前記締結要素との両方の少なくとも一部を受け入れる、切削工具。
【請求項20】
前記切削工具がその中心軸を中心として第1の方向に回転するように適合され、前記切削インサートが前記切削工具ホルダ上に設置されるときに、前記締結部材は、前記中心軸に沿った方向に前記切削インサート上に力Fをかけるように適合され、前記力Fは、前記切削インサートを前記支持要素に押し当て、これにより前記切削インサート上に前記中心軸と垂直な方向に力Fをかけるように適合され、前記力F及び前記力Fの合力Fが、前記中心軸と垂直で且つ前記第1の方向とは反対の方向にある、請求項19に記載の切削工具。
【請求項21】
前記切削工具が2つ以上の切削部と共に形成され、各切削部が前記切削インサートのうちの2つ以上を備え、その切れ刃が各切削部に連続する切れ刃を形成し、同じ切削部の切削インサートの空間配置が切削部によって異なる、請求項20に記載の切削工具。
【請求項22】
各切削部における切削インサートが互いに対して距離dだけシフトされ、前記距離dが切削部によって異なる、請求項21に記載の切削工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削工具、切削工具ホルダ、及びその中で用いられる切削インサートに関する。
【背景技術】
【0002】
切削工具には、一般に、少なくとも1つの切れ刃が形成され、且つ、切れ刃を被工作物と接触させ、被工作物に対して切削工具を変位させるか又はこの逆のいずれかによって切れ刃を被工作物に対して変位させることによって被工作物から材料を除去するために適合される。
【0003】
切削工具の切れ刃は、切削作動に用いられるときに、特に金属のような硬い材料を切削するときに急速に摩耗し、したがってそれらは頻繁に交換され又は研ぎ直されなければならない。フライス盤/ボール盤/旋盤のために適合された工具のような多くのタイプの切削工具において、切削工具は、各々に少なくとも1つの切れ刃が形成される、複数の切削インサートを備える場合があり、インサートは、切削工具を形成するために切削工具ホルダの座内に固定される。
【0004】
従来の切削工具では、切削インサートは、切削インサートの中のボアを通して切削工具の座の底部に入るファスナによって、切削工具の座内に取り付けられる。別の切れ刃の使用を可能にするための切削インサートの割り出しは、ファスナの除去、切削インサートの向きの再設定、及びファスナによる切削工具の座内での切削インサートの再取り付けを必要とする。これらの作動の各々は時間と労力がかかり、切削工具は一般に複数のこうした切削インサートを含むため、切削工具における切削インサートの割り出しにかかる時間と人件費は、かなりのものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
技術的問題、中でも上記に提示された問題を克服するために、出願人のWO2008/149371及び米国特許第12/314,428号に開示されたように、切削インサートを切削工具ホルダ上に設置する代替的な方法が考案されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願の開示された主題の一態様によれば、切削工具を形成するべくその上に切削インサートを設置するために適合された切削工具ホルダが提供され、前記切削工具ホルダは、少なくともベースと、前記ベースから延びて前記切削インサートを受け入れるように適合されたインサート座スペースを画定する少なくとも1つの側壁とによって画定されたインサート座を備え、前記インサート座は、前記ベースから前記インサート座の中に延びる支持要素をさらに備え、少なくとも作動時に、締結部材は、前記インサート座と係合可能であり、且つ前記切削インサートが前記インサート座上に設置されることを可能にするように適合された設置位置と前記インサート座内に切削インサートを固定するために適合された固定位置との間で前記インサート座に対して変位可能であり、前記固定位置において、前記支持要素と前記締結部材が、前記インサート座スペースの15%以上を共に構成する。
【0007】
本出願の開示された主題の別の態様によれば、切削工具を形成するべくその上に切削インサートを設置するために適合された切削工具ホルダが提供され、前記切削工具ホルダは、周辺縁部によって画定されたベース面を有し、前記ベース面は、前記ベース面から延びる支持要素を備え、インサート座スペースは、ベース面、前記支持要素と交差するベース面と平行な支持平面、及び前記周辺縁部に沿ってベース面と支持平面との間に延びる複数の側部平面によって画定されてもよく、前記支持要素と締結部材の体積は、インサート座スペース全体の少なくとも15%以上である。
【0008】
特定の例によれば、前記支持要素と前記締結部材は、インサート座スペースの20%以上、さらにより好ましくはインサート座スペースの25%以上、さらにより好ましくはインサート座スペースの30%以上、さらにより好ましくはインサート座スペースの50%以上を共に構成してもよい。
【0009】
特に、前記支持要素の単独での体積は、好ましくは切削インサートの全体積の少なくとも15%、さらにより好ましくは切削インサートの全体積の少なくとも20%、さらにより好ましくは切削インサートの全体積の少なくとも25%、さらにより好ましくは切削インサートの全体積の少なくとも35%を構成してもよい。
【0010】
加えて、前記ベースと概して平行な平面に沿って見た前記インサート座スペースの各断面において、前記支持要素と前記締結部材との両方の断面積は、インサート座スペースの全断面積の15%以上を共に構成してもよい。特に、前記支持要素と前記締結部材との両方は、インサート座スペースの全断面積の20%以上、さらにより好ましくはインサート座スペースの全断面積の25%以上、さらにより好ましくはインサート座スペースの全断面積の30%以上、さらにより好ましくはインサート座スペースの全断面積の50%以上を共に構成してもよい。
【0011】
1つの特定の例によれば、前記支持要素は、前記切削工具ホルダと一体に形成されてもよい。別の例によれば、前記支持要素は、前記切削工具ホルダと取り外し可能な様式で係合するように適合されてもよい。後者の事例では、一設計によれば、支持要素と切削工具ホルダとの間の係合は、その一部にねじを切られた支持要素をねじ込みにより受け入れるように適合されたねじを切られた支持ボアが形成される、切削工具によって提供されてもよい。別の設計によれば、前記支持要素は、前記切削工具ホルダにスナップ嵌めされてもよい。
【0012】
「提供される」という用語は、これまでは、前記切削工具ホルダと共に一体に形成された支持要素と、前記切削工具ホルダと係合するように適合された支持要素との両方に対して用いられることを理解されたい。
【0013】
加えて、前記支持要素は、インサート座の前記2つの側壁のいずれかとの接触点をもたないように形成されてもよい。言い換えれば、支持要素は、インサート座のベースから柱のように延びる。
【0014】
切削工具ホルダ上への切削インサートの設置により形成された切削工具は、その中心軸を中心として第1の方向に回転するように適合されてもよく、支持要素の設計は、前記ベースと概して垂直な且つ前記第1の方向に面する第1の側壁と、前記第1の壁から前記第1の方向とは反対の方向に前記第1の壁に対し鋭角θをなして延びる第2の側壁と共に形成されてもよく、前記第1の側壁と前記第2の側壁との両方は、前記切削インサートとの同時係合のために適合される。そのうえ、前記第2の側壁には、切削インサートがインサート座上に設置されるときに切削インサートをインサート座内により良好に固定するために、切削インサートの対応する部分を受け入れるように適合された凹部が形成されてもよい。
【0015】
本発明の開示された主題の一例によれば、締結部材は、前記切削インサートが前記インサート座上に設置されることを可能にするように適合される設置位置と、切削インサートを前記インサート座内に固定するために適合される固定位置との間でインサート座に対して変位可能であってもよい。
【0016】
特定の例によれば、締結部材は、設置位置においてインサート座から係合解除され、且つ前記固定位置においてインサート座と係合するようなものであってもよい。代替的に、締結部材は、前記設置位置と前記固定位置との両方において、前記締結部材が前記インサート座と係合したままであるようなものであってもよい。後者の事例では、前記設置位置において、前記締結部材は、インサート座スペースの中に第1の範囲まで突き出してもよく、前記固定位置において、前記締結部材は、インサート座スペースの中に第1の範囲よりも大きい第2の範囲まで突き出してもよい。
【0017】
締結部材は、前記インサート座の対応するねじを切られたボアの中にねじ込むために適合されたねじを切られた部分を有してもよい。代替的に、前記締結部材は、前記インサート座の対応するボア内に受け入れられるように適合された固定ピンの形態であってもよい。後者の事例では、前記固定ピンは前記固定位置にばねでバイアスされてもよい。加えて、前記固定ピンはまたファセット形成されてもよい。
【0018】
上記の例のすべてにおいて、前記固定位置にあるときに、前記締結部材は、支持要素と係合するように適合されてもよい。
【0019】
本出願の開示された主題の別の態様によれば、前の態様の切削工具ホルダ上に設置するために適合された切削インサートが提供され、前記切削インサートは、前記支持要素と前記締結部材との両方の少なくとも一部をその中に同時に受け入れるように適合された中央固定キャビティを備える。
【0020】
