特許第6014757号(P6014757)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6014757
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】羽根式流体伝達装置
(51)【国際特許分類】
   F04C 2/344 20060101AFI20161011BHJP
   F04C 18/344 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   F04C2/344 331B
   F04C2/344 331C
   F04C2/344 331D
   F04C18/344 351E
   F04C18/344 351K
【請求項の数】12
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-517572(P2015-517572)
(86)(22)【出願日】2012年6月29日
(65)【公表番号】特表2015-520323(P2015-520323A)
(43)【公表日】2015年7月16日
(86)【国際出願番号】CN2012000893
(87)【国際公開番号】WO2014000126
(87)【国際公開日】20140103
【審査請求日】2014年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】514325262
【氏名又は名称】楊 進煌
(73)【特許権者】
【識別番号】514325273
【氏名又は名称】楊 順吉
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】楊 進煌
(72)【発明者】
【氏名】楊 順吉
【審査官】 新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0304262(US,A1)
【文献】 米国特許第05160252(US,A)
【文献】 米国特許第06623261(US,B2)
【文献】 特表平09−505864(JP,A)
【文献】 米国特許第05560741(US,A)
【文献】 米国特許第01635523(US,A)
【文献】 米国特許第04212603(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 2/344
F04C 18/344
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子、回転子、2個の羽根、2個の第1ライニング及び2個の第2ライニングからなる羽根式流体伝達装置であって、前記固定子の内部に房室が形成され、前記房室の内壁が円形であり、前記房室は流入路及び流出路を通過してそれぞれ前記固定子の外部と連通し、
前記回転子は円柱状本体及び主軸を備え、前記主軸は前記本体に接合され、前記本体が前記房室内に設けられ、前記本体の中心は前記房室と偏心し、かつ前記本体の円形外周と前記房室の内壁とは正接接触され、前記流入路及び前記流出路と前記房室の連通箇所は、それぞれ前記本体と前記房室の内壁の正接箇所の両側に形成され、前記本体は直径方向に沿って2個のスライド溝が開設され、各前記スライド溝はそれぞれ前記本体の外周に延伸して前記房室と連通し、前記主軸は前記固定子を貫通して前記固定子の外部に延伸し、動力装置と連結するために用いられ、前記回転子を回転させるのに供され、
各前記羽根はそれぞれ各前記スライド溝に嵌合され、各前記羽根の一端はそれぞれ前記本体の軸心を指向し、各前記羽根の他端はそれぞれ前記房室の内壁と正接接触し、前記房室には前記回転子の外周と前記房室の内壁との間に流体を収容するための空間が形成され、
各前記第1ライニング及び各前記第2ライニングはそれぞれ前記固定子に枢着嵌合され、各前記第1ライニングはそれぞれ前記本体の底縁と相隣し、各前記第2ライニングはそれぞれ前記本体の頂縁と相隣し、かつ各前記第1ライニングはそれぞれ前記房室の円心を中心として旋回作動し、各前記第2ライニングはそれぞれ前記房室の円心を中心として旋回作動し、
各前記羽根はそれぞれ軸棒を通して各前記第1ライニング及び各前記第2ライニングと枢接し、各前記羽根はそれぞれ前記房室の円心を中心として旋回運動を行い、かつ各前記羽根はそれぞれ各前記スライド溝に沿って往復運動し、
その特徴は、
各前記羽根が前記房室の内壁と接触する末端はそれぞれ円弧面に形成され、前記房室の内壁の内半径をR1とし、各前記軸棒の旋回運動経路の半径をR2とし、各前記羽根の円弧面の弧形半径をR3とすると、R3=R1−R2となり、かつ各前記円弧面の円心をそれぞれ各前記羽根と各前記第1ライニングの相対回転の回転中心とし、各前記羽根の末端と房室の内壁との正接接触を保持し、これにより流体ポンプの送伝達効率を高めると共に、前記固定子の前記房室の加工形成の困難度を低減させることを特徴とする、羽根式流体伝達装置。
【請求項2】
前記固定子には、円環状の第1嵌め溝及び円環状の第2嵌め溝が形成され、前記第1嵌め溝及び前記第2嵌め溝はそれぞれ前記房室と同心に形成され、各前記第1ライニングはそれぞれ前記第1嵌め溝に枢着嵌合され、各前記第2ライニングはそれぞれ前記第2嵌め溝に枢着嵌合され、前記第1ライニングと第2ライニングはそれぞれ前記房室の円心を中心として旋回作動することを特徴とする、請求項1に記載の羽根式流体伝達装置。
【請求項3】
前記固定子には、前記第1嵌め溝の端面にさらに環状の第1凹陥溝が凹陥され、前記第2嵌め溝の端面にさらに環状の第2凹陥溝が凹陥されていることを特徴とする、請求項2に記載の羽根式流体伝達装置。
【請求項4】
前記固定子には、前記第1嵌め溝の環状中心に円形の第1短柱が形成され、前記第1短柱は前記房室と同心に形成され、前記第2嵌め溝の環状中心に円形の第2短柱が形成され、前記第2短柱は前記房室と同心に形成されることを特徴とする、請求項2に記載の羽根式流体伝達装置。
【請求項5】
