特許第6014736号(P6014736)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6014736
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】定水位弁装置
(51)【国際特許分類】
   E03B 11/00 20060101AFI20161011BHJP
【FI】
   E03B11/00 A
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-199023(P2015-199023)
(22)【出願日】2015年10月7日
【審査請求日】2015年12月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000125783
【氏名又は名称】株式会社 FMバルブ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 亮
(72)【発明者】
【氏名】森下 卓二
【審査官】 亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−325305(JP,A)
【文献】 実開昭58−040673(JP,U)
【文献】 特開昭61−180080(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03B 3/00、11/00
E03B 11/02、11/12
F16K 1/00、31/18−31/34
F16K 31/44−31/62
F16T 1/22、1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯水槽内に設置された状態でパイロット管を介して給水バルブに接続されており、前記給水バルブからパイロット管を通じて送られてくる水を貯水槽内に吐水/停止することで前記パイロット管の内圧を切り換えて前記給水バルブを開放/閉塞する定水位弁装置において、
前記定水位弁装置は、パイロット管を通じて送られてくる水を貯水槽内に吐水する吐水口と、吐水口を開閉する開閉弁とを具備する本体と、前記本体に設けられ、前記開閉弁を駆動する駆動体とを有し、
前記駆動体は、前記開閉弁に接続されて開閉弁の閉塞位置と解放位置との間で変位するリンク機構と、先端側にフロートが装着されるとともに基端側が前記リンク機構を構成するアーム部材に対して回り止め固定されるシャフトと、前記シャフトおよび前記アーム部材の支軸の回りにそれぞれ埋設され、前記シャフトと前記アーム部材を磁力によって互いに対して回り止め固定する一対の対向する磁石を備えた連結部とを有し、
前記連結部は、前記開閉弁が閉塞位置になったときの前記シャフトの水平面に対する傾斜角度が調整可能となるように前記シャフトと前記アーム部材とが面接する部分にそれぞれ形成され、前記シャフトと前記アーム部材を回り止め固定する凹凸部を有することを特徴とする定水位弁装置。
【請求項2】
前記凹凸部は、前記アーム部材に対して前記シャフトを軸支する支軸周りに360°に亘って連続形成されていることを特徴とする請求項1に記載の定水位弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィスビルやマンションなどに設置される受水槽、高置水槽等の貯水槽内の水位を制御するのに用いられる定水位弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に上記した貯水槽1には、水道管2に接続された給水バルブ3を介して水が供給され、貯水槽1内に貯留された水は、給水管5を介して揚水ポンプ(図示せず)へ送られて所定の消費箇所に供給されるようになっている(図1参照)。この場合、貯水槽内に貯留された水は、消費されるにしたがって水位が低下することから、一定量の水が貯留されるように、水の消費に伴って給水バルブ3を解放して貯水槽1内に水を供給するとともに、予め設定された水位になったときに給水バルブ3を閉鎖して水位を制御することが行われている。
【0003】
水位の制御については、定水位弁装置(ボールタップと称することもある)を用いることが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。これら公知の定水位弁装置は、図1及び図2に符号10で示されるように、貯水槽1内に設置された状態でパイロット管7を介して給水バルブ3に接続されており、給水バルブ3からパイロット管7を通じて送られてくる水を貯水槽1内に吐水する吐水口12と、吐水口12を開閉する開閉弁(図示せず)と、開閉弁を駆動する駆動体15とを備えている。この駆動体15は、前記開閉弁にリンク機構20を介して接続されたシャフト40と、シャフト40の先端に装着されて貯水槽1内の水に浮いた状態に保持されるフロート42とを備えている。
