特許第6014749号(P6014749)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ケアベイ・ヨーロッパ・リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許6014749-薬剤送達装置 図000002
  • 特許6014749-薬剤送達装置 図000003
  • 特許6014749-薬剤送達装置 図000004
  • 特許6014749-薬剤送達装置 図000005
  • 特許6014749-薬剤送達装置 図000006
  • 特許6014749-薬剤送達装置 図000007
  • 特許6014749-薬剤送達装置 図000008
  • 特許6014749-薬剤送達装置 図000009
  • 特許6014749-薬剤送達装置 図000010
  • 特許6014749-薬剤送達装置 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6014749
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】薬剤送達装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/24 20060101AFI20161011BHJP
【FI】
   A61M5/24 500
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-506179(P2015-506179)
(86)(22)【出願日】2013年4月9日
(65)【公表番号】特表2015-516849(P2015-516849A)
(43)【公表日】2015年6月18日
(86)【国際出願番号】EP2013057390
(87)【国際公開番号】WO2013156346
(87)【国際公開日】20131024
【審査請求日】2014年12月3日
(31)【優先権主張番号】1250381-9
(32)【優先日】2012年4月17日
(33)【優先権主張国】SE
(31)【優先権主張番号】61/625,409
(32)【優先日】2012年4月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513186729
【氏名又は名称】ケアベイ・ヨーロッパ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CAREBAY EUROPE LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホルムクビスト,アンデシュ
(72)【発明者】
【氏名】レーフ,ステファン
【審査官】 小岩 智明
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/026414(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/092518(WO,A2)
【文献】 国際公開第2011/124632(WO,A1)
【文献】 特表2009−543631(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/24, 5/28, 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近端および対向する遠端を有する薬剤送達装置であって、
可動プランジャ(11)、首部分(18)、および送達部材ユニット(22)を備える薬剤容器(12)と、
近位開放端(13)および対向する遠位開放端(15)を有する、長手方向軸(A)に沿って長手方向に延在する筐体(10)と、
筐体の遠端に配置され、可動プランジャに力を加えるように構成される駆動ユニット(14)と、
容器ユニットを形成する前記薬剤容器の首部分に装着できるように、長手方向に延在するスリット/間隙(34;134)を備えるC字状の管状体(16;160)とを備え、