特定の例によれば、前記キャビティの体積は、切削インサートの全体積の少なくとも15%を構成してもよい。特に、前記キャビティの体積は、切削インサートの全体積の20%以上、さらにより好ましくは切削インサートの全体積の25%以上、さらにより好ましくは切削インサートの全体積の30%以上、さらにより好ましくは切削インサートの全体積の50%以上を構成してもよい。
【0021】
切削インサートの具体的な設計によれば、前記切削インサートが切削工具ホルダ上に設置されるときに、前記第1の固定部が前記支持要素と係合するために適合され、前記第2の固定部が前記締結部材と係合するために適合されるように、前記キャビティは、第1の固定部と前記第1の部分とは反対側の第2の固定部と共に形成される内面を有してもよい。
【0022】
一例によれば、前記第1の部分は、弧状面の形態であってもよく、前記第2の部分は平面であってもよい。別の例によれば、前記第1の部分と前記第2の部分との両方が、弧状面の形態であってもよい。
【0023】
上記の切削インサートは、逆にすることができてもよい。
【0024】
本出願の開示された主題のまた別の態様によれば、本発明の前の態様の切削工具ホルダと切削インサートとを備える切削工具が提供される。
【0025】
したがって、切削工具の切削インサートに中央開口部が形成されてもよく、前記切削工具ホルダは、インサート座と、前記インサート座の中に延びる支持要素と、前記インサート座に対して変位可能な締結部材とを備えてもよく、前記切削インサートが前記インサート座上に設置されるときに、前記支持要素と前記締結部材との各々の少なくとも一部が前記中央開口部内に受け入れられる。
【0026】
特定の例によれば、前記固定位置において以下のうちの少なくとも1つが生じてもよい。
−前記切削インサートの内面がその上に前記支持要素との少なくとも1つの接触点Cと、前記締結部材との少なくとも1つの接触点Cとを有するように、前記キャビティの内面が、前記支持要素と前記締結部材との両方と同時に係合してもよい。
−前記締結部材がその上に前記切削インサートとの少なくとも1つの接触点Cと、前記支持要素との少なくとも1つの接触点Cとを有するように、前記締結部材が、前記支持要素と前記切削インサートとの両方と同時に係合してもよい。
−前記支持要素がその上に前記切削インサートとの少なくとも1つの接触点Cと、前記締結部材との少なくとも1つの接触点Cとを有するように、前記支持要素が、前記締結部材と前記切削インサートとの両方と同時に係合してもよい。
【0027】
特定の設計によれば、上記の接触点C、C、及びCのすべてが単一の直線に沿って配置されてもよい。
【0028】
切削工具は、その中心軸を中心として第1の方向に回転するように適合され、且つ前記切削インサートが切削工具ホルダ上に設置されるときに、前記締結部材が概して前記中心軸に沿った方向に前記切削インサート上に力Fをかけるように適合され、前記力Fが、切削インサートを支持要素に押し当て、これにより前記切削インサート上に前記中心軸と概して垂直な方向に力Fをかけるように適合され、2つの力F及びFの結果として得られる力Fが前記中心軸と垂直な且つ前記第1の方向とは反対の方向であるようなものであってもよい。
【0029】
切削工具に2つ又はそれ以上の切削部が形成され、各切削部は2つ又はそれ以上の切削インサートを備え、その切れ刃は各切削部における連続する切れ刃を形成し、同じ切削部の切削インサートの特有の配置は1つの切削部から別の切削部へと変化してもよい。特に、各切削部における切削インサートは、互いに対して距離dだけシフトされてもよく、シフトdは、1つの切削部から別の切削部へと変化する。
【0030】
本出願の開示された主題のさらに別の態様によれば、切削工具を形成するべく切削工具ホルダ上に設置するために適合された切削インサートが提供され、前記切削インサートは、上面及び下面と共に、上面及び下面の間に延びる少なくとも1つの側壁を有し、且つ中心軸に沿って前記上面と前記下面との間に延びる中央キャビティが形成され、前記キャビティは、切削インサートが切削工具ホルダ上に設置されるときに前記キャビティ内に固定要素を受け入れるために適合され、前記キャビティは、切削インサートの全体積の15%以上を占める。
【0031】
前記固定キャビティの体積は、好ましくは切削インサートの全体積の少なくとも20%、さらにより好ましくは切削インサートの全体積の少なくとも25%、さらにより好ましくは切削インサートの全体積の少なくとも30%、さらにより好ましくは切削インサートの全体積の少なくとも50%を構成してもよい。
【0032】
加えて、前記上面又は下面と概して平行な平面に沿って見た前記切削インサートの各断面において、前記キャビティの断面積は、切削インサートの全断面積の15%以上を構成してもよい。特に、前記キャビティの断面は、切削インサートの全断面積の20%以上、さらにより好ましくは切削インサートの全断面積の25%以上、さらにより好ましくは切削インサートの全断面積の30%以上、さらにより好ましくは切削インサートの全断面積の50%以上を構成してもよい。
【0033】
そのうえ、前記上面又は前記下面と概して平行に見た各断面において、キャビティの寸法Dと切削インサート全体の寸法Tとの間の比D/Tは、寸法D及びTの両方が前記少なくとも1つの側面と垂直な且つ前記中心軸を通る方向に沿ってとられるとき0.4以上であってもよい。特に、比D/Tは、0.5以上、好ましくは0.6以上、さらにより好ましくは0.7以上、さらにより好ましくは0.8以上であってもよい。
【0034】
前記切削インサートが切削工具ホルダ上に設置されるときに、前記第1の固定部が切削工具ホルダの支持要素と係合するために適合され、且つ前記第2の固定部が切削工具ホルダの締結部材と同時に係合するために適合されるように、切削インサートは、第1の固定部と前記第1の部分とは反対側の第2の固定部と共に形成される内面を有してもよい。
【0035】
一例によれば、前記第1の部分は弧状面の形態であってもよく、前記第2の部分は平面である。代替的に、前記第1の部分と前記第2の部分は、弧状面の形態であってもよい。
【0036】
切削インサートは、逆にすることができてもよい。
【0037】
本発明を理解するために、且つ、実際にこれがどのようにして実施されうるかが判るようにするために、ここで、限定ではない単なる例として、付属の図面を参照しながら実施形態が説明される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1A】本出願の開示された主題の一実施形態に係る切削工具の略等角図である。
図1B図1Aに示された切削工具の略分解等角図である。
図2A図1A及び図1Bに示された切削工具に用いられる切削インサートの略等角図である。
図2B図1A及び図1Bに示された切削工具に用いられる切削インサートの左側の図である。
図2C図1A及び図1Bに示された切削工具に用いられる切削インサートの右側の図である。
図2D図1A及び図1Bに示された切削工具に用いられる切削インサートの下面図である。
図2E図2Dに示された線A−Aに沿って見た略等角断面図である。
図2F図2Dに示された線B−Bに沿って見た略等角断面図である。
図3A図3Aに示された切削工具ホルダの略正面図である。
図3B図1A及び図1Bに示された切削工具に用いられる切削工具ホルダの設置部の略等角図である。
図4A図1Aに示された詳細Aの略等角拡大図である。
図4B図4Aに示された線I−Iに沿って見た、図4Aに示された切削工具の略等角断面図である。
図4C】その切削インサートの組立の間の、締結要素の挿入前を示す、図4Aに示された切削工具の略等角図である。
図5A】本出願の開示された主題の別の実施形態に係る切削工具の略等角図である。
図5B図5Aに示された切削工具に用いられる切削工具ホルダの設置部の略等角図である。
図5C図5Aに示された線II−IIに沿って見た、図5Aに示された切削工具の略等角断面図である。
図6A】本出願の開示された主題のまた別の実施形態に係る切削工具の略等角図である。
図6B図6Aに示された切削工具の略分解等角図である。
図7図6A及び図6Bに示された切削工具に用いられる切削工具ホルダの設置部の略等角図である。
図8A図6Aに示された線III−IIIに沿って見た、図6Aに示された切削工具の略等角断面図である。
図8B】その固定ピンが除去された状態の、図8Aに示すような切削工具の略等角図である。
図9A】本出願の開示された主題のさらなる実施形態に係る切削工具の略等角図である。
図9B図9Aに示された詳細Bの略拡大図である。
図10A図9A及び図9Bに示された切削工具に用いられる切削インサートの略等角図である。
図10B図9A及び図9Bに示された切削工具に用いられる切削インサートの正面図である。
図10C図9A及び図9Bに示された切削工具に用いられる切削インサートの側面図である。
図11A図9A及び図9Bに示された切削工具に用いられる切削工具ホルダの設置部の略拡大図である。
図11B図9Bに示された線C−Cに沿って見た、図9Bに示された切削工具の等角断面図である。
図12A】本出願の開示された主題のさらに別の実施形態に係る切削工具の略等角図である。
図12B】本出願の開示された主題のさらに別の実施形態に係る切削工具の正面図である。
図12C】本出願の開示された主題のさらに別の実施形態に係る切削工具の上面図である。
図12D】本出願の開示された主題のさらに別の実施形態に係る切削工具の下面図である。
図13A図12A図12Dに示された切削工具に用いられる切削インサートの略等角図である。
図13B図12A図12Dに示された切削工具に用いられる切削インサートの正面図である。