【0004】
上記した定水位弁装置10では、貯水槽1内の水位が下がり、それと共にフロート42が下がるとシャフト40が反時計回り方向に回動し、前記リンク機構20を介して開閉弁を降下させて開閉弁を開放する。すると、パイロット管7内に貯留されていた水は、吐水口12から貯水槽内に放出され、これによりパイロット管内の圧力が低下することで給水バルブ3が開放され、流入管3aを介して貯水槽1内に水が供給される。その後、水の供給に伴って貯水槽1内の水が上昇するとフロート42も上昇し、フロート42を装着しているシャフト40が反対方向(時計回り方向)に回動して、リンク機構20を介して次第に開閉弁を上昇させる。そして、一定の水位(給水停止水位)に達すると開閉弁が閉塞してパイロット管7内に水が満たされた高圧状態となり、これにより給水バルブ3が閉塞して貯水槽1内への水の供給が停止される。
【0005】
また、上記した貯水槽1には、オーバーフロー管が設置されている。このオーバーフロー管は、貯水槽1の水がある一定量(予め定められた越流面)を超えると、その水を外部に流出させるために配設するものであり、図2に示すような構成となっている。
ここで、前記定水位弁装置10の概略機能、オーバーフロー管の構成、及び、越流面について説明する。
【0006】
オーバーフロー管は、貯水槽1の壁面1aに設置され、主に2つのタイプが存在する(図2では、2つのタイプを図示してあるが、実際には、いずれか一方が設置される)。
【0007】
一つはホッパー式と称されるものであり、図2の左側に示すように、排出管70を壁面1aに挿通させ、その端部を上向きに屈曲してホッパー71を設置したものである。ホッパー71の開口縁71aの位置が越流面Pと一致しており、水がこの越流面Pを超えると、その水はホッパー71から排出管70を介して外部に排出される。もう一つは横引出方式と称されるものであり、図2の右側に示すように、排出管74を壁面1aに挿通して開口74aをそのまま貯水槽の内部に露出するように設置したものである。この場合、水道法施行令によれば、開口74aの中心位置が越流面Pと定められる。また、同施行令によれば、定水位弁装置10の本体10Aに設けられた吐水口12の直径Dに対する吐水口空間S(吐水口12の開口縁から越流面Pまでの距離)は、直径Dの少なくとも2倍程度を確保することが要請されており、排出管74の径D1についても、吐水口12の直径Dの少なくとも2倍程度を確保することが要請されている。すなわち、吐水口12の直径Dを、例えば20mmに設定すれば、吐水口空間Sは40mm確保する必要があり、排出管74の開口74aの径D1も40mm確保する必要がある。
【0008】
なお、上記した定水位弁装置10の本体10Aに設けられた開閉弁が閉塞するフロート42の位置が給水停止面P1であり、この給水停止面P1は、越流面Pよりも下方位置となる。また、開閉弁が解放し始めるフロート42の位置が給水開始面P2であり、フロート42の位置が給水開始面P2より下方に下がると、リンク機構を介して開閉弁が解放され、本体10Aの吐水口12からは、パイロット管7を通じて水が吐水する状態となる。
【0009】
そして、前記貯水槽1には、漏水事故が起きた場合等の早期発見が可能となるように、警報装置の設置が義務付けられている。警報装置80は、水位が、給水停止面P1と越流面Pとの間の範囲内における所定の位置(満水警報位置)P3になったときに作動するものであり、水位が満水警報位置P3を超えると外部に警報を発するようになっている。例えば、警報装置80は、2本の電極棒80a,80bを備えており、一方の電極棒80aを貯水槽1の水の中に設置し、他方の電極棒80bを所定の満水警報位置P3となるように位置決めして設置する。すなわち、水位が上昇して電極棒80bに達すると警報装置は通電状態となって、外部に警報を発するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−342980号
【特許文献2】特開2011−231912号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記したように、定水位弁装置10の駆動体15は、開閉弁に対してリンク機構20を介して接続されたシャフト40と、シャフト40の先端に装着されたフロート42とを備えている。この場合、シャフト40の回動可能な範囲(回動可能角度)は、定水位弁装置10の本体10A内に設置される開閉弁のストロークに依存することから一定値に特定される。