各前記第1ライニングと第2ライニングはそれぞれ円環部及び翼部が相接して構成され、各前記第1ライニングはそれぞれ前記円環部を通して前記第1短柱に枢着係合され、各前記第2ライニングはそれぞれ前記円環部を通して前記第2短柱に枢着係合されることを特徴とする、請求項4に記載の羽根式流体伝達装置。
【請求項6】
各前記第1ライニングと第2ライニングはそれぞれ円弧状であり、かつ各前記第1ライニングと第2ライニングの円弧の展開幅は180°よりも大きく、各前記第1ライニングはそれぞれ前記第1短柱に枢着係止され、各前記第2ライニングはそれぞれ前記第2短柱に枢着係止されることを特徴とする、請求項4に記載の羽根式流体伝達装置。
【請求項7】
各前記第1ライニングと第2ライニングはそれぞれ円環部及び翼部が相接して構成され、各前記翼部はそれぞれ各前記円環部の内周縁と相接し、かつ各前記翼部はそれぞれ円弧状であり、各前記第1ライニングの翼部はそれぞれ前記第1短柱の外周縁と隣接し、各前記第1ライニングの円環部の外周はそれぞれ前記第1嵌め溝の環状内壁と隣接し、各前記第2ライニングの翼部はそれぞれ前記第2短柱の外周縁と隣接し、各前記第2ライニングの円環部の外周はそれぞれ固定子の第2嵌め溝の環状内壁と隣接することを特徴とする、請求項4に記載の羽根式流体伝達装置。
【請求項8】
各前記羽根は、それぞれ各前記軸棒を通して各前記第1ライニング及び第2ライニングの翼部と枢接されることを特徴とする、請求項5または請求項7に記載の羽根式流体伝達装置。
【請求項9】
前記本体は、端面に少なくとも1つのグルーブが凹陥されており、前記グルーブの両端はそれぞれ各前記スライド溝と連通し、かつ前記グルーブの両端はそれぞれ前記主軸の近隣に位置することを特徴とする、請求項1に記載の羽根式流体伝達装置。
【請求項10】
前記主軸は可変周波数式モーターと連結し、これに基づいて流体の流量を制御することを特徴とする、請求項1に記載の羽根式流体伝達装置。
【請求項11】
固定子、回転子、羽根、第1ライニング及び第2ライニングからなる羽根式流体伝達装置であって、前記固定子の内部に房室が形成され、前記房室の内壁が円形であり、前記房室は流入路及び流出路を通過してそれぞれ前記固定子の外部と連通し、
前記回転子は円柱状本体及び主軸を備え、前記主軸は前記本体と接合され、前記本体が前記房室内に設けられ、前記本体の中心は前記房室と偏心し、かつ前記本体の円形外周と前記房室の内壁とは正接接触し、前記流入路及び前記流出路と前記房室の連通箇所は、それぞれ前記本体と前記房室の内壁の正接箇所の両側に形成され、前記本体は直径方向に沿ってスライド溝が開設され、前記スライド溝は前記本体の外周に延伸して前記房室と連通し、前記主軸は前記固定子を貫通して前記固定子の外部に延伸し、動力装置と連結するために用いられ、前記回転子を回転させるのに供され、
前記羽根は前記スライド溝に嵌合され、前記羽根の一端は前記本体の軸心を指向し、前記羽根の他端は前記房室の内壁と接触し、前記房室には前記回転子の外周と前記房室の内壁との間に流体を収容するための空間が形成され、
前記第1ライニング及び前記第2ライニングはそれぞれ前記固定子に枢着嵌合され、前記第1ライニングは前記本体の底縁と相隣し、前記第2ライニングは前記本体の頂縁と相隣し、かつ前記第1ライニングはそれぞれ前記房室の円心を中心として旋回作動し、前記第2ライニングはそれぞれ前記房室の円心を中心として旋回作動し、
前記羽根は軸棒を通して前記第1ライニング及び前記第2ライニングと枢接し、前記羽根は前記房室の円心を中心として旋回運動を行い、かつ前記羽根は前記スライド溝に沿って往復運動し、
その特徴は、
前記羽根が前記房室の内壁と接触する末端は円弧面に形成され、前記房室の内壁の内半径をR1とし、前記軸棒の旋回運動経路の半径をR2とし、前記羽根の円弧面の弧形半径をR3とすると、R3=R1−R2となり、かつ前記円弧面の円心をそれぞれ前記羽根と前記第1ライニングの相対回転の回転中心とし、前記羽根の末端と房室の内壁との接触を保持し、これにより流体ポンプの送伝達効率を高めると共に、前記固定子の前記房室の加工形成の困難度を低減させることを特徴とする、羽根式流体伝達装置。
【請求項12】
前記流入路及び前記流出路はそれぞれ単方向弁と連設され、該単方向弁は流体が前記固定子に流入・流出する方向を制御するために用いられることを特徴とする、請求項11に記載の羽根式流体伝達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体伝達設備に係り、特に羽根式流体伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
羽根式ポンプは、主に固定子、回転子及び1から複数個の不等な羽根から構成される。その内、固定子の内部には房室が形成されると共に、固定子に2本の流路が開設され、房室の空間は各流路を通過して外界と連通しており、流体が各流路を通過してそれぞれ房室に進入・離脱する。回転子は、房室の内部に設けられた回転部材であり、回転子の回転中心は房室の中心と偏心状態に形成され、かつ回転子の外周面は房室の内壁と接触している。回転子には羽根の数目に合わせて1から複数個の不等なスライド溝が開設され、各スライド溝の長軸は回転子の回転中心を指向し、各羽根はそれぞれ各スライド溝に枢着嵌合される。各羽根の一端はそれぞれ回転子の回転中心を指向し、各羽根の他端はそれぞれ房室の内壁と接触し、これに従って房室は回転子の外周と房室の内壁との間の空間において、回転子及び各羽根と房室の内壁との接触により、流体を収容するための複数個の流体空間が区画形成される。
【0003】
回転子を回転させると、各羽根は回転子と共に旋回作動し、回転の遠心力作用及び房室の周壁制限のため、各羽根が旋転作動すると同時に、それぞれも各スライド溝の軸方向に沿って往復作動する。各羽根の房室内の旋回作動のため、各流体空間容積の変化が生じると、流路を通過して流体を房室に吸入することができると共に、流体を別の流路を通過して外向きに排出し、このことから、流体ポンプ送りが遂行される。
【0004】