前記C字状の管状体は、薬剤容器が前記C字状の管状体に装着された後は前記薬剤容器の首部分および前記送達部材ユニットとの相互作用によって前記C字状の管状体に対して前記薬剤容器が動かないように構成される内側支持手段と、容器ユニットが遠位開放端を通して前記筐体内に配置された後は前記C字状の管状体が筐体に対して動かないようにされるように、筐体の対応の支持手段と相互作用するように構成される外側支持手段とをさらに備えることを特徴とする、薬剤送達装置。
【請求項2】
前記送達部材ユニット(22)は、装着部(24)と、装着部に取外し可能に接続される閉止キャップ/シールド(26)とを備える、請求項1に記載の薬剤送達装置。
【請求項3】
前記内側支持手段は、装着部の外面上の少なくとも1つの長手方向に延在する窪み(28)と相互作用するように構成される、C字状の管状体の内周面上の少なくとも1つの長手方向に延在する径方向内向きの桟(44)を備え、これにより前記薬剤容器はC字状の管状体に対して回転しないようにされる、請求項2に記載の薬剤送達装置。
【請求項4】
前記内側支持手段は、前記薬剤容器(12)の首部分および装着部(24)の遠位環状表面(23)と相互作用するように構成される、C字状の管状体の内周面上の連続した環状の径方向内向きの桟(36)または別々の環状の径方向内向きの桟をさらに備え、これにより前記薬剤容器はC字状の管状体に対して長手方向に動かないようにされる、請求項3に記載の薬剤送達装置。
【請求項5】
前記外側支持手段は、装置の遠端に向いた、筐体の内周面上に配置される対応の連続した環状表面または別々の環状表面(52)と相互作用するように構成される、装置の近端に向いた、C字状の管状体の外周面上の連続した環状表面(48)または別々の環状表面を備え、これにより容器ユニットが筐体の遠位開放端を通って前記筐体内に配置された後は前記C字状の管状体は筐体の近位開放端を通らないようにされる、請求項1から4のいずれか1項に記載の薬剤送達装置。
【請求項6】
前記外側支持手段は、長手方向に延在するスリット/間隙(34)を形成する第1および第2の対向する横方向端縁(30,31)をさらに備え、前記横方向端縁は、筐体の内周面上に配置される、長手方向に延在する径方向内向きの桟またはリブ(54)と相互作用するように構成され、これにより容器ユニットは筐体に対して回転しないようにされる、請求項5に記載の薬剤送達装置。
【請求項7】
前記外側支持手段は、前記筐体(100)の内面上の多数の着座部(162)と相互作用するように構成される、前記C字状の管状体(160)の外面上の多数の外向きに延在する突起(148)を備える、請求項1から4のいずれか1項に記載の薬剤送達装置。
【請求項8】
前記C字状の管状体(160)は、突起(148)と着座部(162)との間の相互作用を容易にするための屈曲部材(134,142)を有して配置される、請求項7に記載の薬剤送達装置。
【請求項9】
前記突起(148)は、突起(148)と着座部(162)との間の相互作用を容易にするように傾斜面(150)を有して配置される、請求項8に記載の薬剤送達装置。
【請求項10】
前記C字状の管状体(160)は、ある距離だけ遠位方向に延在して薬剤容器(12)の少なくとも一部を取囲み、前記突起(148)は前記C字状の管状体(160)の遠端に配置される、請求項7から9のいずれかに記載の薬剤送達装置。
【請求項11】
前記送達部材ユニット(22)はTELCユニットである、請求項2から10のいずれか1項に記載の薬剤送達装置。
【請求項12】
装置は、注射装置である、請求項1から11のいずれか1項に記載の薬剤送達装置。
【請求項13】
装置は、自己注射装置である、請求項1から12のいずれか1項に記載の薬剤送達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤送達装置内に薬剤容器を保持することができるC字状の管状体と組合せて用いるための薬剤送達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
予め充填された薬剤容器は、広範な薬剤送達装置において、および特に薬剤の自己投与のために用いられている。用いられる薬剤容器の多くは、送達前には薬剤送達装置の中に置かれている予め充填された容器である。薬剤送達装置を薬剤送達の準備が整った状態にするために、注射針などの薬剤送達部材が容器の近端に装着される。
