(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6014729
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】時計用制動ホイールアセンブリ
(51)【国際特許分類】
G04B 13/02 20060101AFI20161011BHJP
【FI】
G04B13/02 Z
【請求項の数】15
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-144643(P2015-144643)
(22)【出願日】2015年7月22日
(65)【公開番号】特開2016-24201(P2016-24201A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2015年7月22日
(31)【優先権主張番号】14178403.3
(32)【優先日】2014年7月24日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591048416
【氏名又は名称】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ラファエル・クルヴォワジエ
【審査官】
深田 高義
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−168178(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計用制動ホイールアセンブリ(1)であって、
前記時計用制動ホイールアセンブリ(1)はアーバ(2)を含み、
前記アーバは、前記アーバ上に枢軸(D)の周りで枢動可能に設置されたホイール(5)の第2の表面(4)と協働して枢動を案内する第1の表面(3)を備え、
前記第1の表面(3)又は前記第2の表面(4)は、少なくとも1つの第1の弾性復元手段(13)の作用を受ける少なくとも1つの第1のアーム(30)が備える少なくとも1つの制動表面(11)を含み、
前記少なくとも1つの第1の弾性復元手段(13)は、前記アーバ(2)又は前記ホイール(5)と一体であり、前記第2の表面(4)又は前記第1の表面(3)上に前記枢軸(D)に対して径方向の力を印加するよう配設され、
前記制動ホイールアセンブリ(1)は、前記第2の表面(4)又は前記第1の表面(3)に対して前記制動表面(11)が印加する摩擦の段階的な値調整のための内蔵型手段(14)を含む、時計用制動ホイールアセンブリ(1)。
【請求項2】
前記第1の表面(3)又は前記第2の表面(4)は、互いから別個に、枢軸(D)の周りに前記第2の表面(4)又は前記第1(3)の表面の所定の遊びを有する少なくとも1つの案内表面(10)と、少なくとも1つの前記制動表面(11)とを含む、請求項1に記載の時計用制動ホイールアセンブリ(1)。
【請求項3】
前記内蔵型調整手段(14)は、制動シュー(12)が前記制動表面(11)とは反対側に備える相補的軸受表面(17)と当接して推力によって協働するよう配設される、軸受表面(18)を含む、請求項1に記載の制動ホイールアセンブリ(1)。
【請求項4】
前記内蔵型調整手段(14)は、前記軸受表面(18)を備える少なくとも1つの第2のアーム(19)を含み、
前記第2のアーム(19)は、第1の側において前記枢軸(D)に対して径方向に制限され、前記第1の側とは反対側の第2の側において、前記アーバ(2)若しくは前記ホイール(5)に対する複数の別個の位置のうちの1つを取るよう配設された調整デバイス(20)に当接するか、又は第2の弾性復元手段(16)によって前記制動シュー(12)の相補的軸受表面(17)に向かって押し戻される、請求項3に記載の制動ホイールアセンブリ(1)。
【請求項5】
前記第2のアーム(19)は、前記第2の弾性復元手段(16)によって、前記制動シュー(12)の前記相補的軸受表面(17)に向かって押し戻され、