【0012】
また、吐水口空間Sについては、上記したように、吐水口12の直径Dに対して少なくとも2倍程度を確保することが要請されている。すなわち、吐水口空間Sが広くなることにより、越流面Pと給水停止面P1との距離が短くなることから、満水警報位置P3を設定する位置がシビアになる。特に、横引出方式のオーバーフロー管(排出管74)の場合では、実際に水があふれ出すライン(排出管74に水が流入し始めるライン)P´は、開口74aの最下端位置74a´であることから、満水警報位置P3は、水があふれ出すラインP´と給水停止面P1との間に設定する必要があり、ホッパー式と比べるとその設定位置がよりシビアになる。
【0013】
このため、満水警報位置P3の設定位置がシビアにならないように、給水停止面P1の位置を下げることが行われている。現在、貯水槽1内に定水位弁装置10を配設したり保守等を行なう場合、給水停止面P1の位置を下げるために、シャフト40の長さが長いものを設置するようにしている。すなわち、それまで使用していたシャフトよりも長いシャフトを用いることで、長くなった距離の分だけ、給水停止面P1を下げることができる。
【0014】
このように、シャフト40は、その基端部がリンク機構20に対してボルト等の固定部材によって回り止め固定されているが、上記したように、フロート42は水面に浮遊しているため、給水時の水面変動等の影響によってシャフト40が振動し易くなり、シャフト40の基端部における回り止め固定部に緩みが生じてしまう。この場合、シャフト40の回り止め固定部に緩みが生じると、最初の設定位置がずれてしまい、これにより給水停止面P1が変位したり、開閉弁の動作が不安定になってしまう。
【0015】
また、前述したように給水停止面P1の位置を下げるために長いシャフト40を設置する場合には、取り扱いや設置作業が不便になるとともに、長いシャフトに起因してその分だけ重量も増加してシャフト自身も撓み易く(振動し易く)なる。これは、開閉弁の安定した動作を考慮すると好ましくない。
【0016】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、シャフトを安定して回動させることが可能な定水位弁装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記した目的を達成するために、本発明は、貯水槽内に設置された状態でパイロット管を介して給水バルブに接続されており、前記給水バルブからパイロット管を通じて送られてくる水を貯水槽内に吐水/停止することで前記パイロット管の内圧を切り換えて前記給水バルブを開放/閉塞する定水位弁装置において、前記定水位弁装置は、パイロット管を通じて送られてくる水を貯水槽内に吐水する吐水口と、吐水口を開閉する開閉弁とを具備する本体と、前記本体に設けられ、前記開閉弁を駆動する駆動体と、を有し、前記駆動体は、フロートが装着されるシャフトと、前記開閉弁に接続されて開閉弁の閉塞位置と解放位置との間で変位するリンク機構と、前記シャフトと前記リンク機構とを磁力によって互いに対して回り止め固定する連結部とを有することを特徴とする。
【0018】
上記した構成の定水位弁装置によれば、フロートを装着したシャフトと、開閉弁に接続されるリンク機構は、磁力の作用により連結部で回り止め固定されているため、水位の上昇/下降や給水時の水面変動等の影響によって前記フロートが振動したり上下変位を繰り返しても、連結部で緩むようなことはなく、シャフトは安定して回動することができる。したがって、開閉弁の動作を安定して行なえるとともに、当初の設定位置であるフロートの給水停止面位置が変化することはない。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、シャフトを安定して回動させることが可能な定水位弁装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る定水位弁装置が設置される貯水槽の一例を示す概略図。
図2図1に示す貯水槽において、定水位弁装置の概略の機能を説明する図。
図3】(a)は本発明に係る定水位弁装置の上面図、(b)は定水位弁装置の内部構造の一部を切り欠いて示す側面図。
図4】(a)は図3に示す定水位弁装置の斜視図、(b)は分解斜視図。