図13C図12A図12Dに示された切削工具に用いられる切削インサートの側面図である。
図14A図12Aに示された詳細Cの略拡大図である。
図14B図12A図12Dに示された切削工具に用いられる切削工具ホルダの設置部の略拡大等角図である。
図14C】その固定機構の部分が除去された状態の図14Bに示された設置部の略等角図である。
図15A】本出願の開示された主題のさらに別の実施形態に係る切削工具の略等角図である。
図15B】本出願の開示された主題のさらに別の実施形態に係る切削工具の正面図である。
図15C】本出願の開示された主題のさらに別の実施形態に係る切削工具の上面図である。
図15D】本出願の開示された主題のさらに別の実施形態に係る切削工具の下面図である。
図16A図15A図15Dに示された切削工具に用いられる切削インサートの略等角図である。
図16B図15A図15Dに示された切削工具に用いられる切削インサートの正面図である。
図16C図15A図15Dに示された切削工具に用いられる切削インサートの側面図である。
図17A図15Aに示された詳細Dの略拡大図である。
図17B図15A図15Dに示された切削工具に用いられる切削工具ホルダの設置部の略拡大等角図である。
図18】本出願の開示された主題のさらに別の実施形態に係る切削工具の略等角図である。
図19図18に示された切削工具に用いられる切削工具ホルダの設置部の略等角図である。
図20A】図中の線IV−IVに沿って見た、図18に示された切削工具の略断面図である。
図20B】図中の線V−Vに沿って見た、図18に示された切削工具の略断面図である。
図20C図20Bに示された切削工具の略平面図である。
図21図18に示された切削工具に用いられる切削インサートの略等角図である。
図22A】本出願の開示された主題のまた別の実施形態に係る切削工具の略等角図である。
図22B図22Aに示された詳細Fの略拡大正面図である。
図23図22Aに示された切削工具に用いられる切削工具ホルダの略等角図である。
図24A】本出願の開示された主題の別の実施形態に係る切削工具の略等角図である。
図24B図24Aに示された切削工具に用いられる切削インサートの略等角図である。
図25図12Aに示された詳細Cの略正面図である。
図26A】本出願の開示された主題のまた別の実施形態に係る切削工具の略等角図である。
図26B】そこから切削インサートが除去された状態の、図26Aに示された切削工具の略等角図である。
図26C図26Aに示された切削工具の略正面図である。
図27A図26Aに示された線VI−VIに沿って見た、図26Aに示された切削工具に用いられる切削インサートの縦断面図である。
図27B図26Aに示された線VII−VIIに沿って見た、図26Aに示された切削工具に用いられる切削インサートの横断面図である。
図28A】本出願の開示された主題のまた別の実施形態に係る切削工具の略正面図である。
図28B図28Aに示された詳細Gの略等角拡大図である。
図28C】切削インサートが除去された状態の、図28Bに示された詳細Gの略等角図である。
図28D】支持要素と締結部材がそこから除去された状態の、図28Cに示された詳細Gの略等角図である。
図28E図28Aにおける線VIII−VIIIに沿って見た、図28Aに示された詳細Gの略等角断面図である。
図29図28Aに示された詳細Gの略正面図である。
図30A図28Aに示された切削工具に用いられる切削インサートの略等角図である。
図30B図30Aにおける線VIIII−VIIIIに沿って見た、右等角横断面図である。
図30C図30Aにおける線VIIII−VIIIIに沿って見た、左等角横断面図である。
図30D図30Aにおける線X−Xに沿って見た、右等角横断面図である。
図30E図30Aにおける線X−Xに沿って見た、左等角横断面図である。
図31A図28Aに示された切削工具上に設置され、且つその支持要素と締結部材によって固定されたときの、切削工具ホルダが図示されていない、切削インサートの略正面図である。
図31B図28Aに示された切削工具上に設置され、且つその支持要素と締結部材によって固定されたときの、切削工具ホルダが図示されていない、切削インサートの略背面図である。
図32A】本出願の開示された主題のさらに別の実施形態に係る切削工具の略正面図である。
図32B】そこから切削インサートが除去された状態の、図28Aに示された詳細Hの略等角拡大図である。
図32C】そこから支持要素と締結部材が除去された状態の、図32Cに示された詳細Hの略等角図である。
図32D図32Aにおける線XI−XIに沿って見た、図32Aに示された詳細Hの略等角断面図である。
図33A図32Aに示された切削工具に用いられる切削インサートの略等角図である。
図33B図33Aにおける線XII−XIIに沿って見た右等角横断面図である。
図33C図33Aにおける線XII−XIIに沿って見た左等角横断面図である。
図33D図33Aにおける線XIII−XIIIに沿って見た右等角横断面図である。
図33E図33Aにおける線XIII−XIIIに沿って見た左等角横断面図である。
図34A】本出願の開示された主題のまた別の実施形態に係る切削工具の切削インサートの第1の列の略正面図である。
図34B】本出願の開示された主題のまた別の実施形態に係る切削工具の切削インサートの第2の列の略正面図である。
図34C】本出願の開示された主題のまた別の実施形態に係る切削工具の切削インサートの第3の列の略正面図である。
図35A図34Aからとられた詳細Iの略拡大図である。
図35B図34Bからとられた詳細IIの略拡大図である。
図35C図34Cからとられた詳細IIIの略拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
最初に図1A及び図1Bに目を向けると、切削工具ホルダ10、及び、切削工具ホルダ10と一体に形成される支持要素40と、切削工具ホルダ10と動的に係合するために適合された締結部材50とを含む固定配置によって各々が定位置に固定される、インサート座30上に設置された3つの切削インサート20を備える、全体を1として表される切削工具が示される。
【0040】
ここで図2A図2Fまでに移ると、切削インサート20は、上面22T及び下面22Bとそれらの間に延びる側面22S、22S’とを有する本体21と共に形成される。上面22Tは、2つの周辺傾斜面22T’と共に形成され、2つの側面22Sと周辺傾斜面22T’との間の交差点に切れ刃24が画定される。側壁22Sの各々には、インサート座30の対応する側壁34a(図3A図3Bに示される)と係合するように適合されたv字形状の溝Gが形成される。
【0041】
本体21には、それぞれ上面22T及び下面22Bに開口部23T、23Bを有する中央キャビティ23がさらに形成され、キャビティは、上面22T及び下面22Bと概して垂直に延びる中心軸Xを中心として画定される。
【0042】
キャビティ23は、上面22Tと下面22Bとの間に延びる、切削インサート20の内面25を画定する。内側キャビティは、切削インサート20が切削工具ホルダ10上に設置されるときに、支持要素40と締結部材50との両方をその中に収容するのに十分なだけの公称寸法Dを有する。
【0043】
したがって、共通の切削インサートにおいて中央開口部は該中央開口部の寸法に対応する所定の直径の締結部材(例えば締結ねじ)のみを収容するように設計されるが、本例では、並びに説明される以下の実施形態のすべてにおいて、中央キャビティ23の寸法は、締結部材50と支持要素40との両方が合わされた共同の寸法に対応することが指摘される。言い換えれば、公称寸法Mの締結部材では、ここで開示された主題のキャビティ23は、共通の切削インサートの寸法D’≒Mと比較して、公称寸法D≒2Mを有し、これによりキャビティ23が締結部材50と支持要素40との両方を一緒に収容することを可能にする。
【0044】
したがって、キャビティ23は、体積的に、公知の切削インサートにおけるよりも切削インサートの全体積のより多くの割合を構成することが分かる。特に、キャビティ23は、切削インサートの全体積の15%以上までを占めてもよい。キャビティは、好ましくは切削インサートの全体積の少なくとも20%、さらにより好ましくは切削インサートの全体積の少なくとも25%、さらにより好ましくは切削インサートの全体積の少なくとも30%、さらにより好ましくは切削インサートの全体積の少なくとも50%を構成してもよい。
【0045】
そのうえ、切削インサート20は、上面22T又は下面22Bと概して平行な平面に沿って見たその断面の各々において、キャビティ23の断面が切削インサートの全断面積の15%以上までを構成するように設計されてもよい。特に、キャビティの断面積は、切削インサートの全断面積の20%以上、さらにより好ましくは切削インサートの全断面積の25%以上、さらにより好ましくは切削インサートの全断面積の30%以上、さらにより好ましくは切削インサートの全断面積の50%以上を構成してもよい。
【0046】
加えて、図2A図2Fから、キャビティの寸法Dと切削インサート全体の寸法Tとの間の比D/Tは約0.4であることが観察されるであろう。しかしながら、この比は変化してもよく、0.5以上、好ましくは0.6以上、さらにより好ましくは0.7以上、さらにより好ましくは0.8以上までであってもよい。同じ比は、中心軸Xの間で測定されたときの対応する寸法、すなわち側壁22Sとキャビティ23の内面との間で測定された距離(Dhalf)と、側壁22Sと中心軸Xとの間で測定された距離(Thalf)にあてはまることに注目されたい。寸法D、Dhalf、T、及びThalfは、側壁22Sと垂直な且つ前記中心軸を通る方向に沿ってとられる。