【0003】
薬剤容器先端とたとえば注射針などの送達部材との間の接続を標準化するため、ルアーテーパシステムが開発された。これは、2つの変形、すなわちルアースリップおよびルアーロックシステム、を備える。ルアーテーパシステムは、送達部材の扱いおよび薬剤容器へのその装着も容易にするその相対的な簡単さにより、広く受入れられかつ用いられてきた。
【0004】
しかしながら、大部分の薬剤送達システムに付随する欠点は、知らないうちにそれらが開閉される可能性があることであり、これは、悪戯および製品の模造にすら好都合な短所である。したがって、このように、使用が容易であるが、悪戯を防止する、薬剤容器に対する送達部材の接続を依然として提供する装置に対する需要がある。
【0005】
以上言及した需要に鑑みて、悪戯の痕跡がすぐにわかるルアーロック閉止ユニットまたはTELCユニットが開発された。これは、ルアーロックまたはルアーテーパ取付具を有する装着部を備える。閉止キャップがねじ山式で装着部に接続され、こうして閉止キャップは、外す際には持上げて外すのではなく捩じって外される。
【0006】
制御された捩じりの動きは、医薬がうっかりこぼれてしまうのを大幅に回避するという利点を有する。これは、そうでない場合は、引張って外される他の種類の送達部材シールドには、開封行為が急な動きを伴なうものであるために、しばしば起こることである。
【0007】
開封の痕跡がすぐにわかる機能は、捩じりの動きによって解放されてすぐに少しだけ下に落ちる閉止キャップ上の突出部を備える。シリンジを再び完全に閉止することは実際には不可能であり、これにより、閉止キャップが外されたことが明らかになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
TELCユニットが多数の利点を有するとしても、薬剤送達装置に関連して、および特にたとえば自己注射などのある程度の機能性を有する装置においては、対処の必要があるいくつかの課題がある。TELCユニットはやや大きい特に幅の広いキャップを有するので、直径が薬剤容器の直径よりもしばしば大きい場合、特に薬剤容器と一体に作られることが多い周方向外向きのフランジを有する薬剤容器が配置されると、容器保持器または筐体の中にこれを嵌合するのが難しいことがある。そうすると、薬剤容器を保持器または筐体の遠端から挿入するのでなければ、薬剤容器を管状の保持器または筐体の中に位置決めすることは不可能である。たとえ可能であっても、薬剤容器の近位領域の外面と保持器または筐体との間には環状の間隙があるので、薬剤容器の近端での支持が十分でないことがある。
【0009】
この問題を解決する1つの解決策は、薬剤送達装置内の動作位置にTELCユニットを有する薬剤容器を有するために、薬剤容器が保持器または筐体の中に置かれた後に薬剤容器の近端にTELCユニットを装着することである。これは最適ではない。というのも、これは、薬剤送達装置の保持器または筐体の中にTELCユニットを有する薬剤容器を組立てるという非常に費用のかかるプロセスが求められるであろうからである。これは、容器を薬剤で充填した後に薬剤容器を保持器または筐体の中に直接に置くこと、TELCユニットを容器に装着すること、および次にTELCユニットを有する組立て済み容器を滅菌することを求めるであろう。さらに、TELCユニットを有する容器を再利用可能な薬剤送達装置で用いることになれば、TELCユニットを有する容器を患者またはユーザに提供しなければならない。そうすると、TELCユニットを有する容器を、滅菌されるユニットとして患者またはユーザに届ける必要がある。容器およびTELCユニットを、ユーザが組立てるべき2つの部分に分けて届けることはできない。
【0010】
発明の簡単な説明