前記第2のアームは、前記第2の弾性復元手段(16)の復元作用を受ける、前記アーバ(2)又は前記ホイール(5)が備える複数のノッチ(23)のうち一度に1つの前記ノッチ(23)と協働するよう配設された少なくとも1つのフィンガピース(15)又は少なくとも1つのノッチ(23)を含み、
各前記ノッチ(23)は異なる摩擦調整値に対応する、請求項4に記載の制動ホイールアセンブリ(1)。
【請求項6】
前記制動シュー(12)は、前記少なくとも1つの第1の弾性復元手段(13)の作用及び前記第2の弾性復元手段(16)の作用の両方を受ける、請求項5に記載の制動ホイールアセンブリ(1)。
【請求項7】
前記第2の弾性復元手段(16)は、前記アーバ(2)又は前記ホイール(5)と一体である、請求項4に記載の制動ホイールアセンブリ(1)。
【請求項8】
前記第1の弾性復元手段(13)が前記制動シュー(12)に印加するトルクは、前記第2の弾性復元手段(16)が印加するトルクよりも大きい、請求項4に記載の制動ホイールアセンブリ(1)。
【請求項9】
前記第2のアーム(19)は、前記第2のアーム(19)とは反対側の前記枢軸(D)に対して径方向に制限され、前記調整デバイス(20)に当接し、
前記調整デバイス(20)は、別個の複数の位置における偏心調整を含む、請求項4に記載の制動ホイールアセンブリ(1)。
【請求項10】
前記ホイール(5)は、単結晶又は多結晶シリコン製である、請求項1に記載の制動ホイールアセンブリ(1)。
【請求項11】
前記アーバ(2)はルビー製である、請求項1に記載の制動ホイールアセンブリ(1)。
【請求項12】
前記制動ホイールアセンブリ(1)は、2つの構成部品、即ち前記アーバ(2)及び前記ホイール(5)のみを備える、請求項1に記載の制動ホイールアセンブリ(1)。
【請求項13】
前記アーバ(2)は、前記制動ホイールアセンブリ(1)が組み込まれた時計機構又はムーブメントが備える地板又は受けに固定して設置される、請求項1に記載の制動ホイールアセンブリ(1)。
【請求項14】
請求項1に記載の制動ホイールアセンブリ(1)を少なくとも1つ含む、時計機構(100)。
【請求項15】
請求項1に記載の制動ホイールアセンブリ(1)を少なくとも1つ含む、時計(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の表面を備えるアーバを含む、時計用制動ホイールアセンブリに関する。このアーバは、上記アーバ上に枢軸の周りで枢動可能に設置されたホイールの第2の表面と協働して枢動を案内する第1の表面を備える。上記第1の表面又は上記第2の表面は、少なくとも1つの第1の弾性復元手段の作用を受ける少なくとも1つの制動シューが備える少なくとも1つの制動表面を含み、上記少なくとも1つの第1の弾性復元手段は、上記アーバ又は上記ホイールと一体であり、上記第2の表面又は上記第1の表面上に上記枢軸に対して径方向の力を印加するよう配設される。
【0002】
本発明はまた、少なくとも1つの上述のような時計用制動ホイールアセンブリを含む時計機構にも関する。
【0003】
本発明はまた、少なくとも1つの上述のような時計用制動ホイールアセンブリを含む時計にも関する。
【0004】
本発明は時計機構の分野に関し、より具体的には歯車列に関する。
【背景技術】
【0005】
時計学において、特に例えば小型の秒ディスプレイのために特に追加のモジュール又はプレートを使用する場合、密接タイプでない歯車列を使用しなければならなくなることは普通である。
【0006】
例えば、アーバを、又は歯車列ホイールセットのうちの1つが有するホイールを押圧する板ばねの押圧力によって、少なくとも1つのホイールを制動することは公知である。このような制動は確かに、ユーザが歯車の遊びを視認できないようにするものの、有意な摩擦及び摩耗を生成する。実際には、制動力はある運動から別の運動まで一定ではなく、これは過度の制動力を使用する必要が生じ得ることを意味する。
【0007】
ある代替例は、磁性による制動からなるが、これは時計ムーブメントにおいて常に望ましいわけではない。
【0008】