【0047】
切削インサート20に関する上述の体積、面積、及び長さ寸法、並びに比は、以下の図面(図5A図35C)と組み合わせて説明される以下の切削インサートの各々に適用されてもよいことが分かる。
【0048】
キャビティ23の内面25は、4つの側面、すなわち一対の対向する側面26Sと別の対の対向する側面26S’によって画定される概して長方形の形状であり、これにより各側面26Sが側面26S’に隣接し、逆もまた同様である。側面26S、26S’は、それぞれ支持要素40及び締結部材50と係合するために適合された固定部26a、26a’、及び26bと共に形成される。
【0049】
特に図2E及び図2Fへの参照を行うと、側面26Sの各々は、キャビティ23の中に突き出る突出部の形態である固定部26aと共に形成される。固定部26aは3つの表面I、II、及びIIIで形成され、表面IIは、側面26Sと概して平行であり、表面I及びIIIは前者の2つの間(すなわち26SとIIとの間)でテーパする。表面I、II、及びIIIは、図4Bに関して解説されるように、切削インサート20が切削工具ホルダ10上に設置されるときに、支持要素40の対応する表面と係合するために適合される。
【0050】
側面26S’の各々は、同じく支持要素40と係合するように適合された固定部26a’と共に形成される。しかしながら、切削インサート20が切削工具ホルダ10上に設置されるときに固定部26a’が支持要素40の対応する表面と係合するように適合されるように、固定部26a’は、単純に側面26S’の平坦な表面を構成する部分の形態である。
【0051】
締結部材50と係合するように適合された固定部26bの各々は、凹形の湾曲した表面(この例ではほぼ半円錐形)の形状である、すなわち固定部26aの中に延びてその中に凹部を画定する。固定部26bは、固定部26a内に部分的にのみ形成される、すなわち湾曲した表面は、側面26S’(図2F)のうちの1つの方に僅かに延びる。固定部26bは、切削インサート20が切削工具ホルダ10上に設置されるときに、締結部材40の対応する湾曲した(凸形)表面と係合するように適合される。
【0052】
ここで図3A及び図3Bに移ると、中心軸Xに沿って延び、且つ装置(図示せず)への取り付けのために適合された取付け部12aと、その上に切削インサート20を設置するために適合された設置部12bとを有する本体12を備える、切削工具ホルダ10が示される。切削工具ホルダ10には、3つの螺旋状に延びる削片排出チャネル14と、それを通して切削作動の間に冷却流体を提供するための対応する冷却穴16がさらに形成される。
【0053】
設置部12bは、3つの切削インサート座30と共に形成され、各々は、ベース面32Bと、ベース面32Bから延び且つ逃がしギャップ33によって分離される側面34a及び34bと共に形成される。インサート座30は、支持要素40と一体に形成され、後者はショルダ42の形態であり、ベース面32Bと概して垂直に延びる。インサート座30には、その中に締結部材50を収容するように適合されたねじを切られた締結ボア36もまた形成される。
【0054】
ショルダ42は、インサート座30のベース面32Bから上にある上面42Tと共に形成され、ベース面32Bと上面42Tとの間に延びる4つの側壁43a、43b、44、及び46を有する。切削インサート20がインサート座30上に設置されるとき、側壁43a、43bは、これを定位置に固定するために切削インサート20のそれぞれの固定部26a、26a’と係合するために適合され、一方、側壁46は、締結部材50と係合するように適合される。
【0055】
特に、側壁43bは、切削インサートの固定部26aの対応する表面I、II、及びIIIと係合するように適合された3つの表面I’、II’、及びIII’によって画定される隅部45と共に形成され、側壁43aは、切削インサートの固定部26a’と係合するように適合される。
【0056】
ここで図1Bに戻ると、締結部材50は、ステム部54と頭部56とを有する締結ねじ52の形態である。ステム部54は、ねじを切られ、インサート座30のねじを切られた締結ボア36の中に挿入するために適合される。頭部56は、円錐形の形状であり、締結部材50がインサート座30の締結ボア36の中に挿入されるときにショルダ42の側壁46と係合するように適合された外表面57を有する。頭部56の円錐形の形状は、外表面57の断面の直径がステム54を縁取る端部よりもステム54から遠い方の端部においてより大きいようなものである。
【0057】
ここで図4Cに移ると、インサート座30上に設置する間の、締結部材50がインサート座30の中に挿入される前の、切削インサート20が示される。設置に際して、切削インサート20は、ショルダ42が切削インサート20の開口部23内に受け入れられるようにショルダ42の上に位置付けられる。この位置において、切削インサートの固定部26bとショルダ42の反対側の壁46が、締結部材50を受け入れるように適合され且つそれに対応する形状である円錐形のスペース58の部分を一緒に形成する、すなわちスペース58の断面の直径は、ベース面32Bの方に減少する。ショルダ42の側壁46は、締結ボア36の内面の直接の延長部であることに注目されたい。また、この位置において、切削インサート20は、インサート座30上にまだゆるく設置され、矢印Rの方向に横方向に往復して変位してもよい。
【0058】
インサート座30上に位置決めされると、締結部材50のステム54がインサート座30の締結ボア36の中にねじ込まれるように、締結部材50(図4A図4Bに示される)が円錐形のスペース58の中に挿入される。締結部材のねじ込みは、頭部56をインサート座30のベース面32Bの方に変位させ、その後、円錐形の表面57に、切削インサート20とショルダ42との両方にバイアス力をかけさせ、それらを互いから押し離させる。言い換えれば、頭部56は、切削インサート20をショルダ42から押し離そうとする、くさびとして働く。
【0059】
ショルダが切削工具ホルダ10と一体に形成されるため、且つ切削インサート20が横方向に変位可能なため、バイアス力が切削インサート20を図4A及び図4Bに示された位置をとるように側壁34a、34bの方に押す。切削インサート20が矢印Rの方向にバイアスされるので、切削インサート20の固定部26a、26a’がショルダ42の方に同時にバイアスされることに注目するのも重要である。
【0060】
ここで図4A及び図4Bに移ると、切削インサート20が切削工具ホルダ10上に設置され、且つ締結部材50と支持要素40とを用いて切削工具ホルダ10に固定された状態の切削工具1が示される。この位置において、支持要素40と締結部材50との両方が同じ切削インサート20の中央開口部23内に受け入れられることが観察される。特に、切削インサート20の側面22S’がインサート座30の側壁34bと係合し、締結部材50の頭部56の外表面57が固定部26bとショルダ42の側壁46との両方と係合し、且つ、ショルダ42の側壁43a、43bが切削インサート20の固定部26a、26a’と係合する。特に図4Bを参照すると、切削インサート20の固定部26aの出張りが、ショルダ42の隅部45内に受け入れられることが観察される。
【0061】
この位置において、締結部材50が切削インサート20にインサート座30の側壁34a、34bの間の角部の方にバイアス力Fをかける。このバイアス力Fのために、固定部26a、26a’が、ショルダ42の側壁43a、43bに対してバイアスされ、切削インサート20をさらに固定する。この位置において、切削インサート20の角部Cと側壁34a、34bの間の角部における逃がしギャップ33との間に、切削インサート20、ショルダ42、及び締結部材50の一部によって構成される材料の連続するラインが存在することにも注目される。
【0062】
上述の切削工具1に用いられる切削インサート20は、各々2つの切れ刃24を有する割出し可能な切削インサート20であることも分かる。切れ刃24を変えることが望まれるとき、締結部材50が締結ボア36から除去され又はわずかにねじをゆるめられ、切削インサート20が締結ボア36の中心軸を中心として180°回転され、これにより反対側の切れ刃24が有効になる。
【0063】
作動時に、切削インサート20の側壁22Sは、レーキ面として作用するように適合され、周辺傾斜面22T’は、逃がし面として作用するように適合される。これに関しては、切れ刃24が使用中のとき、すなわち側壁34aから遠くに位置決めされるとき、溝Gはレーキ面として作用し、切れ刃24が使用中ではないとき、すなわち側壁34aに隣接して位置決めされるとき、溝Gは、インサート座の形状設定された側壁34aと係合することによって切削インサートを固定するために作用することに注目することも重要である。
【0064】
ここで図5A図5Cに移ると、切削工具ホルダ110、及び、切削工具ホルダ110と一体に形成される支持要素140と、切削工具ホルダ110と動的に係合するように適合された締結部材150とを含む固定配置によって各々が定位置に固定される、インサート座130上に設置された3つの切削インサート120を備える、全体を100として表される別の切削工具が示される。簡略化のため、切削工具1の要素と同様の要素を表す切削工具100の参照番号は100だけ増やされている。
【0065】