図5】シャフトとリンク機構とを回り止め固定する連結部を示す分解断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る定水位弁装置の一実施形態について、図3乃至図5を参照して説明する。なお、これらの図において、図1及び図2で示した構成と共通する部分については同一の参照符号を付してある。
【0022】
本実施形態の定水位弁装置10の本体10Aは、図1で示した給水バルブ3からのパイロット管7が接続されるように水平方向に延出した円筒状の接続管11と、接続管11を介して流入してくる水を吐水するように垂直方向に延出した円筒状の吐水口(吐水管)12とを備えている。前記接続管11と吐水口12との間の内部空間には、例えば水平方向で往復動(前後動)する開閉弁13が配設されており、開閉弁13の弁体は、本体10Aの内部に形成されたフランジ(弁座)10aに対して当て付くようになっている。
【0023】
この場合、開閉弁13は後側(図3中の右側)へ移動することでフランジ10aに当て付いて閉塞状態(フランジ10aと開閉弁13の弁体との間には、パッキン89が配設されている)となり、前側(図3中の左側)へ移動することで開放状態となる。そして、この開閉弁13を開閉させるための開閉弁13の前後動は、開閉弁13を支持するスピンドル39と一体を成すピストン18をシリンダ19内に嵌挿することによって案内されるようになっている。なお、ピストン18の外面とシリンダ19の内面との間(摺動面)にはOリング90が介挿されている。また、本体10Aの前端部には、本体10Aの内部空間を閉じるキャップ10Bが取着されている。
【0024】
上記した開閉弁13は、リンク機構20を介して接続される駆動体15によって閉塞位置と解放位置との間で前後方向に駆動される。この場合、駆動体15は、上述したように、開閉弁13にリンク機構20を介して接続されるシャフト40と、シャフト40の先端に装着され貯水槽1内の水に浮いた状態に保持されるフロート42とを備えている。
【0025】
ここで、リンク機構20の構成について説明する。
リンク機構20は、相互に回動可能に支持される複数の第1〜第4のアーム部材21,24,26,28を備えており、第4のアーム部材28がシャフト40側(駆動体15側)に接続され、第2のアーム部材24が開閉弁13側(詳細には、開閉弁13を支持するピストン18から延びるスピンドル39)に接続されている。
【0026】
第1のアーム部材21は、本体10Aの上端面に固定された一対の対向する支持プレート29,29から成るブラケットに回動可能に支持されている。具体的には、第1のアーム部材21は、その後端がブラケットの一対の支持プレート29,29間に位置されてビス22により回動可能に支持される。また、第2のアーム部材24は、その一端(図3および図4の(b)では上端)が第1のアーム部材21の前端に回動可能に支持される。具体的には、第2のアーム部材24は、第1のアーム部材21の前端で二股状に分かれる一対の支持部21a,21a間に位置されてビス23により回動可能に支持される。
【0027】
また、第2のアーム部材24の中間部は、キャップ10Bを貫通して外側に延びるスピンドル39の前端に回動可能に支持される。具体的には、第2のアーム部材24は、互いに接合される一対の支持プレート24a,24aによって形成されており、これらの支持プレート24a,24aが互いに離間して第2のアーム部材24の中間部に形成する開口内にスピンドル39の前端が挿通されることにより、この挿通されたスピンドル39に対してビス25により第2のアーム部材24が回動可能に支持される。
【0028】
また、第2のアーム部材24の他端(図3および図4の(b)では下端)は、第3のアーム部材26の前端に回動可能に支持される。具体的には、第3のアーム部材26は、一対の対向する支持プレート26a,26aから成り、第2のアーム部材24の他端がこれらの支持プレート26a,26a間に挟まれた状態でビス27により第3のアーム部材26に回動可能に支持される。また、第3のアーム部材26の後端は、その支持プレート26a,26a間に挟まれるように位置される第4のアーム部材28の後端にビス31により回動可能に支持される。更に、第4のアーム部材28の中間部は、吐水口12から延びる断面コの字型のブラケット29に対してビス30により回動可能に支持される。すなわち、開閉弁13(弁体13a)は、上記したように構成されるリンク機構20に接続されており、このリンク機構20を介してシャフト40及びフロート42を備えた駆動体15によって前後方向に駆動されるようになっている。
【0029】