可撓性歯部の使用は洗練された解決策であり、制動はこの歯部上で発生するが、これは高価である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、歯車列、特に密接タイプでない歯車列における角度的な遊びの問題に、摩擦を使用することによって対処することを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のために、本発明は、時計用制動ホイールアセンブリに関する。この時計用制動ホイールアセンブリはアーバを含み、このアーバは、上記アーバ上に枢軸の周りで枢動可能に設置されたホイールの第2の表面と協働して枢動を案内する第1の表面を備える。上記第1の表面又は上記第2の表面は、少なくとも1つの第1の弾性復元手段の作用を受ける少なくとも1つの第1のアームが備える少なくとも1つの制動表面を含み、上記少なくとも1つの第1の弾性復元手段は、上記アーバ又は上記ホイールと一体であり、上記第2の表面又は上記第1の表面上に上記枢軸に対して径方向の力を印加するよう配設される。この時計用制動ホイールアセンブリは、上記制動ホイールアセンブリが、上記第2の表面又は上記第1の表面に対して上記制動表面が印加する摩擦の離散値調整のための内蔵型手段を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明の特徴によると、上記第1の表面又は上記第2の表面は、互いから別個に、枢軸の周りに上記第2の表面又は上記第1の表面の所定の遊びを有する少なくとも1つの案内表面と、少なくとも1つの上記制動表面とを含む。
【0012】
本発明はまた、少なくとも1つの上述のような時計用制動ホイールアセンブリを含む時計機構にも関する。
【0013】
本発明はまた、少なくとも1つの上述のような時計用制動ホイールアセンブリを含む時計にも関する。
【0014】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読むことにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態による制動ホイールアセンブリの、枢軸に対して垂直な平面を通る概略断面図である。この制動ホイールアセンブリはアーバで形成され、このアーバ上では、一方では案内表面、他方では制動表面を用いてアーバと協働するホイールが枢動し、上記制動表面は、離散値調整のための手段の作用下で調整可能な摩擦力を印加する弾性復元手段の作用下で、径方向の求心力をアーバに印加する。
【
図2】
図2は、上記第1の実施形態の変形例の、
図1と同様の図である。
【
図4】
図4は、アーバに対して略同心の複数の湾曲アームを有する第3の実施形態の、
図1と同様の図である。
【
図5】
図5は、ホイールのリム上に密接してアーバをクランプ留めする2つのアームを有する第4の実施形態の、
図1と同様ではあるが断面図ではない図である。これらのアームはそれぞれ、ホイールに組み込まれた第2の弾性復元手段によって印加される求心性の径方向推力を受ける。
【
図6】
図6は、制動表面とは独立したアーバのための固定案内表面もホイール上に含む第5の実施形態の、
図5と同様の図である。
【
図7】
図7は、1つの上述のような制動ホイールアセンブリを含む機構を備える時計のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、時計用歯車列の分野に関する。
【0017】
本発明は、アーバ2と、上記アーバ2上に枢軸Dの周りで枢動可能に設置されたホイール5とを含む、時計用制動ホイールアセンブリ1に関する。
【0018】
アーバ2は、ホイール5の第2の表面4と協働して枢動を案内する第1の表面3を含む。
【0019】
第1の表面3又は第2の表面4は、少なくとも1つの第1の弾性復元手段13の作用を受ける少なくとも1つの第1の制動アーム30が支持する少なくとも1つの制動表面11を含む。この第1の弾性復元手段13は好ましくはアーバ2又はホイール5と一体であり、第2の表面4又は第1の表面3上に枢軸Dに対して径方向の力を印加するよう配設される。
【0020】
第1の弾性復元手段13は有利には弾性ストリップであり、これは上記ストリップの遠位端に片持ち式で、即ち金槌の柄に対する頭部のように設置された制動シュー12よりも高い可撓性を有する。可撓性ストリップの、制動シューとは反対側の端部は、