現在知られている羽根式ポンプは、回転子を通して羽根の回転による遠心力を連動して羽根を回転子の回転過程中に外向きに滑走するように促し、羽根の末端と房室の周壁との接触を保持し、流体のポンプ送りが遂行される。しかし、このような羽根式ポンプを気体などの低粘度の流体をポンプ送りするのに応用する時に、羽根の末端と房室の周壁とにまた運転過程中に接触を保持することはできるが、比較的高粘度の流体をポンプ送りするのに応用する時は、羽根の末端と房室の周壁との接触を保持することができずに、隙間が形成され易く、このため、隣接する流体空間を効果的に阻隔することができず、流体ポンプ送り効率に影響する。
【0005】
特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4及び特許文献5などにはそれぞれ羽根式流体伝達装置に関する技術が開示されている。これらは、主に固定子に環状のグルーブが形成され、かつグルーブは房室と同心に形成され、羽根に突設される軸棒はグルーブに枢着嵌合され、グルーブを通過して羽根の運動をガイドする。回転子は房室同士と偏心し、かつ回転子に枢着嵌合される羽根の長軸は回転子の中心を指向するので、羽根が回転子の牽引運動時による運動軌跡に合わせて、房室の内壁の形状は楕円形または卵形などに近似する複雑な形状を呈する。しかし、房室の内壁の形状が複雑なので、固定子に対して房室の加工形成の困難度を大幅に高めることになる。さらに、羽根は厚さを有する板状体であるので、羽根の末端が近隣両側箇所と房室の内壁とに生じる干渉問題を回避するために、羽根の末端は厚さが急遽に減縮される尖鋭状を呈する。このように、羽根の末端が尖鋭状を呈するので、羽根の末端に流体の相対作用力を受ける時に発生する振顫現象になって運転騒音が生じ、かつ羽根の末端の振顫現象により羽根の末端に局部熱応力が発生しやすいと共に、羽根の末端箇所の材料疲労を加速させて、羽根の使用寿命に影響を与える。
【0006】
これに鑑みて、本発明者は、積極的に研究を行い、試験を多数回繰り返し行った結果、遂に新規かつ進歩のある本発明を成し得た。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4212603号明細書
【特許文献2】米国特許第5087183号明細書
【特許文献3】米国特許第5160252号明細書
【特許文献4】米国特許第5181843号明細書
【特許文献5】米国特許第5558511号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、円柱状の回転子が円形の房室内に偏心して可動自在に設けられ、羽根の軸棒はライニングに軸枢され、ライニングは房室の円心を中心として回転運動し、かつ羽根とライニングとの相対回転が形成されると共に、羽根の末端の形状に合わせて、羽根と房室の内壁との正接接触を保持し、これにより、流体ポンプの送伝達効率を高めると共に、固定子の房室の加工形成の困難度を低減させることができる、羽根式流体伝達装置を提供することにある。
【0009】
本発明の別の目的は、可変周波数式モーターを合わせて使用して回転子を回転させるように駆動し、流体の流量を制御するために用いられる、羽根式流体伝達装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明の羽根式流体伝達装置は、固定子、回転子、2個の羽根、2個の第1ライニング及び2個の第2ライニングを備え、その中、前記固定子の内部に房室が形成され、前記房室の内壁が円形であり、前記房室は流入路及び流出路を通過してそれぞれ前記固定子の外部と連通する。
【0011】
前記回転子は円柱状本体及び主軸を備え、前記主軸は前記本体と接合され、前記本体が前記房室内に設けられ、前記本体の中心は前記房室と偏心し、かつ前記本体の円形外周と前記房室の内壁とは正接接触し、前記流入路及び前記流出路と前記房室の連通箇所は、それぞれ前記本体と前記房室の内壁の正接箇所の両側に形成され、前記本体には直径方向に沿って2個のスライド溝が開設され、各前記スライド溝はそれぞれ前記本体の外周に延伸して前記房室と連通し、前記主軸は前記固定子を貫通して前記固定子の外部に延伸し、動力装置と連結するために用いられ、前記回転子を回転させるのに供される。
【0012】
各前記羽根はそれぞれ各前記スライド溝に嵌合され、各前記羽根の一端はそれぞれ前記本体の軸心を指向し、各前記羽根の他端はそれぞれ前記房室の内壁と正接接触し、前記房室には前記回転子の外周と前記房室の内壁との間に流体を収容するための空間が形成される。
【0013】
各前記第1ライニング及び各前記第2ライニングはそれぞれ前記固定子に枢着嵌合され、各前記第1ライニングはそれぞれ前記本体の底縁と相隣し、各前記第2ライニングはそれぞれ前記本体の頂縁と相隣し、かつ各前記第1ライニングはそれぞれ前記房室の円心を中心として旋回作動し、各前記第2ライニングはそれぞれ前記房室の円心を中心として旋回作動する。
【0014】
各前記羽根はそれぞれ軸棒を通して各前記第1ライニング及び各前記第2ライニングと枢接し、各前記羽根はそれぞれ前記房室の円心を中心として旋回運動を行い、かつ各前記羽根はそれぞれ各前記スライド溝に沿って往復運動し、各前記羽根が前記房室の内壁と接触する末端はそれぞれ円弧面に形成され、前記房室の内壁の内半径をR1とし、各前記軸棒の旋回運動経路の半径をR2とし、各前記羽根の円弧面の弧形半径をR3とすると、R3=R1−R2となり、かつ各前記円弧面の円心をそれぞれ各前記羽根と各前記第1ライニングの相対回転の回転中心とし、各前記羽根の末端と房室の内壁との正接接触を保持し、このことから、流体ポンプの送伝達効率を高めると共に、前記固定子に対して前記房室の加工形成の困難度を低減させることができる。
【0015】
かかる羽根式流体伝達装置において、前記固定子には、円環状の第1嵌め溝及び円環状の第2嵌め溝が形成され、前記第1嵌め溝及び前記第2嵌め溝はそれぞれ前記房室と同心に形成され、各前記第1ライニングはそれぞれ前記第1嵌め溝に枢着嵌合され、各前記第2ライニングはそれぞれ前記第2嵌め溝に枢着嵌合され、前記第1ライニングと第2ライニングはそれぞれ前記房室の円心を中心として旋回作動する。
【0016】
かかる羽根式流体伝達装置において、前記固定子には、前記第1嵌め溝の端面にさらに環状の第1凹陥溝が凹陥され、前記第2嵌め溝の端面にさらに環状の第2凹陥溝が凹陥されている。