切削工具100は、切削工具1と概して同様のものであり、前の例とは対照的に、この事例では、頭部156の円錐形の形状は、外表面157の断面の直径がステム154を縁取る端部におけるよりもステム154から遠い端部においてより小さいようにされるという違いをもつ。
【0066】
これに対応して、切削インサート120の固定部126b並びにショルダ142の側壁146がテーパして、頭部156の外表面157に合致する円錐形のスペース158を形成する、すなわちスペース158の断面の直径がベース面32Bの方に増加する。
【0067】
組み立てに際して、切削インサート120の設置は、切削工具1に関して説明されたものとまったく同様のものであるが、しかしながら、本例では、締結部材150が最初に締結ボア136の中にねじ込まれ、次いで、切削インサート120がインサート座130に位置決めされ、最後に、切削インサート120が定位置に固定されるまで締結部材150が締結ボア136から部分的にゆるめられてもよい。
【0068】
本例(切削工具100)と前の例(切削工具1)との間の違いは、本例では切削インサート120が切削工具ホルダ110上に設置されることを可能にするために締結部材150を切削工具ホルダ110から係合解除することが要求されない点であることを強調するのが重要である。特に、締結部材150は、締結部材150がインサート座130の締結ボア136の中にねじ込まれ且つベース面132Bから第1の範囲まで突き出して切削インサート120がインサート座130上に設置されることを可能にする第1の設置位置と、締結部材150がインサート座130の締結ボア136の中にねじ込まれ且つベース面132Bから第1の範囲よりも大きい第2の範囲まで突き出して切削インサート120がインサート座130上に固定されることを可能にする第2の固定位置とをとるように適合される。
【0069】
したがって、切削工具100の使用の全体を通して、締結部材150をインサート座130から除去する/係合解除する必要性はない。これは、次に、とりわけ、切削インサート120の設置/取り外しプロセスの間の切削インサートのより時間効率の良い割り出し/交換を提供するとともに、締結部材の損失を防止してもよい。
【0070】
ここで図6A図8Bに移ると、全体を200として表される別の切削工具が示される。簡略化のため、切削工具1の要素と同様の要素を表す切削工具200の参照番号は200だけ増やされている。切削工具200は、切削工具ホルダ210、及び、切削工具ホルダ210と一体に形成される支持要素240と、切削工具ホルダ210と動的に係合するように適合された締結部材250とを含む固定配置によって各々が定位置に固定される、インサート座230上に設置された3つの切削インサート220を備える。
【0071】
切削工具200の設計は、切削工具1の設計と概して同様の設計であり、本例では、締結部材がインサート座230のねじを切られていない締結ボア236内に位置決めされたばねでバイアスされる固定ピン250によって構成されるという点での違いをもつ。加えて、切削インサートの固定部226bのテーパ角とショルダ242の側壁243bのテーパ角は、前の例とは異なる。本例では、上記の固定部226b及び側壁243は、固定ピン250を受け入れるために適合された直線円筒形スペース258を形成する。
【0072】
バイアスされた固定ピン250の作動機構は、参照により本明細書に組み入れられる出願人の米国特許出願第12/314,428号で開示されたもの、特に、上記の出願の明細書の中の図2A図44図47図49C、及び図59A図66Bに関する部分と概して同様のものである。
【0073】
しかしながら、上記で参照された出願において開示されたものとは対照的に、本出願における固定ピン250は、特に、切削インサート220と係合する側とは反対側で支持要素240によって支持され、したがってさらにもっと堅牢な構造体をもたらす。加えて、ショルダ242のために、固定ピンの直径は、上記で参照された出願において用いられる固定ピンの直径に対して減少されてもよく、これは、ショルダ242の費用でなされる。特定の例によれば、支持要素240を備えない上記で参照された出願において要求される6.5mmの直径とは対照的に、本出願の開示された主題の固定ピン250の直径は約5mmであってもよい。
【0074】
ここで図9A及び図9Bに移ると、全体を300として表される別の切削工具が示される。簡略化のため、切削工具1の要素と同様の要素を表す切削工具300の参照番号は300だけ増やされている。切削工具300は、切削工具ホルダ310、及び、切削工具ホルダ310と一体に形成される支持要素340と、切削工具ホルダ310と動的に係合するように適合された締結部材350とを含む固定配置によって各々が定位置に固定される、インサート座330上に設置された6つの切削インサート320を備える。
【0075】
切削工具300の設計は、切削工具200の設計と概して同様の設計であり、前の切削工具(200)とは対照的に、本切削工具300はアキシアル切削工具であり、6つの切削インサート320を備えるという違いをもつ。
【0076】
特に図10A図10Cに目を向けると、各インサート320は、割出し可能であり且つ逆にすることができる切削インサート320である。特に、各切削インサート320は、それぞれの上面322T及び下面322B、並びに、各側壁322Sに対して、1つは側壁322Sと上面324Tとの交差点、そして1つは側壁322Sと下面322Bとの間の交差点に、2つの切れ刃324T、324Bが画定されるように、上面322T及び下面322Bの間に延びる4つの側壁322Sと共に形成される。したがって、各切削インサート320には、8つの切れ刃、すなわち4つの上側切れ刃324Tと4つの下側切れ刃324Bが形成される。
【0077】
切削作動の間、切削インサート320の側壁322Sは、レーキ面として作用するように適合され、上面322T及び下面322Bは、逃がし面として作用するように適合される。
【0078】
切削インサート320は割出し可能であり且つ逆にすることができ、且つそれぞれ8つの切れ刃324T、324Bを有するので、その中央開口部323は、4つの上側切れ刃324Tに関連する4組の第1の固定部326a、326a’と、4つの下側切れ刃324Bに関連する付加的な4組の第1の固定部326a、326a’が形成される、独自の設計を有することがさらに観察される。切削インサート320はまた、4つの上側切れ刃324Tに関連する4組の第2の固定部326bと、4つの下側切れ刃324Bに関連する付加的な4組の第2の固定部326bと共に形成される。
【0079】
この特定の例において、固定部326a、326a’の各々がキャビティ323の内面の4つの側壁326Sのうちの1つによって構成され、固定部326bの各々が4つの丸みをつけられた角部326Rのうちの1つによって構成されるように、中央キャビティ323は概して四角形の形状であることが観察される。
【0080】
加えて、前の例とは対照的に、本例では、切削インサート320の側壁322Sは、僅かに突出するリッジR(図1A図4Bの例におけるような溝Gの代わりに)を有する。特に図11A及び図11Bを参照すると、これに対応して、切削工具ホルダ310のインサート座330の側壁334a、334bは、定位置に位置決めされるときに切削インサート320と適正に係合するように、合致する(負の)角度で内向きにテーパすることが認められる。
【0081】
切削工具300において、締結部材350は、切削工具200の固定ピン252と同様の様式で機能するように適合された固定ピン352であり、したがって、上記の例に関して詳細に説明されないであろう。
【0082】
ここで図12A図14Cに移ると、全体を400として表されるさらに別の切削工具が示される。簡略化のため、切削工具1の要素と同様の要素を表す切削工具400の参照番号は400だけ増やされている。切削工具400は、切削工具ホルダ410、及び、切削工具ホルダ410と一体に形成される支持要素440と、切削工具ホルダ410と動的に係合するように適合された締結部材450とを含む固定配置によって各々が定位置に固定される、インサート座430上に設置された6つの切削インサート420を備える。
【0083】
切削工具400の設計は、切削工具300の設計と概して同様の設計であり、これはタンジェンシャル切削工具であり、6つの切削インサート420を備えるという違いをもつ。
【0084】
図13A図13Cを参照すると、各切削インサート420は割出し可能であり且つ逆にすることができる。特に、各切削インサート420には、それぞれ上面422T及び下面422B、並びに、側壁422Sの各々に対して、1つは側壁422Sと上面424Tとの交差点、そして1つは側壁422Sと下面422Bとの間の交差点に、2つの切れ刃424T、424Bが画定されるように、上面422T及び下面422Bの間に延びる4つの側壁422S、422S’が形成される。したがって、各切削インサート420には、2つの上側切れ刃424Tと2つの下側切れ刃424Bとの4つの切れ刃が形成される。
【0085】
切削インサート420は割出し可能であり且つ逆にすることができ、且つそれぞれ4つの切れ刃424T、424Bを有するので、その中央開口部423には、4つの上側切れ刃424Tに関連する4組の第1の固定部426a、426a’と、4つの下側切れ刃424Bに関連する付加的な4組の第1の固定部426a、426a’が形成される、独自の設計を有することがさらに観察される。また、切削インサート420には、4つの上側切れ刃424Tに関連する4組の第2の固定部426bと、4つの下側切れ刃424Bに関連する付加的な4組の第2の固定部426bが形成される。
【0086】