本発明の目的は、以上言及したような欠点を修正することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の1つの局面に従う解決策は、近端および対向する遠端を有する薬剤送達装置に関する。当該装置は、可動プランジャ、首部分、および送達部材ユニットを備える薬剤容器と、近位開放端および対向する遠位開放端を有する、長手方向軸Aに沿って長手方向に延在する筐体(以下筐体と称される)と、筐体の遠端に配置され、可動プランジャに力を加えるように構成される駆動ユニットと、容器ユニットを形成する当該薬剤容器の首部分に装着できるように長手方向に延在するスリット/間隙を備えるC字状の管状体とを備え、当該C字状の管状体はさらに、薬剤容器が当該C字状の管状体に装着された後は当該薬剤容器がC字状の管状体に対して動かないようにされるように、当該薬剤容器の首部分および送達部材ユニットと相互作用するように構成される内側支持手段と、容器ユニットが遠位開放端を通して当該筐体内に配置された後は当該C字状の管状体が筐体に対して動かないようにされるように、筐体の対応の支持手段と相互作用するように構成される外側支持手段とを備える。
【0012】
送達部材ユニットは、装着部と、装着部に取外し可能に接続される閉止キャップ/シールドとを備える。装着部は薬剤容器に固定して接続される。送達部材ユニットは、送達部材、好ましくはシールドで囲まれる注射針などをさらに備えてもよい。送達部材ユニットは、以下のように記載される実施形態ではTELCユニットである。
【0013】
内側支持手段は、装着部の外面上の少なくとも1つの長手方向に延在する窪みと相互作用するように構成される、C字状の管状体の内周面上の少なくとも1つの長手方向に延在する径方向内向きの桟を備え、これにより当該薬剤容器はC字状の管状体に対して回転しないようにされる。
【0014】
内側支持手段は、当該薬剤容器の首部分および装着部の遠位環状表面と相互作用するように構成される、C字状の管状体の内周面上の連続した環状の径方向内向きの桟または別々の環状の径方向内向きの桟をさらに備え、これにより当該薬剤容器はC字状の管状体に対して長手方向に動かないようにされる。薬剤容器をその首部分の周りで支持することは、良好な力分散接触面を提供する。
【0015】
外側支持手段は、装置の遠端に向いた、筐体の内周面上に配置される対応の連続した環状表面または別々の環状表面と相互作用するように構成される、装置の近端に向いた、C字状の管状体の外周面上の連続した環状表面または別々の環状表面を備える。これにより、容器ユニットが筐体の遠位開放端を通して当該筐体内に配置された後は、当該C字状の管状体は筐体の近位開放端を通らないようにされる。
【0016】
外側支持手段は、長手方向に延在するスリット/間隙を形成する第1および第2の対向する横方向端縁をさらに備え、当該横方向端縁は、筐体の内周面上に配置される、長手方向に延在する径方向内向きの桟またはリブと相互作用するように構成され、これにより容器ユニットは筐体に対して回転しないようにされる。
【0017】
先行する特徴のうち任意の1つに従う薬剤送達装置は、注射装置、好ましくは自己注射装置である。
【0018】
C字状の管状体は、薬剤容器をその首部分の周りでしっかりと支持しかつ保持するのを可能にし、これにより外側支持手段と組合せて、薬剤容器が筐体に対して動かないようにされ、これにより薬剤送達の際に薬剤容器に対して加えられるいずれの力も首部分によって吸収される。そのような力は、薬剤容器内部のプランジャロッドおよびストッパを近位方向に移動させるのにしばしば強力な圧縮ばねを用いる自動注射機能を用いる場合には、かなり大きなものであり得る。
【0019】
多くの事例で、薬剤送達装置の筐体は、一般的に細長い管状形状と、特に薬剤容器を収容するように配置される薬剤送達装置の部分とを有する。というのも、後者はしばしば管状の細長い形状を有することがあるからである。したがって、当該C字状の管状体は、長手方向に延在するスリット/間隙を設けたほぼ管状の形状も有してもよい。スリットまたは間隙は、薬剤容器上にC字状の管状体を搭載するのを容易にし得る。というのも、特に、保持器装置も、ある柔軟性または弾性を有し得るからである。この柔軟性または弾性により、保持器装置が屈曲できるようになり得、これにより、薬剤容器が通り得るようにスリットが大きくなり得る。この点において、保持器装置の材料を、この柔軟性および弾性変形を可能にするように選び得る。
【0020】