【0017】
かかる羽根式流体伝達装置において、前記固定子には、前記第1嵌め溝の中心に円形の第1短柱が形成され、前記第1短柱は前記房室と同心に形成され、前記第2嵌め溝の中心に円形の第2短柱が形成され、前記第2短柱は前記房室と同心に形成される。
【0018】
かかる羽根式流体伝達装置において、各前記第1ライニングと第2ライニングはそれぞれ円環部及び翼部が相接して構成され、各前記第1ライニングはそれぞれ前記円環部を通して前記第1短柱に枢着係合され、各前記第2ライニングはそれぞれ前記円環部を通して前記第2短柱に枢着係合される。
【0019】
かかる羽根式流体伝達装置において、各前記第1ライニングと第2ライニングはそれぞれ円弧状であり、かつ各前記第1ライニングと第2ライニングの円弧の展開幅は180°よりも大きく、各前記第1ライニングはそれぞれ前記第1短柱に枢着係止され、各前記第2ライニングはそれぞれ前記第2短柱に枢着係止される。
【0020】
かかる羽根式流体伝達装置において、各前記第1ライニングと第2ライニングはそれぞれ円環部及び翼部が相接して構成され、各前記翼部はそれぞれ各前記円環部の内周縁と相接し、かつ各前記翼部はそれぞれ円弧状であり、各前記第1ライニングの翼部はそれぞれ前記第1短柱の外周縁と隣接し、各前記第1ライニングの円環部の外周はそれぞれ前記第1嵌め溝の環状内壁と隣接し、各前記第2ライニングの翼部はそれぞれ前記第2短柱の外周縁と隣接し、各前記第2ライニングの円環部の外周はそれぞれ固定子の第2嵌め溝の環状内壁と隣接する。
【0021】
かかる羽根式流体伝達装置において、各前記羽根はそれぞれ各前記軸棒を通して各前記第1ライニングと第2ライニングの翼部と枢接される。
【0022】
かかる羽根式流体伝達装置において、前記本体は、端面に少なくとも1つのグルーブが凹陥されており、前記グルーブの両端はそれぞれ各前記スライド溝と連通し、かつ前記グルーブの両端はそれぞれ前記主軸の近隣に位置している。
【0023】
かかる羽根式流体伝達装置において、前記固定子は、基台及び封蓋を組み立てて成る。
【0024】
かかる羽根式流体伝達装置において、前記主軸は可変周波数式モーターと連結する。
【0025】
本発明は、また固定子、回転子、羽根、第1ライニング及び第2ライニングを備える羽根式流体伝達装置を提供し、前記固定子の内部に房室が形成され、前記房室の内壁が円形であり、前記房室は流入路及び流出路を通過して通過してそれぞれ前記固定子の外部と連通する。
【0026】
前記回転子は円柱状本体及び主軸を備え、前記主軸は前記本体と接合され、前記本体が前記房室内に設けられ、前記本体の中心は前記房室と偏心し、かつ前記本体の円形外周と前記房室の内壁とが正接接触し、前記流入路及び前記流出路と前記房室の連通箇所は、それぞれ前記本体と前記房室の内壁の正接箇所の両側に形成され、前記本体には直径方向に沿ってスライド溝が開設され、前記スライド溝は前記本体の外周に延伸して前記房室と連通し、前記主軸は前記固定子を貫通して前記固定子の外部に延伸し、動力装置と連結するために用いられ、前記回転子を回転させるのに供される。
【0027】
前記羽根は前記スライド溝に嵌合され、前記羽根の一端は前記本体の軸心を指向し、前記羽根の他端は前記房室の内壁と接触し、前記房室には前記回転子の外周と前記房室の内壁との間に流体を収容するための空間が形成される。
【0028】
前記第1ライニング及び前記第2ライニングはそれぞれ前記固定子に枢着嵌合され、前記第1ライニングは前記本体の底縁と相隣し、前記第2ライニングは前記本体の頂縁と相隣し、かつ前記第1ライニングはそれぞれ前記房室の円心を中心として旋回作動し、前記第2ライニングはそれぞれ前記房室の円心を中心として旋回作動する。
【0029】
前記羽根は軸棒を通して前記第1ライニング及び前記第2ライニングと枢接し、前記羽根は前記房室の円心を中心として旋回運動を行い、かつ前記羽根は前記スライド溝に沿って往復運動し、前記羽根が前記房室の内壁と接触する末端は円弧面に形成され、前記房室の内壁の内半径をR1とし、前記軸棒の旋回運動経路の半径をR2とし、前記羽根の円弧面の弧形半径をR3とすると、R3=R1−R2となり、かつ前記円弧面の円心をそれぞれ前記羽根と前記第1ライニングの相対回転の回転中心とし、前記羽根の末端と房室の内壁との接触を保持し、このことから、流体ポンプの送伝達効率を高めると共に、前記固定子に対して前記房室の加工形成の困難度を低減させることができる。
【0030】
かかる羽根式流体伝達装置において、前記流入路及び前記流出路はそれぞれ単方向弁と連設され、単方向弁は流体が前記固定子に流入・流出する方向を制御するために用いられる。
【0031】
本発明は、ほかに固定子、回転子、第1羽根、第2羽根、第1ライニング及び第2ライニングを備える羽根式流体伝達装置を提供し、前記固定子の内部に房室が形成され、前記房室の内壁が円形であり、前記房室は流入路及び流出路を通過してそれぞれ前記固定子の外部と連通する。
【0032】
前記回転子は円柱状本体及び主軸を備え、前記主軸は前記本体と接合され、前記本体が前記房室内に設けられ、前記本体の中心は前記房室と偏心し、かつ前記本体の円形外周と前記房室の内壁とは正接接触し、前記流入路及び前記流出路と前記房室の連通箇所は、それぞれ前記本体と前記房室の内壁の正接箇所の両側に形成され、前記本体は直径方向に沿って2個のスライド溝が開設され、各前記スライド溝はそれぞれ前記本体の外周に延伸して前記房室と連通し、前記主軸は前記固定子を貫通して前記固定子の外部に延伸し、動力装置と連結するために用いられ、前記回転子を回転させるのに供される。
【0033】
前記第1羽根と第2羽根はそれぞれ各前記スライド溝に嵌合され、前記第1羽根と第2羽根の一端はそれぞれ前記本体の軸心を指向し、前記第1羽根と第2羽根の他端はそれぞれ前記房室の内壁と正接接触し、前記房室には前記回転子の外周と前記房室の内壁との間に流体を収容するための空間が形成される。
【0034】