加えて、前の例とは対照的に、本例では、側壁422Sにのみ切れ刃424T、424Bが形成され、したがってまた側壁422Sにのみ2組の溝G’が形成される。特に図14B及び図14Cを参照すると、これに対応して、切削工具ホルダ410のインサート座430の側壁434a、434bには、定位置に位置決めされるときに切削インサート420と適正に係合するように、溝G’内に受け入れられるように適合されたv字形状の突出部Pがそれぞれ形成されることが認められる。
【0087】
切削工具400において、締結部材450は、切削工具200の固定ピン252と同様の様式で機能するように適合された固定ピン452であり、したがって本出願のために詳細に説明されないであろう。図14Cに目を向けると、前の実施形態と同様に、支持要素440の側壁446は円筒形の形状を有し、これにより、切削インサート420がインサート座430上に設置されるときに、支持要素の側壁446と切削インサート420の固定部426bが、その中に固定ピン452が延びるように適合されるスペースを一緒に形成し、これにより切削インサート420を定位置に固定することが観察される。
【0088】
作動時に、切削インサート420の側壁422Sは、レーキ面として作用するように適合され、上面422T及び下面422Bは、逃がし面として作用するように適合される。
【0089】
ここで図15Aから図17Bまでに目を向けると、全体を500として表される別の切削工具が示される。簡略化のため、切削工具1の要素と同様の要素を表す切削工具500の参照番号は500だけ増やされている。切削工具500は、切削工具ホルダ510、及び、切削工具ホルダ510と一体に形成される支持要素540と、切削工具ホルダ510と動的に係合するように適合された締結部材550とを含む固定配置によって各々が定位置に固定される、インサート座530上に設置された6つの切削インサート520を備える。
【0090】
特に図16A図16Cを参照すると、切削工具500の設計は、切削工具400の設計と概して同様の設計であり、切削インサート520と切削工具ホルダ510のインサート座530の設計において違いをもつ。特に、切削工具500は6つの切削インサート520を備える。各切削インサート520は、割出し可能であり且つ逆にすることができる切削インサート520である。特に、各切削インサート520には、それぞれの上面522T及び下面522B、並びに、側壁522Sの各々に対して、1つは側壁522Sと上面524Tとの交差点、そして1つは側壁522Sと下面522Bとの間の交差点に、2つの切れ刃524T、524Bが画定されるように、上面522T及び下面522Bの間に延びる4つの側壁522Sが形成される。したがって、各切削インサート520には、8つの切れ刃、すなわち4つの上側切れ刃524Tと4つの下側切れ刃524Bが形成される。
【0091】
切削インサート520は割出し可能であり且つ逆にすることができ、且つそれぞれ8つの切れ刃524T、524Bを有するので、その中央開口部523は、前の例とは対照的に、切削インサート520の中央開口部523の設計は完全に対称であり、4組の第1の固定部526aと4組の第2の固定部526bが形成される、独自の設計を有することがさらに観察される。配置は、切削インサート520がインサート座530の中に設置されるときに、第1の固定部526aの各々が、支持要素540の対応する隅部545内に受け入れられるように適合されたv字形状のリッジの形態であるようなものである。
【0092】
そのうえ、各側壁522Sには、2つのv字形状のくぼみG’が形成され、配置は、切削インサート520がインサート座530上に設置されるときに、インサート座530の側壁534aに面する側壁522のくぼみG’が、側壁534aのv字形状のリッジP’と係合し、これにより切削インサート520を定位置にさらに固定するようなものであることが注目される。
【0093】
ここで図17A及び図17Bに目を向けると、ショルダ542には、側壁543a及び543bの間の切取角部Cが形成されることが観察される。切削インサート520がインサート座530上に設置されるときに、固定ピン552と係合する固定部526bと筋向かいに位置する第2の固定部526bは、ショルダ542の角部Cと係合することにも注目される。したがって、第2の固定部526bは、固定ピン552と係合する部分526bから筋向かいに位置するときに、ショルダ542のための固定部としても作用し、切削工具500全体の堅固さをさらに増加させることを理解されたい。
【0094】
切削工具500において、締結部材550は、切削工具200の固定ピン252と同様の様式で機能するように適合された固定ピン552であり、したがって上記の例に関して詳細に説明されないであろう。
【0095】
作動時に、切削インサート520の側壁522Sは、逃がし面として作用するように適合され、上面522T及び下面522Bは、レーキ面として作用するように適合される。
【0096】
ここで図18から図21までに移ると、全体を600で表される別の切削工具が示される。簡略化のため、切削工具1の要素と同様の要素を表す切削工具600の参照番号は600だけ増やされている。
【0097】
切削工具600の設計は、切削工具300の設計と概して同様の設計であり、少なくとも以下の要素における違いをもつ。
・固定ピン650の頭部656は、円形ではなくファセット形成される。この特定の例において、固定ピン650は8つのファセット653を有する。
・切削インサート620の第2の固定部626bは直線形であり、且つファセット653の角度γ及び固定ピン650の傾斜角δに対応する角度をなす。
【0098】
したがって、ファセット形成されたピン650を含む本切削工具600と、丸みをつけられた固定ピンを含む前述の切削工具(200、300、400、及び500)との間の違いは、本切削工具600では、固定ピン650と切削インサート620の固定部626bとの間の接触部が単一の接触線に沿ってではなく2つの表面に沿って提供されることであることが分かる。
【0099】
そのうえ、ばねをバイアスすることによってそれにかかる力と支持要素640からの圧力により、その軸を中心として自発的に回転することによって、固定ピン650のファセット653が、そのファセット653のうちの1つを固定部626bに対して位置合わせすることを可能にする。
【0100】
一般に、ファセット形成された固定ピン650の作動の様式及び利点は、引用により本明細書に組み入れられる出願人の米国特許出願第12/314,428号で開示されたファセット形成されたピン、特に、上記の出願の明細書の中の図59A図65に関する部分と同様のものである。
【0101】
ここで図22A図23に移ると、全体を700で表されるさらに別の切削工具が示される。簡略化のため、切削工具1の要素と同様の要素を表す切削工具700の参照番号は700だけ増やされている。切削工具700は、切削工具ホルダ710、及び、切削工具ホルダ710と一体に形成される支持要素740と、切削工具ホルダ710と動的に係合するように適合された締結部材750とを含む固定配置によって各々が定位置に固定される、インサート座730上に設置された9つの切削インサート720を備える。
【0102】
切削工具700と切削工具200の設計は、前述の切削工具200の設計と概して同様の設計であり、本例では、切削工具ホルダ710の設置部712bに3つの設置パス715が形成され、各設置パスは、順に、各々がその中に切削インサート720を受け入れるように適合されている3つの順次のインサート座730、730、730によって構成されるという違いをもち、これは、各螺旋に1つのみのインサート座230が形成される切削工具200とは対照的である。したがって、切削インサート720がインサート座730上に設置されるときに、3つの切削インサート720の切れ刃724が単一の設置パス715に沿って配置されて連続する切れ刃725を形成することが注目される。
【0103】
特に、図22Bへの参照を行うと、切削インサート720が切削パス715上に設置されるときに、1つの切削インサート720の切れ刃724が、連続する切れ刃724が形成されるようにその下に位置する切削インサート720の切れ刃724に重なることが注目される。この重なりdはまた、切削インサート720を保護するのに有用である。2つの隣接する切削インサート720、720の間に僅かなギャップεが延びることも観察される。このギャップは不可欠なものであり、切削インサート720の製造中に生じた許容誤差の種々の差異に対処することを可能にする。
【0104】
切削工具700に用いられる切削インサート720は、切削工具200に用いられる切削インサート220と概して同様のものである、すなわち、それらは同様の構成を有し、且つ切削インサート220と同様に、それらも割出し可能である。
【0105】
ここで図24A及び図24Bに移ると、全体を800で表されるまた別の切削工具が示される。簡略化のため、切削工具1の要素と同様の要素を表す切削工具800の参照番号は800だけ増やされている。
【0106】
切削工具800の設計は、切削工具700の設計と概して同様の設計であり、その切削インサート820が粗いフライス削りのために意図されるという違いをもつ。したがって、切削インサートの切れ刃824は直線形ではなく、むしろ山C及び谷Tを有する正弦波形である。
【0107】
切削インサート820が粗いフライス削りのために意図されるので、2つの隣接する切削インサート820、820の切れ刃824、824が連続する切れ刃815を形成することは強制的なことではない。したがって、本切削工具800は、設置パス815に沿った切削インサート820の位置決めにおいてより大きな融通性を与える。