C字状の管状体は好ましくは薬剤容器の首部分と協働するように設計されるので、当該内側支持手段は、連続した環状の径方向内向きの桟または別々の/複数の環状の径方向内向きの桟を備える。これらの桟は、薬剤容器のためのしっかりとした支持および着座を与えるように、首部分の表面と接するように設計されてもよい。当然ながら、桟は、薬剤容器の首部分のための支持表面を設ける多数のやり方で設計されてもよい。それらは、突起、不連続面、または1つもしくはいくつかの環状表面も含んでもよい。表面は、薬剤容器の首部分の形状とは相補の形状を有してもよい。
【0021】
本発明の1つの好ましい使用に従うと、薬剤容器の送達部材ユニットは、薬剤容器に固定して接続される/装着されるTELCユニットである。この局面でC字状の管状体と薬剤容器との間のしっかりとした接続を設けるために、保持器装置の近位管状部分はTELCユニットの装着部を収納する構成を有してもよい。
【0022】
TELCユニットの使用と関連して、内側および外側支持手段は、TELCユニットの閉止キャップ/シールドの取外しを容易にする。というのも、装着部はC字状の管状体に固定して保持され、C字状の管状体は筐体に固定して保持され、これにより装着部に対するユーザからの把持を置換える。したがって、閉止キャップは、片方の手でこれを捩じり、他方の手で薬剤送達装置の筐体を保持することによって取外され得る。
【0023】
TELCユニットの装着部はしばしばその外面上に把持部材を有して配置されるので、当該既存の把持部材を、C字状の管状体の内側支持手段と相互作用するように用いてもよい。実際に、装着部の把持作用をなし得る多数の他の形状および設計を用いてもよい。
【0024】
特にTELCユニットを利用する場合、捩じり行為を要件とする、薬剤送達装置の筐体に対するC字状の管状体の回転を防止することがさらに有利であり得る。したがって、長手方向のスリットを形成する当該第1および第2の対向する横方向端縁は、筐体の内周面上に配置される、長手方向に延在する径方向内向きの桟またはリブと協働するように構成されてもよい。これにより、容器ユニットが筐体に対して回転しないようにされる。この局面では、スリットまたは間隙は2つの機能を有する。
【0025】
本発明のこれらおよび他の局面ならびに本発明による利点は、発明の以下の詳細な説明からおよび添付の図面から明らかになるであろう。
【0026】
発明の以下の詳細な説明では、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】C字状の管状体の第1の実施形態を備える薬剤送達装置の分解図である。
図2】TELCユニットおよび図1のC字状の管状体を備える薬剤容器の詳細図である。
図3】第1の実施形態に従うC字状の管状体の斜視図である。
図4図3のC字状の管状体の斜視図である。
図5図3のC字状の管状体を備える薬剤送達装置の近位部の断面図である。
図6】薬剤送達装置の筐体セクションの近位部の詳細斜視図である。
図7】C字状の管状体の第2の実施形態を備える薬剤送達装置の分解図である。
図8】TELCユニットおよび図7のC字状の管状体を備える薬剤容器の詳細図である。
図9】第2の実施形態に従うC字状の管状体の斜視図である。
図10第2の実施形態に従う突起の配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
発明の詳細な説明
本願では、「遠位部/端」という用語を用いる場合、これは、装置の使用の際に患者の薬剤送達部位から最も遠く離れて位置する装置の部分/端またはその部材の部分/端を指す。対応して、「近位部/端」という用語を用いる場合、これは、装置の使用の際に患者の薬剤送達部位の最も近くに位置する装置の部分/端またはその部材の部分/端を指す。
【0029】
本発明に従う薬剤送達装置は、薬剤送達装置内で薬剤容器12を保持することができるC字状の管状体16とともに利用されることが意図される。好ましくは、薬剤送達装置は、注射装置、およびより好ましくは自己注射装置である(図1)。薬剤送達装置は、
−可動プランジャ11、首部分18、および送達部材ユニット22を備える薬剤容器12と、
−近位開放端13および対向する遠位開放端15を有する、長手方向軸Aに沿って長手方向に延在する筐体10と、
−筐体の遠端に配置され、ある用量の薬剤を送達するために可動プランジャに力を加えるように構成される駆動ユニット14と、を備える。
【0030】