前記第1ライニングと第2ライニングはそれぞれ円環状片体であり、前記第1ライニングと第2ライニングはそれぞれ前記固定子に枢着嵌合され、前記第1ライニングは前記本体の底縁と相隣し、前記第2ライニングはそれぞれ前記本体の頂縁と相隣し、かつ前記第1ライニングと第2ライニングはそれぞれ前記房室の円心を中心として旋回作動し、前記第1ライニングと第2ライニングにはそれぞれ枢孔及び円弧形のガイド溝が形成される。
【0035】
前記第1羽根は軸棒に軸枢され、前記軸棒の両端はそれぞれ前記第1ライニング及び前記第2ライニングの枢孔に軸枢され、前記第2羽根は第1軸棒及び第2軸棒に軸枢され、前記第1軸棒は弧形の第1スライドブロックと軸接し、前記第2軸棒は弧形の第2スライドブロックと軸接し、前記第1スライドブロックは前記第1ライニングのガイド溝内に枢設され、前記第2スライドブロックは前記第2ライニングのガイド溝内に枢設され、前記第1羽根と第2羽根をそれぞれ前記房室の円心に従って旋回運動を行い、かつ前記第1羽根と第2羽根はそれぞれ各前記スライド溝に沿って往復運動する。
【0036】
前記第1羽根と第2羽根が前記房室の内壁と接触する末端はそれぞれ円弧面に形成され、前記房室の内壁の内半径をR1とし、前記軸棒及び前記第1軸棒と第2軸棒の旋回運動経路の半径をR2とし、前記第1羽根と第2羽根の円弧面の弧形半径をそれぞれR3とすると、R3=R1−R2となり、かつ前記第1羽根の円弧面は前記軸棒の軸心を円心とし、前記第2羽根の円弧面は前記第1軸棒と第2軸棒の軸心を円心とし、前記第1羽根と第2羽根の末端はそれぞれ前記房室の内壁と正接接触し、流体ポンプの送伝達効率を高めるように供されると共に、前記固定子に対して前記房室の加工形成の困難度を低減させることができる。
【0037】
かかる羽根式流体伝達装置において、前記第1ライニングの枢孔及びガイド溝は、前記第1ライニングの一面に密閉状に形成され、前記第2ライニングの枢孔及びガイド溝は、前記第2ライニングの一面に密閉状に形成される。
【0038】
かかる羽根式流体伝達装置において、前記第1ライニングの枢孔及びガイド溝は、それぞれ前記第1ライニングを貫通し、前記第2ライニングの枢孔及びガイド溝は、それぞれ前記第2ライニングを貫通する。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、流体ポンプの送伝効率を高めると共に、固定子の房室の加工形成の困難度を低減させることができ、可変周波数式モーターを合わせて使用して回転子を回転させるように駆動し、流体の流量を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明の実施例1を示す羽根式流体伝達装置の斜視図である。
図2】本発明の実施例1を示す羽根式流体伝達装置の分解斜視図である。
図3】本発明の実施例1に係る基台の平面図である。
図4図3の4−4を示す断面図である。
図5】本発明の実施例1に係る封蓋の断面図である。
図6】本発明の実施例1を示す羽根式流体伝達装置の断面図である。
図7】本発明の実施例1を示す羽根式流体伝達装置の封蓋除去状態における平面図である。
図8】本発明の実施例1を示す羽根式流体伝達装置の作動状態(1)における模式図である。
図9】本発明の実施例1を示す羽根式流体伝達装置の作動状態(2)における模式図である。
図10】本発明の実施例2を示す羽根式流体伝達装置の断面図である。
図11本発明の実施例3に係る第1、第2ライニング及び回転子の分解斜視図である。
図12本発明の実施例3を示す羽根式流体伝達装置の封蓋除去状態における平面図である。
図13】本発明の実施例4に係る第1、第2ライニング及び回転子の分解斜視図である。
図14】本発明の実施例5に係る第1、第2ライニング及び回転子の分解斜視図である。
図15】本発明の実施例6を示す羽根式流体伝達装置の分解斜視図である。
図16】本発明の実施例7を示す羽根式流体伝達装置の分解斜視図である。
図17】本発明の実施例7に係る第1ライニングの軸方向断面図である。
図18】本発明の実施例7に係る第2ライニングの軸方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明の構成及びその新規な箇所をより完全に示すように、実施可能な具体的な実施例を図面に基づいて以下に説明する。
【0042】
[実施例1]
図1及び図2に示すように、実施例1の羽根式流体伝達装置は、固定子10、回転子20、2個の羽根(32、34)、2個の第1ライニング40及び2個の第2ライニング50を備える。
その中、固定子10は、主に基台11及び封蓋12を組み立ててなる。基台11と封蓋12との間にさらに密封パッド(未図示)を挟設することが好ましい。また、複数個のボルト(未図示)を利用して基台11及び封蓋12をタンデム接続してある。前記密封パッド及び前記ボルトはいずれも関連技術分野業者が熟知する現有部品であるので、ここでの具体的な説明は割愛する。
図3及び図4に示すように、固定子10の内部に房室13が形成される。房室13の内壁132は円形である。固定子10には流入路14及び流出路15が形成され、流入路14及び流出路15の一端はそれぞれ房室13と連通し、他端は固定子10の外部と連通し、流体が房室13を通過するのに供される。房室13の底面において、基台11には円環状の第1嵌め溝16が凹陥されており、かつ、基台11には第1嵌め溝16の中心に円形の第1短柱17が形成されている。第1嵌め溝16及び第1短柱17は房室13と同心に形成される。
図5に示すように、封蓋12には、房室13に隣向する表面に円環状の第2嵌め溝18が凹陥されており、かつ第2嵌め溝18の中心に円形の第2短柱19が形成され、第2嵌め溝18及び第2短柱19は房室13と同心に形成される。
【0043】