図1〜4に図示したケースではホイール5の構造体である対応する構造体に埋め込まれている。
【0021】
本発明によると、第2の表面4又は第1の表面3に対して制動表面11が印加する摩擦の離散値調整のための内蔵型手段14を含む。
【0022】
従って、理論的には、ホイール5の構成部品がアーバの連続した表面を押圧すること及びその逆の両方によって摩擦を保証できることがわかる。実装の容易さから、そして小寸法で極めて単純な幾何学的構造のアーバの利用によって得られる利点から、ホイール5の構成部品がアーバの連続した表面に摩擦を印加する構成において本発明を更に具体的に例示する。ここで有利には、上記アーバを、ルビー、セラミック、カーバイド、高速度工具鋼等の極めて硬質の材料で製造できる。
【0023】
本発明の特定の特徴によると、
図1〜4に示すように、第1の表面3又は第2の表面4は、互いから別個に、枢軸Dの周りに上記第2の表面4又は上記第1の表面3の所定の遊びJを有する少なくとも1つの案内表面10と、少なくとも1つの第1の弾性復元手段13の作用を受ける第1のアーム30の遠位端において少なくとも1つの制動シュー12が備える少なくとも1つの上述のような制動表面11とを含む。この第1の弾性復元手段13は好ましくはアーバ2又はホイール5と一体であり、第2の表面4又は第1の表面3上に枢軸Dに対して径方向の力を印加するよう配設される。
【0024】
限定的なものではない図示した実施形態では、これら内蔵型調整手段14は少なくとも1つの軸受表面18を含み、上記少なくとも1つの軸受表面18は、制動シュー12が制動表面11とは反対側に備える相補的軸受表面17と当接して、推力によって協働するよう配設される。
【0025】
図1〜3は特に、上述のような軸受表面18を備える少なくとも1つの第2の可撓性アーム19を含む、内蔵型調整手段14を示す。
【0026】
この第2のアーム19は、
図3に示すように、第1の側において枢軸Dに対して径方向に制限され、上記第1の側とは反対側の第2の側において、アーバ2に対する(又はホイール5に対する)複数の別個の位置のうちの1つを取るよう配設された調整デバイス20に当接するか、又は
図1、2に示すように、第2の弾性復元手段16によって制動シュー12の相補的軸受表面17に向かって押し戻される。
【0027】
図1、2は制動ホイールアセンブリ1を示し、第2のアーム19は、第2の弾性復元手段16によって、制動シュー12の相補的軸受表面17に向かって押し戻されている。この第2のアーム19は、第2の弾性復元手段16の復元作用を受ける、アーバ2又はホイール5が備える複数のノッチ23のうち一度に1つのノッチと協働するよう配設された少なくとも1つのフィンガピース15(又はノッチ)を含み、図示したケースにおいては、各上記ノッチ23は異なる摩擦調整値に対応する。
図1、2は、動作後にフィンガピース15を所定の位置に保持するよう配設された、櫛状又は歯部状の一連のノッチ23を示す。
【0028】
第2の弾性復元手段16は有利には可撓性ストリップであり、これは上記ストリップの遠位端に片持ち式で、即ち金槌の柄に対する頭部のように設置されたフィンガピース15よりも高い可撓性を有する。可撓性ストリップの、フィンガピースとは反対側の端部は、図示したケースではホイール5の構造体である対応する構造体に埋め込まれている。
【0029】
ある有利な実施形態では、制動シュー12は、少なくとも1つの第1の弾性復元手段13の作用及び第2の弾性復元手段16の作用の両方を受ける。
【0030】
第2の弾性復元手段16は、制動シュー12用の単純な移動終点停止部材を形成でき、
図1に示すように、制動シュー12の相補的軸受表面17は第2のアーム19の軸受表面18に単に当接する。この場合、第2の弾性復元手段16は基本的に、フィンガピース15の運動を可能とし、かつ特定の摩擦値に関して選択されたノッチ23とフィンガピース15との協働を可能とすることによって、摩擦調整のために使用される。
【0031】