薬剤送達装置は、ある用量の薬剤の送達のために可動プランジャに力を加え始める前に薬剤送達部位への注射針の穿通を行なうための手段、および/または薬剤が送達された後に注射部位からの針の後退を行なうための手段などの自動機能手段をさらに備えてもよい。これらの特徴は、たとえば薬剤送達装置上の押しボタンによって活性化されてもよい。しかしながら、これらの特徴は本発明のいずれの部分も形成するものではない。
【0031】
薬剤容器12は好ましくは、薬剤および可動プランジャ/弾力性ストッパを内蔵する細長い管状容器として設計される。薬剤容器は、首部分18、より好ましくは近位に向けられた首部分、および送達部材ユニット22をさらに有する。送達部材ユニットは、薬剤容器と一体化される好ましくは注射針である送達部材、または好ましくは注射針である送達部材が装着され得る装着部分のいずれかであり得る。好ましい装着設計は、ルアーロック設計またはルアースリップ設計を含み得る、いわゆるルアーテーパシステムである。これらの設計自体は当業者に公知であり、より詳細には記載しない。本発明とともに用いられ得るさらに好ましい注射針安全システムは、不正開封の痕跡がすぐにわかるルアーロック閉止ユニットまたはTELCユニットである。
【0032】
開示される実施形態では、TELCユニットである送達部材ユニット22は装着部24および閉止キャップ/シールド26を備える(図2)。装着部24は、好ましくはルアーロックねじ山によって、薬剤容器の近端に固定して装着される/接続される/係合される。閉止キャップ/シールド26は、装着部に取外し可能に接続され、好ましくは装着部24にねじ山で係合され、これにより、装着部からの取外しの際、閉止キャップ/シールド26を捩じる。閉止キャップ/シールド26の取外しを容易にするために、装着部24と閉止キャップ/シールド26との両方にそれぞれ長手方向に延在する窪み28およびリブ32が設けられ、これは、ユーザに改良された把持を与える。
【0033】
C字状の管状体16には、ある幅の長手方向に延在するスリット/間隙34が設けられる(図3)。長手方向に延在するスリット/間隙34により、C字状の管状体16は、容器ユニットを形成する当該薬剤容器12の近位に向けられた首部分18に装着され得る。C字状の管状体16は当該TELCユニットと相互作用するように構成され、これにより、当該C字状の管状体16が容器ユニットを形成する当該薬剤容器12の近位に向いた首部分18に装着された後は、当該薬剤容器はC字状の管状体16に対して動かないようにされる。さらに、C字状の管状体16は当該筐体10と相互作用するようにも構成され、これにより、当該容器ユニットが当該筐体内に配置された後は、C字状の管状体16は当該筐体に対して動かないようにされる。
【0034】
このように、C字状の管状体16は、薬剤容器が当該C字状の管状体に装着されるまたはその逆で容器ユニットを形成した後は、当該薬剤容器がC字状の管状体に対して動かないようにされるように、当該薬剤容器12の首部分18および当該薬剤容器12の送達部材ユニット22、TELCユニットと相互作用するように構成される内側支持手段と、容器ユニットが遠位開放端を通して当該筐体内に配置された後は、当該C字状の管状体が筐体に対して動かないようにされるように、筐体10の対応の支持手段と相互作用するように構成される外側支持手段とを備える。
【0035】
内側支持手段(図3)は、C字状の管状体の内周面上の少なくとも1つの長手方向に延在する径方向内向きの桟44を備える。当該長手方向に延在する径方向内向きの桟44は、装着部の外面上の少なくとも1つの長手方向に延在する窪み28と相互作用するように構成され、これにより、当該薬剤容器はC字状の管状体に対して回転しないようにされる。内側支持手段はさらに、当該薬剤容器12の首部分および装着部24の遠位環状表面23と相互作用するように構成される、C字状の管状体の内周面上の連続した環状の径方向内向きの桟36または別々の環状の径方向内向きの桟をさらに備え、これにより、当該薬剤容器はC字状の管状体に対して長手方向に動かないようにされる。図4に示されるように、連続した環状の径方向内向きの桟36の遠位に向けられた部分または別々の環状の径方向内向きの桟の各々の遠位に向けられた部分は好ましくは、薬剤容器12の首部分18の傾斜にほぼ対応する傾斜を有する面取り面38を有して配置される。第1の支持手段36の遠位側の管状体16の内周面に、径方向の薬剤容器の移動を防止するための支持部材42をさらに設けてもよい(図4)。好ましくは、当該支持部材42は、薬剤容器を支持する、長手方向に延在する径方向内向きの桟/リブである。