また、前述したようにシャフト40の先端側にはフロート42が装着されると共に、シャフトの基端側は、第4のアーム部材28と係合するアーム部材43に着脱可能に螺入されてアーム部材43と一体化されている。アーム部材43は、前記リンク機構20を構成する第4のアーム部材28の前端に対して軸支されており、連結部50によって回り止め固定されている。この場合、連結部50は、駆動体15側となるアーム部材43とリンク機構20側となる第4のアーム部材28とを回り止め固定する係合状態(両者が相対回転不能な状態)になっていれば良い。すなわち、シャフト40に対して回動方向に大きな力が作用しても、アーム部材43と第4のアーム部材28とが相互移動しない関係になっていれば良い。
【0030】
本実施形態の連結部50における回り止め固定する係合関係は、開閉弁13が閉塞位置になったときのシャフト40の水平面に対する傾斜角度(初期設定角度θ・・・図3の(b)参照)を容易に調整可能にする機能を備えている。この調整は、シャフト40(本実施形態ではアーム部材43)を第4のアーム部材28に連結する際、その傾斜角度θを好みの状態に設定して、第4のアーム部材28に連結できるように構成されたものであれば良い。すなわち、本実施形態の連結部50における係合関係は、更に、シャフト40(アーム部材43)を第4のアーム部材28に連結する際、その傾斜角度θを好みの状態に容易に設定できる嵌合構造を備えている。
【0031】
この嵌合構造は、アーム部材43(シャフト40)の基端とリンク機構20の第4のアーム部材28の前端とが面接する部分に形成されており、各対向面43a,28aに形成される凹凸部43b,28bによって構成されている。すなわち、互いの凹凸部が嵌合することで両者は相対回転不能に連結され、かつ、初期設定位置を軸回り方向に変更することで、傾斜角度θを好みの状態に設定することが可能となる。
【0032】
この場合、凹凸部43b,28bは、各対向面に、傾斜角度が変更できるような位置に複数形成されていれば良いが、図4に示すように、第4のアーム部材28に対するアーム部材43の支軸周りに360°に亘って連続形成しておくことが好ましい。すなわち、360°に亘って凹凸部を形成することにより、シャフト40の水平面に対する初期設定角度(図3(b)の傾斜角度θ)をより細かく、かつ、容易に調整することが可能となる。
【0033】
具体的に、両者の凹凸部43b,28bは、支軸となるボルト52が挿通される円形開口43c,28cの周りに360°に亘って連続形成されており、シャフト40の初期設定角度θを調整しながら最適の位置で両者を嵌合し、その状態でボルト52を挿入し、反対側からナット54を螺入することで両者は回り止め固定される。
【0034】
ところで、上記したような係合状態、更には、嵌合構造を設けていても、フロート42は水面に浮遊しているため、給水時の水面変動等の影響によってシャフト40が振動し易くなり、シャフト40の基端部における連結部50の回り止め固定に緩みが生じてしまう場合もあり得る。そのため、上記の回り止め固定した係合状態を更に確実にするため、連結部50は、磁力によってシャフト40とリンク機構20とを互いに対して確実に回り止め固定するようになっている。
【0035】
具体的には、連結部50は、シャフト40のアーム部材43およびリンク機構20を構成する第4のアーム部材28のそれぞれに埋設される一対の対向する磁石60,62を有する。これらの磁石60,62は、図4の(b)に破線で示されるとともに図5に図示されるように、凹凸部28b,43bに近接して各アーム部材28,43に形成された空間部28d,43d内に表面が露出することなく埋設されている(磁石60,62の表面は、各アーム部材28,43の対向面28a,43aで露出していても良い)。また、磁石60,62は、円形開口28c,43cを外側から取り囲むように環状を成している。なお、磁石60,62の材料および磁力は、シャフト40とリンク機構20とを互いに対して確実に回り止め固定できればよく、任意に設定することができる。
【0036】
次に、上記したように構成される定水位弁装置10の作用、効果について、図2から図4を参照して説明する。
図2に示すように、貯水層1内の水位が上がり、それと共にフロート42が上がって開閉弁13を閉塞する位置(図3(b)の傾斜角度θ)が給水停止面P1となる。また、水の使用によって貯水槽1内の水位が下がるとそれと共にフロート42が下降し、図2の給水開始面P2まで下がると、反時計回り方向に回動したシャフト40、及び前記リンク機構20を介して開閉弁13が解放される。これにより、パイロット管7内の圧力が下がって給水バルブ3(図1参照)が解放され、貯水槽1内には、流入管3aを介して水が供給されるようになる。そして、水の供給に伴ってフロート42が上昇し、フロート42が給水停止面P1に達すると、開閉弁13が閉塞されてパイロット管7内の圧力が上がり給水バルブ3が閉塞されて給水が停止する。