図2は、制動シュー12に径方向求心力Fを印加することによって摩擦に寄与するためにも第2の弾性復元手段16を利用できることを示している。好ましくは、第1の弾性復元手段13が制動シュー12に印加するトルクは、第2の弾性復元手段16が印加するトルクよりも大きい。
【0032】
有利には、第2の弾性復元手段16は、アーバ2又はホイール5と(図示したケースにおいてはホイール5と)一体である。
【0033】
図3の変形例では、第2のアーム19は第2のアーム19とは反対側の枢軸Dに対して径方向に制限され、調整デバイス20に当接する。この調整デバイス20は、例えばホイール5上で枢動する偏心円21の使用による、別個の複数の位置における偏心設定を含む。ノッチ等を用いて、偏心円21をホイール5上の複数の異なる角度位置に停止させることができる。
【0034】
弾性復元手段、制動シュー、アーム、ノッチの形状は極めて多様であってよい。従って
図4は、アーバ2に対して略同心の複数のアーム及び屈曲したストリップを備える第3の実施形態を示す。
【0035】
図5は、2つのアーム30を備える第4の実施形態を示し、これらアーム30は
図1〜4のアームのように片持ち配置ではなく、取り付け地点51、52、53、54間でホイール5のリム上に密接した状態に保持され、アーバ2をクランプ留めする。これらアーム30はそれぞれ、ホイール5に組み込まれた第2の弾性復元手段16によって印加される求心性の径方向推力を受ける。アーバ2は2つの制動表面11によって案内され、他の実施形態の案内表面4のような、案内を目的とした表面は存在しない。内蔵型調整手段14のこのような配置は、既に提示した他の実施形態と同様である。当然のことながら、この変形例に更に多数のアームを設けることもできる。
【0036】
図6の第5の実施形態で示すように、この第4の実施形態を、制動表面11とは独立した、固定アーム31によって支持される固定案内表面4と組み合わせることも考えられる。
【0037】
当然のことながら、本発明によるアセンブリ1は、特に枢軸Dの周りに均等に分布する、複数の制動表面11を含んでよい。
【0038】
有利な実施形態では、この実施形態が非磁性のものであるため、ホイール5を単結晶若しくは多結晶シリコン、又はフォトリソグラフィ法若しくは「MEMS」若しくは「LIGA」等のプロセスで使用される同様の材料で作製する。
【0039】
有利な実施形態では、アーバ2はルビー製である。
【0040】
好ましくは、本発明による制動ホイールアセンブリ1は、2つの構成部品、即ちアーバ2及びホイール5のみで形成される。アーバ2及びホイール5はそれぞれ、全ての必要な軸受表面と、必要な復元及び位置保持手段とを含む一体構成部品である。
【0041】
有利には、アーバ2は、関連する制動ホイールアセンブリ1が組み込まれた機構100又は時計ムーブメントが備える地板又は受けに固定して設置される。
【0042】
本発明はまた、少なくとも1つの上述のような制動ホイールアセンブリ1を含む時計機構100、特にムーブメントにも関する。
【0043】
本発明はまた、少なくとも1つの上述のような時計用制動ホイールアセンブリ1を含む時計200にも関する。
【0044】
要するに、本発明によって得られる制動の作動調整により、アーバに印加される摩擦力(又はトルク)を再現可能な様式で修正でき、これによって調整が容易となり、調整が加速される。
【0045】
本発明により、従来の機構に対して構成部品の数を削減でき、(表示用針において常に見ることができる)歯車の遊びを低減でき、これは信頼性の向上、及び特に切断による製作が想定される場合におけるコストの削減につながる。
【0046】
本発明により、従来のばね式制動システムに対して摩耗を低減できる。
【符号の説明】
【0047】
1 時計用制動ホイールアセンブリ
2 アーバ
3 第1の表面
4 第2の表面
5 ホイール
10 案内表面
11 制動表面
12 制動シュー
13 第1の弾性復元手段
14 内蔵型調整手段
15 フィンガピース
16 第2の弾性復元手段
17 相補的軸受表面
18 軸受表面
19 第2の可撓性アーム、第2のアーム
20 調整デバイス
23 ノッチ
30 第1のアーム
100 時計機構
200 時計
D 枢軸
J 所定の遊び