【0036】
図2および図6に示される実施形態では、送達部材ユニット22は好ましくはTELCユニットであり、管状体16の内周面は、連続した環状の径方向内向きの桟36または別々の環状の径方向内向きの桟によって、2つの部分、すなわち近位内面および遠位内面、に分けられる。近位内面はTELCユニットの装着部24を収納するように構成され、遠位内面は容器の一部を収納するように構成される。好ましくは、近位内面の内径は、装着部24が近位内面の中に収納されるように、TELCユニットの装着部24の外径にほぼ対応するように設定される。より好ましくは、当該少なくとも1つの長手方向に延在する径方向内向きの桟44は、当該装着部24を回転方向に保持し、これにより当該薬剤容器が管状体16に対して回転しないようにするように、近位内面上に配置される。
【0037】
外側支持手段(図6)は、装置の遠端に向いた、筐体の内周面上に配置される対応の連続した環状表面または別々の環状表面52と相互作用するように構成される、装置の近端に向いた、C字状の管状体の外周面上の連続した環状表面48または別々の環状表面を備える。これにより、容器ユニットが筐体の遠位開放端を通して当該筐体内に配置された後は、当該C字状の管状体は筐体の近位開放端を通らないようにされる。外側支持手段(図3)は、長手方向に延在するスリット/間隙34を形成する第1および第2の対向する横方向端縁30、31をさらに備え、当該横方向端縁は、筐体の内周面上に配置される、長手方向に延在する径方向内向きの桟またはリブ54と相互作用するように構成される(図6)。これにより容器ユニットは筐体に対して回転しないようにされる。
【0038】
図5に示されるような第1の実施形態では、管状体16は、薬剤容器12とともに当該筐体内に配置されると、筐体の内周面上の連続した環状表面52が管状体16の外周面上の対応の連続した環状表面48に当接し、これにより管状体16が筐体に対して近端に向けて長手方向に動かない/変位しないようにされる。第1の実施形態の変形(図示せず)では、管状体16が薬剤容器12とともに当該筐体内に配置されると、筐体の内周面上の別々の環状表面が管状体16の外周面上の対応の別々の環状表面に係合され、これにより管状体16は筐体に対して近端に向けて長手方向に動かないように/変位しないようにされ、筐体に対して回転しないようにもされる。
【0039】
本発明の第1の実施形態を用いることになる場合、管状体16のスリット/間隙34が薬剤容器12の本体に対して押される。これは、薬剤容器12の本体が管状体16に嵌まるように、管状体16を屈曲させる。次に管状体16は、連続した環状の径方向内向きの桟または別々の環状の径方向内向きの桟36が薬剤容器12の首部分18に到達し、これにより面取り面38が薬剤容器の首部分18と接するようになるまで近位方向に動かされる/押される。さらに、管状体16の近位内面46はTELCユニット22の装着部24の外周面を取囲み、これにより、長手方向に延在する径方向内向きの桟44が、TELCユニット22の装着部24上の対応の長手方向に延在する径方向外向きの窪み28と当接する/係合することにより、装着部24は、薬剤容器12とともに、管状体16に対して回転しないようにされる。
【0040】
TELCユニット22を有する薬剤容器12が管状体16にここで装着されるかまたはその逆にして、容器ユニットを形成する。当該容器ユニットはここで、遠位方向から薬剤送達装置の筐体10の中へ/筐体10内に挿入可能である。挿入の際、容器ユニットは、管状体16のスリット/間隙34が、筐体の内周面上の長手方向に延在する径方向内向きの桟またはリブ54と係合可能であるまたはこれと係合するように導かれ、これにより容器ユニットは筐体に対して回転しないようにされる。さらに、管状体16の外周面上の連続した環状表面48が筐体10の内周面上の対応の連続した環状表面52と当接し、これにより容器ユニットは筐体に対して近端に向けて長手方向に動かないようにされる。この位置で、閉止キャップ/シールド26が筐体10の遠位に向いた開口を通って突出し、これにより、ユーザは取外しのために閉止キャップ/シールド26を把持し得る。