図2図7に示すように、回転子20は円柱状本体21及び主軸22を備え、主軸22は本体21と接合されている。本体21は房室13内に設けられ、本体21の中心は房室13と偏心に形成され、かつ本体21の円形外周と房室13の内壁132とは正接接触しており、流入路14及び流出路15と房室13の連通箇所は、それぞれ本体21の外周と房室13の内壁132の正接箇所の両側に形成される。主軸22の一端は基台11に回動可能に嵌合され、主軸22の他端は封蓋12を回動可能に貫通して固定子10の外部に延伸し、モーターなどの動力装置(未図示)と連結するために用いられて、回転子20を回転させる。主軸22にはさらに2個の軸受け(未図示)が軸枢され、各前記軸受けはそれぞれ基台11、封蓋12と枢接し、これにより主軸22の回転円滑性を高める。本体21には、羽根32、34の数量に合わせて2個のスライド溝23が直径方向に沿って開設される。各スライド溝23の一端は本体21の軸心を指向し、他端は本体21の外周に延伸して房室13と連通している。本体21には、封蓋12に隣向する端面に少なくとも1つのグルーブ24が凹陥されており、グルーブ24の両端はそれぞれ各スライド溝23と連通し、かつグルーブ24の両端はそれぞれ主軸22の近隣に位置している。
【0044】
各羽根32、34はそれぞれ各スライド溝23に嵌合され、各羽根32、34の一端はそれぞれ本体21の軸心を指向し、各羽根32、34の他端はそれぞれ房室13の内壁132と正接接触している。従って、回転子20及び各羽根32、34と房室13の内壁132との接触により、房室13には回転子20の外周と房室13の内壁132との間に流体を収容するための空間が形成される。
【0045】
各第1ライニング40及び各第2ライニング50はそれぞれ固定子10に枢着嵌合され、各第1ライニング40はそれぞれ本体21の底縁と相隣し、各第2ライニング50はそれぞれ本体21の頂縁と相隣し、かつ各第1ライニング40はそれぞれ房室13の円心を中心として旋回作動し、各第2ライニング50はそれぞれ房室13の円心を中心として旋回作動する。各第1、第2ライニング40、50はそれぞれ円環部42、52及び翼部44、54が相接して構成され、各翼部44、54はそれぞれ各円環部42、52の外縁と相接し、かつ各翼部44、54はそれぞれ弧形である。各第1ライニング40はそれぞれ第1嵌め溝16に枢着嵌合され、従って各第1ライニング40はそれぞれ本体21の底縁と相隣し、かつ各第1ライニング40はそれぞれ円環部42を通して第1短柱17に枢着係合され、各第1ライニング40はそれぞれ房室13の円心を中心として旋回作動する。各第2ライニング50はそれぞれ第2嵌め溝18に枢着嵌合され、従って各第2ライニング50はそれぞれ本体21の頂縁と相隣し、かつ各第2ライニング50はそれぞれ円環部52を通して第2短柱19に枢着係合され、各前記第2ライニング50はそれぞれ房室13の円心を中心として旋回作動する。羽根32には軸棒322が回動可能に貫通され、軸棒322の両端はそれぞれ第1ライニング40及び第2ライニング50の翼部44、45に回動可能に係合される。別の羽根34には軸棒342が回動可能に貫通され、軸棒342の両端はそれぞれ別の第1ライニング40及び別の第2ライニング50の翼部44、45に回動可能に係合される。従って回転子20を回転させる時に、各第1、第2ライニング40、50はそれぞれ各軸棒322、342が通過する各羽根32、34を牽引して房室13の円心を中心として旋回運動を行い、かつ各羽根32、34はそれぞれ各スライド溝23に沿って往復運動する。さらに、各第1ライニング40はそれぞれ円環部42を通して第1短柱17に環状係合されるので、各第1ライニング40を旋回作動させる時に、各第1ライニング40と第1短柱17とが干渉し合うのを回避でき、これによって各第1ライニング40の旋回作動の信頼度を高め、各第2ライニング50はそれぞれ円環部52を通して第2短柱19に環状係合されるので、各第2ライニング50を旋回作動させる時に、各第2ライニング50と第2短柱19とが干渉し合うのを回避でき、これによって各第2ライニング50の旋回作動の信頼度を高めることができる。
【0046】
各羽根32、34が房室13の内壁132と接触する末端はそれぞれ円弧面324、344に形成される。房室13の内壁132の内半径をR1とし、各軸棒322、342の旋回運動経路の半径をR2とし、各羽根32、34の円弧面324、344の弧形半径をR3とすると、R3=R1−R2となり、かつ各円弧面324、344の円心をそれぞれ各羽根32、34と各第1ライニング40の相対回転の回転中心とし、ここで、各羽根32、34と各第1ライニング40の相対回転の回転中心をそれぞれ各軸棒322、342の軸心とし、従って各羽根32、34の末端と房室13の内壁132との正接接触を保持し、このことから、流体ポンプの送伝達効率を高めると共に、固定子10に対して房室13の加工形成の困難度を低減させることができる。
【0047】
動力装置(未図示)は主軸22に連結されて回転子20を回転させるように駆動する時に、本体21は各羽根32、34を引き回し、各羽根32、34と各第1、第2ライニング40との相対廻り止めが形成され、各羽根32、34をそれぞれ房室13の円心を中心として旋回運動を遂行し、かつ各羽根32、34はそれぞれ各第1、第2ライニング40、50と共に回転し、各羽根32、34は本体21に対してそれぞれ本体21の直径方向に沿って往復運動する。前記動力装置により回転子20を順時計方向に回転させるように駆動することを例に挙げると、図8及び図9に示すように、房室13には回転子20及び各羽根32、34との接触により流体を収容するための空間が形成され、各羽根32、34の旋回運動によって空間容積の変化が生じ、これに従って流体が流入路14を経由して房室13に流入するように吸引されると共に、各羽根32、34の圧迫を受けて房室13から流出路15を通過して固定子10から流出し、流体ポンプの送伝達を遂行する。さらに、動力装置により前記回転子20を逆時計方向に従って回転させるように駆動することを例に挙げると、流体が流出路15を経由して房室13に流入するように吸引されると共に、流入路14を通過して固定子10から流出し、ポンプで反方向に流体を送伝達することができる。これによって、本発明では、回転子20の回転方向を制御することにより、流体ポンプの送伝達方向を必要に応じて変換することが可能である。
【0048】