【0108】
ここで特に図25に目を向けると、被工作物WPと接触する間のタンジェンシャル切削工具の1つの例示的な切削インサートCIが示される。切削インサートCIが被工作物WPと接触していくときに、被工作物WPによって切削インサートCIに力F1がかかって、切削インサートCIがF1の方向に僅かに弾力的に変形する、すなわち寸法が若干縮む。切削工具(図示せず)の回転により被工作物WPから係合解除されると、切削インサートCIは、その元の寸法に戻ろうとする、すなわち反対方向のF2で弾性変形する。切削工具は約1500RPMの速度で回転し、こうした弾性変形は繰返し且つ積極的に起こることを考慮に入れている。
【0109】
したがって、切削インサートCIが被工作物WPと接触していき、次いでそこから係合解除されるたびに、切削インサートCIはコイルばねのように挙動する。切削インサートCIが「再コイリング(re−coiling)」されると、切削インサートCIは方向F2に付勢され、インサート座の側壁から係合解除「しようとする」。しかしながら、本例によれば、支持要素(ショルダ)は、常に切削インサートの中央開口部内の鋭角θに対応する鋭角θをなして形成され、方向F2への切削インサートCIのあらゆる横方向移動を防止するように配置される。
【0110】
上記の配置の下で、支持要素は、インサート座の側壁とは反対方向の切削インサートCIの横方向移動を防止することを担うので、締結部材の務めは、大部分は、切削インサートCIがインサート座のベース面から及び支持要素から係合解除されるのを防止することである。したがって、支持要素と締結部材との両方を採用する本切削工具では、締結部材の寸法は、締結部材のみを備える対応する切削工具の寸法に対してかなり小さくてもよい。
【0111】
上記で説明された例示的なインサート、特に鋭角θ、その作動様式、及びこれにより提供された利点は、本出願の開示された主題のすべての切削工具(図1A図24Bにおける前述のすべての例、及び図26A図35Cで説明される例)にあてはまることを理解されたい。
【0112】
ここで図26A図27Bに移ると、全体を1000で表される別の切削工具が示される。簡略化のため、切削工具1の要素と同様の要素を表す切削工具1000の参照番号は100だけ増やされている。切削工具1000は、切削工具ホルダ1010、及び、切削工具ホルダ1010と一体に形成される支持要素1040と、切削工具ホルダ1010と動的に係合するように適合された締結部材1050とを含む固定配置によって各々が定位置に固定される、インサート座1030上に設置された3つの切削インサート1020を備える。
【0113】
特に図26Cを参照すると、切削工具1000の設計は、前の切削工具の設計と概して同様の設計であり、この切削工具1000では、支持要素の角度θ(約30°)は前の例におけるよりも鋭角であるという違いをもつ。切削インサート1020が切削工具ホルダ1010の座1030上に設置された後で、且つ締結部材1050が切削工具ホルダ1010に締結されるときに、これが切削インサート1020を概して上向きの軸方向に沿って押す力Fをかけることが観察される。切削インサート1020のこの上向きの軸方向移動が、それぞれ固定部1026a、1026a’(図27A、27Bに示される)を支持要素1040の側壁1043bのアンダーカット1043b’と係合させる。この係合と鋭角θのために、力Fの適用が、支持要素1040によって切削インサート1020に力Fをかけ、これを付勢して概して横方向に変位させる。2つの力F及びFの結果として得られる組み合わされた力Fが、側壁1034a及び1034bの間のインサート座1030の角度に向けられ、したがって切削インサート1020を定位置に堅固に固定する。
【0114】
図27A及び図27Bを参照すると、切削インサート1020は、前述の切削インサート820の設計と同様の設計を有するが、しかしながら、その固定部1026a及び1026a’は、特に支持要素1040と係合するように設計される。特に、固定部1026aは、アンダーカット1043b’の形状と合致するように設計され、固定部1026a’は、支持要素1040の側壁1043a(図示せず)の形状と合致するように設計される。
【0115】
切削作動の間、切削インサート20の側壁1022Sは、レーキ面として作用するように適合され、上面1022Tは、逃がし面として作用するように適合される。
【0116】
すべての他の態様において、切削工具1000、切削工具ホルダ1010、及び切削インサート1020は、前述の切削工具1、100、200、700、及び800とほとんど同じ様式で作動する。
【0117】
ここで図28Aから図28Dまでに目を向けると、全体を1100として表される切削工具が示される。簡略化のため、切削工具1の要素と同様の要素を表す切削工具1100の参照番号は、1100だけ増やされている。切削工具1100は、切削工具ホルダ1110、及び、切削工具ホルダ1110としっかりと係合する支持要素1140と、切削工具ホルダ1110と動的に係合するように適合された締結部材1150とを含む固定配置によって各々が定位置に固定される、インサート座1130上に設置された6つの切削インサート1120を備える。締結部材1150は、前述の切削工具1に用いられるものと同様のねじである。
【0118】
切削工具1100の設計は、切削工具1000の設計と概して同様の設計であり、この切削工具1100では、支持要素1140は、切削工具ホルダ1110と一体に形成されないが、むしろ、切削工具ホルダ1110に取り外し可能な様式で取り付け可能であるという違いをもつ。特に、支持要素1140は、切削工具ホルダ1110のインサート座1130の中に形成された対応する支持ボア1137の中にねじ込まれるように適合されたねじ1142である。
【0119】
ねじ1142は、支持ボア1137の中にねじ込まれるように適合されたねじを切られた係合部1144と、切削インサート1120が切削工具1110上に設置されるときに切削インサート1120の対応する固定部1126aと係合するように適合された固定部1146aとを有する。固定部1146aは、支持要素1130がそれに設置されるときに座1130から遠ざかる方向に直径が増加する、すなわち座1130のベース面1132から遠い第1の直径Dとベース面1132に近い第2の直径D<Dとの間で画定される、円錐形の形状である。
【0120】
ねじを切られた部分1144と固定部1146aは、ねじを切られた部分の直径Dよりも大きい直径Dを有する中間部1146bによって互いから分離され、これにより、支持要素1140が座1130上に設置されるときに、中間部1146bの下面1149が切削工具ホルダ1110の座1130のベース面1132に当接する。これは、支持要素1140の固定部1146aに、その上に設置されたときの切削インサート1120に対する堅固な支持を提供することを可能にする。
【0121】
上記の設計は、とりわけ、切削工具ホルダ1110の製造を少なくとも簡素化する利点を提供する。前の実施形態に関して説明したように一体の支持要素を形成することは、かなりの作業及び時間量を要求し、一方、切削工具1100の本実施形態では、支持要素1140を提供するために要求されるのは、締結部材1150を受け入れるために適合されたねじを切られた締結ボア1136に加えて、座1130のベース面1132の別のねじを切られたボア(1137)を形成することのみである。
【0122】
ここで図29に移ると、切削インサート1120が切削工具ホルダ1110の座1130上に設置された後で、且つ締結部材1150が切削工具ホルダ1110に締結されるとき、これが切削インサート1120を概して上向きの軸方向に沿って押す力Fをかけることが観察される。切削インサート1120のこの上向きの軸方向移動がその固定部1126a(図30A図30Eに示される)を支持要素1140の固定部1146aと係合させる。この係合は、中心線CLに対して角度θの角度を成して位置する接触線C(図28Eにも示される)に沿って生じる。この係合と鋭角θのために、力Fの適用が、支持要素1140によって切削インサート1120に力Fをかけ、これを付勢して概して横方向に変位させる。2つの力F及びFの結果として得られる組み合わされた力Fが、側壁1134a及び1134bの間のインサート座1130の角度に向けられ、したがって切削インサート1120を定位置に堅固に固定する。
【0123】
ここで図30Aから図31Bまでに移ると、上面1122T及び下面1122Bとそれらの間に延びる側面1122S、1122S’とを有する本体1121と共に形成された切削インサート1120が示され、4つの切れ刃1124は、側面1122Sと上面1122T及び下面1122Bとの間の交差点に画定される。本体1121には、それぞれ上面1122T及び下面1122Bに開口部1123T、1123Bを有する中央キャビティ1123がさらに形成され、キャビティは、上面1122T及び下面1122Bと概して垂直に延びる中心軸Xを中心として画定される。側壁1122Sの各々には、インサート座1130の対応する側壁1134a(図28Cに示される)と係合するように適合されたv字形状の溝G’が形成される。
【0124】
切削作動の間、切削インサート1120の側壁1122Sは、レーキ面として作用するように適合され、上面1122T及び下面1122Bは、逃がし面として作用するように適合される。
【0125】