【0041】
次に、パワーパック、遠位筐体部、または活性化特徴に関連して何が薬剤送達装置に設けられても、それが筐体の遠位区域に接続され、これにより遠位方向に薬剤容器を係止してもよい。
【0042】
図7から図10は発明の第2の実施形態を表示する。これは、薬剤容器のための保持器を備え、この場合、保持器はほぼC字状の管状体160を有する。多くのやり方では、第2の実施形態のC字状体160は第1の実施形態のC字状体16と同じ特徴を表示する。しかしながら、第2の実施形態のC字状の管状体160は、長手方向により長く、薬剤容器の少なくとも部分を遠位方向に取囲む。C字状の管状体は長手方向に延在するスリット/間隙134を有して配置され、上述のものと同じ態様でC字状の管状体を薬剤容器12に装着するための手段を設ける。しかしながら、第2の実施形態のC字状の管状体はより長いので、薬剤容器の長手方向のより大きな部分がC字状の管状体で覆われる。C字状の管状体は長手方向に延在する切欠きまたはスリット142を有してさらに配置され、この場合、スリット/間隙134およびスリット142は屈曲部材を形成し、その機能を以下に説明する。
【0043】
C字状の管状体160は、当該薬剤容器12の首部分18、および当該薬剤容器12の送達部材ユニット22、TELCユニットと相互作用するように構成される内側支持手段を備え、これにより、薬剤容器が当該C字状の管状体に装着されるかまたはその逆で容器ユニットを形成した後は、当該薬剤容器がC字状の管状体に対して動かないようにされる。C字状の管状体160はさらに、筐体100の対応の支持手段と相互作用するように構成される外側支持手段を備え、これにより、容器ユニットが遠位開放端を通して当該筐体内に配置された後は、当該C字状の管状体は筐体に対して動かないようにされる。
【0044】
内側支持手段(図8および図9)は、C字状の管状体160の内周面上の少なくとも1つの長手方向に延在する径方向内向きの桟144を備える。当該長手方向に延在する径方向内向きの桟144は、装着部24の外面上の少なくとも1つの長手方向に延在する窪み28と相互作用するように構成され(図8)、これにより、当該薬剤容器はC字状の管状体に対して回転しないようにされる。内側支持手段は、当該薬剤容器12の首部分18および装着部24の遠位環状表面23と相互作用するように構成される、C字状の管状体160の内周面上の別々の環状の径方向内向きの桟136または連続した環状の径方向内向きの桟をさらに備え、これにより、当該薬剤容器12はC字状の管状体に対して長手方向に動かないようにされる。図9に示されるように、別々の環状の径方向内向きの桟136の各々の遠位に向けられた部分は好ましくは、薬剤容器12の首部分18の傾斜にほぼ対応する傾斜を有する面取り面138を有して配置される。面取り面138は、近位軸方向および径方向への薬剤容器12の動きを防止するように配置される。
【0045】
外側支持手段(図7)は、多数の外向きの突起148を備える。図7に示される実施形態では、突起はC字状の管状体160の遠端に配置される。しかしながら、突起はC字状の管状体160の外面上の他の場所上に位置決めされてもよいことを理解すべきである。突起は、筐体100中の凹部または切欠きの形態の着座部162に嵌合するように配置され(図10)、C字状の管状体160と筐体100との間に係止を設け、長手方向と回転方向との両方へのC字状の管状体160の動きを有効に防止する。突起148は、C字状の管状体のスリット/間隙134および切欠き142とともに筐体100への挿入および装着を容易にする、近位に向けられた傾斜面150を有して配置される。
【0046】
上述され図面に示される実施形態は発明の非限定的例としてのみ見なされるべきであり、これは、特許請求項の範囲内で多数のやり方で変形されてもよいことを理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10