各第1ライニング40及び各第2ライニング50と各羽根32、34及び房室13の相対構成によれば、回転子20を回転させて各羽根32、34を引き回して旋回運動させると同時に、各羽根32、34はそれぞれ各軸棒322、342を中心として回転運動し、各羽根32、34の回転中心となる各軸棒322、342は房室13の中心を円心として円運動し、各円弧面324、344の弧形半径R3に合わせて房室13の内壁132が円形であれば、各羽根32、34の末端の各円弧面324、344と房室13の円形内壁132との有効接触を保持させることができ、かつ各羽根32、34の末端と房室13の内壁132とに干渉または分離現象が形成されず、このことから、流体ポンプの送伝達効率を高めることができ、また房室13の内壁132が円形であり、固定子10の房室13の加工形成の加工困難度が低くなる。
【0049】
さらに、各羽根32、34はそれぞれ各スライド溝23の軸方向に沿って往復滑走作動する時に、各スライド溝23の内部と各羽根32、34は主軸22の一端に相隣する空間を指向し、各羽根32、34の作動によって容積の変化が生じ、各スライド溝23同士の間にグルーブ24を通過して連通が形成され、各スライド溝23の内部に位置する各羽根32、34は主軸22の一端の流体を指向し、これにより、グルーブ24を通過して各スライド溝23の間に流動し、かかる各スライド溝23の空間に各羽根32、34の作動の正・負圧状態への影響が形成されるのを回避し、各羽根32、34の滑動円滑度を高めることができる。
【0050】
また、実施例1は、必要に応じて3個またはさらに多数量の羽根を有する変換実施例とすることもでき、かつかかる変換実施例は羽根の数量に合わせて、相対応する数量の第1ライニング及び第2ライニングを有し、回転子の本体も羽根の数量に合わせてスライド溝の数量を変化させ、かかる羽根、第1、第2ライニング及び本体に形成されるスライド溝の数量上の変化により構成される変換実施例は、技術者が本発明が開示する技術に基づいて容易に想到し得るものである。
【0051】
[実施例2]
本発明の実施例2は、実施例1を変化させるものであって、同様箇所の重複説明は省略する。図10に示すように、実施例2と実施例1との主要相違箇所は、固定子10の基台11において、第1嵌め溝16の底面にさらに環状の第1凹陥溝162が凹陥されており、これによって2つの第1ライニング40と第1嵌め溝16の底面との間の接触面積を縮減して、各第1ライニング40と基台11の相対摩擦を低減することができ、各第1ライニング40の作動円滑度を高めことができる。固定子10の封蓋12には、第2嵌め溝18の頂面にさらに環状の第2凹陥溝182が凹陥されており、これによって2個の第2ライニング50と第2嵌め溝18の端面との間の接触面積を低減して、各第2ライニング50と封蓋12の相対摩擦を低減することができ、第2ライニング50の作動円滑度を高めことができ、さらに第1凹陥溝162及び第2凹陥溝182にはそれぞれ潤滑剤を納めるために用いられることにある。
【0052】
[実施例3]
本発明の実施例3は、実施例1を変化させたものであって、同様箇所の重複説明は省略する。図11及び図12に示すように、実施例3では、固定子10、回転子20、羽根32、第1ライニング40及び第2ライニング50を備え、実施例2及び実施例1との主要相違箇所は、回転子20の本体21の直径方向に沿ってスライド溝23が開設され、羽根32がスライド溝23に嵌合されることにある。
【0053】
さらに、実施例3では、必要に応じてさらに固定子10に形成される流入路14及び流出路15はそれぞれ単方向弁(未図示)と連設され、流体が固定子10に流入・流出する方向を制御するために用いられる。前記単方向弁は流体を単方向のみに通過するように制御する1種の弁部材であり、かつ関連技術を熟知する者が想到し得る現有の管路付属品であり、単方向弁の構成についての具体的な説明は割愛する。
【0054】
[実施例4]
本発明の実施例4は、実施例1を変化させたものであって、同様箇所の重複説明は省略する。図13に示すように、実施例4と実施例1との主要相違箇所は、実施例4の第1、第2ライニング40、50はそれぞれ円弧状であり、かつ各第1、第2ライニング40、50の円弧の展開幅は180°よりも大きく、各第1ライニング40はそれぞれ固定子(未図示)の第1短柱(未図示)に枢着係止され、各第2ライニング50はそれぞれ固定子(未図示)の第2短柱(未図示)に枢着係止され、従って各第1、第2ライニング40、50はそれぞれ固定子の房室(未図示)の円心を中心として旋回作動する。羽根32は軸棒322に軸枢され、軸棒322の両端はそれぞれ第1ライニング40及び第2ライニング50と回動可能に係合し、別の羽根34は軸棒342に軸枢され、軸棒342の両端はそれぞれ別の第1ライニング40及び別の第2ライニング50と回動可能に係合しており、従って、回転子20を回転させる時に、各第1、第2ライニング40、50はそれぞれ各軸棒322、342を通して各羽根32、34を牽引して房室の円心を中心として旋回運動を遂行し、かつ各羽根32、34はそれぞれ前記回転子20の2個のスライド溝23に沿って往復運動することにある。各第1、第2ライニング40、50の円弧の展開幅は180°よりも大きいので、各第1、第2ライニング40、50の旋回作動の信頼度を高めることができる。
【0055】
[実施例5]
本発明の実施例5は、実施例1を変化させたものであって、同様箇所の重複説明は省略する。図14に示すように、実施例5と実施例1との主要相違箇所は、実施例5の第1、第2ライニング40、50はそれぞれ円環部42、52及び翼部44、54が相接して構成され、各翼部44、54はそれぞれ各円環部42、52の内周縁と相接し、かつ各翼部44、54はそれぞれ円弧状であり、各第1ライニング40の翼部44はそれぞれ固定子(未図示)の第1短柱(未図示)の外周縁と隣接し、各第1ライニング40の円環部44の外周はそれぞれ固定子(未図示)の第1嵌め溝の環状内壁と隣接し、各第2ライニング50の翼部44はそれぞれ固定子(未図示)の第2短柱(未図示)の外周縁と隣接し、各第2ライニング50の円環部54の外周はそれぞれ固定子(未図示)の第2嵌め溝の環状内壁と隣接し、従って各第1、第2ライニング40、50をそれぞれ固定子の房室(未図示)の円心を中心として旋回作動すると共に、各円環部44、54の外周はそれぞれ前記第1嵌め溝、前記第2嵌め溝の内壁と隣接することにより、各第1、第2ライニング40、50の旋回作動の信頼度を高めることができ、羽根32は軸棒322に軸枢され、軸棒322の両端はそれぞれ第1ライニング40及び第2ライニング50の翼部44、54と回動可能に係合し、別の羽根34は軸棒342に軸枢され、軸棒342の両端はそれぞれ別の第1ライニング40及び別の第2ライニング50の翼部44、54と回動可能に係合し、従って回転子20を回転させる時に、各第1、第2ライニング40、50はそれぞれ各軸棒322、342を通して各羽根32、34を牽引して前記房室の円心に従って旋回運動を遂行し、かつ各羽根32、34はそれぞれ回転子20の2個のスライド溝23に沿って往復運動することにある。