【0037】
そして、このような定水位弁装置10では、前述したように、フロート42を装着したシャフト40と、開閉弁13に接続されるリンク機構20が、磁力の作用により連結部50で回り止め固定されているため、水位の上昇/下降や給水時の水面変動等の影響によってフロート42が振動したり上下変位を繰り返しても、連結部50で緩むようなことはなく、シャフト40は安定して回動することができる。したがって、開閉弁13の動作を安定して行なえるとともに、当初の設定位置であるフロート42の給水停止面P1の位置が変化することはない。
【0038】
また、本実施形態では、連結部50の嵌合構造も有利な作用効果を奏する。すなわち、前述したように、吐水口空間Sが広くなると、越流面Pは下がることから、給水停止面P1と越流面P(横引出方式では越流面はP´の位置となってさらに下がる)との距離が短くなり、満水警報位置P3を設定する位置がシビアになるものの、定水位弁装置10による給水停止面P1の位置を下げることによって、満水警報位置P3の設定を容易に行えるようになる。すなわち、シャフト40(アーム部材43)の第4のアーム部材28に対する傾斜角度(初期設定角度)θが大きくなるように、アーム部材43の凹凸部43bを第4のアーム部材28の凹凸部28bに位置付けし、両者を固定することで、給水停止面P1の位置を下げることが可能となる。
【0039】
上記のように、傾斜角度(初期設定角度)θを大きくすることで、図2において、シャフト40の長さを長くすることなく、給水停止面P1の位置を、例えば給水開始面P2の位置まで容易に下げることができる。この場合、上述したように、シャフト40の回動可能な範囲(回動可能角度)は、開閉弁13のストロークに依存しており一定値に特定されるが、シャフト40の回動範囲の下端位置が、水平面に対して90°未満になる位置までは給水停止面P1を下げることが可能となる(シャフト40が水平面に対して90°になると、フロート42は上昇することはできない)。
【0040】
以上のように、本実施形態によれば、磁力の作用によりシャフト40とリンク機構20とを磁力を有する連結部50で互いに対して確実に回り止め固定するため、連結部50で緩むことがなく、シャフト40を長期に亘って安定して回動させることができるとともに、前述した嵌合構造により、シャフト40の長さを長くすることなく、給水停止面P1の位置を細かく変更、調整することができるため、警報装置の満水警報位置P3の設定が容易になり、定水位弁装置10の取り扱い、設置作業、保守作業等が容易に行えるようになる。
【0041】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記した実施形態以外にも、適宜変形することが可能である。例えば、本実施形態では、シャフト40は、アーム部材43に対して着脱できるようにしたが、シャフト40とアーム部材43は、一体構造であっても良い。また、リンク機構20の構成についても適宜変形することが可能である。例えば、本実施形態の開閉弁13は、本体10A内において前後方向(水平方向)に移動するように構成されていたが、上下方向(垂直方向)に移動するように構成しても良く、これにより、リンク機構20の構成についても適宜変形することが可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 貯水槽
3 給水バルブ
10 定水位弁装置
12 吐水口
13 開閉弁
15 駆動体
20 リンク機構
40 シャフト
42 フロート
50 連結部
60,62 磁石
80 警報装置
P 越流面
P1 給水停止面
P2 給水開始面
P3 満水警報位置
【要約】
【課題】シャフトを安定して回動させることが可能な定水位弁装置を提供する。
【解決手段】本発明の定水位弁装置10は、パイロット管を通じて送られてくる水を貯水槽内に吐水する吐水口12と、吐水口を開閉する開閉弁13とを具備する本体10Aと、本体に設けられ開閉弁を駆動する駆動体15とを有している。駆動体15は、フロート42が装着されるシャフト40と、開閉弁13に接続されて開閉弁の閉塞位置と解放位置との間で変位するリンク機構20と、シャフト40とリンク機構20とを磁石60,62によって互いに対して回り止め固定する連結部50とを有する。
【選択図】 図4
図1
図2
図3
図4
図5