キャビティ1123は、切削インサート1120が切削工具ホルダ1110上に設置されるときに、それぞれ支持要素1140及び締結部材1150と係合するために適合された、第1の組の固定部1126aと第2の組の固定部1126bとを有する切削インサート1120の内面1125を画定する。
【0126】
切削インサート1120は、その内面1125が4つの隣接する区域によって構成されるように設計され、各区域は、切削インサート1120の上面1122Tと下面1122Bとの間に延び、各々のこうした区域は、切削インサートの1つの面(上側又は下側)に隣接する第1の固定部1126aと、切削インサートの反対の面に隣接する第2の固定部1126bによって構成される。区域は、相対する様式で配置される、すなわち上面1122Tに隣接する第1の固定部1126aを有する区域に対して、その右側及び左側上の2つの隣接する区域は、下面1122Bに隣接するそれらの第1の固定部1126aを有するであろう。したがって、同じことが第2の固定部1126bにあてはまる。
【0127】
上記の設計のために、及び、支持要素1140と係合するように適合された固定部1126aの寸法が締結部材1150と係合するように適合された第2の固定部1126bの寸法よりも大きいので、上側開口部1123Tと下側開口部1123Bは同じ形状を有するが、他の1つの鏡像であることにも注目される。
【0128】
前の例と同様に、内側キャビティ1123は、切削インサート1120が切削工具ホルダ1110上に設置されるときに、支持要素1140と締結部材1150との両方をその中に収容するのに十分なだけ大きい。
【0129】
特に図31A及び図31Bを参照すると、切削インサート1120は、切削工具ホルダ1110上に設置され、且つ第1の固定部1126aと支持要素1140との間で係合が生じるときに、内面1125の同じ区域の第2の固定部1126bが支持要素1140の中間部1146bと接触していかないように、すなわち固定部1126bと中間部1146bとの間にギャップtが延びるように設計されることが注目される。
【0130】
ここで図32Aから図32Dまでに目を向けると、全体を1200として表される切削工具が示される。簡略化のため、切削工具1100の要素と同様の要素を表す切削工具1200の参照番号は100だけ増やされている。切削工具1200は、切削工具ホルダ1210、切削工具ホルダ1210としっかりと係合する支持要素1240と、切削工具ホルダ1210と動的に係合するように適合された締結部材1250とを含む固定配置によって各々が定位置に固定される、インサート座1230上に設置された6つの切削インサート1220を備える。
【0131】
切削工具1200と前述の切削工具1100との間の違いは、締結部材1250は、ねじではない(図28Aに示された1152)が、むしろ切削工具200、300、400などの固定ピンと同様の固定ピン1252であり、そこで説明されたのとほとんど同じ様式で作動することである。
【0132】
切削工具1100と1200との間の別の違いは、支持要素1240が、直線形の中間部(図28Dに示された1146a)とは対照的に、円錐形の中間部1246bと共に設計されることである。中間部1246bは、ベース面1232から遠い地点におけるよりも座1230のベース面1232に隣接する地点においてより大きい直径を有する。これは、支持要素1250を前述のものよりも堅牢な構造体にする。
【0133】
図33A図33Dに移ると、切削インサート1220の設計は、前述の切削インサート1120の設計と概して同様のものである、すなわち内面1225はまた、支持要素1240と係合するように適合され且つ上面1222T及び下面1222Bのうちの1つに隣接する第1の固定部1226aと、締結部材1250と係合するように適合され且つ第1の固定部1226aが隣接する面とは反対側の面に隣接する第2の固定部1226bとを各々が有する、4つの区域によって構成されることが観察される。
【0134】
切削インサート1220は、上面1122Tに隣接する第1の固定部1126aを有する区域に対して、その右側及び左側上の2つの隣接する区域が下面1122Bに隣接するそれらの第1の固定部1126aを有する、相対する設計を同様に維持する。したがって、同じことが第2の固定部1126bにあてはまる。
【0135】
切削作動の間、切削インサート1220の側壁1222Sは、レーキ面として作用するように適合され、上面1222T及び下面1222Bは、逃がし面として作用するように適合される。
【0136】
ここで図34A図34Cに移ると、前述の切削工具700の設計と概して同様の設計である、全体を1300で表される別の切削工具が示される。簡略化のため、切削工具700の要素と同様の要素を表す切削工具1300の参照番号は、600だけ増やされている。切削工具1300は、切削工具ホルダ1310と、インサート座1330上に設置された、3つの列(a)、(b)、及び(c)における、1列あたり3つの切削インサート1320の、9つの切削インサート1320とを備え、各切削インサートは、切削工具ホルダ1310としっかりと係合する支持要素1340と、切削工具ホルダ1310と動的に係合するように適合された締結部材1350とを備える固定配置によって定位置に固定される。
【0137】
切削工具1300と前述の切削工具700との間の違いは、各列における切削インサート1320の配置である。特に、切削工具ホルダ1310の支持要素1340は、同じ列における2つの隣接する切削インサート1320の間の重なりεが列から列へと変化するように設計される。重なりεにおける変化は、各列の座1330の僅かに異なる設計、特に、支持要素1340の位置によって達成される。
【0138】
したがって図35Aから図35Cまでに目を向けると、各列の第2の切削インサートと第3の切削インサートとの間の領域、すなわち、それぞれ1320aと1320a、1320bと1320b、及び1320cと1320cが示される。すべての3つの列において、同じ列の2つの隣接する切削インサート1320の間にギャップnが存在することが最初に観察される。第1の列(a)における第2の切削インサート1320aの上の第3の切削インサート1320aの重なりεは、第2の列(b)における第2の切削インサート1320bの上の第3の切削インサート1320bの重なりεよりも小さく、順に、第3の列(c)における第2の切削インサート1320bの上の第3の切削インサート1320bの重なりεよりも小さいことがさらに観察される。
【0139】
上記の設計は、切削工具1300がその軸を中心とした回転を保つので、1つの列の切削インサート1320によって被工作物(図示せず)から除去されないあらゆる材料が後の列によって除去され、以下同様となるように、切削工具1300が作動することを可能にする。
【0140】
一般に、上記の切削工具1、100、200、300、400、500、600、700、800、1000、1100、1200、及び1300のすべてに関して、変位可能な締結部材と固定された支持要素との両方をその中に収容する切削インサートの使用は、とりわけ、少なくとも以下の利点を提供する。
・切削インサートの中央開口部内に延び、これにより切削インサートをインサート座のベース面及び/又はインサート座の側壁だけでなく、付加的な部材、すなわち支持要素にも固定し、切削インサートの非常に堅固な固定を可能にする、材料の連続するライン。
・締結部材によってかけられる力の大部分は、座のベース面からの切削インサートの係合解除の防止に向けられ、一方、インサート座のベース面に沿った切削インサートの横方向の変位を防止するのに必要な力の残りは、切削工具ホルダに据え付けられる支持要素によって利用される。
・切削インサートをインサート座の側壁のうちの1つの方に同時にバイアスしながら、切削インサートをインサート座のベース面に押し当て、これによりその横方向移動も防止する、くさび形機構。
【0141】
切削工具1、100、200、300、400、500、600、700、800、1000、1100、及び1200、及び/又は図1Aから図35Cに示されたものに関する前述のほとんどの原理及び特徴は、それらが説明され/図示されることに関連して、それらの切削工具(1、100、200、300、400、500、600、700、800、1000、1100、及び1200)に制約されず、且つ当業者によって適切であると考えられるあらゆる組合せで、必要な変更を加えて、互いに又はあらゆる他の工具に独立してあてはめてもよいことは明らかである。
【0142】
本発明に関係する当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、必要な変更を加えて、多くの変化、変形、及び修正を行うことができることをすぐに理解するであろう。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図12D
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図15C
図15D
図16A
図16B
図16C
図17A
図17B
図18
図19
図20A
図20B
図20C
図21
図22A
図22B
図23
図24A
図24B
図25
図26A
図26B
図26C
図27A
図27B
図28A
図28B
図28C
図28D
図28E
図29
図30A
図30B
図30C
図30D
図30E
図31A
図31B
図32A
図32B
図32C
図32D
図33A
図33B
図33C
図33D
図33E
図34A
図34B
図34C
図35A
図35B
図35C