【0056】
[実施例6]
本発明の実施例6は、実施例1を変化させたものであって、同様箇所の重複説明は省略する。図15に示すように、本発明の実施例6は、固定子10、回転子20、第1羽根36、第2羽根38、第1ライニング40及び第2ライニング50を備え、その中、実施例6と実施例1との主要相違箇所は、第1、第2ライニング40、50がそれぞれ円環状片体であり、第1ライニング40は固定子10の第1短柱17に枢着係合され、第2ライニング50は固定子10の第2短柱(未図示)に枢着係合され、従って各第1、第2ライニング40、50はそれぞれ固定子10の房室13の円心を中心として旋回作動し、第1、第2ライニング40、50にはそれぞれ枢孔46、56及び円弧形のガイド溝48、58を貫通し、第1羽根36は軸棒362に軸枢され、軸棒362の両端はそれぞれ第1ライニング40及び第2ライニング50の枢孔46、56に軸枢され、第1、第2ライニング40、50はそれぞれ軸棒362を通過して第1羽根36を牽引して房室13の円心に従って旋回運動を遂行し、第2羽根38は第1軸棒382及び第2軸棒384によって軸枢され、第1軸棒382の一端は弧形の第1スライドブロック386と軸接し、第2軸棒384の一端は弧形の第2スライドブロック388と軸接し、第1スライドブロック386は第1ライニング40のガイド溝48内に枢設され、第2スライドブロック388は第2ライニング50のガイド溝58内に枢設され、第1、第2ライニング40、50はそれぞれ第1、第2軸棒382、384を通して第2羽根38を牽引して房室13の円心に従って旋回運動を遂行し、かつ第1、第2スライドブロック386、388はそれぞれ各ガイド溝48、58内において、各ガイド溝48、58の弧形方向に沿って往復滑走する。
【0057】
回転子20の円柱状本体21には直径方向に沿って2つのスライド溝23が開設され、各スライド溝23の一端は本体21の軸心を指向し、他端は本体21の外周に延伸して房室13と連通している。第1、第2羽根36、38はそれぞれ各スライド溝23に嵌合され、第1、第2羽根36、38の一端はそれぞれ本体21の軸心を指向し、第1、第2羽根32、34の他端はそれぞれ房室13の内壁132と正接接触している。回転子20及び第1、第2羽根36、38と房室13の内壁132との接触により、房室13には回転子20の外周と房室13の内壁132との間に流体を収容するための空間が形成される。第1、第2羽根36、38が房室13の内壁132と接触する末端はそれぞれ円弧面361、381に形成され、房室13の内壁132の内半径をR1とし、軸棒362及び第1、第2軸棒382、384の旋回運動経路の半径をR2とし、第1、第2羽根36、38の円弧面361、381の弧形半径をR3とすると、R3=R1−R2となり、かつ第1羽根36の円弧面361は軸棒362の軸心を円心とし、第2羽根38の円弧面381は第1、第2軸棒382、384の軸心を円心とし、第1、第2羽根36、38の末端それぞれと前記房室13の内壁132との正接接触を保持し、このことから、流体ポンプの送伝達効率を高めると共に、固定子10に対して房室13の加工形成の困難度を低減させることができる。
【0058】
[実施例7]
本発明の実施例7は、実施例5を変化させたものであって、同様箇所の重複説明は省略する。図16に示すように、実施例7の第1、第2ライニング40、50はそれぞれ回転子20の本体21に対して対称であり、図17に示すように、第1ライニング40には枢孔46及び円弧形的ガイド溝48が形成され、かつ枢孔46及びガイド溝48は、第1ライニング40の一面に密閉状に形成され、図18に示すように、第2ライニング50には枢孔56及び円弧形的ガイド溝58が形成され、かつ枢孔56及びガイド溝58は、第2ライニング50の一面に密閉状に形成される。
【0059】
本発明の前述した各実施例では、可変周波数式モーターを回転子の主軸と連結し、可変周波数式モーターによって前記回転子を回転させるように駆動し、かつ前記回転子の回転速度を可変周波数式モーターを介して変化させ、流体の流量を変化制御するようにできる。
【0060】
上記を総合すると、本発明は、多数回の試験を重ねて、その目的を十分に達成することが確認され、かつ効能が卓越し、出願前に公開された出版物に掲載されておらず、及び公開使用されておらず、特許要件を満たしているため、詳細に審査されるようお願いするとともに、早い時期に特許が付与されれば幸いである。
【符号の説明】
【0061】
10:固定子
11:基台
12:封蓋
13:房室
132:内壁
14:流入路
15:流出路
16:第1嵌め溝
162:第1凹陥溝
17:第1短柱
18:第2嵌め溝
182:第2凹陥溝
19:第2短柱
20:回転子
21:本体
22:主軸
23:スライド溝
24:グルーブ
32:羽根
322:軸棒
324:円弧面
34:羽根
342:軸棒
344:円弧面
36:第1羽根
361:円弧面
362:軸棒
38:第2羽根
381:円弧面
382:第1軸棒
384:第2軸棒
386:第1スライドブロック
388:第2スライドブロック
40:第1ライニング
42:円環部
44:翼部
46:枢孔
48:ガイド溝
50:第2ライニング
52:円環部
54:翼部
56:枢孔
58:ガイド溝
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